JP2007247387A - 吹付け方法及び粉体急結材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粉塵低減効果が向上した急結性コンクリートの吹付け方法の提供。
【解決手段】 予め水を混練してなるコンクリートをホースで、粉体急結材と合流させる
合流管まで空気輸送し、合流管の手前で該コンクリートにさらに水を添加して、該コンク
リートに粉体急結材を枝管から合流管へ供給して急結性コンクリートとし、ノズルより吹
付けることを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法。コンクリートに添加する水量
が粉体急結材100質量部に対して20〜200質量部であり、ノズルまで空気輸送する圧縮空気の総量が、大気圧換算値で5〜30m3/分であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、急結性コンクリートの吹付け方法及びそれに用いる粉体急結材に関する。
従来、トンネル掘削工事における地山の補強や、掘削面の安定化のためにコンクリートの吹付け方法が行われており、例えば、ピストンポンプなどにより送られるコンクリートを輸送する輸送管内に、コンプレッサーから送られる圧縮空気を供給し、コンクリートを空気輸送するとともに、急結材を供給してコンクリートと急結材を混合した後、ノズルよりコンクリートを吹付ける方法が一般的に行われている。
そして、コンクリートを、例えば、ピストンポンプにより輸送管を介し、合流管まで輸送し、該合流管の枝管に、コンプレッサーから送られる圧縮空気を供給し、該コンクリートを輸送管を介し合流管へ空気輸送するとともに、該合流管の枝管に急結材供給設備より空気輸送される粉体急結材を供給してコンクリートと急結材を混合した後、輸送管内を輸送しノズルよりコンクリートを吹付け面に吹付ける方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、吹付け機からノズルにドライミックスコンクリートを圧送する、材料ホースの途中に連結された材料圧送管の外周部に、環状の急結材圧力調整タンクを取り付け、該急結材圧力調整タンクの直前部に、エア圧力調整タンクを取り付け、これら各タンクの前側面外方部から複数本の急結材添加管とエア圧送管を各々分岐せしめると共に、それらの管の先端部を上記材料圧送管に対して傾斜状態で接続し、該急結材添加管内に噴霧ノズルを設け、上記急結材圧力調整タンクとエア圧力調整タンクに各々急結材ホースとエアホースを接続した吹付けコンクリートにおける液状混和剤の添加装置が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これらの吹付け方法は、合流管まで空気輸送されたコンクリートに枝管から粉体急結材を供給する方法であり、より粉塵低減効果の向上が望まれていた。
さらに、管内を圧送するコンクリートと急結材に、水を供給して、粉体急結材とコンクリートを混合する吹付けコンクリートの施工方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、この吹付方法は、充分な粉塵低減効果が得られず、より粉塵低減効果の向上が望まれていた。
特開2000−297600号公報 特公平06−004981号公報 特開2004−092211号公報
吹付けコンクリートの吹付け直前、または吹付け中に、けい酸ゾル、凝結促進剤を添加する吹付けコンクリートの吹付け方法が記載されている(特許文献4参照)。
特開平5−105498号公報
しかし、この吹付け方法は、凝結促進剤が電解質であり、けい酸ゾルと凝結促進剤の量の制御が難しいという課題があった。本願発明は、吹付け直前に水を添加するだけで、粉塵低減効果が向上するという効果を見いだしたものである。
本発明が解決しようとする課題は、粉塵低減効果の向上である。
本発明は、予め水を混練してなるコンクリートを輸送し、該コンクリートに下記(1)〜(3)を含有してなる粉体急結材を供給して急結性コンクリートとし、ノズルより吹付けることを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法において、粉体急結材を供給する手前で該コンクリートにさらに水を添加することを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法であり、
(1)カルシウムアルミネート類100質量部
(2)石膏20〜150質量部
(3)アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部
粉体急結材が(4)アルカリ金属炭酸塩を含有してなることを特徴とする該急結性コンクリートの吹付け方法であり、粉体急結材が(5)芳香族スルホン酸類を含有してなることを特徴とする該急結性コンクリートの吹付け方法であり、コンクリートが(6)ポリエチレンオキサイドを含有してなることを特徴とする該急結性コンクリートの吹付け方法であり、予め水を混練してなるコンクリートに添加する水量が粉体急結材100質量部に対して20〜200質量部であることを特徴とする該急結性コンクリートの吹付け方法であり、ノズルまで空気輸送する圧縮空気の総量が、大気圧換算値で5〜30m3/分であることを特徴とする該急結性コンクリートの吹付け方法である。
予め水を混練してなるコンクリートを輸送し、該コンクリートに粉体急結材を供給して急結性コンクリートとし、ノズルより吹付けることを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法において、粉体急結材を供給する手前で該コンクリートにさらに水を添加することを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法に用いる、下記(1)〜(3)を含有してなる粉体急結材であり、
(1)カルシウムアルミネート類100質量部
(2)石膏20〜150質量部
(3)アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部
粉体急結材が(4)アルカリ金属炭酸塩を含有してなる該粉体急結材であり、粉体急結材が(5)芳香族スルホン酸類を含有してなる該粉体急結材であり、コンクリートが(6)ポリエチレンオキサイドを含有してなることを特徴とする該粉体急結材である。
本発明法によれば、粉塵低減効果が向上するものである。
本発明は、予め水を混練したコンクリートを、輸送管や合流管を介して粉体急結材と混合し、吹付ける吹付け方法であり、該方法で使用する吹付け装置である。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
図1は、本発明法で用いるコンクリートの吹付装置の一構成例を示したものである。
本発明で、コンクリート1は、例えば、市販のミキサーにより水と練り混ぜた後、ピストンポンプに供給し、途中で空気を挿入し、輸送管2内を空気輸送し、合流管3まで輸送する。
本発明で使用するコンクリートは、通常のコンクリートが使用可能であり特に限定されるものではない。また、鋼繊維を含有したコンクリートも使用可能である。
予め水を混練したコンクリート中のセメント量は特に限定されるものではないが、通常、セメント単位量で300〜500kg/m3が好ましく、350〜450kg/m3でがより好ましい。予め水を混練したコンクリート中の水/セメント比は45〜65質量%が好ましく、50〜60質量%がより好ましい。
合流管3の手前で、空気輸送したコンクリート1にさらに水4を添加する。例えば、合流管の手前で輸送管2の一方または外周からコンクリート1にさらに水4を添加する。コンクリート1に水4を添加する合流管を設け、水4を合流管を介して添加してもよい。
合流管3までコンクリート1を輸送する空気の供給量は特に限定されるものではないが、通常、2〜25m3/分が好ましい。2m3/分未満ではコンクリート1の圧送性が悪く、施工性が悪くなる場合があり、25m3/分を超えると圧縮空気による発塵が増え、粉塵量が増加する場合がある。
本発明のコンクリート1の吹付け方法においては、合流管3手前で添加する水4の圧力は、特に限定するものではないが通常0.5〜2MPaが好ましい。
水4の添加量は、コンクリートに添加する粉体急結材100質量部に対して20〜150質量部が好ましく、40〜60質量部がより好ましい。水の添加量が少ないと水を併用する効果がない場合があり、水の添加量が多いと水が多すぎて仕上げ面が不良となり、急結性や強度が低下する場合がある。
水4を添加する位置は合流管3の手前で、粉体急結材5が添加される合流管3より30cm以内が好ましく、20cm以内がより好ましい。30cmを超えると粉体急結材5と水4との混合が不十分となり粉塵量が増加する場合がある。水4の添加する位置が合流管3の先であると粉塵量が増加し、粉体急結材3とコンクリート1との混合性が悪くなり急結性が低下する場合がある。
コンクリート1と水4の混合物は、合流管3で粉体急結材5と合流する。粉体急結材5は、合流管3の枝管3aから合流管3へ合流する。合流管3手前で水4を添加したコンクリート1と、粉体急結材5とを合流混合して急結性コンクリートとする。
粉体急結材5は、急結材供給装置(図示せず)により、急結材輸送配管を介し合流管の枝管まで圧送される。急結材輸送配管としては、例えば、口径が3/4B又は1Bのホースを用いることが可能である。
粉体急結材5としては、下記成分を含有することが好ましい。
(1)カルシウムアルミネート類100質量部
(2)石膏20〜150質量部
(3)アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部
本発明のカルシウムアルミネート類とは、カルシア原料とアルミナ原料を混合して、キルンでの焼成或いは電気炉での溶融等の熱処理をして得られるCaOとAl23とを主成分とする水和活性を有する物質の総称である。CaOをC、Al23をAと略記すると、C3A、C127、C117・CaF2、C117・CaCl2、C2A・SiO2、CA、及びC2A等が挙げられ、さらにCaOやAl23の一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した化合物、あるいは、CaOとAl23とを主成分とするものに、これらが少量固溶した化合物も含まれる。
カルシウムアルミネート類の形態としては、結晶質、非晶質いずれであっても使用可能である。これらの中では、反応活性の面で、非晶質のカルシウムアルミネート類が好ましく、C127組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質のカルシウムアルミネートがより好ましい。
カルシウムアルミネート類の粒度は、急結性や初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積(以下、ブレーン値という)3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。ブレーン値が小さいと、急結性コンクリートの急結性や初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明の石膏としては、例えば、無水石膏、半水石膏、及び二水石膏が使用可能である。これらの中では、凝結性や強度発現性の面で無水石膏の使用が好ましい。
石膏の粒度は、通常、セメント等に使用される程度でよいが、急結性コンクリートの急結性や初期強度発現性の面で、ブレーン3,000cm2/g以上が好ましい。ブレーン値が小さいと、急結性コンクリートの凝結性や強度発現性が低下する場合がある。
石膏の使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して、20〜150質量部が好ましく、25〜100質量部がより好ましい。石膏の使用量が少ないと、急結性コンクリートの凝結性が低下し、長期強度発現性を促進しにくい場合があり、石膏の使用量が多いと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明のアルカリ金属アルミン酸塩(以下、アルミン酸塩という)とは、水酸化アルミニウムとアルカリ金属水酸化物を混合溶解し、乾燥し、粉末状として得られるものである。
アルミン酸塩としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸リチウム等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することが可能である。これらの中では、急結性コンクリートの凝結性や初期強度発現性の面で、アルミン酸ナトリウムの使用が好ましい。
アルミン酸塩の使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して、10〜50質量部が好ましく、15〜45質量部がより好ましい。アルミン酸塩の使用量が少ないと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合があり、アルミン酸塩の使用量が多いと、急結性コンクリートの長期強度発現性が低下する場合がある。
粉体急結材5としては、さらに、(4)アルカリ金属炭酸塩を含有することが好ましい。
本発明のアルカリ金属炭酸塩(以下、炭酸アルカリという)とは、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらの中では、初期凝結促進の面で、炭酸ナトリウムが好ましい。
炭酸アルカリの使用量は、カルシウムアルミネート類100質量部に対して、15〜45質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。炭酸アルカリの使用量が少ないと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合があり、炭酸アルカリの使用量が多いと、急結性コンクリートの長期強度発現性が低下する場合がある。
粉体急結材5としては、さらに、(5)芳香族スルホン酸及び/又はビスフェノール縮合物を含有することが好ましい。
本発明の芳香族スルホン酸及び/又はビスフェノール縮合物(以下、芳香族スルホン酸類という)とは、コンクリートの流動性を改善し、吹付け時の急結性コンクリートの付着性を向上し、リバウンド率や粉塵量を低減するものであり、液体や粉体いずれの使用も可能である。さらにコンクリート中の(6)ポリエチレンオキサイドと反応して増粘すると、吹付け時の急結性コンクリートの付着性を向上し、リバウンド率や粉塵量を低減する効果がより大きくなるものである。芳香族スルホン酸類としては、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ビスフェノールAスルホン酸、フェノールスルホン酸、トリフェノールスルホン酸、4−フェノキシベンゼン4‘−スルホン酸、メチルジエニルエーテルスルホン酸、及びアントラセンスルホン酸の芳香族スルホン酸、並びにこれらの芳香族スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。これらの中では、コンクリートの流動性を改善し、吹付け時の急結性コンクリートの付着性を向上し、リバウンド率や粉塵量を低減する効果が大きい点で、芳香族スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物が好ましく、ナフタレンホルマリン縮合物、及びビスフェノールAスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物からなる群のうちの1種類以上がより好ましい。
芳香族スルホン酸類の重量平均分子量は、5000〜25000が好ましく、9000〜16000がより好ましく、15000〜22000がより好ましい。
芳香族スルホン酸類の使用量は、粉体急結材100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。芳香族スルホン酸類の使用量が少ないとコンクリートの流動性を改善しない、吹付け時の急結性コンクリートの付着性が小さい、リバウンド率や粉塵量を低減しない場合があり、芳香族スルホン酸類の使用量が多いと5質量部を越えるとリバウンド率が大きい、粉塵量が多い、強度発現性を阻害する場合がある。
さらに本発明では、リバウンド率や粉塵低減の点で、コンクリート側に(6)ポリアルキレンオキサイドを使用することが好ましい。
本発明で使用するポリアルキレンオキサイド(以下、PAOという)は、コンクリートに粘性を与え、吹付け直後の吹付け面からのコンクリートのダレを防止し、リバウンド率や粉塵量を低減するものである。ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びポリプチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中では、コンクリートに粘性を与え、吹付け時のリバウンド率や粉塵量を低減する効果が大きい点で、ポリエチレンオキサイドが好ましい。
PAOの重量平均分子量は、100万〜500万が好ましい。PAOの重量平均分子量が小さいとコンクリートの粘性が小さく、吹付け直後の吹付け面からのコンクリートのダレを防止できないおそれがあり、PAOの重量平均分子量が多いと強度発現性を阻害し、急結材とコンクリートを混合した急結性コンクリートの圧送性が低下するおそれがある。
PAOの使用量は、セメント100質量部に対して、0.001〜0.2質量部が好ましく、0.005〜0.1質量部がより好ましい。PAOの重量平均分子量が少ないと0.001質量部未満だと急結性コンクリートの粘性が小さい、粉塵量が多い、リバウンド率が大きい場合があり、PAOの重量平均分子量が多いと0.2質量部を越えるとコンクリートの粘性が大きい、粉塵量が多い、急結剤とコンクリートを混合した急結性コンクリートの圧送性が低下する場合がある。
粉体急結材5の使用量はコンクリート中のセメント100質量部に対し、3〜15質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。粉体急結材の使用量が少ないと効果が得られない場合があり、粉体急結材の使用量が多くても、その添加効果が得られない場合がある。
粉体急結材5が添加された急結性コンクリートは、輸送管7内を圧縮空気の膨張とその流れにより急結材と混合されながら圧送され、ノズル6より排出され、吹付け面である地山等へ吹付けられる。
本発明においては、ノズル6までコンクリートを空気輸送する圧縮空気の総量は、大気圧換算値で5〜30m3/分が好ましく、10〜20m3/分がより好ましい。5m3/分未満では空気量が不足し、吹付け面に対するコンクリートの圧密が不足し、強度が得にくい場合があり、また、コンクリートの圧送性が悪くなり、配管内でコンクリートが閉塞したりする場合がある。30m3/分を超えると圧送空気量が過剰なため、リバウンドや粉塵が多くなる場合がある。
合流管3まで空気輸送する輸送管2、合流管3からノズル6までの輸送管7の材質は特に限定されるものではないが、通常、ゴム又は鉄が使用される。また、合流管3の材質は特に限定されるものではないが、通常、鉄が使用される。
本発明においては、輸送管2として、内径が55〜105mmが好ましい。輸送管2や輸送管7の内径がこの範囲外であると、圧縮空気の総量を適正な範囲に調整することが困難となる場合がある。
例えば、輸送管2と輸送管7の内径が55mm未満では、コンクリート1の輸送抵抗が大き過ぎて、特に流動性の低いコンクリートを用いると輸送管2内で閉塞する場合があり、比較的柔らかい、流動性の高いコンクリートしか用いることができなくなる場合がある。内径が105mmを超えると、輸送管2中や輸送管7中の空気の体積率が大きくなり、急結材のロスが大きくなると共に、多量の圧縮空気が必要となり、コンプレッサーを大型化する必要を生じ、装置コストがアップする。
本発明においては、輸送管2の長さは20m以下が好ましい。輸送管7の長さは6m以下が好ましく、3m以下がより好ましい。輸送管2や輸送管7の長さがこの範囲外であると、圧縮空気の総量を適正な範囲に調整することが困難となる場合がある。
例えば、輸送管2の長さが20mを超えると、コンクリートの輸送抵抗が大きくなり、特に流動性の低いコンクリートを用いると輸送管内で閉塞する場合があり、比較的柔らかい流動性の高いコンクリートしか用いることができなくなる場合がある。輸送管7の長さが6mを超えると、コンクリートの輸送抵抗が大きくなると共に、ノズル6からコンクリートが排出されるまでの時間が長くなることによりコンクリートの硬化が進み、ノズル6内でコンクリートが閉塞しやすくなる場合がある。
なお、合流管3とノズル6を直結することも可能である。
本発明に使用するピストンポンプは、市販ものが使用でき、代表的な例としてはコンクリートの吐出能力が最大で25m3/h程度で、ピストンの速度によりコンクリートの吐出量を調整できるものが好ましい。
ノズル6は、一般にその口径が出口部に進むに従い絞られるテーパ管が使用され、そのテーパ角は0.5度程度あれば良い。また、ノズル6の出口部の口径は50mm程度のものが好適である。
本発明によれば、粉塵低減効果、リバウンド率低減効果、輸送性、仕上げ面が向上し、また、急結材とコンクリートの混合性が向上し、初期強度、長期強度が増進するという効果を奏する。添加する水の量を調整することにより、吹付け時の閉塞によるトラブルを低減するといった効果を奏する。
以下、実験例により本発明を詳細に説明する。
実験例1
図1に示すコンクリートの吹付け装置を組んだ。
なお、合流管3(鉄製)まで空気輸送する輸送管2(ゴム製)の内径は65mmとし、輸送管2の長さは10mとし、合流管3からノズル6までの輸送管7(ゴム製)の長さは3mとした。
ノズル6は、入口径65mmから出口径50mmに絞ったものを使用した。
吹付けに使用したコンクリート1は、各材料の単位量をセメント400kg/m3 、水220kg/m3、及び細骨材率60%とし、PAOを、セメント100質量部に対して、0.02質量部使用した。
このコンクリート1のスランプ値は14cmであった。
粉体急結材(カルシウムアルミネート類100質量部、石膏35質量部、アルカリ金属アルミン酸塩30質量部、表1に示す量の炭酸アルカリ、芳香族スルホン酸類2.0質量部)は、コンクリート中のセメント100質量部に対して、7質量部使用した。合流管3の手前20cmで添加する水4は、水圧1MPaで表1に示す量の水量を使用した。圧縮空気の総量は、表1に示す量とした。コンクリートの吹付けを行い、粉塵量、リバウンド率、及び圧縮強度を測定し、施工性と急結性の評価を行った。結果を表1に併記する。
なお、比較のため、合流管3の先20cmで水を添加した比較例、粉体急結材100質量部に対する50質量部の水をコンクリート1に予め添加した比較例、コンクリート1の水220kg/m3を水4として予め添加した比較例も同様に行った。結果を表1に併記する。
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント、ブレーン比表面積値3,200cm2/g、比重3.15
細骨材:新潟県姫川産川砂、表面水率5.0%、比重2.62
粗骨材:新潟県姫川産川砂利、表乾状態、比重2.65、最大寸法13mm
カルシウムアルミネート類:C127組成に対応するもの、非晶質、ブレーン値6,500cm2/g
石膏:市販無水石膏粉砕品、ブレーン値5,900cm2/g
アルカリ金属アルミン酸塩:アルミン酸ナトリウム、市販品、強熱減量2.1%、90%粒子径0.2mm
炭酸アルカリ:炭酸ナトリウム、市販品
芳香族スルホン酸類:ビスフェノールAスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(主成分ビスフェノールスルホン酸ポリマー)市販品、日本製紙(株)「ビスパーズP215」、重量平均分子量20000
PAO:ポリエチレンオキサイド、重量平均分子量200万、市販品
<評価方法>
粉塵量:吹付け10分後に吹付け場所より3mの定位置で測定。
リバウンド率:調製した急結性コンクリートを10m3/hの吹付け速度で1m3吹付けし、吹付け終了後、付着せずに床面に敷いたビニールシートに落下した急結性コンクリートの量を測定し、リバウンド率=(吹付けの際に付着せずに落下した急結性コンクリートの質量)/(吹付けに使用した急結性コンクリートの総質量)×100(%)の式から算出。
輸送性:急結性コンクリートの輸送状況を観察した。合流管や輸送管が詰まらない場合を○、合流管や輸送管が詰まり気味であるが急結性コンクリートが断続的に排出される場合を△、合流管や輸送管が詰まって吹付けができない場合を×とした。
仕上げ面:急結性コンクリートの仕上げ面を観察した。急結性コンクリートの厚さが均一で平滑な場合を○、急結性コンクリートの仕上げ面が凸凹であるが目立たない場合を△とし、急結性コンクリートの仕上げ面の凸凹が目立つ場合を×とした。
圧縮強度:材齢1時間と1日の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から急結性コンクリートで被覆し、型枠の裏面よりピンを引き抜き、そのときの引き抜き強度を求め、圧縮強度=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から算出、また、材齢7日と28日の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に急結性コンクリートを吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定。
表1によれば、本発明により、粉塵低減効果、リバウンド率低減効果、輸送性、仕上げ
面が向上し、また、初期強度、長期強度が増進するという効果を奏する。例えば、水4を合流管3の手前の位置ではなく、合流管3の先の位置で添加した場合(実験No.1−13)、本発明の効果を奏しなかった。
実験例2
粉体急結材(カルシウムアルミネート類100質量部、表2に示す量の石膏、アルカリ金属アルミン酸塩30質量部、炭酸アルカリ30質量部)100質量部、水量50質量部、圧縮空気の総量12m3/分としたこと以外は、実験例1と同様にコンクリートの吹付けを行い、凝結時間、圧縮強度を測定した。結果を表2に併記する。
<評価方法>
凝結時間:土木学会基準「吹付けコンクリート用急結剤品質規格(JSCED−102)」に準じて測定した。
表2によれば、本発明の石膏を適量使用することにより、凝結性、初期強度、長期強度が増進するという効果を奏する。
実験例3
粉体急結材(カルシウムアルミネート類100質量部、石膏35質量部、アルカリ金属アルミン酸塩30質量部、炭酸アルカリ30質量部、表3に示す量の芳香族スルホン酸類)100質量部、水量50質量部、圧縮空気の総量12m3/分とし、コンクリート側に表3に示す量のPAOを使用したこと以外は、実験例1と同様にコンクリートの吹付けを行い、粉塵量、リバウンド率、及び圧縮強度を測定し、施工性と急結性の評価を行った。結果を表3に併記する。
表3によれば、本発明の芳香族スルホン酸類やPAOを使用することにより、粉塵低減効果、リバウンド率低減効果、輸送性、仕上げ面が向上し、また、初期強度、長期強度が増進するという効果を奏する。
本発明に係る急結性コンクリートの吹付け装置の一構成例を示す模式図である。
符号の説明
1 コンクリート
2 輸送管
3 合流管
3a 枝管
4 水
5 粉体急結材
6 ノズル
7 輸送管

Claims (10)

  1. 予め水を混練してなるコンクリートを輸送し、該コンクリートに下記(1)〜(3)を含有してなる粉体急結材を供給して急結性コンクリートとし、ノズルより吹付けることを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法において、粉体急結材を供給する手前で該コンクリートにさらに水を添加することを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法。
    (1)カルシウムアルミネート類100質量部
    (2)石膏20〜150質量部
    (3)アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部
  2. 粉体急結材が(4)アルカリ金属炭酸塩を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  3. 粉体急結材が(5)芳香族スルホン酸類を含有してなることを特徴とする請求項1又は請求項2のうちの一項に記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  4. コンクリートが(6)ポリエチレンオキサイドを含有してなることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちの一項に記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  5. 予め水を混練してなるコンクリートに添加する水量が粉体急結材100質量部に対して20〜200質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちの一項に記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  6. ノズルまで空気輸送する圧縮空気の総量が、大気圧換算値で5〜30m3/分であることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちの一項に記載の急結性コンクリートの吹付け方法。
  7. 予め水を混練してなるコンクリートを輸送し、該コンクリートに粉体急結材を供給して急結性コンクリートとし、ノズルより吹付けることを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法において、粉体急結材を供給する手前で該コンクリートにさらに水を添加することを特徴とする急結性コンクリートの吹付け方法に用いる、下記(1)〜(3)を含有してなる粉体急結材。
    (1)カルシウムアルミネート類100質量部
    (2)石膏20〜150質量部
    (3)アルカリ金属アルミン酸塩10〜50質量部
  8. 粉体急結材が(4)アルカリ金属炭酸塩を含有してなる請求項7の粉体急結材。
  9. 粉体急結材が(5)芳香族スルホン酸類を含有してなる請求項7又は請求項8のうちの一項に記載の粉体急結材。
  10. コンクリートが(6)ポリエチレンオキサイドを含有してなることを特徴とする請求項7〜請求項9のうちの一項に記載の粉体急結材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014080337A (ja) * 2012-10-17 2014-05-08 Kao Corp コンクリートのポンプ圧送方法

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