JP4020448B2 - 吹付工法 - Google Patents

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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、鉄道、及び導水路等のトンネルにおいて露出した地山面へ吹付ける吹付材料及びそれを用いた吹付工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネル掘削等露出した地山の崩落を防止するために急結剤をコンクリートに混合した急結性コンクリートの吹付工法が行われている(特公昭52−4149号公報)。
この工法は、通常、掘削工事現場に設置した、セメント、骨材、及び水の計量混合プラントで吹付コンクリートを作り、それをアジテータ車で運搬し、コンクリートポンプで圧送し、途中に設けた合流管で、他方から圧送した急結剤と混合し、急結性吹付コンクリートとして地山面に所定の厚みになるまで吹付ける工法である。この工法では、地山に付着せずに落下する量と吹付ける量との割合であるリバウンド(跳ね返り)率が15〜30重量%と大きく、又、粉塵も多く作業環境が悪いために塵肺等の影響が心配されていた。そのために、リバウンド率や粉塵のより少ない工法が求められていたが、現状では未だ充分満足できる吹付材料や吹付工法がなく、その改良が強く望まれていた。
【0003】
又、従来より使用されている急結剤を含有したコンクリートは、急結剤を含有していないコンクリートと比較して初期強度の立ち上がりは良好であるが、長期強度は急結剤を含有していないコンクリートよりも30〜50%位小さくなる等強度発現性が悪くなる傾向があった。
それでも、その初期強度は、従来のNATM工法において地山の崩落を防止するのにほとんどの場合において充分な強度であり、かなり不安定な地山においては、吹付け厚さを大きくすること等により対処されてきた。
しかしながら、吹付け厚さを大きくすることは経済性や作業効率性の点で好ましくない。特に、大断面トンネルの掘削においては、経済性や作業効率性を考慮すれば、吹付コンクリートの強度を向上することによって、吹付け厚みを小さくし、施工時間や掘削サイクルを短縮することが特に重要なポイントとなった。
【0004】
これまでに、吹付コンクリートの高強度化を達成するための方法としては、セッコウとカルシウムアルミネートを予め混合した急結剤を、吹付コンクリートと混合し吹付ける方法が提案されている(特開昭50−16717号公報、特開昭50−16718号公報、及び特開昭50−25623号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では、セッコウとカルシウムアルミネートを混合した急結剤をセメント100重量部に対して10重量部以上、より高い急結力や高い初期強度を必要とする場合は20重量部以上と多く添加する必要があった。そのために、吹付け途中で作業を中断して急結剤を追加する必要が生じたり、粉塵の発生量が多くなったり、及び吹付け作業中に急結剤がなくなったりした場合には、コンクリートが落下して危険になり、作業性、安全衛生、及び経済性の点で問題が生じるという課題があった。
又、セッコウとカルシウムアルミネートを混合した急結剤は、セッコウ中に含有する水分や遊離SO3 とカルシウムアルミネート表面で反応するために、反応性が小さくなると考えられる。その結果、貯蔵期間が長くなるにつれ急結力が低下して、トンネル天場から吹付コンクリートが落下したり、湧水がある場合は吹付コンクリートが付着しなかったり、及びリバウンド率が多くなったりする等の課題があった。
【0006】
本発明者は、吹付けコンクリートに高強度を付与する際の課題を種々検討した結果、セメントとセッコウを予め混合した吹付材料を使用し吹付けを行うことにより、長期強度が向上し、前記課題が解決できる知見を得て本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(a)セメント100部セッコウ20〜25部、水40〜50部を混合してなるセメントモルタルを圧送し、途中で、(b)カルシウムアルミネート100重量部とセッコウ80〜150重量混合してなる急結剤を、セメント100重量部に対して、5〜15重量部添加して吹付けることを特徴とする湿式吹付工法であり、カルシウムアルミネートと、アルミン酸アルカリ塩及び/又はアルカリ炭酸塩を主成分とする急結剤を使用することを特徴とする該吹付工法であり、さらに、凝結遅延剤、凝結促進剤、減水剤、超微粉、及び繊維状物質からなる群より選ばれた1種又は2種以上の混和材を含有してなることを特徴とする該吹付工法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明で使用するセメントとしては、通常市販されている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各種ポルトランドセメント、これらのポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等を混合した各種混合セメント、並びに、市販の微粒子セメント等が挙げられ、各種ポルトランドセメントや各種混合セメントを微粉末化して使用することも可能である。
【0010】
本発明で使用するセッコウとは、吹付コンクリートを高強度化するためにセメントと混合するものであり、無水セッコウ、半水セッコウ、及び二水セッコウ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。これらの中では、強度発現性の点から無水セッコウが好ましい。セッコウの粒度は、通常セメント等に使用される程度が良く、例えば、ブレーン値で3000cm2/g 程度が好ましく、さらに3000cm2/g を越える程度に微粉末化することがより好ましい。
本発明では急結力を得るために、セメントとセッコウを混合した混合物(以下セメントモルタルという)と、カルシウムアルミネートとセッコウを混合した急結剤とを混合する。
本発明で使用するセメントモルタルとは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリートを総称するものをいい、水と混合しない乾燥状態のドライセメントモルタルに水を後添加したものや、水と混合したセメントモルタルいずれも使用可能である。
【0011】
セメントモルタル側へ添加するセッコウの使用量は、セメント100重量部に対して、〜25重量部であり、5〜20重量部がより好ましい。1重量部未満では長期強度発現性がなく、25重量部を越えると初期凝結が遅れ、地山に対する接着性が低下したり、長期間にわたりコンクリートが膨張して破壊したりするおそれがある。又、急結剤側へ添加するセッコウの使用量は、カルシウムアルミネート100重量部に対して、50〜200重量部が好ましく、80〜150重量部がより好ましい。50重量部未満では効果がなく、200重量部を越えると、急結性が低下するおそれがある。
【0012】
セメントモルタルと急結剤が混合した場合の合計のセッコウの使用量は、セメント100重量部に対して、〜40重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましい。重量部未満では強度発現が期待できず、40重量部を越えるとコンクリートが膨張して破壊するおそれがある。
【0013】
本発明で使用する急結剤は、カルシウムアルミネートとセッコウを主成分とするものである。本発明では、セメントとセッコウを混合したセメントモルタルを使用することにより、カルシウムアルミネートとセッコウを混合した急結剤の使用量を減らすことができる。
本発明で使用するカルシウムアルミネートとは、CaO原料やAl2 3 原料等を混合したものを、キルンで焼成したり、電気炉で溶融したりする等の熱処理をして得られるものをいい、初期にコンクリートの凝結を起こさせる急結成分である。
カルシウムアルミネートの鉱物成分としては、CaOをC、Al2 3 をAとすると、C3 A、C127 、CA、及びCA2 等で示されるカルシウムアルミネート熱処理物を粉砕したもの等が挙げられる。さらに、その他の鉱物成分として、SiO2 を含有するアルミノケイ酸カルシウム、C127 の1つのCaOをCaF2 等のハロゲン化物で置き換えたC117 ・CaX2 (Xはフッ素等のハロゲン化物)、SO3 成分を含むC43 ・SO3 、アルミナセメント、並びに、ナトリウム、カリウム、及びリチウム等のアルカリ金属が一部固溶したカルシウムアルミネート等が挙げられる。これらの中では、反応活性の点で、C127 組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。
カルシウムアルミネートの粒度は、急結性や初期強度発現性の点で、ブレーン値で3000cm2/g 以上が好ましく、4000cm2/g 以上がより好ましい。3000cm2/g 未満だと急結性や初期強度発現性が低下するおそれがある。
カルシウムアルミネートの使用量は、セメント100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。1重量部未満では初期凝結が起こらず、20重量部を越えると長期強度発現性を阻害するおそれがある。
【0014】
本発明では、初期凝結や初期強度の向上の点で、カルシウムアルミネートとセッコウを主成分とする急結剤に、アルミン酸アルカリ塩やアルカリ炭酸塩を併用することが好ましい。
【0015】
本発明で使用するアルミン酸アルカリ塩とは、初期凝結を促すものであり、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、及びアルミン酸カリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用可能である。
アルミン酸アルカリ塩の使用量は、カルシウムアルミネート100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、2〜25重量部がより好ましい。0.1重量部未満では効果がなく、50重量部を越えると長期強度発現性を阻害するおそれがある。
【0016】
本発明で使用するアルカリ炭酸塩とは、初期の強度を向上させるものであり、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用可能である。
アルカリ炭酸塩の使用量は、カルシウムアルミネート100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、0.5〜50重量部がより好ましい。0.1重量部未満では効果がなく、200重量部を越えると長期強度が低下する場合がある。
なお、急結力向上の点で、アルカリ炭酸塩とアルミン酸アルカリ塩を併用することが好ましい。
【0017】
本発明で使用する急結剤の使用量は、セメント100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。1重量部未満では初期凝結が起こりにくく、20重量部を越えると長期強度発現性を阻害するおそれがある。
【0018】
本発明では、さらに、吹付材料の特性向上の点で、凝結遅延剤、凝結促進剤、減水剤、超微粉、及び繊維状物質からなる群より選ばれた1種又は2種以上の混和材を併用することが好ましい。
【0019】
凝結遅延剤は、セメントモルタルの凝結時間を遅延させるものをいい、有機酸類やアルカリ炭酸塩等が挙げられる。
【0020】
有機酸類としては、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、及びこれらの塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用可能である。これらの中では、強度発現性を阻害しにくい点でクエン酸が好ましい。
有機酸類の使用量は、セメント100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましい。0.01重量部未満では効果がなく、3重量部を越えると硬化が遅延しすぎて硬化不良となるおそれがある。
【0021】
アルカリ炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウム等挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用可能である。
アルカリ炭酸塩の使用量は、セメント100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。0.01重量部未満では効果がなく、10重量部を越えると硬化が遅延しすぎて硬化不良となるおそれがある。
【0022】
さらに、セメントモルタルの凝結を遅延させた後の強度向上を良好にする点で、有機酸とアルカリ炭酸塩を混合することが好ましい。この場合のアルカリ炭酸塩の使用量は、有機酸100重量部に対して、10〜1000重量部が好ましく、50〜700重量部がより好ましい。10重量部未満では効果がなく、1000重量部を越えると硬化が遅延しすぎて硬化不良となるおそれがある。
有機酸とアルカリ炭酸塩の混合物の使用量は、セメント100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。0.01重量部未満では効果がなく、10重量部を越えると硬化が遅延しすぎて硬化不良となるおそれがある。
【0023】
凝結促進剤は、初期凝結を促進するものをいい、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、消石灰、及び明ばん等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用可能である。
凝結促進剤の使用量は、セメント100重量部に対して、0.05〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。0.05重量部未満では効果がなく、20重量部を越えると長期強度発現性が向上しないおそれがある。
【0024】
減水剤はセメントモルタルの流動性を改善するために使用するものであり、液状のものや粉状のものいずれもが使用可能であり、ポリオール誘導体、リグニンスルホン酸塩又はその誘導体、及び高性能減水剤等が挙げられる。高強度発現性を付与する点から高性能減水剤が好ましい。高性能減水剤により、吹付け厚さを小さくでき、急結力も向上するために、急結剤の使用量を少なくすることができる。又、粉塵の発生量やリバウンド率も小さくできるため、効率よく吹付け作業を行うことができる。
高性能減水剤としては、アルキルアリルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、及びメラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、並びに、ポリカルボン酸系高分子化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用可能であり、液状又は粉状どちらでも使用可能である。
高性能減水剤の使用量は、固形分としてセメント100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。0.05重量部未満では効果がなく、5重量部を越えるとセメントモルタルの粘性が強すぎ、作業性が低下する場合がある。
【0025】
超微粉とは平均粒径10μm以下のものをいい、セメント量や粉塵量の低減とコンクリートの圧送性の向上を可能にするものである。超微粉としては、微粉スラグ、フライアッシュ、ベントナイト、カオリン、及びシリカフューム等が挙げられる。これらの中では、強度発現性の点でシリカフュームが好ましい。
超微粉の使用量は、セメント100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。1重量部未満では効果がなく、100重量部を越えると凝結や硬化が遅くなるおそれがある。
【0026】
繊維状物質は、無機質や有機質いずれもが使用可能であり、吹付コンクリートの耐衝撃性や弾性を向上させるものである。無機質の繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、石綿、セラミック繊維、及び金属繊維等が挙げられ、有機質の繊維としては、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、パルプ、麻、木毛、及び木片等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用可能である。これらの中では、経済性の点で、金属繊維やビニロン繊維が好ましい。
繊維状物質の長さは、圧送性や混合性等を考慮すると100mm以下が好ましく、0.5〜60mmがより好ましい。0.5mm未満だと効果がなく、100mmを越えると圧送中に吹付コンクリートが閉塞するおそれがある。
繊維状物質の使用量は、セメント100重量部に対して、0.5〜7重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。0.5重量部未満では効果がなく、7重量部を越えると強度発現性を阻害するおそれがある。
【0027】
水の使用量は、セメント100重量部に対して、35〜60重量部が好ましく、40〜50重量部がより好ましい。35重量部未満だとミキサーで混練りできず、60重量部を越えると強度が得られないために、急結剤の使用量が多くなりコスト高になるおそれがある。
【0028】
本発明で使用される粗骨剤や細骨材等の骨材は吸水率が低くて、骨材強度が高いものが好ましいが、特に制限されるものではない。
粗骨材としては最大直径20mm以下のものが好ましく、ポンプ圧送性を考慮すると最大直径5〜15mmのものがより好ましい。
細骨材としては最大直径5mm以下のものが好ましく、川砂、山砂、石灰砂、及び珪砂等が挙げられる。
【0029】
混合方法としては、予め、セメントに特定量のセッコウを混合しておく方法や、コンクリート混練時にセッコウを添加する方法等が挙げられる。さらに、JISで規定されているセメント中の三酸化硫黄(SO3 )の含有率は3.0〜4.5重量%程度なので、セメント製造工場でセメント製造時に、このJISの規定値を越える量のセッコウを混合する方法も挙げられる。
【0030】
本発明の吹付工法では、要求される物性、経済性、及び施工性等から、セメントを含有するドライセメントモルタル、セメントと水を含有するセメントモルタル、又はこれらのペーストやコンクリートとして吹付作業を行うことができ、乾式吹付法や湿式吹付法いずれもが使用できる。
乾式吹付法としては、セメント、セッコウ、急結剤、及び必要に応じて骨材を混合し、空気圧送し、途中で、例えばY字管の一方から水を添加して、湿潤状態で吹付ける方法や、セメントと、必要に応じて骨材とを混合して空気圧送し、途中でセッコウ、急結剤、及び水の順に吹付材料を添加し、湿潤状態で吹付ける方法等が挙げられる。
湿式吹付法としては、セメント、セッコウ、水、及び必要に応じて骨材を混合して混練し、空気圧送し、途中で、例えば、Y字管の一方から急結剤を添加して吹付ける方法等が挙げられる。
【0031】
凝結促進剤、凝結遅延剤、超微粉、及び繊維状物質はセメントモルタル側や急結剤側のどちら側にも混合でき、一方側のみに使用しても良く、両側に併用してもよいが、強度向上、リバウンド防止、及び凝結コントロールの点で、セメントモルタル側に添加することが好ましい。最終的にこれらの材料が混合された吹付コンクリートが吹付けられれば問題はない。
本発明の吹付工法においては、従来使用の吹付設備等が使用できる。通常、吹付圧力は3〜5kg/cm2、吹付速度は4〜20m3/hである。
吹付設備は吹付が十分に行われれば、特に限定されるものではなく、例えば、コンクリートの圧送にはアリバー社商品名「アリバー280」等が、急結剤の圧送には急結剤圧送装置「ナトムクリート」等が使用できる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0033】
(実施例1)
各材料の単位量をセメント400kg/m3 、細骨材1055kg/m3 、粗骨材713kg/m3 、及び水200kg/m3 とし、セメント100重量部に対して、セッコウ10重量部を混合して吹付コンクリートとした。これをコンクリート圧送機「アリバ−280」を用いて圧送し、途中に設けたY字管の一方より、カルシウムアルミネート100重量部と表1に示す量のセッコウを混合した急結剤を、急結剤添加機「デンカナトムクリート」により、セメント100重量部に対して10重量部となるように圧送、合流混合して急結性吹付コンクリートとした。
この急結性吹付コンクリートを吹付速度4m3/hの条件で型枠に吹付け、各材令の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
(使用材料)
セメント:市販の普通ポルトランドセメント、比重3.16
セッコウ:市販の無水セッコウの粉砕品、ブレーン値5400cm2/g
細骨材:新潟県姫川産砂、表面水5%、最大直径5mm以下、比重2.61
粗骨材:新潟県姫川産砂利、表乾状態、最大直径15mm以下、比重2.65
カルシウムアルミネート:主成分C127 、ブレーン値6000cm2/g 、比重2.90
【0035】
(測定方法)
圧縮強度:調製した吹付コンクリートを、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠と幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に吹付けした。
材齢3時間以下はプルアウト型枠の供試体を使用して測定した。プルアウト型枠表面からピンを吹付コンクリートで被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体表面積)の式から圧縮強度を算出した。
材齢1日以降は幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠から採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
【0036】
【表1】
Figure 0004020448
【0037】
(実施例2)
セメント100重量部と表2に示す量のセッコウを混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート100重量部とセッコウ100重量部を混合した急結剤を、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004020448
【0039】
(実施例3)
カルシウムアルミネート100重量部、セッコウ100重量部、及び表3に示す量のアルミン酸アルカリ塩とアルカリ炭酸塩を混合した急結剤を、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0040】
(使用材料)
アルミン酸アルカリ塩:市販のアルミン酸ナトリウム
アルカリ炭酸塩:市販の炭酸ナトリウム
【0041】
【表3】
Figure 0004020448
【0042】
(実施例4)
カルシウムアルミネート100重量部、セッコウ100重量部、及びアルミン酸アルカリ塩10重量部を混合した急結剤を、セメント100重量部に対して表4に示す量を混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
Figure 0004020448
【0044】
(実施例5)
セメントの単位量を変更することにより、水の使用量をセメント100重量部に対して表5に示す重量部にして吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート100重量部、セッコウ100重量部、及びアルミン酸アルカリ塩10重量部を混合した急結剤を、セメント100重量部に対して10重量部使用して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。吹付コンクリートについては、混練り直後のスランプを測定した。結果を表5に示す。
(測定方法)
スランプ:JIS A 1101に準じて測定した。
【0045】
【表5】
Figure 0004020448
【0046】
(実施例6)
各材料の単位量を実施例1と同様にし、セメント100重量部とセッコウ10重量部を混合してドライコンクリートを調製し、ベルトコンベアで吹付機に搬入した。
一方、カルシウムアルミネート100重量部、セッコウ100重量部、及びアルミン酸アルカリ塩10重量部を混合した急結剤を、ドライコンクリート中のセメント100重量部に対して10重量部になるように、ベルトコンベア上でドライコンクリートに添加した。
急結剤を添加したドライコンクリートを吹付機から空気圧送し、Y字管により水をセメント100重量部に対して47部となるように添加し、乾式吹付施工を実施した。
その結果、配管の閉塞等のトラブルもなく吹付施工を実施することができた。その時の材齢1時間と28日の圧縮強度はそれぞれ3.0 N/mm2、59.2N/mm2 であった。
【0047】
尚、比較のために、カルシウムアルミネート100重量部とアルミン酸アルカリ塩10重量部からなる急結剤を使用したこと以外は、実施例6と同様に行ったところ、材齢1時間と28日の圧縮強度はそれぞれ3.9 N/mm2、57.0N/mm2 であり、急結剤にセッコウを添加した方が長期強度は良好であった。
【0048】
(実施例7)
セメント100重量部、セッコウ10重量部、及び表6に示す量の凝結遅延剤と凝結促進剤を混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート100重量部、セッコウ100重量部、及びアルミン酸ナトリウム10重量部を混合した急結剤を、セメント100重量部に対して10重量部を混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に湿式吹付施工を実施した。結果を表6に示す。
【0049】
(使用材料)
凝結遅延剤▲1▼:有機酸類、クエン酸、
凝結遅延剤▲2▼:炭酸アルカリ塩、炭酸ナトリウム、
凝結遅延剤▲3▼:炭酸アルカリ塩、重炭酸ナトリウム
凝結促進剤a:消石灰
凝結促進剤b:明ばん
【0050】
【表6】
Figure 0004020448
【0051】
(実施例8)
セメント100重量部、セッコウ10重量部、及び表7に示す量の高性能減水剤と超微粉を混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート100重量部、セッコウ100重量部、及びアルミン酸ナトリウム10重量部を混合した急結剤を、セメント100重量部に対して10重量部を混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に湿式吹付施工を行った。結果を表7に示す。
【0052】
(使用材料)
減水剤A:市販高性能減水剤、主成分ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩のホルマリン縮合物
減水剤B:市販高性能減水剤、主成分ポリカルボン酸ナトリウム塩
超微粉α:市販の高炉スラグの粉砕品、平均粒径10μm以下
超微粉β:市販のシリカフューム、平均粒径4μm
超微粉γ:市販のカオリン、平均粒径10μm以下
【0053】
(測定方法)
リバウンド率:急結性吹付コンクリートを4m3/hの吹付速度で30分間高さ3.5m、幅2.5mの模擬トンネルに吹付けた。吹付け終了後、付着せずに落下した吹付コンクリートの量を測定し、(リバウンド率)=(吹付けの際に模擬トンネルに付着せずに落下した吹付コンクリートの重量)/(吹付けに使用した吹付コンクリートの重量)×100(%)の式から算出した。
【0054】
【表7】
Figure 0004020448
【0055】
(実施例9)
セメント100重量部、セッコウ10重量部、及び表8に示す量の繊維状物質を混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート100重量部、セッコウ100重量部、及びアルミン酸ナトリウム10重量部を混合した急結剤を、セメント100重量部に対して10重量部を混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に湿式吹付施工を実施した。結果を表8に示す。
【0056】
(使用材料)
繊維状物質i:市販のビニロン繊維、繊維長30mm
繊維ii:市販の鋼繊維、繊維長30mm
【0057】
【表8】
Figure 0004020448
【0058】
【発明の効果】
本発明の吹付材料を使用することにより、初期と長期の強度発現性を大幅に向上できる。又、セメントモルタル側にセッコウを添加させることにより、カルシウムアルミネートとセッコウを混合した急結剤の使用量を減らすことができ、品質低下を防ぐことが可能となる。従って、作業性や品質の安定化に大きく寄与でき、従来の吹付け厚さより小さくすることが可能であり、従来以上に安定した吹付コンクリートを提供することが可能となる。さらに、施工コストの削減や施工スピードの短縮化も実現可能となる。

Claims (3)

  1. (a)セメント100部セッコウ20〜25部、水40〜50部を混合してなるセメントモルタルを圧送し、途中で、(b)カルシウムアルミネート100重量部とセッコウ80〜150重量混合してなる急結剤を、セメント100重量部に対して、5〜15重量部添加して吹付けることを特徴とする湿式吹付工法。
  2. カルシウムアルミネート、セッコウ、並びに、アルミン酸アルカリ塩及び/又はアルカリ炭酸塩を主成分とする急結剤を使用することを特徴とする請求項1記載の湿式吹付工法
  3. さらに、凝結遅延剤、凝結促進剤、減水剤、超微粉、及び繊維状物質からなる群より選ばれた1種又は2種以上の混和材を含有してなることを特徴とする請求項1又は2記載の湿式吹付工法
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