JP2007079453A - ディスプレイ用フィルタ及びディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】 長時間の使用、特に高温高湿下でも色素劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、分光特性の安定性に優れるディスプレイ用フィルタ、及びこのディスプレイ用フィルタが適用されたディスプレイを提供する。
【解決手段】 少なくとも支持基材と、バインダ樹脂中に色素を含有する色素層とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記色素として特定の構造を有するジインモニウム化合物を含み、前記バインダ樹脂のガラス転移温度が65℃以上85℃未満であり、且つ前記色素層中の残留溶剤量が1〜250mg/m2の範囲であるディスプレイフィルタである。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも支持基材と、バインダ樹脂中に色素を含有する色素層とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記色素として特定の構造を有するジインモニウム化合物を含み、前記バインダ樹脂のガラス転移温度が65℃以上85℃未満であり、且つ前記色素層中の残留溶剤量が1〜250mg/m2の範囲であるディスプレイフィルタである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ディスプレイ用フィルタ及びこれを用いたディスプレイに関するものである。
更に詳細には、本発明は、長時間の使用下でも分光特性の安定性に優れるディスプレイ用フィルタ及びディスプレイに関するものである。
更に詳細には、本発明は、長時間の使用下でも分光特性の安定性に優れるディスプレイ用フィルタ及びディスプレイに関するものである。
近年、種々の電子機器の表示パネルとして、CRT(ブラウン管)、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、有機・無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等の電子ディスプレイが使用されている。
このような電子ディスプレイの前面には、不要な発光成分を除去して、表示色を鮮明にするために、フィルタが設置されている。例えば、プラズマディスプレイでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起され真空紫外線を放射し、その真空紫外線励起による赤、青、緑のそれぞれの蛍光体の発光を利用して3原色発光を得ている。その際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻る際に590nm付近を中心とするネオンオレンジ光を発光するため、プラズマディスプレイでは、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点がある。また一方で、キセノン原子が励起された後、基底状態に戻る際には紫外線以外に800〜1100nm付近の近赤外線が発生し、発生した近赤外線は周辺機器の誤作動を引き起こす。この為、プラズマディスプレイではネオンオレンジ光や近赤外線を吸収除去する機能を有するフィルタ、例えば、ネオンオレンジ光および近赤外線の波長の透過率を局所的に低下させているフィルタを、ディスプレイの前面に設置している。更に上記フィルタには可視光波長領域の透過率の調節により、画像の色バランスを補正したり色純度を改善する機能を付与することもある。
このような電子ディスプレイの前面には、不要な発光成分を除去して、表示色を鮮明にするために、フィルタが設置されている。例えば、プラズマディスプレイでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起され真空紫外線を放射し、その真空紫外線励起による赤、青、緑のそれぞれの蛍光体の発光を利用して3原色発光を得ている。その際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻る際に590nm付近を中心とするネオンオレンジ光を発光するため、プラズマディスプレイでは、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点がある。また一方で、キセノン原子が励起された後、基底状態に戻る際には紫外線以外に800〜1100nm付近の近赤外線が発生し、発生した近赤外線は周辺機器の誤作動を引き起こす。この為、プラズマディスプレイではネオンオレンジ光や近赤外線を吸収除去する機能を有するフィルタ、例えば、ネオンオレンジ光および近赤外線の波長の透過率を局所的に低下させているフィルタを、ディスプレイの前面に設置している。更に上記フィルタには可視光波長領域の透過率の調節により、画像の色バランスを補正したり色純度を改善する機能を付与することもある。
これらのディスプレイ用フィルタにおいては、上記のような機能を発現する成分として一般的に機能性色素が用いられている。しかしながら、色素を用いたディスプレイ用フィルタには、長時間の使用、特に高温高湿下での使用により色素劣化に起因する分光特性変化が起こるという問題があった。
この問題を解決する為に、種々の検討がなされている。例えば特許文献1にはガラス転移温度110℃以上のアクリル樹脂をバインダ樹脂に用いる方法が記載されている。一方、特許文献2には、近赤外線吸収層の残留溶剤量を0.05〜5重量%、かつ近赤外線吸収層のバインダ樹脂のガラス転移温度を85〜140℃の範囲とする記載がある。
この問題を解決する為に、種々の検討がなされている。例えば特許文献1にはガラス転移温度110℃以上のアクリル樹脂をバインダ樹脂に用いる方法が記載されている。一方、特許文献2には、近赤外線吸収層の残留溶剤量を0.05〜5重量%、かつ近赤外線吸収層のバインダ樹脂のガラス転移温度を85〜140℃の範囲とする記載がある。
しかしながら、上記特許文献1には、色素層中の残留溶剤量に関する記載が無く、よって残留溶剤量が多い場合は色素層状態におけるバインダ樹脂のガラス転移温度が、バインダ樹脂そのもののガラス転移温度よりも低下し、結果としてディスプレイ用フィルタが用いられる機器の使用温度以下となり、色素劣化を引き起こすこととなる。
また、特許文献2の近赤外線吸収フィルタの場合、ガラス転移温度85〜140℃の樹脂を用いて残留溶剤量を0.05〜5重量%とするためには、高温かつ長時間の乾燥を行う必要があり、乾燥の熱による色素劣化が引き起こされる場合がある。
本発明の目的は、長時間の使用、特に高温高湿下でも色素劣化に起因する分光特性変化が起こらないディスプレイ用フィルタを提供することにある。さらに本発明は、上記の課題が解消された上で、ディスプレイ用フィルタが適用されたディスプレイを提供することも課題とする。
また、特許文献2の近赤外線吸収フィルタの場合、ガラス転移温度85〜140℃の樹脂を用いて残留溶剤量を0.05〜5重量%とするためには、高温かつ長時間の乾燥を行う必要があり、乾燥の熱による色素劣化が引き起こされる場合がある。
本発明の目的は、長時間の使用、特に高温高湿下でも色素劣化に起因する分光特性変化が起こらないディスプレイ用フィルタを提供することにある。さらに本発明は、上記の課題が解消された上で、ディスプレイ用フィルタが適用されたディスプレイを提供することも課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、近赤外線吸収機能を少なくとも有する色素層の残留溶剤量、及びバインダ樹脂のガラス転移温度を特定の範囲とすることにより、長時間の使用、特に高温高湿下でも当該色素層に含まれる色素の劣化が起こらないディスプレイ用フィルタ及びこれを用いたディスプレイを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のディスプレイ用フィルタは、少なくとも支持基材と、バインダ樹脂及び色素を含有する色素層とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記色素として少なくとも下記式(1)で表されるジインモニウム化合物を含み、前記バインダ樹脂のガラス転移温度が65℃以上85℃未満であり、且つ前記色素層中の残留溶剤量が1〜250mg/m2の範囲であることを特徴とする。
前記式(1)で表されるジインモニウム化合物は、近赤外域の吸収が大きく、吸収域が広く、可視域の透過率も高い。しかしながら、高温高湿下では変性しやすく、近赤外域の吸収が小さくなるという問題がある。
これに対し、色素として上記ジインモニウム化合物を含み、ガラス転移温度が上記範囲のバインダ樹脂を含み、且つ色素層中の残留溶剤量が上記範囲の場合、少なくとも近赤外線遮蔽機能を有し、高温高湿下でも色素劣化が起こらず、分光特性の安定性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
また、本発明のディスプレイ用フィルタにおいては、前記色素層中の残留溶剤量を1〜100mg/m2の範囲とすることが好ましい。この場合には更に耐熱性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
これに対し、色素として上記ジインモニウム化合物を含み、ガラス転移温度が上記範囲のバインダ樹脂を含み、且つ色素層中の残留溶剤量が上記範囲の場合、少なくとも近赤外線遮蔽機能を有し、高温高湿下でも色素劣化が起こらず、分光特性の安定性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
また、本発明のディスプレイ用フィルタにおいては、前記色素層中の残留溶剤量を1〜100mg/m2の範囲とすることが好ましい。この場合には更に耐熱性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、前記式(1)中のR1〜R8の少なくとも1つが分岐鎖状アルキル基であることが好ましい。
R1〜R8を分岐鎖状アルキル基とすることにより、当該色素の熱分解点が上昇し、耐熱性が向上するためディスプレイ用フィルタの安定性も向上する点から好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタは、前記式(1)で表されるジインモニウム化合物における陰イオンX−が、スルホニルイミド酸イオンであることが好ましい。この場合には、色素の耐久性がより向上し、耐熱性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
R1〜R8を分岐鎖状アルキル基とすることにより、当該色素の熱分解点が上昇し、耐熱性が向上するためディスプレイ用フィルタの安定性も向上する点から好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタは、前記式(1)で表されるジインモニウム化合物における陰イオンX−が、スルホニルイミド酸イオンであることが好ましい。この場合には、色素の耐久性がより向上し、耐熱性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、少なくとも570〜610nmに光線透過率の吸収極大を有する機能を備えることができる。このような場合には、少なくともディスプレイからのオレンジ色発光が抑制可能で、鮮やかな赤色を得ることができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに光線透過率の吸収極大を有する機能を備えることができる。このような場合には可視光の波長領域における透過率を調節することによって、画像の色バランスを補正したり、色純度を改善する機能を付与することができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、前記バインダ樹脂中に、紫外線吸収剤を含有することができる。この場合には、ディスプレイを構成する各種の樹脂材料その他の構成材料(例えば、バインダ樹脂や色素等)の耐久性を更に向上させることが可能になる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに光線透過率の吸収極大を有する機能を備えることができる。このような場合には可視光の波長領域における透過率を調節することによって、画像の色バランスを補正したり、色純度を改善する機能を付与することができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、前記バインダ樹脂中に、紫外線吸収剤を含有することができる。この場合には、ディスプレイを構成する各種の樹脂材料その他の構成材料(例えば、バインダ樹脂や色素等)の耐久性を更に向上させることが可能になる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種若しくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上の層を有することが好ましい。
また、本発明のディスプレイは、上記ディスプレイ用フィルタがディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。
また、本発明のディスプレイは、上記ディスプレイ用フィルタがディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、長時間の使用、特に高温高湿下でも色素劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、分光特性の安定性に優れるディスプレイ用フィルタを提供することができる。また、本発明は、そのようなディスプレイ用フィルタが適用されたディスプレイを提供することができる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、少なくとも支持基材と、バインダ樹脂及び色素を含有する色素層とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記色素として少なくとも下記式(1)で表されるジインモニウム化合物を含み、前記バインダ樹脂のガラス転移温度が65℃以上85℃未満であり、且つ前記色素層中の残留溶剤量が1〜250mg/m2の範囲であることを特徴とする。
前記式(1)で表されるジインモニウム化合物は、近赤外域の吸収が大きく、吸収域が広く、可視域の透過率も高い。しかしながら、高温高湿下では変性しやすく、近赤外域の吸収が小さくなるという問題がある。
これに対し、色素として上記ジインモニウム化合物を含み、ガラス転移温度が上記範囲のバインダ樹脂を含み、且つ色素層中の残留溶剤量が上記範囲の場合、少なくとも近赤外線遮蔽機能を有し、高温高湿下でも色素劣化が起こらず、分光特性の変化が起こり難く、分光特性の安定性に優れるディスプレイ用フィルタを得ることができる。
これに対し、色素として上記ジインモニウム化合物を含み、ガラス転移温度が上記範囲のバインダ樹脂を含み、且つ色素層中の残留溶剤量が上記範囲の場合、少なくとも近赤外線遮蔽機能を有し、高温高湿下でも色素劣化が起こらず、分光特性の変化が起こり難く、分光特性の安定性に優れるディスプレイ用フィルタを得ることができる。
(ディスプレイフィルタの層構成)
図1〜図4は、本発明によるディスプレイ用フィルタの積層構造を例示する断面図である。
本発明によるディスプレイ用フィルタは、最も基本的には、図1に符号1で示されるように、支持基材2と色素層3とが隣接して積層された構造を有する積層体4である。この支持基材2は、積層の際に行われ得る密着性向上のための表面処理が施されたものであっても良い。また、支持基材2と色素層3の間に接着剤層を有していても良い。
図1〜図4は、本発明によるディスプレイ用フィルタの積層構造を例示する断面図である。
本発明によるディスプレイ用フィルタは、最も基本的には、図1に符号1で示されるように、支持基材2と色素層3とが隣接して積層された構造を有する積層体4である。この支持基材2は、積層の際に行われ得る密着性向上のための表面処理が施されたものであっても良い。また、支持基材2と色素層3の間に接着剤層を有していても良い。
本発明においては、例えば図2に示されるように、支持基材2と色素層3とからなる積層体4の上に必要に応じて光学フィルタの分野で知られた機能層5を更に設けて、ディスプレイ用フィルタ11とすることができる。機能層5としては、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種若しくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上の層であることが好ましい。
図2においては、機能層5が色素層3の上に積層されているが、積層構造はこれらに限定されず、例えば、図3に示されるように、支持基材2の片面に色素層3が積層され、支持基材2の色素層3が積層された面の裏面に機能層5が積層されたような構造であってもよい。また、図4に示されるように、図3における色素層3に、更に別の機能層5’が積層されたような構造であってもよい。なお、本発明のディスプレイ用フィルタの積層構造は、上記例示に限られない。
図2においては、機能層5が色素層3の上に積層されているが、積層構造はこれらに限定されず、例えば、図3に示されるように、支持基材2の片面に色素層3が積層され、支持基材2の色素層3が積層された面の裏面に機能層5が積層されたような構造であってもよい。また、図4に示されるように、図3における色素層3に、更に別の機能層5’が積層されたような構造であってもよい。なお、本発明のディスプレイ用フィルタの積層構造は、上記例示に限られない。
以下、上記ディスプレイ用フィルタの各層についてそれぞれ説明する。
[色素層]
上記色素層は、少なくともバインダ樹脂及び色素を含有し、必要に応じて添加剤を含有することができる。また、該色素層は、後述する色素層を形成する方法において、乾燥しきれずに残留した溶剤を含む。
[色素層]
上記色素層は、少なくともバインダ樹脂及び色素を含有し、必要に応じて添加剤を含有することができる。また、該色素層は、後述する色素層を形成する方法において、乾燥しきれずに残留した溶剤を含む。
〔色素〕
上記色素層は、少なくとも近赤外線吸収色素として機能する上記式(1)で表されるジインモニウム化合物を含有し、その他必要に応じて、例えば、少なくとも570〜610nmに吸収極大を有するネオン光を吸収することを目的とする色素(以下、「ネオン光吸収色素」と呼ぶ。)、又は少なくとも380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収極大を有する色調調整を目的とする色素(以下、「色調調整色素」と呼ぶ。)、更に、少なくとも800〜1100nmに吸収極大を有する近赤外線吸収色素等を含有することができる。これらの色素は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記色素層は、少なくとも近赤外線吸収色素として機能する上記式(1)で表されるジインモニウム化合物を含有し、その他必要に応じて、例えば、少なくとも570〜610nmに吸収極大を有するネオン光を吸収することを目的とする色素(以下、「ネオン光吸収色素」と呼ぶ。)、又は少なくとも380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収極大を有する色調調整を目的とする色素(以下、「色調調整色素」と呼ぶ。)、更に、少なくとも800〜1100nmに吸収極大を有する近赤外線吸収色素等を含有することができる。これらの色素は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(近赤外線吸収色素)
前記式(1)で表されるジインモニウム化合物は、近赤外域の吸収が大きく、吸収域が広く、可視域の透過率も高いことを特長とする。
色素層中に含まれる必須の色素である前記式(1)中のR1〜R8の具体例として、置換基を有していても良いアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。これらの中でもiso−プロピル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基などの分岐鎖状アルキル基であることが、色素の熱分解点を上昇させ、耐久性を向上させる点から好ましい。R1〜R8の少なくとも一つが分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、R1〜R8の全てが分岐鎖状アルキル基であることがより好ましい。
前記式(1)で表されるジインモニウム化合物は、近赤外域の吸収が大きく、吸収域が広く、可視域の透過率も高いことを特長とする。
色素層中に含まれる必須の色素である前記式(1)中のR1〜R8の具体例として、置換基を有していても良いアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。これらの中でもiso−プロピル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基などの分岐鎖状アルキル基であることが、色素の熱分解点を上昇させ、耐久性を向上させる点から好ましい。R1〜R8の少なくとも一つが分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、R1〜R8の全てが分岐鎖状アルキル基であることがより好ましい。
また、R9〜R12としては、水素、フッ素、塩素、臭素、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
X−は、無機の1価陰イオンとして、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン等が挙げられる。また、X−は有機酸の1価陰イオンとして、例えば、酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン等が挙げられ、更に、ビスクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスジクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビストリクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスフルオロスルホニルイミド酸イオン、ビスジフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスペンタフルオロエタンスルホニルイミド酸イオン、等のスルホニルイミド酸イオンが挙げられる。中でも、スルホニルイミド酸イオンが、強い電子吸引性によってイオン性化合物であるジインモニウム化合物を安定化し、結果として耐久性を向上させる点から好ましい。この中でも特にビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオンが好ましい。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。
これら近赤外線吸収色素の一部は市販品として入手可能であり、例えば日本化薬社製、KayasorbIRG−022、IRG−068等を好適に用いることができる。
上記ジインモニウム化合物の配合量は、色素全体の固形分に対して、0.08〜30重量%、更に0.08〜15重量%が好ましい。
上記ジインモニウム化合物の配合量は、色素全体の固形分に対して、0.08〜30重量%、更に0.08〜15重量%が好ましい。
色素層は、上記ジインモニウム化合物に加えて、少なくとも800〜1100nmに光線透過率の吸収極大を有する近赤外線吸収色素であり、バインダ樹脂に配合可能であるものであるならば、任意の化合物を含有することができる。
このような近赤外線吸収色素としては、具体的には、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、インモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類の有機系近赤外線吸収色素、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン等の無機系近赤外線吸収色素、を1種、又は2種以上を併用することができる。中でも、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物が好ましい。
種類や添加量は、近赤外線吸収色素の吸収波長や吸収係数や、色調及びディスプレイ用前面板に要求される透過率などによって適宜選択すればよい。
近赤外線吸収色素全体の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.1〜50重量%、更に0.1〜25重量%が好ましい。
このような近赤外線吸収色素としては、具体的には、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、インモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類の有機系近赤外線吸収色素、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン等の無機系近赤外線吸収色素、を1種、又は2種以上を併用することができる。中でも、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物が好ましい。
種類や添加量は、近赤外線吸収色素の吸収波長や吸収係数や、色調及びディスプレイ用前面板に要求される透過率などによって適宜選択すればよい。
近赤外線吸収色素全体の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.1〜50重量%、更に0.1〜25重量%が好ましい。
(ネオン光吸収色素)
本発明によるディスプレイ用フィルタがプラズマディスプレイ用として用いられる際には、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光を吸収するべく、色素層はネオン光吸収色素を含有することができる。ネオン光の吸収領域は波長570〜610nmであり、波長570〜610nmにおける光線の透過率が50%以下になるように設計することが好ましい。
ネオン光吸収色素としては、少なくとも570〜610nmの波長領域内に光線透過率の吸収極大を有する色素として従来から利用されてきた色素、例えば、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系若しくはポルフィリン系等を挙げることができる。
ネオン光吸収色素の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.01〜10重量%、更に0.01〜5重量%が好ましい。
尚、本発明によるディスプレイ用フィルタがプラズマディスプレイパネル以外のディスプレイ用として用いられる際には、色素層は上記ネオン光吸収色素を色調調整色素として含有することもできる。
本発明によるディスプレイ用フィルタがプラズマディスプレイ用として用いられる際には、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光を吸収するべく、色素層はネオン光吸収色素を含有することができる。ネオン光の吸収領域は波長570〜610nmであり、波長570〜610nmにおける光線の透過率が50%以下になるように設計することが好ましい。
ネオン光吸収色素としては、少なくとも570〜610nmの波長領域内に光線透過率の吸収極大を有する色素として従来から利用されてきた色素、例えば、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系若しくはポルフィリン系等を挙げることができる。
ネオン光吸収色素の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.01〜10重量%、更に0.01〜5重量%が好ましい。
尚、本発明によるディスプレイ用フィルタがプラズマディスプレイパネル以外のディスプレイ用として用いられる際には、色素層は上記ネオン光吸収色素を色調調整色素として含有することもできる。
(色調調整色素)
パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用フィルタの色を調整するため、色素層は色調調整色素を含有することができる。可視領域である380〜570nm若しくは610〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色素から、目的に応じて任意に色素を組み合わせて使用することができる。色調調整色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
色調調整色素の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.01〜10重量%、更に0.01〜5重量%が好ましい。
パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用フィルタの色を調整するため、色素層は色調調整色素を含有することができる。可視領域である380〜570nm若しくは610〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色素から、目的に応じて任意に色素を組み合わせて使用することができる。色調調整色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
色調調整色素の配合量は、色素層全体の固形分に対して0.01〜10重量%、更に0.01〜5重量%が好ましい。
〔バインダ樹脂〕
本発明のディスプレイ用フィルタの色素層に用いられるバインダ樹脂のガラス転移温度は65℃以上85℃未満である。当該ガラス転移温度が機器使用温度未満である場合、色素層に含有される色素間の相互作用及び色素とバインダ樹脂間の相互作用により色素が劣化するため、バインダ樹脂のガラス転移温度は機器使用温度以上であることが好ましい。例えば、代表的な用途であるプラズマディスプレイの前面にディスプレイ用フィルタを適用する場合、画面表面はプラズマ放電に伴う放熱によって約60℃の高温になっているため、色素層に含まれるバインダ樹脂のガラス転移温度は少なくとも65℃以上である必要がある。一方、樹脂のガラス転移温度が85℃以上の場合、樹脂からの溶剤が揮発しにくく、残留溶剤量を250mg/m2以下とするために高温且つ長時間の乾燥が必要となり、その際に熱による色素劣化が引き起こされる場合がある。バインダ樹脂のガラス転移温度が85℃未満である場合、温和な乾燥条件で所望の残留溶剤量の色素層を得ることができるというメリットがある。バインダ樹脂のガラス転移温度は好ましくは70℃以上85℃未満である。
本発明のディスプレイ用フィルタの色素層に用いられるバインダ樹脂のガラス転移温度は65℃以上85℃未満である。当該ガラス転移温度が機器使用温度未満である場合、色素層に含有される色素間の相互作用及び色素とバインダ樹脂間の相互作用により色素が劣化するため、バインダ樹脂のガラス転移温度は機器使用温度以上であることが好ましい。例えば、代表的な用途であるプラズマディスプレイの前面にディスプレイ用フィルタを適用する場合、画面表面はプラズマ放電に伴う放熱によって約60℃の高温になっているため、色素層に含まれるバインダ樹脂のガラス転移温度は少なくとも65℃以上である必要がある。一方、樹脂のガラス転移温度が85℃以上の場合、樹脂からの溶剤が揮発しにくく、残留溶剤量を250mg/m2以下とするために高温且つ長時間の乾燥が必要となり、その際に熱による色素劣化が引き起こされる場合がある。バインダ樹脂のガラス転移温度が85℃未満である場合、温和な乾燥条件で所望の残留溶剤量の色素層を得ることができるというメリットがある。バインダ樹脂のガラス転移温度は好ましくは70℃以上85℃未満である。
また、本発明の色素層で使用するバインダ樹脂は透明性を有する必要がある。バインダ樹脂の透明性は、人が透明と感じる程度であれば特に制限はないが、JIS K7105に準拠した曇度(ヘイズ)が5以下のものが好ましく、3以下が特に好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等を用いることができるが、中でもアクリル系樹脂が透明性に優れるため、特に好ましい。
上記アクリル系樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸及びこれらの誘導体の(メタ)アクリル系単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体である。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸をいう。
ガラス転移温度を65℃以上85℃未満とするためには、(メタ)アクリル系単量体は、炭素原子数が1〜6程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボニルなどが好ましい。
ガラス転移温度を65℃以上85℃未満とするためには、(メタ)アクリル系単量体は、炭素原子数が1〜6程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボニルなどが好ましい。
上記アクリル系樹脂に用いられる上記アクリル系単量体の好ましい組み合わせとしては、メタクリル酸メチルとメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸プロピル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチル等が挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂の分子量は5000〜500000、更に10000〜300000が好ましい。
また、上記アクリル系樹脂の分子量は5000〜500000、更に10000〜300000が好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタに含有されるアクリル系樹脂は、単独のアクリル系単量体から誘導される重合体及び/又は複数のアクリル系単量体から誘導される共重合体からなり、当該(共)重合体を単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
バインダ樹脂の総配合量は、色素層全体の固形分に対して40〜99重量%、更に50〜98重量%であることが好ましい。
バインダ樹脂の総配合量は、色素層全体の固形分に対して40〜99重量%、更に50〜98重量%であることが好ましい。
〔残留溶剤〕
上記色素層中の残留溶剤量は1〜250mg/m2の範囲である。
ここで、上記色素層中の残留溶剤量とは、後述する色素層形成用組成物に含まれる、バインダ樹脂を溶解させ、前記色素及びその他添加剤を分散させるための溶剤が、色素層形成後に残留した量であり、具体的には以下の測定方法により定量される値である。まず、10cm四方に切り取ったディスプレイ用フィルタから、約0.9cm×5cmの短冊22本を作製し、これを30mlバイアル瓶に詰めて測定用サンプルを作製する。次に、ガスクロマトグラフ((株)島津製作所製、商品名「GC−9A」)を用い、上記測定用サンプルを150℃、10分間、加熱トラップした後、溶剤の総量を求め、1m2あたりの重量に換算し、得られる値を残留溶剤量とする。
上記色素層中の残留溶剤量は1〜250mg/m2の範囲である。
ここで、上記色素層中の残留溶剤量とは、後述する色素層形成用組成物に含まれる、バインダ樹脂を溶解させ、前記色素及びその他添加剤を分散させるための溶剤が、色素層形成後に残留した量であり、具体的には以下の測定方法により定量される値である。まず、10cm四方に切り取ったディスプレイ用フィルタから、約0.9cm×5cmの短冊22本を作製し、これを30mlバイアル瓶に詰めて測定用サンプルを作製する。次に、ガスクロマトグラフ((株)島津製作所製、商品名「GC−9A」)を用い、上記測定用サンプルを150℃、10分間、加熱トラップした後、溶剤の総量を求め、1m2あたりの重量に換算し、得られる値を残留溶剤量とする。
残留溶剤量が多くなりすぎると、高温高湿下に長時間放置した場合、バインダ樹脂の見かけのガラス転移温度が低下し、残留溶剤と色素の相互作用、バインダ樹脂と色素の相互作用、及び異なる色素間の相互作用等により、近赤外線吸収色素が変性する場合がある。その結果、色素層をディスプレイ用フィルタに組み込んだ際、フィルタの近赤外線領域の吸収が減少し、十分な近赤外線の遮断ができなくなることがある。また、可視領域の光線透過性が低下したり、可視領域に特定の波長の吸収が現れ、フィルタが着色する問題が起きることがある。
残留溶剤量が250mg/m2を超える範囲では、上述のように近赤外線領域の吸収が減少し、十分な近赤外線の遮断ができなくなる場合がある。また、可視領域の光線透過性が低下したり、可視領域に特定の波長の吸収が現れ、フィルタが着色する問題が起きることがある。一方、残留溶剤量が1mg/m2未満の範囲では、高温高湿下に長時間放置した場合の近赤外線吸収色素の変性は小さくなるが、1mg/m2未満にするために必要な熱乾燥によって近赤外線吸収色素が変性しやすくなる場合がある。
また、前記色素層中の残留溶剤量を1〜100mg/m2の範囲とすることにより、更に耐熱性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
また、前記色素層中の残留溶剤量を1〜100mg/m2の範囲とすることにより、更に耐熱性に優れたディスプレイ用フィルタを得ることができる。
本発明の色素層は、上述のバインダ樹脂、色素の他に、必要に応じ、添加剤等を含むことができる。また、紫外線吸収剤を含有させて、紫外線吸収機能を兼ねてもよい。
本発明で使用され得る紫外線吸収剤は、電気的若しくは電子的な装置や自然光等に含まれる紫外線を、遮蔽ないし制御するものである。このことによって、ディスプレイを構成する各種の樹脂材料その他の構成材料(例えば、バインダ樹脂や色素等)の耐久性を更に向上させることが可能になる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系;ヘキサデシル−2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤を用いる場合、その配合量は、色素層全体の固形分に対して0.5重量%以上50重量%未満が好ましい。更に好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは2〜25重量%である。
その他の添加剤としては、フィルムやコーティング膜等を形成する樹脂組成物に一般に使用される従来公知の添加剤等を用いることができ、例えば、レベリング剤、消泡剤、タレ性防止剤、酸化防止剤、粘性改質剤、金属不活性剤、過酸化物分解剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
その他の添加剤としては、フィルムやコーティング膜等を形成する樹脂組成物に一般に使用される従来公知の添加剤等を用いることができ、例えば、レベリング剤、消泡剤、タレ性防止剤、酸化防止剤、粘性改質剤、金属不活性剤、過酸化物分解剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
本発明の色素層は、合目的な任意の方法によって形成することができるが、色素及びバインダ樹脂の劣化防止を図るために、色素やバインダ樹脂等の劣化原因となる有害成分を使用せず、あるいは使用量が少なくて、かつ過度の温度や圧力を必要としない方法によって形成することが好ましい。そのような方法の一つとして、例えば、色素とバインダ樹脂等を有機溶媒に溶解させた色素層形成用樹脂組成物、あるいは溶剤で湿潤させた樹脂中に色素を添加し、十分分散させて得た色素層形成用樹脂組成物を後述する支持基材上に積層し、乾燥して形成する方法が挙げられる。
バインダ樹脂を溶解させ、前記色素及びその他添加剤を分散させたり、湿潤させるのに用いる溶媒としては、上記色素及びバインダ樹脂を均一に溶解又は分散可能なものであれば特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トリフルオロプロパノール、n−ヘキサン、若しくはn−ヘプタンまたは水等が挙げられるが、これら以外のものであっても良い。
色素層形成用組成物を支持基材上に積層する方法としては塗布、例えば、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、マイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、キスリバースコーティング、3本ロールリバースコーティング、スリットリバースダイコーティング、ダイコーティング、若しくはコンマコーティング等の各種コーティングの方式を用いることができる。
上記方法により得られた塗膜を熱風により、色素層中の残留溶剤量が1〜250mg/m2の範囲となるように溶剤を蒸発させて、乾燥させ、本発明の色素層を得る。色素層中の残留溶剤量を250mg/m2以下にし、且つ乾燥による色素層の劣化を防ぐためには、乾燥条件は、風速1〜50m/秒、熱風温度50〜150℃、乾燥時間40秒〜5分の条件から適宜選択して組み合わせることが好ましい。
また、更に必要に応じて上記乾燥させた塗膜を熱、電子線等により硬化させても良い。
上記方法により得られた塗膜を熱風により、色素層中の残留溶剤量が1〜250mg/m2の範囲となるように溶剤を蒸発させて、乾燥させ、本発明の色素層を得る。色素層中の残留溶剤量を250mg/m2以下にし、且つ乾燥による色素層の劣化を防ぐためには、乾燥条件は、風速1〜50m/秒、熱風温度50〜150℃、乾燥時間40秒〜5分の条件から適宜選択して組み合わせることが好ましい。
また、更に必要に応じて上記乾燥させた塗膜を熱、電子線等により硬化させても良い。
色素層の厚さとしては、使用用途等により適宜設定すれば良く特に限定されるものではない。例えば、乾燥時の厚さを0.5〜1000μmとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、1〜100μmである。更に好ましくは1〜50μm、特に好ましくは1〜30μmである。
ディスプレイ用フィルタが代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合、近赤外線吸収色素を含有する色素層は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長域を吸収するものであり、該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
また、ネオン光吸収色素を含有する色素層は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域を吸収するものであり、該帯域の透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
同時に色素層は、可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長域で、十分な光線透過率、すなわち視感透過率30%以上を有することが望ましい。
また、ネオン光吸収色素を含有する色素層は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域を吸収するものであり、該帯域の透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
同時に色素層は、可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長域で、十分な光線透過率、すなわち視感透過率30%以上を有することが望ましい。
なお、本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層は、1層ではなく2層以上であってもよい。例えば、上記式(1)で表されるジインモニウム化合物、その他の近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素又は色調調整色素は混合して1層の色素層に含有させることもできるし、該色素をそれぞれ別々に含有させた独立の層、即ち、近赤外線吸収機能層、ネオン光吸収機能層又は色調調整機能層が積層されて設けられていても良い。
[支持基材]
本発明のディスプレイ用フィルタに用いられる支持基材としては色素層を積層可能であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルホン、若しくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムを挙げることができ、単独で、又は同種若しくは異種の物を積層して用いることができる。本発明のディスプレイ用フィルタにおいて用いられる支持基材としては、中でもPET、TAC、アクリル樹脂が透明性の点から好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタに用いられる支持基材としては色素層を積層可能であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルホン、若しくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムを挙げることができ、単独で、又は同種若しくは異種の物を積層して用いることができる。本発明のディスプレイ用フィルタにおいて用いられる支持基材としては、中でもPET、TAC、アクリル樹脂が透明性の点から好ましい。
支持基材の透明性は、支持基材が単層の場合、可視領域の光線透過率が80%以上であることが好ましい。また、透明性を有するとは、無色透明であることが好ましいが、必ずしも無色透明であることに限られず、本発明の目的を妨げない程度であれば着色された着色透明であっても良い。可視領域の光線透過率はできる限り高いことが好ましいが、最終製品としては可視領域の光線透過率が50%以上であることが必要なことから、最低2枚を積層する場合でも、それぞれの支持基材としては光線透過率が80%であれば、目的に適う。光線透過率が高ければ高いほど支持基材を複数枚積層できるため、支持基材の単層の光線透過率はより好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。光線透過率を向上させるには厚みを薄くするのも有効な手段である。
支持基材の厚みは、透明性さえ満足すれば特に制限されないが、加工性の面からは、12μm程度〜300μm程度の範囲であることが好ましい。厚みが12μm未満の場合は支持基材が柔軟過ぎて、加工する際の張力により伸張やシワが発生しやすい。また、厚みが300μmを超えるとフィルムの可撓性が減少し、各工程での連続巻き取りが困難になる上、支持基材同士を複数枚、積層する際の加工性が大幅に劣るといった問題もある。
本発明のディスプレイ用フィルタは色素層が支持基材に対して充分な密着性を有するので、本発明において用いられる支持基材は、特に接着性を向上させる表面処理を必要とせず、未処理の基材であってもよいし、別の表面処理として、例えば屈折率の制御や、帯電の防止を目的とした表面処理が施されていてもよい。
本発明のディスプレイ用フィルタは色素層が支持基材に対して充分な密着性を有するので、本発明において用いられる支持基材は、特に接着性を向上させる表面処理を必要とせず、未処理の基材であってもよいし、別の表面処理として、例えば屈折率の制御や、帯電の防止を目的とした表面処理が施されていてもよい。
[電磁波遮蔽機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層若しくはその積層体に機能層として付加し得る電磁波遮蔽機能層は、電気的若しくは電子的な装置、とりわけ、プラズマディスプレイから発生した電磁波を遮蔽するものである。電磁波遮蔽層には金属メッシュ層と透明導電性薄膜層が利用されるが、電磁波遮蔽性の高い金属メッシュが好ましい。金属メッシュ層は、支持基材上に金属箔を積層し、エッチングによってメッシュ状とするので、支持基材と金属メッシュとの間には、接着剤層が介在することが普通である。接着剤層は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール単独若しくはその部分のケン化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンエステル樹脂等の接着剤で構成する。金属メッシュ層は、電磁波遮蔽機能を有するものであれば、その金属の種類は特に限定されるものではなく、例えば、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等を用いることができ、中でも銅が好ましい。銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に電解銅箔であることが好ましい。電解銅箔を選択することにより、厚さが10μm以下の均一性の良いものとすることができ、また、黒化処理された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層若しくはその積層体に機能層として付加し得る電磁波遮蔽機能層は、電気的若しくは電子的な装置、とりわけ、プラズマディスプレイから発生した電磁波を遮蔽するものである。電磁波遮蔽層には金属メッシュ層と透明導電性薄膜層が利用されるが、電磁波遮蔽性の高い金属メッシュが好ましい。金属メッシュ層は、支持基材上に金属箔を積層し、エッチングによってメッシュ状とするので、支持基材と金属メッシュとの間には、接着剤層が介在することが普通である。接着剤層は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール単独若しくはその部分のケン化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンエステル樹脂等の接着剤で構成する。金属メッシュ層は、電磁波遮蔽機能を有するものであれば、その金属の種類は特に限定されるものではなく、例えば、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等を用いることができ、中でも銅が好ましい。銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に電解銅箔であることが好ましい。電解銅箔を選択することにより、厚さが10μm以下の均一性の良いものとすることができ、また、黒化処理された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
ここで、本発明においては、上記金属メッシュは、その一方の面又は両面が黒化処理されていることが好ましい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュの表面を黒化する処理であり、色素層若しくはその積層体に付与される際は、この酸化処理面は、通常観察者側の面となるように配置される。この黒化処理によって金属メッシュ層表面に形成された酸化クロム等により、金属メッシュ層表面の外光が吸収されることから、金属メッシュ層表面で光が散乱することを防止することができる。
金属メッシュ層の開口率は、電磁波遮蔽能の観点からは、低いほど良いが、開口率が低くなると光線透過率が低下するので、開口率としては50%以上であることが好ましい。
また、金属メッシュ層の開口部と非開口部とが凹凸をなしているので、金属メッシュ層上に、バインダ樹脂が金属メッシュ層の厚み以上の厚みに形成された平坦化層が積層されていてもよい。
また、金属メッシュ層の開口部と非開口部とが凹凸をなしているので、金属メッシュ層上に、バインダ樹脂が金属メッシュ層の厚み以上の厚みに形成された平坦化層が積層されていてもよい。
[反射防止機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層若しくはその積層体に付加し得る反射防止機能層は、高屈折率層と低屈折率層とを組み合わせて積層されたものが代表的であるが、反射防止機能を有すればこれ以外の層構造を持つものであってもよい。高屈折率層は、例えば、ZnOやTiO2の素材の薄膜、若しくはこれらの素材の微粒子が分散した透明性を有するバインダ樹脂膜である。また、低屈折率層は、SiO2からなる薄膜、若しくはSiO2ゲル膜、または、フッ素含有の、若しくはフッ素及びケイ素含有の透明性を有するバインダ樹脂膜である。本発明のディスプレイ用フィルタに反射防止層が積層される場合には、積層された側の外光等の不要な光の反射を低下させ、適用されるディスプレイの画像若しくは映像のコントラストを高めることができる。
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層若しくはその積層体に付加し得る反射防止機能層は、高屈折率層と低屈折率層とを組み合わせて積層されたものが代表的であるが、反射防止機能を有すればこれ以外の層構造を持つものであってもよい。高屈折率層は、例えば、ZnOやTiO2の素材の薄膜、若しくはこれらの素材の微粒子が分散した透明性を有するバインダ樹脂膜である。また、低屈折率層は、SiO2からなる薄膜、若しくはSiO2ゲル膜、または、フッ素含有の、若しくはフッ素及びケイ素含有の透明性を有するバインダ樹脂膜である。本発明のディスプレイ用フィルタに反射防止層が積層される場合には、積層された側の外光等の不要な光の反射を低下させ、適用されるディスプレイの画像若しくは映像のコントラストを高めることができる。
[防眩機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層若しくはその積層体に付加し得る防眩機能層は、例えば、透明性を有するバインダ樹脂中に直径数μm程度のポリスチレン樹脂やアクリル樹脂等のビーズを分散させたものが挙げられる。当該層が持つ光拡性により、ディスプレイ前面に配置した際に、ディスプレイの特定の位置、方向に生じるシンチレーションの防止を行うためのものである。
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、色素層若しくはその積層体に付加し得る防眩機能層は、例えば、透明性を有するバインダ樹脂中に直径数μm程度のポリスチレン樹脂やアクリル樹脂等のビーズを分散させたものが挙げられる。当該層が持つ光拡性により、ディスプレイ前面に配置した際に、ディスプレイの特定の位置、方向に生じるシンチレーションの防止を行うためのものである。
[防汚染機能層]
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、当該ディスプレイ用フィルタに付加し得る防汚染機能層は、色素層若しくはその積層体を使用する際に、その表面に、不用意な接触や環境からの汚染が原因で、ごみや汚染物質が付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しやすくするために形成される層である。例えば、フッ素系コート樹脂、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が使用され、中でもシリコン・フッ素系コート剤が好ましく適用される。これらの防汚染層の厚さは好ましくは100nm以下で、より好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは5nm以下である。これらの防汚染層の厚さが100nmを超えると防汚染性の初期値は優れているが、耐久性において劣るものとなる。防汚染性とその耐久性のバランスから5nm以下が最も好ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、当該ディスプレイ用フィルタに付加し得る防汚染機能層は、色素層若しくはその積層体を使用する際に、その表面に、不用意な接触や環境からの汚染が原因で、ごみや汚染物質が付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しやすくするために形成される層である。例えば、フッ素系コート樹脂、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が使用され、中でもシリコン・フッ素系コート剤が好ましく適用される。これらの防汚染層の厚さは好ましくは100nm以下で、より好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは5nm以下である。これらの防汚染層の厚さが100nmを超えると防汚染性の初期値は優れているが、耐久性において劣るものとなる。防汚染性とその耐久性のバランスから5nm以下が最も好ましい。
[紫外線吸収機能層]
その他、本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、紫外線吸収剤を含有させた独立の層、即ち、紫外線吸収機能層が更に設けられていても良い。
また、独立した紫外線吸収機能層の場合、前記紫外線吸収剤を含有させた層を設ける代わりに、市販の紫外線カットフィルタ、例えば、富士写真フィルム社製の「シャープカットフィルターSC−38」(商品名)、「同SC−39」、「同SC−40」、三菱レーヨン社製の「アクリプレン」(商品名)等を用いることもできる。
その他、本発明のディスプレイ用フィルタにおいて、紫外線吸収剤を含有させた独立の層、即ち、紫外線吸収機能層が更に設けられていても良い。
また、独立した紫外線吸収機能層の場合、前記紫外線吸収剤を含有させた層を設ける代わりに、市販の紫外線カットフィルタ、例えば、富士写真フィルム社製の「シャープカットフィルターSC−38」(商品名)、「同SC−39」、「同SC−40」、三菱レーヨン社製の「アクリプレン」(商品名)等を用いることもできる。
以上のようにして得られる本発明のディスプレイ用フィルタは、代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合には、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800〜1100nmの波長域における光線透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。
また、本発明のディスプレイ用フィルタは、ネオン光吸収色素を含有する色素層を含有する場合には、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域における光線透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
また、本発明のディスプレイ用フィルタは、可視光領域、即ち、380〜780nmの波長域で、十分な光線透過率、すなわち視感透過率30%以上を有することが望ましい。
また、本発明のディスプレイ用フィルタは、ネオン光吸収色素を含有する色素層を含有する場合には、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域における光線透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
また、本発明のディスプレイ用フィルタは、可視光領域、即ち、380〜780nmの波長域で、十分な光線透過率、すなわち視感透過率30%以上を有することが望ましい。
本発明のディスプレイ用フィルタは、優れた耐熱性を有し、高温高湿下での長時間の使用によっても色素劣化に帰属される分光特性の変化が起こり難い。具体的には、以下のように耐湿熱性試験を行った場合に、高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の値の差が最大となる波長における光線透過率の値の差が5%以下、更に好ましくは4%以下であることが望ましい。
まず、本発明のディスプレイ用フィルタの光線透過率を求める。800〜1100nmの波長域で、該ディスプレイ用フィルタの光線透過率を測定する。光線透過率は、例えば分光光度計((株)島津製作所製、品番:「UV−3100PC」)を用いて測定することができる。
次に、得られたディスプレイ用フィルタを高温高湿(例えば、温度60℃、湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様の波長範囲で光線透過率を測定する。
上記高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の測定値から、各波長の光線透過率の差を求め、その値が最大となる波長における光線透過率の値の差を求める。
次に、得られたディスプレイ用フィルタを高温高湿(例えば、温度60℃、湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様の波長範囲で光線透過率を測定する。
上記高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の測定値から、各波長の光線透過率の差を求め、その値が最大となる波長における光線透過率の値の差を求める。
本発明のディスプレイは、上記ディスプレイ用フィルタがディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とする。
本発明のディスプレイとしては、種々の電子機器の表示パネルであるCRT(ブラウン管)、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、有機・無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等の電子ディスプレイ等が挙げられる。
本発明のディスプレイとしては、種々の電子機器の表示パネルであるCRT(ブラウン管)、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、有機・無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等の電子ディスプレイ等が挙げられる。
図2に示されるように、本発明のディスプレイ7において上記本発明によるディスプレイ用フィルタ11が用いられる際は、例えば、ディスプレイパネル6から放射される近赤外線等の好ましくない光線あるいは電磁波等をカットするべくディスプレイパネル表示面8の前面に設置される。
後述する実施例において行った、評価方法は以下のとおりである。
(1)ディスプレイフィルタの耐熱性
分光光度計((株)島津製作所製、品番:「UV−3100PC」)を用いて、800〜1100nmの範囲で、ディスプレイ用フィルタの光線透過率を測定した。
また、得られたディスプレイ用フィルタを高温高湿(温度60℃、湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様の波長範囲で光線透過率を測定した。
初期の状態における最大光線透過率が10%以下であり、且つ高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の値の差が最大となる波長において、光線透過率の値の差が5%以下のとき、ディスプレイ用フィルタの色素劣化は許容範囲である。
尚、下記実施例1〜6及び比較例1〜4の近赤外線吸収色素を含有するディスプレイ用フィルタは、800〜1100nmの範囲で光線透過率の値の差が最大値を示す波長が、いずれも1080nmであった。
(1)ディスプレイフィルタの耐熱性
分光光度計((株)島津製作所製、品番:「UV−3100PC」)を用いて、800〜1100nmの範囲で、ディスプレイ用フィルタの光線透過率を測定した。
また、得られたディスプレイ用フィルタを高温高湿(温度60℃、湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様の波長範囲で光線透過率を測定した。
初期の状態における最大光線透過率が10%以下であり、且つ高温高湿雰囲気下に放置する前後の各波長の光線透過率の値の差が最大となる波長において、光線透過率の値の差が5%以下のとき、ディスプレイ用フィルタの色素劣化は許容範囲である。
尚、下記実施例1〜6及び比較例1〜4の近赤外線吸収色素を含有するディスプレイ用フィルタは、800〜1100nmの範囲で光線透過率の値の差が最大値を示す波長が、いずれも1080nmであった。
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は示差走査熱量計(NETZSCH社製、商品名DSC204 Phoenix)を用い、JIS K7121に準拠して測定した。測定方法はDSC法、測定開始温度は20℃、測定終了温度は220℃、昇温および冷却速度は2℃/分、そして窒素雰囲気下で実施した。また、ここでのガラス転移温度とは、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度、すなわち中間点ガラス転移温度のことを言う。
ガラス転移温度は示差走査熱量計(NETZSCH社製、商品名DSC204 Phoenix)を用い、JIS K7121に準拠して測定した。測定方法はDSC法、測定開始温度は20℃、測定終了温度は220℃、昇温および冷却速度は2℃/分、そして窒素雰囲気下で実施した。また、ここでのガラス転移温度とは、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度、すなわち中間点ガラス転移温度のことを言う。
(3)残留溶剤量
まず、10cm四方に切り取った試料から、約0.9cm×5cmの短冊22本を作製し、これを30mlバイアル瓶に詰めて測定用サンプルを作製した。次に、ガスクロマトグラフ((株)島津製作所製、商品名「GC−9A」)を用い、上記測定用サンプルを120℃、10分間、加熱トラップした後、トルエンとメチルエチルケトンの総量を求め、1m2あたりの量に換算した。
まず、10cm四方に切り取った試料から、約0.9cm×5cmの短冊22本を作製し、これを30mlバイアル瓶に詰めて測定用サンプルを作製した。次に、ガスクロマトグラフ((株)島津製作所製、商品名「GC−9A」)を用い、上記測定用サンプルを120℃、10分間、加熱トラップした後、トルエンとメチルエチルケトンの総量を求め、1m2あたりの量に換算した。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
<実施例1>
バインダ樹脂としてダイヤナールBR−113(三菱レイヨン(株)製、ガラス転移温度=84℃(カタログ記載値:75℃))をメチルエチルケトン/トルエン中(溶媒配合比=1:1)に固形分比が20%(質量基準)となるよう溶解した樹脂溶液19.6g中に近赤外線吸収色素(日本化薬(株)、商品名:IRG−022、前記式(1)のR1〜R8をn−ブチル基としたもの、X−はヘキサフルオロアンチモンイオン)を0.2g添加して十分分散させて得た塗布用溶液を用い、市販のPETフィルム上に、マイヤーバーにて乾燥膜厚が5μmになるように塗布し、風速5m/secのドライエアーが当たるオーブンにて130℃で1分間乾燥して近赤外線吸収層を形成し、ディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は35mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.1%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は1.4%であった。
バインダ樹脂としてダイヤナールBR−113(三菱レイヨン(株)製、ガラス転移温度=84℃(カタログ記載値:75℃))をメチルエチルケトン/トルエン中(溶媒配合比=1:1)に固形分比が20%(質量基準)となるよう溶解した樹脂溶液19.6g中に近赤外線吸収色素(日本化薬(株)、商品名:IRG−022、前記式(1)のR1〜R8をn−ブチル基としたもの、X−はヘキサフルオロアンチモンイオン)を0.2g添加して十分分散させて得た塗布用溶液を用い、市販のPETフィルム上に、マイヤーバーにて乾燥膜厚が5μmになるように塗布し、風速5m/secのドライエアーが当たるオーブンにて130℃で1分間乾燥して近赤外線吸収層を形成し、ディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は35mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.1%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は1.4%であった。
<実施例2>
乾燥条件を110℃、1分間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は87mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.3%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は6.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は2.2%であった。
乾燥条件を110℃、1分間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は87mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.3%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は6.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は2.2%であった。
<実施例3>
乾燥条件を110℃、40秒間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は221mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.3%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は7.3%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は3.0%であった。
乾燥条件を110℃、40秒間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は221mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.3%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は7.3%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は3.0%であった。
<実施例4>
バインダ樹脂として、ダイヤナールBR−90(三菱レイヨン(株)製、ガラス転移温度=68℃(カタログ記載値:65℃))を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は22mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.5%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.8%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率地の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は1.3%であった。
バインダ樹脂として、ダイヤナールBR−90(三菱レイヨン(株)製、ガラス転移温度=68℃(カタログ記載値:65℃))を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は22mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.5%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.8%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率地の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は1.3%であった。
<実施例5>
近赤外線吸収色素として、IRG−022の代わりにIRG−068(日本化薬(株)、前記式(1)のR1〜R8を分岐鎖状アルキル基であるiso−ブチル基としたもの、X−はビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン)を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は43mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.1%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は4.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.4%であった。
近赤外線吸収色素として、IRG−022の代わりにIRG−068(日本化薬(株)、前記式(1)のR1〜R8を分岐鎖状アルキル基であるiso−ブチル基としたもの、X−はビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン)を用いた以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は43mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.1%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は4.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.4%であった。
<実施例6>
色素として、ネオン光吸収色素TY102(旭電化(株)製)を0.01g更に添加した以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は33mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.0%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は1.5%であった。
色素として、ネオン光吸収色素TY102(旭電化(株)製)を0.01g更に添加した以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は33mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.0%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は5.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は1.5%であった。
<比較例1>
乾燥条件を60℃、20秒間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は354mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.3%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は9.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は5.2%であり、近赤外線吸収能の低下が見られた。
乾燥条件を60℃、20秒間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は354mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.3%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は9.5%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は5.2%であり、近赤外線吸収能の低下が見られた。
<比較例2>
乾燥条件を150℃、10分間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は0.6mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は12.5%と、耐熱性試験をする前の段階で近赤外線吸収能が劣った。これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は12.9%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.4%であった。
乾燥条件を150℃、10分間とした以外は、前記実施例1と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は0.6mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は12.5%と、耐熱性試験をする前の段階で近赤外線吸収能が劣った。これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は12.9%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.4%であった。
<比較例3>
バインダ樹脂として、ダイヤナールBR−52(三菱レイヨン(株)製、ガラス転移温度=114℃(カタログ記載値:105℃))を用いた以外は、前記実施例2と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は289mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.2%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は9.9%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は5.7%であった。
バインダ樹脂として、ダイヤナールBR−52(三菱レイヨン(株)製、ガラス転移温度=114℃(カタログ記載値:105℃))を用いた以外は、前記実施例2と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は289mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は4.2%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は9.9%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は5.7%であった。
<比較例4>
乾燥条件を150℃、10分間とした以外は、前記比較例3と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は0.7mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は10.2%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は10.7%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.5%であった。
乾燥条件を150℃、10分間とした以外は、前記比較例3と同様に実施してディスプレイ用フィルタを得た。残留溶剤量は0.7mg/m2であった。
得られたディスプレイ用フィルタの1080nmにおける光線透過率は10.2%であり、これを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した結果、1080nmにおける光線透過率は10.7%となった。以上より、800〜1100nmにおける光線透過率の値の差の最大値であった1080nmにおける光線透過率の値の差は0.5%であった。
<結果のまとめ>
実施例1〜6で得られた本発明に係るディスプレイ用フィルタは、温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した前後の光線透過率の値の差の最大値が許容範囲内であり、色素劣化に帰属する分光特性の変化は起きていなかった。また、実施例2及び3のように、より温和な条件下でも残留溶剤量を本発明の範囲内にすることができた。
これに対し、色素層中の残留溶剤量が本発明の範囲を超える、比較例1及び比較例3で得られたディスプレイ用フィルタは、近赤外線吸収能の低下が認められた。
また、色素層中の残留溶剤量が本発明の範囲未満である、比較例2及び比較例4で得られたディスプレイ用フィルタは、耐熱性試験をする前の段階で、近赤外線吸収能の低下が認められた。
実施例1〜6で得られた本発明に係るディスプレイ用フィルタは、温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下に1000hr放置した前後の光線透過率の値の差の最大値が許容範囲内であり、色素劣化に帰属する分光特性の変化は起きていなかった。また、実施例2及び3のように、より温和な条件下でも残留溶剤量を本発明の範囲内にすることができた。
これに対し、色素層中の残留溶剤量が本発明の範囲を超える、比較例1及び比較例3で得られたディスプレイ用フィルタは、近赤外線吸収能の低下が認められた。
また、色素層中の残留溶剤量が本発明の範囲未満である、比較例2及び比較例4で得られたディスプレイ用フィルタは、耐熱性試験をする前の段階で、近赤外線吸収能の低下が認められた。
1 ディスプレイ用フィルタ
2 支持基材
3 色素層
4 積層体
5 機能層
5’ 機能層
6 ディスプレイパネル
7 ディスプレイ
8 ディスプレイパネル表示面
11 ディスプレイ用フィルタ
2 支持基材
3 色素層
4 積層体
5 機能層
5’ 機能層
6 ディスプレイパネル
7 ディスプレイ
8 ディスプレイパネル表示面
11 ディスプレイ用フィルタ
Claims (9)
- 少なくとも支持基材と、バインダ樹脂及び色素を含有する色素層とが積層された積層構造を有するディスプレイ用フィルタであって、前記色素として少なくとも下記式(1)で表されるジインモニウム化合物を含み、前記バインダ樹脂のガラス転移温度が65℃以上85℃未満であり、且つ前記色素層中の残留溶剤量が1〜250mg/m2の範囲であることを特徴とするディスプレイ用フィルタ。
- 前記色素層中の残留溶剤量が1〜100mg/m2の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用フィルタ。
- 前記式(1)中のR1〜R8の少なくとも1つが分岐鎖状アルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレイ用フィルタ。
- 前記式(1)で表されるジインモニウム化合物における陰イオンX−が、スルホニルイミド酸イオンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタ。
- 少なくとも570〜610nmに光線透過率の吸収極大を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタ。
- 少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに光線透過率の吸収極大を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタ。
- 前記バインダ樹脂中に、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタ。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタであって、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、防汚染機能、紫外線吸収機能のいずれか一種若しくは二種以上の機能を有する一層又は二層以上の層を有することを特徴とするディスプレイ用フィルタ。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタがディスプレイの表示面に配置されていることを特徴とするディスプレイ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005270465A JP2007079453A (ja) | 2005-09-16 | 2005-09-16 | ディスプレイ用フィルタ及びディスプレイ |
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ID=37939786
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022024806A1 (ja) * | 2020-07-31 | 2022-02-03 | 三井化学株式会社 | 光学構造体およびヘッドアップディスプレイ |
WO2022158045A1 (ja) * | 2021-01-19 | 2022-07-28 | 凸版印刷株式会社 | 光学フィルム、これを用いた表示装置、光学フィルムの製造に用いる着色層形成用組成物 |
-
2005
- 2005-09-16 JP JP2005270465A patent/JP2007079453A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022024806A1 (ja) * | 2020-07-31 | 2022-02-03 | 三井化学株式会社 | 光学構造体およびヘッドアップディスプレイ |
WO2022158045A1 (ja) * | 2021-01-19 | 2022-07-28 | 凸版印刷株式会社 | 光学フィルム、これを用いた表示装置、光学フィルムの製造に用いる着色層形成用組成物 |
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