JP4832659B2 - 急結性セメントコンクリートの施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、鉄道、及び導水路等のトンネル掘削工事において露出した地山面や地山が露出した法面において、崩落を防止するための吹付材料に関する。尚、本発明でいうセメントコンクリートとは、ペースト、モルタル、及びコンクリートを総称するものをいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネル掘削等露出した地山面の崩落を防止するために、エアー圧送又はポンプ圧送されたセメントコンクリートと、エアー圧送された急結剤とを、Y字管等で混合し、急結性セメントコンクリートとして吹付ける吹付工法が行われている。
【0003】
自動車トンネルや鉄道トンネル等の大断面トンネル施工時には、コンクリートポンプや吹付ロボット等を切羽付近まで運搬し、吹付施工を行うが、導水路や排水路トンネル等の小断面トンネル施工時には、コンクリートポンプを坑口に設置したまま切羽付近まで鉄配管を繋いだ後、セメントコンクリートを圧送し、吹付施工を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吹付施工後に配管内に残ったセメントコンクリートは再利用できないので廃棄しなければならなかった。小断面トンネルの距離を延長すると、配管内に残るセメントコンクリートの量も多くなり、経済的に好ましくないという課題があった。
【0005】
本発明者は前期課題を解消すべく種々検討した結果、セメントコンクリート中に特定の凝結調整剤を添加したものを配管内に所定時間放置し、次の吹付施工時に配管内のセメントコンクリートを圧送し、急結剤と混合すると短時間で凝結硬化できる急結性セメントコンクリートが得られるので、配管内のセメントコンクリートを無駄にしないで済むことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明は、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤、セメント、並びに水を含有してなるセメントコンクリートを配管内に1〜10時間放置した後、圧送してなるセメントコンクリートの施工方法であり、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤、セメント、並びに水を含有してなるセメントコンクリートを配管内に1〜10時間放置した後、圧送し、急結剤と混合してなることを特徴とする急結性セメントコンクリートの施工方法であり、減水剤が、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びビスフェノールAスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群のうちの1種以上である該急結性セメントコンクリートの施工方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0008】
本発明に係る配管内に放置してなるセメントコンクリートとは、吹付施工等の後に配管内に残存するセメントコンクリートをいい、消石灰類、有機酸類、石膏、及び減水剤を含む凝結調整剤、セメント、並びに水を含有するものである。本発明では、吹付施工等の後に、セメントコンクリートを配管内に所定時間放置し、次の吹付施工時に配管内のセメントコンクリートを圧送し、急結剤と混合することにより、短時間で凝結硬化できる急結性セメントコンクリートが得られるものである。
【0009】
本発明に係るセメントとしては、市販されている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各種ポルトランドセメント、並びにこれらのポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等を混合した各種混合セメントが挙げられる。セメントとしては、低リバウンド率、粉塵量の低減、圧送性、強度発現性、及び施工容易性等、吹付施工に要求される性能に適したセメントを選択できる。これらの中では、安価で一般的に使用できる点で、普通ポルトランドセメント及び/又は早強ポルトランドセメントが好ましい。
【0010】
本発明に係る骨材は細骨材と粗骨材のいずれも使用できる。細骨材としては、天然砂、珪砂、及び石灰砂等が挙げられる。モルタルを用いた場合、細骨材の最大粒径は2.5mm以下が好ましい。2.5mmを越えると圧送性が低下し、吹付時の跳ね返りが多くなるおそれがある。粗骨材を使用する場合、粗骨材としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が挙げられる。粗骨材の最大粒径は5〜15mmが好ましい。15mmを越えると吹付時の跳ね返りが多くなるおそれがある。
【0011】
本発明に係る凝結調整剤は、急結剤を配合していないセメントコンクリートと混合する材料であり、消石灰類、有機酸類、石膏、及び減水剤を含有するものである。
【0012】
本発明に係る消石灰類は、急結剤を配合していないセメントコンクリートが長時間凝結硬化しないという効果を有する。
【0013】
さらに、有機酸類等を多く使用しても、又、予定より早く急結剤を混合しても、急結剤と併存することにより急結性セメントコンクリートの急結硬化を促進するという効果を有するものである。
【0014】
具体的には、消石灰や、カルシウムカーバイトからアセチレンを発生させる際副生するカーバイド滓等が挙げられる。これらの中では、急結剤と混合した後の強度発現性が最もよく、しかも、副生品のため安価で経済的である点で、カーバイド滓が好ましい。
【0015】
消石灰類の粒子径は、特に限定されるものではないが、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。
【0016】
本発明に係る有機酸類としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、及びリンゴ酸等の各種水溶性カルボン酸やこれらの塩の一種又は二種以上の使用が可能である。塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましい。これらの中では、使用量と正比例して凝結時間が長くなり、コントロールがしやすい点で、有機酸塩が好ましく、クエン酸ナトリウムがより好ましい。
【0017】
有機酸類の使用量は、消石灰類100質量部に対して、1〜400質量部が好ましく、4〜200質量部がより好ましく、6〜50質量部が最も好ましい。1質量部未満だと凝結遅延効果が小さくなり、配管内に放置すると流動性が低下するおそれがあり、400質量部を越えると急結剤と混合しても凝結硬化しにくくなるおそれがある。
【0018】
本発明に係る石膏は市販のいずれの石膏も使用できるが、強度発現性の点で、II型無水石膏及び/又は天然無水石膏が好ましい。
【0019】
石膏の粒度はブレーン値で3000cm2/g以上が好ましく、4000〜7000cm2/gがより好ましい。3000cm2/g未満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0020】
石膏の使用量は、消石灰類100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、20〜200質量部がより好ましい。10質量部未満だと強度発現性が小さいおそれがあり、500質量部を越えると初期凝結しにくいおそれがある。
【0021】
本発明に係る減水剤は、凝結遅延効果や流動性を持続させるものであり、液体や粉体いずれも使用できる。
【0022】
減水剤としては、リグニンスルホン酸塩やその誘導体、及び高性能減水剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上が使用できる。これらの中では、凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、高性能減水剤が好ましい。
【0023】
高性能減水剤としては、ポリエチレングリコール等のポリオール誘導体、芳香族スルホン酸系高性能減水剤、ポリカルボン酸系高性能減水剤、メラミン系高性能減水剤、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中では、凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、芳香族スルホン酸系高性能減水剤が好ましい。
【0024】
芳香族スルホン酸系高性能減水剤の芳香族スルホン酸系としては、芳香族スルホン酸及び/又は芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。
【0025】
芳香族スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ビスフェノールAスルホン酸、フェノールスルホン酸、トリスフェノールスルホン酸、4−フェノキシベンゼン−4’−スルホン酸、メチルジフェニルエーテルスルホン酸、及びアントラセンスルホン酸等が挙げられる。又、芳香族環がアルキル基を有してもよい。芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物としては、これらの芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物等が挙げられる。これらの中では、凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物が好ましく、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びビスフェノールAスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群のうちの1種以上がより好ましく、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(以下β−NSという)が最も好ましい。
【0026】
減水剤の使用量は、消石灰類100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。1質量部未満だと凝結遅延効果と圧送性が小さく、配管内に放置すると流動性が低下するおそれがあり、10質量部を越えるとセメントコンクリートが分離するおそれがある。
【0027】
本発明に係る凝結調整剤は、粉体や液体いずれでもよいが、セメントコンクリートが分離しにくい点で、粉体を使用することが好ましい。
【0028】
凝結調整剤の使用量は、セメント100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。0.5質量部未満だと凝結遅延効果が劣り、配管内に放置すると流動性が低下して圧送できなくなり、急結剤と混合しても凝結硬化しにくく、初期強度発現性が悪くなり、跳ね返りや粉塵が多くなるおそれがあり、15質量部を越えると急結剤と混合しても凝結硬化しにくく、初期強度発現性が悪くなり、跳ね返りが多くなるおそれがある。
【0029】
本発明に係る急結剤は、吹付セメントコンクリートに混入できるものであれば特に制限はなく、急結剤としては、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウム等の無機塩系や、カルシウムアルミネート類等のセメント鉱物系等が挙げられる。これらの中では、セメントコンクリートの凝結硬化が早い等の凝結性状が優れ、強度発現性が良好な点で、セメント鉱物系急結剤の使用が好ましく、カルシウムアルミネート類がより好ましい。
【0030】
本発明で使用するカルシウムアルミネート類とは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl2O3 とを主たる成分とし、水和活性を有する物質の総称であり、CaO及び/又はAl2O3の一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した物質、あるいは、CaOとAl2O3とを主成分とするものに、これらが少量固溶した物質である。鉱物形態としては、結晶質、非晶質いずれであってもよい。
【0031】
カルシウムアルミネート類の中では、反応活性に優れる点で、C12A7(CはCaOの略、AはAl2O3の略)が好ましく、非晶質のC12A7がより好ましい。
【0032】
カルシウムアルミネート類の粒度は、ブレーン値で3000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上がより好ましい。3000cm2/g未満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0033】
急結剤の使用量は、セメント100重量部に対し、3〜25質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。3質量部未満だと凝結性状や初期強度発現性が小さいおそれがあり、25質量部を越えると、粉塵や跳ね返りが増加し、配管内に放置したセメントコンクリートと急結剤を混合した場合、圧送性が低下するおそれがある。
【0034】
本発明に係る水セメント比(W/C)は30〜75%が好ましく、35〜70%がより好ましく、35〜65%が最も好ましい。30%未満だとセメントコンクリートの粘性が大きく吹付作業性が低下し、75%を越えると強度発現性や凝結性に悪影響を与えるおそれがある。
【0035】
本発明は、例えば、急結剤を配合していないセメントコンクリートに凝結調整剤を混合した後、配管内にセメントコンクリートを圧送して吹付施工を行い、吹付施工終了時にセメントコンクリートの圧送を中止して配管内にセメントコンクリートを放置し、その後吹付施工再開時に配管内のセメントコンクリートを圧送するものである。尚、配管内に放置されたセメントコンクリートは圧送再開後、急結剤と混合し、速やかに凝結硬化するものである。
【0036】
配管内にセメントコンクリートを放置できる時間はセメントコンクリートの圧送を中止してから10時間以内が好ましく、1〜10時間がより好ましく、2〜6時間が最も好ましい。10時間を越えて配管内に放置すると配管が閉塞して圧送性が低下するおそれがある。
【0037】
本発明の吹付工法については、従来使用の吹付設備等が使用できる。吹付設備は吹付が十分に行われれば、特に限定するものではなく、例えば、セメントコンクリートの圧送にはピストン式のコンクリートポンプ「160−40−8」(シンテック社製)等が使用できる。急結剤の圧送には急結剤圧送装置「ナトムクリート」等が使用できる。
【0038】
【実施例】
以下、実験例に基づき詳細に説明する。尚、試験温度は20℃とした。
【0039】
実験例1
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製した。このモルタルに、消石灰類100質量部、表1に示す量の有機酸類、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加し、表1に示す時間放置した。粉体凝結調整剤を添加したモルタルにつき、フロー値を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(使用材料)
セメント:市販品、普通ポルトランドセメント、比重3.16
細骨材:新潟県姫川産天然砂、骨材の最大粒径2.5mm以下、比重2.62
消石灰類:カーバイト滓、粒子径60μm以下
有機酸類:市販品、クエン酸ナトリウム
石膏:市販品、天然無水石膏、ブレーン値4000cm2/g
減水剤:β−NS、粉状、市販品
【0041】
(測定方法)
フロー値:粉体凝結調整剤を添加してから、所定時間経過後の急結剤を添加しないモルタルにつき、フロー値を測定した。測定方法はJIS A 1101に準じた。尚、2時間経過後以降はブリージング水をスポイトで吸い取ったモルタルにつき、測定した。
【0042】
【表1】
【0043】
実験例2
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製した。このモルタルに、消石灰類100質量部、表1に示す量の有機酸類、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加し、4時間放置した。その後、ブリージング水をスポイドで吸い取ったのち、急結剤をセメント100質量部に対して7質量部添加し、急結性モルタルを調製した。急結性モルタルにつき、プロクター貫入抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
【0044】
(使用材料)
急結剤:カルシウムアルミネート系粉体急結剤、カルシウムアルミネート類として、非晶質、C12A7、ブレーン値6050cm2/gのものを使用
【0045】
(測定方法)
プロクター貫入抵抗値:急結性モルタルにつき、土木学会基準「吹付けコンクリート用急結剤品質規格(JSCED−102)」に準じて測定した。
【0046】
【表2】
【0047】
実験例3
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、表3に示す量の石膏、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加して4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、圧縮強度とプロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を表3に示す。
【0048】
(測定方法)
圧縮強度:急結性モルタルにつき、JIS R 5201に準じて、所定の材齢で測定した。
【0049】
【表3】
【0050】
実験例4
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び表4に示す量の減水剤からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加して表4に示す時間放置し、粉体凝結調整剤を添加したモルタルにつき、フロー値を測定したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
実験例5
セメント360kg/m3、粗骨材708kg/m3、細骨材1013kg/m3、及び水216kg/m3とし、プレーンスランプ10cmのコンクリートを調製した。このコンクリートに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び表5に示す量の減水剤からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加し、コンクリートポンプ「160−40−8」(シンテック社製)によりホース(長さ15m)へ圧送した。その後圧送を中止し、ホースにコンクリートを残したまま4時間放置した。4時間放置後圧送を再開し、ホース圧送されたコンクリートにつき、圧送性と分離性を測定した。
結果を表5に示す。
【0053】
(使用材料)
粗骨材:新潟県姫川産砂利、骨材の最大粒径15mm、比重2.65
【0054】
(測定方法)
圧送性:圧送再開後の急結剤を添加しないコンクリートの圧送状況を観察した。コンクリートが硬化・分離して圧送できなかった場合を×とし、圧送できたもののホースが詰まり気味の場合を△、コンクリートが硬化・分離せず、速やかに圧送できた場合を○とした。
分離性:急結剤を添加しないコンクリートの分離性を測定した。2000mlのメスシリンダーにコンクリート2000mlを投入し、10分間放置した。その後、メスシリンダー1000mlのラインより上のコンクリートを採取し、目開き5mmの篩でふるい、篩上に残ったものの質量を測定した。
【0055】
【表5】
【0056】
実験例6
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して表6に示す量添加して表6に示す時間放置し、粉体凝結調整剤を添加したモルタルにつき、フロー値を測定したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表6に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
実験例7
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して表7に示す量添加して4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、圧縮強度とプロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を表7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】
実験例8
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して表8に示す量添加し、ホースへ圧送し、4時間放置後圧送を再開し、ホース圧送されたコンクリートにつき、圧送性を測定したこと以外は、実験例5と同様に行った。結果を表8に示す。
【0061】
【表8】
【0062】
実験例9
セメント360kg/m3、粗骨材708kg/m3、細骨材1013kg/m3、及び水216kg/m3とし、プレーンスランプ10cmのコンクリートを調製した。このコンクリートに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して表9に示す量添加し、コンクリートポンプによりホース(長さ15m)へ圧送した。その後圧送を中止し、ホースにコンクリートを残したまま4時間放置した。4時間放置後圧送を再開し、ホース圧送されたコンクリートに、セメント100質量部に対して7質量部の急結剤を添加して急結性コンクリートを調製し、吹付を行った。急結性コンクリートにつき、跳ね返り率と粉塵量を測定した。結果を表9に示す。
【0063】
(測定方法)
跳ね返り率:幅5.5m×高さ5.5mの馬蹄径のトンネルに急結性コンクリートを吹付け、(跳ね返り落下した急結性コンクリートの量)/(吹付に使用した急結性コンクリート全体の量)×100(%)で示した。
粉塵量:急結性コンクリートを4m3/hの圧送速度で10分間、鉄板でアーチ状に制作した高さ3.5m、幅2.5m、長さ20mの模擬トンネルに、吹付ノズル先端から吹付けた。その後、吹付ノズル先端から3m手前の定位置で粉塵量を測定し、得られた測定値の平均値で示した。
【0064】
【表9】
【0065】
実験例10
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加して表10に示す時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、プロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を表10に示す。
【0066】
【表10】
【0067】
実験例11
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加し、ホースへ圧送し、表11に示す時間放置後圧送を再開し、ホース圧送されたコンクリートにつき、圧送性を測定したこと以外は、実験例5と同様に行った。結果を表11に示す。
【0068】
【表11】
【0069】
実験例12
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加して4時間放置し、急結剤をセメント100質量部に対して表12に示す量添加した急結性モルタルにつき、圧縮強度とプロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は、実験例2と同様に行った。結果を表12に示す。
【0070】
【表12】
【0071】
実験例13
消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる粉体凝結調整剤を、セメント100質量部に対して5質量部添加し、急結剤をセメント100質量部に対して表13に示す量添加した急結性コンクリートにつき、跳ね返り率と粉塵量を測定したこと以外は、実験例9と同様に行った。結果を表13に示す。
。結果を表9に示す。
【0072】
【表13】
【0073】
【発明の効果】
本発明のセメントコンクリートは、配管内に所定時間放置しても十分な流動性があり、ポンプ圧送が可能であり、圧送性が良い。そして、急結剤を添加すると直ちに凝結硬化し、強度発現性が良くなり、粉塵や跳ね返りを少なくできる。
よって、配管内のセメントコンクリートを無駄にせず、配管の水洗い作業も節約できる為、極めて経済的な吹付施工方法を実施できる。そのため、導水路や排水路トンネル等の小断面トンネル施工時において小断面トンネルの距離を延長した場合、コンクリートポンプを坑口に設置したまま切羽付近まで鉄配管を繋いでセメントコンクリートを圧送しても、良好な吹付施工を行うことができる。
Claims (3)
- 消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤、セメント、並びに水を含有してなるセメントコンクリートを配管内に1〜10時間放置した後、圧送してなるセメントコンクリートの施工方法。
- 消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤、セメント、並びに水を含有してなるセメントコンクリートを配管内に1〜10時間放置した後、圧送し、急結剤と混合してなることを特徴とする急結性セメントコンクリートの施工方法。
- 減水剤が、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びビスフェノールAスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群のうちの1種以上である請求項1又は2記載の急結性セメントコンクリートの施工方法。
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