JP4149050B2 - 赤外線吸収フィルター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は近赤外光域で吸収を示す赤外線吸収フィルターに関し、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能、耐光性に優れていることにより、赤外線を遮蔽するフィルター、具体的には、プラズマディスプレイパネル等、画像表示装置のフィルターなどに好適に使用することができる赤外線吸収フィルターである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、近赤外線吸収剤を含有した樹脂からなるプラスチック性近赤外線吸フィルターは、よく知られているものである。その用途としては、サングラス、溶接用眼鏡、ビルや飛行機の窓、あるいは情報読み取りのための光学読み取り装置等が挙げられる。
また、最近では、大型薄型の壁掛けテレビとして注目されているプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)が、近赤外線を発生して、コードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等、周辺にある電子機器に作用し誤動作を起こすことから、PDP用フィルターとしても近赤外線を吸収する赤外吸収フィルターの要求がある。
【0003】
この要求に対し、特公平2−4881号公報においては、ベンゼンジチオール系金属錯体を配合した熱可塑性樹脂からなる光学フィルターが提案されている。また、特公平6−38125号公報においては、アントラキノン化合物あるいは、中心に金属原子を配位するナフタロシアニン系化合物のうちの少なくとも一種を含有する近赤外線吸収フィルムあるいは板が提案されている。特開平4−174402号公報においては、アルミニウム化合物を含有する合成樹脂組成物を更に重合、硬化させた赤外線吸収フィルターが提案されている。さらに、近年、プラズマディスプレー用フィルターとして、特開平9−230134においてはジチオール系金属錯体を特開平10−78509において、フタロシアニン色素を含有するプラズマディスプレー用フィルターが提案されている。しかし、これらのフィルターにおいては、耐光性が劣ることや可視光線透過性能に問題があり、実用的に十分でない。
また、特開昭63−112592号公報には、アミノチオフェノレート系金属錯体色素として、下記一般式(II)で表される近赤外吸収色素が開示されており、その用途として赤外線吸収フィルター用色素の記載がある。
【0004】
【化2】
Figure 0004149050
【0005】
(式中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン、アミノ基、置換アミノ基を示し、Dはイオウ、セレン、イミノ基を、またEは水素原子またはアミノ基を示す。R′はアルキル基を示し、mは1または2を示す。)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記一般式(II)で表される近赤外吸収色素は、耐光性に劣るという問題があり、工業化製品として使用するには、より耐光性のすぐれた赤外吸収フィルターが求められている。
本発明の目的は、近赤外光域に大きな吸収を有し、化学的に安定で、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能および耐光性に優れる、PDP用フィルターに好適な、赤外線吸収フィルターを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鑑み、鋭意検討した結果、イオン性ではなく、中性の金属錯体を用いると、赤外線吸収フィルターの近赤外線吸収能、耐光性に優れることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(I)
【0008】
【化3】
Figure 0004149050
【0009】
(Xは、SまたはSe、Mは、金属元素、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表す。R1 〜R8 は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、R9 、R10は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表される金属錯体を含むことを特徴とする赤外線吸収フィルターである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Prはプロピル基を、Hexはヘキシル基を、Phはフェニル基を表し、i−はイソをn−は直鎖、t−はターシャリー、c−はシクロ(環状)を表す。
一般式(I)において、
【0011】
【化4】
Figure 0004149050
【0012】
Xは、SまたはSeを表し、好ましくはSが用いられる。
Mは、金属元素、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表し、好ましくはNi、Pd、Pt、Co、Fe、TiO、Sn、SnCl2 またはCu、さらに好ましくはNiが用いられる。
【0013】
1 〜R8 は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアン基を表し、さらに好ましくは、水素原子;メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基;アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの置換アミノ基;またはシアノ基が挙げられ、特に好ましくは、水素原子が用いられる。
具体的に、
【0014】
【化5】
Figure 0004149050
【0015】
【化6】
Figure 0004149050
【0016】
等が挙げられる。
9 、R10はそれぞれ、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいアラルキル基を表し、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子;メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、cーヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、トシル基、トリメチルフェニル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基が挙げられる。
前述のアルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ原子などが、また、前述のアリール基、アラルキル基、アルコキシ基に置換していてもよい基としてはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基などが挙げられる。
本発明に用いられる金属錯体は、例えば次のようにして製造するすることができる。すなわち下記一般式(III)
【0017】
【化7】
Figure 0004149050
【0018】
(式中、R1 〜R10およびXは、一般式(I)と同じである。)で表される化合物を溶媒に溶かし、金属カリウムまたは水酸化カリウムを添加してイオン化させた後、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、TiO、Sn、SnCl2 又は、Cuなどの金属元素、金属酸化物または金属ハロゲン化物の錯体などと反応させることにより、深い青色の色素として一般式(I)で表される化合物が合成できる。
反応させる錯体の具体例としては、具体例としては、NiCl2 、NiCl2 ・6H2 O、Ni(OCOCH3 2 、NiSO4 、PdCl2 、PdSO4 、PtCl4 、Na2 PtCl6 ・6H2 O、K2 PtCl6 ・6H2 O、CoCl2 、Co(OCOCH3 2 、Co(OCOCH3 2 ・4H2 O、CoSO4 、、FeCl3 、FeSO4 、Fe2 (SO4 3 、TiCl3 、TiCl4 、Ti(SO4 2 、Sn(OCOCH3 2 、Sn(OCOCH3 4 、Sn(OMe)4 、Sn(OEt)4 、SnCl2 、SnCl2 ・2H2 O、SnCl4 、SnSO4 、Ti(OMe)4 、Ti(OEt)4 、CuCl2 、Cu(OCOCH3 2 、CuSO4 、CuSO4 ・4H2 O等が挙げられる。
【0019】
上記の反応は、通常溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、スクアラン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、アセトニトリル、プロパンニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類が用いられる。これらの溶媒の中で、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒が好ましい。
【0020】
また、反応温度は、室温もしくは、0℃〜50℃で円滑に実施できる。
このようにして得られる本発明に用いる金属錯体は、近赤外領域に強い吸収を示し、通常ブルーの色調を示す。
本発明の赤外線吸収フィルターの製造方法としては、透明基板に金属錯体を含む塗工液をコーティングする方法、金属錯体を配合したフィルムなどを透明基板として用いる方法などが挙られる。
次に、透明基板に金属錯体を含む塗工液を塗布して赤外線吸収フィルターを製造する方法について説明する。
【0021】
本発明の赤外線吸収フィルターを構成する透明基板としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない基板であればよく、特に制限はない。その具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が挙げられる。これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂が好ましい。
【0022】
これらの樹脂は、フェノール系、燐系などの酸化防止剤、ハロゲン系、燐酸系等の難燃剤、耐熱老化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を配合することができる。
透明基板は、これらの樹脂を、射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方法などなどの成形方法を用い、フィルム状に成形したものが用いられる。フィルム状に成形された樹脂は延伸されていても未延伸でもよい。また、異なる材料からなるフィルムが積層されていても良い
透明基材の厚みは、目的に応じて通常10μm〜5mmの範囲から選択される。
【0023】
更に、透明基材は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施してもよい。
金属錯体を含む塗工液は、金属錯体をバインダー樹脂とともに溶剤中に溶解させることにより、調製することができる。このとき溶剤に溶解される金属錯体およびバインダー樹脂などの全固形分の濃度は、通常5〜50重量%である。また、全固形分に対する金属錯体の濃度は、通常1〜80重量%、好ましくは2〜70重量%である。
また、金属錯体を必要に応じて分散剤を用いて、粒径を通常0.1〜3μmに微粒子化し、バインダーとともに、溶剤に分散させて調整することもできる。このとき溶剤に分散される金属錯体化合物、分散剤、バインダー等の固形分の濃度は、5〜50重量%である。また、全固形分に対する金属錯体化合物の濃度は、通常1〜80重量%、好ましくは5〜70重量%である。
【0024】
分散剤としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。その使用量は、金属錯体化合物に対して、通常0〜100重量%、好ましくは0〜70重量%である。
バインダーとしては、ポリメチルメタクレート樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。その使用量は、金属錯体化合物に対して、10〜200重量%、好ましくは30〜100重量%である。
【0025】
溶媒としては、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、スクアラン等の芳香族炭化水素類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類、テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類あるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0026】
また、金属錯体を含む塗工液には、他の近赤外線吸収剤を添加してもよい。他の近赤外線吸収剤としては、有機物質であるニトロソ化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、トリアリルメタン系化合物、インモニウム系化合物、ジインモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、あるいは、無機物であるカーボンブラックや、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期律表4A、5Aまたは6A族に属する金属の酸化物、もしくは炭化物、またはホウ化物などが挙げられる。
【0027】
金属錯体を含む塗工液の透明基材へのコーティングは、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の公知の塗工方法で行われる。
金属錯体を含む層は、乾燥後の膜厚が、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように塗布される。
【0028】
本発明の赤外線吸収フィルターは、必要に応じて、電磁波カット層、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止する反射防止層、ぎらつき防止(ノングレア)層を設け、PDP用フィルターとして使用することができる。
電磁波カット層は、金属酸化物等の蒸着あるいはスパッタリング方法等が利用できる。通常は酸化インジウムスズ(ITO)が一般的であるが、誘導体層と金属層を基材上に交互にスパッタリング等で積層させることで1000nm以上の光をカットすることもできる。誘電体層としては酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的であり、通常、誘電体層より3層、5層、7層あるいは11層程度積層する。基材としては、本発明の赤外線吸収フィルターをそのまま利用しても良いし、樹脂フィルムあるいはガラス上に蒸着あるいはスパッタリングして電磁波カット層を設けた後に、本発明の赤外線吸収フィルターと貼り合わせても良い。
【0029】
反射防止層は、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。
【0030】
また、ノングレア層も設けることもできる。ノングレア層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリル等の微粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法などを用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化を用いることができる。また、ノングレア処理したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。更に必要であれば、ハードコート層を設けることもできる。
更に、この赤外線吸収フィルターは単独はもちろん透明のガラスや他の透明樹脂板等と貼り合わせた積層体として用いることができる。
本発明により得られる赤外線吸収フィルターは、PDP用フィルターはもちろん、ディスプレイ用フィルター、熱線遮断フィルム、サングラス、保護眼鏡、リモコン受光器など幅広い用途に使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0032】
実施例1
エタノール約80mlにKOH1.78g(0.018mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール2.00g(0.016mol)を室温で、攪拌しながら加え、リガンド溶液とした。
一方、エタノール20mlにニッケル(II)クロリド・6水和物1.92g(0.008mol)を溶解させ、上記リガンド溶液に攪拌しながら、滴下したところ溶液は、濃紺に変化した。
その後、濾過、H2 O、エタノールによる洗浄、アセトン不溶物除去、乾燥により、式(IV)で示されるビス(2−フェニルアミノベンゼンチオール)ニッケル錯体を単離した(収量1.721g;収率70.5%)。この錯体は、MEKメチルエチルケトン(以下「MEK」と略記する場合もある)中で、近赤外領域である815nmにε=35400の強い吸収を示した。
【0033】
【化8】
Figure 0004149050
【0034】
更に、耐光性を評価するため、得られたビス(2−フェニルアミノベンゼンチオール)ニッケル錯体の5重量%メチルエチルケトン溶液0.6gに、ポリメチルメタクリレート樹脂(商品名;ダイヤナールBR−80:三菱レイヨン株式会社製品)のメチルエチルケトン/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度20重量%)を3.0g添加し、超音波洗浄機にて、完全に溶解させた後、この塗工液を、バーコータ#24でOHPフィルムに塗工し、近赤外吸収フィルムを得た。塗布膜厚は、6μmであった。
このフィルムの近赤外吸収を、日立分光光度計U−3500で測定したところ、λmaxは、825nmであった。
更にこのフィルムに、キセノンロングライフフェードメーター(FAL−25AX−HCB−EC)(スガ試験機社製品)により、200時間照射し、825nmにおける照射前後の吸収強度を測定したところ、照射後の強度は、照射前の強度の64.4%であり、耐光性が高いことを確認した。
【0035】
実施例2
実施例1で得られた金属錯体色素の0.5重量%メチルエチルケトン溶液、0.8重量部に、ポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン株式会社製品ダイヤナールBR−80)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(20重量%溶液)1重量部、トルエン 0.2重量部を添加した塗工液を、50μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムに、厚み2μmになるようコーティングした。
【0036】
上記フィルムに、表面固有抵抗5Ω/□の銀・インジウム酸化錫(ITO)の多層蒸着フィルムを貼り合わせた。
更に、厚み4mmのポリカーボネート板と貼り合わせた後、両面にフッ素系樹脂からなる反射防止剤を100nmの厚みにコーティングして、プラズマディスプレイパネル用フィルターを得た。
得られたプラズマディスプレイパネル用フィルターは、800〜880nmの光線透過率が20%以下で、更に可視光線透過率が65%以上であった。特に400〜500nmの透過率が75%以上と高く、黄色味が少ないため、ディスプレイ前面に設置した場合に、画質を悪化させず、フィルターとして良好であった。
【0037】
比較例1
エタノール約20mlにKOH0.004molを溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール0.50g(0.004mol)のエタノール溶液10mlを攪拌しながら加え、リガンド溶液とした。
一方、エタノール10mlにニッケル(II)クロリド・6水和物0.48g(0.002mol)を溶解させ、上記リガンド溶液に攪拌しながら、滴下したところ溶液は、濃紺〜濃緑に変化した。
この状態で、約1時間攪拌した後、エタノール10mlにテトラブチルアンモニウムブロミド0.002molを溶解した溶液を加え、さらに1時間攪拌した。
生成した沈殿を濾別し、エタノールで洗浄し、乾燥すると収量0.61g(収率56%)で式(V)で示されるテトラブチルアンモニウムビス(アミノベンゼンチオール)ニッケレートが得られた。この錯体は、メタノール溶液中で、807nmにε=24000の吸収を示した。
【0038】
【化9】
Figure 0004149050
【0039】
得られた色素を実施例1と同様の方法でフィルム化したところ、λmaxは、824nmであった。
更にキセノンロングライフフェードメーター(FAL−25AX−HCB−EC)(スガ試験機社製品)により、200時間照射し、824nmにおける照射前後の吸収強度を測定したところ、照射後の強度は、照射前の強度の50.8%であった。
【0040】
比較例2
近赤外線吸収色素として知られているフタロシアニン色素(日本触媒社製 IR−3) の1重量%MEK/トルエン(=1/1)溶液 0.8重量部に、ポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン株式会社製品ダイヤナールBR−80)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(20重量%溶液) 1重量部、MEK 0.1重量部、トルエン 0.1重量部を添加した塗工液を、50μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムに、厚み2μmになるようコーティングした。
実施例2と同様に、上記フィルムに銀・ITO多層蒸着フィルムを貼り合わせ、更にポリカーボネート板と貼り合わせた後、両面に反射防止剤をコーティングし、プラズマディスプレイパネル用フィルターを得た。
得られたプラズマディスプレイパネル用フィルターは、800〜880nmの光線透過率が20%以下であったが、可視光線透過率は45%以上、400〜500nmの透過率は58%以下であり、ディスプレイ前面に設置した場合に、画面が暗くなり、フィルターとしては好ましくなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、近赤外領域に強い吸収を示すニッケル金属錯体を含む近赤外線吸収層を設けたことを特徴とする赤外線吸収フィルターで、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能および耐光性に優れる近赤外線吸収フィルターを提供する。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004149050
    (Xは、SまたはSe、Mは、金属元素、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表す。R1 〜R8 は、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、R9 、R10は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表される金属錯体を含むことを特徴とする赤外線吸収フィルター。
  2. Mが、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、TiO、Sn、SnCl2 またはCuである請求項1に記載の赤外線吸収フィルター。
  3. 請求項1または2に記載の赤外線吸収フィルターを用いた、プラズマディスプレイパネル用フィルター。
  4. 電磁波カット層を有する請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
  5. 反射防止層を有する請求項3または4に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
  6. ぎらつき防止(ノングレア)層を有する請求項3ないし5のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
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