JP4160496B2 - 急結性吹付セメントコンクリートの混合方法 - Google Patents

急結性吹付セメントコンクリートの混合方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、道路、鉄道及び導水路等のトンネルにおいて、露出した地山面へ吹付ける時に使用する急結性吹付セメントコンクリートとその混合方法に関する。
従来、トンネル掘削等露出した地山の崩落を防止するために急結材をコンクリートに配合した急結性吹付コンクリートの吹付工法が行われている(特許文献1)。
この吹付工法は、通常、掘削工事現場に設置した計量混合プラントで、セメント、骨材、及び水を混合して吹付コンクリートを調製し、アジテータ車で運搬し、コンクリートポンプで圧送し、その途中に設けた合流管で、他方から圧送した急結材と混合し、急結性吹付コンクリートとして地山面に所定の厚みになるまで吹付ける工法である。この吹付工法で使用する急結材としては、カルシウムアルミネートに、アルカリ金属アルミン酸塩やアルカリ金属炭酸塩等を混合したものが使用されていた。
この急結性吹付コンクリートは、凝結が速く、コンクリートが速やかに硬化するので、崩落の危険がある地山面を保護できるが、材齢28日後の長期強度は、急結材を添加しない吹付コンクリートと比較すると、30%前後低下するという課題があった。
このように、急結材の添加により強度低下が起こるが、比較的安定した地山では、地山を保護するのには充分な強度であり、かなり不安定な地山においては、吹付厚さを厚くすることにより対処されてきた。
特公昭60−4149号公報
しかしながら、吹付厚さを大きくすることは、吹付材料の使用量が多くなるので経済的に好ましくなく、作業時間も長くなるという課題があった。
近年、大断面トンネルの施工においては、地山の露出面積が大きくなり、吹付材料の使用量も多く必要とすることから、より高い強度発現性が期待できる急結材及びそれを用いた吹付材料の需要が大きくなりつつあり、長期強度低下のない高強度の急結性吹付コンクリートが求められるようになった。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ある特定の急結材を使用し吹付けを行うことにより、上記課題を解決できる知見を得て本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、カルシウムアルミネート、セッコウ、及び粉末状アルカリ金属アルミン酸塩を含有してなり、カルシウムアルミネートとセッコウの割合が、カルシウムアルミネート40〜60重量%、セッコウ60〜40重量%であり、粉末状アルカリ金属アルミン酸塩が、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対して、10重量部未満、1重量部以上である吹付材料用急結材と、セメント及び水を混合してなるセメントコンクリートとを混合する急結性吹付セメントコンクリートの混合方法であり、該急結性吹付セメントコンクリートの湿式混合方法であり、さらに、減水剤、増粘剤、超微粉、及び繊維状物質からなる群より選ばれる一種又は二種以上の混和材を添加してなる該急結性吹付セメントコンクリートの湿式混合方法である。
本発明の混合方法により、材齢28日後の強度が低下しにくい吹付材料とすることができ、高強度化することができる。従って、不安定な地山への吹付材料として最適であり、吹付厚さを薄くできるので経済的である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明ではペースト、モルタル、及びコンクリートを総称してセメントコンクリートという。
本発明で使用するセメントとしては、通常市販されている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各種ポルトランドセメント、並びに、これらのポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等を混合した各種混合セメント等が挙げられ、これらを微粉末化して使用してもよい。吹付けに要求されるリバウンド率や粉塵量の低減、圧送性、強度発現性、及び施工条件等の性能により適したセメントを選択できるが、一般的に使用できる普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントが好ましい。
又、フルオロカルシウムアルミネートを含有するフルオロセメントも使用できる。さらに、CaOをC、AlをA、SiOをS、及びFeをFとすると、CS、CS、CA、及びCAFと示されるセメント中の鉱物組成の含有量を変更して焼成したクリンカーに、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、及び硫酸ナトリウム等の硫酸塩を併用した特殊セメントも使用できる。
本発明で使用するカルシウムアルミネートとは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAlとを主たる成分とし、水和活性を有する「カルシウムアルミネート」を意味する。
カルシウムアルミネートの中では、反応活性の点で、非晶質のカルシウムアルミネートが好ましく、12CaO・7Al(C12)組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質のカルシウムアルミネートがより好ましい。
カルシウムアルミネートの粒度は、ブレーン値で5000cm/g以上が好ましい。5000cm/g未満だと急結性や初期強度発現性が低下するおそれがある。
カルシウムアルミネートの使用量は、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量%中、40〜60重量%が好ましく、45〜55重量%がより好ましい。40重重%未満だと初期凝結が遅れ、地山に対する付着性が小さくなり、60重量%を越えると長期強度発現性が小さくなるおそれがある。
本発明で使用するセッコウは、強度発現性を向上するために使用するものである。
本発明で使用するセッコウとしては、無水セッコウ、半水セッコウ、及び二水セッコウ等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用してもよい。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウ好ましい。
セッコウの粒度は、強度発現性の点で、ブレーン値で2500cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上がより好ましい。2500cm2/g未満だと強度発現性が低下するおそれがある。
セッコウの使用量は、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量%中、60〜40重量%が好ましく、55〜45重量%がより好ましい。40重量%未満だと長期強度発現性が小さく、60重量%を越えると初期凝結が遅れ、地山に対する付着性が小さくなるおそれがある。
本発明で使用するアルカリ金属アルミン酸塩(以下アルミン酸塩という)は、セメントの初期凝結を促進するもので、例えば水酸化アルミニウムとアルカリ金属水酸化物を混合溶解し、乾燥して粉末状として得られるものである。
アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸リチウム等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用してもよい。これらの中では、凝結性の点で、アルミン酸ナトリウムが好ましい。
アルミン酸塩の90%粒子径は0.3mm以下が好ましく、0.05〜0.2mmがより好ましい。0.05mm未満だと吸湿して貯蔵安定性が小さくなるおそれがあり、0.3mmを越えると急結性が低下するおそれがある。
これらのアルミン酸塩は、製造条件により無水物又はこれらに結晶水を持つもの等が調製でき、いずれも使用できるが、カルシウムアルミネートと混合したときの貯蔵安定性が向上する点で、無水物が好ましい。
特に、カルシウムアルミネートと混合したときの貯蔵安定性が向上する点で、アルミン酸塩の強熱減量が10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。10重量%を越えるとカルシウムアルミネートと混合した場合に貯蔵安定性が低下し、品質が低下するおそれがある。なお、強熱減量とは、アルミン酸塩を電気炉中で1000℃、24時間加熱し、〔1−(加熱後の重量)/(加熱前の重量)〕×100(重量%)の式から算出したものをいう。
アルミン酸塩の使用量は、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対して、10重量部未満であり、2〜6重量部が好ましい。10重量部以上だと長期強度発現性が低下するおそれがある。
本発明の吹付材料用急結材(以下急結材という)は、カルシウムアルミネート、セッコウ、及びアルミン酸塩を含有するものである。
急結材の使用量は、セメント100重量部に対して、5〜30重量部が好ましく、7〜20重量部がより好ましい。5重量部未満だと初期凝結が十分に得られないおそれがあり、30重量部を越えると、長期強度発現性が低下し、配管等が閉塞し、経済的に不利になるおそれがある。
本発明ではセメントコンクリートの凝結硬化前のスランプ等の特性や凝結硬化後の強度特性等を改善するために、減水剤、増粘剤、超微粉、及び繊維状物質からなる群より選ばれる一種又は二種以上の混和材を使用することが好ましい。
減水剤とは、セメントコンクリートの流動性や急結材の分散安定性を改善するために使用するものをいい、液状や粉状のものいずれも使用できる。減水剤としては、ポリオール誘導体、リグニンスルホン酸塩やその誘導体、及び高性能減水剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用してもよい。これらの中では、高強度発現性や分散安定性の点で、高性能減水剤が好ましい。
高性能減水剤により、急結材の使用量を少なくでき、又、粉塵の発生量、及びリバウンド率が極めて少なくできる。
高性能減水剤としては、アルキルアリルスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、及びポリカルボン酸系高分子化合物等が挙げられ、液状や粉状のいずれも使用でき、これらの一種又は二種以上を使用してもよい。これらの中では、効果が大きい点で、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、及びポリカルボン酸系高分子化合物が好ましい。
減水剤の使用量は、セメント100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部がより好ましい。0.05重量部未満では効果がなく、3重量部を越えるとセメントコンクリートの流動性は大きくなるが、セメントコンクリートに粘性を生じ、セメントコンクリートが圧送管やミキサーの回転羽根に付着して施工性が低下したり、強度が低下したりするおそれがある。
増粘剤とは、セメントコンクリートに粘性を与え、吹付直後のダレを防止し、リバウンド率を小さくし、粉塵発生を抑制するものをいう。増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルエチルセルロース等のセルロース類、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、β−1,3−グルカン、プルラン、グアガム、カゼイン、及びウェランガム等の多糖類、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、及び不飽和カルボン酸等のビニル重合体やこれらの共重合体、並びに、酢酸ビニル重合体やその共重合体をケン化しポリビニルアルコール骨格に変性したもの等のエマルジョン類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用してもよい。これらの中では、初期凝結を阻害しにくい点で、セルロース類が好ましい。
増粘剤の使用量は、セメント100重量部に対して、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.005〜0.3重量部がより好ましい。0.001重量部未満ではセメントコンクリートの粘性が小さく吹付けたときにダレが生じ、リバウンド率が大きくなり、0.5重量部を越えるとセメントコンクリートの粘性が大きくなり、セメントコンクリートの圧送性に支障を生じ、強度発現性を阻害するおそれがある。
超微粉とは平均粒径10μm以下のものをいい、セメント量、粉塵量、及びリバウンド率を少なくし、セメントコンクリートの圧送性を向上する効果がある。超微粉としては、微粉スラグ、微粉フライアッシュ、ベントナイト、メタカオリオン、及びシリカフューム等が挙げられ、これらの中では、強度発現性の点でシリカフュームが好ましい。
超微粉の使用量は、セメント100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。1重量部未満では効果がなく、50重量部を越えると凝結や硬化が遅延するおそれがある。
繊維状物質はセメントコンクリートの耐衝撃性や弾性を向上させるものであり、無機質や有機質いずれも使用できる。
無機質の繊維状物質としては、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、石綿、セラミック繊維、及び金属繊維等が挙げられ、有機質の繊維状物質としては、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、パルプ、麻、木毛、及び木片等が挙げられる。これらの中では経済性の点で、金属繊維やビニロン繊維が好ましい。
繊維状物質の長さは圧送性や混合性等の点で、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい。50mmを越えると圧送中にセメントコンクリートが閉塞するおそれがある。
繊維状物質の使用量は、セメントコンクリート100容量部中、0.5〜3容量部が好ましく、0.7〜2容量部がより好ましい。0.5容量部未満だと効果がなく、3容量部を越えると圧送性が低下し、効果がなくなるおそれがある。
さらに、本発明では、セメントコンクリートの凝結時間を遅延させるために、有機酸又はその塩、有機酸又はその塩と炭酸塩の混合物、リン酸塩、ホウ酸又はその塩、及びアルコール類等の凝結遅延剤を使用してもよい。
本発明の吹付セメントコンクリートにおける水の使用量は、強度発現性の点で、水/セメント比で35%以上が好ましく、40〜60%がより好ましい。35%未満だとセメントコンクリートが十分に混合できず、60%を越えると強度発現性が小さくなるおそれがある。
本発明で必要に応じて使用する骨材は吸水率が低くて、骨材強度が高いものが好ましく、細骨材率や骨材の最大寸法は吹付けできれば特に制限されるものではない。細骨材としては、川砂、山砂、石灰砂、及び珪砂等が使用でき、粗骨材としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が使用できる。
本発明の吹付工法においては、従来使用の吹付設備等が使用できる。本発明の吹付工法としては、要求される物性、経済性、及び施工性等に応じた種々の吹付工法が可能である。
本発明の吹付工法としては、乾式吹付工法も施工できるが、粉塵量が多くなるおそれがあるので、急結材を使用する前に予め水をセメントコンクリート側に加えて混練りした湿式吹付工法を使用することが好ましい。
湿式吹付工法としては、セメント、細骨材、粗骨材、及び水を加えて混練して吹付コンクリートとしたものを空気圧送し、途中にY字管を設け、その一方から急結材供給装置により急結材を空気圧送し、合流混合して急結性湿式吹付コンクリートとしたものを吹付ける方法が挙げられる。
混和材は、セメントコンクリート側、急結材側のどちらにも添加でき、片側のみに使用してもよく、両側に併用してもよいが、強度向上、リバウンド防止、及び凝結コントロールの点で、セメントコンクリート側に添加することが好ましい。特に単位水量を小さくし、強度発現性を向上させる点で、減水剤を予めセメントコンクリート側に添加して使用することがより好ましい。最終的にこれらの材料を混合した急結性吹付セメントコンクリートが吹付けられれば問題はない。
本発明の吹付工法においては、従来使用の吹付設備等が使用できる。通常、吹付圧力は2〜5kg/c 、吹付速度は4〜20m/hである。
吹付設備は吹付けが十分に行われれば、特に限定されるものではなく、例えば、吹付セメントコンクリートの圧送にはアリバー社商品名「アリバー280」等が、急結材の圧送には急結材圧送装置「ナトムクリート」等が、それぞれ使用できる。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
各材料の単位量を、セメント450kg/m、細骨材1002kg/m、粗骨材671kg/m、及び水225kg/mとして吹付コンクリートを調製し、これをコンクリート圧送機「アリバー280」により空気圧送した。吹付コンクリートの空気圧送の途中に設けたY字管の一方より、表1に示す量のカルシウムアルミネートとセッコウ、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して10重量部となるように、急結材添加装置「ナトムクリート」により吹付コンクリートに添加して急結性吹付コンクリートを調製した。この急結性吹付コンクリートについて評価した。結果を表1に示す。
(使用材料)
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン値3200cm/g、比重3.16
細骨材:新潟県青海産石灰砂、表面水率3.1%、比重2.64
粗骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂利、表乾状態、比重2.65、最大骨材寸法10mm
カルシウムアルミネート:12組成に対応するもの、非晶質、ブレーン値6050cm/g
セッコウa:市販無水セッコウの粉砕品、ブレーン値5900cm/g
セッコウb:市販二水セッコウの粉砕品、ブレーン値5200cm/g
硫酸塩c :市販硫酸アルミニウムの粉砕品、ブレーン値5900cm/g
アルミン酸塩:アルミン酸ナトリウム、市販品、強熱減量2.1重量%、90%粒子径0.2mm
(測定方法)
圧縮強度:材齢1時間の圧縮強度は幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から急結性吹付コンクリートで被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢1日以降の圧縮強度は幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に急結性吹付コンクリートを吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
(実施例2)
カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対して表2に示す量のアルミン酸塩からなる急結材を、セメント100重量部に対して10重量部使用して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して表3に示す量を使用して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
(実施例4)
セメント100重量部に対して、減水剤を表4に示す量混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行い、スランプを測定した。結果を表4に示す。
(使用材料)
減水剤ア:市販ナフタレンスルホン酸塩系ホルマリン縮合物
減水剤イ:市販ポリカルボン酸系高分子化合物
(測定方法〕
スランプ:JIS A 1101に準じた。
(実施例5)
セメント100重量部に対して、増粘剤を表5に示す量混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行い、粉塵量、ダレ、及び圧送性を測定した。結果を表5に示す。
(使用材料)
増粘剤i:メチルセルロース
増粘剤ii:ヒドロキシプロピルセルロース
(評価方法)
粉塵量:急結性吹付コンクリートを4m/hの吹付速度で30分間、鉄板でアーチ状に製作した高さ3.5m、幅2.5mの模擬トンネルに吹付けた。10分毎に吹付場所より 3mの定位置で粉塵量を測定し、得られた測定値の平均値を示した。
ダレ:急結性吹付コンクリートを4m/hの吹付速度で30分間、鉄板でアーチ状に製作した高さ3.5m、幅2.5mの模擬トンネルに吹付けた後の状態を観察した。ダレが生じなかったものを◎とし、ダレが少し生じたものをOとし、ダレが多く生じたものを×とした。
圧送性:急結性吹付コンクリートを4m/hの吹付速度、4kg/cmの吐出圧力で、30分間圧送管を用いて吹付け、圧送管内の圧力を測定した。圧送管内の圧力が4.0〜5.5kg/cmである場合を◎、圧送管内が閉塞しやすくなる6.0kg/cm以上になっても、圧送管に衝撃を与えることにより4.0〜5.5kg/cmになる場合を○、圧送管が閉塞し、圧送管に衝撃を与えても4.0〜5.5kg/cmとならない場合を×とした。
(実施例6)
セメント100重量部に対して、超微粉を表6に示す量混合して吹付コンクリートと、カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材とを、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行い、リバウンド率を測定した。結果を表6に示す。
(使用材料)
超微粉α:市販シリカフューム、平均粒径10μm以下
超微粉β:市販メタカオリン、平均粒径10μm以下
(測定方法)
リバウンド率:急結性吹付コンクリートを4m/hの吹付速度で30分間、高さ3.5m、幅2.5mの模擬トンネルに吹付けた。吹付終了後、付着せずに落下した急結性吹付コンクリートの量を測定し、(リバウンド率)=(吹付けの際に模擬トンネルに付着せずに落下した急結性吹付コンクリートの重量)/(吹付に使用した急結性吹付コンクリートの重量)×100(%)の式より算出した。
(実施例7)
コンクリート100容量部中表7に示す量の繊維状物質を混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行い、耐衝撃性を測定した。結果を表7に示す。
(使用材料)
繊維状物質A:ビニロン繊維、繊維長10mm
繊維物質B:スチール繊維、繊維長30mm
(評価方法)
耐衝撃性:材齢1時間後の吹付けコンクリートを幅20cm、長さ20cm、厚さ2cmの型枠に吹付けし、底面を取り外し、平らにならした標準砂の上に置き、重さ50gの球体を50cmの高さから落下させた。落下回数が5回以内でひびが入って破壊したら×、ひびは入ったが破壊しなかったらO、ひびが入らなかったら◎とした。
(実施例8)
セメント100重量部に対して、減水剤イ0.5重量部、表8に示す量の増粘剤iと超微粉α、及び、コンクリート100容量部中表8に示す量の繊維状物質Aを混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行い、スランプ、リバウンド率、及び耐衝撃性を測定した。結果を表8に示す。
(実施例9)
セメント450kg/m3、細骨材率60%、及び吹付コンクリート中の水の使用量をセメント100重量部に対して表9に示す量とし、セメント100重量部に対して、減水剤イ0.5重量部とを混合して吹付コンクリートとし、カルシウムアルミネート50重量部、セッコウa50重量部、及びカルシウムァルミネートとセッコウの合計100重量部に対してアルミン酸塩6重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は実施例1と同様に行い、スランプを測定した。結果を表9に示す。
本発明の急結材を使用することにより、材齢28日後の強度が低下しにくい吹付材料とすることができ、高強度化することができる。従って、不安定な地山への吹付材料として最適であり、吹付厚さを薄くできるので経済的である。

Claims (4)

  1. カルシウムアルミネート、セッコウ、及び粉末状アルカリ金属アルミン酸塩を含有してなり、カルシウムアルミネートとセッコウの割合が、カルシウムアルミネート40〜60重量%、セッコウ60〜40重量%であり、粉末状アルカリ金属アルミン酸塩が、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対して、10重量部未満、1重量部以上である吹付材料用急結材と、セメント及び水を混合してなるセメントコンクリートとを混合することを特徴とする急結性吹付セメントコンクリートの混合方法。
  2. カルシウムアルミネート、セッコウ、及び粉末状アルカリ金属アルミン酸塩を含有してなり、カルシウムアルミネートとセッコウの割合が、カルシウムアルミネート40〜60重量%、セッコウ60〜40重量%であり、粉末状アルカリ金属アルミン酸塩が、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100重量部に対して、10重量部未満、1重量部以上である吹付材料用急結材と、セメント及び水を混合してなるセメントコンクリートとを混合することを特徴とする急結性吹付セメントコンクリートの湿式混合方法。
  3. 前記吹付材料用急結材及び/又は前記セメントコンクリートに、さらに減水剤、増粘剤、超微粉、及び繊維状物質からなる群より選ばれる一種又は二種以上の混和材を添加することを特徴とする請求項1記載の急結性吹付セメントコンクリートの混合方法。
  4. 前記吹付材料用急結材及び/又は前記セメントコンクリートに、さらに減水剤、増粘剤、超微粉、及び繊維状物質からなる群より選ばれる一種又は二種以上の混和材を添加することを特徴とする請求項2記載の急結性吹付セメントコンクリートの湿式混合方法。
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