JP2008176143A - 光学フィルム及びそれを用いたディスプレイ用前面板 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、近赤外線吸収層を備えた光学フィルム及びその光学フィルムを用いたディスプレイ用前面板に関する。
近年、大型テレビをはじめ種々の電子機器の表示パネルとして、プラズマディスプレイパネル(PDP)の需要が増大している。PDPは、2枚のガラス板の間にキセノンとネオンとを含む混合ガスが封入され、この混合ガスに高電圧をかけると紫外線が発生し、ガラス板に塗布された蛍光体にこの紫外線があたって発光する。
しかし、このとき紫外線以外に、波長820nm〜1100nmの領域の近赤外線や電磁波等も発生する。この近赤外線の波長領域は、近赤外線通信や他の電子機器のリモートコントロールに使用される波長領域と重複するため、これらの誤作動を引き起こす原因となる。そこで、PDPの前面板に、近赤外線を吸収する近赤外線遮蔽体を設けて、この近赤外線を吸収している(例えば、非特許文献1参照。)。
この近赤外線遮蔽体としては、例えば、樹脂に近赤外線吸収化合物を分散させてフィルム状に構成したものが知られている。近赤外線吸収化合物は、例えば、ジイモニウム化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物等の色素であり、それらは単独で用いる場合に比べ複数組み合わせて用いる場合に、特に、ジイモニウム化合物と、フタロシアニン化合物又はシアニン化合物とを組み合わせる場合に、優れた近赤外線吸収性能を示すことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、近赤外線吸収化合物を複数組み合わせる場合において、近赤外線吸収化合物のカウンターアニオンに同一の種類のアニオンを用いることが報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
花岡ほか、「反射防止膜の特性と最適設計・膜作製技術」、第1版第2刷、株式会社技術情報協会、2002年2月5日、184頁 特開平11−316309号公報
特開2003−21715号公報
花岡ほか、「反射防止膜の特性と最適設計・膜作製技術」、第1版第2刷、株式会社技術情報協会、2002年2月5日、184頁
上記のように、近赤外線吸収化合物としてジイモニウム化合物とシアニン化合物とを組み合わせて用い、且つそのジイモニウム化合物とシアニン化合物のカウンターアニオンに同一の種類のイオンを用いると、近赤外遮蔽体の耐熱性と耐湿熱性とを向上させることができる。しかし、この種の近赤外遮蔽体では、十分な耐光性が得られないという問題があった。
本発明は、高い近赤外線遮蔽性能を有し、且つ高い耐光性を有する光学フィルム及びそれを用いたディスプレイ用前面板を提供するものである。
本発明の光学フィルムは、基材と、前記基材の一方の主面に配置された近赤外線吸収層とを含む光学フィルムであって、
前記近赤外線吸収層は、近赤外線吸収化合物を含み、
前記近赤外線吸収化合物は、下記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物と、下記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物と、下記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物とを含み、
下記式(1)の中のカウンターアニオンX-と下記式(2)の中のカウンターアニオンX-とは、同一の種類のアニオンであることを特徴とする。
前記近赤外線吸収層は、近赤外線吸収化合物を含み、
前記近赤外線吸収化合物は、下記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物と、下記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物と、下記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物とを含み、
下記式(1)の中のカウンターアニオンX-と下記式(2)の中のカウンターアニオンX-とは、同一の種類のアニオンであることを特徴とする。
但し、式(1)の中で、R1〜R8は、置換又は未置換のアルキル基を示し、前記アルキル基の少なくとも1つは分岐鎖構造を有し、X-は1価のカウンターアニオンを示す。
但し、式(2)の中で、Q1、Q2は、5員環の含窒素複素環、5員環の含窒素複素環を含む縮合環、6員環の含窒素複素環及び6員環の含窒素複素環を含む縮合環からなる群から選ばれる少なくとも1つの複素環式化合物を示し、R9、R10は、炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは2、3又は4の数字を示し、X-は1価のカウンターアニオンを示す。
但し、式(3)の中で、Q1、Q2、R9、R10及びnは、前記式(2)と同様であり、R11、R12は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、置換又は未置換のモルホリノ基、置換又は未置換のチオモルホリノ基、置換又は未置換のピペラジノ基及び置換又は未置換のフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を示し、Mは遷移金属を示す。
また、本発明のディスプレイ用前面板は、基板上に、上記本発明の光学フィルムが配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、高い近赤外線遮蔽性能を有し、且つ高い耐光性を有する光学フィルムを提供できる。
また、本発明によれば、高い近赤外線遮蔽性能を有し、且つ高い耐光性を有するディスプレイ用前面板を提供できる。
本発明の光学フィルムは、基材と、基材の一方の主面に配置された近赤外線吸収層とを備え、近赤外線吸収層は、近赤外線吸収化合物を含んでいる。
また、上記近赤外線吸収化合物は、下記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物と、下記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物と、下記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物とを含み、下記式(1)の中のカウンターアニオンX-と下記式(2)の中のカウンターアニオンX-としては、同一の種類のカウンターアニオンが用いられている。
上記近赤外線吸収化合物は、いずれも高い近赤外線吸収性能を有し、これらの3種類の近赤外線吸収化合物を合わせて用いることにより、高い近赤外線遮蔽性能を有し、且つ高い耐候性(耐光性・耐熱性・耐湿熱性)を有する光学フィルムを提供できる。
但し、式(1)の中で、R1〜R8は、置換又は未置換のアルキル基を示し、前記アルキル基の少なくとも1つは分岐鎖構造を有し、X-は1価のカウンターアニオンを示す。
但し、式(2)の中で、Q1、Q2は、5員環の含窒素複素環、5員環の含窒素複素環を含む縮合環、6員環の含窒素複素環及び6員環の含窒素複素環を含む縮合環からなる群から選ばれる少なくとも1つの複素環式化合物を示し、R9、R10は、炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは2、3又は4の数字を示し、X-は1価のカウンターアニオンを示す。
但し、式(3)の中で、Q1、Q2、R9、R10及びnは、前記式(2)と同様であり、R11、R12は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、置換又は未置換のモルホリノ基、置換又は未置換のチオモルホリノ基、置換又は未置換のピペラジノ基及び置換又は未置換のフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を示し、Mは遷移金属を示す。
上記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物は、950nm以上1150nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。また、上記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物及び上記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物は、それぞれ800nm以上950nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。これらを組み合わせることにより、820nm〜1100nmの波長領域におけるほぼ全ての近赤外線を吸収対象にできる。
上記近赤外線吸収層は、上記近赤外線吸収化合物を分散させる樹脂を含めば、近赤外線吸収化合物を分散させて基材上に固定化できるのでより好ましい。上記樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上であれば、上記近赤外線吸収化合物をより強く固定化させ、耐熱性を向上させることができるのでさらに好ましい。
上記近赤外線吸収層は、580nm以上620nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含めば、例えばPDPのネオンの発光を吸収できるのでより好ましい。
上記近赤外線吸収層は、540nm以上570nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含めば、例えばディスプレイの明所コントラストが向上するのでより好ましい。
上記近赤外線吸収層は、480nm以上500nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含めば、例えば三波長蛍光下でのディスプレイの明所コントラストが向上するのでより好ましい。
本発明の光学フィルムのHaze値が1.5%以下であれば、例えばPDPの前面板として使用した場合、画像の鮮やかさを損なわないのでより好ましい。なお、Haze値とは、プラスチックの内部や表面の曇りに関して、JIS K7105で規定された曇価で表した値である。
また、本発明の光学フィルムは、上記近赤外線吸収層が配置された基材の主面の反対面に、ハードコート層と反射防止層とが配置されていれば、保護機能と反射防止機能とをさらに備えるのでより好ましい。また、従来、近赤外線吸収層、反射防止層は、それぞれ別々にディスプレイ用前面板のガラス基板に貼り合わせていたが、上記のように一枚の基材に近赤外線吸収層と反射防止層とを一体化して複合化することにより、前面板に貼り合わせる部材を削減することができる。
また、本発明のディスプレイ用前面板は、基板上に、上記本発明の光学フィルムが配置されていることを特徴とする。これにより、高い近赤外線遮蔽性能を有し、且つ高い耐候性(耐光性・耐熱性・耐湿熱性)を有するディスプレイ用前面板を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。本実施形態の光学フィルムは、基材1と、基材1の一方の主面に配置された近赤外線吸収層2から形成されている。
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。本実施形態の光学フィルムは、基材1と、基材1の一方の主面に配置された近赤外線吸収層2から形成されている。
基材1は、透光性を有する材料で形成されていれば、その形状や製造方法等は特に限定されない。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂等の材料を、フィルム状又はシート状に加工したものを用いることができる。フィルム状又はシート状に加工する方法としては、押し出し成形、カレンダー成形、圧縮成形、射出成形、上記樹脂を溶剤に溶解させてキャスティングする方法等が挙げられる。基材1の厚さは、通常10μm〜500μm程度である。なお、上記材料には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。
近赤外線吸収層2は、近赤外線吸収化合物として、下記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物と、下記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物と、下記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物とを含んでいる。
但し、式(1)の中で、R1〜R8は、置換又は未置換のアルキル基を示し、上記アルキル基の少なくとも1つは分岐鎖構造を有し、X-は1価のカウンターアニオンを示す。また、R1〜R8は、それぞれ異なるアルキル基であっても、一部又は全てが同じアルキル基であってもよい。
但し、式(2)の中で、Q1、Q2は、5員環の含窒素複素環、5員環の含窒素複素環を含む縮合環、6員環の含窒素複素環及び6員環の含窒素複素環を含む縮合環からなる群から選ばれる少なくとも1つの複素環式化合物を示し、R9、R10は、炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは2、3又は4の数字を示し、X-は1価のカウンターアニオンを示す。
但し、式(3)の中で、Q1、Q2、R9、R10及びnは、前記式(2)と同様であり、R11、R12は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、置換又は未置換のモルホリノ基、置換又は未置換のチオモルホリノ基、置換又は未置換のピペラジノ基及び置換又は未置換のフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を示し、Mは遷移金属を示す。
また、上記式(1)の中のカウンターアニオンX-と上記式(2)の中のカウンターアニオンX-とは、同一の種類のアニオンである。
上記カウンターアニオンX-としては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン等の無機イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン等が該当する。
特に、上記式(2)及び上記式(3)で示される構造を有するカチオンは、下記式(4)〜(6)に示すカチオンを用いることが好ましい。
上記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物は、950nm以上1150nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。また、上記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物及び上記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物は、それぞれ800nm以上950nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。これらを組み合わせることにより、820nm〜1100nmの波長領域におけるほぼ全ての近赤外線を吸収対象にできる。
上記近赤外線吸収層2は、上記近赤外線吸収化合物を分散させて基材上に固定化するために、近赤外線吸収化合物を分散させる樹脂を含んでいる。この樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。また、これらの樹脂を2種以上ブレンドしたポリマーブレンドを用いることもできる。特に、ガラス転移温度が80℃以上の樹脂を用いると、近赤外線吸収化合物が樹脂により強く固定化され、耐熱性を向上させることができるので好ましい。また、疎水性成分を含む樹脂を併用すれば、耐湿熱性を向上させることができるのでより一層好ましい。
基材1の一方の主面に近赤外線吸収層2を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記赤外線吸収化合物と、その赤外線吸収化合物を分散させる樹脂と、近赤外線吸収化合物と樹脂とを溶解する溶剤を混合して作製した塗料を、基材1の一方の主面に塗布して乾燥すればよい。
上記溶剤は、上記近赤外線吸収化合物及び上記樹脂の溶解性を損なわなければ特に限定されず、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、キシレン、テトラヒドロキシフラン等を用いることができる。また、上記塗布方法も特に限定されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法を用いることができる。
近赤外線吸収層2は、580nm〜620nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、ネオンの発光を吸収できる。ネオンの発光は、例えばPDPの色再現性を低下させる原因の1つであり、本実施形態の光学フィルムを用いてネオンの発光が吸収されれば、PDPの赤色をより鮮やかに発色させることができる。上記化合物は、波長820nm〜1100nmの全領域において近赤外線吸収層2の分光透過率を変化させない化合物であれば特に限定されず、例えば、シアニン系、スクワリウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、チオピリウム系、ビオローゲン系、アゾ系、アゾ金属錯塩系、アザポルフィリン系、ビスアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機色素化合物を用いることができる。また、上記化合物としては、近赤外線吸収層2に含まれる樹脂と近赤外線吸収化合物との相溶性を変化させない化合物を用いることがより好ましい。
また、近赤外線吸収層2は、540nm〜570nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、例えばディスプレイの明所コントラストが向上する。上記化合物は、波長820nm〜1100nmの全領域において近赤外線吸収層2の分光透過率を変化させない化合物であれば特に限定されず、例えば、シアニン系、スクワリウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、チオピリウム系、ビオローゲン系、アゾ系、アゾ金属錯塩系、アザポルフィリン系、ビスアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機色素化合物を用いることができる。また、上記化合物としては、近赤外線吸収層2に含まれる樹脂と近赤外線吸収化合物との相溶性を変化させない化合物を用いることがより好ましい。
さらに、近赤外線吸収層2は、480nm〜500nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、例えば三波長蛍光下でのディスプレイの明所コントラストが向上する。上記化合物は、波長820nm〜1100nmの全領域において近赤外線吸収層2の分光透過率を変化させない化合物であれば特に限定されず、例えば、シアニン系、スクワリウム系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、アジン系、チオピリウム系、ビオローゲン系、アゾ系、アゾ金属錯塩系、アザポルフィリン系、ビスアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機色素化合物を用いることができる。また、上記化合物としては、近赤外線吸収層2に含まれる樹脂と近赤外線吸収化合物との相溶性を変化させない化合物を用いることがより好ましい。
近赤外線吸収層2の厚さは、2μm〜7μmが好ましく、3μm〜5μmがより好ましい。近赤外線吸収層2の厚さが2μm未満では、近赤外線(波長820nm〜1100nmの領域の発光)の分光透過率を20%以下にするためには樹脂に対する近赤外線吸収化合物の添加量を増加させる必要があり、未溶解の近赤外線吸収化合物が生じてHaze値が大きくなるという問題が生じる。また、厚さが7μmを超えると、例えば、光学フィルムをロール・ツウ・ロール方式で連続生産した場合、光学フィルムを表示パネルに貼り付ける際にフィルムの屈曲工程があった場合等において、光学フィルムの近赤外線吸収層にクラックが生じるおそれがある。
近赤外線吸収層2に添加する近赤外線吸収化合物の添加量は、使用する近赤外線吸収化合物の近赤外線吸収係数によって異なるが、近赤外線吸収層2に求められる近赤外線の分光透過率の値に応じて、適宜決定することができる。
本実施形態の光学フィルムのHaze値は、1.5%以下であることが好ましい。Haze値が1.5%を超えると、例えばPDPの前面板として使用した場合、画像の鮮やかさが損なわれるといった不都合が生じる。
また、本実施形態の光学フィルムは、耐熱性試験(温度80℃で1000時間保存)、又は耐湿熱性試験(温度60℃、相対湿度90%で1000時間保存)、又は耐光性試験(照射強度60W/m2、BP温度63℃、相対湿度50%で16時間光照射)後の波長300nm〜1100nmの領域における分光透過率の変化率が、0.01%以上20%以下であることが好ましい。特に、波長820nm〜1100nmの領域における分光透過率の変化率が20%を超えると、例えばリモートコントロールの誤作動の原因や、近赤外線吸収層の色変化の原因となるため好ましくない。
本明細書では、上記分光透過率の変化率は、下記数式から算出するものとする。
(数1)
分光透過率の変化率(%)=(|Tint(WL)−Tend(WL)|/Tint(WL))×100
上記数式において、Tint(WL)は上記試験前の波長WLでの分光透過率、Tend(WL)は上記試験後の波長WLでの分光透過率を表す。
(数1)
分光透過率の変化率(%)=(|Tint(WL)−Tend(WL)|/Tint(WL))×100
上記数式において、Tint(WL)は上記試験前の波長WLでの分光透過率、Tend(WL)は上記試験後の波長WLでの分光透過率を表す。
(実施形態2)
図2は、本発明の光学フィルムの他の一例を示す断面図である。図2において、図1に示した光学フィルムと同じ構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、同じ部材は同様の効果を有する。
図2は、本発明の光学フィルムの他の一例を示す断面図である。図2において、図1に示した光学フィルムと同じ構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、同じ部材は同様の効果を有する。
本実施形態の光学フィルムは、基材1と、基材1の一方の主面に配置された近赤外線吸収層2と、この基材1の他方の主面に配置されたハードコート層3と、このハードコート層3の上に配置された反射防止層4から形成されている。また、反射防止層4は、屈折率の異なる3層から形成され、ハードコート層3側から中屈折率層4a、高屈折率層4b、低屈折率層4cの順に配置されている。
ハードコート層3の材料は、硬度が高く透光性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、ウレタン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化型樹脂、電磁波硬化型樹脂等を用いることができる。特に表面硬度が高い電磁波硬化型樹脂を用いることがより好ましい。また、ハードコート層3は、無機微粒子をさらに含むことが好ましい。無機微粒子を含むことによってハードコート層3は、より高い表面硬度が得られるとともに、樹脂等の硬化による収縮を緩和できる。無機微粒子の材料としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、酸化ジルコニウム等を用いることができる。
基材1の上にハードコート層3を形成する方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法を用いることができる。ハードコート層3の厚さは、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜7μmがより好ましい。
反射防止層4の平均反射率は、波長450nm〜650nmの領域において0.05%以上1%以下の範囲、波長650nm〜750nmの領域において0.05%以上1.5%以下の範囲が好ましい。さらに、反射防止層4の反射光の表色は、CIE1976(L*a*b*)表色系において、−8≦a*≦8、−20≦b*≦−2の範囲が好ましく、−4≦a*≦3、−15≦b*≦−4の範囲がより好ましく、−1≦a*≦1、−10≦b*≦−6がより一層好ましい。反射防止層4を上記のように設定することにより、広い波長領域において反射率が低く、反射光の色度が無彩色領域である近赤外線遮蔽体が得られる。また、例えば、近赤外線遮蔽体をディスプレイ用前面板に用いた場合、ディスプレイの表示品位を高品質化できる。
ハードコート層3の上に反射防止層4を形成する方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート等の塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法を用いることができる。
中屈折率層4aは、屈折率nmが1.53以上1.65以下の範囲、より好ましくは1.57以上1.63以下の範囲であり、その材料が透光性を有していれば特に限定されない。その材料としては、例えば、屈折率の高い無機微粒子を有機物成分中に均一に分散させたコーティング組成物等を好適に用いることができる。上記有機物成分としては、例えば、熱硬化型樹脂又は電磁波硬化型樹脂等の架橋可能な有機物を用いることができる。また、上記無機微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム等の微粒子を用いることができる。特に、高い導電性を有するITO微粒子又はATO微粒子を用いれば、中屈折率層4aの帯電を防止する効果が得られるのでより好ましい。
中屈折率層4aの屈折率nmとその厚さdmとの積nmdm(光学厚さ)は、110nm以上163nm以下の範囲が好ましく、125nm以上150nm以下の範囲がより好ましい。
高屈折率層4bは、屈折率nhが1.70以上1.95以下の範囲、より好ましくは1.76以上1.84以下の範囲であり、その材料が透光性を有していれば特に限定されない。その材料としては、例えば、屈折率の最も高い無機微粒子である酸化チタン微粒子を有機物成分中に均一に分散させたコーティング組成物を好適に用いることができる。上記有機物成分としては、例えば、熱硬化型樹脂又は電磁波硬化型樹脂等の架橋可能な有機物を用いることができ、この高屈折率層4bは、コーティング組成物が強固に架橋した膜として形成される。また、酸化チタン微粒子は光触媒作用が弱く、且つ屈折率も高いルチル構造の酸化チタン微粒子を用いることがより好ましい。アナターゼ構造の酸化チタン微粒子は、光触媒作用があり、紫外線の照射によりこの膜を構成する樹脂成分や基材等の有機物を分解してしまうからである。酸化チタン微粒子の量は、硬化後の高屈折率層4bの全重量の50重量%以上65重量%以下が好ましい。また、上記屈折率を満足できるのであれば、上記酸化チタンに、例えば酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子を添加することにより、高屈折率層4bに帯電防止機能を付与できる。
高屈折率層4bの屈折率nhとその厚さdhとの積nhdh(光学厚さ)は225nm以上325nm以下の範囲が好ましく、250nm以上300nm以下の範囲がより好ましい。
また、高屈折率層4b中の有機物成分の一部は、屈折率が1.60以上1.80以下の範囲、より好ましくは1.65以上1.75以下の範囲である有機物成分であることが好ましい。高屈折率層4b中の無機微粒子の量を低減しても、屈折率を高めることができるからである。無機微粒子の量を低減することにより、高屈折率層4b中における有機物成分の架橋の低下を防止でき、有機物成分の硬化を促進し、この層の耐擦傷性を向上させることができる。上記有機物成分の屈折率が1.60未満では、高屈折率層4b中の微粒子量の低減効果が不十分となり、その屈折率が1.80を超えると反射光の黄色味が強くなる傾向があり好ましくない。屈折率が1.60以上1.80以下の範囲にある高屈折率の有機物成分としては、芳香環、硫黄、臭素等を含む有機化合物等を用いることができ、より具体的には、例えば、ジフェニルスルフィドやその誘導体等を用いることができる。
低屈折率層4cは、屈折率nlが1.30以上1.47以下の範囲、より好ましくは1.35以上1.45以下の範囲であり、その材料が透光性を有していれば特に限定されない。その材料としては、例えば、フッ素系又はシリコーン系有機化合物、二酸化珪素(シリカ)、フッ化マグネシウム等の無機微粒子又は二酸化珪素(シリカ)、フッ化マグネシウム等の屈折率の低い粒子を中空状にした無機微粒子を有機物成分中に均一に分散させたコーティング組成物を好適に用いることができる。上記有機物成分としては、例えば、熱硬化型樹脂又は電磁波硬化型樹脂等の架橋可能な有機物を用いることができる。特に、電磁波硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、窒素等の不活性ガスをパージして、酸素濃度が1000ppm以下になる条件下で紫外線照射を行うことが好ましい。これより、酸素による重合阻害を防止することができる。
低屈折率層4cの屈折率nlとその厚さdlとの積nldl(光学厚さ)は、110nm以上163nm以下の範囲が好ましく、125nm以上150nm以下の範囲がより好ましい。
本実施形態の反射防止層4は、外光の反射を低減できるものであれば、上述の構成に特に限定されるものではない。例えば、反射防止層の層数は、反射の程度と反射光の品位、コストに応じて単層、二層、三層構造のように適宜層構造とすることが可能である。一般に、単層構造で反射防止を行うためには、屈折率と厚さの積である光学厚さはλ/4(λは入射光波長を示し、一般には550nmを用いる。)とする。二層構造の場合、人間の目の視感度の高い波長のみの反射率を低減させるためには、基材側から高屈折率層、低屈折率層の順に積層させて、それぞれの光学厚さはλ/4、λ/4とし、広い波長領域で反射率を低くするためには、基材側から高屈折率層、低屈折率層の順に積層させて、それぞれの光学厚さはλ/2、λ/4とする。三層構造の場合、より広い波長領域で反射率を低くするためには、基材側から中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に積層させて、それぞれの光学厚さをλ/4、λ/2、λ/4とすればよい。
なお、実施形態1の光学フィルムのみでもディスプレイ用の前面板の部材として使用できるが、実施形態2に示したように、反射防止機能等の複数の機能を備えた複合光学フィルムを使用することがより好ましい。
(実施形態3)
図3は、本発明のディスプレイ用前面板の一例を示す断面図である。本実施形態のディスプレイ用前面板11は、基板12と、基板12の一方の主面に配置された近赤外線遮蔽体13及び他方の主面に配置された電磁波遮蔽体14と、電極(アース)15から形成されている。基板12の材料は、透光性を有する材料であれば特に限定されず、例えば強化ガラス等を用いればよい。近赤外線遮蔽体13としては、例えば、実施形態2の光学フィルムをそのまま用いることができる。本実施形態によれば、近赤外線の遮蔽性に優れ、長期間保存しても近赤外線吸収性能が低下しない近赤外線遮蔽体の機能と、電磁波遮蔽体の機能とを有するディスプレイ用前面板を得られる。
図3は、本発明のディスプレイ用前面板の一例を示す断面図である。本実施形態のディスプレイ用前面板11は、基板12と、基板12の一方の主面に配置された近赤外線遮蔽体13及び他方の主面に配置された電磁波遮蔽体14と、電極(アース)15から形成されている。基板12の材料は、透光性を有する材料であれば特に限定されず、例えば強化ガラス等を用いればよい。近赤外線遮蔽体13としては、例えば、実施形態2の光学フィルムをそのまま用いることができる。本実施形態によれば、近赤外線の遮蔽性に優れ、長期間保存しても近赤外線吸収性能が低下しない近赤外線遮蔽体の機能と、電磁波遮蔽体の機能とを有するディスプレイ用前面板を得られる。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基材として、表裏両面を易接着処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製“U−34”)を準備した。また、近赤外線吸収層の材料として、カウンターアニオンとしてフッ素系イオンを含む前述の式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物(日本化薬社製“IRG−068”)6重量部、カウンターアニオンとして上記ジイモニウム化合物と同じフッ素系イオンを含む前述の式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物(日本化薬社製“CYP−4646(F)”、最大吸収波長845nm)1重量部、及び置換ベンゼンジチオール金属(銅)錯体アニオンを含む前述の式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物(住友精化社製“SD50−E05N”、最大吸収波長833nm)1重量部、アクリル樹脂(三菱レイヨン社製“ダイヤナールBR−52”)100重量部、メチルエチルケトン125重量部、トルエン460重量部を準備した。次に、これらの近赤外線吸収層の材料を混合・撹拌させたコーティング液を、乾燥後の厚さが4μmになるようにマイクログラビアコータを用いて、上記基材上に塗布して乾燥して近赤外線吸収層を形成し、本実施例の光学フィルム(近赤外線遮蔽体)を作製した。
基材として、表裏両面を易接着処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製“U−34”)を準備した。また、近赤外線吸収層の材料として、カウンターアニオンとしてフッ素系イオンを含む前述の式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物(日本化薬社製“IRG−068”)6重量部、カウンターアニオンとして上記ジイモニウム化合物と同じフッ素系イオンを含む前述の式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物(日本化薬社製“CYP−4646(F)”、最大吸収波長845nm)1重量部、及び置換ベンゼンジチオール金属(銅)錯体アニオンを含む前述の式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物(住友精化社製“SD50−E05N”、最大吸収波長833nm)1重量部、アクリル樹脂(三菱レイヨン社製“ダイヤナールBR−52”)100重量部、メチルエチルケトン125重量部、トルエン460重量部を準備した。次に、これらの近赤外線吸収層の材料を混合・撹拌させたコーティング液を、乾燥後の厚さが4μmになるようにマイクログラビアコータを用いて、上記基材上に塗布して乾燥して近赤外線吸収層を形成し、本実施例の光学フィルム(近赤外線遮蔽体)を作製した。
上記光学フィルムの分光透過率を分光光度計(日本分光社製“U−Best V−570”)にて測定したところ、図4に示すように、波長820nm〜1100nmの領域における分光透過率は5%以下であった。
(実施例2)
基材に、表裏両面を易接着処理した厚さ100μmの紫外線カット性PETフィルム(東レ社製“ルミラーQT58”)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして近赤外線遮蔽体を作製した。
基材に、表裏両面を易接着処理した厚さ100μmの紫外線カット性PETフィルム(東レ社製“ルミラーQT58”)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして近赤外線遮蔽体を作製した。
次に、シリカ超微粒子を含有したアクリレート系紫外線硬化型ハードコート材(JSR社製“デソライトZ7501”)100重量部と、メチルイソブチルケトン35重量部とを混合・撹拌してコーティング液を調製し、このコーティング液を上記PETフィルムの近赤外線吸収層側とは反対の表面に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥した。その後、紫外線を300mJ/cm2の強度で照射して硬化させ、上記PETフィルムの表面に厚さ4μmのハードコート層を形成した。
次に、無機超微粒子を含有したアクリレート系紫外線硬化型コート材(JSR社製“オプスターTU4005”)100重量部、多官能アクリレート(日本化薬社製“DPHA”)5重量部、及びシクロヘキサノン200重量部を混合・撹拌してコーティング液を調製し、このコーティング液を上記ハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥した。その後、紫外線を300mJ/cm2の強度で照射して硬化させ、上記ハードコート層の表面に厚さ72nmの中屈折率層(屈折率1.60)を形成した。
続いて、酸化チタン超微粒子(石原テクノ社製“TTO55(A)”)30重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学社製“ライトエステルDM”)1重量部、リン酸基含有メタクリレート(日本化薬社製“KAYAMER PM−21”)4重量部、及びシクロヘキサノン65重量部を混合した組成物を、サンドグラインドミルを用いて分散させて酸化チタン超微粒子分散体を調製し、これにアクリレート系紫外線硬化型ハードコート材(三洋化成工業社製“サンラッドH−601R”)15重量部、メチルイソブチルケトン600重量部を配合分散してコーティング液を調製した。このコーティング液を上記中屈折率層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥した。その後、紫外線を500mJ/cm2の強度で照射して硬化させ、上記中屈折率層の表面に厚さ130nmの高屈折率層(固形分中に占める酸化チタン微粒子の量60重量%、屈折率1.80)を形成した。
さらに、フッ素系ポリマー含有熱硬化型低屈折率反射防止材(JSR社製“オプスターTT1006”)100重量部と、メチルイソブチルケトン20重量部とを混合・撹拌してコーティング液を調製し、このコーティング液を上記高屈折率層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布して乾燥した。その後、120℃で6分間熱処理を行い、上記高屈折率層の表面に厚さ92nmの低屈折率層(屈折率1.41)を形成した。
以上のように、ハードコート層と、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層からなる反射防止層とを備えた本実施例の光学フィルムを作製した。
(比較例1)
置換ベンゼンジチオール金属(銅)錯体アニオンを含む前述の式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物(住友精化社製“SD50−E05N”)に代えて、カウンターアニオンとしてジイモニウム化合物と同じフッ素系イオンを含む前述の式(2)で示される構造を有するシアニン化合物(日本化薬社製“CY−40MC(F)”、最大吸収波長820nm)1重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、本比較例の光学フィルムを作製した。
置換ベンゼンジチオール金属(銅)錯体アニオンを含む前述の式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物(住友精化社製“SD50−E05N”)に代えて、カウンターアニオンとしてジイモニウム化合物と同じフッ素系イオンを含む前述の式(2)で示される構造を有するシアニン化合物(日本化薬社製“CY−40MC(F)”、最大吸収波長820nm)1重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、本比較例の光学フィルムを作製した。
上記光学フィルムの分光透過率を実施例1と同様にして測定したところ、図5に示すように、波長820nm〜1100nmの領域における分光透過率は5%以下であった。
(比較例2)
カウンターアニオンとしてフッ素系イオンを含む前述の式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物(日本化薬社製“IRG−068”)に代えて、カウンターアニオンとしてClO-4イオンを含む前述の式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物(日本カーリット社製“CIR1080”)6重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、本比較例の光学フィルムを作製した。
カウンターアニオンとしてフッ素系イオンを含む前述の式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物(日本化薬社製“IRG−068”)に代えて、カウンターアニオンとしてClO-4イオンを含む前述の式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物(日本カーリット社製“CIR1080”)6重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、本比較例の光学フィルムを作製した。
次に、実施例1、2及び比較例1、2の光学フィルムをについて、耐熱性試験(温度80℃で1000時間保存)、耐湿熱性試験(温度60℃、相対湿度90%で1000時間保存)、及び耐光性試験(照射強度60W/m2、BP温度63℃、相対湿度50%で16時間光照射)を行い、各試験前後の分光透過率を分光光度計(日本分光社製“U−Best V−570型”)を用いて測定した。そして、特定波長(820nm、850nm、950nm、1000nm)の分光透過率の変化率を算出した。それぞれの結果については以下の基準で評価を行い、その結果を表1に示す。
<評価基準>
◎:試験前後における分光透過率の変化率が0.5%未満
○:試験前後における分光透過率の変化率が0.5%以上1.0%未満
×:試験前後における分光透過率の変化率が1.0%以上
◎:試験前後における分光透過率の変化率が0.5%未満
○:試験前後における分光透過率の変化率が0.5%以上1.0%未満
×:試験前後における分光透過率の変化率が1.0%以上
図1及び表1から、実施例1、2の光学フィルムは、高い近赤外線遮蔽性能を有し、且つ高い耐候性(耐光性・耐熱性・耐湿熱性)を有することが分かる。
以上説明したように本発明は、高い近赤外線遮蔽性能を有し、且つ高い耐光性を有する光学フィルムを提供できる。また、本発明の光学フィルムを用いることにより、電子ディスプレイ、特にPDPに好適なディスプレイ用前面板を提供できる。
1 基材
2 近赤外線吸収層
3 ハードコート層
4 反射防止層
4a 中屈折率層
4b 高屈折率層
4c 低屈折率層
11 ディスプレイ用前面板
12 基板
13 近赤外線遮蔽体
14 電磁波遮蔽体
15 電極
2 近赤外線吸収層
3 ハードコート層
4 反射防止層
4a 中屈折率層
4b 高屈折率層
4c 低屈折率層
11 ディスプレイ用前面板
12 基板
13 近赤外線遮蔽体
14 電磁波遮蔽体
15 電極
Claims (11)
- 基材と、前記基材の一方の主面に配置された近赤外線吸収層とを含む光学フィルムであって、
前記近赤外線吸収層は、近赤外線吸収化合物を含み、
前記近赤外線吸収化合物は、下記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物と、下記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物と、下記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物とを含み、
下記式(1)の中のカウンターアニオンX-と下記式(2)の中のカウンターアニオンX-とは、同一の種類のアニオンであることを特徴とする光学フィルム。
- 前記式(1)で示される構造を有するジイモニウム化合物は、950nm以上1150nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物である請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記式(2)で示される構造を有する第1のシアニン化合物及び前記式(3)で示される構造を有する第2のシアニン化合物は、それぞれ800nm以上950nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
- 前記近赤外線吸収層は、前記近赤外線吸収化合物を分散させる樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上である請求項4に記載の光学フィルム。
- 前記近赤外線吸収層は、580nm以上620nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記近赤外線吸収層は、540nm以上570nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記近赤外線吸収層は、480nm以上500nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記光学フィルムのHaze値は、1.5%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 前記光学フィルムは、ハードコート層と反射防止層とをさらに含み、前記ハードコート層と前記反射防止層とは、前記近赤外線吸収層が配置された前記基材の主面の反対面に配置されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルム。
- 基板上に、請求項1〜10のいずれか1項に記載された光学フィルムが配置されていることを特徴とするディスプレイ用前面板。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20120510 |