JP2011001203A - 吹付け方法 - Google Patents
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Abstract
道路、鉄道、及び導水路等のトンネルにおいて露出した地山面に、短時間に高い強度発現性を得るコンクリート材料を吹き付ける方法を提供する。
【解決手段】
セメント100質量部に対して、5〜15質量部の石膏を含有する吹付けセメントコンクリートに、カルシウムアルミネート、アルカリ金属アルミン酸塩、及び水酸化カルシウムを含有する粉体急結剤と、硫酸アルミニウムを含有する液体急結剤とを混合する吹付け材を吹付ける吹付け方法、カルシウムアルミネート100質量部に対して、アルカリ金属アルミン酸塩が、1〜50質量部である、また、水酸化カルシウムが、1〜20質量部である吹付け方法、セメント100質量部に対して、粉体急結剤が2〜10質量部である、また、液体急結剤が固形物換算で0.5〜3質量部である吹付け方法、吹付けセメントコンクリートと、粉体急結剤と、液体急結剤とを別途圧送して混合して吹き付ける吹付け方法を構成とする。
【選択図】なし
Description
しかしながら、粉体急結剤の急結剤供給装置が大規模で、かつ、圧縮空気を調製し、圧送するコンプレッサーなどの装置が別に必要であり、さらに、粉体急結剤を空気圧送して吹付けセメントコンクリートと混合した時に粉体急結剤の一部が作業空間に粉じんとして飛散する場合があるなどの課題があった。
しかしながら、吹付けセメントコンクリートと混合した時の凝結促進作用が粉体急結剤と比較して弱く、軟弱な地山や湧水部への吹付けに使用できない、厚吹きには適さないなどの課題があった。
また、地山の圧力によりトンネル形状に大きな変形が生じるような地山の悪い場合は、吹付けコンクリートにひび割れが生じ、場合によっては剥がれ落ちるおそれがある。通常、掘削後比較的初期から地山圧力がかかる場合が多いことから、このような条件下でも、短時間の強度発現性が高い吹付けコンクリートが求められている。
なお、本発明における部や%は、特に規定しない限り質量基準で示す。
本発明でいうセメントコンクリートとは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリートを総称するものである。
本発明で使用するコンクリートのセメント量は、作業性や、粘性、経済性の面から、360〜600kg/m3であり、400〜500kg/m3がより好ましい。
本発明では、セメントコンクリート製造プラントで確実に石膏を混合練混ぜすることが可能であるため、付着性やリバウンドなどの凝結性や、短時間強度発現性等の性能が向上する。
また、急結剤の量を少なくすることが可能となるため、添加装置も小さくすることが可能であり、人力による投入の手間も減少するため経済的である。
本発明で吹付けセメントコンクリートに添加混合する石膏としては、無水石膏、半水石膏、及び二水石膏が挙げられ、これらの一種又は二種以上が使用可能である。これらの中では、強度発現性等の面から無水石膏の使用が好ましい。
石膏の粒度は、通常セメントに使用される程度、例えば、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で3,000cm2/g程度でよく、さらに微粉末とすればより好ましい。
石膏の使用量は、セメント100部に対して、5〜15部であり、7〜12部が好ましい。5部未満では強度発現性を高めることが難しく、15部を超えると長期に膨張してコンクリートが破壊するおそれがでてくる。
粉体急結剤は、粉体でも使用可能であるが、セメントコンクリートとの混合性改善や、吹付け時の発生粉じんを低減させるなどの面から、液体急結剤と混練したスラリーとして使用することが好ましい。
カルシウムアルミネートの鉱物成分としては、CaOをC、Al2O3をAとすると、C3A、C12A7、CA、及びCA2などで示されるカルシウムアルミネート熱処理物を粉砕したものなどが挙げられる。さらに、その他の成分として、SiO2を含有するアルミノ珪酸カルシウム、C12A7の1つのCaOをCaF2などのハロゲン化物で置き換えたC11A7・CaX2(Xはフッ素等のハロゲン)、SO3成分を含むC4A3・SO3、並びに、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属が一部固溶したカルシウムアルミネートなどが挙げられ、これらの一種又は二種以上が使用可能である。
これらの中では、反応活性の面でC12A7組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。
カルシウムアルミネートの粒度は、急結性や強度発現性の面から、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、4,000cm2/g以上がより好ましい。
アルカリ金属アルミン酸塩の使用量は、極初期の凝結性や、凝結性、長期強度発現性の面から、カルシウムアルミネート100部に対して、1〜50部が好ましく、2〜25部がより好ましい。
水酸化カルシウムの使用量は、急結性能の補助や、長期強度発現性の面から、カルシウムアルミネート100部に対して、1〜20部が好ましく、2〜10部がより好ましい。
フッ素成分の供給原料としては、溶剤又は水に、溶解又は分散するものであれば特に限定されるものではない。例えば、フッ化水素酸、有機フッ素化合物、フッ化塩、ケイフッ化塩、及びフッ化ホウ素塩等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。毒性や爆発性等の危険性がなく、製造コストが安く、かつ、急結性状が優れる面から、フッ化水素酸、フッ化塩、ケイフッ化塩、及びフッ化ホウ素塩が好ましい。
本発明に用いる硫酸アルミニウム水溶液の濃度は、吹付け時にスラリーの飛散や、水溶液中に析出物が発生、硫酸アルミニウム水溶液の粘性の面から、20〜50%が好ましく、高濃度ほど好ましい。
減水剤とは、セメントコンクリートの流動性や急結剤スラリーの分散安定性を改善するために使用するものをいい、液状や粉状のものいずれも使用でき、高性能減水剤が好ましい。高性能減水剤の種類としては、アルキルアリルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、及びメラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、並びに、ポリカルボン酸系高分子化合物等が挙げられ、これらの一種又は二種以上が使用可能である。
減水剤の使用量は、流動性、分散安定性や、強度発現性の面から、固形分換算でセメント100部に対して、0.05〜3部が好ましく、0.1〜2部がより好ましい。
繊維物質の長さは、圧送性の面から、コンクリート圧送性や混合性の面で70mm以下が好ましく、0.5〜60mmがより好ましい。
無機質繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、及び金属繊維等が挙げられ、有機質繊維としては、ビニロン繊維、PET再生繊維、及びポリプロピレン繊維等が挙げられ、これらの一種又は二種以上が使用できる。これらの中では、経済性の面で、金属繊維やポリプロピレン繊維が好ましい。
繊維物質の使用量は、耐衝撃性、靱性や、流動性、圧送性の面から、吹付けセメントコンクリートの0.1〜2容積%が好ましく、0.3〜1.5容積%がより好ましい。
細骨材は、最大寸法5mm以下のものか好ましく、川砂、山砂、及び石灰砂等が挙げられる。粗骨材としては、最大寸法15mm以下のものが好ましい。
耐圧ホースの長さは特に限定されるものではなく、施工状況により使用される長さは変わってくるが、通常、5〜30mのものが使用される。
耐圧ホースの直径は、圧送性や、耐圧ホースの取り扱いなどの作業性の面から、モルタルの場合は1〜3.5インチ、コンクリートの場合は2.5〜3.5インチのものが通常使用される。
ノズルの長さは、吹付けセメントコンクリートと急結剤との混合性、付着性、及び粉じん低減性や、圧送性の面から、15〜145cm程度が好ましく、25〜75cmがより好ましい。
ノズルは、金属製のものやセラミックス製のものが使用可能であり、ゴム素材でできたノズルの配管内面にセラミックスや金属でライニングされたものやこれらのチップ状のものを埋め込んだものが使用可能である。
吹付け設備は、吹付けが充分に行われれば特に限定されるものではなく、例えば、吹付けセメントコンクリートの圧送にはアリバー社商品名「アリバー280」、シンテック社「MKW-25 SMT」、PET社「G4ポンプ」、及びスクイズポンプなどが使用可能である。
また、粉体急結剤の圧送には、急結剤圧送装置「ナトムクリート」が使用可能であり、液体急結剤の圧送には一般的に液体を圧送する装置、例えば、スクイズポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクリューポンプ、及びギヤポンプなどが使用可能である。
急結性吹付けモルタルの性能を評価するため、急結性モルタルの凝結時間と圧縮強度を評価する実験を行った。下記に示した材料を用い、セメント/細骨材質量比=1/2.5、水/セメント比=45%の配合を用い、表1に示す石膏を配合して混練りしたモルタルに、カルシウムアルミネート100部、アルカリ金属アルミン酸塩6部、及び水酸化カルシウム3部からなる粉体急結剤と、液体急結剤Aを添加混合して、急結性モルタルを調製した。
急結剤の使用量は、セメント100部に対して、粉体急結剤は5部、液体急結剤Aは固形分換算で1.35部とした。
また、減水剤の使用量は、セメント100部に対して、固形分換算で0.3部とした。
調製した急結性モルタルの凝結時間と圧縮強度を、20℃条件で測定した。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント
細骨材 :新潟県糸魚川産姫川水系砂、表乾密度2.62
石膏 :無水石膏、ブレーン値5,000cm2/g、市販品
カルシウムアルミネート:C12A7組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質で、ブレーン値5,900cm2/g
アルカリ金属アルミン酸塩:アルミン酸ナトリウム、市販品
水酸化カルシウム:市販品
液体急結剤A:主成分硫酸アルミニウム、フッ素成分含有、市販品、濃度27%
減水剤 :高性能減水剤、ポリカルボン酸系高分子化合物、液状減水剤、市販品
凝結時間 :急結剤を添加したモルタルの凝結時間の始発と終結を測定。
圧縮強度 :急結剤を添加したモルタルの材齢10分と28日の圧縮強度を測定。
セメント100部に対して、石膏を10部混合して吹付け用モルタルを調製した。
一方、表2に示すカルシウムアルミネート、アルカリ金属アルミン酸塩、及び水酸化カルシウムを混合して粉体急結剤を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
カルシウムアルミネート100部、アルカリ金属アルミン酸塩6部、及び水酸化カルシウム3部からなる粉体急結剤と、液体急結剤Aをセメント100部に対して、表3に示すようにしたこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表3に併記する。
しかしながら本発明による急結剤を用いることで、急結性に優れ、かつ、良好な強度発現性が得られることが確認された。
単位セメント量450kg/m3、水/セメント比45%、及び細骨材率60%とした配合を用い、セメント100部に対して、10部の石膏を配合して混練りし、吹付けコンクリートを調製し、コンクリートポンプ「シンテックMKW−25SMT」を使用して圧送した。
カルシウムアルミネート100部、アルカリ金属アルミン酸塩6部、及び水酸化カルシウム3部を混合し、粉体急結剤を調製し、圧送配管途中に三方管を設けて、そのうちの一方に調製した吹付けコンクリートを圧送し、三方管のもう一方から粉体急結剤添加装置「デンカナトムクリートPAC250V」で空気圧送した粉体急結剤を、セメント100部に対して、5部添加し、三方管のさらにもう一方から液体急結剤Aを、セメント100部に対して、固形分換算で、1.35部添加して急結性吹付けコンクリートとし、材齢10分と28日の圧縮強度を20℃の条件で測定した。また、調製した急結性吹付けコンクリート1m3を吹付け、そのリバウンド率と粉じん量を測定した。コンクリートの圧送速度は10m3/hとした。
また、減水剤の使用量は、セメント100部に対して、固形分換算で0.3部とした。
比較のため、石膏を使用しない場合、石膏をセメントと混合せず、同量粉体急結剤に混合して同様の実験を行った。結果を表4に併記する。
粗骨材 :新潟県糸魚川産6号砕石、最大寸法15mm、表乾密度2.64
圧縮強度 :プルアウト試験により10分後の強度を求めた。プルアウト型枠表面からピンを急結性吹付けコンクリートで被覆し、型枠の裏側からピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、圧縮強度=引抜き強度×4の式で圧縮強度を算出。
リバウンド率:急結性吹付けコンクリートを1m3吹付けし、吹き付け終了後、付着せずに床面に敷いたビニールシートに落下した急結性吹付けコンクリートの量を測定し、リバウンド率=(吹付けの際に付着せずに落下した急結性吹付けコンクリートの質量)/(吹き付けに使用した急結性吹付けコンクリートの総量)×100(%)の式から算出。
粉じん量 :吹付けノズルから5mの定位置で粉じん量を測定し、得られた測定値の平均値。
表5に示す粉体急結剤と液体急結剤Aを用いて、吹付け時のダレの有無の評価と、リバウンド率、粉じん量、及び10分圧縮強度を測定したこと以外は実験例4と同様に行った。結果を表5に併記する。
単位セメント量450kg/m3、水/セメント比45%、及び細骨材率60%とした配合を用い、セメント100部に対して、減水剤を固形分換算で0.3部とし、表6に示す石膏を配合して混練りし、吹付けコンクリートを調製し、コンクリートポンプ「シンテックMKW−25SMT」を使用して圧送した。
一方、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミネート100部に対して、表6に示すアルカリ金属アルミン酸塩、及び水酸化カルシウムを混合し、粉体急結剤を調製した。
セメント100部に対して、調製した粉体急結剤5部と、液体急結剤を固形分換算で1.35部混合して急結剤スラリーを調製し、吹付けコンクリートの圧送途中で、吹付けコンクリートに、急結剤スラリーを添加混合して急結性吹付けコンクリートを調製し、実験例5と同様吹付けした。結果を表6に併記する。
液体急結剤B:主成分硫酸アルミニウム、市販品、濃度27%
カルシウムアルミネートと、カルシウムアルミネート100部に対して、アルカリ金属アルミン酸塩6部と水酸化カルシウム3部を混合し、粉体急結剤を調製した。
セメント100部に対して、表7に示す量の調製した粉体急結剤と、液体急結剤Aとを混合して急結剤スラリーを調製したこと以外は、実験例6と同様に行った。結果を表7に併記する。
単位セメント量450kg/m3、水/セメント比45%、及び細骨材率60%とした配合を用い、セメント100部に対して、石膏を10部、減水剤を固形分換算で0.3部とし、吹付けコンクリートに対して、表8に示す繊維物質を配合して混練りし、吹付けコンクリートを調製し、粉体急結剤を、カルシウムアルミネートと、カルシウムアルミネート100部に対して、6部のアルカリ金属アルミン酸塩と、3部の水酸化カルシウムを配合して調製したこと以外は実験例6と同様に行った。結果を表8に併記する。
繊維物質 :鋼繊維、繊維長さ30mm
Claims (9)
- セメント100質量部に対して、5〜15質量部の石膏を含有してなる吹付けセメントコンクリートに、カルシウムアルミネート、アルカリ金属アルミン酸塩、及び水酸化カルシウムを含有してなる粉体急結剤と、硫酸アルミニウムを含有してなる液体急結剤とを混合してなる吹付け材を吹付けることを特徴とする吹付け方法。
- 前記吹付け材が、さらに、繊維物質を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の吹付け方法。
- 前記石膏が、無水石膏であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吹付け方法。
- 前記アルカリ金属アルミン酸塩が、前記カルシウムアルミネート100質量部に対して、1〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載の吹付け方法。
- 前記水酸化カルシウムが、前記カルシウムアルミネート100質量部に対して、1〜20質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の吹付け方法。
- 前記粉体急結剤が、セメント100質量部に対して、2〜10質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の吹付け方法。
- 前記液体急結剤が、セメント100質量部に対して、固形物換算で0.5〜3質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の吹付け方法。
- 前記吹付けセメントコンクリートと、前記粉体急結剤と、前記液体急結剤とを別途圧送して混合して吹き付けることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項に記載の吹付け方法。
- 前記粉体急結剤と前記液体急結剤を配合して調製してなる急結剤スラリーを、前記吹付けセメントコンクリートに混合して吹付け材とし、吹付けることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちのいずれか一項に記載の吹付け方法。
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