JP4440720B2 - 光学フィルム - Google Patents
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Description
PDPからは、可視光線と同時に、近赤外線、電磁波等の有害光も放射される。例えば近赤外線は、家庭用テレビ、クーラー、ビデオデッキ等の家電製品用の近赤外線リモコンを誤作動させたり、通信機器を誤作動させてPOS(販売時点情報管理)システム等のデータ転送時に悪影響を及ぼす。そのため、PDPの前面(視認側)には、近赤外線等の有害光を防止する光学フィルタの設置が必要となっている。
光学フィルムとしては、例えば、近赤外線を吸収する色素を透明樹脂に分散させ、これをポリエチレンテレフタレート(PET)製等のフィルム上に形成したものがある。
近赤外線を吸収する色素としては、ポリメチン系、金属錯体系、スクアリウム系、シアニン系、インドアニリン系、ジイモニウム系等の各種色素が報告されている。これらの色素は、高度な近赤外線吸収能を付与するために、一般的に、2種以上が組み合わされて用いられている。例えば特許文献1では、シアニン系色素とジイモニウム系色素とを含有する近赤外線吸収層を有する近赤外線吸収フィルムが提案されている。
また、特許文献3には、ジイモニウム系色素およびクエンチャー化合物を含有する層と、シアニン系色素およびクエンチャー化合物を含有する層とを有する近赤外線吸収フィルムが記載されている。
また、特許文献3記載の近赤外線吸収フィルムは、複数の色素をそれぞれ別の層に含有させるために工程数が多くなり、生産性が劣ることから好ましくない。
で表される化合物からなる群から選択されるカチオンと、下記一般式(A)
で表されるクエンチャーアニオンとからなる安定化シアニン系色素、および近赤外線吸収性クエンチャー化合物を含有する光学フィルム用組成物が透明樹脂中に分散されてなる近赤外線吸収層を有し、
前記近赤外線吸収性クエンチャー化合物が、下記一般式(IV)
で表されるジイモニウム系色素を含し、該ジイモニウム系色素の配合量が、前記安定化シアニン系色素100質量部に対して、640〜1280質量部であることを特徴とする光学フィルムを提供する。
≪光学フィルム用組成物≫
本発明の光学フィルム用組成物は、安定化シアニン系色素、およびクエンチャー化合物を含有することを特徴とするものであり、近赤外線吸収能を有するものである。
本発明において、安定化シアニン系色素は、前記一般式(I)〜(III)で表される化合物からなる群から選択されるカチオン(以下、シアニン系カチオンということがある。)とクエンチャーアニオンとからなる塩化合物である。
上記一般式(I)〜(III)中、
R1およびR1’において、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ;
炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−第三ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−ステアリルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジ第三ブチルフェニル基、2,5−ジ第三ブチルフェニル基、2,6−ジ−第三ブチルフェニル基、2,4−ジ第三ペンチルフェニル基、2,5−ジ第三アミルフェニル基、2,5−ジ第三オクチルフェニル基、2,4−ジクミルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基が挙げられ;炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、第三ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、第三ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられ;
炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、イソプロピルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が挙げられる。
本発明において、クエンチャーアニオンとは、励起状態にある活性分子(例えば、一重項酸素(1O2)等)を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するアニオンを指す。該クエンチャーアニオンは、例えば、特開昭60−234892号公報、特開平5−43814号公報、特開平6−239028号公報、特開平9−309886号公報、特開平10−45767号公報等において、光学記録材料に応用できることが記載されている。
Qで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、上記R1で例示のものが挙げられ、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜30のアリール基としては、上記R1で例示のもの、またはこれらのベンゼン環が1〜4個のハロゲン原子で置換されたものが挙げられ、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基に含有されるアルキル基、アリール基としては、上記R1で例示の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基が挙げられる。
例えば、該当する構造のシアニン系カチオンとハロゲン、無機系アニオン、有機系アニオンなどとの塩化合物と、該当する構造のクエンチャーアニオンとテトラアルキルアンモニウムカチオンとの塩化合物とを、塩交換させることにより容易に得ることができる。
本発明において、クエンチャー化合物とは、上記クエンチャーアニオンと同様、励起状態にある活性分子を脱励起させる機能を有する化合物を指す。
本発明において、上記安定化シアニン系色素と組み合わせて用いられるクエンチャー化合物としては、特に制限はなく、近赤外線吸収フィルム等の光学フィルムにおいてクエンチャー化合物として用いられている任意の化合物が使用できる。
このようなクエンチャー化合物としては、例えば、ジイモニウム系色素、アミニウム系色素、ジチオール系ニッケル錯体(例えば、特開2001−288380号公報参照。)、ジチオール系銅錯体(例えば、WO98/34988号明細書参照。)、ジチオール系コバルト錯体等のジチオール金属錯体系色素、ヒンダードアミン系色素、ジフェニルアミンのニトロソ化合物(例えば、特開2000−168233号公報参照。)等が挙げられる。これらのクエンチャー化合物は1種類を用いてもよいし、異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上記クエンチャー化合物の中でも、ジイモニウム系色素、アミニウム系色素、ジチオール系ニッケル錯体等の近赤外線吸収性クエンチャー化合物が用いられる。近赤外線吸収性クエンチャー化合物を配合することにより、さらに高度な近赤外線吸収能が得られる。
ここで、「近赤外線吸収性を有する」とは、下記の測定方法により当該クエンチャー化合物の吸収スペクトルを測定したときに、波長800〜1100nmの範囲内に吸収ピークを有し、その波長(最大吸収波長(λmax)において、1.1×103以上のモル吸光係数(εm)を有することを意味する。
(モル吸光係数(εm)の測定方法)
当該クエンチャー化合物を、試料濃度が20mg/Lとなるようにクロロホルムで希釈し、試料溶液を作製する。この試料溶液の吸収スペクトルを、分光光度計を用いて、300〜1300nmの範囲で測定し、その最大吸収波長(λmax)を読み取り、該最大吸収波長(λmax)におけるモル吸光係数(εm)を下記式から算出する。
ε=−log(I/I0)
(ε:吸光係数、I0:入射前の光強度、I:入射後の光強度)
εm=ε/(c・d)
(εm:吸光係数、c:試料濃度(mol/L)、d:セル長)
これらの近赤外線吸収性クエンチャー化合物は、1種類を用いてもよいし、異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上述したように、ジイモニウム系色素は、特許文献1に記載されるようにシアニン系色素と組み合わせて用いた場合に、顕著な劣化が生じることがわかっている。しかし、本発明においては、ジイモニウム系色素と安定化シアニン系色素との組み合わせにより、安定化シアニン系色素の劣化だけでなく、ジイモニウム系色素の劣化も防止される。そのため、得られる光学フィルムは、高度な近赤外線吸収能を有するとともに、その耐久性にも優れたものとなる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、又はオクテニル基等を示す。該アルケニル基は、ヒドロキシル基、カルボキシ基等の置換基を有してもよい。
アリール基としては、例えば、ベンジル基、p−クロロベンジル基、p−メチルベンジル基、2−フェニルメチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、α−ナフチルメチル基、又はβ−ナフチルエチル基等を示す。該アリール基は、ヒドロキシル基、カルボキシ基等の置換基を有してもよい。
アルキニル基としては、例えば、プロピニル基、ブチニル基、2−クロロブチニル基、ペンチニル基、又はヘキシニル基等を示す。該アルキニル基は、ヒドロキシル基、カルボキシ基等の置換基を有してもよい。
さらに、光学フィルムの加工時の劣化を抑制し、光学フィルムとした後の実用的な耐久性を付与するために、98%以上の純度を有するジイモニウム系色素、又は210℃以上の融点を有するジイモニウム系色素を使用することが好ましい。特に、98%以上の純度を有し、かつ210℃以上の融点を有するジイモニウム系色素を使用することが好ましい。
配合量が50質量部以上であると、耐光性、耐熱性等の耐久性の向上効果が充分となるとともに、充分な近赤外線吸収能が得られ、3000質量部以下であると、安定化シアニン系色素との間の相互作用が抑えられ、色素の安定性が良好となる。
本発明の光学フィルム用組成物には、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した安定化シアニン系色素および近赤外線吸収性クエンチャー化合物以外の、最大吸収波長が800〜1100nmの範囲にある近赤外線吸収色素を一種類以上配合してもよい。
このような近赤外線吸収色素としては、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等の一般的なものが使用できる。
有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、安定化シアニン系色素以外のシアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、アンスラキノン系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、又はトリアリルメタン系色素等が挙げられる。
これらの中でも、金属錯体系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ピロール系色素、アンスラキノン系色素等が好ましい。
本発明の光学フィルムは、透明樹脂中に前記光学フィルム用組成物が分散されてなる近赤外線吸収層を有する光学フィルムである。
また、視感平均透過率を45%以上にすることが好ましい。
特に、上記色度座標(x、y)の規定と視感平均透過率の規定を同時に満たすことが好ましい。
好ましい透明樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。この樹脂は、例えば、鐘紡社製、商品名「O−PET」などのポリエステル系樹脂、JSR社製、商品名「ARTON」などのポリオレフィン系樹脂、日本ゼオン社製、商品名「ゼオネックス」などのポリシクロオレフィン系樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、商品名「ユーピロン」などのポリカーボネート系樹脂、日本触媒社製、商品名「ハルスハイブリッドIR−G204」などのポリアクリル系樹脂などの市販品を用いることができる。
近赤外線吸収層中における光学フィルム用組成物の配合量は、透明樹脂に対して3〜20質量%であることが好ましい。3質量%以上であれば、光学フィルムに充分な近赤外線吸収能を与えることができ、20質量%以下であれば、充分な可視光線透過率を保持することができる。これらの観点から特に5〜10質量%であることが好ましい。
透明基板の材料としては、ガラス、透明で高剛性の高分子材料から適宜選択して使用することができるが、好ましくはガラス、強化もしくは半強化ガラス、ポリカーボネート、又はポリアクリレートなどが挙げられる。光学フィルムが透明基板に貼着されたものを光学フィルタとして使用すると、PDPなどの表示装置の保護板としての機能も発揮できる。
粘着剤を用いる場合、この粘着剤に紫外線吸収剤などの種々の機能を有する添加剤を添加してもよい。
この場合、光学フィルムは、表示装置の視認側に設置すればよく、表示装置から離して設置してもよいし、表示装置表面に直接貼り付けてもよい。
近赤外線吸収性色素を、試料濃度が20mg/Lとなるようにクロロホルムで希釈し、試料溶液を作製した。この試料溶液の吸収スペクトルを、島津製作所製UV−3100を用いて、300〜1300nmの範囲で測定し、その最大吸収波長(λmax)を読み取り、該最大吸収波長(λmax)におけるモル吸光係数(εm)を下記式から算出した。
ε=−log(I/I0)
(ε:吸光係数、I0:入射前の光強度、I:入射後の光強度)
εm=ε/(c・d)
(εm:吸光係数、c:試料濃度(mol/L)、d:セル長)
ガラス転移温度が140℃の透明ポリエステル樹脂(鐘紡社製、商品名「O−PET」)をシクロペンタノン/トルエン(6/4容量比)混合溶媒に15質量%になるように溶解して、主剤溶液を得た。この主剤溶液の樹脂分に対して、ジイモニウム系色素(N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−ヘキサフルオロアンチモン酸イモニウム塩):日本化薬社製、商品名「IRG−022」、λmaxが1090nmであり、εmが1.1×105)6.4質量%、およびカチオンNo.11のシアニン系カチオンとアニオンNo.22のクエンチャーアニオンとからなる安定化シアニン系色素(λmaxが855nmであり、εmが2.0×105)0.5質量%を主剤溶液に添加し、これらを溶解させた塗工液を得た。この塗工液をマイクログラビアにて、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、商品名「A4100」)上に乾燥塗膜の厚みが4μmとなるようにコーティングし、120℃で5分間乾燥させて、光学フィルムを得た。
例1で使用した安定化シアニン系色素を、カチオンNo.13のシアニン系カチオンとアニオンNo.22のクエンチャーアニオンとからなる安定化シアニン系色素(λmaxが818nmであり、εmが2.5×105)に代えた以外は、例1と同様にして光学フィルムを得た。
例1で使用した塗工液に、さらに例2で使用した安定化シアニン系色素0.5質量%を添加した以外は、例1と同様にして光学フィルムを得た。
例3で使用したジイモニウム系色素を、N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン・−ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)イモニウム塩(日本カーリット社製、商品名「CIR−1085」、λmaxが1073nmであり、εmが1.0×105)に代えた以外は、例3と同様にして光学フィルムを得た。
例3で使用した主剤溶液を、MEKを用いて15質量%にしたアクリル樹脂塗料(日本触媒社製、商品名「ハルスハイブリッドIR−G204」:樹脂のガラス転移温度=89℃)に代えた以外は、例3と同様にして光学フィルムを得た。
例4で使用した主剤溶液を、例5の主剤溶液に代えた以外は、例4と同様にして光学フィルムを得た。
例1で使用した安定化シアニン系色素を、安定化していないシアニン系色素(旭電化社製、商品名「TW−1926」に代えた以外は、例1と同様にして光学フィルムを得た。
例7で使用した主剤溶液に、さらにクエンチャー色素(住友精化社製、商品名「EST−5」、アニオンNo.22のクエンチャーアニオンのテトラブチルアンモニウム塩、800〜1100nmに吸収ピークなし、εm<103)0.5質量%を添加した以外は、例7と同様にして光学フィルムを得た。
例1で使用したジイモニウム系色素を、フタロシアニン系色素(日本触媒社製、商品名「TX−EX−910」、λmaxが978nmであり、εmが1.0×105)6.0質量%に代えた以外は、例1と同様にして光学フィルムを得た。
アクリル樹脂塗料(日本触媒社製、商品名「ハルスハイブリッドIR−G204」:樹脂のガラス転移温度=89℃)を、MEKに15質量%になるように溶解して、主剤溶液を得た。この主剤溶液の樹脂分に対して、ジイモニウム系色素(N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−ヘキサフルオロアンチモン酸イモニウム塩):日本化薬社製、商品名「IRG−022」)9.0質量%、安定化シアニン系色素(住友精化社製、商品名「SD−AG01」、λmaxが877nmであり、εmが3.1×105)1.0質量%、およびヘキサフルオロアンチモン酸・シアニン系色素(日本化薬社製、商品名「CY−40MCS」、λmaxが830nmであり、εmが2.7×105)1.0質量%を主剤溶液に添加し、これらを溶解させた塗工液を得た。この塗工液をマイクログラビアにて、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、商品名「A4100」)上に乾燥塗膜の厚みが4μmとなるようにコーティングし、120℃で5分間乾燥させて、光学フィルムを得た。
例10で用いたジイモニウム系色素を、N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン・−ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)イモニウム塩(日本カーリット社製、商品名「CIR−1085」)に代え、ヘキサフルオロアンチモン酸・シアニン系色素をトリフルオロメタンスルホニルイミド酸・シアニン系色素(日本化薬社製、商品名「CY−40MCFI」、λmaxが830nmであり、εmが2.7×105)に代えた以外は例10と同様にして光学フィルムを得た。
例1〜11で得た光学フィルムの光学特性(視感平均透過率、色度、近赤外線透過率)、および耐久性(耐熱性、耐光性)を下記方法で評価した。その結果を表1に示す。
分光光度計(島津製作所社製、UV−3100) を用い、各試料から切り出した20×20mm角の試験片のスペクトルを380〜1300nmの範囲で測定した。JIS Z8701−1999に従い、視感平均透過率Tv、色度座標(x、y)を算出した。
また、850nm、900nm、950nm、1000nmの透過率を測定し、室内の空気の透過率を比較対照として、近赤外線透過率を求めた。各波長における近赤外線透過率をそれぞれT850、T900、T950、T1000とした。
定温恒温器(東京理化器械社製)を用い、温度80℃に設定し、1000時間試験後の各試料のTv、x、yの各測定値について、試験前の測定値と比較した。試験前後の変化量がすべて3%未満であるものを〇、いずれか一つでも3%以上〜5%未満のものがある場合は△、いずれか一つでも5%以上のものがある場合を×とした。
耐光性試験機(スガ試験機社製、キセノンフェードメーターX−15F)を用い、380nm以上の光を200MJ/cm2照射させ、各試料のTv、x、yの各測定値について、試験前の測定値と比較した。試験前後の変化量がすべて3%未満であるものを〇、いずれか一つでも3%以上〜5%未満のものがある場合は△、いずれか一つでも5%以上のものがある場合を×とした。
これに対し、例1で用いた安定化シアニン系色素に代えてシアニン系色素を用いた例7の光学フィルムは、耐光性が悪かった。
また、例7で用いた主剤溶液にさらに近赤外線吸収性クエンチャー化合物を配合した例8の光学フィルムは、耐光性、耐熱性ともに悪かった。また、色度座標のx、yとも値が高く、外観がよくなかった。さらに、近赤外線透過率も高かった。
また、クエンチャー化合物を配合しなかった例9の光学フィルムは、耐光性が悪く、視感平均透過率も低かった。
Claims (3)
- 下記一般式(I)〜(III)
で表される化合物からなる群から選択されるカチオンと、下記一般式(A)
で表されるクエンチャーアニオンとからなる安定化シアニン系色素、および近赤外線吸収性クエンチャー化合物を含有する光学フィルム用組成物が透明樹脂中に分散されてなる近赤外線吸収層を有し、
前記近赤外線吸収性クエンチャー化合物が、下記一般式(IV)
で表されるジイモニウム系色素を含有し、
該ジイモニウム系色素の配合量が、前記安定化シアニン系色素100質量部に対して、640〜1280質量部であることを特徴とする光学フィルム。 - 前記安定化シアニン系色素の配合量が、前記光学フィルム用組成物中に含まれる総固形分に対して0.01〜30質量%である請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記近赤外線吸収層の厚みが、0.3〜50μmである請求項1または2に記載の光学フィルム。
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