JP5083268B2 - 基板支持装置 - Google Patents

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本発明は、基板搬送装置に関する。
半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面にレジストを塗布し、このレジストを所定のパターンで露光した後に現像してレジストパターンを形成している。このような処理は、一般にレジストの塗布、現像を行う塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
この塗布、現像装置にはウエハにレジストを塗布するレジスト塗布モジュールや現像液を供給する現像モジュール、レジスト塗布モジュール及び現像モジュールでウエハに処理を行う前後でウエハを加熱または冷却する加熱、冷却系のモジュールなどが含まれている。そして、これらの各モジュール間及び塗布、現像装置と露光装置との間において、ウエハは例えば当該ウエハを支持して搬送を行う基板支持装置の一つの形態である搬送アームなどの基板搬送装置により搬送される。図21(a)、(b)にはその基板搬送装置を構成するウエハ搬送部の一例を示している。
図21(a)、(b)に示したウエハ搬送部101は、概ねC字状に形成されたフレーム102を備え、このフレーム102に囲まれるようにウエハWが保持される。フレーム102の内周には計4個のウエハ保持部材103が設けられている。ウエハ保持部材103はウエハWの金属汚染を防ぐために樹脂により形成されており、フレーム102の内側でウエハWを水平に支持する裏面支持部104と、ウエハWの側面を囲み、ウエハWのウエハ搬送部101からの落下を防ぐための側壁部105と、傾斜部106と、を備えている。ウエハWの受け渡し時や搬送時にウエハWの周縁部が傾斜部106に乗り上げたときに、ウエハWの裏面は傾斜部106及び裏面支持部104を滑り、前記側壁部105に囲まれる支持領域にガイドされる。
ところで、塗布、現像装置ではウエハW表面に各種の処理を行うために様々な薬液が用いられる。薬液としては上記のレジスト及び現像液や、ウエハWに反射防止膜や保護膜などを形成するための薬液などがある。これらの各薬液は例えばミストの状態でウエハの側面や裏面に回り込んで付着する場合がある。そのウエハWを搬送するときに各ウエハ保持部材103がそのウエハWに付着した薬液に接し、化学的に浸食される場合がある。化学的浸食には腐食が含まれる。
その化学的な浸食により例えば裏面支持部104が変形してウエハWが傾いて支持されたり、側壁部106の化学的浸食によりウエハWがその浸食痕に入り込み、正常な支持領域からずれて支持されたり、傾斜部106及び裏面支持部104の摩擦係数が摩耗及び化学的浸食により増大する結果ウエハWが当該傾斜部106を滑り落ちなかったりするおそれがある。それによって、搬送中にウエハWがそのウエハ搬送部101から落下してしまったり、ウエハWが各モジュールの正常な位置に受け渡されず、正常に処理が行われなくなるおそれがある。
また、塗布、現像装置の各モジュールには基板支持装置として、ウエハWの裏面支持部を備えたステージが設けられ、その裏面支持部上に載置されるウエハWの横滑りを防ぐためにウエハWの側面を囲う位置規制部が設けられる場合がある。この位置規制部に囲まれる載置領域もウエハWの誤差を考慮してウエハWの径よりも大きく設定される。そして、このようなステージについても、ウエハ保持部材103と同様に裏面支持部及び位置規制部の薬液による化学的浸食が起こり、そのステージ上で載置領域からウエハWがずれて載置されたり、傾いたりすることで、正常な処理が行われなかったり、基板搬送装置との間でそのウエハWの正常な受け渡しが行われなくなるおそれがある。
このような摩耗及び化学的浸食を防ぐためにウエハ保持部材103にCVDやPVDなどにより保護膜を形成することが考えられる。しかし、このように成膜される保護膜は、その厚さ方向に貫通する微細な孔が欠陥として形成される場合があり、この貫通欠陥を介してウエハ保持部材が薬液に曝されることで、十分にウエハ保持部材103を保護できないおそれがある。
特許文献1には樹脂からなる機械部品基体をダイヤモンド状炭素膜により被覆することについて記載されているが、上記の貫通孔の欠陥が形成される問題を解決できるものではない。また、特許文献2には上記のウエハ搬送部について記載されているが、上記の問題について解決できる手法については記載されていない。
特許335950号(段落0017) 特開平11−243133(図7他)
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、基板を介した薬品による化学的浸食によって基板を正常に支持できなくなることを防ぐことができる基板支持装置を提供することである。
本発明の基板支持装置は、基板の裏面を支持する裏面支持部を備えた支持部材と、
この支持部材に設けられ、前記裏面支持部に支持された基板の側面を囲み、基板の位置を規制する位置規制部と、
前記位置規制部に囲まれる基板の支持領域の外方から当該支持領域に向かって下降し、基板の周縁部を滑降させて、基板を裏面支持部上にガイドするための傾斜部と、
前記支持部材を支持する基体と、
前記基体に対して支持部材を移動させるための駆動機構と、
を備え、
前記裏面支持部、前記位置規制部及び前記傾斜部のうち少なくともいずれかは、多数のファイバをその先端がその表面に突出するように保持する基材を備え、
この基材を被覆する第1の膜と、その第1の膜上に積層された第2の膜とを含む、化学的浸食を防ぐためのダイヤモンドライクカーボンにより構成される保護膜が、前記裏面支持部、前記位置規制部、前記傾斜部のうち少なくともいずれかに前記基材の表面に突出した前記ファイバを被覆して設けられ、
前記保護膜がその表面に形成された前記基材は、基板の衝突による応力を基板が衝突した位置から分散させるために変形し、前記位置の応力が分散して弱まるとその復元力により元の形状に戻るように構成され、
前記保護膜は、前記基材に追従して変形するように構成され、
前記第1の膜を構成する主成分と、前記第2の膜を構成する主成分とが互いに異なり、前記第1の膜を構成する主成分としてフッ素が含まれ、第2の膜を構成する主成分としてシリコンが含まれ、
前記第1の膜の膜厚は1μm〜3μmであり、前記第2の膜の膜厚は5μm〜10μmであり、
基板搬送装置として構成されたことを特徴とする。


前記基材は例えば樹脂からなり、前記保護膜は、前記位置規制部、裏面支持部または傾斜部の摩耗を防ぐようになっていてもよい。
本発明の基板支持装置は、第1の膜と、その第1の膜に積層された第2の膜とからなる保護膜により、基板の裏面を支持する裏面支持部または前記裏面支持部に支持された基板の側面を囲み、基板の位置を規制する位置規制部が被覆されている。成膜処理の異常により第1の膜及び第2の膜に各膜を貫通する貫通孔が形成されてもそれらの貫通孔が重ならないと、裏面支持部、位置規制部を構成する基材が露出しないので、その基材が化学的に浸食され、基板が正常に支持できなくなることを防ぐことができる。
本発明の実施の形態に係る基板搬送装置を備えた塗布、現像装置の平面図である。 前記塗布、現像装置の斜視図である。 前記塗布、現像装置の縦断側面図である。 前記塗布、現像装置の処理ブロックの斜視図である。 前記処理ブロックの搬送アームに設けられたウエハ搬送部の斜視図である。 前記ウエハ搬送部の縦断側面図である。 前記ウエハ保持部材の斜視図及びそのウエハ保持部材の表面の縦断面図である。 前記ウエハ保持部材の製造工程を示した工程図である。 前記ウエハ搬送部にウエハが受け渡される工程を示した工程図である。 前記ウエハ保持部材にウエハが受け渡される様子を示した説明図である。 ウエハ保持部材の側壁部にウエハが衝突したときの様子を示した説明図である。 ウエハ保持部材の他の例を示した縦断側面図である。 前記塗布、現像装置に設けられたインターフェイスアームの平面図及び縦断側面図である。 前記インターフェイスアームのウエハ搬送部の斜視図である。 前記ウエハ搬送部がウエハを受け取る工程を示した説明図である。 前記塗布、現像装置に設けられた加熱モジュールの加熱板の平面図及び縦断側面図である。 前記加熱板にウエハが受け渡される工程を示した工程図である。 評価試験で用いた装置の説明図である。 評価試験の結果を示したグラフ図である。 評価試験の結果を示したグラフ図である。 従来の搬送アームのウエハ搬送部の平面図及び縦断側面図である。
本発明の基板搬送装置が設けられた塗布、現像装置1について説明する。図1は塗布、現像装置1に露光装置C4が接続されたレジストパターン形成システムの平面図を示しており、図2は同システムの斜視図である。また、図3は同システムの縦断面図である。この塗布、現像装置1にはキャリアブロックC1が設けられており、その載置台11上に載置された密閉型のキャリア10から受け渡しアーム12がウエハWを取り出して処理ブロックC2に受け渡し、処理ブロックC2から受け渡しアーム12が処理済みのウエハWを受け取ってキャリア10に戻すように構成されている。
前記処理ブロックC2は、図3に示すようにこの例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層に形成される反射防止膜の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト膜の塗布を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される保護膜の形成を行うための第4のブロック(ITC層)B4を、下から順に積層して構成されている。
処理ブロックC2の各層は平面視同様に構成されているため、第3のブロック(COT層)B3を例に挙げて説明すると、COT層B3は塗布膜としてレジスト膜を形成するためのレジスト膜形成モジュール13と、このレジスト膜形成モジュール13にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群を構成する棚ユニットU1〜U4と、前記レジスト膜形成モジュール13と加熱・冷却系の処理モジュール群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行う基板搬送装置である搬送アームA3と、により構成されている。
前記棚ユニットU1〜U4は搬送アームA3が移動する搬送領域R1に沿って配列され、夫々上記の加熱モジュール21、冷却モジュールが積層されることにより構成される。加熱モジュール21は載置されたウエハを加熱するための加熱板7を備えており、冷却モジュールは載置されたウエハを冷却するための冷却板を備えている。図1では加熱モジュール21を示しており、加熱モジュール21は搬送領域R1側と加熱板7側との間で移動し、ウエハWの受け渡しを仲介すると共に加熱されたウエハWを冷却する役割を有する冷却プレート24を備えている。加熱板7の構成については後述する。
第2のブロック(BCT層)B2、第4のブロック(ITC層)B4については、前記レジスト膜形成モジュールに相当する反射防止膜形成モジュール、保護膜形成モジュールが夫々設けられ、これらモジュールにおいてレジストの代わりに塗布液として反射防止膜形成用の薬液、保護膜形成用の薬液が夫々ウエハWに供給されることを除けばCOT層B3と同様の構成である。
第1のブロック(DEV層)B1については一つのDEV層B1内にレジスト膜形成モジュールに対応する現像モジュールが2段に積層されており、この現像モジュールの前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群を構成する棚ユニットが設けられている。そして当該DEV層B1内には、これら2段の現像モジュールと、前記加熱・冷却系の処理モジュールとにウエハWを搬送するための搬送アームA1が設けられている。つまり2段の現像モジュールに対して搬送アームA1が共通化されている構成となっている。
更に処理ブロックC2には、図1及び図3に示すように棚ユニットU5が設けられ、キャリアブロックC1からのウエハWは前記棚ユニットU5の一つの受け渡しユニット、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しユニットCPL2に順次搬送される。第2のブロック(BCT層)B2内の搬送アームA2は、この受け渡しユニットCPL2からウエハWを受け取って各ユニット(反射防止膜形成モジュール及び加熱・冷却系の処理ユニット群)に搬送し、これらユニットにてウエハWには反射防止膜が形成される。
その後、ウエハWは棚ユニットU5の受け渡しユニットBF2、受け渡しアームD1、棚ユニットU5の受け渡しユニットCPL3に搬送され、そこで例えば23℃に温度調整された後、搬送アームA3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、レジスト膜形成モジュール13にてレジスト膜が形成される。更にウエハWは、搬送アームA3→棚ユニットU5の受け渡しユニットBF3→受け渡しアームD1を経て棚ユニットU5における受渡しユニットBF3に受け渡される。なおレジスト膜が形成されたウエハWは、第4のブロック(ITC層)B4にて更に保護膜が形成される場合もある。この場合は、ウエハWは受け渡しユニットCPL4を介して搬送アームA4に受け渡され、保護膜の形成された後搬送アームA4により受け渡しユニットTRS4に受け渡される。
一方DEV層B1内の上部には、棚ユニットU5に設けられた受け渡しユニットCPL11から棚ユニットU6に設けられた受け渡しユニットCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアーム14が設けられている。レジスト膜や更に保護膜の形成されたウエハWは、受け渡しアームD1を介して受け渡しユニットBF3、TRS4から受け取り受け渡しユニットCPL11に受け渡され、ここからシャトルアーム14により棚ユニットU6の受け渡しユニットCPL12に直接搬送され、インターフェイスブロックC3に取り込まれることになる。なお図3中のCPLが付されている受け渡しユニットは温調用の冷却ユニットを兼ねており、BFが付されている受け渡しユニットは複数枚のウエハWを載置可能なバッファユニットを兼ねている。
次いで、ウエハWはインターフェイスアーム50により露光装置C4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われた後、棚ユニットU6の受け渡しユニットTRS6に載置されて処理ブロックC2に戻される。戻されたウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行われ、搬送アームA1により棚ユニットU5の受け渡しユニットTRS1に受け渡される。その後、受け渡しアーム12を介してキャリア10に戻される。
ここで、COT層B3の基板支持装置の一つの実施形態をなす基板搬送装置である搬送アームA3について図4を参照しながら説明する。搬送アームA3は、搬送領域R1に沿って移動する水平移動部25と、水平移動部25を上下に昇降する昇降基体26と、昇降基体26上を鉛直軸周りに回動する回動基体27と、を備えている。回動基体27には、当該回動基体27に支持され、回動基体27上を互いに独立して前後に移動する2枚のウエハ搬送部3が設けられている。これら、水平移動部25、昇降基体26、回動基体27の動作は不図示の駆動機構を介して行われる。
ウエハ搬送部3について、図5及び図6を参照しながら説明する。このウエハ搬送部3は背景技術の欄で示したウエハ搬送部101と同様の形状を有しており、基部から2股に分かれて伸びた突起を持ち、概ねC字状に形成されたフレーム32を備えている。フレーム32の内周側には、その内周側にてウエハWを保持するためのウエハ保持部材33が4つ、間隔をおいて設けられている。フレーム32とウエハ保持部材33とからなるウエハ搬送部3は基板の支持部材を構成する。
ウエハ保持部材33について、その斜視図である図7(a)も参照しながら説明する。図7(a)では多数の点を付して、後述の保護膜41に被覆された箇所を示している。ウエハ保持部材33は、ウエハWの裏面を支持する裏面支持部34と、裏面支持部34に支持されたウエハWの側面を囲み、その位置を規制する下側垂直壁部35と、当該下側垂直壁部35に連続し、この下側垂直壁部35に向かって下降するように形成された傾斜部36と、を備えている。傾斜部36は、当該傾斜部36に乗り上げたウエハWの周縁部を滑り落ちさせ、前記下側垂直壁部35に囲まれる支持領域30にウエハWをガイドする役割を有する。背景技術の欄で説明したように、ウエハWの径よりも支持領域30の径が若干大きくなるようにウエハ保持部材33はフレーム32に設けられている。
また、傾斜部36上には、この傾斜部36に連続するように上側垂直壁部37が形成されている。上側垂直壁部37は、ウエハ搬送部3によりウエハWの搬送が行われたときに、慣性や衝撃により支持領域30から傾斜部36へ乗り上げたウエハWの周縁部がさらに前記支持領域30の外方へと向かい、ウエハWが保持部材33から落下してしまうことを抑える役割を有する。
ウエハ保持部材33はウエハWの金属汚染を防ぐために例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂の成型体からなる基材40により構成されており、図7(b)に示すように基材40にはその強度を向上させるために多数のカーボンファイバ45が混入され、保持されている。カーボンファイバ45の直径は例えば7μm程度、長さは例えば0.1mm〜6mmである。そして、前記基材40の表面から多数のカーボンファイバ45の先端が1μm〜5μm程度突出している。
図6及び7(b)に示すように前記裏面支持部34、下側垂直壁部35及び傾斜部36の表面には2層の積層膜である保護膜41が形成されている。保護膜41は下層膜42と上層膜43とからなり、これら下層膜42及び上層膜43は炭化水素あるいは炭素の同素体からなる非晶質の硬質膜であるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)により構成されている。図中44は成膜時に各膜42、43に形成された貫通孔(貫通欠陥)である。DLCは前記基材40に比べて高い硬度を有するため高い耐摩耗性を持ち、各種の薬液に対して高い耐食性を有しており、また基材40に比べてその摩擦係数が低い。
上層膜43は、ウエハWの受け渡し時及びウエハWの搬送時においてウエハWに接触するため、より低い摩擦係数、高い平滑性、高い硬度による耐摩耗性が得られるように主成分としてC(炭素),H(水素)及びSi(シリコン)を含んだDLC膜により形成されている。また、基材40上に直接成膜された下層膜42は、薬液に対して高い撥水性を有し、基材40へその薬液が浸透することを防ぎ、高い耐食性が得られるように主成分であるとしてC,H及びF(フッ素)を含んだDLC膜により構成されている。つまり、上層膜43は下層膜42よりも低い摩擦係数、高い平滑性及び高い耐摩耗性を有しており、下層膜42は上層膜43よりも高い撥水性を有している。
保護膜41は、当該保護膜41と基材40の表面から突出したカーボンファイバ45との隙間を介して薬液が基材40に供給されることを防ぐと共に摩擦係数を十分に下げるために、前記カーボンファイバ45の先端を覆い、この突出した先端の長さよりも大きな膜厚を有するように形成されている。また、図7(b)の保護膜41の厚さH1として、その厚さが小さすぎると膜の緻密性が小さく、薬液が保護膜41を透過して基材40を浸食するおそれがあり、厚さが大きすぎると後述のようにウエハWが衝突したときに基材40に追従して変形せず、その衝撃の吸収性が低下してしまうおそれがあることから、例えば1μm〜10μmであることが好ましい。また、下層膜42の厚さH2としては十分な撥水性を得るために例えば1μm〜3μmであり、上層膜43の厚さH3としては、十分な硬度を得るために例えば5μm〜10μmである。
このウエハ保持部材33の製造方法について説明する。溶融した前記樹脂に多数のカーボンファイバ45を混合し、その混合物をウエハ保持部材33を成形するための金型46に充填して、金型46内で樹脂を硬化させて基材40を形成する。図8(a)は基材40と、金型46との境界を示しており、この境界付近に存在するカーボンファイバ45の先端部は樹脂の硬化時の膨張収縮などにより金型46に押し付けられて折れ曲がって密着した状態となっている。また、金型46内面の面粗さなどの形状に応じて基材40の表面には僅かな凹凸が形成される場合がある。そして、図8(b)に示すようにウエハ保持部材33が金型46から取り外されると、折れ曲がっていたカーボンファイバ45の先端が、外方に飛び出そうとする反発力(ファイバ45の復元力)により、あるいは金型46の内面形状に応じて、ウエハ保持部材33表面で立ち上がり、当該表面に飛び出した状態となる。なお、ファイバ45について、各図では基材40表面に突出した先端と基材40に埋没した部分とが同じ太さで描いているが、前記先端は金型43に押し潰され、基材40に埋没した部分に比べてその径が小さくなっている場合もある。
その後、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)またはCVD(Chemical Vapor Deposition)により図8(c)に示すように下層膜42を成膜する。基材40表面には、カーボンファイバ45が突出しており、複雑な凹凸が形成された状態になっているので、下層膜42は、この凹凸に入り組んだように形成される。従って下層膜42は基材40に対して密着性高く形成される。然る後PVDまたはCVDにより図8(d)に示すように上層膜43を成膜して保護膜41を形成する。このように膜を積層しているため、下層膜42に貫通孔44が形成されてもその貫通孔44が上層膜43に覆われ、また上層膜43に貫通孔44が発生してもその下側に下層膜42が存在することにより、貫通孔44により基材40の表面が露出することが防がれる。
例えばプラズマCVD法により前記DLCの保護膜41を形成する場合、原料ガスとしては、DLC形成に一般に用いられるメタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、アセチレン(C)、ベンゼン(C)、4フッ化炭素(CF)、6フッ化2炭素(C)等の炭素化合物ガスを用いる。必要に応じて、これらの炭素化合物ガスにキャリアガスとして水素ガス、不活性ガス等を混合してウエハWに供給して、成膜を行う。この例では、下層膜42としては炭素と水素とフッ素とを含む原料ガスが基材40に供給されて形成され、上層膜43としては炭素と水素とシリコンとを含む原料ガスが基材40に供給されて形成される。
続いて、この搬送アームA3のウエハ搬送部3が受け渡しユニットBF3に設けられたステージ47からウエハWを受け取るときのプロセスについて、図9を参照しながら説明する。ウエハ搬送部3がステージ47に向けて前進し、図9(a)に示すように当該ステージ47に載置されたウエハWの下方側に位置する。その後、ウエハ搬送部3が上昇し、図9(b)に示すように例えば4つのうち一部のウエハ保持部材33の裏面支持部34にウエハWの裏面が支持され、且つウエハWの周縁部が4つのうち一部の傾斜部36上に位置するように傾いた状態でウエハWがウエハ搬送部3に受け渡される。
このようにウエハWがウエハ保持部材33に受け渡されたときに、傾斜部36及び裏面支持部34は、保護膜41に被覆されているため、その衝撃による破損が抑えられる。特に保護膜41の上層膜43は、より硬質となるようにシリコンを含んでいるので、より確実に破損が抑えられる。また、このとき、図10(a)、(b)に示すようにウエハWの裏面及び側面であるベベル部に薬液のミスト48が付着していても、既述のように保護膜41を積層膜として構成し、貫通孔44による基材40の露出が防がれているため、基材40がミスト48に曝されることが防がれる。また、下層膜42は撥水性を得るためにフッ素を含んでいるので、上層膜43の貫通孔44を介してミスト48が下層膜42に付着してもその撥水性により基材40に浸透することが防がれるので、より確実にミスト48による化学的浸食を防ぐことができる。
そして、保護膜41はその摩擦係数が低いため、速やかにウエハWの周縁部が傾斜部36を滑降すると共にウエハWが前記裏面支持部34上を滑り、図9(c)に示すようにウエハWは下側側壁部35に囲まれる支持領域30に位置し、水平に保持される。
その後、ウエハ保持部材33が水平方向に移動すると、慣性力によりウエハWが裏面支持部34を滑り、下側垂直壁部35に衝突する。このときの下側垂直壁部35の様子について図11を参照しながら説明する。その衝突により、ウエハ保持部材33に応力が加わり、その樹脂からなる基材40は変形する。このとき、既述のようにカーボンファイバ45に下層膜41が入り組むことで、当該保護膜41が基材40に密着性高く形成されているため、基材40に追従して下層膜42も変形し、また上層膜43は下層膜42と同じDLCであるため下層膜42に対する密着性が高いことから、この下層膜42の変形に追従して変形する。このように保護膜41及び基材40が変形することで、下側垂直壁部35において応力がウエハWの衝突箇所から分散され、その分散された応力が各部で基材40により吸収される(図11(a)、(b))。そして、応力が弱まると、基材40は、その復元力により元の形状に戻り、保護膜41も基材40に追従して元に戻る(図11(c))。
下側垂直壁部35を例にして応力が吸収される様子を説明したが、裏面支持部33及び傾斜部36についても同様に既述のようにウエハWが受け渡されたり、その表面を摺動する際に強い応力が加わっても、保護膜41が基材40に密着性高く形成されていることから、下側垂直壁部35と同様にその応力が広く分散される。従って高い耐摩耗性が得られる。
また、ウエハWがウエハ保持部材33に受け渡されるときに、基材40が薬液のミスト48に曝されることが防がれる様子について説明したが、例えば上記のようにウエハWの搬送中にウエハWが下側垂直壁部35に衝突した際にも、ウエハWが受け渡されるときと同様にウエハWの側面に付着したミスト48が貫通孔44を介して下側垂直壁部35の基材40に付着することが防がれるので浸食されることが防がれる。
既述のようにウエハ搬送部3のウエハ保持部材33は、そのウエハWを保持するための裏面支持部33と、その裏面支持部33にウエハWが保持されるようにウエハWをガイドする傾斜部36及びウエハWの側面を囲み、その位置を規制する下側垂直壁部35と、を備え、それら裏面支持部33、傾斜部36及び下側垂直壁部35の表面にはDLCにより構成された下層膜42と上層膜43とからなる保護膜41が形成されている。従って、各膜42,43に貫通欠陥である貫通孔44が形成されても、それらが重なり合わなければ各部を構成する基材40が露出しないので、基材40が薬液に接して化学的に浸食されることが抑えられる。このように耐食性が向上する結果として、ウエハWを確実にそのウエハ搬送部3の支持領域30にて保持できるので、搬送中にウエハWがウエハ搬送部3から落下したり、そのウエハWが載置されるモジュールに正常に受け渡すことができなくなったりすることが抑えられる。また、前記DLCは摩擦係数が低いため、ウエハWは傾斜部36及び裏面支持部34上を滑りやすく、ウエハWをウエハ搬送部3の支持領域30により確実に保持することができる。
また、上記のように基材40に突出したカーボンファイバ45を保護膜41で覆う構成とすることで、保護膜41の基材40に対する密着性及び保護膜41の強度が向上し、基材40が衝撃を吸収し、より高い耐摩耗性が得られると共にウエハWに加わる衝撃を抑え、ウエハWの欠け(チッピング)などの破損を低減することができる。
下層膜42、上層膜43は、例えば主成分としてC及びHからなり、F、Siを夫々含まないDLC膜として構成してもよく、また、前記主成分としてC及びHの他に例えばSi及びN(窒素)を含んだ膜、Si及びO(酸素)を含んだDLC膜、C、H、SiOを含んだDLC膜として下層膜42及び上層膜43を構成してもよい。前記Nは例えばCN基として膜中に含まれている。下層膜42に主成分としてC,H,Siが含まれ、上層膜43に主成分としてC,H,Fが含まれていてもよいが、既述のようにSiを含んだより硬質で摩擦係数の低い膜を上層膜にすることが好ましい。
さらに、例えば上層膜43及び下層膜42は互いにその主成分が同じ膜として構成してもよい。例えば主成分としてC及びHからなる膜を上層膜43及び下層膜42として構成してもよく、その場合は例えば薬液の基材40への浸透を抑えるために下層膜を上層膜に比べてその緻密性高くなるように、且つ上層膜を下層膜に比べて高い平滑性及び低い摩擦係数を有するように形成することが好ましい。また、上層膜43、下層膜42は同一の組成の膜により構成されていてもよいし、保護膜41としては2層に限られず3層以上の積層膜により構成されていてもよい。
図12(a)に示すように上層膜43は下層膜42全体を被覆しなくてもよい。また、図12(b)に示すように基材40から突出したカーボンファイバ45の先端は下層膜42を突き抜けて上層膜43に達していてもよい。また、繊維体であるファイバとして樹脂の基材40にカーボンファイバを混入させる代わりに例えばグラスファイバを混入させても、基材40の強度及び保護膜の密着性を向上させることができる。
ところで、保護膜41を構成する材質としては、DLCに限られず、各種の薬液に対する高い耐食性または高い硬度を有していればよく、SiC、AlN(窒化アルミニウム)などのセラミックス、石英部材などを用いてもよい。また、例えば炭素の比率が高く、精製された炭化水素を例えばポリカーボネートなどのアクリル系樹脂に均質に混合させた、耐摩耗性の高い炭化水素樹脂により保護膜41を形成してもよい。この炭化水素樹脂の炭素の含有率は例えば80%以上である。
保護膜41としては例えばそのビッカース硬さが1000〜3000、平滑性についてRaが0.5nm〜1.0nm、摩擦係数が0.2以下であることが好ましい。また、既述のように樹脂からなる基材に対して成膜するためには、その基材の変質を防ぐために例えば200℃以下の低温で成膜できる材質を選択することが好ましい。
搬送アームA1,A2,A4及び受け渡しアームD1のウエハ保持部材もこの搬送アームA3のウエハ保持部材33と同様に構成されている。
続いて、ウエハ搬送部の他の例としてインターフェイスアーム50に設けられるウエハ搬送部5についてその平面図である図13(a)、その縦断側面図である図13(b)、その斜視図である図14を参照しながらウエハ搬送部3との差異点を中心に説明する。ウエハ搬送部5は図13(a)に示す回動基体51に支持され、当該搬送基体51を前後するように設けられ、回動基体51は回動基体27と同様に昇降自在及び回動自在に構成されている。また、回動基体51にはウエハ搬送部5の左右両側にウエハWの位置合わせを行うための押圧部52が設けられ、この押圧部52が前記回動基体51と共に移動する。
このウエハ搬送部5は二股のフォーク状に形成されたフレーム53を備えており、このフレーム53の各先端側には、ウエハ保持部材33と同様の製造工程を経て、ウエハ保持部材33と同様にカーボンファイバ45とPEEK樹脂からなる基材40とにより構成されたウエハ保持部材54が設けられている。このウエハ保持部材54は、ウエハWを水平に支持するための裏面支持部56と、その裏面支持部56の先端側に設けられた垂直壁部57とを備えている。裏面支持部56及び垂直壁部57は、既述の保護膜41により覆われている。垂直壁部57は、ウエハ保持部材54においてウエハWの位置を規制する役割を有する。
フレーム53の基端側には、ウエハ保持部材33と同様の製造工程を経て、基材40と、PEEK樹脂からなる基材40とにより構成されたウエハ保持部材61が設けられている。このウエハ保持部材61はウエハWの裏面を水平に支持するための裏面支持部62と、裏面支持部62の基端側に設けられた下側垂直壁部63と、前記基端側から先端側へ下降する傾斜部64と、を備えている。傾斜部64は、傾斜部36と同様に裏面支持部62へウエハWをガイドする役割を有する。裏面支持部62及び下側垂直壁部63は保護膜41に覆われている。図中60は下側垂直壁部63と垂直壁部57とに囲まれるウエハWの支持領域である。なお、図14では保護膜41に覆われた箇所に多数の点を付して示している。フレーム53と、ウエハ保持部材54、61とからなるウエハ搬送部5は、基板の支持部材を構成する。
図15を用いてウエハ搬送部5が受け渡しユニットCPL12に設けられたステージ69からウエハWを受け取る様子について説明する。ウエハ搬送部5がステージ69に向けて前進し、ステージ69に載置されたウエハWの下側に位置した後、上昇して(図15(a),(b))、裏面支持部56及び傾斜部64に支持され、例えば傾いた状態でウエハWがウエハ搬送部5に受け渡される(図15(c))。その後、ウエハ搬送部5が後退し、ウエハWの側面が押圧部52に当接し、ウエハ搬送部5の先端方向に押圧されて、ウエハWが傾斜部64を滑り落ち、裏面支持部56、62に水平に支持される(図15(d))。ウエハWは慣性力により裏面支持部56、62上を滑り、垂直壁部57に当接して停止する(図15(e))。このようにウエハWがウエハ搬送部5に受け渡され、搬送されるときに、そのウエハ保持部材54、61の各部にウエハWが接触しても、保護膜41によりその保持部材54、61を構成する基材40の化学的浸食及び摩耗が抑えられる。
インターフェイスアーム50のウエハ搬送部5について示したが、受け渡しアーム12のウエハ搬送部もウエハ搬送部5と同様に構成されている。これら、ウエハ搬送部3、5において全面を保護膜41により被覆してもよく、またウエハ搬送部5において押圧部52を保護膜41により被覆してもよい。
続いて、既述のCOT層B3の加熱モジュール21に設けられた基板支持装置をなす加熱板7について、その平面図である図16(a)及びその縦断側面図である図16(b)を参照しながら説明する。加熱板7はウエハWを載置するステージを兼用し、扁平な円形に形成され、その周方向に3つの孔(図16(b)では2つのみ図示)が加熱板7の厚さ方向に穿設されている。孔71内には昇降機構72により昇降する昇降ピン73が設けられ、加熱板7上にて突没する。加熱板7の内部にはウエハWを加熱するためのヒータが設けられている。
加熱板71において、孔71の外側には周方向に複数、この例では4つの裏面支持部である支持ピン74が設けられている。支持ピン74は加熱板71表面からウエハWを浮かせて支持する役割を有する。また、加熱板71の周縁部にはウエハWの加熱板71からの飛び出しを防ぐための多数の位置規制用ピン75が設けられている。支持ピン74及び位置規制用ピン75はウエハ保持部材33と同様の製造工程を経て製造されている。そして、支持ピン74及び位置規制用ピン75は、ウエハ保持部材33と同様にカーボンファイバ45とPEEK樹脂からなる基材40とにより構成され、その表面は下層膜42及び上層膜43からなる保護膜41に被覆されている。
図17を参照しながら、この加熱板71にウエハWが受け渡される工程について説明する。冷却プレート24にウエハWが受け渡されると、冷却プレート24が加熱板71上に移動し、昇降ピン73が上昇してウエハWの裏面を支持する(図17(a))。そして、冷却プレート24が加熱板71上から退避した後、昇降ピン73が下降し、ウエハWが支持ピン74上に受け渡される(図17(b))。
このとき、加熱板71とウエハWの裏面との間の空気により図17(c)に示すようにウエハWが支持ピン74上を滑り、位置規制用ピン75に衝突する場合がある。しかし、ウエハ保持部材33と同様に保護膜41により、これら支持ピン74及び位置規制用ピン75が摩耗することが防がれる。また、ウエハWに薬液が付着していても、保護膜41によりこれら支持ピン74及び位置規制用ピン75が浸食されることが防がれる。
既述の保護膜は上記の各例の他にすべての基板への接触部に適用することができる。例えば成膜装置やエッチング装置の基板を載置するステージ表面に上記の保護膜41を形成したり、保護膜41で被覆された位置規制用ピン74を設けてもよい。
なお、保護膜41は、当該保護膜を成膜するための各種の方法により、ウエハ保持部材33,54,61の夫々の全表面に成膜されていても良く、少なくとも基板の接触領域の箇所に成膜されていれば良い。また、基材40を構成する樹脂としてはPEEK以外にも公知の樹脂を用いることができる。
(評価試験1)
評価試験1−1として、図18に示すように4つのウエハ保持部材33を周方向に配置し、その裏面支持部34にウエハWを載置した。各ウエハ保持部材33は不図示の駆動部に接続され、各ウエハ保持部材33の間隔を保ったまま、図中矢印で示すように水平方向に往復移動できるようになっている。また、ウエハ保持部材33の下側側壁部35がウエハWの側面から若干離れるように各ウエハ保持部材33の位置は調整されている。ただし、このウエハ保持部材33には、実施の形態で説明したDLCからなる保護膜41が形成されていない。また、この試験で用いたウエハ保持部材33は、実施の形態で説明したPEEK樹脂の代わりに所定の樹脂により構成されている。前記樹脂中にはカーボンファイバが実施形態と同様に混入されている。ウエハWの載置後、ウエハ保持部材33を20万回往復移動させ、その下側側壁部35にウエハWを衝突させた。その後、下側側壁部35に形成された摩耗痕の深さについて顕微鏡を用いて測定した。
続いて評価試験1−2として評価試験1−1と同様の試験を行い、下側側壁部35に形成された摩耗痕の深さについて測定した。この評価試験1−2で用いたウエハ保持部材33には実施の形態と同様の各部にDLCからなる保護膜が形成されているが、この保護膜は積層されておらず単層であり、その厚さは3μmである。
また、評価試験1−3として評価試験1−3と同様に試験を行い、下側側壁部35に形成された各摩耗痕の深さについて測定した。ただし、この評価試験1−3では、ウエハ保持部材33は実施の形態と同じPEEKにより構成されている。ウエハ保持部材33には実施の形態と同様に保護膜41が形成されており、その厚さは評価試験1−2と同じ3μmである。ウエハ保持部材33の往復移動回数は20万回とした。
また、評価試験1−4として評価試験1−2と同様に試験を行い、下側側壁部35に形成された摩耗痕の深さについて測定した。ウエハ保持部材33を往復移動させる回数としては1000万回とした。ウエハ保持部材33の各部に形成された保護膜41の厚さは評価試験1−2と同じ3μmである。
評価試験1−5として、評価試験1−3と同様に試験を行い、下側側壁部35に形成された各摩耗痕の深さについて測定した。ただし、この評価試験1−5では、ウエハ保持部材33は評価試験1−2と同様の所定の樹脂により構成されている。評価試験1−2と同様にウエハ保持部材33に形成されたDLCからなる保護膜は単層であり、その厚さは8μmである。ウエハ保持部材33の往復移動回数は1000万回とした。
評価試験1−6として、評価試験1−4と同様に試験を行った。ただし、ウエハ保持部材33の往復移動回数は1000万回とし、摩耗痕の測定箇所は裏面支持部34とした。
評価試験1−7として、評価試験1−3と同様の試験を行った。ただし、ウエハ保持部材33の往復移動回数は1000万回とし、摩耗痕の測定箇所は裏面支持部34とした。
評価試験1−8として、評価試験1−5と同様の試験を行った。ただし、ウエハ保持部材33の往復移動回数は1000万回とし、摩耗痕の測定箇所は裏面支持部34とした。
図19は評価試験1−1〜1−8についての結果を示しており、最も大きな摩耗痕の深さを斜線のグラフで、各摩耗痕の深さの平均値を多数の点を付したグラフで評価試験毎に夫々表している。また、各グラフ上に結果の数値を示しており、この数値の単位はμmである。評価試験1−1の結果と評価試験1−2の結果とを比べると、評価試験1−2の方が最大摩耗痕深さも、摩耗痕の平均値も小さくなっている。従って、これら評価試験1−1及び1−2の結果から保護膜を成膜することでウエハ保持部材33の下側側壁部35の耐摩耗性が向上することが分かる。 また、評価試験1−4では評価試験1−1よりもウエハWの下側側壁部35への衝突回数が多いが、最大摩耗痕深さ及び摩耗痕の深さの平均値は評価試験1−4の方が小さかった。このことからも、保護膜41を成膜することで下側側壁部35の耐摩耗性が向上することが示されている。
評価試験1−3、1−5の結果から、ウエハ保持部材33を構成する樹脂及び保護膜の膜厚を変更しても、評価試験1−1よりも耐摩耗性が高くなっていることが分かる。また、評価試験1−6〜1−8について最大摩耗痕深さ及び摩耗痕の深さの平均値が比較的小さく抑えられていることから、裏面支持部34についても保護膜を形成することが有効であると考えられる。
(評価試験2)
評価試験2−1として、ウエハ保持部材33にスルホン酸の原液を滴下し、形成された摩耗痕(浸食痕)の深さについて顕微鏡を用いて測定した。ただし、このウエハ保持部材33には保護膜41が形成されておらず、また、PEEK樹脂の代わりに評価試験1−1で用いた所定の樹脂により構成されたウエハ保持部材33を使用した。
評価試験2−2として、実施の形態と同様の各部に保護膜が形成されたウエハ保持部材33について、その保護膜上に評価試験2−1と同様にスルホン酸の原液を滴下し、形成された摩耗痕について顕微鏡を用いて測定した。ただし、この評価試験2−2で用いた保護膜は、評価試験2−2と同様に単層でDLCからなり、その厚さは1μmである。ウエハ保持部材33は評価試験2−1と同様に所定の樹脂により構成されている。
評価試験2−3として、評価試験2−2と同様の試験を行った。この評価試験2−3でもウエハ保持部材に形成された保護膜は単層であり、その厚さは3μmである。
評価試験2−4として、評価試験2−2と同様の試験を行った。この評価試験2−3でもウエハ保持部材に形成された保護膜は単層であり、その厚さは6μmである。
評価試験2−5として、既述の実施形態で説明した下層膜42と上層膜43とからなる保護膜41が形成されたウエハ保持部材33を用いて評価試験2−2と同様の試験を行った。下層膜42、上層膜43の厚さは夫々3μmであり、第1の保護膜を構成する各元素の比率と第2の保護膜を構成する各元素の比率とは互いに異なっている。
評価試験2−6として、評価試験2−2と同様の試験を行った。この評価試験2−3でもウエハ保持部材に形成された保護膜は単層であり、その厚さは6μmである。
評価試験2−7として、PEEKにより構成されたウエハ保持部材33を用いて評価試験2−2と同様の評価試験を行った。この評価試験2−3でもウエハ保持部材に形成された保護膜は単層であり、その厚さは3μmである。この評価試験2−7でウエハ保持部材33に形成された保護膜を構成する各元素の比率は、評価試験2−1〜2−4、2−6の保護膜を構成する各元素の比率と異なっている。
評価試験2−8として、PEEKにより構成されたウエハ保持部材33を用いて評価試験2−2と同様の評価試験を行った。この評価試験2−3でもウエハ保持部材に形成された保護膜は単層であり、その厚さは3μmである。この評価試験2−8でウエハ保持部材33に形成された保護膜を構成する各元素の比率は、評価試験2−1〜2−4、2−6の保護膜を構成する各元素の比率と同じである。
評価試験2−9として、ポリイミドにより構成されたウエハ保持部材33を用いて評価試験2−2と同様の評価試験を行った。この評価試験2−9でもウエハ保持部材に形成された保護膜は単層であり、その厚さは3μmである。この評価試験2−9でウエハ保持部材33に形成された保護膜を構成する各元素の比率は、評価試験2−7の保護膜を構成する各元素の比率と同じである
評価試験2−10として、ポリイミドにより構成されたウエハ保持部材33を用いて評価試験2−2と同様の評価試験を行った。この評価試験2−10でもウエハ保持部材に形成された保護膜は単層であり、その厚さは3μmである。この評価試験2−10でウエハ保持部材33に形成された保護膜を構成する各元素の比率は、評価試験2−1〜2−4、2−6の保護膜41を構成する各元素の比率と同じである。
図20は評価試験2−1〜2−10についての結果を示しており、図19と同様に最も大きな摩耗痕の深さを斜線のグラフで、各摩耗痕の深さの平均値を多数の点を付したグラフで評価試験毎に夫々表している。また、各グラフ上に結果の数値を示しており、この数値の単位はμmである。最大摩耗痕深さ及び摩耗痕の平均値について、積層された保護膜41が形成された評価試験2−5は、単層の保護膜が形成された評価試験2−2〜2−4、2−6〜2−10及び保護膜が形成されていない評価試験2−1に比べて小さかった。従って実施の形態で説明したように保護膜を積層構造にすることが、薬液に対する耐浸食性を向上させるために有効であることが示された。
W ウエハ
A3 搬送アーム
21 加熱モジュール
3,5 ウエハ搬送部
32 フレーム部
33 ウエハ保持部材
34 裏面支持部
35 下側垂直壁部
36 傾斜部
40 基材
41 保護膜
42 下層膜
43 上層膜
45 カーボンファイバ
46 金型
50 インターフェイスアーム

Claims (3)

  1. 基板の裏面を支持する裏面支持部を備えた支持部材と、
    この支持部材に設けられ、前記裏面支持部に支持された基板の側面を囲み、基板の位置を規制する位置規制部と、
    前記位置規制部に囲まれる基板の支持領域の外方から当該支持領域に向かって下降し、基板の周縁部を滑降させて、基板を裏面支持部上にガイドするための傾斜部と、
    前記支持部材を支持する基体と、
    前記基体に対して支持部材を移動させるための駆動機構と、
    を備え、
    前記裏面支持部、前記位置規制部及び前記傾斜部のうち少なくともいずれかは、多数のファイバをその先端がその表面に突出するように保持する基材を備え、
    この基材を被覆する第1の膜と、その第1の膜上に積層された第2の膜とを含む、化学的浸食を防ぐためのダイヤモンドライクカーボンにより構成される保護膜が、前記裏面支持部、前記位置規制部、前記傾斜部のうち少なくともいずれかに前記基材の表面に突出した前記ファイバを被覆して設けられ、
    前記保護膜がその表面に形成された前記基材は、基板の衝突による応力を基板が衝突した位置から分散させるために変形し、前記位置の応力が分散して弱まるとその復元力により元の形状に戻るように構成され、
    前記保護膜は、前記基材に追従して変形するように構成され、
    前記第1の膜を構成する主成分と、前記第2の膜を構成する主成分とが互いに異なり、前記第1の膜を構成する主成分としてフッ素が含まれ、第2の膜を構成する主成分としてシリコンが含まれ、
    前記第1の膜の膜厚は1μm〜3μmであり、前記第2の膜の膜厚は5μm〜10μmであり、
    基板搬送装置として構成されたことを特徴とする基板支持装置。
  2. 前記基材は樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の基板支持装置。
  3. 前記保護膜は、前記位置規制部、裏面支持部または傾斜部の摩耗を防ぐことを特徴とする請求項2に記載の基板支持装置。
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