JP5085416B2 - 急結剤スラリー化装置及び急結性コンクリートの吹付け方法 - Google Patents

急結剤スラリー化装置及び急結性コンクリートの吹付け方法 Download PDF

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Description

本願発明は、トンネル掘削工事における地山の補強や、掘削面の安定化のために用いる急結性コンクリートの吹付け方法に関する。
従来、トンネル掘削工事における地山の補強や、掘削面の安定化のためにコンクリートの吹付け方法が行われており、例えば、ピストンポンプなどにより送られるコンクリートを輸送する輸送管内に、コンプレッサーから送られる圧縮空気を供給し、コンクリートを空気輸送するとともに、急結剤を供給してコンクリートと急結剤を混合した後、ノズルよりコンクリートを吹付ける方法が一般的に行われている。
例えば、コンクリート供給管内を圧送される混練りコンクリートに、コンクリート供給管経路中に設けられた混合攪拌部で急結剤スラリーを合流混合させ、コンクリート供給管経路端のノズルから所定の圧力で吐出させるようにした吹付け方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、エア圧送された粉体急結剤と、粉体急結剤の供給管と急結剤スラリーの吐出管との間隙の円周方向から圧入される水とを混合して、急結剤スラリーを連続的に製造する急結剤スラリーの連続製造装置や、粉体急結剤に高圧霧を混合して急結剤スラリーを製造する急結剤スラリーの連続製造装置が提案されている(特許文献2、3参照)。
しかし、これらの吹付け方法は、スラリーの連続製造装置で圧縮空気と水で霧状にして粉体急結剤と混合して急結剤スラリーを連続製造する方法であるため、施工条件の変動を受けると装置内部に急結剤がスケーリングして固化してスラリー化されない場合があり、さらに安定してスラリー化する方法が望まれていた。
また、コンクリートに粉体急結剤を添加する先で水を0.5〜7MPaの噴射圧で噴射して粉塵リバウンドを低減させる吹付けコンクリート施工装置が提案されている(特許文献4参照)。
しかし、この吹付方法は、充分な粉塵低減効果が得られず、より粉塵低減効果の向上が望まれていた。
特開平10−317671号公報 特開2002−332798号公報 特開2001−038181号公報 特開2004−092211号公報
即ち、本願発明の目的は、安定して急結剤スラリーを製造することにより、粉塵やリバウンドを低減する効果を向上させることである。
本願発明は、
粉体急結剤をエア圧送する供給管A、添加水をミストにしてエア圧送する供給管C、及び供給管Aと間隙bを介して対峙する、粉体急結剤とミストが混合された急結剤スラリーの吐出管Bからなる急結剤スラリー化装置において、供給管Cに供給管Aと吐出管Bが接続され、間隙bよりミストを圧入して急結剤スラリーを連続製造する構造体からなり、供給管Aの内径dが吐出管Bの内径Dより小さく、構造体の後方1m〜20mの位置から供給管Cまで、添加水のミストをエア圧送するミスト圧送管(符号9)からなる急結剤スラリー化装置において、粉体急結剤の輸送圧より最大0.5MPa高く、流量0.5〜5m /minの圧縮空気を用いて、添加水のミストをエア圧送することを特徴とする急結剤スラリー化方法であり、急結剤スラリー化装置の(粉体急結剤の供給管Aの内径d)/(急結剤スラリーの吐出管Bの内径D)が0.3〜0.95である急結剤スラリー化方法であり急結剤スラリー化方法で製造した急結剤スラリーを、急結剤スラリー化装置の吐出管Bの前方に連なる混合管(符号3)にて、輸送管a(符号2)内に圧送されたコンクリートに添加して急結性コンクリートとし、急結性コンクリートをノズル(符号7)から吹き付ける吹付け方法であり、粉体急結剤が、カルシウムアルミネート類100質量部、石膏20〜150質量部、アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部を含有する吹付け方法であり、さらに粉体急結剤が炭酸アルカリを含有する吹付け方法であり、さらに粉体急結剤が芳香族スルホン酸類を含有する吹付け方法であり、コンクリートがポリアルキレンオキサイドを含有する吹付け方法である。
本願発明によれば、安定して急結剤スラリーを製造することで、粉塵やリバウンドを低減する効果が向上する。
以下、本願発明を詳細に説明するが、本願発明はこれに限られるものではない。
図1は、本願発明で用いる急結性コンクリートの吹付装置の一構成例を示したものである。
本願発明で、コンクリート(符号1)は、市販のミキサーにより水と練り混ぜられた後、ピストンポンプに供給される。途中で圧縮空気を挿入しながら、輸送管a(符号2)内を空気輸送され、急結剤スラリーを添加するために、混合管(符号3)まで輸送される。
別途、急結剤スラリー化装置(符号4)で製造された急結剤スラリーは、混合管(符号3)でコンクリート(符号1)に添加され、急結性コンクリートとして、さらに輸送管b(符号8)を通り、ノズル(符号7)から排出され、吹付け面である地山等へ吹き付けられる。
本願発明で使用するコンクリートは、通常のコンクリートが使用可能であり特に限定されるものではない。また、鋼繊維を含有したコンクリートも使用可能である。
予め水を混練したコンクリート中のセメント量は、特に限定されるものではないが、通常、セメント単位量で300〜500kg/mが好ましく、350〜450kg/mがより好ましい。コンクリート中の水/セメント比は40〜65質量%が好ましく、42〜60質量%がより好ましい。
混合管(符号3)の位置は、ノズル(符号7)から後方3m以内が好ましく、1〜2mがより好ましい。1m以内であるとコンクリートと急結剤との混合性が不良で粉塵やリバウンドが多くなる場合がある。3m以上であると急結コンクリートがミスト圧送管(符号9)内で滞留しやすくなるため、閉塞する危険性がある。
粉体急結剤をスラリー化するために使用する水(符号5)は、急結剤スラリー化装置(符号4)の後方1〜20mの位置で、ミスト圧送管(符号9)を流れる圧縮空気に圧入してミスト化し急結剤スラリー化装置(符号4)まで圧送する。水を圧入する位置が1m以内であると、混合管のコンクリートの吹付け圧の影響を受けやすくなり、粉体急結剤やミストが滞留するため、安定してスラリー化できない場合があり、20m以上であると空気量が多くなり、ミスト圧送管(符号9)内に水が滞留しやすくなるため好ましくない。
圧縮空気の流量は、大気圧換算で0.5〜5m/minが安定してスラリー化できる。流量が少ないとコンクリート吹付け圧の影響を受けやすく、粉体急結剤やミストが滞留するため、安定してスラリー化できない場合がある。流量が大きいと粉塵やリバウンドが多くなるため好ましくない。
水(符号5)をミスト化して圧送する圧縮空気の圧力は、粉体急結剤の輸送圧より最大0.5MPa高くすることが好ましく、0.051〜0.3MPa高いことがより好ましい。粉体急結剤の輸送圧より低いと安定してスラリー化できにくく、0.5MPaを超えると粉塵やリバウンドが多くなるため好ましくない。
本願発明で使用する急結剤スラリー化装置(符号4)は、ミストを供給するミスト供給管C、粉体急結剤を供給する供給管Aとミストが合流する吐出管Bから成り、供給管Aの内径/吐出管Bの内径比(d/D)が0.3〜0.95が好ましい。内径比(d/D)が小さいと供給管Aと吐出管Bの間隙に急結剤が滞留して固化して閉塞する場合があり、内径比(d/D)が大きいとミストが安定して供給されにくいため、粉体急結剤を安定してスラリー化することができずに固化して閉塞する場合がある。
圧縮空気に水(符号5)を添加しミスト化して圧送するミスト圧送管(符号9)としては、例えば3/4B又は1Bのホースを用いることが可能である。また、粉体急結剤の輸送配管としては、例えば、口径が3/4B又は1Bのホースを用いることが可能である。
粉体急結剤は、カルシウムアルミネート類100質量部、石膏20〜150質量部、アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部を含有することが好ましい。
本願発明で使用するカルシウムアルミネート類は、カルシア原料とアルミナ原料を混合して、キルンでの焼成或いは電気炉での溶融等の熱処理をして得られるCaOとAlとを主成分とする水和活性を有する物質の総称である。CaOをC、AlをAと略記すると、CA、C12、C11・CaF、C11・CaCl、CA・SiO、CA、及びCA等が挙げられ、さらにCaOやAlの一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した化合物、あるいは、CaOとAlとを主成分とするものに、これらが少量固溶した化合物も使用できる。
カルシウムアルミネート類の形態は、結晶質、非晶質のいずれも使用可能である。これらの中では、反応活性の面で、非晶質のカルシウムアルミネート類が好ましく、C12組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質のカルシウムアルミネートがより好ましい。
カルシウムアルミネート類の粒度は、急結性や初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積(以下、ブレーン値という)3,000cm/g以上が好ましく、5,000cm/g以上がより好ましい。ブレーン値が小さいと、急結性コンクリートの急結性や初期強度発現性が低下する場合がある。
本願発明で使用する石膏としては、無水石膏、半水石膏、及び二水石膏が使用可能である。これらの中では、凝結性や強度発現性の面で無水石膏の使用が好ましい。
石膏の粒度は、通常、セメント等に使用される程度でよいが、急結性コンクリートの急結性や初期強度発現性の面で、ブレーン値3,000cm/g以上が好ましい。ブレーン値が小さいと、急結性コンクリートの凝結性や強度発現性が低下する場合がある。
石膏の使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して、20〜150質量部が好ましく、25〜100質量部がより好ましい。石膏の使用量が少ないと、急結性コンクリートの凝結性が低下し、長期強度発現性を促進しにくい場合があり、石膏の使用量が多いと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合がある。
本願発明で使用するアルカリ金属アルミン酸塩(以下、アルミン酸塩という)は、水酸化アルミニウムとアルカリ金属水酸化物を混合溶解し、乾燥し、粉末状として得られるものである。
アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸リチウム等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することが可能である。これらの中では、急結性コンクリートの凝結性や初期強度発現性の面で、アルミン酸ナトリウムの使用が好ましい。
アルミン酸塩の使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して、10〜50質量部が好ましく、15〜45質量部がより好ましい。アルミン酸塩の使用量が少ないと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合があり、アルミン酸塩の使用量が多いと、急結性コンクリートの長期強度発現性が低下する場合がある。
本願発明で使用する粉体急結剤は、さらに、芳香族スルホン酸類を含有することが好ましい。
芳香族スルホン酸類は、吹付け時の急結性コンクリートの付着性を向上し、リバウンド率や粉塵量を低減するものであり、液体や粉体いずれの使用も可能である。
芳香族スルホン酸類としては、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ビスフェノールAスルホン酸、フェノールスルホン酸、トリフェノールスルホン酸、4−フェノキシベンゼン4‘−スルホン酸、メチルジエニルエーテルスルホン酸、及びアントラセンスルホン酸の芳香族スルホン酸、並びにこれらの芳香族スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。これらの中では、コンクリートの流動性を改善し、吹付け時の急結性コンクリートの付着性を向上し、リバウンド率や粉塵量を低減する効果が大きい点で、芳香族スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物が好ましく、ナフタレンホルマリン縮合物類、及びビスフェノールAスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物類からなる群のうちの1種類以上がより好ましい。
芳香族スルホン酸類の使用量は、粉体急結剤100重量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。芳香族スルホン酸類の使用量が少ないと吹付け時の急結性コンクリートの付着性が低下し、リバウンド率や粉塵量を低減する効果が小さくなるおそれがあり、芳香族スルホン酸類の使用量が多いとリバウンド率が大きく、粉塵量が多くなり、強度発現性を阻害するおそれがある。
さらに本願発明では、リバウンド率や粉塵低減の点で、コンクリート側にポリアルキレンオキサイドを使用することが好ましい。
本願発明で使用するポリアルキレンオキサイド(以下PAOという)は、コンクリートに粘性を与え、吹付け直後の吹付け面からのコンクリートのダレを防止し、リバウンド率や粉塵量を低減するものである。ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びポリブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中では、コンクリートに粘性を与え、吹付け時のリバウンド率や粉塵量を低減する効果が大きい点で、ポリエチレンオキサイドが好ましい。
PAOの分子量は、100〜500万が好ましい。PAOの分子量が少ないとコンクリートの粘性が小さく、吹付け直後の吹付け面からのコンクリートのダレを防止できないおそれがあり、PAOの分子量が多いと強度発現性を阻害し、急結剤とコンクリートを混合した時、急結性コンクリートの圧送性が低下するおそれがある。
PAOの使用量は、セメント100重量部に対して、0.001〜0.2質量部が好ましく、0.005〜0.1質量部がより好ましい。PAOの使用量が少ないと急結性コンクリートの粘性が小さく、粉塵量が多く、リバウンド率が大きくなるおそれがあり、PAOの使用量が多いとコンクリートの粘性が大きく、粉塵量が多く、急結剤とコンクリートを混合した急結性コンクリートの圧送性が低下するおそれがある。
本願発明で使用する炭酸アルカリとは、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらの中では、初期凝結促進の面で、炭酸ナトリウムが好ましい。
炭酸アルカリの使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して、15〜45質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。炭酸アルカリの使用量が少ないと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合があり、炭酸アルカリの使用量が多いと、急結性コンクリートの長期強度発現性が低下する場合がある。
粉体急結剤の使用量はコンクリート中のセメント100質量部に対し、3〜15質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。15質量部を超えて使用しても、目的とする吹付け効果が得られない場合がある。
本願発明で使用する急結剤スラリー中の水量は、粉体急結剤100重量部に対して50〜130重量部が好ましく、70〜100重量部がより好ましい。50重量部未満では急結剤スラリーのゲル化時間が短くなり、急結剤スラリーの粘度が上昇して吐出管内でスケーリングして固結し閉塞する場合がある。130重量部を超えると凝結性や強度発現性が低下する場合がある。
本願発明において、ノズル(符号7)までコンクリートを空気輸送する圧縮空気の総量は、大気圧換算で5〜20m/minが好ましく、7〜12m/minがより好ましい。圧縮空気の総量が少ないと圧送空気量が不足するため、吹付け面に対するコンクリートの圧密が低下し、強度が得にくい場合がある。また、コンクリートの圧送性が悪くなり、配管内でコンクリートが閉塞したりする場合がある。圧縮空気の総量が多いと圧送空気量が過剰となるため、リバウンドや粉塵が多くなる場合がある。
以下、実施例により本願発明を詳細に説明する。
実施例1
図1に本発明の急結性コンクリートの吹付け方法の一例を示す。
粉体急結剤(符号6)は、デンカNATMクリートに配管口径1Bのホースを取付け、混合管(符号3)に取り付けた急結剤スラリー化装置(符号4)まで0.4MPaの圧力で空気輸送した。混合管(符号3)から10m後方で、表1に示す空気圧と空気量の圧縮空気に水(符号5)を圧入してミスト化して圧送した。
急結剤スラリー化装置(符号4)の吐出管の内径/供給管の内径比(d/D)は0.7とし、混合管(符号3)からノズル(符号7)までの輸送管b(符号8)の長さは3mとした。
ノズル(符号7)は、入口径65mmから出口径50mmに絞ったものを使用した。
コンクリート(符号1)は、セメント400kg/m、水220kg/m、及び細骨材率60%からなり、セメント100重量部に対してPAO0.02重量部を添加してコンクリートポンプで圧送し、圧縮空気で輸送管a内を空気輸送した。コンクリート(符号1)のスランプ値は16cmであった。
粉体急結剤(符号6)は、カルシウムアルミネート類100質量部に対し、石膏35質量部、炭酸アルカリ30重量部、芳香族スルホン酸類2重量部に、表1に示すアルカリ金属アルミン酸塩を配合した。
粉体急結剤(符号6)は、コンクリート(符号1)中のセメント100質量部に対して、7質量部使用し、スラリー化に使用する水(符号5)は粉体急結剤(符号6)100重量部に対して80重量部でスラリー化してコンクリート(符号1)に添加して吹付けを行い、粉塵量、リバウンド率、及び圧縮強度を測定し、輸送性と仕上げ面の評価を行い、さらに、急結剤スラリー化装置(符号4)のスケーリング状態の評価を行った。結果を表1に示す。
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント、ブレーン比表面積値3,200cm2/g、比重3.15
細骨材:新潟県姫川産川砂、表面水率5.2%、比重2.62
粗骨材:新潟県姫川産川砂利、表乾状態、比重2.64、最大寸法13mm
カルシウムアルミネート類:C12組成に対応するもの、非晶質、ブレーン値6,300cm/g
石膏:市販無水石膏粉砕品、ブレーン値6,000cm/g
アルカリ金属アルミン酸塩:アルミン酸ナトリウム、市販品、強熱減量1.8%、90%粒子径0.2mm
炭酸アルカリ:炭酸ナトリウム、市販品
芳香族スルホン酸類:ビスフェノール縮合物、市販品
PAO:ポリエチレンオキサイド、分子量200万、市販品
<評価方法>
粉塵量:吹付け10分後に吹付け場所より3mの定位置で測定した。
リバウンド率:調製した急結性コンクリートを10m/hrの吹付け速度で、1mの吹付けを行った。吹付け終了後、床面に敷いたビニールシートに、付着せずに落下した急結性コンクリートの量を測定し、リバウンド率=(吹付けの際に付着せずに落下した急結性コンクリートの質量)/(吹付けに使用した急結性コンクリートの総質量)×100(%)の式から算出した。
輸送性:急結性コンクリートの輸送状況を観察した。混合管や輸送管が詰まらない場合を○、詰まり気味であり急結性コンクリートが断続的に排出される場合を△、合流管や輸送管が詰まって吹付けができない場合を×とした。
仕上げ面:急結性コンクリートの仕上げ面を観察した。急結性コンクリートの厚さが均一で平滑な場合を○、急結性コンクリートの仕上げ面が部分的に凸凹の場合を△、急結性コンクリートの仕上げ面が凸凹している場合を×とした。
圧縮強度:材齢1時間と1日の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から急結性コンクリートで被覆し、型枠の裏面よりピンを引き抜き、そのときの引き抜き強度を求め、圧縮強度=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から算出、また、材齢7日と28日の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に急結性コンクリートを吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定。
急結剤スラリー化装置のスケーリング:急結剤スラリー化装置(符号6)の吐出管内のスケーリング状態を観察した。急結剤が固結してない場合を○、急結剤が多少固結している場合を△、急結剤が固結して管径が細くなっている場合を×とした。
表1によれば、本発明により、安定してスラリー化が可能となり、粉塵低減効果、リバウンド率低減効果、輸送性、仕上げ面が向上し、また、初期強度、長期強度が増進するという効果を奏することが分かる。
実施例2
粉体急結剤(符号6)が、カルシウムアルミネート類100質量部、アルカリ金属アルミン酸塩30重量部、炭酸アルカリ30重量部、芳香族スルホン酸類2重量部に、表2に示す石膏を配合し、実施例1のコンクリート配合から粗骨材を除いたモルタルで20℃のプロクター貫入抵抗値から、凝結時間の始発時間と終結時間を測定した。それ以外は実施例1と同様に吹付け試験を行った。結果を表2に示す。
<評価方法>
プロクター貫入抵抗値:JSCE D−102−1999に準じて測定。
表2によれば、本発明により、石膏を配合することで凝結性と長期強度発現性が向上するという効果を奏することが分かる。
実施例3
粉体急結剤(符号6)が、カルシウムアルミネート類100質量部、石膏35重量部、アルカリ金属アルミン酸塩30重量部、炭酸アルカリ30重量部と、表3に示す芳香族スルホン酸類を配合し、実施例1と同様なコンクリート配合に表3に示すPAOを添加したコンクリートを用いたこと以外は実施例1と同様な方法で吹付け試験を行った。結果を表3に示す。
表3によれば、本発明により、芳香族スルホン酸類とPAOを添加することで粉塵量とリバウンド率が低下するという効果を奏することが分かる。
実施例4
図2に急結剤スラリー化装置(符号4)の部分拡大図を示す。
符号5の水を圧入する圧縮空気の圧力を0.6MPa、空気量を3m/minとし、表4に示す急結剤スラリー化装置(符号4)の供給管の内径/吐出管の内径比と、ノズル(符号7)と混合管(符号3)の位置を変えたこと以外は実施例1と同様にコンクリートの吹付け試験を行った。結果を表4に示す。
表4によれば、本発明により、急結剤スラリー化装置(符号4)の供給管内径、およびノズル(符号7)から混合管(符号3)の長さを適正化することで施工性が向上するという効果を奏することが分かる。
本願発明によれば、粉塵低減効果、リバウンド率低減効果、輸送性、仕上げ面が向上し、また、粉体急結材とコンクリートの混合性が向上し、初期強度、長期強度が増進するという効果を奏する。添加する水の量を調整することにより、吹付け時の閉塞によるトラブルを低減するといった効果を奏する。
急結性コンクリートの吹付け方法の一例を示す説明図である。 急結剤スラリー化装置の部分拡大図である。
符号の説明
1 コンクリート
2 輸送管a
3 混合管
4 急結剤スラリー化装置
5 水
6 粉体急結材
7 ノズル
8 輸送管b
9 ミスト圧送管

Claims (7)

  1. 粉体急結剤をエア圧送する供給管A、添加水をミストにしてエア圧送する供給管C、及び供給管Aと間隙bを介して対峙する、粉体急結剤とミストが混合された急結剤スラリーの吐出管Bからなる急結剤スラリー化装置において、供給管Cに供給管Aと吐出管Bが接続され、間隙bよりミストを圧入して急結剤スラリーを連続製造する構造体からなり、供給管Aの内径dが吐出管Bの内径Dより小さく、構造体の後方1m〜20mの位置から供給管Cまで、添加水のミストをエア圧送するミスト圧送管(符号9)からなる急結剤スラリー化装置において、粉体急結剤の輸送圧より最大0.5MPa高く、流量0.5〜5m /minの圧縮空気を用いて、添加水のミストをエア圧送することを特徴とする急結剤スラリー化方法。
  2. 急結剤スラリー化装置の(粉体急結剤の供給管Aの内径d)/(急結剤スラリーの吐出管Bの内径D)が0.3〜0.95である請求項1記載の急結剤スラリー化方法
  3. 請求項1又は2記載の急結剤スラリー化方法で製造した急結剤スラリーを、急結剤スラリー化装置の吐出管Bの前方に連なる混合管(符号3)にて、輸送管a(符号2)内に圧送されたコンクリートに添加して急結性コンクリートとし、ノズル(符号7)から吹き付ける急結性コンクリートの吹付け方法。
  4. 粉体急結剤が、カルシウムアルミネート類100質量部、石膏20〜150質量部、アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部を含有する請求項記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  5. さらに粉体急結剤が炭酸アルカリを含有する請求項4記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  6. さらに粉体急結剤が芳香族スルホン酸類を含有する請求項4又は5記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  7. コンクリートがポリアルキレンオキサイドを含有する請求項〜6のいずれか1項に記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
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