JP5088240B2 - エンジンの動弁機構 - Google Patents

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Description

本発明は、バルブリフト量を可変可能なエンジンの動弁機構に関する。
特許文献1には、シリンダヘッドにバルブガイドを介して摺動自在に設けられた一対の吸気弁と、機関前後方向に配置された内部中空状の支軸である駆動軸と、各気筒毎に配置されて、前記駆動軸の外周面に同軸上に回転自在に支持されたカムシャフトと、前記駆動軸の所定位置に固設された駆動カムと、前記カムシャフトの両端部に一体に設けられて、各吸気弁の上端部に配設されたバルブリフターに摺接して各吸気弁を開作動させる一対の揺動カムと、駆動カムと揺動カムとの間に連係されて、駆動カムの回転力を揺動カムの揺動力(開弁力)として伝達する伝達機構と、該伝達機構の作動位置を可変にする制御機構とを備えた動弁機構が開示されている。前記伝達機構は、駆動軸の上方に配置されたロッカアームと、該ロッカアームの一端部と駆動カムとを連係するリンクアームと、ロッカアームの他端部と一方の揺動カムのカムノーズ部とを連係するリンクロッドとを備えている。また前記制御機構は、駆動軸の上方位置に配置された軸受に回転自在に支持された制御軸と、該制御軸の外周に一体に固定されてロッカアームの揺動支点となる制御カムとを備えている。
前記ロッカアームには、前記制御カムを回転可能に支持する支持孔が形成されている。また、前記リンクアームには、前記駆動カムの外周面に回転自在に嵌合する嵌合孔と、前記ロッカアームに突設されたピンが回転自在に挿通するピン孔が形成されている。
そして、前記駆動カムの外周面と前記リンクアームの嵌合孔の内周面との間、及び前記ロッカアームのピンと前記リンクアームのピン孔との間には、前記駆動軸の内部に形成された油通路から潤滑油が供給されている。また、前記ロッカアームの支持孔と前記制御カムとの間には、前記制御軸の内部軸心方向に形成された油通路部から潤滑油が供給されている。
このような特許文献1においては、前記制御軸に対する前記制御カムの偏心量を増加させると、前記制御カムの外径が次第に大きくなり、部品のレイアウトが困難になってしまう。
特開2004−293406号公報
したがって、ある偏心量を境に、主軸部と偏心カム部とを有し、偏心カム部を主軸部に対してオフセットしたクランク形状の制御軸に変更することで、部品のレイアウト性を確保するのがよい。
しかしながら、前記制御軸をクランク形状に変更する場合、前記制御軸内には、前記ロッカアームの支持孔と前記制御カムとの間の潤滑油を供給するための油通路部が軸方向に貫通するよう設けられているので、前記主軸部と前記偏心カム部との連結部分の制御軸軸直角方向に沿った断面において、この連結部分の全体の面積に対する前記油通路部の占める割合が相対的に大きくなり、前記連結部分の強度が大幅に低下してしまうという問題がある。
また、クランク形状の制御軸において、前記主軸部ないし偏心カム部の径を増加させ、前記主軸部と前記偏心カム部との連結部分の制御軸軸直角方向に沿った断面積を増加させると、当該制御軸の重量増加を招いてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、駆動軸と、この駆動軸に設けられた駆動カムと、前記駆動カムの外周に相対回転可能に嵌合したリンクアームと、前記駆動軸と平行に設けられ、かつ主軸部と偏心カム部とを有するクランク形状の制御軸と、前記偏心カム部に回転可能に装着され、かつ前記リンクアームにより揺動される揺動アームと、前記駆動軸に回転可能に支持されるとともに、前記揺動アームにリンクロッドを介して連結され動弁を押圧する揺動カムと、を備えたエンジンの動弁機構において、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームとの摺動面に、前記駆動軸の内部に形成された主油通路から潤滑油が供給されていることを特徴としている。
本発明によれば、クランク形状の制御軸内に油通路を形成することなく、制御軸の偏心カム部と揺動アームとの摺動面に潤滑油を供給することができる。そのため、クランク形状の制御軸内に油通路を形成する場合に比べて、制御軸の主軸部と制御軸の偏心カム部とが連結される部分の強度が大幅に低下してしまうことを防止することができると共に、制御軸の重量増加を招くことなく、制御軸の偏心カム部と揺動アームとの摺動面に潤滑油を供給することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るにエンジンの動弁機構10を模式的に示した説明図である。
本実施形態の動弁機構10は、1気筒あたり図示せぬ2つの動弁(例えば吸気弁)を備え、かつ動弁のバルブリフト量をエンジンの運転状態に応じて変更可能なものである。詳述すると、本実施形態の動弁機構10は、低速低負荷域では、高速高負荷域に比べて、バルブリフト量が小さくなると共に、動弁のリフト作動角、すなわち動弁の開弁期間が小さくなるよう変更可能であり、高速高負荷域では、低速低負荷域に比べて、バルブリフト量が大きくなると共に、動弁のリフト作動角、すなわち動弁の開弁期間が大きくなるよう変更可能なものである。つまり、動弁機構10は、動弁のバルブリフト量が大きくなると動弁のリフト作動角も大きくなり、動弁のバルブリフト量が小さくなると動弁のリフト作動角も小さくなる。
動弁機構10は、エンジン前後方向(気筒列方向)に沿ってシリンダヘッド上部に回転自在に支持された駆動軸11と、駆動軸11に設けられた駆動カム112と、駆動カム112の外周に相対回転可能に嵌合したリンクアーム12と、駆動軸11と平行に設けられ、かつ主軸部131と偏心カム部132とウェブプレート133とを有する回転可能な制御軸13と、制御軸13の偏心カム部132に回転可能に装着され、かつリンクアーム12により揺動される揺動アーム14と、駆動軸11に回転可能に支持されるとともに、揺動アーム14に細長いリンクロッド15を介して連結され、揺動アーム14に伴って揺動することにより動弁(図示せず)を押圧する揺動カム16と、から大略構成され、エンジン回転に同期して回転する駆動軸11に応動して揺動カム16が揺動して動弁を開閉するものである。尚、駆動軸11及び制御軸13は図示せぬ軸受により回転自在に支持されている。
駆動軸11は、エンジンのクランク軸(図示せず)からトルクが伝達されて回転するものであって、円筒形状の駆動軸本体111と駆動カム112とから構成されている。駆動軸本体111の内部には、主油通路31が形成されている。駆動カム112は、駆動軸本体111に固定されており、駆動軸本体111と一体回転する。駆動カム112は、駆動軸本体111の軸心から偏倚した偏心回転カムであって、カムボディ112aとボス部112bとを有し、カムボディ112aとボス部112bとは一体形成されている。また、カムボディ112aの軸心は駆動軸本体111の軸心から径方向へ所定量オフセットするよう設定されている。そして駆動カム112は、連結ピン(図示せず)によって駆動軸本体111に連結固定されている。そして、駆動軸11には、一端が主油通路31に開口し、他端が駆動カム112の外周面に開口する第1油通路32が形成されている。
制御軸13は、主軸部131の軸心に対して偏心カム部132の軸心がオフセットしたクランク形状を呈し、主軸部131と偏心カム部132が薄板状のウェブプレート133を介して接続されている。この制御軸13は、アクチュエータ(図示せず)によって所定回転角度範囲内で回転するように制御される。アクチュエータは、クランク角センサやエアフロメータ、水温センサ等の各種センサからの検出信号から検出されたエンジンの現在の運転状態に基づいて制御軸13を回転制御するものである。そして、制御軸13が回転制御されると、偏心カム部132の偏倚位置が調整され、揺動アーム14の揺動中心が変更される。そして、制御軸13の回転角度位置に応じて動弁のリフトならびに作動角が、両者同時に、連続的に拡大、縮小し、このリフト・作動角の大小変化に伴い、動弁の開時期と閉時期とがほぼ対称に変化する。
リンクアーム12は、図1〜図4に示すように、駆動カム112の外周に相対回転可能に嵌合する大端部12aと、揺動アーム14のピン部21の外周に相対回転可能に嵌合する小端部12bとを有し、揺動アーム14に隣接して配置されている。
そして、このリンクアーム12には、一端が大端部内周面33に開口し、他端が小端部内周面34に開口する直線状の第2油通路35が形成されている。詳述すると、この第2油通路35は、駆動カム112と大端部12aとの摺動面の小端部側(図2おける上方側)に一端が開口し、揺動アーム14のピン部21と小端部12bとの摺動面の大端部側(図2おける下方側)に他端が開口するよう形成されている。ここで、大端部内周面33は、駆動カム112の外周面を回転可能に支持するものであり、小端部内周面34は、ピン部21の外周面を回転可能に支持するものである。そして、第2油通路35は、その軸線が、リンクアーム12を正面視すると(図2を参照)大端部12aの中心と小端部12bの中心とを結ぶ直線と一致するよう形成されている。
尚、この第2油通路35は、駆動カム112の外周面に開口した第1油通路32の他端から供給される潤滑油を、小端部12b側に導き、揺動アーム14のピン部21と小端部12bとの摺動面を潤滑するものである。
揺動アーム14は、図1、図5〜図7に示すように、キャップ141と、リンクアーム12と連係する円柱形状のピン部21をする有するアームボディ142と、とから大略構成され、キャップ141とキャップ141よりも駆動軸11側に位置するアームボディ142とにより偏心カム部132を挟み込み、回転可能に支持している。換言すると、揺動アーム14は、制御軸13の偏心カム部132を回転可能に支持する制御軸支持部143と、リンクアーム12と連係する円柱形状のピン部21とを有している。制御軸支持部143は、キャップ141に形成されたアームボディ側制御軸支持部36と、アームボディ142に形成されたキャップ側制御軸支持部37とによって構成されている。さらに言えば、揺動アーム14は、その一端側に制御軸支持部143が形成され、他端側にピン部21が形成されている。尚、キャップ141とアームボディ142とは、ボルト38により結合されている。
また、揺動アーム14のアームボディ142には、図5及び図6に示すように、一端がピン部21の外周面に開口し、他端がキャップ側制御軸支持部37に開口する直線状の第3油通路39が形成されている。詳述すると、揺動アーム14には、ピン部21とリンクアーム12の小端部12bとの摺動面に一端が開口し、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面に他端が開口する第3油通路39が形成されている。
そして、この第3油通路39は、その他端が、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面の制御軸軸方向に沿った中心位置よりも制御軸軸方向で揺動アーム14に隣接するリンクアーム側(図6における左側)に偏った位置に開口するよう設定されている。
また、揺動アーム14の制御軸支持部143には、図6及び図7に示すように、制御軸支持部143と制御軸13の偏心カム部132との摺動面の制御軸軸方向の中心位置を跨ぎ、制御軸13の軸方向に沿って延びる第1油溝40が形成されている。この第1油溝40は、アームボディ142のキャップ側支持制御軸支持部37に、第3油通路39の他端と連続するよう形成されている。
リンクロッド15は、一端がピン22を介して揺動アーム14のアームボディ142に連結され、他端が回転支点としてのピン23を介して揺動カム16に連結されている。換言すれば、リンクロッド15は、一端がピン22を介して揺動アーム14の他端側に連結されている。つまり、リンクロッド15は、制御軸13に対して揺動アーム14のピン部21と同一側に位置するピン23を介して前記揺動アームに連係されている。ここでピン22は、ピン部21よりも偏心カム部132の軸心から離れている。
揺動カム16は、パイプ17に固設された一対の部材であり、パイプ17は、駆動軸11を挿通し、駆動軸11を中心として揺動自在となっている。そして、揺動カム16の回転により動弁が開閉するようになっている。
ここで、本実施形態の動弁機構10は、リンクアーム14に対する揺動アーム14の回転支点となるピン部21と、揺動アーム14に対するリンクロッド15の回転支点となるピン22とが、揺動アーム14の制御軸13に対して対して同一側、すなわち揺動アーム14の他端側に位置するように設定されているので、駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせることになり、リンクアーム12には引っ張り方向の荷重が作用する。
図8を用いて詳述する。図8(A−1)は、制御軸13を挟んでピン部21とピン22とが反対側に位置するタイプの可変動弁機構において、動弁を開弁するときのリンクの状態を示す側面図であり、図8(A−2)は正面図、図8(A−3)はリンクアーム12の正面図である。図8(B−1)は、上述した本実施形態の可変動弁機構、すなわち制御軸13に対してピン部21とピン22とが同一側に位置する可変動弁機構において、動弁を開弁するときのリンクの状態を示す側面図であり、図8(B−2)は正面図、図8(B−3)はリンクアーム12の正面図である。尚、図8(A−1)、図8(A−2)、図8(A−3)においては、説明の便宜上、本実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
図8(A−1)、図8(A−2)に示したような制御軸13を挟んでピン部21とピン22とが反対側に位置するタイプの可変動弁機構においては、動弁が開弁するときに荷重が以下のように作用する。すなわち、駆動軸11が回転してカムボディ112aが上昇すると、リンクアーム12を介してピン部21の位置も上昇する。すると揺動アーム14を介してピン22の位置が下降する。するとリンクロッド15を介して揺動カム16が押し下げられて動弁が開弁する。このように動弁が開弁するときは、図8(A−1)に示すように、リンクアーム12には圧縮方向に荷重が作用し、揺動アーム14の両端には上向き荷重が作用する。そのため、リンクアーム12には、図8(A−3)に斜線で模式的に示すように、小端部12bの接触荷重は下側、大端部12aの接触荷重は上側にそれぞれ発生する。そのため、小端部内周面34と揺動アーム14のピン部21とは、小端部内周面34の周方向に沿って均等に接触しない。また、大端部内周面33と駆動カム112とは、大端部内周面33の周方向に沿って均等に接触しない。具体的には、小端部内周面34では大端部12a側が揺動アーム14のピン部21と強く接触し、大端部内周面33では小端部12b側が駆動カム112と強く接触する。また、大端部内周面33と駆動カム112とは、大端部内周面33の周方向に沿って均等に接触しない。そして、揺動アーム14の両端には、同方向の荷重が作用するので、図8(A−2)に示すように、揺動アーム14に生じるモーメントMx1は揺動アーム14を倒すようなモーメントとしては作用しない。
これに対して、図8(B−1)、図8(B−2)に示したような制御軸13に対してピン部21とピン22とが同一側に位置するタイプの可変動弁機構においては、動弁が開弁するときに荷重が以下のように作用する。すなわち、駆動軸11が回転してカムボディ112aが下降すると、リンクアーム12を介してピン部21の位置も下降する。すると揺動アーム14を介してピン22の位置も下降する。するとリンクロッド15を介して揺動カム16が押し下げられて動弁が開弁する。このように動弁が開弁するときは、図8(B−1)に示すようにリンクアーム12には引っ張り方向に荷重が作用し、図8(B−2)に示すように揺動アーム14の制御軸軸方向に沿った一方の端部には下向き荷重が作用するが、揺動アーム14の制御軸軸方向に沿ったもう一方の端部には上向き荷重が作用する。そのため、リンクアーム12には、図8(B−3)に斜線で模式的に示すように、小端部12bの接触荷重は上側、大端部12aの接触荷重は下側にそれぞれ発生する。そのため、小端部内周面34と揺動アーム14のピン部21とは、小端部内周面34の周方向に沿って均等に接触しない。また、大端部内周面33と駆動カム112とは、大端部内周面33の周方向に沿って均等に接触しない。具体的には、小端部内周面34では大端部12a側にクリアランスができやすくなり、大端部内周面33では小端部12b側にクリアランスができやすくなる。そして、揺動アーム14の制御軸軸方向に沿った両端に反対方向の荷重が作用するので、図8(B−2)に示すように、揺動アーム14を倒すような大きなモーメントMx2が発生する。尚、制御軸13に対してピン部21とピン22とが同一側に位置するタイプの可変動弁機構においては、荷重間の距離をできるだけ小さくしてモーメントアームの長さを縮小すれば、揺動アーム14を倒すモーメントを小さく抑えることができる。つまり、ピン部21とピン22との距離、すなわちリンクアーム12とリンクロッド15との距離、を小さくすることで揺動アーム14を倒すモーメントを小さく抑えることは可能である。
このように構成された本実施形態の動弁機構10においては、主油通路31からの潤滑油によって、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14との摺動面が潤滑される。
図9に示すように、クランク形状の制御軸内に油通路を形成すると、主軸部と偏心カム部とが連結される部分の制御軸軸直角方向に沿った断面において(図9bを参照)、この連結部分(オーバーラップ部分)にも前記油通路が形成されるため、前記連結部分に前記油通路を形成しない場合に比べて強度が大幅に低下してしまうことになり、前記主軸もしくは前記偏心カム部の径を増加させ、前記連結部分の全体の断面積を増加させる必要がある。
しかしながら、本実施形態においては、クランク形状の制御軸13内に油通路を形成する必要がないので、主軸部131と偏心カム部132とが連結される部分の強度が大幅に低下することはない。そのため、制御軸13の重量増加を招くことなく、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14のピン部21との摺動面に潤滑油を供給することができる。
そして、本実施形態においては、クランク形状の制御軸13内に油通路を形成する必要がないので、クランク形状の制御軸13内に油通路を形成する場合に比べて、制御軸13の軸方向視で主軸部131と偏心カム部132との重なり合う面積を小さくすることが可能となり、制御軸13の設計自由度を大きくすることができる。
また、本実施形態の動弁機構10は、制御軸13に対してピン部21とピン22とが同一側に位置しているので、駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせることになり、リンクアーム12には引っ張り方向の荷重が作用するので、第2油通路35の一端及び他端が開口する部位においては、相対的にクリアランスが生じやすくなっている。つまり、第2油通路35は、その一端から潤滑油が流入しやすく、その他端からは潤滑油が流出しやすくなっている。そのため、本実施形態においては、揺動アーム14とリンクアーム12との連係部分、すなわち揺動アーム14のピン部21とリンクアーム12の小端部12bとの摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
そして、駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせる動弁機構10においては、その特有の荷重方向が原因で揺動アーム14に大きな倒れモーメントMx2(図8(B−2)を参照)が作用するため、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143とは、制御軸軸方向に沿って均等に接触しない。換言すると、揺動アーム14の制御軸支持部143においては、リンクアーム12側では上側半分が制御軸13の偏心カム部132に強く当たり、リンクロッド15側では下側半分が制御軸13の偏心カム部132に強く当たることになる。つまり、制御軸支持部143のリンクアーム12側では、揺動アーム14の上半分の当たりが強い半面、下半分には比較的クリアランスができやすくなり、このクリアランスに潤滑油が入り込み、当該部位の潤滑が良好に行われる。
そのため、図6に示すように、第3油通路39の他端を本実施形態のように、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面の制御軸軸方向に沿った中心位置よりも制御軸軸方向で揺動アーム14に隣接するリンクアーム12側に偏った位置に開口するよう設定することによって、第3油通路39の他端から潤滑油が流出しやすくなるため、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
尚、第3油通路39の他端を制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面の制御軸軸方向に沿った中心位置よりも制御軸軸方向でリンクロッド15側に偏った位置に開口するよう設定すると、揺動アーム14の倒れによって第3油通路39の他端が塞がれ、潤滑油の供給が不十分になる虞がある。
そして、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面のリンクロッド15側へは、制御軸支持部143に形成された第1油溝40によって容易に供給することができ、総じて、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。また、第1油溝40を揺動アーム14のキャップ141に設けることで、制御軸13の偏心カム部132が強く当たることになる揺動アーム14の制御軸支持部143のリンクロッド15側に低コストで簡単に潤滑油を導くことが可能となる構成を得ることができる。
本実施形態のように、駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせる動弁機構10においては、リンクアーム12側よりもリンクロッド15側に作用する荷重の方が小さい。つまり、リンクロッド15側の当たりは、リンクアーム12側の当たりに対し、相対的に弱い。したがって、本実施形態においては、第1油溝40によって摺動幅が若干減少するというデメリットよりも、むしろ潤滑油が潤沢に導かれることによる潤滑・冷却性能向上のメリットの方が大きい。
そして、上述した本実施形態においては、図10に示すように、揺動アーム14のピン部21の外周面に開口する第3油通路39の一端が、制御軸軸方向視で、揺動アーム14の揺動中心である制御軸支持部143の中心と、揺動アーム14のピン部21の中心と、を結ぶ直線に対して、駆動軸11側に位置するよう形成されている。換言すれば、制御軸軸方向視で、揺動アーム14の揺動中心である制御軸支持部143の中心と揺動アーム14のピン部21の中心とを結んだ直線に対して、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面に開口する第3油通路39の一端が、駆動軸11側に位置するように形成されている。
さらに言えば、とりわけ、制御軸軸方向視で、揺動アーム14の揺動中心である制御軸支持部143の中心と揺動アーム14のピン部21の中心とを結んだ直線と、第3油通路39の一端の中心と揺動アーム14のピン部21の中心と結んだ直線と、が略直交するように第3油通路39の一端の位置が設定されているのが好適である。その理由を以下に述べる。
一つは、動弁機構10が、いかなる作動角の場合においても、第3油通路39の一端が、駆動軸11の1回転当たり、少なくとも2回以上リンクアーム12内の第2油通路35と連通し、確実に潤滑を行うことができる。尚、本実施形態で示したリンクジオメトリに限らず、他の種々のジオメトリにおいても、この位置関係は成立していた。
そして、もう一つは、動弁機構10が、駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせるものであるため、このように第3油通路39の一端の位置を設定すれば、第3油通路39の一端とリンクアーム12の小端部内周面34とが強く接触することは原理的にない。すなわち、本実施形態の動弁機構10においては、上述したように、小端部内周面34では大端部12a側にクリアランスができやすくなっているので、この部位に第3油通路39の一端が開口するよう構成することによって、第3油通路39の一端が開口することによる、小端部内周面34とピン部21との摺動幅の減少、ひいてはPV値の増大を懸念する必要がまったくない。しかも、当該部分に適当なクリアランスが存在するので通常リンク方式の場合(図8(B−1)を参照)と比べ、当該部分の潤滑性能もさらに向上する。また、第3油通路39の一端に潤滑油が流入しやすくなるため、第3油通路39からの潤滑油により、制御軸13の偏心カム部132と揺動アーム14の制御軸支持部143との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
図11は、駆動軸角度に対する、小〜大作動角時のバルブリフトと、揺動アーム14とリンクアーム12とのなす角を示した図である。図10に斜線で示す範囲に第3油通路39の一端が来るような設定とすれば、小〜大作動角いずれにおいても、駆動軸11の1回転当たり少なくとも2回以上、第3油通路39の一端はリンクアーム12の小端部内周面34に開口した第2油通路35の他端と連通することができる。
また、図12及び図13に示すように、上述した動弁機構10において、リンクアーム12の小端部12bに、揺動アーム14のピン部21とリンクアーム12の小端部12bとの摺動面の大端部12a側となる位置に、第2油通路35の他端と連続し、揺動アーム14のピン部21とリンクアーム12の小端部12bとの摺動面の周方向に沿って延びる第2油溝41を形成してよい。換言すれば、リンクアーム12の小端部内周面34の大端部12a側となる位置に、第2油通路35の他端と連続し、小端部内周面34周方向に沿って延びる第2油溝41を形成してもよい。
このような第2油溝41を小端部内周面34に形成すれば、揺動アーム14のピン部21とリンクアーム12の小端部12bとの摺動面の潤滑性能を一層向上させることができる。これは、動弁機構10が駆動カム112で揺動アーム14を引き下げて動弁をリフトさせるものであり、当該部位に接触荷重が発生しない、すなわち小端部内周面34の大端部12a側に比較的クリアランスができやすいといった特性を活用したものである。
上述した実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
(1) 内部に主油通路が形成され、エンジン回転に同期して回転する駆動軸と、前記駆動軸に設けられた駆動カムと、該駆動カムの外周に相対回転可能に嵌合したリンクアームと、前記駆動軸と平行に設けられ、かつ主軸部と偏心カム部とを有する回転可能な制御軸と、該制御軸の偏心カム部に回転可能に装着され、かつ前記リンクアームにより揺動される揺動アームと、前記駆動軸に回転可能に支持されるとともに、前記揺動アームにリンクロッドを介して連結され、該揺動アームに伴って揺動することにより動弁を押圧する揺動カムと、を備え、前記動弁のバルブリフト量を可変とするエンジンの動弁機構であって、前記制御軸は、前記主軸部に対して、前記偏心カム部がオフセットしたクランク形状を呈し、前記揺動アームは、前記制御軸の前記偏心カム部を回転可能に支持する制御軸支持部と、前記リンクアームと連係する円柱形状のピン部とを有し、前記リンクアームは、前記駆動カムの外周に相対回転可能に嵌合する大端部と、前記揺動アームの前記ピン部の外周に相対回転可能に嵌合する小端部と、を有し、前記駆動軸及び前記駆動カムに形成され、前記主油通路と、前記駆動カムと前記大端部との摺動面とを連通する第1油通路と、前記リンクアームに形成され、前記駆動カムと前記大端部との摺動面と、前記揺動アームの前記ピン部と前記小端部との摺動面とを連通する第2油通路と、を有するエンジンの動弁機構において、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面と、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームとの摺動面と、を連通する第3油通路が前記揺動アームに形成されている。これによって、前記主油通路からの潤滑油によって、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームとの摺動面が潤滑される。つまり、クランク形状の制御軸内に油通路を形成することなく、制御軸の偏心カム部と揺動アームとの摺動面に潤滑油を供給することができる。そのため、クランク形状の制御軸内に油通路を形成する場合に比べて、制御軸の主軸部と制御軸の偏心カム部とが連結される部分の強度が大幅に低下してしまうことを防止することができると共に、制御軸の重量増加を招くことなく、制御軸の偏心カム部と揺動アームとの摺動面に潤滑油を供給することができる。
(2) 前記(1)に記載のエンジンの動弁機構において、前記制御軸は、前記主軸部と前記偏心カム部とが連結される部分において、該制御軸の軸方向視で前記主軸部と前記偏心カム部との重なり合う面積が小さくなるよう設定されている。クランク形状の前記制御軸内に油通路を形成する必要がないので、クランク形状の制御軸内に油通路を形成する場合に比べて、前記制御軸の軸方向視で前記主軸部と前記偏心カム部との重なり合う面積を小さくすることが可能となり、前記制御軸の設計自由度を大きくすることができる。
(3) 前記(1)または(2)に記載のエンジンの動弁機構において、前記リンクロッドは、前記制御軸に対して前記揺動アームのピン部と同一側に位置する回転支点を介して前記揺動アームに連係され、前記第2油通路は、前記駆動カムと前記リンクアームの前記大端部との摺動面の前記小端部側に一端が開口し、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の前記大端部側に他端が開口するよう形成されている。前記揺動アームのピン部と、前記揺動アームと前記リンクロッドとを連係する回転支点とが、前記制御軸に対して同一側に位置していると、前記駆動カムで前記揺動アームを引き下げて前記動弁をリフトさせることになり、前記リンクアームには引っ張り方向の荷重が作用する。そのため、前記第2油通路の一端及び他端が開口する部位においては、相対的にクリアランスが生じやすくなっている。つまり、前記第2油通路は、その一端から潤滑油が流入しやすく、その他端からは潤滑油が流出しやすくなっている。これによって、前記揺動アームと前記リンクアームとの連係部分、すなわち前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
(4) 前記(3)に記載のエンジンの動弁機構において、前記揺動アームは、前記制御軸の軸方向に沿って前記リンクアームに隣接するよう配置され、前記第3油通路は、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面に一端が開口し、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面に他端が開口するよう形成され、前記第3油通路の他端は、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の制御軸軸方向に沿った中心位置よりも制御軸軸方向で前記揺動アームに隣接する前記リンクアーム側に偏った位置に開口するよう設定されている。前記駆動カムで前記揺動アームを引き下げて前記動弁をリフトさせる動弁機構においては、その特有の荷重方向が原因で前記揺動アームに大きな倒れモーメントが作用するため、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部とは、制御軸軸方向に沿って均等に接触しない。換言すると、前記揺動アームの前記制御軸支持部においては、前記リンクアーム側では上側半分が前記制御軸の前記偏心カム部に強く当たり、前記リンクロッド側では下側半分が前記制御軸の前記偏心カム部に強く当たることになる。これによって、第3油通路の他端から潤滑油が流出しやすくなるため、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
(5) 前記(4)に記載のエンジンの動弁機構において、前記揺動アームの前記制御軸支持部には、該制御軸支持部と前記制御軸の前記偏心カム部との摺動面の制御軸軸方向の中心位置を跨ぎ、前記制御軸の軸方向に沿って延びる第1油溝が形成されている。これによって、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
(6) 前記(5)に記載のエンジンの動弁機構において、前記揺動アームは、キャップと、前記ピン部が形成されたアームボディとを有し、前記制御軸支持部は、前記キャップに形成されたキャップ側制御軸支持部と前記アームボディに形成されたアームボディ側制御軸支持部とによって構成され、前記第1油溝は、前記アームボディの前記アームボディ側制御軸支持部に形成されている。これによって、前記キャップの前記リンクロッド側に潤滑油を容易に供給することができ、総じて、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。また、前記第1油溝を前記アームボディに設けることで、前記制御軸の前記偏心カム部が強く当たることになる前記揺動アームの前記制御軸支持部の前記リンクロッド側に、低コストで簡単に潤滑油を導くことが可能となる構成を得ることができる。
(7) 前記(3)〜(6)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、制御軸軸方向視で、前記揺動アームの揺動中心である前記制御軸支持部の中心と該揺動アームのピン部の中心とを結んだ直線に対して、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面に開口する前記第3油通路の一端が、前記駆動軸側に位置するように形成されている。前記駆動カムで前記揺動アームを引き下げて前記動弁をリフトさせる動弁機構においては、前記リンクアームには引っ張り方向の荷重が作用することになる。つまり、前記第3油通路の一端が開口する部位においては、相対的にクリアランスが生じやすくなっている。これによって、前記第3油通路の一端に潤滑油が流入しやすくなるため、前記第3油通路からの潤滑油により、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
(8) 前記(3)〜(7)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面に開口する前記第3油通路の一端の位置は、前記動弁のバルブリフト量に関わらず、前記駆動軸1回転当たり少なくとも2回以上前記第2油通路の他端と連通するような位置に形成されている。これによって、前記第3油通路の一端から導入された潤滑油により、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
(9) 前記(3)〜(8)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、制御軸軸方向視で、前記揺動アームの揺動中心である前記制御軸支持部の中心と該揺動アームの前記ピン部の中心とを結んだ直線と、前記第3油通路の一端の中心と前記揺動アームの前記ピン部の中心と結んだ直線と、が略直交するように前記第3油通路の一端の位置が設定されている。これによって、前記第3油通路の一端に潤滑油が流入しやすくなるため、前記第3油通路からの潤滑油により、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の潤滑性能を向上させることができる。
(10) 前記(3)〜(9)のいずれかに記載のエンジンの動弁機構において、前記リンクアームの前記小端部には、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の前記大端部側となる位置に、前記第2油通路の他端と連続し、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の周方向に沿って延びる第2油溝が形成されている。これによって、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の潤滑性能を一層向上させることができる。
本発明に係るエンジンの動弁機構を模式的に示した説明図。 本発明に係るエンジンの動弁機構を構成するリンクアームの正面図。 本発明に係るエンジンの動弁機構を構成するリンクアームの斜視図。 図3のA−A線に沿った断面図。 本発明に係るエンジンの動弁機構を構成する揺動アームのアームボディの斜視図。 本発明に係るエンジンの動弁機構を構成する揺動アームのアームボディの平面図。 本発明に係るエンジンの動弁機構を構成する揺動アームのアームボディの斜視図。 制御軸を挟んで揺動アームにリンクアームとリンクロッドが連結される動弁機構と、制御軸に対して同じ側で揺動アームにリンクアームとリンクロッドが連結される動弁機構を対比して示した模式図であり、(A−1)は制御軸を挟んで揺動アームにリンクアームとリンクロッドが連結される動弁機構Aにおいて動弁を開弁するときのリンクの状態を示す側面図、(A−2)は動弁機構Aの正面図、(A−3)は動弁機構Aのリンクアームの正面図、(B−1)は制御軸に対して同じ側で揺動アームにリンクアームとリンクロッドが連結される動弁機構Bにおいて動弁を開弁するときのリンクの状態を示す側面図、(B−2)は動弁機構Bの正面図、(B−3)は動弁機構Bのリンクアームの正面図である。 内部に油通路が形成されたクランク形状の制御軸を模式的に示した説明図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。 本発明に係るエンジンの動弁機構を構成する揺動アームのアームボディを模式的に示した説明図。 駆動軸角度に対する、小〜大作動角時のバルブリフトと、揺動アームとリンクアームとのなす角を示した説明図。 リンクアームの他の実施形態を示す説明図。 リンクアームの他の実施形態を示す説明図。
符号の説明
10…動弁機構
11…駆動軸
111…駆動軸本体
112…駆動カム
12…リンクアーム
13…制御軸
131…主軸部
132…偏心カム部
14…揺動アーム
141…キャップ
142…アームボディ
143…制御軸支持部
15…リンクロッド
16…揺動カム
21…ピン部
31…主油通路
32…第1油通路
35…第2油通路
39…第3油通路

Claims (10)

  1. 内部に主油通路が形成され、エンジン回転に同期して回転する駆動軸と、前記駆動軸に設けられた駆動カムと、該駆動カムの外周に相対回転可能に嵌合したリンクアームと、前記駆動軸と平行に設けられ、かつ主軸部と偏心カム部とを有する回転可能な制御軸と、該制御軸の偏心カム部に回転可能に装着され、かつ前記リンクアームにより揺動される揺動アームと、前記駆動軸に回転可能に支持されるとともに、前記揺動アームにリンクロッドを介して連結され、該揺動アームに伴って揺動することにより動弁を押圧する揺動カムと、を備え、前記動弁のバルブリフト量を可変とするエンジンの動弁機構であって、
    前記制御軸は、前記主軸部に対して、前記偏心カム部がオフセットしたクランク形状を呈し、
    前記揺動アームは、前記制御軸の前記偏心カム部を回転可能に支持する制御軸支持部と、前記リンクアームと連係する円柱形状のピン部とを有し、
    前記リンクアームは、前記駆動カムの外周に相対回転可能に嵌合する大端部と、前記揺動アームの前記ピン部の外周に相対回転可能に嵌合する小端部と、を有し、
    前記駆動軸及び前記駆動カムに形成され、前記主油通路と、前記駆動カムと前記大端部との摺動面とを連通する第1油通路と、
    前記リンクアームに形成され、前記駆動カムと前記大端部との摺動面と、前記揺動アームの前記ピン部と前記小端部との摺動面とを連通する第2油通路と、を有するエンジンの動弁機構において、
    前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面と、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームとの摺動面と、を連通する第3油通路が前記揺動アームに形成されていることを特徴とするエンジンの動弁機構。
  2. 前記制御軸は、前記主軸部と前記偏心カム部とが連結される部分において、該制御軸の軸方向視で前記主軸部と前記偏心カム部との重なり合う面積が小さくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの動弁機構。
  3. 前記リンクロッドは、前記制御軸に対して前記揺動アームのピン部と同一側に位置する回転支点を介して前記揺動アームに連係され、
    前記第2油通路は、前記駆動カムと前記リンクアームの前記大端部との摺動面の前記小端部側に一端が開口し、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の前記大端部側に他端が開口するよう形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの動弁機構。
  4. 前記揺動アームは、前記制御軸の軸方向に沿って前記リンクアームに隣接するよう配置され、
    前記第3油通路は、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面に一端が開口し、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面に他端が開口するよう形成され、
    前記第3油通路の他端は、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面の制御軸軸方向に沿った中心位置よりも制御軸軸方向で前記揺動アームに隣接する前記リンクアーム側に偏った位置に開口するよう設定されていることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの動弁機構。
  5. 前記揺動アームの前記制御軸支持部には、該制御軸支持部と前記制御軸の前記偏心カム部との摺動面の制御軸軸方向の中心位置を跨ぎ、前記制御軸の軸方向に沿って延びる第1油溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの動弁機構。
  6. 前記揺動アームは、キャップと、前記ピン部が形成されたアームボディとを有し、前記制御軸支持部は、前記キャップに形成されたキャップ側制御軸支持部と前記アームボディに形成されたアームボディ側制御軸支持部とによって構成され、
    前記第1油溝は、前記アームボディの前記アームボディ側制御軸支持部に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの動弁機構。
  7. 制御軸軸方向視で、前記揺動アームの揺動中心である前記制御軸支持部の中心と該揺動アームのピン部の中心とを結んだ直線に対して、前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面に開口する前記第3油通路の一端が、前記駆動軸側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のエンジンの動弁機構。
  8. 前記制御軸の前記偏心カム部と前記揺動アームの前記制御軸支持部との摺動面に開口する前記第3油通路の一端の位置は、前記動弁のバルブリフト量に関わらず、前記駆動軸1回転当たり少なくとも2回以上前記第2油通路の他端と連通するような位置に形成されていることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のエンジンの動弁機構。
  9. 制御軸軸方向視で、前記揺動アームの揺動中心である前記制御軸支持部の中心と該揺動アームの前記ピン部の中心とを結んだ直線と、前記第3油通路の一端の中心と前記揺動アームの前記ピン部の中心と結んだ直線と、が略直交するように前記第3油通路の一端の位置が設定されていることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載のエンジンの動弁機構。
  10. 前記リンクアームの前記小端部には、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の前記大端部側となる位置に、前記第2油通路の他端と連続し、前記揺動アームの前記ピン部と前記リンクアームの前記小端部との摺動面の周方向に沿って延びる第2油溝が形成されていることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載のエンジンの動弁機構。
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