JP2010008497A - 近赤外線遮蔽体及びそれを用いたディスプレイ用前面板 - Google Patents

近赤外線遮蔽体及びそれを用いたディスプレイ用前面板 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた近赤外線吸収機能及びネオンカット機能を有し、かつ高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性が向上した近赤外線遮蔽体及びそれを用いたディスプレイ用前面板を提供する。
【解決手段】本発明の近赤外線遮蔽体10は、基材1と、前記基材1の一方の主面に配置されている近赤外線吸収層2を含み、前記近赤外線吸収層2は近赤外線吸収色素と可視光線吸収色素とを含み、前記近赤外線吸収色素はスルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物とシアニン化合物(A)とを含み、前記可視光線吸収色素はシアニン化合物(B)とを含む。また、本発明のディスプレイ用前面板は、基板上に、上記の本発明の近赤外線遮蔽体が配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ネオンカット機能を有する近赤外線遮蔽体及びそれを用いたディスプレイ用前面板に関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は近赤外線や電磁波などを発生して、近赤外線通信や他の電子機器の誤作動を引き起こすことから、通常、PDPの前面板に、波長800〜1200nmの領域の近赤外線を吸収する近赤外線遮蔽体を設けている。従来からこのような近赤外線遮蔽体として、例えば、樹脂に近赤外線吸収化合物を分散又は溶解させてフィルム状に構成したものが知られている。また、これらの近赤外線遮蔽体の長時間の使用における光学特性の安定性を向上させるために、近赤外線吸収化合物を分散させる樹脂のガラス転移温度を一定温度以上にする方法(特許文献1)や、近赤外線吸収化合物の分散又は溶解に用いた溶剤の残留溶剤量を低減させる方法(特許文献2)などが提案されている。
一方、プラズマディスプレイパネルは、ネオンオレンジ光を発光するため、プラズマディスプレイパネルの前面板にネオンカット機能を付与し、色の再現性やコントラスト調整などを可能とする必要があった。一般的には、PDPの前面板の粘着層や近赤外線遮蔽体中に可視光線吸収化合物を含ませることで、PDPの前面板にネオンカット機能を付与することが知られている。
最近では、近赤外線吸収色素としてフタロシアニン系色素を、可視光線吸収色素としてポルフィリン系色素又はアザポルフィリン系色素を用いることにより、近赤外線吸収機能とネオンカット機能を有するとともに、長時間の使用における光学特性の安定性を向上させた近赤外線遮蔽体が提案されている(特許文献3)。
特開平11−316309号公報 特許第3341741号公報 特許第3904028号公報
しかし、上記の特許文献3に記載のネオンカット機能を付与された近赤外線遮蔽体は、高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性は不十分であるという問題点があった。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、優れた近赤外線吸収機能及びネオンカット機能を有し、かつ高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性が向上した近赤外線遮蔽体及びそれを用いたディスプレイ用前面板を提供する。
本発明の近赤外線遮蔽体は、基材と、前記基材の一方の主面に配置されている近赤外線吸収層とを含む近赤外線遮蔽体であって、前記近赤外線吸収層は、近赤外線吸収色素と可視光線吸収色素とを含み、前記近赤外線吸収色素は、スルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物と、波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有し、かつ下記式(1)で表される構造を有するカチオンを含むシアニン化合物(A)とを含み、前記可視光線吸収色素は、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有し、かつ下記式(1)で表される構造を有するカチオンを含むシアニン化合物(B)とを含む。
Figure 2010008497
但し、式(1)の中、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、N原子と一緒に5員環の含窒素複素環、5員環の含窒素複素環を含む縮合環、6員環の含窒素複素環又は6員環の含窒素複素環を含む縮合環を完成するために必要な原子群を示し、R1及びR2は、炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは2〜4の整数を示す。
本発明のディスプレイ用前面板は、基板上に、上記の本発明の近赤外線遮蔽体が配置されている。
本発明によれば、優れた近赤外線吸収機能及びネオンカット機能を有し、かつ高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性が向上した近赤外線遮蔽体及びそれを用いたディスプレイ用前面板を提供できる。本発明によれば、好ましくは、さらにコストが低下した近赤外線遮蔽体及びそれを用いたディスプレイ用前面板を提供できる。
本発明のシアニン化合物(A)は、波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有し、かつ上記式(1)で表される構造を有するカチオンと下記式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体であることが好ましい。
Figure 2010008497
但し、式(2)の中、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、置換若しくは未置換のモルホリノ基、置換若しくは未置換のチオモルホリノ基、置換若しくは未置換のピペラジノ基、又は置換若しくは未置換のフェニル基を示し、Mは遷移金属原子を示す。
また、本発明のシアニン化合物(B)は、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有し、かつ上記式(1)で表される構造を有するカチオンと上記式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体であることが好ましい。
また、本発明の近赤外線遮蔽体の前記近赤外線吸収層は、前記近赤外線吸収色素と前記可視光線吸収色素とを分散させる樹脂を含むことが好ましい。また、前記樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上であることが好ましい。
また、本発明の近赤外線遮蔽体は、ハードコート層と反射防止層とをさらに含み、前記ハードコート層と反射防止層とが、前記近赤外線吸収層が配置された前記基材の一方の主面の反対面に配置されていることが好ましい。
本発明において、近赤外線吸収層が上記のようなスルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物、シアニン化合物(A)、シアニン化合物(B)を含むことにより、優れた近赤外線吸収機能及びネオンカット機能を有し、かつ高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性が向上した近赤外線遮蔽体を提供することができる。また、本発明において、上記のスルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物、シアニン化合物(A)、シアニン化合物(B)などを含む近赤外線吸収層を単層にすることで、コストを低下させることができる。また、本発明において、近赤外線遮蔽機能を発揮する近赤外線吸収色素として上記のシアニン化合物(A)を含み、ネオンカット機能を発揮する可視光線吸収色素として上記のシアニン化合物(B)を含むことにより、これらの色素の劣化が抑えられ、本発明の近赤外線遮蔽体の高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性が向上すると思われる。
本発明において、「高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性」は、耐熱試験及び耐湿熱試験前後における、近赤外線遮蔽体の波長800〜1200nmの近赤外線領域における分光透過率の変化率及びCIE1931XYZ表色系の色度図で示される透過光の色度の変化率で表す。ここで「耐熱試験」は、温度80℃の条件下にて、500時間保存することをいい、「耐湿熱試験」とは、温度60℃、相対湿度90%の条件下にて、500時間保存することをいう。また、「分光透過率の変化率」ΔT、及び「色度の変化率」Δx、Δyを、それぞれ下記の数式(1)及び(2)から算出する。なお、ΔTが小さい程、分光透過率の変化が少ないことを表し、Δx及びΔyの値が小さい程、色度の変化が少ないことを表す。
(数1)
分光透過率の変化率ΔT(%)={|Tint(WL)−Tend(WL)|/Tint(WL)}×100
数式(1)の中、Tint(WL)は上記保存前の波長WLでの分光透過率、Tend(WL)は上記保存後の波長WLでの分光透過率を表す。
(数2)
Δx=|xint−xend
Δy=|yint−yend
数式(2)の中、xint及びyintは上記保存前の透過光の色度、xend及びyendは上記保存後の透過光の色度を表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の近赤外線遮蔽体の一例について説明する。図1は、本発明の近赤外線遮蔽体の一例を示す断面図である。本実施形態の近赤外線遮蔽体10は、基材1と、基材1の一方の主面に配置された近赤外線吸収層2から形成されている。
〈基材〉
基材1は、透光性を有していれば特に限定されない。例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂などの材料をフィルム状又はシート状に加工したものを用いることができる。前記フィルム状又はシート状に加工する方法としては、例えば、押し出し成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、射出成形法、及び上記樹脂を溶剤に溶解させてキャスティングする方法などが挙げられる。なお、上記材料には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤などの添加剤が添加されていてもよい。また、前記基材1として、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがさらに好ましい。
前記基材1の厚みは素材により異なるが、通常10〜500μmであればよく、ポリエステルフィルムを用いる場合には、35〜260μmが好ましく、50〜200μmがさらに好ましい。前記基材の厚みが薄い場合には、ハンドリング性が不良となる。一方、前記基材の厚みが厚い場合にはコスト面で問題があるだけでなく、ロール状に巻き取って保存した場合に巻き癖による平面性不良が発生しやすくなる。
〈近赤外線吸収層〉
近赤外線吸収層2は、近赤外線吸収色素を含むことが必要である。本発明の近赤外線吸収層2における近赤外線吸収色素は、スルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物と、波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有し、かつ下記式(1)で表される構造を有するカチオンを含むシアニン化合物(A)とを含むことが必要である。
Figure 2010008497
但し、式(1)の中、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、N原子と一緒に5員環の含窒素複素環、5員環の含窒素複素環を含む縮合環、6員環の含窒素複素環又は6員環の含窒素複素環を含む縮合環を完成するために必要な原子群を示し、R1及びR2は、炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは2〜4の整数を示す。
上記のQ1若しくはQ2を含む5員環又は6員環の含窒素複素環としては、例えば、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、チアゾリン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、セレナゾリン環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール環、ナフトテルラゾール環、テルラゾリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾ〔4,5−b〕キノキサリン環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、テトラゾール環、及びピリミジン環などが挙げられる。これらの中では、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾ〔4,5−b〕キノキサリン環、チアジアゾール環、テトラゾール環、及びピリミジン環が好ましい。これらの5員環又は6員環の含窒素複素環は、更にベンゼン環、ナフトキノン環と縮合して、5員環の含窒素複素環を含む縮合環又は6員環の含窒素複素環を含む縮合環になる。
上記のQ1若しくはQ2を含む5員環又は6員環の含窒素複素環は置換基を有していても良い。好ましい置換基(原子)の例としては、ハロゲン原子、置換又は未置換のアルキル基、アリール基などが挙げられる。また、ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。また、アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基が好ましい。またアルキル基の置換基の例としては、メトキシ基などのアルコキシ基、メチルチオ基などのアルキルチオ基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記のR1及びR2で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、炭素数1〜8の直鎖状、環状、又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖状、環状、又は分岐鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
また、上記の式(1)で表される構造を有するカチオンとしては、下記の式(3)〜(5)で表されるカチオンを用いることが好ましい。
Figure 2010008497
Figure 2010008497
Figure 2010008497
また、本発明のシアニン化合物(A)は、波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有し、かつ上記式(1)で表される構造を有するカチオンと下記式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体であることが好ましい。
Figure 2010008497
但し、式(2)の中、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、置換若しくは未置換のモルホリノ基、置換若しくは未置換のチオモルホリノ基、置換若しくは未置換のピペラジノ基、又は置換若しくは未置換のフェニル基を示し、Mは遷移金属原子を示す。
前記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、及びイソヘキシル基などが挙げられる。
前記炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−n−プロピルアミノ基、N−n−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−エチルイソプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジ−n−プロピルアミノ基、及びN,N−ジ−n−ブチルアミノ基などが挙げられる。
前記置換若しくは未置換のモルホリノ基としては、例えば、モルホリノ基、2−メチルモルホリノ基、3−メチルモルホリノ基、2−エチルモルホリノ基、2−n−プロピルモルホリノ基、3−n−ブチルモルホリノ基、2,3−ジメチルモルホリノ基、2,6−ジメチルモルホリノ基、及び2−フェニルモルホリノ基などが挙げられる。
前記置換若しくは未置換のチオモルホリノ基としては、例えば、チオモルホリノ基、2−メチルチオモルホリノ基、3−メチルチオモルホリノ基、2−エチルチオモルホリノ基、2−n−プロピルチオモルホリノ基、3−n−ブチルチオモルホリノ基、2,3−ジメチルチオモルホリノ基、2,6−ジメチルチオモルホリノ基、及び2−フェニルチオモルホリノ基などが挙げられる。
前記置換若しくは未置換のピペラジノ基としては、例えば、ピペラジノ基、2−メチルピペラジノ基、3−メチルピペラジノ基、4−メチルピペラジノ基、2−エチルピペラジノ基、4−n−プロピルピペラジノ基、3−n−ブチルピペラジノ基、2,4−ジメチルピペラジノ基、2,6−ジメチルピペラジノ基、4−フェニルピペラジノ基、及び2−ピリミジルピペラジノ基などが挙げられる。
前記置換若しくは未置換のフェニル基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロ−4−ブロモフェニル基、4−アミノフェニル基、2,4−ジアミノフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、2−アセチルフェニル基、4−アセチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メチルチオフェニル基、及び4−メチルチオフェニル基などが挙げられる。
なお、上記式(2)において、有機溶媒への溶解性に優れている観点から、R3及びR4は、それぞれ独立して、N,N−ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基又はフェニル基であることが好ましい。
Mで表される遷移金属原子しては、Ni、Cu、Pd、Pt、Co、Fe、Snなどが挙げられる。特にNi、Cuなどが好ましい。
また、上記式(1)で表される構造を有するカチオンにおいてQ1、Q2、R1、R2及びnなどを適宜に選択することにより、波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有するシアニン化合物(A)とすることができる。さらに、シアニン化合物(A)が上記式(1)で表される構造を有するカチオンと上記式(2)で示される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体である場合は、上記式(1)の中のQ1、Q2、R1、R2、n及び上記式(2)の中のR3、R4、Mなどを適宜に選択することにより、波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有するシアニン化合物(A)とすることができる。
また、本発明に用いるシアニン化合物(A)は、市販品として入手可能であり、例えば、“TZ−109D”(株式会社ADEKA製)、“CYP−4646(F)”(日本化薬株式会社製)、“CY−40MC(F)”(日本化薬株式会社製)、“SD50−E04N”(住友精化株式会社製)、“SD50−E05N”(住友精化株式会社製)などが挙げられる。中でも、上記式(1)で表される構造を有するカチオンと上記式(2)で示される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体である、“SD50−E04N”及び“SD50−E05N”などが好ましい。
本発明において、上記のシアニン化合物(A)は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記スルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物としては、例えば、下記式(6)及び(7)で表される構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 2010008497
但し、式(6)及び式(7)の中で、R5〜R12は、それぞれ独立して、分岐鎖状のアルキル基又は炭素数1〜8の直鎖状の置換若しくは未置換のアルキル基を示し、X-、Y2-はそれぞれ1価と2価のカウンターアニオンを示す。
上記分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、1−メチルエチル(iso−プロピル)、1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)、1−メチルプロピル(sec−ブチル)、1,1−ジメチルプロピル、2−メチルプロピル(iso−ブチル)、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル(iso−アミル)、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、3−エチルブチル、2−エチルブチルなどの炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。中でも、好ましいものは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数3〜6の上記分岐鎖状のアルキル基である。
また、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルなどが挙げられる。これらの直鎖状のアルキル基に結合し得る置換基の例としては、シアノ、ヒドロキシ、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基などが挙げられる。
本発明において、上記のR5〜R12のうちの少なくとも1つは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、R5〜R12はそれぞれ異なるアルキル基であっても、一部又は全てが同じアルキル基であってもよい。
また、上記の式(6)の中、X-としては、例えば、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン、パーフロロアルカンスルホン酸イミドイオンなどの有機スルホン酸イオンが挙げられる。
また、上記の式(7)中、Y2-としては、例えば、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸イオン、R酸(例えば、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸)イオン、G酸(例えば、7−ヒドロキシナフタレンスルホン酸)イオン、H酸(例えば、1−アミノ−8−ナフトール−3,6−ジスルホン酸)イオン、ベンゾイルH酸イオン、p−クロロベンゾイルH酸イオン、クロルアセチルH酸イオン、C酸(例えば、3−アミノ−6−クロロトルエン−4,4−スルホン酸)イオン、p−トルエンスルホニルR酸イオン、ナフタリン−1,6−ジスルホン酸イオン、1−ナフトール−4,8−ジスルホン酸イオンなどのナフタレンジスルホン酸誘導体イオン、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸イオン、ナフタル酸イオン、ナフタリン−2,3’−ジカルボン酸イオン、ジフェン酸イオン、スチルベン−4,4’−ジカルボン酸イオン、6−スルホ−2−オキシ−3−ナフトエ酸イオン、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸イオン、1,6−ジアミノアントラキノン−2,7−ジスルホン酸イオン、2−(4−スルホニル)−6−アミノベンゾトリアゾール−5−スルホン酸イオン、6−(3−メチル−5−ピラゾニル)−1,3−ジスルホン酸イオン、1−ナフトール−6−(4−アミノ−3−スルホ)アニリノ−3−スルホン酸イオンなどが挙げられる。
本発明において、スルホン酸イミド誘導体としては特に限定されないが、例えば、パーフロロアルカンスルホン酸イミドイオンなどを用いることが好ましく、特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンのようなトリフルオロメタンスルホン酸イミドイオンなどを用いることがさらに好ましい。
上記のスルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物の市販品としては、例えば、“CIR−1085”(日本カーリット株式会社製)、“CIR−RL”(日本カーリット株式会社製)、“IRG−068”(日本化薬株式会社製)及び“IRG−022”(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
本発明において、上記のスルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のスルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物は、950〜1200nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物であれば、より好ましい。また、シアニン化合物(A)は、800〜900nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物であれば、より好ましい。両者を組み合わせることにより、800nm〜1200nmの波長領域におけるほぼ全ての近赤外線を吸収することができる。
また、近赤外線吸収層2は、必要に応じて、上記のシアニン化合物(A)及びスルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物に加えて、ジイモニウム系、フタロシアニン系、ジチオール金属錯体系、ナフタロシアニン系及びシアニン系などの近赤外線吸収色素をさらに含んでもよい。
近赤外線吸収層2は、可視光線吸収色素を含むことも必要である。本発明の近赤外線吸収層2における可視光線吸収色素は、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有し、かつ上記式(1)で表される構造を有するカチオンを含むシアニン化合物(B)を含むことが必要である。ここで、式(1)の説明については、上記の記述を準用する。なお、上記式(1)で表される構造を有するカチオンにおいてQ1、Q2、R1、R2及びnなどを適宜に選択することにより、好ましくはnを2にすることにより、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有するシアニン化合物(B)とすることができる。
また、本発明のシアニン化合物(B)は、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有し、かつ上記式(1)で表される構造を有するカチオンと上記式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体であることが好ましい。ここで、式(2)の説明については、上記の記述を準用する。なお、シアニン化合物(B)が上記式(1)で表される構造を有するカチオンと上記式(2)で示される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体である場合は、上記式(1)の中のQ1、Q2、R1、R2、n及び上記式(2)の中のR3、R4、Mなどを適宜に選択することにより、好ましくはnを2にすることにより、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有するシアニン化合物(B)とすることができる。
また、本発明のシアニン化合物(B)は、市販品として入手可能であり、例えば、上記式(1)で表される構造を有するカチオンと上記式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体である“SD50−E09V”(住友精化株式会社製)などが挙げられる。
本発明において、上記のシアニン化合物(B)は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、近赤外線吸収層2は、必要に応じて、上記のシアニン化合物(B)に加えて、波長550〜620nmの可視光線領域に最大吸収を有する、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ系、フタロシアニン系、キノン系、アズレニウム系、ピリリウム系、クロコニウム系、ジチオール金属錯体系、及びピロメテン系などの可視光線吸収色素をさらに含んでもよい。
本発明の近赤外線吸収層2は、前記近赤外線吸収色素と可視光線吸収色素とを分散させる樹脂を含む。前記近赤外線吸収色素又は可視光線吸収色素は、樹脂中に分散あるいは溶解された状態で、塗布法により、基材の一方の主面に配置される。
前記樹脂としては、近赤外線吸収色素若しくは可視光線吸収色素を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されないが、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂などを好適に用いることができる。中でも、色素混合時の透明性、耐熱性、耐溶剤性に優れるアクリル樹脂が好ましい。
また、上記の樹脂のガラス転移温度は、80℃以上であることが好ましい。樹脂のガラス転移温度が80℃未満の場合、色素と樹脂との相互作用、色素間の相互作用などが起こり、色素の変性が発生する傾向がある。
また、本発明の近赤外線吸収層2における前記近赤外線吸収色素の含有量は、樹脂に対し、1〜15重量%であればよく、1〜10重量%であることが好ましく、前記シアニン化合物(A)の含有量は、特に限定されないが、樹脂に対し、0.1〜10重量%であればよく、0.5〜3重量%であることが好ましい。樹脂中の近赤外線吸収色素の量が少ない場合には、目的とする近赤外線吸収機能を達成するために近赤外線吸収層の塗工量を増やす必要があり、これに伴って十分な乾燥をするには高温及び/又は長時間を要し、色素の劣化や基材の平面性不良などが起こりやすくなる。一方、樹脂中の近赤外線吸収色素の量が多い場合には、色素間の相互作用が強くなり、色素の経時的な変性が起こりやすくなる。
また、本発明の近赤外線吸収層2における前記可視光線吸収色素であるシアニン化合物(B)の含有量は、樹脂に対し、0.1〜10重量%であればよく、0.2〜5重量%であることが好ましい。樹脂中の可視光線吸収色素の量が少ない場合には、目的とする近赤外線吸収機能を達成するために近赤外線吸収層の塗工量を増やす必要があり、これに伴って十分な乾燥をするには高温及び/又は長時間を要し、色素の劣化や基材の平面性不良などが起こりやすくなる。一方、樹脂中の可視光線吸収色素の量が多い場合には、色素間の相互作用が強くなり、色素の経時的な変性が起こりやすくなる。
前記近赤外線吸収層2は、前記近赤外線吸収色素、可視光線吸収色素及び樹脂などを含む塗布液を前記基材上に塗布・乾燥することにより、単層として前記基材の一方の主面に配置される。また、塗工性の観点から、前記塗布液を有機溶媒により希釈することが好ましい。なお、上記の有機溶媒の添加量は、特に制限されず、塗工液における樹脂の含有量が5〜30重量%程度となるように用いればよい。
前記有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチレンエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテートなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピレン、酢酸n−ブチルなどのエステル類、及びアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン、ジアセトンアルコールなどのケトン類が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。
好ましくは、色素の溶解性に優れるケトン類を、塗布液に使用する全有機溶媒に対し、30〜80重量%含有させ、その他の有機溶媒は、レベリング性、乾燥性を考慮して選定することが好ましい。また、有機溶媒の沸点は、60〜180℃が好ましい。沸点が低い場合には、塗工中に塗布液の固形分濃度が変化し、塗工厚みが安定化しにくい傾向がある。逆に、沸点が高い場合には、塗膜中に残存する有機溶媒量が増え、経時安定性が不良となる傾向がある。
前記近赤外線吸収色素、可視光線吸収色素、樹脂、及び有機溶媒などを含む塗布液
を基材上に塗布して、基材1の一方の主面に近赤外線吸収層2を形成する方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、リバースコート、グラビアコートなどの塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法を用いることができる。
前記近赤外線吸収色素、可視光線吸収色素、樹脂、及び有機溶媒などを含む塗布液
を基材上に塗布し、乾燥する方法としては、公知の熱風乾燥、赤外線ヒーターによる乾燥などが挙げられるが、乾燥速度が早い熱風乾燥が好ましい。
また、近赤外線吸収層2の厚さは、2〜12μmが好ましく、2.5〜7μmがより好ましい。近赤外線吸収層2の厚さが2μm未満では、目的とする近赤外線吸収機能を達成するために、樹脂に対する近赤外線吸収色素の添加量を増加させる必要があり、未溶解の近赤外線吸収色素が生じる傾向がある。また、厚さが12μmを超えると、クラックが生じやすい傾向がある。
(実施形態2)
図2は、本発明の近赤外線遮蔽体の他の一例を示す断面図である。図2において、図1に示した近赤外線遮蔽体と同じ構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、同じ部材は同様の効果を有する。
本実施形態の近赤外線遮蔽体10は、基材1と、基材1の一方の主面に配置された近赤外線吸収層2と、この基材1の他方の主面に配置されたハードコート層3と、このハードコート層3の上に配置された反射防止層4から形成されている。また、上記反射防止層4は、屈折率の異なる3つの層から形成され、ハードコート層3側から中屈折率層4a、高屈折率層4b、低屈折率層4cの順に配置されている。
<ハードコート層>
ハードコート層3の材料は、硬度が高く透光性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、ウレタン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系などの熱硬化型樹脂組成物、電離放射線硬化型樹脂組成物などを用いることができる。特に表面硬度が高い電離放射線硬化型樹脂組成物を用いることがより好ましい。また、上記ハードコート層3は、無機微粒子をさらに含むことが好ましい。無機微粒子を含むことによってハードコート層3は、より高い表面硬度が得られるとともに、樹脂などの硬化による収縮を緩和できる。無機微粒子の材料としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、酸化ジルコニウムなどを用いることができる。また、上記無機微粒子は、微粒子状のものであればよく、その一次粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が特に好ましい。この範囲内であれば、樹脂中における分散性が向上するからである。なお、ここで、微粒子の1次粒子径の測定は、近赤外線遮蔽体をマイクロトーム(microtome)でカットし、カットした近赤外線遮蔽体断面片における微粒子の映像を透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡を用いて倍率20万倍で撮影し、微粒子の一番長い径とそれに直交方向の一番長い径を計測し、両者を平均して長軸短軸の平均径を算出することにより行なわれる。なお、少なくとも300個の微粒子の長軸短軸の平均径を算出し、それらの平均値を微粒子の1次粒子径とする。以下においても同様である。
基材1の上にハードコート層3を形成する方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、リバースコート、グラビアコートなどの塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法を用いることができる。ハードコート層3の厚さは、0.5μm〜10μmが好ましく、1μm〜7μmがより好ましい。
<反射防止層>
反射防止層4の平均反射率は、波長450nm〜650nmの領域において0.05%以上2%以下の範囲、波長650nm〜750nmの領域において0.05%以上4%以下の範囲が好ましい。さらに、反射防止層4の反射光の表色は、CIE1976(L***)表色系において、−8≦a*≦8、−20≦b*≦2の範囲が好ましく、−4≦a*≦3、−15≦b*≦0の範囲がより好ましく、−1≦a*≦1、−10≦b*≦0がより一層好ましい。反射防止層4を上述のように設定することにより、広い波長領域において反射率が低く、反射光の色度が無彩色領域である近赤外線遮蔽体が得られる。また、例えば、上記のような近赤外線遮蔽体をディスプレイ用前面板に用いた場合、ディスプレイの表示品位を高品質化できる。
ハードコート層3の上に反射防止層4を形成する方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、リバースコート、グラビアコートなどの塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法を用いることができる。
中屈折率層4aは、屈折率nmが1.53以上1.65以下の範囲、より好ましくは1.57以上1.63以下の範囲であり、その材料が透光性を有していれば特に限定されない。その材料としては、例えば、屈折率の高い無機微粒子を有機物成分中に均一に分散させたコーティング組成物などを好適に用いることができる。上記有機物成分としては、例えば、熱硬化型樹脂組成物又は電離放射線硬化型樹脂組成物などの架橋可能な有機物を用いることができる。また、上記無機微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの微粒子を用いることができる。特に、高い導電性を有するITO微粒子又はATO微粒子を用いれば、中屈折率層4aの帯電を防止する効果が得られるのでより好ましい。また、上記無機微粒子は、微粒子状のものであればよく、その一次粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が特に好ましい。この範囲内であれば、樹脂中における分散性が向上するからである。
中屈折率層4aの屈折率nmとその厚さdmとの積nmm(光学厚さ)は、110nm以上163nm以下の範囲が好ましく、125nm以上150nm以下の範囲がより好ましい。
高屈折率層4bは、屈折率nhが1.70以上1.95以下の範囲、より好ましくは1.76以上1.84以下の範囲であり、その材料が透光性を有していれば特に限定されない。その材料としては、例えば、屈折率の最も高い無機微粒子である酸化チタン微粒子を有機物成分中に均一に分散させたコーティング組成物を好適に用いることができる。上記有機物成分としては、例えば、熱硬化型樹脂組成物又は電離放射線硬化型樹脂組成物などの架橋可能な有機物を用いることができ、この高屈折率層4bは、コーティング組成物が強固に架橋した膜として形成される。また、酸化チタン微粒子としては光触媒作用が弱く、かつ屈折率も高いルチル構造の酸化チタン微粒子を用いることがより好ましい。アナターゼ構造の酸化チタン微粒子は、光触媒作用があり、紫外線の照射によりこの膜を構成する樹脂成分や基材などの有機物を分解してしまうからである。酸化チタン微粒子の量は、硬化後の高屈折率層4bの全重量の50重量%以上65重量%以下が好ましい。また、上記屈折率を満足できるのであれば、例えば酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズなどの導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子を添加することにより、高屈折率層4bに帯電防止機能を付与できる。
高屈折率層4bの屈折率nhとその厚さdhとの積nhh(光学厚さ)は225nm以上325nm以下の範囲が好ましく、250nm以上300nm以下の範囲がより好ましい。
また、上記高屈折率層4b中の有機物成分の一部は、屈折率が1.60以上1.80以下の範囲、より好ましくは1.65以上1.75以下の範囲である有機物成分であることが好ましい。高屈折率層4b中の無機微粒子の量を低減しても、屈折率を高めることができるからである。無機微粒子の量を低減することにより、高屈折率層4b中における有機物成分の架橋の低下を防止でき、有機物成分の硬化を促進し、この層の耐擦傷性を向上させることができる。上記有機物成分の屈折率が1.60未満では、高屈折率層4b中の無機微粒子量の低減効果が不十分となり、その屈折率が1.80を超えると反射光の黄色味が強くなる傾向があり好ましくない。屈折率が1.60以上1.80以下の範囲にある高屈折率の有機物成分としては、芳香環、硫黄、臭素などを含む有機化合物などを用いることができ、より具体的には、例えば、ジフェニルスルフィドやその誘導体などを用いることができる。
低屈折率層4cは、屈折率nlが1.30以上1.47以下の範囲、より好ましくは1.35以上1.45以下の範囲であり、その材料が透光性を有していれば特に限定されない。その材料としては、例えば、フッ素系又はシリコーン系有機化合物、二酸化珪素(シリカ)、フッ化マグネシウムなどの無機微粒子又は二酸化珪素(シリカ)、フッ化マグネシウムなどの屈折率の低い粒子を中空状にした無機微粒子を有機物成分中に均一に分散させたコーティング組成物を好適に用いることができる。上記有機物成分としては、例えば、熱硬化型樹脂組成物又は電離放射線硬化型樹脂組成物などの架橋可能な有機物を用いることができる。
低屈折率層4cの屈折率nlとその厚さdlとの積nll(光学厚さ)は、110nm以上163nm以下の範囲が好ましく、125nm以上150nm以下の範囲がより好ましい。
なお、中屈折率層4a、高屈折率層4b、及び低屈折率層4cの材料として、電離放射線硬化型樹脂組成物である紫外線硬化型樹脂組成物を用いる場合には、窒素などの不活性ガスをパージして、酸素濃度が1000ppm以下になる条件下で紫外線照射を行うことが好ましい。これにより、酸素による重合阻害を防止することができる。
本実施形態の反射防止層4は、外光の反射を低減できるものであれば、上述の構成に特に限定されるものではない。例えば、反射防止層の層数は、反射の程度と反射光の品位、コストなどに応じて一層、二層、三層構造のように適宜の層構造とすることが可能である。なお、反射防止層が2層以上の層から形成されている場合には、反射防止層の最上層を、前述したような低屈折率層とする。
一般に、一層構造で反射防止を行うためには、ハードコート層の上に低屈折率層を配置し、その屈折率と厚さの積である光学厚さはλ/4(λは可視光線波長を示しており、人間の目の視感度が高い光の波長550nmに設定されることが多い)とすると、反射率が低くなり好ましい。二層構造の場合、人間の目の視感度の高い波長のみの反射率を低減させるためには、ハードコート層の上に基材側から高屈折率層、低屈折率層の順に配置し、それぞれの光学厚さはλ/4、λ/4とし、広い波長領域で反射率を低くするためには、ハードコート層の上に基材側から高屈折率層、低屈折率層の順に配置し、それぞれの光学厚さはλ/2、λ/4とする。
なお、実施形態1の近赤外線遮蔽体のみでもディスプレイ用の前面板の部材として使用できるが、実施形態2に示したように、反射防止機能などの複数の機能を備えた近赤外線遮蔽体を使用することがより好ましい。また、複数の機能を備えた近赤外線遮蔽体の別の例として、例えば、電磁波遮蔽機能を有するフィルムに反射防止機能及び近赤外線遮蔽機能を備えた近赤外線遮蔽体が挙げられる。このような複数の機能を備えた近赤外線遮蔽体は、フィルムフィルタとして使用することができる。
(実施形態3)
図3は、本発明のディスプレイ用前面板の一例を示す断面図である。本実施形態のディスプレイ用前面板20は、基板11と、基板11の一方の主面に配置された近赤外線遮蔽体12及び他方の主面に配置された電磁波遮蔽体13と、電極(アース)14から形成されている。
基板11の材料は、透光性を有し、ディスプレイを保護するために十分な強度を備えた材料であれば特に限定されず、例えば強化ガラスなどのガラス基材やプラスチック基材などを用いればよい。基板11の厚さもディスプレイの種類や基板の材質によって異なり、特に限定されず、通常は0.1〜20mm、好ましくは0.1〜15mmのものが用いられる。
近赤外線遮蔽体12としては、例えば、実施形態2の近赤外線遮蔽体10をそのまま用いることができる。基板11への近赤外線遮蔽体12の接着は、適宜接着剤又は粘着剤で基板上に貼り合わせればよい。この場合、近赤外線遮蔽体12は、その近赤外線吸収層が配置された主面が基板11側になるように配置される。
電磁波遮蔽体13としては、透光性を有し、電磁波を遮蔽する機能を有するものであれば特に限定されず、例えば透明基材上に透明導電薄膜や導電性メッシュなどを配置したものなど従来公知のものを用いることができる。
本実施形態によれば、近赤外線の遮蔽性に優れ、高温、高湿下の長時間保存における近赤外線吸収性能が低下しない近赤外線遮蔽体の機能と、電磁波遮蔽体の機能と、ネオンカット機能とを有するディスプレイ用前面板が得られる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例で使用した特性値の測定方法及び効果の評価方法は下記のとおりである。
<光線透過率>
分光光度計“U−Best V−570型”(日本分光株式会社製)を用い、波長300nm〜1200nmの範囲での分光透過率を測定した。
<色度>
CIE1931XYZ表色系の色度図により、透過光の色度(x、y)を算出した。
<耐熱性試験>
耐熱性試験は、温度80℃の条件下にて、500時間保存することで行った。
<耐湿熱性試験>
耐湿熱性試験は、温度60℃、相対湿度90%の条件下にて、500時間保存することで行った。
<経時安定性>
上記のとおり、耐熱性試験前後及び耐湿熱性試験前後の分光透過率及び色度を測定し、その分光透過率の変化率ΔT並びに上記色度変化Δx及びΔyを、それぞれ上記の数式(1)及び(2)から算出した。
(実施例1)
まず、基材として、表裏両面を易接着処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製“U−34”)を準備した。
次に、近赤外線吸収層の材料として下記の(a)〜(g)を準備した。
(a)スルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物として、カウンターアニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンを含むジイモニウム化合物“CIR−RL”(日本カーリット株式会社製):7.5重量部
(b)シアニン化合物(A)として、上記の式(1)で表される構造を有するカチオンと上記の式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属(銅)錯体アニオンとの対イオン結合体からなる化合物“SD50−E04N”(最大吸収波長877nm、住友精化株式会製):1重量部
(c)シアニン化合物(A)として、上記の式(1)で表される構造を有するカチオンと上記の式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属(銅)錯体アニオンとの対イオン結合体からなる化合物“SD50−E05N”(最大吸収波長833nm、住友精化株式会製):1重量部
(d)シアニン化合物(B)として、上記の式(1)で表される構造を有するカチオンと上記の式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属(銅)錯体アニオンとの対イオン結合体からなる化合物“SD50−E09V”(最大吸収波長580nm、住友精化株式会製):1.3重量部
(e)アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製“ダイヤナールBR−52”、ガラス転移温度105℃):100重量部
(f)メチルエチルケトン:375重量部
(g)トルエン:375重量部
続いて、これらの材料を混合・撹拌させた塗布液を、乾燥後の厚さが4μmになるようにマイクログラビアコータ(株式会社安井精機製)を用い、上記基材上に塗布して近赤外線吸収層を形成し、実施例1の近赤外線遮蔽体を作製した。
(実施例2)
実施例1における(b)及び(c)を、下記の(h)、(i)及び(j)とする以外は実施例1と同様の材料を用いた。
(h)シアニン化合物(A)として、上記の式(1)で表わされる構造を有するカチオンを含むシアニン化合物“TZ−109D”(最大吸収波長875nm、株式会社ADEKA製):0.4重量部
(i)シアニン化合物(A)として、上記の式(1)で表わされる構造を有するカチオンを含むシアニン化合物“CYP−4646(F)”(最大吸収波長845nm、日本化薬株式会社製):0.4重量部
(j)シアニン化合物(A)として、上記の式(1)で表わされる構造を有するカチオンを含むシアニン化合物“CY−40MC(F)”(最大吸収波長820nm、日本化薬株式会社製):0.5重量部
続いて、これらの材料を混合・撹拌させた塗布液を用い、実施例1と同様にして実施例2の近赤外線遮蔽体を作製した。
(実施例3)
実施例1と同様に形成した近赤外線遮蔽体の近赤外線吸収層が配置された基材の一方の主面の反対面(以下、基材の反対面という)に、基材側から順番に、ハードコート機能を有するハードコート層及び反射防止機能を有する低屈折率層を形成し、実施例3の近赤外線遮蔽体を作製した。
先ず、下記のとおり、ハードコート層の形成に用いる無機微粒子を分散させた電離放射線硬化型樹脂組成物を調製した。
(1)アンチモンドープ酸化スズ微粒子(三菱マテリアル株式会社製、一次粒子径20nm):5.5重量部
(2)酸化ジルコニウム微粒子(第一稀元素化学工業株式会社製、一次粒子径10nm):4.5重量部
(3)“Disperbyk−180”(ビックケミー・ジャパン株式会社製、分散剤):1.0重量部
(4)アセチルアセトン:5.0重量部
(5)プロピレングリコールモノメチルエーテル:30重量部
以上の成分を有する組成物に、液の攪拌分散用のビーズとして直径0.3mmのジルコニアビーズを入れ、ペイントシェーカーで3時間分散した後、ジルコニアビーズを取除き、ATO:ZrO2の重量比が55:45の分散液を調製した。上記で調製した分散液に、紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート:2重量部、紫外線硬化型樹脂であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:2.7重量部、“IRGACURE907”(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製、光重合開始剤):0.3重量部を添加してハードコート層の形成に用いる塗料(以下、ハードコート層用塗料と記す)を調製した。
上記で調製したハードコート層用塗料を、実施例1と同様に作製した近赤外線遮蔽体の基材の反対面に、マイクログラビアコータを用いて塗布し、乾燥させた。続いて塗膜に紫外線を500mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、膜厚1.5μmのハードコート層を形成した。
その後、中空シリカ微粒子分散電離放射線硬化型低屈折率塗料(触媒化成工業株式会社製、“ELCOM P−5013”)を、上記のハードコート層の上に、マイクログラビアコータを用いて塗布し、乾燥させた。続いて、塗膜に紫外線を800mJ/cm2の線量で照射して塗膜を硬化させ、厚さ約100nmであり、屈折率が1.40の低屈折率層を形成し、実施例3の近赤外線遮蔽体を作製した。
(実施例4)
実施例2と同様に作製した近赤外線遮蔽体の基材の反対面に、実施例3と同様に、基材側から順番に、ハードコート機能を有するハードコート層及び反射防止機能を有する低屈折率層を形成し、実施例4の近赤外線遮蔽体を作製した。
(比較例1)
可視光線吸収色素として、テトラアザポルフィリン化合物を用いた以外は、実施例2と同様の材料を用い、実施例2と同様にして比較例1の近赤外線遮蔽体を作製した。
(比較例2)
可視光線吸収色素を含まない以外は、実施例2と同様にして比較例2の近赤外線遮蔽体を作製した。
得られた実施例1〜4及び比較例1、2の近赤外線遮蔽体の分光透過率を測定した。その結果、実施例1〜4の近赤外線遮蔽体は、波長800〜1200nmの近赤外線領域の吸収が強く、また波長580nm付近に吸収を有していることが分かった。
また、得られた実施例1〜4及び比較例1、2の近赤外線遮蔽体を用いて上記のとおり耐熱試験及び耐湿熱試験を行い、試験前後のこれらの近赤外線遮蔽体の分光透過率を測定し、CIE1931XYZ表色系の色度図から透過光の色度(x,y)も算出した。さらに、実施例1〜4及び比較例1、2の近赤外線遮蔽体の高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性を示す、耐熱試験及び耐湿熱試験前後の分光透過率の変化率及び色度の変化率を上記の式(1)及び式(2)で算出し、その結果を下記表1に示した。
Figure 2010008497
表1の耐熱試験及び耐湿熱試験における分光透過率の変化率及び色度の変化率の結果から明らかなように、実施例1〜4は、可視光吸収色素にシアニン化合物(B)を含んでない比較例1及び2に比べ、耐熱試験及び耐湿熱試験のいずれにおいても、波長820〜900nmの近赤外線領域における分光透過率の変化率が小さく優れている。特に実施例1及び3においては、耐熱試験及び耐湿熱試験のいずれにおいても、比較例1及び2に比べ色度の変化率が小さく優れている。以上により、実施例1〜4の近赤外線遮蔽体は、高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性が優れていることが分かる。
本発明によれば、優れた近赤外線吸収機能及びネオンカット機能を有し、かつ高温、高湿下の長時間の保存における経時安定性に優れた近赤外線遮蔽体を提供でき、各種ディスプレイ、特に、PDPに好適な近赤外線遮蔽体を提供できる。
本発明の近赤外線遮蔽体の一例を示す断面図である。 本発明の近赤外線遮蔽体の他の一例を示す断面図である。 本発明のディスプレイ用前面板の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 基材
2 近赤外線吸収層
3 ハードコート層
4 反射防止層
4a 中屈折率層
4b 高屈折率層
4c 低屈折率層
10、12 近赤外線遮蔽体
11 基板
13 電磁波遮蔽体
14 電極
20 ディスプレイ用前面板

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材の一方の主面に配置されている近赤外線吸収層とを含む近赤外線遮蔽体であって、
    前記近赤外線吸収層は、近赤外線吸収色素と可視光線吸収色素とを含み、
    前記近赤外線吸収色素は、スルホン酸イミド誘導体を含むジイモニウム化合物と、
    波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有し、かつ下記式(1)で表される構造を有するカチオンを含むシアニン化合物(A)とを含み、
    前記可視光線吸収色素は、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有し、かつ下記式(1)で表される構造を有するカチオンを含むシアニン化合物(B)とを含む近赤外線遮蔽体。
    Figure 2010008497
    (但し、式(1)の中、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、N原子と一緒に5員環の含窒素複素環、5員環の含窒素複素環を含む縮合環、6員環の含窒素複素環又は6員環の含窒素複素環を含む縮合環を完成するために必要な原子群を示し、R1及びR2は、炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは2〜4の整数を示す。)
  2. 前記シアニン化合物(A)は、波長800〜1200nmの近赤外線領域で最大吸収を有し、かつ上記式(1)で表される構造を有するカチオンと下記式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体である請求項1に記載の近赤外線遮蔽体。
    Figure 2010008497
    (但し、式(2)の中、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、置換若しくは未置換のモルホリノ基、置換若しくは未置換のチオモルホリノ基、置換若しくは未置換のピペラジノ基、又は置換若しくは未置換のフェニル基を示し、Mは遷移金属原子を示す。)
  3. 前記シアニン化合物(B)は、波長550〜620nmの可視光線領域で最大吸収を有し、かつ上記式(1)で表される構造を有するカチオンと上記式(2)で表される構造を有する置換ベンゼンジチオール金属錯体アニオンとの対イオン結合体である請求項1又は2に記載の近赤外線遮蔽体。
  4. 前記近赤外線吸収層は、前記近赤外線吸収色素と前記可視光線吸収色素とを分散させる樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線遮蔽体。
  5. 前記樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上である請求項4に記載の近赤外線遮蔽体。
  6. 前記近赤外線遮蔽体は、ハードコート層と反射防止層とをさらに含み、前記ハードコート層と反射防止層とが、前記近赤外線吸収層が配置された前記基材の一方の主面の反対面に配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線遮蔽体。
  7. 基板上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線遮蔽体が配置されているディスプレイ用前面板。
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