JP5088903B2 - 後および前金型部分間のキャビティ内で成形されたレンズを取り外すための装置および方法 - Google Patents

後および前金型部分間のキャビティ内で成形されたレンズを取り外すための装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形されたレンズを鋳型から取り外すための装置および方法に関するものである。
コンタクトレンズの成形法として静力学的なキャストモールディング法が知られている。例えばBausch & Lomb社に発行された特許文献1には単レンズを製造するための、凹状光学面を有する前金型部分と凸状光学面を有する後金型部分とを備えた単一金型装置について記載されている。前金型部分と後金型部分は相補的な形状を成しかつ一緒に設置され、対面している前金型部分の前光学面と後金型部分の後光学面との間にレンズ成形キャビティを形成する。
レンズのキャストモールディング法の基本的処理を以下に示す。一定量の液体レンズ材料16が前金型部分12の凹状光学面12A上に分配され(図1)、さらに後金型部分14が前金型部分12上にその凹面12Aと凸面14Aを互いに対面させて据え付けられレンズ状の金型キャビティが形成される。この前および後金型部分が結合して形成される単一金型は硬化サイクル(例えば、熱や紫外線による)の対象となり、金型キャビティ内のレンズ材料が重合される(図2)。続いて、金型キャビティから硬化されたレンズを取り出すため、多くのステップが必要とされる。
金型部品の分離
レンズ材料が硬化されると、硬化されたレンズを取り出すために後および前金型部分の分離が必要となる。この処置は本技術において「デキャッピング(decapping)」とも呼ばれる。この金型部分の開放すなわち取外しは繊細なレンズを傷つけないようになされなければならない。レンズが金型キャビティ内で重合されると、レンズや余剰レンズ材料は対向している凹状および凸状金型面に粘着する。従って後金型部分を前金型部分から取り外す際には、レンズや余剰レンズ材料と、対向している金型面との間の粘着性接合を切断するのに十分であり、かつこの取外し工程によってレンズ光学面を傷つけることのないように加減された力が要求される。万一金型の取外し工程中にレンズが割れたり損傷したらそのレンズは不良品として破棄せざるを得ないため、生産量は低下し製造コストは増加する。一般にデキャッピングステップ後には後金型部分が取り外され、硬化されたレンズは前金型部分内に保持される。例えば特許文献2(Kindt-Larsen、他)には前金型部品と後金型部品を分離するための装置について記載されており、この装置の各金型部品は、金型キャビティを取り囲む環状の円周フランジをそれぞれ有する。この装置には後金型部品の凹状非光学面に蒸気を当てて後金型部品から前金型部品へ温度勾配を生じさせる第1の機構と、てこ手段を備えこれを2つの円周フランジ間に挿入し金型部品を引き離す第2の機構とが含まれる。しかしながら温度勾配を与えることにより硬化されたレンズが変形し、冷却しても必要な曲率を再び得ることができない可能性があるため望ましくなく、温度勾配を与えずに分離を試みればレンズを損傷する危険がある。さらに、硬化されたレンズが分離ステップ後に所望の金型部品に粘着している保証はない。金型部品を分離する別の装置構成として、金型部品間にくさびを挿入して引き離すものが特許文献3(Widman、他)に開示されている。
さらに別の装置構成が特許文献4 (Lesczynski、他)に開示されている。この装置では後金型部分が下向きスカートを有し、前金型部分を囲むように取り付けられた可動性中空シリンダの環状端面上にこのスカートが載上される。シリンダの内径は前金型部分に設けられた下向きスカートの外径に略相当する。ピンが後金型部分に上方から圧力をかけると、中空シリンダは金型部品を引き離すためピン方向に動く。前後金型部品は相補的配置にあるため牽引力はレンズ全体に作用し、レンズを損傷する危険は未だ残されている。この引例に開示されている別の実施例において中空シリンダは、環状端面に替えて、テーパ状のシリンダ内外面により形成された尖端を有する。この尖端を後金型部分のスカート内面と前金型部分のスカート外面との間に挿入することにより後金型部分のスカートが放射状に撓み後金型部分がレンズから取り外される。この装置構成においては後金型部分のスカートの撓み幅が制限され、同様にデキャッピング操作中の後金型に対する制御が制限される。
特許文献5には分離モジュールが記載されており、ここでは前金型部分12(図3)が後すなわち凹状金型部品14よりも高い位置にくるように金型部品が配向される。後金型部品14の環状フランジ14cは支持板260上に載上し、金型部品12、14間の粘着接合を切断するために前金型部品12の環状フランジ12cを上方から叩打する手段が提供される。別の既知の方法によれば後金型部品14は前金型部品12よりも高い位置に設けられ、前金型部品は支柱に下から支持される。金型部品間の接合を切断するため、後金型部品14のレンズ形成面を包囲する環状面を上方から叩打するための手段が提供される。これら2つの方法に関しても、関連する金型部品に加えられる強い力によりレンズが損傷するかもしれないという危険が未だ残されている。
余剰成形材料の除去(モノマーリング除去)
上述の成形工程中、金型キャビティが確実に液体レンズ材料で満たされるようにするため、前金型部分にはレンズ形成に必要な分量よりも意図的に多い液体レンズ材料が分配される(図4)。後金型部分14が前金型部分12上に据えられると、余剰の液体レンズ材料180が金型キャビティから排出される(図5)。この余剰液体は一般に「溜め部(reservoir)」すなわち金型キャビティの周囲に設けられた溝やフランジに保持され、その後レンズとともに硬化される。この硬化された余剰材料180は使用されているレンズ材料の特性により、一般にコンタクトレンズ技術において「モノマーリング」あるいは「HEMAリング」と呼ばれている。本願では便宜上「モノマーリング」という用語を用いるが、この用語は採用される任意の種類のレンズ材料をもここで広く包括することを理解されたい。金型分離の際、モノマーリングは通常金型部分の一方に、一般には前金型部品12に粘着し、レンズとともに前金型部分12内に保持される(図6、7)。万一モノマーリングを溜め部から前以て除去することなく前金型表面からレンズを取外しし除去すると、モノマーリングの干渉によりレンズ縁端が損傷する可能性がある(図8)。モノマーリングの存在は下流の工程や機器を妨害する可能性もある。従って、前金型部品からレンズを取り外し、除去するのに先立ちモノマーリングを取り外し、除去することが望ましい。従来技術において種々のモノマーリング除去工程がこれまで採用されているが、完全に十分であるものはないことが分かっている。例えば特許文献6および特許文献7(Dobner他)には、前金型の溜め部表面からモノマーリングを除去するための装置および方法がそれぞれ記載されている。この開示の記述によると、間隔を空けて環状に配置された複数のピンすなわち刃52でモノマーリングを貫通し、溜め部表面周りでこの刃を回転させることにより前金型部分12に粘着しているモノマーリングを剥奪し、一方で成形されたレンズは金型キャビティ内に損傷されず残される(図9)。この装置は非常に有用であるがリングの容積が比較的少量である場合やリング材料が特に壊れやすいものである場合、困難が生じるかもしれない。例えば、モノマーリングを貫通するピンすなわち刃がリングをいくつかの小破片に粉砕する可能性がある。この小破片を除去することは非常に困難であり、コンタクトレンズ上にいくらか残ってしまう可能性がある。
別の方法が特許文献8(Crowe, Jr.、他)に開示されており、これによると種々の形状の切欠きや段が後金型部品の金型キャビティを包囲する表面上に形成される。この切欠きはモノマーリングが液状のときにモノマーリングに突出するよう形成される。後金型部品を前金型部品から分離するときモノマーリングが後部品とともに除去されるように、モノマーリングは硬化すると切欠きや段に粘着する。この装置構成であっても、後金型部品を前金型部品から分離した後にリングの一部が前金型部品に粘着して残ってしまう危険が未だ残されている。
特許文献9(Beebe)には前金型部品から余剰のモノマー材料を除去するための工具が記載されている。この工具にはV字状の溝が表面に形成された板が含まれ、この溝は前金型部分がこの溝を通って動くように導く第1の対向テーパ面対を有する。V字状溝はさらに、前金型部品が第1テーパ面対によって導かれるときにモノマーリング材料に接触しこれを撓める第2の対向テーパ面対を有し、これにより余剰材料は前金型部品から外れて除去され、一方で硬化されたレンズは前金型部品に粘着して残される。しかしながら特許文献8記載の装置と同様モノマーリングの断片が前金型部品に粘着して残ってしまう可能性があり、またいくつかの断片が遊離して硬化されたレンズや工具を干渉する可能性もあるという問題が未だ残されている。
硬化されたレンズの金型部分表面からの取外し
金型部分が分離されるとレンズは一方の金型部分の表面に粘着するため、レンズを保持している金型部分からレンズを取り外すことが必要となる。上述したように、レンズは一般に前金型部分に粘着し残される。レンズの取外しに関しては、乾式および湿式の取外し方法が従来技術において提案されている。湿式のレンズ取外し方法では水を吸収して膨らむ親水性レンズを水溶液を用いて濡らし、金型表面からレンズを分離させる。乾式のレンズ取外し方法では関連する金型表面から乾いた状態のままレンズを除去する。一般に金型部品から関連するレンズを取り外す方法としては、湿式よりも乾式の取外し方法が好まれる。これは濡れている状態よりも乾いている状態の方がレンズの取扱いが非常に容易なためである。乾いている状態では、レンズを真空ピッキングヘッドでつまみ取り、ある工程ステーションから別ステーションへレンズを移動させることは容易である。通常、レンズが粘着している金型の表面を動かすように金型を変形させることにより、レンズと金型表面との間の粘着性接合を切断する。例えば特許文献10(Bausch & Lomb Inc.)にはレンズの前面すなわち凸状面を前金型部品12から取り外す、乾式の取外し方法および装置が開示されており(図10)、前金型部品の凸状非光学面12Dの周辺領域に第1の力を加える手段と、続いて非光学凸状面の頂点領域12Eに第2の力を加える手段が含まれている。特許文献11 (Bausch & Lomb Inc.)には前金型部品12から硬化されたレンズを乾式取り外す方法および装置が教示され(図11参照)、この装置には下向き環19aを有し前金型部品12の位置に合わせて設置可能なサーボ駆動レンズ取外しヘッド19が備えられている。ピン280は前金型部品12の非光学凸状面12eの頂点部分下方に配置される。取外しヘッド19が前金型部品12上で下降すると前金型部品の成形キャビティを包囲する上向き環状面12Fが環19aによって押圧され、これによりピン280の自由端が非光学凸状面12aと噛み合い前金型部品12が変形し、金型部品とレンズの間の接合を、レンズの中心から始まって外方に向かって続くようにして分離する。類似の工具が特許文献12(O’Neill、他)に記載されており、ここでは引例の特許文献11の環19aに替えて特別に構成されたトッププレート580が提供されている(図12)。取外し工程中、前金型部品の上向き環状面12Fがトッププレート580の下向き平面581を押圧するよう、前金型部品12の下方に配置されたピン28が金型部品12方向に動いて金型部品12を動かす。
粘着性接合が切断されると、例えば真空ピッキング工具によりレンズが取り出される。
米国特許第5,466,147号明細書 米国特許第5,850,107号明細書 米国特許第5,693,268号明細書 米国特許第6,428,723号明細書 米国特許出願公開第2003/0160343号明細書 米国特許第6,368,096号明細書 米国特許第6,638,362号明細書 米国特許第5,975,875号明細書 米国特許出願公開第2006/0071356-A1号明細書 国際公開第2004/030898号パンフレット 国際公開第2005/061212号パンフレット 米国特許第6,558,584号明細書
レンズを乾いた状態で関連する金型から取り外すとき、その取外しのために金型に対して加えられた力のうちいくらかは必然的にレンズに吸収される。従って、後金型部分を前金型部分から取り外す前ステップと同様、レンズを金型から取り外すときの力は、レンズと対向している金型面との間の粘着性接合を切断するのに十分であり、かつこの取外し工程によってレンズ光学面を傷つけることのないように加減された力が要求される。前ステップのデキャッピングと同様に、万一レンズの取外し工程中にレンズが割れたり損傷したらそのレンズは不良品として破棄せざるを得ないため、生産量は低下し製造コストは増加する。上述の乾式取外し方法は、特定材料および構造の金型部品/レンズの組合せに対して十分なものであるが、場合によって不十分であることが分かっている。例えば金型部品が比較的硬質の材料で形成されている場合、金型部品を変形させる工程中に金型部品に粘着しているレンズを傷つけないことは難しい。この状況は特にレンズが乱視用レンズ(a toric lens)で表面に表示を含むときに深刻であり、この部分はレンズ周辺の滑らかな面よりも金型部品に強く粘着する傾向がある。この種のレンズを乾いた状態で取り外すと、特にレンズの乱視用表示付近が割れる可能性がある。さらにこの方法は、レンズ縁端を損傷する危険を有している。
従って、レンズを関連する金型部品から乾いた状態で取り外す方法の改善が本技術において依然必要とされている。
本発明は上述の従来技術における問題点を除去および/または緩和することを目的とするものである。
従って本発明は、前金型部分と、後金型部分と、金型部分間で画定される金型キャビティ内で形成されたコンタクトレンズとからなる金型を支持するための装置であって、
長手軸を有する支柱と、
支柱上にこの長手軸から間隔を空けて放射状外向きに配置され、後金型部分を支持するための第1の面と、放射状内向面とを有する第1支持部材と、
支柱上に第1支持部材から間隔を空けて配置され、前金型部分を支持するための第2の面と、放射状外向面とを有する第2支持部材とを備え、
後金型部分が第1の面に載ったときに前金型部分が第2支持部材から長手方向に離れて配置されるよう第1および第2支持部材が金型に関連して構成されている装置を提供する。
長手方向の間隔を維持するため、第1および第2支持部材は互いに固定されたものであることが理想的である。
当然のことではあるが、本明細書における「長手方向の(に)」「長手方向に配向された」「長手方向で」など、また「直径方向に」「放射状に」などの表現は、前記長手軸に関連して用いられるものである。
一実施例において、後金型部分が第1の面に載ったときに第2の面が前金型部分から離れて配置されるよう第1および第2の面の長手軸に沿った間隔を十分設けることにより、前金型部品と第2支持部材との間の長手方向の間隔が設けられる。
また、間隙が第1支持部材の放射状内向面と第2支持部材の放射状外向面との間で画定され、この間隙が、前金型部分から垂下するスカート部を受け入れるように構成されていることが好ましい。
好ましい構成において、間隙は前金型部分のスカート部から突出するフランジを収容するように構成されており、このように構成すれば、改善された柔軟性を有する金型に、さらに対応することができる。
理想的には、第1の端面は後金型部分のスカート部から突出するフランジの少なくとも周辺部を支持するよう適合される。
このような装置構成によれば、金型の柔軟性が従来の装置と比べて増加した場合に対応することができる。金型の柔軟性はデキャッピング操作、すなわち後に詳しく説明するが前金型部分を後金型部分から分離する操作の際に必要とされる。
第2支持部材は、前金型部分のスカート部に関連して、このスカート部の内部に受け入れられるよう構成されることが理想的である。より具体的には、第2支持部材が前金型部分のスカート部に関連して、第2支持部材がスカートの内部に受け入れられたとき、スカートが放射状方向に変形するための空間を提供するためスカートの内側表面と第2支持部材の外側表面との間に十分な間隔を設けるように構成されることが好ましい。
最も好適な装置構成において、第2の面は前金型部分の外側凸状表面と当接するように構成される。この当接は後および前金型部分が互いに分離された後に生じる。すなわち前金型部分を支持するものはないため、前金型部分は粘着していた後金型部分から離れると第2の面上に落下する。前金型部分は重力の影響を受けて落下するが、真空によって補助することもできる。好ましくは、第2の面が、第2支持部材に形成された開口部を包囲する環状表面の形を成し、前金型部品の外側凸状表面がこの環状表面と当接したときに、開口部内に外側凸状表面の一部が突出するように第2の面が形成され、開口部は、この開口部を画定している表面から外側凸状表面が離れて維持されるような大きさと形状を有する。一態様において環状表面は、前金型部分からモノマーリング(すなわち硬化されたレンズを包囲する両金型部分の相互に対面する表面間の溜め部に、成形キャビティから排出された余剰材料)を除去しレンズを取り外す操作の間、前金型部分を支持する役目を有する。この操作については詳細に後述する。別の態様において環状表面は、前金型部分のスカートのフランジに対して長手方向に配向された力が加えられる操作の間、屈曲された前金型部分の支持表面としての役目を有する。一実施例において、第2支持部材の開口部を孔の形を成すものとしてもよい。
好ましい実施例において、第1支持部材は直径方向に対向する一対の肩部を備える。この肩部は弓状であることが好ましいが、これに限られるものではない。肩部は、支柱の端表面から長手方向に盛り上がって突出しているものが理想的である。このような装置構成によれば、後金型部分のスカートのフランジは円周全体ではなく直径方向に対向する領域のみで肩部に支持されるため、デキャッピング操作の際に後金型部分が必要に応じて自由に屈曲できるという利点を有する。
各肩部が放射状内向面に形成された細長い溝を備え、前金型部分からモノマーリングを除去しさらにレンズを取り外す操作中に前金型部分のスカートの近接部が(以下に説明するように)放射状外向きに撓むとき、この細長い溝が前金型部分のフランジの少なくとも周辺部を受け入れるように構成されていると便利である。この細長い溝は、撓んだ状態のフランジを収容するように構成されていれば、貫通しているものでも有底のものでもよい。
また、前金型部分が第2の面に載ったときに前金型部分のスカートのフランジが、第1支持部材の放射状内向面と第2支持部材の放射状外向面との間の間隙内に吊下されるよう、すなわち周囲のいずれの表面とも接触しないよう、第2支持部材と間隙が前金型部分に関連して構成されるものが好適例として挙げられる。こうすればフランジに長手方向の力が加えられている間、必要に応じてフランジは自由に屈曲できる。
好適な装置構成において、第2支持部材は肩部の略中間に設置された柱を備える。この柱は支柱の端表面から長手方向、すなわち肩部と同じ方向に盛り上がって突出しているものが理想的である。ある装置構成においては第2の面を、柱の端表面と、開口部を画定する内側表面との間に形成された面取り部を含むものとしてもよい。もちろん、第2の面として例えば丸みを帯びた環状縁など、他の形状も本発明の範囲内で想定される。また、前金型部分が第2の面に載っているときに前金型部分のスカートが放射状内向きに変形するための空間を提供するため、柱の外側表面に、直径方向に対向する一対の平面を設けることが好ましい。このような放射状内向きの変形は、前金型部分からモノマーリングを除去しレンズを取り外す操作中、前金型部分のフランジの直径方向に対向する一対部分に長手方向の力が加えられて近接スカート部が長手軸方向に撓められたときに生じる。スカートのこれらの部分が放射状内向きに撓むことにより、この一対部分に直交する二つの他の直径方向に対向するスカート部分は、上述したように放射状外向きに撓む。
支柱は、パレット内で支柱が回転しないように、その外側表面に直径方向に対向する一対の平面を有することが理想的である。支柱が回転しないようにする他の既知の手段もまた想定される。
本発明は、後金型部分、特にそのフランジが第1の面に載っているときに後金型部分の外側凹状表面の中心領域に長手方向に配向された力を加えるための押圧手段をさらに提供する。この長手方向に配向された力は押圧手段と第1の面との間で後金型部分を圧迫して変形させるのに十分なものであり、それによりレンズと後金型部分との間の粘着性接合を、レンズの周辺領域周りから始まってレンズの中心に向かって続くようにして分離する。この手法においては、前後の金型部分が互いに分離するよう後金型部分はレンズから「剥離される」。その後、後金型部分は取り去られ、一方でレンズと、レンズを包囲しているモノマーリングは前金型部分に粘着して残る。この装置構成では、金型分離の際、既知の従来技術の方法と比べてごく小さな力のみを必要とすることが既に分かっている。
一実施例として、押圧手段を、ピンを備えるものとしてもよい。このピンは自由端を有し、この自由端は丸みを帯びた形状であることが好ましい。使用の際、ピンの自由端はデキャッピング操作中、後金型部分の外側凹状表面に圧力を加える。このピンを可動とし、かつ支柱を固定されたものとしてもよい。しかしながら本発明の範囲内で、ピンを固定されたものとし支柱を可動とする構成も可能である。実際には、ピンと支柱の両方を可動な状態で取り付けてもよい。
さらに本発明は、レンズの周辺領域周りに形成された余剰排出レンズ材料(すなわちモノマーリング)の周縁部と、前金型部分のレンズを包囲する被粘着表面との間の界面に配向された、少なくとも一つのガス噴出を供給するための第1の手段を提供する。この噴出の強さは、余剰レンズ材料と被粘着表面との間の粘着性接合を切断して余剰レンズ材料を前金型部分から分離するのに十分なものである。
少なくとも一つのガス噴出を供給するための手段を、余剰レンズ材料近傍に配置可能な第1部材を備えるものとし、この第1部材を、ガスを供給しかつ少なくとも一つの噴出を形成する流路を含むものとしてもよい。好適な装置構成においては、第1部材が内側表面を有する略管状の壁を備え、ガス供給流路が管状壁の内側表面に形成された開口部を含み、第1部材が余剰材料近傍の既定位置に配置されるときこの開口部が界面に略対向する位置に設置されるよう、この開口部は配置される。この第1部材は複数の開口部を備え、この複数の開口部は管状壁の内側表面の周囲に間隔を空けて配置されていることが理想的である。一装置構成においては、内側表面は円筒状であり、第1部材は互いに45℃の間隔を空けて配置された8個の開口部を備える。
さらに、少なくとも一つのガス噴出を供給するための手段を、ガス流路から長手方向に離れて配置された真空手段を備えるものとし、この真空手段を、金型部分からガスを引き込む操作が可能なものとしてもよい。この真空力として、除去されたモノマーリングを後金型部分から取り去るのに十分な力を選択することができる。
さらに本発明は、前金型部分が第2の面に載っているとき、前金型部分のスカートのフランジに長手方向に配向された力を加えるための第2の手段を提供する。一適用例においてこの力は、レンズの周辺領域周りに形成された余剰レンズ材料が粘着している、前金型部分のレンズを包囲している表面を、力の加えられた方向に撓ませるのに十分な力であり、それにより余剰排出レンズ材料の周縁部と前金型部分の表面との間の粘着性接合を少なくとも部分的に切断する。別の適用例においてこの力は、硬化されたレンズが粘着している前金型部分の凹状表面を力の加えられた方向に撓ませるのに十分な力であり、それによりレンズと前金型部品の凹状表面との間の粘着性接合を少なくともレンズの周辺領域周りでレンズの外縁部から始まってレンズの中心に向かって続くようにして分離する。この手法においては、レンズ全体を前金型部分から取り外す操作の前に、まずレンズの周辺領域が前金型部分から分離、すなわち「剥離される」。このため、レンズの全体を取り外す操作中にレンズ縁端は損傷されないことが保証される。レンズの全体を取り外すために、前金型部分と、周辺領域が分離された状態のレンズをともに別の場所に移動させてもよい。前金型部分のフランジに長手方向に配向された力を加えるための第2の手段は、理想的には直径方向に間隔を空けて配置された一対の突出部を備え、各突出部はフランジと当接しかつ押圧するために適合された端面を有する。このような装置構成においては、フランジの直径方向に対向する一対の領域に対してのみ力が加えられるため、突出部から圧力が加えられているときにフランジとスカートは必要に応じて放射状内向きに自由に屈曲することができる。同時に、この一対部分に直交する別の一対の直径方向に対向する領域は放射状外向きに撓む。
一装置構成において第1および第2の手段は、第1の手段が少なくとも一つのガス噴出を加えるために余剰材料近傍の既定位置に配置されたとき第2の手段が長手方向に配向された力を前金型部分のフランジに加えるよう、互いに接続されていることが好ましい。
別の態様において本発明は、後金型部分を前金型部分から、さらに金型部分間で画定される金型キャビティ内で形成された硬化されたレンズから分離する方法を提供するものであり、このレンズは金型部分の対応する成形表面に粘着し、この方法は、
第1支持部材の第1の面上に後金型部分のフランジの少なくとも周辺部を設置するステップと、
略長手方向に配向された力を後金型部分の外側凹状表面の中心領域に加え、この力がこの力の加えられた領域と第1の面との間で後金型部分を圧迫して変形させるのに十分なものであり、それによりレンズと後金型部分との間の粘着性接合を、レンズの周辺領域周りから始まってレンズの中心に向かって続くようにして分離し、後金型部分を、前金型部分、および前金型部分の内側凹状表面に粘着して残るレンズから分離、すなわち「剥離する」ステップとを含む。
長手方向に配向された力を後金型部分の外側凹状表面の中心領域に加えるステップが、上述のピンをこの中心領域に対して押圧するステップを含むことが好ましい。
このような力を加えることによって、レンズの周辺領域周りで形成され金型部分のレンズを包囲する表面に粘着している硬化された余剰レンズ材料(モノマーリング)は、後金型部分から分離し前金型部分に粘着して残る。
好適な実施例において、後金型部分のフランジが第1支持部材上に配置されたとき、前金型部分のフランジは第1支持部材の放射状内向面と第2支持部材の放射状外向面との間で画定された間隙内に受け入れられる。第1および第2部材は、前金型部分が第2支持部材から長手方向に離れて設置されるように前金型部分に関連して構成される。前金型部分は周囲のいずれの表面とも接触せず、前金型部分とレンズとの間の粘着性接合のみによって保持され、レンズは同時に後金型部分に粘着している。従って、後金型部分が前金型部分とレンズから分離した後、前金型部分は第2支持部材の第2の面上に落下し、それにより上述したように第2の面が前金型部分の外側凸状表面と当接した状態となる。
さらに別の態様において本発明は、前金型部分のレンズを包囲する表面に粘着している硬化された余剰排出レンズ材料を除去する方法を提供するものであり、この余剰材料は金型部分の凹状成形表面に粘着している硬化されたレンズの周辺領域周りに形成されており、この方法は、
前金型部分を第2支持部材上に設置するステップと、
少なくとも一つのガス噴出を、余剰レンズ材料と、この余剰材料が粘着している金型部分の表面との間の界面に配向するステップとを含み、この少なくとも一つの噴出の強さは、金型部分と余剰レンズ材料との間の粘着性接合を切断して余剰レンズ材料を金型部分から分離するのに十分なものである。
理想的には、第1部材が余剰レンズ材料近傍に配置され、この第1部材は少なくとも一つのガス噴出を供給かつ形成する流路を有し、流路は界面に略対向して配置される。
好適な装置構成においてこの方法は、余剰材料を少なくとも部分的に、好ましくは全体的に包囲するよう第1部材に互いに間隔を空けて配置された複数の流路から供給される複数のガス噴出を配向するステップを含む。
理想的にはガス噴出は、第1部材の管状壁の内側表面の周囲に沿って互いに45℃の間隔を空けて配置された8個の開口部から供給される。
ガスを(例えば真空を利用して)金型部分から引き込むことにより、分離された余剰材料を金型部分から搬送することが好ましい。
理想的にはこの方法は、前金型部分の外側凸状表面を第2支持部材の環状表面上に設置するステップを含む。
余剰材料除去の際にガス噴出を補助するため、前金型部分のフランジに長手方向に配向された力を加えることが好ましい。この力は、硬化された余剰排出レンズ材料が粘着している前金型部分の表面を力の加えられた方向に撓ませるのに十分なものであり、それにより、硬化された余剰排出レンズ材料の周辺領域と前金型部品との間の粘着性接合を少なくとも部分的に切断し、界面にガス噴出が潜入するのを補助する。長手方向に配向された力は直径方向に対向する一対の突出部により加えることが理想的である。
好適な装置構成においては、余剰材料が前金型部分から除去された後、フランジに長手方向に配向された力を加え続ける。この力は前金型部分の内側凹状表面を力の加えられた方向に撓ませるのに十分なものであり、それによりレンズとこの表面との間の粘着性接合を少なくともレンズの周辺領域周りでレンズの外縁部から始まってレンズの中心に向かって続くようにして分離する。
以下、添付の図面を参照し、本発明について具体的に説明する。これらの図面は本発明の実施の形態を単に例として示すものである。
レンズのキャストモールディング法に用いられる従来技術の金型を示す断面図 レンズのキャストモールディング法に用いられる従来技術の金型を示す断面図 硬化されたレンズが金型部品の一方に粘着して残るように鋳型の金型部品を互いに分離する、従来技術による方法を示す図 レンズ成形工程とレンズ周りの「モノマーリング」の形態を示す、レンズのキャストモールディング法に用いられる従来技術の金型を示す断面図 レンズ成形工程とレンズ周りの「モノマーリング」の形態を示す、レンズのキャストモールディング法に用いられる従来技術の金型を示す断面図 レンズ硬化ステップを示す図4および図5の金型の拡大図 金型分離ステップを示す図4および図5の金型の拡大図 レンズとモノマーリングを取り外すステップを示す図4および図5の金型の拡大図 「モノマーリング」を除去するための従来技術による装置構成を示し、従来技術の金型をその中に含まれる硬化されたレンズとともに示す断面図 金型部分の表面から硬化されたレンズを乾いた状態で取り外す従来技術の装置の断面を示す図 金型部分の表面から硬化されたレンズを乾いた状態で取り外す従来技術の装置の断面を示す図 金型部分の表面から硬化されたレンズを乾いた状態で取り外す従来技術の装置の断面を示す図 本発明による、レンズを含む金型を支持するための装置を示す斜視図 図13の支柱の側面断面図 図13の支柱の上面図 本発明による、前金型部分を後金型部分から分離するための集成装置を示す側面図 本発明による、前金型部品から余剰材料を除去しさらに硬化されたレンズの縁端を取り外すための集成装置を示す側面図 本発明とともに使用する力測定システムを示す概略図
本発明は図13から17に図示されている。まず図13から16を参照し、後金型部分を前金型部分から分離するための集成装置について説明する。
図16に眼科用レンズのキャストモールディング法に用いられる一般的な金型2が示されている。金型2には後すなわち凹状レンズ表面を形成する後金型部分21と、前すなわち凸状レンズ表面を形成する前金型部分22が含まれる。金型部分21および22には、それぞれ管状のスカート23および24が含まれる。スカート23の中にスカート24を受け入れることができるように、スカート23の内径はスカート24の外径より大きくなっている。各スカート23および24は、それぞれ放射状に突出するフランジ20および200を有する。各フランジ20、200は端面20aおよび200aをそれぞれ有し、さらに背面20b、200bをそれぞれ有する。間隙25が、スカート23の内側表面とスカート24の外側表面間で画定され、後述のように外側スカート23が曲ることができるように空間を提供する。
図16において金型2は、後金型部分21の内側凸状表面27と前金型部分22の内側凹状表面26との間で既に(上述した一般の成形工程により)形成され硬化されたレンズ10とともに図示されている。間隙28は、後金型部分および前金型部分の表面27および26をそれぞれ包囲するように設けられた環状表面21cおよび22cの間で画定される。間隙28は、レンズ10を形成する間に金型キャビティから排出された余剰のレンズ材料を受け入れる溜め部としての役割を有する。この余剰材料11は本技術において一般に「モノマーリング」と呼ばれる。レンズ10が硬化された後、金型部分21、22を互いに分離することが必要となる。この操作は本技術において一般に「デキャッピング」と呼ばれる。
金型部品の分離
図16は金型2をデキャッピングするための本発明による集成装置を示したものである。この集成装置は支柱30を備え、この支柱30の上に金型2が配置されている。支柱30はこのような支柱を複数個搬送するためのパレット(図示せず)に載るよう適合されていることが好ましいが、これは本発明の範囲を限定するものではない。図13から15において支柱30は長手軸32と第1支持部材とを有し、この第1支持部材は長手軸32から外側に間隔を空けて放射状に配置された一対の対向する肩部31の形を成す。ここで「長手方向の(に)」「長手方向に配向された」「長手方向で」など、また「直径方向に」「放射状に」などの表現は、長手軸32に関連して用いられていることを理解されたい。各肩部31は支柱30の基面38から盛り上がって突出し、第1端面31aおよび放射状内向面31bを有する。支柱30はさらに、両肩部31の略中間に配置され支柱30の基面38から盛り上がって突出した柱33の形を成す第2支持部材を備える。柱33は、第2端面33aおよび放射状外向面33bを有する。本実施形態においては、肩部31と柱33は同じ構成部材の一部である。本発明の範囲内において、分離された支柱を提供し、支柱の一方を、後金型部分21を支持するために、また他方を前金型部分22を支持するために用いることもできる。また、支柱30と肩部31は互いに固定されたものである。しかしながら、肩部31を柱33に対して可動なものとして構成する他の装置構成が、本発明の範囲内で想定される。図13から分かるように、ここで説明する実施形態の肩部31は弓状であり、柱33は略円筒状の管の形を成す。しかしながら本発明はこういった特定の構造に制限されるものではない。間隙34は各肩部31の内向面31bと、柱33の外向面33bと、支柱の基面38とによって画定される。金型2が支柱30上に取り付けられると、後金型部分21のフランジ20の周辺部が第1端面31a上に載せられる。同時にスカート24の一部が前金型部分22のフランジ200と共に間隙34に受け入れられる。肩部31、柱33および間隙34の寸法は、フランジ20が第1端面31a上に載ったときに前金型部分の湾曲(すなわち金型キャビティを形成している)部分290を包囲する前金型部分の外側面22aと、第2端面33aとが離れた状態となるように、金型2と関連して選択される。実は、前金型部分22は前金型部分が粘着している前レンズ表面を除き周囲のいずれの表面とも接触していない。この間隔が設けられることによりデキャッピング操作の間、外側スカート23は自由に屈曲できる。本実施形態において柱33は内孔33cを画定する内側表面33fを有する管状壁33eを備える。内孔33cは前金型部分22の湾曲部分290を少なくとも部分的に収容できる大きさと形状を有する。当然のことではあるが内孔33cに替えて、例えば適した形状の有底の凹部を提供してもよい。もしこのような支柱を複数個取り扱うパレット内で支柱30を使用するのであれば、パレット内で支柱30が回転しないように支柱30の外側表面に直径方向に対向する一対の平面35を設けてもよい。パレットに支柱30を固定するためには、本技術において通常用いられている他の種々の手段を替わりに利用することができる。
図16のデキャッピング集成装置には、後金型部分21の湾曲(すなわち金型キャビティを形成している)部分29の外側凹状表面29aに対して配置可能なピン40がさらに備えられる。ピン40には丸みを帯びた自由端40aが設けられ、この自由端40aと外側凹状表面29aの中心領域との表面接触を可能とする。当然のことではあるが、本発明の範囲はピンの先端40aの形状をこのような特定の丸みを帯びた形状に限定するものではない。本実施形態においてピン40は可動であり、支柱30は固定されている。しかしながら支柱30が可動でありピン40が固定されている、あるいはピン40と支柱30の両方が互いに対して可動であるような装置構成とすることもできる。
デキャッピング操作中に使用する際、ピン40の自由端40aは外側凹状表面29aの中心部分に長手方向に配向された力を加える。肩部31の第1端面31aから後金型部分21のフランジ20の端面20aに対しては反作用の力が加えられる。従って、金型2はピン40の自由端40aと肩部31の第1端面31aとの間で圧迫される。この圧迫力によって後金型部分の湾曲部分29が変形し、後金型部分21のレンズ形成凸状表面27とレンズ10の凹状後表面との間の粘着性接合が切断される。この粘着性接合は最初にレンズ10の周囲で分離し始めレンズの中心に向かって分離し続ける。これにより後金型部分21はレンズと前金型部分22から「剥離」すなわち分離し、その結果レンズ10は前金型部分22のレンズ形成凹状表面26に粘着して残る。モノマーリング11は、前金型部分22のレンズ形成凹状表面26を包囲する環状表面22cに粘着して残る。分離された後金型部分21は、その後真空ピッカーや他の握持工具のような適切な道具を用いて取り去ることができる。
金型部分21および22が分離されると、前金型部分22は(単にレンズ10との粘着性接合のみによって保持されているので)重力の影響を受けて柱33の上に落下し、その結果湾曲部分290の外側凸状表面290aの一領域が環状表面、すなわち柱33の第2端面33aと内側表面33fとの間に形成される面取り部33dに当接する。こうして前金型部分22からモノマーリング11を除去しレンズ10を取り外す次の操作のために前金型部分22が配置される。外側凸状表面290aの環状領域のみが面取り部33dに当接し、凸状表面290aの面取り部33dで包囲された残りの部分は内孔33cに突出する。当然のことではあるが面取り部33dに替えて角張ったあるいは丸みを帯びた、または他の適切な形状の縁端(図示せず)を提供してもよい。柱33の外径はスカート24の内径よりも十分小さく、これは第一には前金型部分22が柱33方向に移動するとき実質的に大きさに余裕を持たせるためであり、第二には後述するように、前金型部分22からモノマーリング11を除去しレンズ10を取り外す操作中、前金型部分22が屈曲できるようにするためである。
金型2に関連して上述のように支柱を構成すれば、金型部分21、22の分離に要する力を減少させるのに役立ち、金型部分21、22をより緩やかに分離し、またいわゆる「縁端不良」の危険すなわちレンズ10の周辺部分を損傷する危険を減らすことができると考えられる。
モノマーリングの除去およびレンズ外縁部の取外し
ここで、図13から15および17を参照し、モノマーリング11を除去しさらにレンズ10外縁部付近の周辺領域を前金型部分22から取り外す集成装置について説明する。
図17に示すように、モノマーリングを除去しレンズ縁端を取り外す集成装置に上述の支柱30が備えられている。柱33と肩部31の大きさおよび形状は、前金型部分22の凸状表面290aが面取り部33dの上に載ったときフランジ200の端面200aが周囲の表面、特に基面38から十分離れて配置されるよう、すなわち後述するようにフランジ200に長手方向に配向された力が加えられたときフランジ200が屈曲できるよう、前金型部分22と関連して定められる。さらに、凸状表面290aが面取り部33dに当接している間、外側面22aと第2端面33aは離れたまま維持される。この後者の装置構成では、面取り部33dと凸状表面290aが接している環状領域付近で前金型部分22は屈曲できる。
この集成装置にはさらに、使用時に前金型部品22に近接して設置されるカラーユニット(collar unit)50が備えられている。このカラーユニット50は実質的に管状の壁51を備え、この壁の内側表面51aが内孔51bを画定する。カラーユニット50が前金型部分22に近接して設置されるとき、壁51は前金型部分22のレンズ形成凹状表面26をレンズ10およびレンズ10周りのモノマーリング11とともに包囲する。壁51の内側表面51aにはいくつものガス供給開口53が形成されている。ガス供給開口53は、カラーユニット50が前金型部分22に近接する既定位置に配置されたとき開口53が界面100に略対向するように、好ましくは外側環状表面22cと略同じ高さになるように内側表面51a上に設置される。各開口53はこの開口を通過するガスを噴出させるよう、そしてこの噴出を外側環状表面22cとモノマーリング11間の界面100に配向するよう構成される。しかしながらガス噴出を界面100に配向することができるものであれば、これらの開口を環状表面22cの高さより上または/および下に設置することもできる。この装置構成は、ガス噴出により加えられる力がモノマーリング11と環状表面22cとの間の接合を切断しモノマーリング11を環状表面22cから持ち上げ除去するのに十分なものであるよう構成される。本実施形態においては、円周上に8個の開口53を45度の間隔を空けて設けることで十分であることが分かっている。当然のことではあるが本発明において、ガス供給開口53の数はこれに限られるものではない。替わりに例えば内側表面51aに、円周に延伸する1つの細長い溝(図示せず)を形成することもできる。モノマーリングを除去するためのガスの一例として空気(air)が挙げられるが、当然のことではあるが他の気体混合物の不活性ガスを利用することもできる。
本実施形態において、カラーユニット50はフランジ200の背表面200bに長手方向に配向された力を加える端部部材52を有する。本実施形態では後述するように、カラーユニット50はモノマーリング11を除去するため、およびレンズ10の縁端付近の周辺領域を前金型部分22から取り外すための両方に使用されるが、当然のことではあるがこれら2つの操作を行うためにカラーユニット50および端部部材52を別々の付属品として提供してもよい。端部部材52は直径方向に対向する一対の突出部52aを有する。カラーユニットがガス噴出を加えるために前金型部分に近接する既定位置に配置されると同時に、突出部52aはフランジ200の背表面200bを圧迫する。突出部52aの力を受けて突出部52aと接触しているフランジ200の一部が(近接するスカート24部分とともに)変形し、実質的に放射状内側に撓む。柱33の面取り部33dが前金型部分22の外側凸状表面290aに対して反作用の力を加えることにより、凹状部分290と外側環状表面22cが凸状表面290aと面取り部33dとの接触領域付近で曲げられる。この変形で外側環状表面22cは突出部52aから加えられた力の方向に撓み、その結果モノマーリング11と外側環状表面22cとの間の粘着性接合が切断される。モノマーリング11の周辺領域はこのようにして剥離され、環状表面22c上で盛り上がってこれらの間には空間(図示せず)が形成される。ガス噴出が駆動すると噴出されたガスがモノマーリング11と環状表面22c間に形成された空間に入り込み、モノマーリング11の残り部分を環状表面22cから分離する。
フランジ200とスカート24が上述したように放射状内側に撓むと、フランジ200(および近接するスカート24部分)のうち突出部52aと接触していない他の部分は実質的に放射状外側に撓む。もし対向する突出部52aがフランジ200のうち、間隙34外に配置された部分と接触するように支柱30に関連して設置されたら、フランジ200の間隙34内に配置された部分は放射状外側に撓み肩部31を干渉するかもしれない。こういった理由で各肩部31には細長い溝36が設けられており、その形状は図14に示すように貫通しているものでもよいし有底のもの(図示せず)でもよい。この細長い溝は放射状外側に撓んだ状態のフランジ200とスカート24の一部を収容できる程度の大きさと形状を有する。またフランジ200とスカート24が変形するための余裕をさらに提供するため、柱33の外側表面に直径方向に対向する一対の平面37を設けてもよい。
モノマーリング11が前金型部分22から分離されると、モノマーリングは例えば真空あるいは握持手段のような適切な手段によって金型から取り去られる。一例に過ぎないが、図17に示すように壁51の内側表面51aの前金型部分22から長手方向に離れた位置に真空開口55を設けてもよい。真空開口55の大きさは、分離されたモノマーリング11が前金型部分22の領域から離れてこれを通過するのに十分な大きさである。
次に、レンズ10の縁端付近の周辺領域を前金型部分22から取り外すことが必要となる。このためには、モノマーリング11の除去に関連して上述した手法と同様の手法で突出部52aからの力をフランジ200の背表面200bに加え続け、レンズと凹状表面26との間の粘着性接合を、レンズ10の外縁部とレンズ形成凹状表面26との間から始まってレンズ10の中心に向かって続くようにして分離する。すなわち、これによりレンズの周辺領域が前金型部分から取外しされる。レンズの周辺領域が取外しされると、分離前のレンズを含むこの前金型部分は、前金型部分からレンズ全体を分離する既知の操作の対象となる準備が整ったことになる。この手法によれば、既知の方法と比べて、レンズの取外し中にレンズ縁端を損傷する危険が大幅に減少する。
取外しが行われると、製造工程の計画次第では、レンズ10を例えば真空ピッカーのような適切な工具により除去することもできる。別の方法として、レンズ10を金型キャビティ内に残し支柱30とともに下流の場所に搬送してもよい。上述のモノマーリング11を除去しレンズ10を取り外す集成装置および方法は、レンズ10の外縁部を損傷する危険を減少させるのに大いに役立つと考えられる。レンズ外縁部の損傷は深刻な不良であり、このようなレンズは品質管理によって不良品とみなされ破棄される。
モノマーリングを除去しレンズ縁端を取り外す上述の集成装置において、カラーユニット50は可動であり支柱30は固定されている。しかしながら支柱30が可動でありカラーユニット50が固定されている、あるいはカラーユニット50と支柱30の両方が互いに対して可動であるような装置構成とすることも可能である。また本実施形態において上述の集成装置は、モノマーリング11の除去とレンズ縁端の取外しの両方に適しており、このような複合の集成装置は非常に好都合であり便利であるが、製造時間の短縮の観点から本発明がこのような複合の集成装置に限られるものではないことは当然である。例えば替わりに2つの別々の集成装置を、一方をモノマーリング11除去のために、他方をレンズ縁端の取外しのために提供してもよい。すなわち、第1の集成装置には支柱30と、上述のカラーユニット50を端部部材52とともに備え、また第2の集成装置には支柱30と、レンズ縁端を取り外す操作のために単に端部部材52のみを備えてもよい。
デキャッピング操作を成功させるためには、ピン40から後金型部分21の外側凹状表面29aに加える力として最適のものを選択する必要がある。同様にモノマーリング11を除去しレンズ縁端を取り外すためには、対向する突出部52aから前金型部分22のフランジ200に加えられる力として最適のものを選択する必要がある。選択する力を誤るとレンズを損傷する可能性がある。ピン40や突出部52aにより加える最適な力を決定するため、図18に概略的に示すような力測定システム60が設計されている。このシステム60には、機械的に駆動されるロードセル62またはサーボ(図示せず)のいずれかに接続される交換可能なヘッド61が備えられる。この交換可能なヘッド61は、デキャッピングのための最適な力を測定するためピン40とともに使用することも可能であるし、モノマーリング11を除去しレンズ縁端を取り外すための最適な力を測定するため突出部52aとともに使用することもできる。このシステムはさらに、測定中に金型部分21、22を支持するための手段を備え、この手段はパレット62の形をとることができる。パレット62は交換可能な複数の固定具63(図18には1つの固定具のみを示す)とともに、デキャッピング操作のため、またモノマーリング11除去操作/レンズ縁端取外し操作のため、それぞれ金型部分21、22の設置用に供給される。金型部分21、22が交換可能な固定具に受け入れられたとき、関連する金型部分21または22の中心が交換可能なヘッドの位置と一直線上に並ぶように、交換可能な固定具63は交換可能なヘッド61の真下に配置される。種々の強さを設定して交換可能なヘッド61を操作することにより、デキャッピング操作、およびモノマーリング11除去操作/レンズ縁端取外し操作のための最適な強さが判明する。
ここで詳細に説明した特定の形態は単に例として与えられたものであり、本発明はこれらに限られるものではなく、種々の変形、変更例が本発明の範囲内において実施可能であることは当然のことと理解されたい。
2 金型
10 レンズ
11 余剰材料(モノマーリング)
21 後金型部分
22 前金型部分
20、200 フランジ
23、24 スカート
25、28、34 間隙
30 支柱
31 肩部
31a 第1端面
31b 放射状内向面
32 長手軸
33 柱
33a 第2端面
33b 放射状外向面
33d 面取り部
40 ピン
50 カラーユニット
52a 突出部
53 ガス供給開口
55 真空開口

Claims (10)

  1. 金型部分の凹状成形表面に粘着している硬化されたレンズの周辺領域を取り外すための装置であって、
    長手軸、および前記金型部分を支持し該金型部分の外側凸状表面と当接するように構成された面、を有する支持部材と、
    前記支持部材に形成された開口部を包囲する環状表面の形を成し、前記金型部分の前記外側凸状表面が該環状表面と当接したときに、前記外側凸状表面が前記開口部を画定している表面から離れて維持されるような大きさと形状を有する前記開口部内に前記外側凸状表面の一部が突出するように形成された、前記金型を支持するための前記面と、さらに、
    前記金型部分のスカート部から突出するフランジに長手方向に配向された力を加えるための手段とを備え、該力が前記金型部分の前記凹状成形表面を該力の加えられた方向に撓ませるのに十分なものであり、それにより前記レンズと前記金型部分の前記成形表面との間の粘着性接合を少なくとも前記レンズの周辺領域周りで該レンズの外縁部から始まって該レンズの中心に向かって続くようにして分離することを特徴とする装置。
  2. 前記金型部分の前記外側凸状表面が前記環状表面と当接しているとき前記スカート部の前記フランジが周囲のいずれの表面とも接触しないように、前記支持部材が構成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記支持部材が前記金型部分の前記スカート部に関連して、前記支持部材が前記スカートの内部に受け入れられたとき、前記スカートが放射状方向に変形するための空間を提供するため、前記スカートの内側表面と前記支持部材の外側表面との間に十分な間隔を設けるように構成されることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
  4. 長手方向に配向された力を加えるための前記手段が、直径方向に間隔を空けて配置された一対の突出部を備え、各突出部が前記スカート部の前記フランジと当接しかつ押圧するための端面を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の装置。
  5. 前記支持部材の前記開口部が孔の形を成すことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の装置。
  6. 前記支持部材が、前記支柱から長手方向に突出した柱の形を成すことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の装置。
  7. 前記環状表面が、前記柱の端表面と前記開口部を画定する内側表面との間に形成された面取り部を含むことを特徴とする請求項6記載の装置。
  8. 前記長手方向に配向された力が加えられているときに前記金型部分の前記スカートが放射状内向きに変形するための空間を提供するため、前記柱が該柱の外側表面に、直径方向に対向する一対の平面を有することを特徴とする請求項6または7記載の装置。
  9. 金型部分の凹状成形表面に粘着した硬化されたレンズの周辺領域を取り外す方法であって、
    a)長手軸、および前記金型部分を支持し該金型部分の外側凸状表面と当接するように構成された面、を有する支持部材を提供し、前記金型を支持するための前記面が、前記支持部材に形成された開口部を包囲する環状表面の形を成し、前記金型部分の前記外側凸状表面が該環状表面と当接したときに、前記外側凸状表面が前記開口部を画定している表面から離れて維持されるような大きさと形状を有する前記開口部内に前記外側凸状表面の一部が突出するステップと、
    b)前記支持面上に前記金型部分の前記外側凸状表面を設置するステップと、
    c)前記金型部分のスカート部から突出するフランジに長手方向に配向された力を加え、該力が前記金型部分の前記凹状成形表面を該力の加えられた方向に撓ませるのに十分なものであり、それにより前記レンズと前記金型部分の前記成形表面との間の粘着性接合を少なくとも前記レンズの周辺領域周りで該レンズの外縁部から始まって該レンズの中心に向かって続くようにして分離するステップとを含むことを特徴とする方法。
  10. ステップc)が、直径方向に対向する一対の突出部の端面を前記スカート部の前記フランジに対して押圧し、前記長手方向に配向された力を該突出部から前記フランジに加えるステップを含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
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