JP2002220270A - 吹付材料及びそれを用いた吹付工法 - Google Patents

吹付材料及びそれを用いた吹付工法

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JP2002220270A
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晃 渡辺
Masahiro Iwasaki
昌浩 岩崎
Tsumoru Ishida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉塵、跳ね返り率が少なく、ダレが生じず、
初期強度、付着力、凝結性状の優れた吹付材料の提供。 【解決手段】 セメントコンクリート、液体急結剤、及
び粉体急結剤を含有する吹付材料。液体急結剤はアルカ
リフリー液体急結剤が好ましく、粉体急結剤がアルカリ
含有粉体急結剤が好ましい。さらに、減水剤を含有して
もよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路、鉄道、及び
導水路等のトンネル掘削工事において露出した地山面や
地山が露出した法面において、崩落を防止するための吹
付工法に関する。尚、本発明でいうセメントコンクリー
トとは、モルタル及びコンクリートを総称するものをい
う。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネル掘削等露出した地山面の
崩落を防止するために、エアー圧送又はポンプ圧送され
たセメントコンクリートと、エアー圧送された急結剤と
を、Y字管等で混合し、急結性セメントコンクリートと
して吹付ける吹付工法が行われている。
【0003】吹付工法に使用される急結剤は大きく分類
すると、カルシウムアルミネート等を主成分とする粉体
急結剤とアルカリアルミン酸塩や硫酸アルミニウム等を
主成分とする液体急結剤の2種類が挙げられる。
【0004】粉体急結剤と液体急結剤にはそれぞれ特徴
があり、その特性は大きく異なる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】粉体急結剤の特性とし
ては、セメントコンクリートと混合した時の凝結促進作
用や強度発現性が大きく、湧水部への吹付に大きな効果
を示すことが挙げられる。しかしながら、粉体急結剤の
急結剤供給装置が大規模で、かつ、圧縮空気を調製し、
圧送するコンプレッサー等の装置が別に必要であり、更
に、粉体急結剤を空気圧送してセメントコンクリートと
混合した時に粉体急結剤の一部が作業空間に粉塵として
飛散する等の課題があった。
【0006】又、液体急結剤の特性としては、急結剤供
給装置が簡易であること、セメントコンクリートへの供
給に定量性があること、セメントコンクリートとの混合
が良好であること、急結性セメントコンクリートの地山
への付着力が良好であり、跳ね返り率が少ないこと等が
挙げられる。しかしながら、セメントコンクリートと混
合した時の凝結促進作用が粉体急結剤と比較して弱く、
軟弱な地山や湧水部への吹付に使用できない等の課題が
あった。
【0007】本発明者は前記課題を解消すべく種々検討
した結果、液体急結剤と粉体急結剤を併用することによ
り、簡単な設備で吹付でき、凝結性状と強度性状のいず
れも向上できる吹付材料を見出し、本発明を完成するに
至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、急結剤
を含有していないセメントコンクリート、液体急結剤、
及び粉体急結剤を含有してなる吹付材料であり、液体急
結剤がアルカリフリー液体急結剤である該吹付材料であ
り、粉体急結剤がアルカリ含有粉体急結剤である該吹付
材料であり、さらに、減水剤を含有してなる該吹付材料
である。そして、急結剤を含有していないセメントコン
クリート、液体急結剤、及び粉体急結剤を圧送、合流し
て急結性セメントコンクリートを調製し、吹付けること
を特徴とする吹付工法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0010】即ち、本発明は、粉末急結剤と液体急結剤
を個別に空気圧送し、次いでセメントコンクリートと直
ちに合流させて吹付けるものである。液体急結剤の作用
により急結性セメントコンクリートの跳ね返り率が少な
くなり、粉体急結剤の作用により凝結性状や強度の増大
を可能にするものである。
【0011】本発明に係るセメントとしては、市販され
ている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各種ポルト
ランドセメント、並びにこれらのポルトランドセメント
にフライアッシュや高炉スラグ等を混合した各種混合セ
メントが挙げられる。セメントとしては、低跳ね返り
率、粉塵量の低減、圧送性、強度発現性、及び施工容易
性等、吹付施工に要求される性能に適したセメントを選
択できる。これらの中では、安価で一般的な点で、普通
ポルトランドセメント及び/又は早強ポルトランドセメ
ントが好ましい。
【0012】本発明に係る骨材は細骨材と粗骨材のいず
れもが使用できる。細骨材としては、天然砂、珪砂、及
び石灰砂等が挙げられる。細骨材の最大粒径は2.5m
m以下が好ましい。2.5mmを越えると圧送性が低下
し、吹付時の跳ね返りが多くなるおそれがある。粗骨材
としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が挙げられ
る。粗骨材の最大粒径は5〜15mmが好ましい。15
mmを越えると吹付時の跳ね返りが多くなるおそれがあ
る。
【0013】さらに本発明では、セメントコンクリート
の流動性を改善するために、減水剤を使用してもよい。
【0014】本発明に係る減水剤は、液体や粉体いずれ
も使用できる。
【0015】減水剤としては、リグニンスルホン酸塩や
その誘導体、及び高性能減水剤等が挙げられ、これらの
一種又は二種以上が使用できる。これらの中では、凝結
遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、高性能減
水剤が好ましい。
【0016】高性能減水剤としては、ポリエチレングリ
コール等のポリオール誘導体、ナフタレンスルホン酸等
の芳香族スルホン酸及び/又は芳香族スルホン酸ホルマ
リン縮合物等の芳香族スルホン酸系高性能減水剤、ポリ
カルボン酸系高性能減水剤、メラミン系高性能減水剤、
及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中では、
凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、ポリ
オール誘導体が好ましい。
【0017】減水剤の使用量は、セメント100質量部
に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜3
質量部がより好ましい。0.05質量部未満だと流動性
改善の効果が小さくなり、粉塵やリバウンドが多くな
り、凝結性状が悪くなり、5質量部を越えると長期強度
発現性が小さくなり、セメントコンクリートが分離する
おそれがある。
【0018】本発明に係る粉体急結剤は、セメントコン
クリートに混合できるものであれば特に制限はなく、粉
体急結剤としては、カルシウムアルミネート類とアルカ
リ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム等)の混合物、カルシウ
ムアルミネート類とアルカリ金属アルミン塩(アルミン
酸ナトリウム等)の混合物、カルシウムアルミネート類
とアルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属炭酸塩の混合物、
アルカリ金属アルミン酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩
とアルカリ金属炭酸塩との混合物、ケイ酸ナトリウム等
のアルカリ金属ケイ酸塩等の無機塩系といったアルカリ
含有粉体急結剤や、カルシウムアルミネート類や硫酸ア
ルミニウム等のアルカリフリー粉体急結剤が挙げられ
る。これらの中では、急結力が強い点で、アルカリ含有
粉体急結剤が好ましい。アルカリ含有粉体急結剤の中で
は、凝結硬化が早い等の凝結性状が優れ、強度発現性が
良好な点で、カルシウムアルミネート類とアルカリ金属
炭酸塩の混合物、カルシウムアルミネート類とアルカリ
金属炭酸塩の混合物、及び、カルシウムアルミネート類
とアルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属炭酸塩の混合物か
らなる群のうちの1種又は2種以上が好ましい。
【0019】本発明で使用するカルシウムアルミネート
類とは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等
とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融等の
熱処理をして得られる、CaOとAl23 とを主たる
成分とし、水和活性を有する物質の総称であり、CaO
及び/又はAl23の一部が、アルカリ金属酸化物、ア
ルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化
鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロ
ゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属
硫酸塩等と置換した物質、あるいはCaOとAl23
を主成分とするものに、これらが少量固溶した物質であ
る。鉱物形態としては、結晶質、非晶質いずれであって
もよい。
【0020】カルシウムアルミネート類の中では、反応
活性に優れる点で、C127(CはCaOの略、AはA
23の略)が好ましく、非晶質のC127がより好ま
しい。
【0021】カルシウムアルミネート類の粒度は、ブレ
ーン値で3000cm2 /g以上が好ましく、5000
cm2 /g以上がより好ましい。3000cm2 /g未
満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0022】粉体急結剤の使用量は、セメント100質
量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜8質量
部がより好ましい。1質量部未満だと凝結性状や初期強
度発現性が弱いおそれがあり、10質量部を越えると長
期強度発現性が小さくなり、粉塵やリバウンドが増加す
るおそれがある。
【0023】本発明に係る液体急結剤は、セメントコン
クリートに混合できるものであれば特に制限はなく、液
体急結剤としては、アルミン酸ナトリウム等のアルカリ
金属アルミン酸塩やケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属
ケイ酸塩等の無機塩系といったアルカリ含有液体急結剤
や、硫酸アルミニウム等のアルカリフリー液体急結剤が
挙げられる。これらの中では、長期強度発現性の良好な
点で、アルカリフリー急結剤が好ましく、硫酸アルミニ
ウムがより好ましい。
【0024】液体急結剤中の成分濃度は、20〜40%
が好ましく、25〜35%がより好ましい。20%未満
だと初期凝結や強度発現性を阻害するおそれがあり、4
0%を越えると液体急結剤の粘度が大きくなり、圧送性
が低下し、又、液体急結剤中の成分が均一に分散しにく
くなり、液体急結剤の取り扱いが難しくなるおそれがあ
る。
【0025】液体急結剤の使用量はセメント100質量
部に対して、3〜12質量部が好ましく、5〜9質量部
がより好ましい。3質量部未満だと付着不良やダレが発
生し、初期強度発現が弱いおそれがあり、12質量部を
越えると配管が閉塞し、経済的に好ましくないおそれが
ある。
【0026】本発明に係る水セメント比(W/C)は3
0〜75%が好ましく、35〜70%がより好ましく、
35〜65%が最も好ましい。30%未満だと吹付セメ
ントコンクリートの粘性が大きく吹付作業性が低下し、
75%を越えると強度発現性や凝結性状に悪影響を与え
るおそれがある。尚、ここでいう水セメント比の水には
液体急結剤中の水は考慮されない。
【0027】本発明は急結剤を含有していないセメント
コンクリート、粉体急結剤、及び液体急結剤を混合して
急結性セメントコンクリートとする。本発明に係る急結
性セメントコンクリートの混合方法としては、まず急結
剤を含有していないセメントコンクリートと液体急結剤
を混合し、次いで粉体急結剤を混合して急結性セメント
コンクリートとしても良く、急結剤を含有していないセ
メントコンクリート、粉体急結剤、及び液体急結剤を一
括混合して急結性セメントコンクリートとしても良い。
【0028】本発明の吹付工法については、従来使用の
吹付設備等が使用できる。吹付設備は吹付が十分に行わ
れれば、特に限定するものではなく、例えば、セメント
コンクリートの圧送にはアリバー社製「アリバ285」
やピストン式のコンクリートポンプ等も使用できる。急
結剤の圧送には急結剤圧送装置「ナトムクリート」等が
使用できる。
【0029】
【実施例】以下、実験例に基づき詳細に説明する。
【0030】実験例1 W/C=45%、セメント/細骨材比(C/S)=1/
2のモルタルを調製した。このモルタルに、セメント1
00質量部に対して、減水剤1.2質量部、液体急結剤
7質量部、及び表1に示す量の粉体急結剤を添加し、急
結性モルタルを調製した。得られた急結性モルタルにつ
き、試験温度20℃の条件下で、プロクター貫入抵抗値
と圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
【0031】(使用材料) セメント:市販品、普通ポルトランドセメント、比重
3.16 細骨材:新潟県姫川産天然砂、細骨材の最大粒径2.5
mm以下、比重2.62 液体急結剤:アルカリフリー液体急結剤、硫酸アルミニ
ウム系液体急結剤、成分濃度27% 粉体急結剤:アルカリ含有粉体急結剤、カルシウムアル
ミネート類、アルミン酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウ
ムを含有する粉体急結剤、カルシウムアルミネート類と
して非晶質、C127、ブレーン値6050cm2 /g
のものを使用を使用 減水剤:高性能減水剤、ポリエチレングリコール、液
状、固形分濃度40%、市販品
【0032】(測定方法) プロクター貫入抵抗値:土木学会基準「吹付けコンクリ
ート用急結剤品質規格(JSCED−102)」に準じ
て測定した。圧縮強度:JIS R 5201に準じ
て、20℃、所定の材齢で測定した。
【0033】
【表1】
【0034】実験例2 セメント450kg/m3、粗骨材519kg/m3、細
骨材1200kg/m 3、減水剤5.4kg/m3、、及
び水203kg/m3 とし、プレーンスランプ20cm
のコンクリートを調製した。このコンクリートをピスト
ン式のコンクリートポンプで圧送した。圧送途中で三方
管を設けてその一方にコンクリートを圧送した。このコ
ンクリートに、三方管のもう一方から液体急結剤をセメ
ント100質量部に対して7質量部、三方管の更にもう
一方から粉体急結剤をセメント100質量部に対して表
2に示す質量部、それぞれ添加し、急結性コンクリート
を調製した。得られた急結性コンクリートにつき、試験
温度20℃の条件下で、跳ね返り損失と粉塵量を測定し
た。結果を表2に示す。
【0035】(使用材料) 粗骨材:新潟県姫川産砂利、骨材の最大粒径15mm、
比重2.62
【0036】(測定方法) 跳ね返り損失:幅5.5m×高さ5.5mの馬蹄径のト
ンネルに急結性コンクリートを吹付け、(跳ね返り落下
した急結性コンクリートの量)/(吹付に使用した急結
性コンクリート全体の量)×100(%)で示した。 粉塵量:急結性コンクリートを4m3/hの圧送速度で
10分間、鉄板でアーチ状に制作した高さ3.5m、幅
2.5m、長さ20mの模擬トンネルに、吹付ノズル先
端から吹付けた。その後、吹付ノズル先端から3m手前
の定位置で粉塵量を測定し、得られた測定値の平均値で
示した。
【0037】
【表2】
【0038】実験例3 液体急結剤をセメント100質量部に対して表3に示す
質量部、粉体急結剤をセメント100質量部に対して5
質量部、それぞれ添加し、得られた急結性コンクリート
につき、付着特性、ダレ、及び配管の閉塞状況を測定し
たこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を表3に
示す。
【0039】(測定方法) 付着特性:ノズルを固定して幅5.5m×高さ5.5m
の馬蹄径のトンネルの側壁に急結性コンクリートを4m
3/hの圧送速度で15秒間吹付け、吹付面たる側壁か
ら付着した急結性コンクリートの頂点までの距離を測定
し、付着特性とした。 ダレ:急結性コンクリートを4m3/hの圧送速度で5
分間、幅5.5m×高さ5.5mの馬蹄径のトンネルに
吹付けた後の状態を観察した。ダレが生じなかったもの
を○とし、ダレが少し生じたものを△とし、ダレが多く
生じたものを×とした。 配管の閉塞状況:急結性コンクリートを4m3/hの圧
送速度で4分間吹付けた後、三方管内部を観察し、固化
物の付着が認められた場合を×、少し認められた場合を
△、全く認められなかった場合を○とした。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】本発明の吹付材料を用いることにより、
粉塵量や跳ね返り率が少なく、ダレが生じず、凝結性状
が良好で、急結性セメントコンクリートの吹付面への付
着も良くなり、湧水部への吹付も可能となる。更に強
度、特に初期強度も増加する為、本発明は急結性セメン
トコンクリートの剥落防止にも繋がる優れた施工方法に
なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 22:10 C04B 22:10 24:32) 24:32) A 111:70 111:70 Fターム(参考) 2D055 DB00 KA08 4G012 PA04 PB05 PB08 PB10 PB36 PC03 PC06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 急結剤を含有していないセメントコンク
    リート、液体急結剤、及び粉体急結剤を含有してなる吹
    付材料。
  2. 【請求項2】 液体急結剤がアルカリフリー液体急結剤
    である請求項1記載の吹付材料。
  3. 【請求項3】 粉体急結剤がアルカリ含有粉体急結剤で
    ある請求項1又は2記載の吹付材料。
  4. 【請求項4】 さらに、減水剤を含有してなる請求項1
    〜3のうちの1項記載の吹付材料。
  5. 【請求項5】 急結剤を含有していないセメントコンク
    リート、液体急結剤、及び粉体急結剤を圧送、合流して
    急結性セメントコンクリートを調製し、吹付けることを
    特徴とする吹付工法。
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