JP2001261991A - 有機金属錯体、それを用いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター - Google Patents

有機金属錯体、それを用いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター

Info

Publication number
JP2001261991A
JP2001261991A JP2000071475A JP2000071475A JP2001261991A JP 2001261991 A JP2001261991 A JP 2001261991A JP 2000071475 A JP2000071475 A JP 2000071475A JP 2000071475 A JP2000071475 A JP 2000071475A JP 2001261991 A JP2001261991 A JP 2001261991A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
filter
substituent
organometallic complex
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000071475A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3932761B2 (ja
Inventor
Yasuyo Saito
保代 斉藤
Tetsuo Murayama
徹郎 村山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2000071475A priority Critical patent/JP3932761B2/ja
Publication of JP2001261991A publication Critical patent/JP2001261991A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3932761B2 publication Critical patent/JP3932761B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透
過性、耐光性に優れる近赤外線吸収フィルターを得る。 【解決手段】 下記一般式(1) 【化1】 (Xは、SまたはSeを表し、Mは、金属元素を表す。
環A及び環Bは、各々独立に、ベンゼン環以外の任意の
芳香族環を表し、さらに芳香族環は任意の置換基により
置換されていてもよい。R1 〜R8は、各々独立に、水
素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基
を有していてもよいアリール基、置換基を有していても
よいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキ
シ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ
基またはシアノ基を表す。)で表されることを特徴とす
る有機金属錯体及びこれを用いた赤外線吸収フィルタ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は近赤外光域で吸収を
示す新規な有機金属錯体、有機金属錯体色素、これを用
いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパ
ネル用フィルターに関する。具体的には、赤外線吸収フ
ィルター用色素、熱線遮断用色素、遮光フィルム用色
素、光記録材料用色素、データーコード用色素、レーザ
ープリンタ用色素、一重項酸素クエンチャー、退色防止
剤などに用いることができる赤外線吸収色素材料に関す
る。また、これらの色素を含む赤外線吸収フィルターに
関し、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性
能、耐光性に優れていることにより、赤外線を遮蔽する
フィルター、具体的には、デジカメ用赤外線フィルタ
ー、プラズマディスプレイパネル等、画像表示装置のフ
ィルターなどに好適に使用することができる赤外線吸収
フィルターである。
【0002】
【従来の技術】一般に、近赤外線吸収剤を含有した樹脂
からなるプラスチック性近赤外線吸フィルターは、よく
知られているものである。その用途としては、サングラ
ス、溶接用眼鏡、ビルや自動車、飛行機の窓、あるいは
情報読み取りのための光学読み取り装置等が挙げられ
る。
【0003】また、最近では、大型薄型の壁掛けテレビ
として注目されているプラズマディスプレイパネル(以
下、「PDP」という)が、近赤外線を発生して、コー
ドレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等、
周辺にある電子機器に作用し誤動作を起こすことから、
PDP用フィルターとしても近赤外線を吸収する赤外吸
収フィルターの要求やデジカメ用赤外線フィルターの要
求がある。
【0004】この要求に対し、特公平2−4881号公
報においては、ベンゼンジチオール系金属錯体を配合し
た熱可塑性樹脂からなる光学フィルターが提案されてい
る。また、特公平6−38125号公報においては、ア
ントラキノン化合物あるいは、中心に金属原子を配位す
るナフタロシアニン系化合物のうちの少なくとも一種を
含有する近赤外線吸収フィルムあるいは板が提案されて
いる。特開平4−174402号公報においては、アル
ミニウム化合物を含有する合成樹脂組成物を更に重合、
硬化させた赤外線吸収フィルターが提案されている。さ
らに、近年、プラズマディスプレー用フィルターとし
て、特開平9−230134においてはジチオール系金
属錯体を特開平10−78509において、フタロシア
ニン色素を含有するプラズマディスプレー用フィルター
が提案されている。
【0005】また、特開昭63−112592号公報に
は、アミノチオフェノレート系金属錯体色素が開示され
ており、その用途として赤外線吸収フィルター用色素の
記載がある。 さらに、近年、アミノチオフェノレート
系金属錯体として、久司らにより、Bull.Chem.Soc.Jp
n.,70(7)(1997)1599-1606に、N原子とN原子が炭素を
介してつながったタイプの配位子を有する金属錯体を報
告している。
【0006】これらのアミノチオフェノレート系金属錯
体色素は、可視領域の吸収が小さく透過率が高いことが
知られているが、耐光性においては、フタロシアニン系
に劣っており、実用的に十分でなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、近赤
外光域に大きな吸収を有し、化学的に安定で、近赤外線
吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能および耐光性
に優れ、成膜性のよい赤外線吸収色素材料、およびこれ
を用いた赤外線吸収フィルターを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を鑑み、鋭意検討した結果、アミノチオフェノレート系
金属錯体色素において、金属に配位している窒素原子ど
おしを炭素鎖でつなぐことにより耐光性の低下の原因と
なるN−H部位をなくしたことにより安定化し、耐光性
の向上が期待され、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可
視光線透過性能および耐光性に優れる赤外線吸収フィル
ター提供することができることを見出し、本発明に到達
した。すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(1)
【0009】
【化3】
【0010】(Xは、SまたはSeを表し、Mは、金属
元素を表す。環A及び環Bは、各々独立に、ベンゼン環
以外の任意の芳香族環を表し、さらに芳香族環は任意の
置換基により置換されていてもよい。R1 〜R8は、各
々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキ
ル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を
有していてもよいアラルキル基、置換基を有していても
よいアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ
基、置換アミノ基またはシアノ基を表す。)で表される
ことを特徴とする有機金属錯体、及び有機金属錯体から
なる赤外線吸収色素に存する。
【0011】また、本発明はこの有機金属錯体を用いた
赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル
用フィルターにも関する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本明細書中、Meはメチル基を、Etはエチル基
を、Buはブチル基を、Prはプロピル基を、Hexは
ヘキシル基を、Phはフェニル基を表し、i−はイソを
n−は直鎖、t−はターシャリー、c−はシクロ(環
状)を表す。
【0013】本発明の金属有機錯体は前記一般式(1)
で表される化合物である。つまり、アミノチオフェノレ
ート系等の錯体において、ベンゼン環以外の芳香族環を
有しているのがその特徴である。環A及び環Bは、各々
独立にベンゼン環以外の任意の芳香族環であり、さらに
芳香族環上に任意の置換基を有していても良い。このよ
うな芳香族環としては、炭化水素芳香族の多環式化合物
や、炭素以外の異項原子を有する複素環系の単環式化合
物または縮合環のいずれでもよい。
【0014】このような芳香族炭化水素の縮合環として
は、5〜7員環の2〜4個の縮合環、具体的には、ナフ
タレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、アズ
レン、インデン等が挙げられる。また複素環としては、
5〜6員環の単環式複素環や、5〜6員環の縮合系複素
環が好ましく、異項原子として窒素、酸素、硫黄を含む
5〜6員環が好ましい。具体的には、ピリジン、ピリミ
ジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ピラン、チ
オピラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラ
ン、チオフェン、オキザソール、チアゾール、オキザジ
アゾール、トリアゾール、チアジアゾール、プリン、ピ
ロロピロール等が挙げられる。縮合系複素環としては、
ベンゼン環1〜3個と異項原子として窒素、酸素、硫黄
を含む5〜6員環の複素環の縮合環が好ましく、具体的
には、ベンゾフラン、ベンゾジオキシラン、ベンゾジオ
キソール、インドール、チオナフテン、ベンズイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ベンズオキザゾール、キノリ
ン、イソキノリン、シノリン、キノキサジン、アクリジ
ン、ジベンゾフラン、キサンテンカルバゾール、フェナ
ントロリン、ベンゾシノリン、フェノチアジン、フェノ
キサジン等が挙げられる。
【0015】これらの中でも、有機金属錯体の安定性の
点から環Aまたは環Bがナフタレン環であるのが好まし
く、また、複素環の中では、チオフェン、チオナフテ
ン、ベンゾフラン、ベンゾジオキシラン等が好ましい。
中でも、環A、環Bともにナフタレン環である場合が、
その錯体としての安定性の点で最も好ましい。そして、
一般式(1)が、特に下記一般式(2)または(3)で
ある場合、最も優れた安定性を示す赤外線吸収色素が得
られる。
【0016】
【化4】
【0017】上記一般式(2)、(3)中、Xは、Sま
たはSeを表し、好ましくはSが用いられる。Mは、金
属元素、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表し、好
ましくはNi、Pd、Pt、Co、Fe、Ti、Sn、
またはCu、さらに好ましくはNi,Pt、Pd、C
oが用いられ、Niである場合が、好ましい。中でも、
XがSであり、MがNiである場合、性能的にも優れ、
かつ経済的にも有利であることから好ましい。さらに、
有機金属錯体が左右対称の化合物である場合が合成上の
容易さ、安定性の面から好ましい。
【0018】R1 〜R8は、それぞれ独立に、水素原
子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有
していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい
アラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ
基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基
またはシアノ基を表わし、好ましくは、水素原子、アル
キル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ニ
トロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基または
シアン基を表し、さらに好ましくは、水素原子;メチル
基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチ
ル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル
基;アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラ
ルキル基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、
n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基;フ
ェノキシ基、メチルフェノキシ基などの炭素数6〜12
のアリールオキシ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子、
フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基;ジメチルア
ミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの
置換アミノ基;またはシアノ基が挙げられ、特に好まし
くは、水素原子が用いられる。
【0019】X1〜X28は、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニト
ロ基、シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、置
換基を有していてもよいアリール基または置換基を有し
ていてもよいアラルキル基を表す。具体的には、水素原
子及びフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ
基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブ
トキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基、フェノキ
シ基、メチルフェノキシ基などの炭素数6〜12のアリ
ールオキシ基、ニトロ基,シアノ基,メチル基、エチル
基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−
ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基、トリクロ
ロメチル基、トリフルオロメチル基等の置換アルキル
基、アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラ
キル基が挙げられ、好ましくは、水素原子及びフッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、
エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭
素数1〜5のアルコキシ基、トリクロロメチル基、トリ
フルオロメチル基、フェノキシ基、メチルフェノキシ
基、ニトロ基、シアノ基等の電子吸引性基が挙げらる。
【0020】本発明の有機金属錯体としては、次のよう
な化合物が挙げられる。
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】本発明に用いられる有機金属錯体は、環
A、環Bがナフタレン環であり、かつXかRである場
合、一般式(2)の有機金属錯体は、例えば次のように
して製造するすることができる。
【0027】
【化10】
【0028】すなわち、O-アミノベンゼンチオール類
に、ナフチルアルデヒドを作用させ、ベンゾチアゾリン
を合成し、それに錯体ソースを反応させイミノ錯体を合
成する。その後、イミノ錯体を溶媒中で加熱することに
より、容易に一般式(2)で表される化合物が合成でき
る。(式中、R1 〜R8およびX1〜X14は、一般式
(2)における定義と同じである。) 一般式(3)の有機金属錯体も同様にして合成できる。
この反応で用いる錯体ソースの具体例としては、NiC
2 、NiCl2 ・6H2 O、Ni(OCOCH3
2 、Ni(OCOCH32 ・4H2 O、NiSO4
PdCl2 、PdSO4 、PtCl4 、Na2 PtCl
6 ・6H2 O、K 2 PtCl6 ・6H2 O、CoCl
2 、Co(OCOCH32 、Co(OCOCH32
・4H2 O、CoSO4 、FeCl3 、FeSO4 、F
2 (SO43 、TiCl3 、TiCl4 、Ti(S
42 、Sn(OCOCH32 、Sn(OCOCH
34 、Sn(OMe)4 、Sn(OEt)4 、SnC
2 、SnCl2 ・2H2 O、SnCl4 、SnSO
4 、Ti(OMe)4 、Ti(OEt)4 、CuCl
2 、Cu(OCOCH32 、CuSO4 、CuSO4
・4H2 O等が挙げられる。上記の反応は、通常溶媒中
で行われる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラ
ン(以下「THF」という)、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエー
テル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の
エーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキ
サノール、オクタノール等のアルコール類、1,2,3
−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,
1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエ
タン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサ
ン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベン
ゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、スクアラン
等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド
類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン等のスルホキシド類、アセトニトリル、プロパンニト
リル、ベンゾニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プ
ロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチ
ル、ステアリン酸メチル等のエステル類が用いられる。
これらの溶媒の中で、アルコール系溶媒、エーテル系溶
媒が好ましい。
【0029】また、反応温度は、室温もしくは、0℃〜
150℃で円滑に実施できる。このようにして得られる
本発明に用いる有機金属錯体は、近赤外領域に強い吸収
を示し、通常ブルーの色調を示す。本発明の有機金属錯
体は、種々の機能性色素、具体的には、赤外線吸収フィ
ルター用色素、熱線遮断用色素、遮光フィルム用色素、
光記録材料用色素、データーコード用色素、レーザープ
リンタ用色素、一重項酸素クエンチャー、退色防止剤な
どとして使用できる。
【0030】次に、本発明の赤外線吸収フィルターの製
造方法について説明する。本発明の赤外線吸収フィルタ
ーの製造方法としては、透明基板に有機金属錯体を含む
塗工液をコーティングする方法、有機金属錯体を配合し
たフィルムなどを透明基板として用いる方法などが挙ら
れる。本発明の赤外線吸収フィルターを構成する透明基
板としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大き
くない基板であればよく、特に制限はない。その具体的
な例としては、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、非晶質
ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹
脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、
ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が挙
げられる。これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン
系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアリ
レート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂が好ましい。
【0031】これらの樹脂は、フェノール系、燐系など
の酸化防止剤、ハロゲン系、燐酸系等の難燃剤、耐熱老
化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等の公知の
添加剤を配合していもよい。透明基板は、これらの樹脂
を射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等
の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方
法などの成形方法により、フィルム状に成形して用い
る。フィルム状に成形された樹脂は延伸されていても未
延伸でもよい。また、異なる材料からなるフィルムが積
層されていても良い。
【0032】透明基材の厚みは、目的に応じて通常10
μm〜5mmの範囲から選択される。更に、透明基材
は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー
放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法に
よる表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコ
ーティングを施してもよい。
【0033】有機金属錯体を含む塗工液は、金属錯体を
バインダー樹脂とともに溶剤中に溶解させることによ
り、調製することができる。このとき溶剤に溶解される
有機金属錯体およびバインダー樹脂などの全固形分の濃
度は、通常5〜50重量%である。また、全固形分に対
する有機金属錯体の濃度は、通常1〜80重量%、好ま
しくは2〜70重量%である。
【0034】また、有機金属錯体を必要に応じて分散剤
を用いて、粒径を通常0.1〜3μmに微粒子化し、バ
インダー樹脂とともに、溶剤に分散させて調整すること
もできる。このとき溶剤に分散される有機金属錯体、分
散剤、バインダー樹脂等の固形分の濃度は、5〜50重
量%である。また、全固形分に対する有機金属錯体の濃
度は、通常1〜80重量%、好ましくは5〜70重量%
である。用いられる分散剤としては、ポリビニルブチラ
ール樹脂、フェノキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹
脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン
化ロジン、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。その使用
量は、有機金属錯体に対して、通常0〜100重量%、
好ましくは0〜70重量%である。
【0035】バインダー樹脂としては、ポリメチルメタ
クレート樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体樹
脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。その使用量は、
有機金属錯体に対して、10〜200重量%、好ましく
は30〜100重量%である。溶剤としては、1,2,
3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,
1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエ
タン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、
ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等の
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、プロピオ
ン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ス
テアリン酸メチル等のエステル類シクロヘキサン、ヘキ
サン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トル
エン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジ
クロロベンゼン、ニトロベンゼン、スクアラン等の芳香
族炭化水素類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の
スルホキシド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類、テト
ラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール
ジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル
エーテル等のエーテル類あるいはこれらの混合物を用い
ることができる。
【0036】また、有機金属錯体を含む塗工液には、さ
らに他の近赤外線吸収剤を添加してもよい。他の近赤外
線吸収剤としては、有機物質であるニトロソ化合物及び
その金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化
合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン
化合物、ナフタロシアニン化合物、トリアリルメタン系
化合物、インモニウム系化合物、ジインモニウム系化合
物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、
アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、あるいは、無機
物であるカーボンブラックや、酸化インジウムスズ、酸
化アンチモンスズ、周期律表4A、5Aまたは6A族に
属する金属の酸化物、もしくは炭化物、またはホウ化物
などが挙げられる。
【0037】このように、本発明の有機金属錯体の他、
必要であればさらに他の近赤外線吸収剤を併用しなが
ら、波長領域800〜1100nmの近赤外線透過率が
15%以下となるように赤外線吸収フィルターを調製す
るのが好ましい。特に透明性と、赤外線吸収性能の面か
ら、本発明の金属錯体とジインモニウム系化合物とを併
用して用いることが好ましく、この場合には、相互作用
による性能劣化の恐れがあるため、本発明の有機金属錯
体とは別の層に含有させて用いた方が望ましい。
【0038】有機金属錯体を含む塗工液の透明基材への
コーティングは、ディッピング法、フローコート法、ス
プレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコ
ート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の
公知の塗工方法で行われる。有機金属錯体を含む層は、
乾燥後の膜厚が、通常0.1〜30μm、好ましくは
0.5〜10μmとなるように塗布される。
【0039】本発明の赤外線吸収フィルターは、さらに
紫外線カット層を設けることにより、有機金属錯体との
相乗効果によって、赤外線吸収フィルターの耐光性を著
しく向上させることができる。紫外線カット層として
は、400nm以下の波長の紫外線を効率よくカットで
きるものであり、350nmの波長の光を70%以上吸
収できることが好ましい。紫外線カット層の種類につい
ては、特に制限されないが、好ましくは紫外線吸収剤を
含有する樹脂フィルム(紫外線カットフィルム)が好ま
しい。
【0040】紫外線カット層に用いられる紫外線吸収剤
としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、
その領域の光を効率よくカットする化合物であれば、有
機系、無機系のいずれも特に限定なく用いることができ
る。例えば有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収
剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、トリアジン系
紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケ
イ皮酸系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられ、無機系
紫外線級剤としては酸化チタン系紫外線吸収剤、酸化亜
鉛系紫外線吸収剤、微粒子酸化鉄系紫外線吸収剤等が挙
げられるが、無機系紫外線吸収剤の場合は紫外線カット
層中で微粒子状態で存在しているため、赤外線吸収フィ
ルターの効率を損なう恐れがあることから、有機系紫外
線吸収剤が好ましい。
【0041】このような紫外線吸収剤としては、例え
ば、チバガイギー(株)のチヌビンP、チヌビン12
0、213、234、320、326、327、32
8、329、384、400、571、住友化学(株)
のスミソーブ250、300、577、共同薬品(株)
バイオソーブ582、550、591、城北化学(株)
のJFー86、79、78、80、旭電化(株)のアデ
カスタブLA−32,LA−36,LA−34、シプロ
化成(株)のシーソルブ100、101、101S、1
02、103、501、201、202、612NH、
大塚化学(株)のRUVA93、30M、30S、BASF
(株)のユービナール3039等が挙げられる。
【0042】これらの紫外線吸収剤は、単独で用いても
良いが、数種類組み合わせても良い。また、紫外線を吸
収して可視領域に波長変換するチバガイギー(株)のユ
ービテックスOB,OB−P等の蛍光増白剤も利用でき
る。紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルム(紫外線カッ
トフィルム)は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタ
クレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリビニルブチ
ラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレンービニル
アルコール共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
体樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタ
ン樹脂等の樹脂をベースに上記の紫外線吸収剤を添加し
て作製できる。紫外線カットフィルムの作製方法は、溶
融/押し出し、溶融/押し出し/延伸法、キャスト法、
カレンダー法、コーティング法等、一般的な方法が利用
できる。紫外線カットフィルムの厚みは、2μm〜1m
m程度である。紫外線吸収剤の添加量は、樹脂の厚み、
目的の吸収強度等によって異なるが、通常、フィルムの
10ppm〜30%である。
【0043】また、紫外線カットフィルムは、市販のU
Vカットフィルターを使用することもでき、例えば、富
士フィルム(株)のSC−38、SC−39、三菱レー
ヨン(株)のアクリプレン等が挙げられる。上記のUV
カットフィルター、SC−39、アクリプレンは、とも
に350nmの波長を99%以上吸収する紫外線カット
フィルムである。
【0044】本発明の赤外線吸収フィルターは、必要に
応じて、電磁波カット層、表面への蛍光灯などの外光の
写り込みを防止する反射防止層、ぎらつき防止層(ノン
グレア層)、紫外線カット層等を設け、PDP用フィル
ターとして使用することができる。PDPフィルターに
ついては、特にその構成、製造等限定されるものではな
いが、例えば、本発明の赤外線吸収フィルターを粘着層
を介して透明樹脂基板に貼り合わせ、その両面に反射防
止層、あるいはノングレア層を設けた構成であり、さら
に赤外線吸収フィルターのPDP側には紫外線カット層
を有していたり、またPDPフィルターの任意の層の間
に電磁波カット層を設けていてもよい。PDPフィルタ
ーの層構成はこれに限定されるものではなく、必要に応
じていずれかの層を省略したり、さらに別の層を加えた
りして、PDPフィルターとしての性能が十分発揮でき
る範囲で適宜層構成を変えてもよい。
【0045】また、赤外線吸収フィルターにおいて、本
発明の有機金属錯体と、他の近赤外吸収剤を併用して用
いる場合、本発明の同一の層に用いてもよいが、それら
の相互作用による耐光性などの性能劣化の恐れがある場
合には、別々の層に分けて複数の層として積層されてい
てもよい。電磁波カット層とは、PDPより放出される
電磁波を遮蔽するために設けられる層であり、400〜
700nmの可視光線領域を70%以上透過し、表面固
有抵抗値が50Ω/□以下であるのが好ましい。電磁波
カット層を設けるには金属酸化物等の蒸着あるいはスパ
ッタリング方法等が利用できる。通常は酸化インジウム
スズ(ITO)が一般的であるが、誘導体層と金属層を
基材上に交互にスパッタリング等で積層させることで1
000nm以上の光をカットすることもできる。誘電体
層としては酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン
スズ、アルミニウム酸化亜鉛等の透明な金属酸化物等で
あり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が
一般的であり、通常、誘電体層より3層、5層、7層あ
るいは11層程度積層する。基材としては、本発明の赤
外線吸収フィルターをそのまま利用しても良いし、樹脂
フィルムあるいはガラス上に蒸着あるいはスパッタリン
グして電磁波カット層を設けた後に、本発明の赤外線吸
収フィルターと貼り合わせても良い。反射防止層は、表
面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるため
に、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化
物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法、イオンビームア
シスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アク
リル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層
あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防
止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付ける
こともできる。
【0046】また、ノングレア層も設けることもでき
る。ノングレア層は、フィルターの視野角を広げる目的
で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、ア
クリル等の微粉体をインキ化して、表面にコーティング
する方法などを用いることができる。インキの硬化は、
熱硬化あるいは光硬化を用いることができる。また、ノ
ングレア処理したフィルムを該フィルター上に貼り付け
ることもできる。更に必要であれば、ハードコート層を
設けることもできる。
【0047】更に、この赤外線吸収フィルターは単独に
用いられることは勿論、さらに透明のガラスや他の透明
樹脂板等と貼り合わせて積層体として用いることができ
る。本発明により得られる赤外線吸収フィルターは、特
にPDP用フィルターとして好適に用いられる他、ディ
スプレイ用フィルター、熱線遮断フィルム、サングラ
ス、保護眼鏡、リモコン受光器など幅広い用途に使用す
ることができる。
【0048】
【実施例】以下に、実施例により本発明を説明するが、
本発明はこれにより何ら制限されるものではない。 実施例1 メタノール約10mlに2−ナフチルアルデヒド 1.
56g(0.01mol)を溶かし、その溶液にo−ア
ミノベンゼンチオール1.10ml(0.01mol)
を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラック
スさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(A
cO)2・4H2O 1.10g(0.0044mol)を加え
ると、赤茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラッ
クス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を6
0℃で真空乾燥し、下式に示す赤茶色の有機金属錯体
2.35g(0.040mol:収率91.5%)を得
た。
【0049】
【化11】
【0050】上記有機金属錯体1.0gにTHF100
mlを加え、反応液が、青色に変化するまで、リフラッ
クスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去
後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させ
た。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥さ
せ、下記生成物0.91g(収率91.0%)を得た。
【0051】
【化12】
【0052】構造解析 (1)元素分析(C26H18Cl2N2NiS2) Found:C,68.76;H,3.75;N,4.80;S,11.14 Calc :C,70.00;H,4.15;N,4.80;S,10.99 (2)マススペクトル:M/Z.582(マスパターンがC34H
24N2S2Niで、シュミレートしたものと一致した。) この有機金属錯体は、テトラヒドロフラン(以下「TH
F」と略記する場合もある)中で、近赤外領域である8
30nmにε=32000の強い吸収を示した。 実施例2 メタノール約10mlに1−ナフチルアルデヒド 1.
56g(0.01mol)を溶かし、その溶液にo−ア
ミノベンゼンチオール1.10ml(0.01mol)
を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラック
スさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(A
cO)2・4H2O 1.10g(0.0044mol)を加え
ると、赤茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラッ
クス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を6
0℃で真空乾燥し、下式に示す赤茶色の有機金属錯体
2.22g(0.038mol:収率86.5%)を得
た。
【0053】
【化13】
【0054】上記有機金属錯体1.0gにTHF100
mlを加え、反応液が、青色に変化するまで、リフラッ
クスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去
後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させ
た。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥さ
せ、下記生成物0.72g(収率72.0%)を得た。
【0055】
【化14】
【0056】実施例3 耐光性を評価するため、実施例1で得られた有機金属錯
体の5重量%THF溶液0.06gに、ポリメチルメタ
クリレート樹脂(商品名;ダイヤナールBR−80:三
菱レイヨン株式会社製品)のTHF/トルエン(=1/
1)溶液(樹脂濃度20重量%)を1.5g添加し、超
音波洗浄機にて、完全に溶解させた後、この塗工液を、
バーコータ#24でOHPフィルムに塗工し、乾燥する
ことにより、近赤外吸収フィルムを得た。塗布膜厚は、
約6μmであった。
【0057】このフィルムの近赤外吸収を、日立分光光
度計U−3500で測定したところ、λmaxは、83
5nmであった。更にこのフィルムに、富士写真フィル
製UVカットフィルター(アクリフ゜レン+SC-39)をかぶせ、キ
セノンロングライフフェードメーター(FAL−25A
X−HCB−EC)(スガ試験機社製品)により、40
0時間照射し、835nmにおける照射前後の吸収強度
を測定したところ、照射後の強度は、照射前の強度の9
0.6%であり、耐光性が高いことを確認した。 実施例4 実施例1で得られた有機金属錯体の0.5重量%メチル
エチルケトン溶液、0.8重量部に、ポリメチルメタク
リレート樹脂(三菱レイヨン株式会社製品ダイヤナール
BR−80)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(2
0重量%溶液)1重量部、トルエン 0.2重量部を添
加した塗工液を、50μmの厚みのポリエチレンテレフ
タレートフィルムに、厚み2μmになるようコーティン
グした。上記フィルムに、表面固有抵抗5Ω/□の銀・
インジウム酸化錫(ITO)の多層蒸着フィルムを貼り
合わせた。
【0058】更に、厚み4mmのポリカーボネート板と
貼り合わせた後、両面にフッ素系樹脂からなる反射防止
剤を100nmの厚みにコーティングして、プラズマデ
ィスプレイパネル用フィルターを得た。得られたプラズ
マディスプレイパネル用フィルターは、800〜880
nmの光線透過率が20%以下で、更に可視光線透過率
が65%以上であった。特に400〜500nmの透過
率が75%以上と高く、黄色味が少ないため、ディスプ
レイ前面に設置した場合に、画質を悪化させず、フィル
ターとして良好であった。 比較例1 エタノール約80mlにKOH1.78g(0.018
mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオ
ール2.00g(0.016mol)を室温で、撹拌し
ながら加え、リガンド溶液とした。
【0059】一方、エタノール20mlにニッケル(I
I)クロリド・6水和物1.92g(0.008mo
l)を溶解させ、上記リガンド溶液に撹拌しながら、滴
下したところ溶液は、濃紺に変化した。その後、濾過、
2 O、エタノールによる洗浄、アセトン不溶物除去、
乾燥により、式(IV)で示されるビス(2−フェニルア
ミノベンゼンチオール)ニッケル錯体を単離した(収量
1.721g;収率70.5%)。この錯体は、THF
中で、近赤外領域である805nmにε=35400の
強い吸収を示した。
【0060】
【化15】
【0061】耐光性を評価するため、得られたビス(2
−フェニルアミノベンゼンチオール)ニッケル錯体の5
重量%THF溶液0.6gに、ポリメチルメタクリレー
ト樹脂(商品名;ダイヤナールBR−80:三菱レイヨ
ン株式会社製品)のTHF/トルエン(=1/1)溶液
(樹脂濃度20重量%)を3.0g添加し、超音波洗浄
機にて、完全に溶解させた後、この塗工液を、バーコー
タ#24でOHPフィルムに塗工し、近赤外吸収フィル
ムを得た。塗布膜厚は、6μmであった。
【0062】このフィルムの近赤外吸収を、日立分光光
度計U−3500で測定したところ、λmaxは、82
5nmであった。更にこのフィルムに、富士写真フィル
製UVカットフィルター(SC-39)をかぶせ、キセノンロ
ングライフフェードメーター(FAL−25AX−HC
B−EC)(スガ試験機社製品)により、400時間照
射し、825nmにおける照射前後の吸収強度を測定し
たところ、照射後の強度は、照射前の強度の81.8%
であった。
【0063】比較例2 近赤外線吸収色素として知られているフタロシアニン色
素(日本触媒社製 IR−3) の1重量%MEK/ト
ルエン(=1/1)溶液 0.8重量部に、ポリメチル
メタクリレート樹脂(三菱レイヨン株式会社製品ダイヤ
ナールBR−80)のMEK/トルエン(=1/1)溶
液(20重量%溶液) 1重量部、MEK 0.1重量
部、トルエン 0.1重量部を添加した塗工液を、50
μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムに、
厚み2μmになるようコーティングした。
【0064】実施例4と同様に、上記フィルムに銀・I
TO多層蒸着フィルムを貼り合わせ、更にポリカーボネ
ート板と貼り合わせた後、両面に反射防止剤をコーティ
ングし、プラズマディスプレイパネル用フィルターを得
た。得られたプラズマディスプレイパネル用フィルター
は、800〜880nmの光線透過率が20%以下であ
ったが、可視光線透過率は45%以上、400〜500
nmの透過率は58%以下であり、ディスプレイ前面に
設置した場合に、画面が暗くなり、フィルターとしては
好ましくなかった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、近赤外領域に強い吸収
を示す有機金属錯体を提供できる。また、この有機金属
錯体は、有機溶媒に可溶なため、フィルム等に容易に加
工でき、この近赤外線吸収層を設けた、近赤外線吸収性
能、熱線吸収能、可視光線透過性能および長時間の耐光
性に優れる近赤外線吸収フィルターを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07D 239/26 C07D 239/26 4C037 241/12 241/12 4C055 251/16 251/16 C 4C056 263/32 263/32 4C069 277/28 277/28 4H050 307/52 307/52 307/81 307/81 317/58 317/58 319/18 319/18 333/20 333/20 333/54 333/54 333/58 333/58 C09K 3/00 105 C09K 3/00 105 G02B 5/22 G02B 5/22 // C07F 15/04 C07F 15/04 Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA19 CA24 4C022 CA01 CA04 KA01 4C023 CA01 CA04 4C031 BA03 4C033 AD06 AD17 4C037 HA23 PA09 4C055 AA01 BA01 BA02 BA06 BA27 BB04 BB09 CA01 CA06 CA27 CB04 CB09 DA01 DA06 DA27 DB04 DB09 EA01 4C056 AA01 AB01 AC02 AD01 AE03 BA11 BB01 BC01 4C069 AC07 BB02 BB34 4H050 AA01 AB92 AB99 WB14 WB15

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (Xは、SまたはSeを表し、Mは、金属元素を表す。
    環A及び環Bは、各々独立に、ベンゼン環以外の任意の
    芳香族環を表し、さらに芳香族環は任意の置換基により
    置換されていてもよい。R1 〜R8は、各々独立に、水
    素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基
    を有していてもよいアリール基、置換基を有していても
    よいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキ
    シ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ
    基またはシアノ基を表す。)で表されることを特徴とす
    る有機金属錯体。
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で表される有機金属錯
    体が下記一般式(2)または一般式(3)で表されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の有機金属錯体。 【化2】 (R1 〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を
    有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよ
    いアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル
    基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ
    基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシア
    ノ基を表わし、X1〜X28は、それぞれ独立に、水素原
    子、ハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ
    基、置換されていてもよいアルキル基、置換基を有して
    いてもよいアリール基または置換基を有していてもよい
    アラルキル基を表す。)で表されることを特徴とする有
    機金属錯体。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、XがSであるこ
    とを特徴とする請求項1〜2に記載の有機金属錯体。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、Mが、Ni、P
    d、Pt、Co、Fe、TiO、Sn、またはCuであ
    ることを特徴とする請求項1〜3に記載の有機金属錯
    体。
  5. 【請求項5】 一般式(1)において、Mが、Niであ
    ることを特徴とする請求項1〜4に記載の有機金属錯
    体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載の有機金属錯体であ
    ることを特徴とする赤外線吸収色素。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5に記載の有機金属錯体を含
    有することを特徴とする赤外線吸収フィルター。
  8. 【請求項8】 さらに紫外線カット層を有することを特
    徴とする請求項7に記載の赤外線吸収フィルター。
  9. 【請求項9】 請求項7〜8に記載の赤外線吸収フィル
    ターを用いることを特徴とするプラズマディスプレイパ
    ネル用フィルター。
  10. 【請求項10】 さらに電磁波カット層を有することを
    特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイパネ
    ル用フィルター。
  11. 【請求項11】 さらに反射防止層を有することを特徴
    とする請求項9〜10に記載のプラズマディスプレイパ
    ネル用フィルター。
  12. 【請求項12】 さらにぎらつき防止(ノングレア)層
    を有することを特徴とする請求項9〜11に記載のプラ
    ズマディスプレイパネル用フィルター。
  13. 【請求項13】 さらにUVカット層を有することを特
    徴とする請求項9〜12に記載のプラズマディスプレイ
    パネル用フィルター。
JP2000071475A 2000-03-15 2000-03-15 有機金属錯体、それを用いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター Expired - Lifetime JP3932761B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000071475A JP3932761B2 (ja) 2000-03-15 2000-03-15 有機金属錯体、それを用いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000071475A JP3932761B2 (ja) 2000-03-15 2000-03-15 有機金属錯体、それを用いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001261991A true JP2001261991A (ja) 2001-09-26
JP3932761B2 JP3932761B2 (ja) 2007-06-20

Family

ID=18590056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000071475A Expired - Lifetime JP3932761B2 (ja) 2000-03-15 2000-03-15 有機金属錯体、それを用いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3932761B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005232158A (ja) * 2004-01-06 2005-09-02 Mitsubishi Chemicals Corp ジチオレート系金属錯体の製造方法
JP2006104066A (ja) * 2004-09-30 2006-04-20 Mitsubishi Chemicals Corp ジチオレート系金属錯体の製造方法
JP2006104065A (ja) * 2004-09-30 2006-04-20 Mitsubishi Chemicals Corp ジチオレート系金属錯体の製造方法
US8221022B2 (en) 2006-03-07 2012-07-17 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Cell monitor locking mechanism for a fuel cell assembly
CN110405224A (zh) * 2019-08-13 2019-11-05 大连理工大学 一种以氨基苯硫酚为配体一步快速合成铜纳米簇的方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005232158A (ja) * 2004-01-06 2005-09-02 Mitsubishi Chemicals Corp ジチオレート系金属錯体の製造方法
JP2006104066A (ja) * 2004-09-30 2006-04-20 Mitsubishi Chemicals Corp ジチオレート系金属錯体の製造方法
JP2006104065A (ja) * 2004-09-30 2006-04-20 Mitsubishi Chemicals Corp ジチオレート系金属錯体の製造方法
JP4530791B2 (ja) * 2004-09-30 2010-08-25 株式会社エーピーアイ コーポレーション ジチオレート系金属錯体の製造方法
JP4530790B2 (ja) * 2004-09-30 2010-08-25 株式会社エーピーアイ コーポレーション ジチオレート系金属錯体の製造方法
US8221022B2 (en) 2006-03-07 2012-07-17 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Cell monitor locking mechanism for a fuel cell assembly
CN110405224A (zh) * 2019-08-13 2019-11-05 大连理工大学 一种以氨基苯硫酚为配体一步快速合成铜纳米簇的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3932761B2 (ja) 2007-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1787978B1 (en) Diimmonium compound and use thereof
JP2000159776A (ja) 金属錯体、これを含む近赤外線吸収剤及びプラズマディスプレイパネル用フィルター
EP1197528B1 (en) Organic metal complex, infrared-absorbing dye and infrared absorption filter containing the same, and filter for plasma display panel
EP1813615A1 (en) Optical filter and its applications, and porphyrin compound used in optical filter
US6746629B2 (en) Squarylium compounds, filters for plasma display panels employing them, and plasma display panel devices
JP5010123B2 (ja) フタロシアニン化合物およびこれを用いてなる近赤外吸収色素
JP2003139946A (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP4589742B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP3932761B2 (ja) 有機金属錯体、それを用いた赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター
JP2005099755A (ja) 光学フィルター
JP2016204536A (ja) フタロシアニン化合物、これを含有する近赤外線カットフィルタ
KR20110053981A (ko) 프탈로시아닌 화합물
JPWO2008050725A1 (ja) 近赤外線吸収色素組成物並びにそれを含有する近赤外線吸収フィルター及び粘着剤
JP4793977B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP3940786B2 (ja) 赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター
JP4632930B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP2004361733A (ja) 光学フィルター
JP2004133174A (ja) 光学フィルター
JP3682347B2 (ja) プラズマディスプレー用近赤外線吸収フィルター
JP4149050B2 (ja) 赤外線吸収フィルター
JP2001192350A (ja) スクアリリウム系化合物、これを用いたプラズマディスプレイパネル用フィルター及びプラズマディスプレイパネル表示装置
JP3885364B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP2002139619A (ja) 赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル用フィルター
JP2004323481A (ja) テトラアザポルフィリン系化合物、テトラアザポルフィリン系色素及びそれらを使用した光学フィルター
JP4811904B2 (ja) 化合物、近赤外線吸収色素、近赤外線吸収フィルター及び電子ディスプレイ用フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070312

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3932761

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110330

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120330

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130330

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140330

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term