JP5082918B2 - 光偏向器および光偏向機能付半導体レーザ - Google Patents

光偏向器および光偏向機能付半導体レーザ Download PDF

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Description

本発明は、光を偏向する光偏向器、及びこの光偏向器を備えた光偏向機能付半導体レーザに関する。
従来、光を偏向するための技術として、PN接合を有する半導体薄片に電流注入する電極を複数設けて、各電極に大きさの異なる電流を注入して利得分布を生じさせることにより、半導体薄片の内部で発生した光の放出角度を変化させるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、半導体レーザの活性層の活性領域から出射される光の出射方向側で活性領域と連ねて形成された光ガイド領域に電流注入する電極を複数設けて、各電極に大きさの異なる電流を注入して、光ガイド領域内において屈折率分布を生じさせることにより、活性領域から光ガイド領域を介して放出される光の放出角度を変化させるものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
このような光偏向技術では、光を偏向するために機械的な駆動機構が不要となるために、可動式ミラーを用いて光を偏向する方式と比較して、光偏向器の小型化が容易であるという利点がある。
特開昭53−39142号公報 特開昭63−177490号公報
しかし特許文献1に記載の技術では、各電極に注入する電流の比により偏向角を制御するために厳密な電流制御が必要となるという問題や、利得自体を変動させるために発光強度、電流値および発熱等により発光パターンが変化し、偏向角制御が不安定になるという問題がある。
また特許文献2に記載の技術では、屈折率変化を用いているために偏向角制御が不安定になり易く、厳密な偏向角制御が困難であるという問題がある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、光の偏向角制御を容易にする技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の光偏向器では、光吸収層を含む伝播領域を備え、光吸収層は、バンドギャップエネルギーが入射光のエネルギーより大きいバンドギャップを有する。すなわち、光吸収層が吸収することができる光の波長(以下、吸収波長ともいう)は、入射光の波長と比べて短くなっている。このため、光吸収層に電圧が印加されていない状態では、光吸収層に入射した入射光は光吸収層を透過する。一方、光吸収層は、逆バイアスが印加されると、電界吸収効果によって、入射光を吸収する。
また光吸収層には、逆バイアスを印加するための電圧印加領域が形成されている。このため、電圧印加領域に逆バイアスを印加することにより、電圧印加領域に入射する入射光を吸収することができる。
そして電圧印加領域は、入射光が入射する方向に対して垂直な方向である入射垂直方向に沿って一定の所定配置周期で形成されている。このため、入射垂直方向に沿って、光吸収層に入射する入射光を吸収する領域(以下、吸収領域ともいう)と、光吸収層に入射する入射光を透過する領域(以下、透過領域ともいう)とを交互に形成することができる。すなわち、入射垂直方向に沿って回折格子を形成することができる。なお、複数の電圧印加領域のうちで、逆バイアスを印加する領域を選択することで、上記回折格子の周期(以下、回折格子周期ともいう)を変えることができる。例えば、上記所定配置周期をLとして、全ての電圧印加領域に逆バイアスを印加すると回折格子周期はLであり、入射垂直方向に沿って逆バイアスの印加の有無を交互に切り換えると回折格子周期は2Lである。このため、電圧印加の有無により、光吸収層の電界吸収効果によって、一定周期で入射光を吸収させることにより、一定周期の透過領域を透過した光を回折、干渉することによって、出射角度を制御することができる。
そして、光吸収層に入射した入射光のうち、各透過領域から出射した光は干渉し合い、上記回折格子周期に応じた出射角度θをもって強めあう。なお出射角度θは、入射光の波長をλ、回折格子周期をdとして、式(1)で算出することができる。
d・sinθ =n・λ (nは整数) ・・・(1)
したがって、逆バイアスを印加する電圧印加領域を選択して回折格子周期dを設定することによって、すなわち、電圧印加領域への電圧印加の有無によって、出射角度θを一意に制御することができるため、特許文献1,2に記載の技術と比較して、光の偏向角制御を容易にすることができる。
また請求項1に記載の光偏向器では、請求項2に記載のように、導電性の第1クラッド層と、第1クラッド層と同一の屈折率を有し、且つ、第1クラッド層と逆の導電型または半絶縁性を有する第2クラッド層とが入射垂直方向に沿って所定配置周期で交互に配置されることにより形成されるクラッド層領域を備え、電圧印加領域は、第1クラッド層であるようにするとよい。
このように構成された光偏向器によれば、第1クラッド層が導電性であり、さらに第2クラッド層が第1クラッド層と逆の導電型または半絶縁性であるので、電圧印加領域である第1クラッド層に印加された電圧が電圧印加領域外の領域に影響を及ぼすことを抑制することができる。さらに、第1クラッド層と第2クラッド層とが同一の屈折率を有しているので、第1クラッド層と第2クラッド層との界面を通過する光が屈折して、光の伝播方向が変化してしまうことを防止することができる。
また請求項2に記載の光偏向器では、請求項3に記載のように、複数の第1クラッド層はそれぞれ、他の第1クラッド層に対して電気的に独立しているようにするとよい。
このように構成された光偏向器によれば、逆バイアスを印加する第1クラッド層を選択して回折格子周期dを設定することにより、出射角度θを設定することができる。
また請求項3に記載の光偏向器では、請求項4に記載のように、第1クラッド層には、第1クラッド層に逆バイアスを印加するための第1印加用電極が形成され、光吸収層を挟んで第1クラッド層と反対側には、複数の第1印加用電極ごとに、第1印加用電極に対向する第2印加用電極が形成されるようにするとよい。
このように構成された光偏向器によれば、光吸収層を挟んで第1クラッド層と反対側において第1印加用電極に対向する領域だけでなく第1印加用電極と非対向となる領域にも印加用電極が形成されている場合と比較して、電圧印加領域である第1クラッド層に印加された電圧が電圧印加領域外の領域に影響を及ぼすことを抑制することができる。
また請求項2に記載の光偏向器では、請求項5に記載のように、複数の前記第1クラッド層はそれぞれ、他の第1クラッド層と電気的に接続されているようにしてもよい。
このように構成された光偏向器によれば、電圧印加領域である第1クラッド層の全てに同時に逆バイアスが印加されるので、上記回折格子周期は所定配置周期に固定される。したがって、電圧印加領域に逆バイアスが印加されていない場合には、入射光の入射方向と同じ方向で、光吸収層から光が出射される。そして、電圧印加領域に逆バイアスが印加された場合には、所定配置周期をLとして、式(2)で算出される出射角度θで、光吸収層から光が出射される。
L・sinθ =n・λ (nは整数) ・・・(2)
すなわち、光吸収層から光が出射する方向を、電圧印加領域への逆バイアス印加の有無に応じて2通り設定することができる。
また請求項1〜請求項5の何れかに記載の光偏向器では、請求項6に記載のように、入射垂直方向に沿った第1クラッド層の長さは、入射垂直方向に沿った第2クラッド層の長さよりも小さいようにするとよい。
このように構成された光偏向器によれば、上記の吸収領域を上記の透過領域より狭くすることができる。これにより、入射垂直方向に沿った第1クラッド層の長さが、入射垂直方向に沿った第2クラッド層の長さよりも大きい場合、即ち、吸収領域が透過領域より広い場合と比較して、多くの入射光を光吸収層から出射させることができ、入射光を有効に利用することができる。
ところで、回折格子周期dは、式(1)に基づいて、式(3)で表される。
d = n・λ/sinθ(nは整数) ・・・(3)
このため、「n=1」の場合には、回折格子周期dは、式(4)で表される。
d = λ/sinθ ・・・(4)
そして、sinθは1以下であるので、式(5)の関係式で表される。
d ≧ λ ・・・(5)
したがって、請求項1〜請求項6の何れかに記載の光偏向器では、請求項7に記載のように、所定配置周期は、入射光の波長よりも長いようにするとよい。
また請求項1〜請求項7の何れかに記載の光偏向器では、請求項6に記載のように、光吸収層は、量子井戸層とバリア層とが交互に積層された多重量子井戸構造により形成されているようにするとよい。
このように構成された光偏向器によれば、上記の吸収波長を、量子井戸層の厚さや材料によって設定することができる。
また請求項8に記載の光偏向機能付半導体レーザは、請求項1〜請求項7の何れかに記載の光偏向器と、半導体レーザとが同一基板上に形成されていることを特徴とする。
このように構成された光偏向機能付半導体レーザによれば、光偏向器と半導体レーザとを一体的に製造することができるので、光偏向器と半導体レーザとを別々に製造した後に組み合わせる場合と比較して、光偏向機能付半導体レーザをより小型化することが可能となる。
また請求項9に記載の光偏向機能付半導体レーザでは、請求項10に記載のように、半導体レーザの活性層は、量子井戸層とバリア層とが交互に積層された多重量子井戸構造により形成されているようにするとよい。
このように構成された光偏向機能付半導体レーザによれば、半導体レーザが発生させる光の波長を、量子井戸層の厚さや材料によって設定することができる。
また請求項10に記載の光偏向機能付半導体レーザでは、請求項11に記載のように、光吸収層は、量子井戸層とバリア層とが交互に積層された多重量子井戸構造により形成され、光吸収層の量子井戸層の厚さは、活性層の量子井戸層の厚さより薄いようにするとよい。
このように構成された光偏向機能付半導体レーザでは、光吸収層のバンドギャップエネルギーが、活性層のバンドギャップエネルギーより大きい。これにより光吸収層を、バンドギャップエネルギーが、半導体レーザが発生させる光のエネルギーより大きいバンドギャップを有するものとすることができる。
また請求項9〜請求項11の何れかに記載の光偏向機能付半導体レーザでは、請求項12に記載のように、半導体レーザは、入射光が入射する方向に沿って、入射光の波長に応じた周期の回折格子を有した分布帰還型レーザであるようにするとよい。
このように構成された光偏向機能付半導体レーザでは、半導体レーザが分布帰還型レーザであるので、半導体レーザの活性層で発生した光を回折格子で繰り返し反射させることでレーザ発振させることができる。これにより、活性層で発生した光を反射させるためのミラーを不要とすることができる。
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態について図面とともに説明する。
図1は本発明が適用された第1実施形態の光偏向機能付半導体レーザ1の斜視図、図2(a)は図1のA−A断面図、図2(b)は図1のB−B断面図である。
光偏向機能付半導体レーザ1は、図1に示すように、レーザ光を出射するレーザ部2と、レーザ部2がレーザ光を出射する側でレーザ部2に隣接して配置されて、レーザ部2から出射されたレーザ光を偏向する光偏向部3とを備える。
まずレーザ部2は、図2(a)に示すように、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsからなるn型クラッド層12、n−AlGaAsからなるn型ガイド層13、GaAsからなる量子井戸層14aとAlGaAsからなるバリア層14bとが交互に積層された多重量子井戸層14、p−AlGaAsからなるp型ガイド層15、p−AlGaAsからなるp型クラッド層16、p−GaAsからなるp型コンタクト層17が順次積層されて構成されている。なお上記の各層12〜17は、MOVPE法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)等により形成される。
さらに、コンタクト層17上にはCr/Pt/Auからなるp型電極18が、n−GaAs基板11の下面にはAu―Ge/Ni/Auからなるn型電極19が形成される。
なお、p型ガイド層15には、レーザ部2で発生する光が伝播する方向D1(図1を参照)に沿って周期的な凹凸(不図示)が形成されており、この凹凸が回折格子として機能する。これにより、レーザ部2で発生する光のうち、回折格子の間隔に対応した波長の光が共振し、レーザ部2からレーザ光として出射される。すなわち、レーザ部2は分布帰還型(DFB型)レーザを構成している。
次に光偏向部3は、図2(b)に示すように、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsからなるn型クラッド層22、n−AlGaAsからなるn型ガイド層23、GaAsからなる量子井戸層24aとAlGaAsからなるバリア層24bとが交互に積層された多重量子井戸層24、p−AlGaAsからなるp型ガイド層25、p−AlGaAsからなるp型クラッド層26、p−GaAsからなるp型コンタクト層27が順次積層されて構成されている。なお上記の各層22〜27は、MOVPE法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)等により形成される。なお、多重量子井戸層24は多重量子井戸層14と対向するように配置されている。また量子井戸層24aの厚さは、量子井戸層14aの厚さより薄くなるように設定されている。本実施形態では例えば、量子井戸層14aの厚さの厚さは8nm、量子井戸層24aの厚さは6nmである。
さらに、コンタクト層27上にはCr/Pt/Auからなるp型電極28が形成される。
なおp型電極28は、図1に示すように、レーザ光が入射する方向D1(以下、レーザ光入射方向D1という)に向かって延びる形状に形成され、レーザ光入射方向D1に対して垂直な方向D2に沿って一定の所定配置間隔G1で複数配置される。
そして図2(b)に示すように、p型クラッド層26及びp型コンタクト層27において、その上方にp型電極28が形成されていない領域は、エッチングにより除去され、p型クラッド層26と同一の屈折率を有する半絶縁性クラッド層29が埋め込まれる。
なお、p型クラッド層26の幅W1は、半絶縁性クラッド層29の幅W2より小さくなるように設定されている。
このように構成された光偏向機能付半導体レーザ1では、p型電極18に順バイアスを印加することによりレーザ部2がレーザ光を出射する。
また光偏向部3の多重量子井戸層24は、量子井戸層24aの厚さが量子井戸層14aの厚さより薄いので、レーザ部2から入射する光(以下、単に入射光という)のエネルギーより大きいバンドギャップを有する。すなわち、多重量子井戸層24が吸収することができる光の波長(以下、吸収波長ともいう)は、入射光の波長と比べて短くなっている。このため、多重量子井戸層24に電圧が印加されていない状態では、多重量子井戸層24に入射した入射光は多重量子井戸層24を透過する。一方、多重量子井戸層24は、逆バイアスが印加されると、電界吸収効果によって、入射光を吸収する。
また光偏向部3の多重量子井戸層24の上方には、逆バイアスを印加するためのp型クラッド層26が形成されている。このため、p型クラッド層26に逆バイアスを印加することにより、逆バイアスが印加されたp型クラッド層26の直下の多重量子井戸層24に入射する入射光を吸収することができる。そしてp型クラッド層26は、レーザ光入射方向D1に対して垂直な方向D2(以下、入射垂直方向D2ともいう)に沿って一定の所定配置間隔G1で形成されている。このため、多重量子井戸層24に入射する入射光を吸収する領域(以下、吸収領域ともいう)と、多重量子井戸層24に入射する入射光を透過する領域(以下、透過領域ともいう)とを入射垂直方向D2に沿って交互に形成することができる。すなわち、入射垂直方向D2に沿って回折格子を形成することができる。なお、複数のp型電極28のうちで、逆バイアスを印加するp型クラッド層26を選択することで、上記回折格子の間隔(以下、回折格子間隔ともいう)を変えることができる。
そして、多重量子井戸層24に入射した入射光のうち、各透過領域から出射した光は干渉し合い、上記回折格子間隔に応じた出射角度θをもって強めあう。なお出射角度θは、入射光の波長をλ、回折格子間隔をdとして、上式(1)で算出することができる。
したがって、逆バイアスを印加するp型クラッド層26を選択して回折格子間隔dを設定することによって、すなわち、p型クラッド層26への電圧印加の有無によって、出射角度θを一意に制御することができるため、特許文献1,2に記載の技術と比較して、光の偏向角制御を容易にすることができる。
また、多重量子井戸層24の上方には、導電性のp型クラッド層26と、第1クラッド層と同一の屈折率を有し、且つ、半絶縁性クラッド層29とが入射垂直方向D2に沿って所定配置間隔G1で交互に配置されることにより形成される領域(以下、クラッド層領域ともいう)を備え、p型クラッド層26に逆バイアスが印加される。これにより、p型クラッド層26に印加された電圧が、p型クラッド層26の直下以外の領域に影響を及ぼすことを抑制することができる。さらに、p型クラッド層26と半絶縁性クラッド層29とが同一の屈折率を有しているので、p型クラッド層26と半絶縁性クラッド層29との界面を通過する光が屈折して、光の伝播方向が変化してしまうことを防止することができる。
また、複数のp型クラッド層26はそれぞれ、他のp型クラッド層26に対して電気的に独立している。これにより、逆バイアスを印加するp型クラッド層26を選択して回折格子間隔dを設定することにより、出射角度θを設定することができる。
また、p型クラッド層26の幅W1は半絶縁性クラッド層29の幅W2より狭いため、上記の吸収領域が上記の透過領域より狭い。これにより、吸収領域が透過領域より広い場合と比較して、多くの入射光を光偏向部3から出射させることができ、入射光を有効に利用することができる。
また多重量子井戸層24は、量子井戸層24aとバリア層24bとが交互に積層された多重量子井戸構造により形成されている。これにより、上記の吸収波長を、量子井戸層24aの厚さや材料によって設定することができる。
また光偏向機能付半導体レーザ1は、レーザ部2と光偏向部3とが同一基板11上に形成されている。これにより、レーザ部2と光偏向部3とを一体的に製造することができるので、レーザ部2と光偏向部3とを別々に製造した後に組み合わせる場合と比較して、光偏向機能付半導体レーザ1をより小型化することが可能となる。
また多重量子井戸層14は、量子井戸層14aとバリア層14bとが交互に積層された多重量子井戸構造により形成されている。これにより、レーザ部2が発生させる光の波長を、量子井戸層14aの厚さや材料によって設定することができる。
またレーザ部2は分布帰還型(DFB型)レーザを構成している。これにより、多重量子井戸層14で発生した光を反射させるためのミラーを不要とすることができる。
以上説明した実施形態において、光偏向部3は本発明における光偏向器、多重量子井戸層24は本発明における光吸収層、p型クラッド層26及びp型電極28は本発明における電圧印加領域、p型クラッド層26及び半絶縁性クラッド層29は本発明におけるクラッド層領域、p型クラッド層26は本発明における第1クラッド層、半絶縁性クラッド層29は本発明における第2クラッド層、p型電極28は本発明における第1印加用電極である。
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態について図面とともに説明する。尚、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
第2実施形態の光偏向機能付半導体レーザ1は、光偏向部3の構成が変更された点以外は第1実施形態と同じである。図3は第2実施形態の光偏向機能付半導体レーザ1の斜視図、図4は図3のB−B断面図である。
光偏向部3は、図3及び図4に示すように、p型電極28の代わりにp型電極38が形成されている点以外は第1実施形態と同じである。p型電極38は、p型コンタクト層27及び半絶縁性クラッド層29の上面全体を覆うように形成される。
このように構成された光偏向機能付半導体レーザ1では、p型クラッド層26の全てに同時に逆バイアスが印加されるので、回折格子間隔dは所定配置間隔G1に固定される。したがって、p型電極38に逆バイアスが印加されていない場合には、入射光の入射方向(レーザ光入射方向D1)と同じ方向で、光偏向部3から光が出射される。そして、p型電極38に逆バイアスが印加された場合には、式(6)で算出される出射角度θで、光吸収層から光が出射される。
G1・sinθ =n・λ (nは整数) ・・・(6)
すなわち、光吸収層から光が出射する方向を、p型電極38への逆バイアス印加の有無に応じて2通り設定することができる。またp型電極38は、p型電極28と異なり、狭い間隔で配置される細い形状のパターンを複数形成する必要がないので、製造プロセスを簡単にすることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば、上記実施形態においては、p型クラッド層26及びp型コンタクト層27においてp型電極28が形成されていない領域に半絶縁性クラッド層29が埋め込まれるものを示したが、半絶縁性クラッド層29の代わりにn型クラッド層が埋め込まれるものであってもよい。
また上記実施形態においては、n−GaAs基板11の下面全体を覆うようにn型電極19が形成されているものを示したが、図5に示すように、p型電極18に対向する領域にn型電極39が形成されるようにしてもよい。これにより、n型電極19が形成されている場合と比較して、p型クラッド層26に印加された電圧が、p型クラッド層26の直下以外の領域に影響を及ぼすことを抑制することができる。なお、n型電極39は本発明における第2印加用電極である。
第1実施形態の光偏向機能付半導体レーザ1の斜視図である。 第1実施形態のレーザ部2及び光偏向部3の断面図である。 第2実施形態の光偏向機能付半導体レーザ1の斜視図である。 第2実施形態の光偏向部3の断面図である。 別の実施形態の光偏向部3の断面図である。
符号の説明
1…光偏向機能付半導体レーザ、2…レーザ部、3…光偏向部、11…n−GaAs基板、12,22…n型クラッド層、13,23…n型ガイド層、14,24…多重量子井戸層、14a,24a…量子井戸層、14b,24b…バリア層、15,25…p型ガイド層、16,26…p型クラッド層、17,27…p型コンタクト層、18,28,38…p型電極、19,39…n型電極、29…半絶縁性クラッド層

Claims (12)

  1. 入射光の伝播方向を変更する光偏向器であって、
    バンドギャップエネルギーが前記入射光のエネルギーより大きいバンドギャップを有するともに、逆バイアスが印加されることにより前記入射光を吸収することができる光吸収層を含む伝播領域を備え、
    前記光吸収層には、前記入射光が入射する方向に対して垂直な方向である入射垂直方向に沿って一定の所定配置周期で、前記逆バイアスを印加するための電圧印加領域が形成されており、電圧印加の有無により、前記光吸収層の電界吸収効果によって、一定周期で入射光を吸収させることにより、一定周期の透過領域を透過した光を回折、干渉することによって、出射角度を制御する
    ことを特徴とする光偏向器。
  2. 導電性の第1クラッド層と、前記第1クラッド層と同一の屈折率を有し、且つ、前記第1クラッド層と逆の導電型または半絶縁性を有する第2クラッド層とが前記入射垂直方向に沿って前記所定配置周期で交互に配置されることにより形成されるクラッド層領域を備え、
    前記電圧印加領域は、前記第1クラッド層である
    ことを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。
  3. 複数の前記第1クラッド層はそれぞれ、他の前記第1クラッド層に対して電気的に独立している
    ことを特徴とする請求項2に記載の光偏向器。
  4. 前記第1クラッド層には、該第1クラッド層に前記逆バイアスを印加するための第1印加用電極が形成され、
    前記光吸収層を挟んで前記第1クラッド層と反対側には、複数の前記第1印加用電極ごとに、該第1印加用電極に対向する第2印加用電極が形成される
    ことを特徴とする請求項3に記載の光偏向器。
  5. 複数の前記第1クラッド層はそれぞれ、他の前記第1クラッド層と電気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の光偏向器。
  6. 前記入射垂直方向に沿った前記第1クラッド層の長さは、前記入射垂直方向に沿った前記第2クラッド層の長さよりも小さい
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の光偏向器。
  7. 前記所定配置周期は、前記入射光の波長よりも長い
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の光偏向器。
  8. 前記光吸収層は、量子井戸層とバリア層とが交互に積層された多重量子井戸構造により形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の光偏向器。
  9. 請求項1〜請求項7の何れかに記載の光偏向器と、半導体レーザとが同一基板上に形成されている
    ことを特徴とする光偏向機能付半導体レーザ。
  10. 前記半導体レーザの活性層は、量子井戸層とバリア層とが交互に積層された多重量子井戸構造により形成されている
    ことを特徴とする請求項9に記載の光偏向機能付半導体レーザ。
  11. 前記光吸収層は、量子井戸層とバリア層とが交互に積層された多重量子井戸構造により形成され、
    前記光吸収層の量子井戸層の厚さは、前記活性層の量子井戸層の厚さより薄い
    ことを特徴とする請求項10に記載の光偏向機能付半導体レーザ。
  12. 前記半導体レーザは、
    前記入射光が入射する方向に沿って、前記入射光の波長に応じた周期の回折格子を有した分布帰還型レーザである
    ことを特徴とする請求項9〜請求項11の何れかに記載の光偏向機能付半導体レーザ。
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