JP5088035B2 - 耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法 - Google Patents

耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法 Download PDF

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Description

本発明は、建築、造船、橋梁、建設機械、海洋構造物、自動車などに用いられる繰り返し荷重を受ける構造用の金属製部材であって、疲労き裂の発生が問題となる溶接継手を効率よく製作することのできる、耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法およびその製作装置に関するものである。
船舶や橋梁、海洋構造物など鋼構造物、さらに自動車などは、多くの鋼部材を溶接接合して構成されており、各種の溶接方法によって、溶接継手が形成される。そして、溶接部の表面側には鋼部材(母材)溶接金属との境界部に溶接止端部が形成される。この溶接止端部近傍は、溶接時に早期に凝固するため引張残留応力が存在し易く、さらに、部材への外力により応力が集中し易い部位である。このため、構造物の継手部に繰り返し荷重が作用すると微小な溶接欠陥でも、致命的なき裂や割れに進展する可能性を有しており疲労特性を向上させる上での妨げとなっている。
溶接部に発生する疲労き裂は、構造物全体の信頼性に重大な影響を及ぼすため、疲労特性を向上させる種々の手法が試みられてきた。
例えば、非特許文献1では(a)機械的な方法(グラインディング)により溶接部を平滑にする方法、或いは(b)TIG溶接により溶接部に化粧溶接(ドレッシング)を施す方法などにより応力集中を低減することが開示されている。
また、溶接部にピーニングを施して、疲労が発生する部位に圧縮応力を導入し、あわせて応力集中を低減する方法も提案されている。ピーニング処理としては、(c)ショットピーニング、(d)ハンマーピーニングなどのほか、近年(e)超音波衝撃処理(例えば、特許文献1〜5参照)が挙げられる。
特開2006−167724号公報 特開2006−055899号公報 特開2006−026682号公報 特開2006−175512号公報 米国特許第6,171,415号公報 鋼橋の疲労 (社)日本道路協会
上記の(b)、(c)、(d)などのピーニング処理は、溶接止端部の耐疲労き裂発生特性を向上させることが知られているが、溶接後すぐにピーニング処理を適用してもピーニング処理により導入される圧縮残留応力は小さく疲労き裂発生を防止する効果も小さくなることから、溶接後、溶接部を十分に冷却させてからピーニング処理を行う必要があった。そのため、特に、構造物の製作工期が短い場合などで、ピーニング処理が適用できない場合があった。
また、工期を短くするため、大入熱溶接による施工が望まれるようになっているが、大入熱溶接では冷却速度が遅くなるため溶接部の強度が低下し、十分な溶接部の金属強度が得られない場合があった。なお、大入熱溶接で十分な強度を得るためには大入熱用の特殊な溶接材料を用いる必要があるが、その入手が困難な場合があるという問題もあった。
そこで、本発明は、上記課題を有利に解決して、耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法およびその製作装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、溶接部の冷却方法とスラグの剥離方法とピーニング処理を有意に組み合わせることによって上記課題を解決しようとするものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)自動溶接または半自動溶接によって鋼材を溶接し、溶接継手を製作するに際し、溶接継手の溶接部の最表層の溶接ビードを形成した後、溶接トーチの直後に配置された気体吹付ノズルから、直ちに、該溶接ビードの上に溶接進行方向と反対の方向に1000mm /sec以上の気体を吹付けて、母材の常温耐力の2/3以上となる温度以下まで、前記溶接トーチと連動させて該溶接ビードを急速冷却し、次いで、溶接スラグを破砕し、前記気体流により破砕したスラグを除去した後、該溶接ビードの止端部にピーニング処理を施し、深さが0.1mm以上、板厚の1/10以下、幅が該深さの5倍以上かつ1.5mm以上の溝を形成することを特徴とする耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法。
)前記ピーニング処理が、超音波ピーニング処理であることを特徴とする(1)に記載の耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法。
本発明によれば、前述のような技術課題の問題点を有利に解決することができ、溶接プロセスと連動して実施することにより速やかにかつ合理的に溶接部の疲労き裂発生阻止特性を向上させることができる。例えば、従来の溶接後十分に冷えてからピーニング装置を用意し疲労対策処理するのに比べ、格段に速く処理を完了させることができる。その上、鋼種によって程度は異なるものの、急冷することにより溶接部において成長するフェライト結晶粒寸法が小さくなることや強度の高いマルテンサイトの生成によって溶接部の強度上昇が起こること、などから、溶接止端部に施すピーニング処理により発生する圧縮残留応力が大きくなり疲労き裂発生防止効果が高まる。また、大入熱溶接でも溶接部強度を確保しやすいことから大入熱溶接を用いた溶接速度の高速化も可能である。このように、本発明によれば、疲労き裂発生防止効果と溶接部作製工期の短縮による経済効果の両方が期待できる。
本発明は、自動溶接や半自動溶接のプロセスと連動して疲労き裂発生阻止性能の高い溶接部を有する溶接継手を効率よくの作製する方法と作製のための装置に関するものである。
(1)に記載の発明は耐疲労特性に優れた溶接継手の制作方法であり、具体的には、自動溶接または半自動溶接によって鋼材を溶接し、溶接継手を製作するに際し、溶接継手の溶接部の最表層の溶接ビードを形成した後、直ちに、この溶接ビードの上に溶接進行方向と反対の方向に気体を吹付けて、金属組織の変態が終了する前から溶接ビードを冷却し、次いで、固まったスラグを破砕し、前記気体流により破砕したスラグを除去した後、該溶接ビードの止端部にピーニング処理を施し、深さが0.1mm以上、板厚の1/10以下、幅が該深さの5倍以上かつ1.5mm以上の溝を形成するものである。図2は、本発明の方法によって得られる溶接継手の溶接部近傍を示す断面模式図である。溶接止端部にピーニング処理による溝7が形成されている。
鋼板の自動溶接部または半自動溶接部の最表層に露出するビードを溶接した際に本発明を適用するのは、溶接部の内部に疲労き裂の発生起点になるほどの有害な欠陥がない場合には、一般に、溶接部の疲労き裂の発生は溶接部表面に露出した溶接ビードの止端部から生じることがほとんどであることから、溶接部の表面に露出した部分だけに疲労き裂発生防止の処理を行うことが効率的であるためである。
前記最表層の溶接ビードを形成した後、直ちに、この溶接ビード上に溶接進行方向と反対の方向に、気流が生じるように気体を吹付けることによって溶接ビードを強制冷却する。これは、溶接のアークに影響を及ぼさずに溶接部を速やか冷却することによって溶接部の結晶粒を小さくさせ溶接部の強度を向上させることができ、その後に行う疲労き裂発生抑制のためのピーニング処理によって発生する圧縮残留応力を大きくし、疲労き裂発生抑制効果を高めるためと、粉砕したスラグを除去する効果を併せ持たせるためである。
溶接ビードの冷却に関して、本発明者らは、各種の鋼種の材料について種々の溶接条件で溶接を行い、溶接部(溶接ビード)の温度と超音波衝撃処理による疲労寿命向上効果との関係を調査した結果、溶接ビードの温度が、ピーニング処理開始までに母材の耐力が常温での耐力(YS)の2/3以上となる温度以下となれば、超音波衝撃処理により、溶接ビード止端部周辺に圧縮残留応力が効率的に付加され、寿命向上に効果があることを知見した。これは、母材の耐力が常温での耐力(YS)の2/3以上となる温度以下では、局所的な塑性変形により、常温で使用する場合に部材に発生する作用応力程度以上の残留応力が塑性変形部のまわりに発生するためである。
溶接ビードの強制冷却のための気体は、空気、不活性ガスあるいはそれらの混合したものなどを使用できる。それらの気体の温度は低く、風量は大きい方が良く、その上限は特に限定するものではないが、溶接時の入熱量や鋼材、溶接金属の種類によっては溶接後の急冷によって溶接部に割れが発生する可能性があるので、吹付ける空気の量の上限については、溶接継手を構成する鋼材(金属部材)や溶接金属の組成を考慮することが好ましい。また、冷却の風量と方向については、剥離したスラグが回収しやすい方向に移動するように調整することが作業環境の観点から望ましい。
なお、溶接条件にもよるが、上述の種々の試験の結果、上述の温度以下とするには、1000mm/sec以上で冷却用気体を溶接ビードに吹き付けることにより達成することができる。なお、上述のように、破砕後のスラグをこの吹付けた気体流により除去するが、この点においても上記とすれば十分である。
スラグを除去した溶接ビード止端部にピーニング処理により深さ0.1mm以上かつ板厚の1/10以下であって、幅が該深さの5倍以上かつ1.5mm以上の溝を形成させるのは、疲労き裂の発生しやすい溶接ビード止端部周辺のみに圧縮の残留応力を生じさせ、かつ応力集中を下げることで疲労き裂発生防止を行い、溶接継手の溶接部全体としての耐疲労き裂発生特性を向上させる効果があるからである。
また、スラグ除去のための破砕処理は複数のピンによる連続打撃処理が効率的であり、疲労き裂発生を防止するためのピーニング処理を施すビード止端部を十分に包含する広さにわたって行う必要がある。
また、多層盛り溶接によって表層に露出するビードが複数ある場合には、最終パス以前の溶接ビードにピーニング処理を行った場合には最終パスの熱影響を受けて疲労き裂発生防止効果が損なわれることがあるので、最終パスの際、露出したすべてのビード止端部に疲労き裂発生を防止するためのピーニング処理を施すことが望ましい。
次に、()に記載の発明は、(1)の方法において前記溶接ビード止端部に深さ0.1mm以上かつ板厚の1/10以下であって、幅が該深さの5倍以上かつ1.5mm以上の溝を超音波衝撃によるピーニング処理によって形成するものである、超音波衝撃によるピーニング処理は短時間で溶接止端部に圧縮の残留応力を付与するのに適しているからである。
1は、本発明の疲労特性に優れた溶接継手を製作するのに好適な製作装置の一例を示す斜視図である。
本発明の溶接継手の製作装置1は、溶接進行方向に対して前方から順に、金属を溶接する自動溶接装置2と、形成された溶接ビードを冷却する気流冷却装置3と、溶接ビード上のスラグを破砕するスラグ破砕装置4と、溶接ビードの止端部に所定形状の溝を形成するピーニング処理装置5が少なくとも配置されてなるものである。
これらの各装置は、好ましくは図1に示すように、溶接方向に移動可能な移動装置10に、上記の順序で、且つ、各装置の溶接方向の相互間隔が調整自在に、取付けられており、この移動装置は、ガイド装置11によって溶接方向に移動をガイドされる。
本発明の溶接継手の製作装置1において、溶接装置2、気流冷却装置3、スラグ破砕装置4およびピーニング処理装置5の各装置は、その配置間隔が溶接方向に自在調整できるように移動装置10に取付配置されることが好ましい。これは、溶接部の溶接速度、冷却速度、スラグ破砕処理、ピーニング処理速度など各装置の処理タイミングを溶接継手の溶接条件、冷却条件、ピーニング処理条件などに応じて調整しやすくするためである。
例えば、溶接部の温度は材料の厚さや溶接条件(入熱量)などによって異なり、当然冷却に要する時間も変わるので、スラグ破砕処理やピーニング処理を行うべきタイミングはこれに応じて調整する必要がある。各装置毎に処理速度を調整することは言うまでもないが、各装置の配置間隔を調整可能とすることによっても、そのタイミングを調整が可能となり、調整の自由度を拡大することができるので好ましい。
上記製作装置1の溶接装置2は、自動溶接が可能であれば従来の溶接装置で良く、また、溶接方式は、特に限定するものではなく、例えばアーク溶接方式、プラズマ溶接方式などが適用できる。
形成された溶接ビードを冷却する気流冷却装置3は、溶接装置2の溶接進行方向後方に配置され、溶接ビードの表面に冷却用気体を吹き付けるものである。図3は気流冷却装置の一部分を示す概要図である。図3に示すように、気流冷却装置3は、冷却用気体の供給装置3aと気体吹き付けノズル3bとを少なくとも備えればよいが、冷却用気体を1000mm/秒以上吹き付ける能力を備えることが好ましい。なお、冷却用気体を外部の気体源から冷却装置に供給するようにしても良い。また、上述のように冷却用気体の吹き付け量を調整することが必要な場合のために、冷却装置に吹き付け流量制御装置(図示せず)を備えることも好ましい。
また、冷却装置の気体吹き付けノズル3bは、後方側(溶接進行方向とは逆方向)に傾斜させるか或いはノズル先端を後方側に曲げ、吹き出した気体が溶接ビードに当たった後、溶接進行方向とは逆方向、すなわち後方側、の気体の流れが形成されるようにして溶接ビードに吹き付けるようにする。その傾斜或いは曲げ角度θは特に限定するものではないが、0゜超、90゜未満である。また、冷却用の気体は空気或いは不活性ガスなどを用いることができる。
これにより、溶接アークに悪影響を及ぼさないようにして形成された溶接ビードを冷却すると共に、後述するように破砕されたスラグを後方に排除することができる。
スラグ破砕装置4は、気流冷却装置3の溶接方向後方に配置され、前記気流によって冷却された溶接ビード上の溶接スラグを破砕するものである。図4はスラグ破砕装置の一部を示す概要図である。図4に示すように、スラグ破砕装置4は、振動装置4aとその先端側においてホルダー4bに保持され、軸方向に振動する破砕ピン(金属ピン)4cを有する公知の振動破砕装置を用いることができる。スラグを迅速に破砕する観点からは、先端に複数の破砕ピンを持つようにしたものが好ましい。振動装置は、電磁気によるもの、圧縮空気によるもの、偏心回転によるものなど、公知のものを使用できる。
スラグ破砕装置に破砕されたスラグは、気流冷却装置3から冷却気流により溶接ビード上から除去される。
ピーニング処理装置5は、スラグ破砕装置の溶接方向後方に配置され、溶接ビードの止端部に上述の溝形状のピーニング処理痕を形成する装置である。所要のピーニング処理痕を形成できれば良く、特に限定するものではないが、ハンマーピーニング装置、超音波衝撃装置などを適宜使用することができる。すなわち、所望の溝形状を形成するのに適切な曲率半径を先端に有するハンマー或いは打撃ピンと、このハンマー或いは打撃ピンを振動させる振動装置とを備えるハンマーピーニング装置或いは超音波衝撃装置であればよい。
しかしながら、このピーニング処理装置としては、例えば、特許文献2に記載されたような超音波衝撃装置とすることが好ましい。
超音波衝撃装置は、一回の打撃によって与える変形量は小さいが、打撃回数が極めて多く、所要の溝形状を効率的に形成すると共に、溶接止端部の引張残留応力を低減させることができる
図5は、超音波衝撃装置の概要を示す部分断面概要図である。図5に示すように、トランスデューサー5aとトランスでユーサーの前面に設けられたウエーブガイド5bと、ウエーブガイドの先端に設けられ、自由振動体(打撃ピン)5cを支持するホルダー5dと、このホルダーを支持する支持体5eから基本的に構成されており、ケース5fに収納されている。電源(図示せず)から供給された電気エネルギーはトランスデュサー5aにより超音波領域の機械振動に変換される。この生じた超音波振動は、これに接続されているウエーブガイド5bを伝播し、このウエーブガイドの径が前方に向かって絞られていることによって超音波振動の伝播速度が変性され、振動が増幅される。この超音波振動は、ウエーブガイド5b先端からホルダー5dで支持されている自由振動体(打撃ピン)5cに伝わりこれを超音波振動させる。この自由振動体(打撃ピン)5cの振動により、処理対象物(図示せず)、例えば、溶接止端部を打撃し、ピーニング処理するものである。通常、ピーニング処理は、振幅20〜60μm、周波数は15〜60kHz、出力0.2から1kWで処理される。上述のように自由振動体(打撃ピン)の先端の曲率半径或いは処理速度などを調整することにより、所望のピーニング痕を形成することができる。
図3に示す十字継ぎ手試験片を用いて疲労試験を行い、本発明の効果を確認した。
使用した鋼材は板厚12mmのJIS G 3106 SM490Bであり、試験片は使用材料は、JIS Z 3312 YGW11を用い、溶接入熱は一般的な条件より高い3.5×10J/cmとし、角肉溶接によって作製し、表1に示すように冷却条件を変化させて疲労試験を行った。鋼材の耐力が常温での耐力の2/3以上となる温度は400(℃)程度である。なお、スラグの除去には先端に多数の金属のピンを持つエアツールを用いてスラグを打撃し、破壊した。また、止端部のピーニング処理は、先端曲率半径が3mmの打撃ピンを備えた周波数27kHzの超音波衝撃処理装置を用いておこない、止端部に形成する溝の深さは0.3〜0.5mm、溝の幅は3mmとした。疲労試験は、応力範囲が120MPa、応力比が0の条件で行った。この結果、表1に示すように試験片が疲労き裂により破断するまでの回数Nfは本発明の製造方法によれば、高い疲労破壊寿命延長効果が見られた。ビード冷却温度はピーニング処理開始時の溶接ビード止端部近傍の温度を示しており、気流の量を増やすと急速冷却効果が高まることがわかる。鋼材は一般に急冷の度合いに応じて溶接部の強度が上昇することからピーニング処理により発生する圧縮残留応力も高まり、疲労破壊寿命も延びたものと考えられる。CL−1のように冷却気流が少なく、不十分な冷却の場合は、十分に材料の降伏強度が回復する前にピーニング処理を行うため、十分な圧縮残留応力が得られず、通常の条件であるCL−7の溶接終了後放冷の結果よりも小さくなっている。また、この場合、溶接部の残スラグも多いため、本発明の適用には冷却条件に注意が必要である。また、CL−6のように溶接ビードがある程度冷えてからさらに冷却してピーニング処理を行っても、すでに金属組織の変態が殆ど終了している場合には急冷による強度上昇効果が小さくなるため処理効果が小さくなる。
Figure 0005088035
図4に示す重ね継ぎ手試験片を用いて疲労試験を行い、本発明の効果を確認した。
使用した鋼材は板厚10mmのJIS G 3106 SM490Bであり、試験片は溶接材料はJIS Z 3312 YGW11を用い、溶接入熱は一般的な条件より高い3.0×104J/cmとし、角肉溶接によって作製し、表2に示すように冷却条件とピーニング条件を変化させて疲労試験を行った。なお、鋼材の耐力が常温での耐力の2/3以上となる温度は400(℃)程度である。なお、スラグの除去には先端に多数の金属のピンを持つエアツールを用いてスラグを打撃し、破壊した。また、止端部のピーニング処理は先端に曲率半径3mmを持つピンを用いて超音波衝撃処理をおこない、表2に示すように溝の寸法を変化させた。
疲労試験は応力範囲が110Mpa、応力比が0.1の条件で行った。この結果、表2に示すように試験片が疲労き裂により破断するまでの回数Nfは、本発明の冷却方法と溝の寸法を有する試験片では、高い疲労破壊寿命延長効果が見られた。ビード冷却温度はピーニング処理開始時の溶接ビード止端部近傍の温度を示している。G−1試験片では冷却とピーニングを行っていないため温度は試験時の温度(室温)とした。なお、実験結果の傾向から、より深く幅の広い溝を導入できれば同程度以上の効果が得られると考えられるが、衝撃処理の装置の出力を大きくする、もしくは長時間の処理を行う必要があり効率の面から実施例程度の溝ができればよいと考えられる。
Figure 0005088035
本発明の溶接継手の製作装置の概要を示す斜視図である。 本発明のピーニング処理を行った溶接部近傍の断面を示す模式図である。 図1の製作装置の気流冷却装置の一部を示す概要図である。 図1の製作装置のスラグ破砕装置の一部を示す概要図である。 図1の製作装置のピーニング処理装置としての超音波衝撃装置の構成を示す模式図である。 実施例1における十字継手試験片の形状を示す斜視図である。 実施例2における重ね継手試験片の形状を示す斜視図である。
符号の説明
1 溶接継手製作装置
2 溶接トーチ(自動溶接装置)
3 気流冷却装置
3a 気体供給装置
3b 気体吹付ノズル
4 スラグ破砕装置
4a 振動装置
4b ホルダー
4c 破砕ピン
5 ピーニング処理装置
5a トランスデューサー
5b ウェーブガイド
5c 打撃ピン(自由振動体)
5d ホルダー
5e 支持体
5f ケース
6 鋼板
7 ピーニング処理を行なった溶接ビード止端
8 溶接ビード
9 冷却気流
10 移動装置
11 走行レール

Claims (2)

  1. 自動溶接または半自動溶接によって鋼材を溶接し、溶接継手を製作するに際し、溶接継手の溶接部の最表層の溶接ビードを形成した後、溶接トーチの直後に配置された気体吹付ノズルから、直ちに、該溶接ビードの上に溶接進行方向と反対の方向に1000mm /sec以上の気体を吹付けて、母材の常温耐力の2/3以上となる温度以下まで、前記溶接トーチと連動させて該溶接ビードを急速冷却し、次いで、溶接スラグを破砕し、前記気体流により破砕したスラグを除去した後、該溶接ビードの止端部にピーニング処理を施し、深さが0.1mm以上、板厚の1/10以下、幅が該深さの5倍以上かつ1.5mm以上の溝を形成することを特徴とする耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法。
  2. 前記ピーニング処理が、超音波ピーニング処理であることを特徴とする請求項1に記載の耐疲労特性に優れた溶接継手の製作方法。
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