JP4471275B2 - 近赤外線吸収組成物及び近赤外線吸収フィルター - Google Patents

近赤外線吸収組成物及び近赤外線吸収フィルター Download PDF

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本発明は、各種ディスプレイ装置から放出される近赤外線を効果的に遮蔽し、光や湿熱に対する耐久性を有するディスプレイ用光学フィルターに用いる近赤外線吸収組成物及び近赤外線吸収フィルターに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、ネオン等のガスを2枚のガラス板の間に封入し、放電させて用いる。このとき、放出される800〜1100nmの近赤外線はクーラー、ビデオデッキ等の家電製品用近赤外線リモコンの誤作動を引き起こす場合がある。
近赤外線吸収剤として、従来からシアニン系色素やフタロシアニン系色素、ジチオール金属錯体系色素やジイモニウム系色素が知られている。しかし、シアニン系は耐光堅牢性が低く、フタロシアニン系やジチオール金属錯体系は1000nm以上で遮蔽能が低下する傾向があり、特に、ジチオール金属錯体系はジイモニウム系との併用が必要である。これら近赤外線吸収剤の課題を解決すべく、特定の構造式で表されるジチオールニッケル錯体が開示されている(特許文献1、2)。
また、シアニン系色素やフタロシアニン系色素は光、湿度、温度等に対する耐久性に課題がある。これら課題を解決するため、置換ベンゼンジチオール金属錯体塩を用いた近赤外線吸収剤が開示されている(特許文献3、4)。
一方、近赤外線吸収剤をフィルター材料等に用いる場合は、溶媒を用いてバインダー樹脂と混合し、透明樹脂フィルム等に塗布するのが一般的である。例えば、特許文献1、2では近赤外線吸収剤をアクリル系やポリエステル系、ポリカーボネート等の樹脂と混合した樹脂組成物を透明フィルム上に塗布し、近赤外線吸収フィルターとしている。
特開2000−212546公報 特開2001−133624公報 特開2001−288380公報 特開2003−221523公報
しかしながら、置換ベンゼンジチオール金属錯体塩は可視光線領域に吸収を有するので、これを補正するために他の色素を添加する必要があり、得られるフィルターは可視光線透過率が低下する欠点があった。また、バインダー成分として従来のアクリル系やポリエステル系、ポリカーボネート等の樹脂を単独で用いた近赤外線吸収フィルターでは、耐光性や湿熱(湿度と熱)に対する耐性は満足の行くものでなかった。
したがって、本発明の目的は、各種ディスプレイ装置から放出される近赤外線を効果的に遮蔽でき、光や湿熱に対する耐久性に優れたディスプレイ用光学フィルターに好適な近赤外線吸収組成物及びそれを用いた近赤外線吸収フィルターを提供することである。
本発明は、吸水率0.1%以下の汎用ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン系樹脂及び脂環式ポリオレフィン樹脂よりなる群(A)から選択される一種以上の樹脂と、群(A)に属さない樹脂を含有し、全樹脂中の群(A)の樹脂の含有量が0.5〜40重量%の範囲であり、かつ、近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を含有してなることを特徴とする近赤外線吸収組成物である。
また、本発明は、前記、近赤外線吸収組成物を透明樹脂基材表面に塗工してなることを特徴とする近赤外線吸収フィルターである。
本発明の近赤外線吸収組成物を用いれば、耐光性や耐湿熱性及び密着性に優れた近赤外線吸収フィルターを提供できる。
本発明者は、鋭意研究の結果、近赤外線吸収組成物に用いる樹脂中に、吸水率が0.1%以下の樹脂(吸水率の測定条件はJIS−K7209に準拠)を0.5〜40重量%の範囲で含有させた場合、過酷な湿熱状況下でも近赤外線吸収能が低下せず、密着性も低下しないという知見を得て、本発明に到達したものである。
吸水率が0.1%以下の樹脂としては、汎用ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂としては、例えばTPX(商品名、三井化学社製/ポリ−4−メチルペンテン−1)が挙げられ、脂環式ポリオレフィン樹脂としては、例えばシクロオレフィン系のゼオネックス(ZEONEX)(商品名、日本ゼオン社製)やAPO(商品名、三井化学社製)等が挙げられる。これらのうち、汎用のポリスチレン樹脂が容易に入手できるので好適に用いられる。吸水率0.1%以下の樹脂の目安として溶解度パラメータで考えることもできる。例えば、上記樹脂は下記式で一般的に示される溶解度パラメータを算出すると、値は9.5以下となる。
δ=ρΣG/M
(δ:溶解度パラメータ、G:原子及び原子団の凝集エネルギー、M:分子量)
この吸水率が0.1%以下の樹脂は、バインダー成分としての混合樹脂中に0.5〜40重量%含有させる。0.5重量%より少ないと、近赤外線吸収フィルターとしては湿熱に対する耐久性が低下し、40重量%より多いと近赤外線吸収組成物の透明基材への密着性が低下する。
上記吸水率が0.1%以下の樹脂と混合する樹脂成分としては、従来から用いられている樹脂、例えば、ポリアクリル系やポリエステル系、ポリカーボネート系等の樹脂が挙げられる。これらのうち、ポリアクリル系の樹脂は光学的性質や加工性が良好であり、好ましく用いられる。これらバインダー成分としての混合樹脂は、上記吸水率が0.1%以下の樹脂とこれと混合する樹脂双方を加熱する溶融混合や溶剤による溶解混合で行うことができるが、作業性等から溶剤による混合が好ましい。
本発明における近赤外線吸収剤としては、有機系のものと無機系のものを適宜選択して用いることができる。有機系近赤外線吸収剤としては、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯体系色素、置換ベンゼンジチオール金属錯体系色素、シアニン系色素、スクアリウム系色素などが挙げられる。
具体的には、ジイモニウム系色素としては、例えば、日本カーリット社製のCIR−1080、CIR−1081、CIR−1083、エポリン社製のEpolight1117、日本火薬社製のIRG−022、IRG−023、IRG−040等が挙げられる。
フタロシアニン系色素として具体的には、下式(1)で示されるものが挙げられ、、例えば、Avecia社製PROJETの800NP、830NP、900NP、925NP、及び日本触媒社製イーエクスカラーのIR−10A、IR−12、IR−14、906B、910B等が挙げられる。
Figure 0004471275
ただし、式中、X〜X16は、独立して水素原子、ハロゲン原子、−SRまたは−OR、−NHRを表し、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基または炭素原子数1〜20個のアルキル基を表し、Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表す。
フタロシアニン錯体の中心のMは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。無金属とは、金属以外の原子、例えば、2個の水素原子であることを意味する。金属としては、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、スズ等が挙げられる。金属酸化物としては、チタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、塩化ケイ素等が挙げられる。好ましくは、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物であり、具体的には、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニル、塩化インジウム、塩化スズ(II)である。
置換基を有するフェニル基としては、炭素原子数1〜4個のアルキル基で1〜3個置換されたフェニル基、炭素原子数1〜4個のアルコキシ基で1〜2個置換されたフェニル基、あるいは塩素、フッ素等のハロゲン原子で1〜5個置換されたフェニル基等が挙げられる。
ジチオール金属錯体系色素として具体的には、下式(2)で示されるものが挙げられ、例えば、エポリン社製Epolight3063、Epolight4019、Epolight4121、Epolight4129、及び、みどり化学社製のMIR−101、MIR−111、MIR−121、MIR−102、MIR−105等が挙げられる。
Figure 0004471275
ただし、式中、R〜Rは独立して置換基を有していてもよいフェニル基または炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Mは金属を表す。
ジチオール金属錯体系色素の中心のMは、ニッケル、白金、パラジウム、銅、モリブデン等の金属を表す。
置換基を有するフェニル基としては、炭素原子数1〜4個のアルキル基で1〜3個置換されたフェニル基、炭素原子数1〜4個のアルコキシ基で1〜2個置換されたフェニル基、あるいは塩素、フッ素等のハロゲン原子で1〜5個置換されたフェニル基等が挙げられる。
ジチオール金属錯体系色素のSはSeでも良く、ジセレノレン錯体を用いることもできる。
(式2)に示すジチオール金属錯体系色素は、一般的に、耐熱性に優れ、中心金属や置換基の種類により極大吸収波長を800nm〜1100nmに有するものである。
本発明では、さらに下記化学式(式3)で示されるジチオール金属錯体系色素を用いることが出来る。この化合物はアルコール溶媒中でジチオロン化合物と塩基を反応させてイオン化し、塩化ニッケル、塩化パラジウムなどの金属イオン水溶液を添加して反応させたものであり、850nm〜1300nmに極大吸収を有する。この化合物は、長波長側に吸収特性が求められる電子機器、例えばプラズマディスプレーパネルに用いるリモコンの誤作動防止用には効果的である。本発明では、この化合物を単独で用いることもできるが、(式2)に示すジチオール金属錯体系色素に配合して用いることもできる。
Figure 0004471275
中心金属Mは、ニッケル、白金、パラジウム、銅、モリブデン等の遷移金属であり、nは整数である。具体的には、例えばn=1では下式(式4)となり、n=2では下式(式5)に示す化合物である。
Figure 0004471275
Figure 0004471275
一方、無機系近赤外線吸収剤としては、透明性を損なわずに近赤外線吸収効果を発揮させるために、平均粒子径が可視光波長よりも小さい300nm以下のATO(アンチモンドープ酸化錫)またはITO(錫ドープ酸化インジウム)が好ましく、高い透明性を得るために100nm以下の粒径がより好ましい。本発明の目的である、耐光性や耐湿熱性等の耐久性の向上、及び良好な可視光線透過性の発現には、前記ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯体系色素、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITO(錫ドープ酸化インジウム)から選択される二種以上を混合して用いることが好ましい。特に、これら有機系近赤外線吸収剤と無機系近赤外線吸収剤の各々から目的に応じて一種を適宜選択して用いることが好ましい。
これら近赤外線吸収剤の含有量は、透明基材上に形成されるコート層の厚みによるが、近赤外線吸収組成物中の混合樹脂に対して好ましくは0.1〜50重量%の範囲で用い、より好ましくは0.5〜30重量%で用いる。近赤外吸収剤が0.1重量%より少ないと十分な近赤外線吸収効果が得られなくなる傾向があり、50重量%より多いと近赤外線吸収効果は良好であるが、可視光線透過率が低下する傾向がある。
近赤外線吸収フィルターとしては、可視光線域(400〜700nm)での平均透過率が高く、かつ近赤外線域(800〜1100nm)での平均透過率が15%以下であることが一般的目安となる。これに加えて本発明の場合は、光に対する耐久性向上のため紫外線域(200〜380nm)での平均透過率を5%以下とすべく紫外線吸収剤を用いたことにも特徴がある。
本発明における紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等が挙げられる。具体的には、サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンが挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。これら紫外線吸収剤の含有量は、透明基材上に形成されるコート層の厚みによるが、近赤外線吸収組成物中の混合樹脂に対して好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用い、より好ましくは0.3〜20重量%の範囲で用いる。
本発明の近赤外線吸収組成物の調製には、溶剤で樹脂と各吸収剤を混合することが好ましいが、この場合には有機溶媒を用いる。具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒などが挙げられ、これらを単独、あるいは2種以上を適量混合して用いることができる。この際、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、レベリング剤などの各種添加剤を加えることもできる。
本発明の近赤外線吸収組成物を近赤外線吸収フィルターとして用いる場合は、透明基材上に塗布し硬化させればよい。透明基材としては、一般的な樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の透明樹脂が挙げられる。透明基材上への塗布方法としては、ディッピングコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、ローラーコーティング、グラビアコーター等の従来方法を用いればよい。
以下本発明の実施例を説明する。この実施例は本発明の理解のために提供されるものであって、本発明の範囲が限定されるものではない。
(近赤外線吸収フィルターの評価)
1.耐光性及び耐湿熱性試験
分光光度計(型式UV−3150、島津製作所社製)を用いて、調製した近赤外線吸収フィルターの透過スペクトルを測定する。800〜1100nmでの平均透過率の値をTNIR、400〜700nmでの平均透過率をTVISとして読み取り、各試験に供する。
1−1.耐光性試験
水銀ランプ(日本文化精工製)を用いて、上記近赤外線吸収フィルターに紫外線を2.8mW/cmで12時間照射し再度TNIR、TVISを測定した。TNIR、TVISについて下式での変化率が3%以下であれば○、3%を越え5%以下であれば△、5%を越えれば×とした。
|耐光性試験後の値−耐光性試験前の値|÷耐光性試験前の値×100
1−2.耐湿熱性試験
上記近赤外線吸収フィルターについて温度80℃、相対湿度95%で100時間の暴露試験を行い再度TNIR、TVISを測定した。TNIR、TVISについて下式での変化率が3%以下であれば○、3%を越え5%以下であれば△、5%を越えれば×とした。
|耐湿熱性試験後の値−耐湿熱性試験前の値|÷耐湿熱性試験前の値×100
2.密着性試験
上記近赤外線吸収フィルターにカッターナイフで1mm×1mmのます目を100個付け、粘着テープを貼り付けた後、すばやく剥がした時の塗膜の剥がれ具合を観察し、塗膜が全く剥がれなかった状態を○、一部剥がれた状態を×とした。
[実施例1]
メチルエチルケトン(MEK)60重量部に、アクリル樹脂(品名アクリペット、三菱レイヨン社製)9.9重量部、ポリスチレン樹脂(品名トーヨスチロール、東洋スチレン社製)0.1重量部、近赤外線吸収剤として、ジチオール金属錯体色素(Epolight3063、エポリン社製)0.1重量部及びジイモニウム色素(品名CIR−1080、日本カーリット社製)0.3重量部、ATO分散液(固形分濃度30重量%にMEKで希釈したもの)30重量部、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン1重量部を混合し、近赤外線吸収組成物を作製した。これをポリエステルフィルム上に塗工後、100℃で10分間乾燥して近赤外線吸収フィルターを得た。色素を含有した樹脂層厚は8μmであった。
[実施例2〜13、比較例1〜3]
表1に示す成分で実施例1と同様に近赤外線吸収組成物を作製した。これをポリエステルフィルム上に塗工後、100℃で10分間乾燥して近赤外線吸収フィルターを得た。色素を含有した樹脂層厚は8μmであった。
[実施例14]
メチルエチルケトン(MEK)60重量部、トルエン30重量部にアクリル樹脂(品名アクリペット、三菱レイヨン社製)8.0重量部、ポリスチレン樹脂(品名トーヨースチロール、東洋スチレン社製)2.0重量部、近赤外線吸収剤として中心金属がパラジウムである(式4)のジチオール金属錯体色素0.1重量部、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン0.5重量部を混合し、近赤外線吸収組成物を作製した。これをポリエステルフィルム上に塗工後、100℃で10分間乾燥して近赤外線吸収フィルターを得た。色素を含有した樹脂層厚は約7μmであった。この評価結果を表3に、本実施例で得られたフィルターの近赤外線吸収スペクトルを図1に示す。本実施例のフィルターでは1300nm付近に極大吸収波長を有するので、この化合物を他の近赤外線吸収剤と組み合わせれば幅広い波長域で吸収が得られることが分かる。
[比較例4]
メチルエチルケトン(MEK)60重量部、トルエン30重量部にアクリル樹脂(品名アクリペット、三菱レイヨン社製)8.0重量部、ポリスチレン樹脂(品名トーヨースチロール、東洋スチレン社製)2.0重量部、近赤外線吸収剤としてジチオール金属錯体(MIR−102、みどり化学社製)0.05重量部、近赤外線吸収組成物を作製した。これをポリエステルフィルム上に塗工後、100℃で10分間乾燥して近赤外線吸収フィルターを得た。色素を含有した樹脂層厚は約7μmであった。本比較例で得られたフィルターの近赤外線吸収スペクトルを図1に示す。本比較例のフィルターでは900nm付近に極大吸収波長を有する事になり、近赤外線吸収効果が十分と言えないことが分かる。
[実施例15]
メチルエチルケトン60重量部、トルエン30重量部にアクリル樹脂(品名アクリペット、三菱レイヨン社製)8.0重量部、ポリスチレン樹脂(品名トーヨースチロール、東洋スチレン社製)2.0重量部、近赤外線吸収剤として(式5)のジチオール金属錯体0.1重量部およびジイモニウム色素(品名CIR−1080、日本カーリット社製)0.20重量部、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン0.5重量部を混合し、近赤外線吸収組成物を作製した。これをポリエステルフィルム上に塗工後、100℃で10分間乾燥して近赤外線吸収フィルターを得た。色素を含有した樹脂層厚は約7μmであった。この評価結果を表3に示す。また、900〜1300nmにかけて幅広い近赤外線吸収スペクトルが得られた。
[実施例16]
メチルエチルケトン60重量部、トルエン30重量部にアクリル樹脂(品名アクリペット、三菱レイヨン社製)8.0重量部、ポリスチレン樹脂(品名トーヨースチロール、東洋スチレン社製)2.0重量部、近赤外線吸収剤としてジチオール金属錯体(MIR−102、みどり化学社製)0.05重量部と(式5)のジチオール金属錯体0.05重量部およびジイモニウム色素(品名CIR−1080、日本カーリット社製)0.23重量部の3種類、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン0.5重量部を混合し、近赤外線吸収組成物を作製した。これをポリエステルフィルム上に塗工後、100℃で10分間乾燥して近赤外線吸収フィルターを得た。色素を含有した樹脂層厚は約7μmであった。
この評価結果を表3に示す。また、900〜1300nmにかけて幅広い近赤外線吸収スペクトルが得られた。
耐光性試験に関しては、実施例1〜16、比較例2は、TNIR、TVISの変化率が共に3%以下であったのに対して、比較例3は、TNIR、TVIS共に5%を越えており、耐光性に乏しいものであった。また、比較例1もTNIR、TVIS共に3%を越えており、耐光性が十分とはいえなかった。耐湿熱性試験に関しては、実施例1〜16、比較例2〜3は、TNIR、TVISの変化率が共に3%以下であったのに対して、比較例1はTNIR、TVIS共に5%を越えており、耐湿熱性に乏しいものであった。また、比較例2ではポリエステルフィルム上の近赤外線吸収組成物の密着性が乏しくディスプレイ用光学フィルターとして不適であった。
Figure 0004471275
Figure 0004471275
Figure 0004471275
実施例14、比較例4のフィルターの近赤外線吸収スペクトルを示す図である。

Claims (6)

  1. 吸水率0.1%以下の汎用ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン系樹脂及び脂環式ポリオレフィン樹脂よりなる群(A)から選択される一種以上の樹脂と、群(A)に属さない樹脂を含有し、全樹脂中の群(A)の樹脂の含有量が0.5〜40重量%の範囲であり、かつ、近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を含有してなることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  2. 近赤外線吸収剤がジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯体系色素、ATO(アンチモンドープ酸化錫)及びITO(錫ドープ酸化インジウム)よりなる群から選択される二種以上からなることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収組成物。
  3. 近赤外線吸収剤が少なくとも、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素及びジチオール金属錯体系色素よりなる群から選択される一種と、ATO(アンチモンドープ酸化錫)またはITO(錫ドープ酸化インジウム)とからなることを特徴とする請求項1または2記載の近赤外線吸収組成物。
  4. 近赤外線吸収剤としてのジチオール金属錯体系色素に、下記構造式の化合物が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
    Figure 0004471275
    (中心金属Mは、ニッケル、白金、パラジウム、銅、モリブデン等の遷移金属であり、nは整数である。)
  5. 近赤外線吸収剤としてのジチオール金属錯体系色素の中心金属Mがパラジウムであることを特徴とする請求項請求項1〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を透明樹脂基材に塗工してなることを特徴とする近赤外線吸収フィルター。

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