JP5083825B2 - 液体中プラズマ放電装置 - Google Patents

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本発明は、放電電極間の距離あたりの電圧を低く抑えて、発生させたソリューションプラズマを維持することができるソリューションプラズマ放電装置に関する。
プラズマを利用した技術の中に、液体中でプラズマを発生させて、これを工業的に応用する技術が開発されつつある。このような液体中のプラズマは、主に溶液中で利用されるので「ソリューションプラズマ」と呼ばれる。
ソリューションプラズマは、溶液中に対向するように配置された2つの電極の間に電圧を印加することにより、2つの電極間に発生させることができる。発生したプラズマの周囲には気泡が発生し、その気泡がプラズマを取り囲んでおり、その気泡の周囲を溶液が取り囲んでいる。ソリューションプラズマはこのようにプラズマによる「高エネルギー状態」を溶液内に閉じ込めるという状態を実現しており、これにより周囲の気相、液相またはその界面で様々な化学反応が促進される。この化学反応による産業への応用として水処理、滅菌、廃棄物処理、新物質創製、物質の新規合成法の開発、表面改質、超高速加工、希少金属回収、超機能溶液、及び養殖等を含む生物培養等が挙げられる。
非特許文献1にはソリューションプラズマを用いた合成反応の一例が記載されている。図6はソリューションプラズマを発生させる装置121の一部を示す図である。対向する2つのワイヤ状金属電極101・101のそれぞれがホルダ110・110によって容器111に固定されている。ワイヤ状金属電極間にパルス電圧を印加することによりワイヤ状金属電極間にプラズマ113を発生させることができる。容器111には溶液112として塩化金酸水溶液が入れられており、溶液112中でプラズマ113を発生させることにより、溶液112中の金を還元し直径10〜15nmの金ナノ微粒子を生成している。
高井治、「ソルーションプラズマによるナノ微粒子合成と界面制御」、粉砕、ホソカワ粉体技術研究所、2007年12月28日、No.51、p.30−36
このようにソリューションプラズマを用いると、様々な化学反応を促進することができるが、その反応は印加電圧、電流、電極の条件(材料)、溶液の条件(成分、導電率等)等により様々に変化する。ただし、望みの反応を安定して継続させるためには、発生したプラズマ状態を安定して維持・制御する必要がある。そしてプラズマ状態を維持・制御するために、プローブ計測法またはスラブ光導波路分光法等によるプラズマ状態の観測が必要となる。
プローブ計測法とは、プラズマの近傍に測定電極を挿入し、微小の直流電圧を印加することにより計測する計測法である。印加電圧を変化させると測定電極の電流が、周りに存在する電子やイオンの分布密度により変化する。この電圧−電流特性から様々な物理量を定量化することができる。
スラブ光導波路分光法とは、光導波路を通過した白色光の吸収スペクトルを観測することにより、光導波路に接した溶液の状態を観測する方法である。薄い透明度の高いガラス板を導波路とし、そのガラス板の上に溶液を置く。白色光をガラス板の端から入射し他端で観測する。白色光がガラス板の界面で全反射をする際に、溶液側へエバネッセント波を発生する。このエバネッセント波を溶液中の分子が吸収することにより、他端で観測する白色光には溶液中の分子に応じた吸収スペクトルが観られる。この吸収スペクトルの変化から溶液の状態を知ることができ、プラズマ状態を間接的に観測することができる。
しかしながら、従来のソリューションプラズマ発生装置に上記のプローブ計測法またはスラブ光導波路分光法等の観測法を用いる際に下記の問題が生じる。
プローブ計測法においてプラズマの近傍に測定電極を挿入するためには、測定電極が挿入できるように、ソリューションプラズマ放電装置の放電電極間の距離を大きくしなければならない。しかし放電電極間の距離を大きくすると、プラズマの発生に必要とされる印加電圧(プラズマ放電開始電圧)が距離に応じて高くなる。図7は、図6に示す構造における放電電極間の距離とプラズマ放電開始電圧との関係を示すグラフである。電極は直径は1.0mmのタングステン電極で、溶液は導電率180μS/cmの鉱泉水を用いている。尚、プラズマ放電開始電圧は溶液の導電率によっても大きく変化し、一般に溶液の導電率が高い方がプラズマ放電開始電圧は低くなる。上記の条件において、放電電極間の距離が0.5mmである場合に、プラズマ状態の発生に約1100V程度の印加電圧が必要となるが、放電電極間の距離が大きくなるとともに必要となる印加電圧は増大する。放電電極間の印加電圧が高くなると流れる電流が大きくなるとともに周囲の電界・磁界が大きくなり、溶液中の温度上昇、電磁波ノイズの増大、及びプラズマ発光の増大につながる。また、高電圧を出力させることはソリューションプラズマ放電装置の大型化に繋がる。
スラブ光導波路分光法においては、上記の電磁波ノイズ、及びプラズマ発光が、観測のノイズ・障害となる。またさらに、放電電極間の距離あたりの電圧が高い場合、溶液の温度上昇を抑えるために多量の溶液中でプラズマを発生させることになり、プラズマ発生部と光導波路を遠ざける必要があるため、観測された結果が観測した時点でのプラズマ状態を正確に反映していないということがおこる。
また、放電電極間に電圧を印加した後のプラズマが発生する前の状態においては、印加電圧が高くなると溶液の温度上昇率は著しく大きくなる。その後、プラズマ状態が発生すると溶液の温度上昇率は大きく下がる。すなわち、放電電極間の距離が大きいと、プラズマ状態を発生させるまでに高い印加電圧が必要になるので、スラブ光導波路分光法のように少量の溶液中でプラズマを発生させる場合、溶液の温度上昇が激しく、かつ電磁波ノイズが増大することになり、安全性及び制御性の確保が困難になる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ソリューションプラズマ放電において放電電極間の距離あたりの電圧を低く抑え、プラズマ状態を安定して維持することができるプラズマ放電装置を提供することである。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置は、2つの放電電極の上部に配置された基板を備え、上記基板はその下面に、上記2つの放電電極間の放電により発生した気泡を蓄える凹部を有し、上記2つの放電電極の少なくとも一部は、上記凹部に囲まれた空間内に配置されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、ソリューションプラズマ放電において放電電極間の距離あたりの電圧を低く抑え、プラズマ状態を安定して維持することができる。そのためプラズマによる発熱、電磁波ノイズ、及びプラズマ発光の輝度を減少させることができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置では、上記2つの放電電極は、当該放電電極間距離が上記凹部に向かうにつれ広がるように配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、放電電極間の距離が短い部分で発生したプラズマが、同時に発生する気泡とともに上昇し、凹部に囲まれた空間内に位置する放電電極間の距離が長い部分へ移動し、安定化する。移動後のプラズマは、印加電圧は同じで、長い放電電極間の距離で安定化しているので、放電電極間の距離あたりの電圧を低減することができる。またプラズマが発生した後に電圧を調整する機構を必要としないので、簡易に低コストでソリューションプラズマ放電装置を構成することができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置では、上記放電電極の少なくとも1つは、放電中に当該放電電極間距離を広げられるように、位置を動かすことができる構成とすることが好ましい。
上記の構成によれば、放電電極間の距離を短く設定した状態でプラズマを発生させ、気泡が凹部に溜まった後、印加電圧を上げることなしに放電電極間の距離を長くするよう放電電極の位置を動かすことができる。そのため印加電圧は同じで、長い放電電極間の距離でプラズマが安定化しているので、放電電極間の距離あたりの電圧を低減することができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置は、上記液体を加熱し気泡を発生させるための加熱装置をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、加熱装置により液体が蒸発し、凹部に気泡が供給されるので、放電電極間を流れる電流により液体を加熱し蒸発させる必要がなく、より早くプラズマを発生させることができる。これにより放電電極間での消費電力を低減することができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置は、上記液体中で発生した上記気泡を上記凹部へ導く整流部材をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、整流部材が気泡を凹部へ誘導するため、確実に凹部に気泡をためることができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置では、上記凹部は、放電により発生する熱により高温になった上記気泡に耐える材料で構成されることが好ましい。
上記の構成によれば、ソリューションプラズマ放電装置の耐久性を高め、長い時間プラズマ状態を安定して維持することができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置では、上記凹部は、絶縁性の材料で構成されることが好ましい。
上記の構成によれば、放電電極間の放電が凹部または基板で短絡することを防ぐことができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置では、上記凹部は、セラミックで構成されてもよい。また上記凹部は、シリコンゴムで構成されてもよい。
上記の構成によれば、ソリューションプラズマ放電装置の耐久性を高め、かつ放電電極間の放電が凹部または基板で短絡することを防ぐことができるので、長い時間プラズマ状態を安定して維持することができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置は、以上のように、2つの放電電極の上部に配置された基板を備え、上記基板はその下面に、上記2つの放電電極間の放電により発生した気泡を蓄える凹部を有し、上記2つの放電電極の少なくとも一部は、上記凹部に囲まれた空間内に配置されているので、ソリューションプラズマ放電において放電電極間の距離あたりの電圧を低く抑え、プラズマ状態を安定して維持することができる。そのためプラズマによる発熱、電磁波ノイズ、及びプラズマ発光の輝度を減少させることができる。
本発明の一実施形態について図に基づいて説明すると以下の通りである。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るソリューションプラズマ放電装置21を示す断面図である。シリコンゴム製の基板2を、2つの放電電極1・1が貫通するように固定されている。2つの放電電極1・1の間隔は下部Aが狭く、上部Bに向かって広くなるように配置されている。さらに2つの放電電極1・1の上部Bは、基板2の下面に設けられた凹部3で囲まれた空間の内部にある。凹部3は耐熱性・絶縁性のあるセラミックで形成された被覆材4で覆われている。また2つの放電電極1・1のそれぞれは、シリコンゴムを貫通する部分をセラミックチューブ10・10で覆われている。基板2に固定されたこれら2つの放電電極1・1が容器11内の溶液(液体)12に浸されている。凹部3は溶液12の液面より下にある。
尚、本実施の形態では放電電極1の下部Aの放電電極間距離を0.5mm、上部Bの放電電極間距離を4〜5mm、2つの放電電極1の角度αは基板に対して78°〜85°としたが各部のサイズに限定はなく、上部Bの気泡がたまる部分での放電電極間距離が、下部Aのもっとも狭い放電電極間距離よりも広ければよい。また、放電電極1は直径が0.5〜1.0mmの棒、基板2のサイズは直径20mmの円柱状、凹部3のサイズは直径10mm深さ2.5mmの半球状としたが、各部のサイズに限定はない。放電電極は棒形状に限らない。2つの円錐形状の放電電極を平行に配置することで、下部Aの放電電極間の距離を狭く、上部Bの放電電極間の距離を広く構成してもよい。また放電電極1の固定のためにセラミックチューブ10を用いたが、なくてもよい。
また放電電極1としてはタングステン、銅、またはその他の導電性の材料を使用することができる。基板2としてはシリコンゴムの他にセラミック等の絶縁性の材料を使用することが好ましい。被覆材4としてはセラミックの他に、プラズマにより発熱した気泡の温度に耐えられる材料(例えばシリコンゴム等)を使用することができる。尚、セラミックの耐熱温度は、含有成分によって異なるが、約1500〜1900℃である。また代表的なシリコンゴムの耐熱温度は、約200℃である。また凹部3、被覆材4及び基板2は、電極間の放電を短絡しないように、絶縁性の材料で構成されることが好ましい。また被覆材4を備えず、基板2を耐熱性・絶縁性の材料で構成し、くり抜く等の加工により凹部3と基板2を同時に形成することもできる。また溶液12は、化学反応の対象となる任意の溶質の他、溶液の導電性を調整するための電解質を含んでもよい。また溶液12は溶媒自身を反応の対象とし、溶質を含まなくてもよい。
この放電電極間に約1100Vの電圧を印加すると、放電電極間の距離が短い下部(領域)Aでプラズマが発生する。発生したプラズマは同時に気泡を生じ、電圧を印加している間はプラズマ状態が気泡内部で安定化して維持される。プラズマ相の周囲を気相が取り囲み、さらにその周囲を液相が取り囲んでいる。このプラズマ状態が気体中及び溶液中の分子の各種の化学反応を促進する。
放電電極間の下部Aで発生したプラズマは気泡を発生させ続けるが、プラズマの周囲の気泡が上昇するのに伴い、プラズマが徐々に上部Bへ移動する。そして上部Bを含む凹部3に気泡がたまってゆき、最終的に上部Bで電極間の放電がつながったプラズマ状態が安定化する。放電電極間の距離が短い下部Aではなく、放電電極間の距離が長い上部Bでプラズマ状態が安定化する理由は、溶液12よりもプラズマ化したプラズマ相の方が電気抵抗が小さいためである。
本実施の形態では、放電電極間の距離が長い上部Bの位置に気泡をためる凹部3を設けることで、印加電圧を上げることなく、放電電極間の距離が最小である下部Aでの距離よりも長い距離でプラズマを維持することを可能としている。そしてこれは放電電極間の距離あたりの電圧を下げることになり、流れる電流を減少させる。そのためプラズマによる発熱、電磁波ノイズ、及びプラズマ発光の輝度を減少させることができる。また消費電力も低減することができる。
尚、上部Bでプラズマ状態が安定した後に放電電極間の印加電圧を下げることもできる。これにより、さらに流れる電流を減少させ、プラズマによる発熱、電磁波ノイズ、プラズマ発光の輝度、及び消費電力を低減することができる。例えば、下部Aの放電電極間の距離が0.5mm、上部Bの放電電極間の距離が4mm、開始時の印加電圧が1100Vである場合に、上部Bでプラズマ状態が安定した後、放電電極間の印加電圧を900Vにまで下げてもプラズマ状態を維持することができた。
これらの効果により、例えばスラブ光導波路分光法によってプラズマ状態を観測する場合において、電磁波ノイズまたはプラズマ発光によるノイズを低減することができる。また発熱が少なくなるため少量の溶液中でプラズマ発光を維持し続けることができ、スラブ光導波路分光法の観測に適している。また放電電極間の距離が長くプラズマ状態の領域が広いので、プローブ計測法を用いてプラズマ状態を観測する場合において、測定電極をプラズマ状態の領域に挿入することが容易になる。また、電極の配置を変更し上部Bの距離を様々に変更することで、放電電極間の距離あたりの電圧を調整することができるので、物質合成または液体処理等への利用において、発生するプラズマ状態の条件の選択肢を増やすことができる。
[実施の形態2]
図2は本発明の実施の形態2に係るソリューションプラズマ放電装置22を示す断面図である。実施の形態1と同一の構成のものは同じ符号を付しその説明を省略する。凹部3は四角形状の断面をもち、放電電極1aは基板2に対して垂直に固定され凹部に挿入されている。一方、放電電極1bは基板2に対して水平に固定され凹部に挿入されている。放電電極1bは水平方向に位置を動かすことができ、放電電極1aとの距離を調整できるようになっている。放電電極1bは水平に容器11を貫通するように配置されているので、溶液が漏れないようにシールされている。
放電電極1bを放電電極1aに近づけた状態で、これらの放電電極間に電圧を印加すると、領域Cでプラズマが発生する。プラズマにより発生した気泡は領域Cを含む凹部3を満たしてゆく。その後、放電電極1bを放電電極1aから遠ざけると、領域Cはすでに気泡で満たされているため、プラズマ状態を維持したまま放電電極間の距離を長くすることができる。
すなわち実施の形態1と同様に、印加電圧を上げることなく、プラズマ状態を維持したまま放電電極間の距離を長くすることができる。そしてこれは放電電極間の距離あたりの電圧を下げることになり、流れる電流を減少させる。そのためプラズマによる発熱、電磁波ノイズ、及びプラズマ発光の輝度を減少させることができる。
[実施の形態3]
図3は本発明の実施の形態3に係るソリューションプラズマ放電装置23を示す断面図である。実施の形態1と同一の構成のものは同じ符号を付しその説明を省略する。凹部3は四角形状の断面をもち、2つの放電電極1c・1cは、容器11の下面を貫通し互いに平行になるよう凹部3に挿入されている。2つの放電電極1c・1cは容器11を貫通する部分を絶縁性のチューブ10で覆われている。そして2つの放電電極1c・1cはチューブ10から露出した部分(中間部D)でそれぞれ反対側に曲げられており、中間部Dの放電電極間の距離は小さく、凹部3で囲まれた内部にある上部Eの放電電極間の距離は大きくなっている。放電電極1c及びチューブ10が容器11を貫通している部分はシールされている。また2つの放電電極1c・1cの周囲を囲うように、上下が開口した円錐形状の整流部材5が配置されている。
尚、整流部材5は円筒形状に限らず、単なる板でもよく、放電電極1cの間で発生する気泡を凹部3へ導く形状及び配置をしていればよい。
放電電極間に電圧を印加すると、放電電極間の中間部Dでプラズマが発生する。発生したプラズマは気泡を発生させ、周囲の気泡が上昇するのに伴い徐々に上部Eへ移動する。このとき、整流部材5が気泡を凹部3へ誘導するため、中間部Dと凹部3との距離が長い場合でも、確実に凹部3に気泡をためることができる。そして上部Eを含む凹部3に気泡がたまってゆき、最終的に上部Eでプラズマ状態が安定化する。
すなわち実施の形態1と同様に、印加電圧を上げることなく、プラズマ状態を維持したまま放電電極間の距離を長くすることができる。そしてこれは放電電極間の距離あたりの電圧を下げることになり、流れる電流を減少させる。そのためプラズマによる発熱、電磁波ノイズ、及びプラズマ発光の輝度を減少させることができる。
[実施の形態4]
図4は本発明の実施の形態4に係るソリューションプラズマ放電装置24を示す断面図である。実施の形態1と同一の構成のものは同じ符号を付しその説明を省略する。凹部3は四角形状の断面をもち、2つの放電電極1d・1dは、基板2に固定され、互いが平行になるように配置されている。
尚、本実施の形態では放電電極1dの下端は、凹部3で囲まれた内部に位置するが、凹部3で囲まれた領域の下まで延びていてもよい。
この放電電極間に電圧を印加すると、放電電極間にプラズマが発生する。発生したプラズマは同時に気泡を生じ、電圧を印加している間はプラズマ状態が気泡内部で安定化して維持される。プラズマにより発生した気泡は領域Fを含む凹部3を満たしてゆく。その後、放電電極間に印加している電圧を下げることにより、プラズマ状態を維持したまま放電電極間の印加電圧を下げることができる。本実施の形態では、領域Fはすでに気泡で満たされているため、より低い電圧でプラズマ状態を維持することができる。
これにより放電電極間に流れる電流を減少させるため、プラズマによる発熱、電磁波ノイズ、及びプラズマ発光の輝度を減少させることができる。また消費電力も低減することができる。
[実施の形態5]
図5は本発明の実施の形態5に係るソリューションプラズマ放電装置25を示す断面図である。実施の形態1と同一の構成のものは同じ符号を付しその説明を省略する。凹部3は四角形状の断面をもち、2つの放電電極1e・1eは、基板2に固定され、互いが平行になるように配置されている。さらに容器11の底面に加熱装置6が設置されている。容器11内の、加熱装置6が配置された上部に、上下が開口した円錐形状の整流部材5が配置されている。
尚、加熱装置6は容器11内に設置されてもよい。加熱装置6は凹部3の直下に配置する必要はなく自由に配置できる。例えば加熱装置6を容器11内の底の隅の位置Iに設置し、位置Iで発生する気泡を整流部材5によって凹部3へ誘導できればよい。
この加熱装置6で溶液12を加熱すると領域Gで気泡が発生する。このとき、整流部材5が気泡を凹部3へ誘導するため、領域Gで発生した気泡を確実に凹部3にためることができる。気泡の発生と共に放電電極間に電圧を印加すると、凹部3で囲われた内部である領域Hへ気泡が供給されるので、放電電極間を流れる電流により溶液12を加熱し蒸発させる必要がなく、より早く領域Hでプラズマを発生させることができる。
これにより放電電極間で消費する電力を低減することができる。加熱装置6のエネルギー供給源として他の機器の廃熱を利用することもできる。
また本実施の形態の整流部材5の代わりに、溶液12内に液体の流れを作り出すことによって、加熱装置6により発生した気泡を凹部3へ導いてもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明はソリューションプラズマを応用した物質合成、液体処理、及び加工等に利用することができる。またそれらのソリューションプラズマ状態の観測を容易にし、ソリューションプラズマ状態の制御に適用することができる。
本発明に係るソリューションプラズマ放電装置の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係るソリューションプラズマ放電装置の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るソリューションプラズマ放電装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るソリューションプラズマ放電装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るソリューションプラズマ放電装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。 従来のソリューションプラズマ放電装置を示す断面図である。 従来のソリューションプラズマ放電装置における放電電極間の距離とプラズマ放電開始電圧との関係を示すグラフである。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d、1e 放電電極
2 基板
3 凹部
4 被覆材
5 整流部材
6 加熱装置
10 チューブ
11 容器
12 溶液(液体)
A 下部
B 上部
C 領域
D 中間部
E 上部
F 領域
G 領域
H 領域
I 位置
21、22、23、24、25 ソリューションプラズマ放電装置

Claims (8)

  1. 液体中に配置した2つの放電電極間に電圧を印加し、放電させる液体中プラズマ放電装置において、
    上記2つの放電電極の上部に配置された基板を備え、
    上記基板はその下面に、上記2つの放電電極間の放電により発生した気泡を蓄える凹部を有し、
    上記2つの放電電極のそれぞれの上部は、上記凹部に囲まれた気泡を蓄える空間内に配置されており、
    上記2つの放電電極のそれぞれの下部は、上記凹部に囲まれた気泡を蓄える上記空間の外に配置されており、
    上記2つの放電電極の放電電極間距離は、上記2つの放電電極の上記下部より上記上部において広く、上記凹部に向かうにつれ広がるようになっており、
    上記空間の外の、上記2つの放電電極の上記下部の間においてプラズマ放電を発生させ、
    気泡が蓄えられた上記空間内の、上記2つの放電電極の上記上部の間において上記プラズマ放電を維持することを特徴とする液体中プラズマ放電装置。
  2. 上記2つの放電電極は、それぞれ棒状の電極であり、鉛直方向から互いに反対側に傾いて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ放電装置。
  3. 上記液体を加熱し気泡を発生させるための加熱装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体中プラズマ放電装置。
  4. 上記液体中で発生した上記気泡を上記凹部へ導く整流部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液体中プラズマ放電装置。
  5. 上記凹部は、放電により発生する熱により上昇した上記気泡の温度に耐える材料で構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の液体中プラズマ放電装置。
  6. 上記凹部は、絶縁性の材料で構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液体中プラズマ放電装置。
  7. 上記凹部は、セラミックで構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の液体中プラズマ放電装置。
  8. 上記凹部は、シリコンゴムで構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の液体中プラズマ放電装置。
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