JP5081642B2 - 液体現像剤、および液体現像剤を用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
また、液体現像剤は、乾式現像剤とは異なり、鉄粉キャリアなどの質量が重いキャリアを用いることがないので、画像形成装置への負担が少なく、高速プリントに対応できる。
熱ロール定着用の液体現像剤としては、例えば特許文献1、2に、低沸点の脂肪族炭化水素を主成分とする担体液中にトナーが分散した液体現像剤が開示されている。
しかし、低沸点の脂肪族炭化水素を溶剤として用いると、定着時に脂肪族炭化水素の蒸気が複写機の外(すなわち、大気中)に放出することがあった。また、低沸点の脂肪族炭化水素が大気中に放出されると、臭いが発生することがあった。さらに、脂肪族炭化水素を含有する液体現像剤を用いる場合、通常、定着ロールにシリコーンオイルを塗布するので、シリコーンオイルを供給する供給装置を設ける必要があり、画像形成装置の構成が複雑になったり、消耗品部材が増えたりするなどの問題があった。
しかし、特許文献3に記載の液体トナーでは、油脂を溶かす目的で金属類を含有したドライヤーを使用する場合、多くの熱エネルギーを消費することがあった。また、油脂が溶ける際に臭いが発生したり、定着に時間がかかったりするなどの問題があった。
また、高沸点の液体キャリアを含有した液体現像剤は、通常、液体キャリアが記録媒体へ浸透することで画像が定着するので、溶剤が揮発して大気中に放出されることは起こりにくくなるが、液体キャリアが記録媒体中にそのままの状態で残存することになるため、定着力が低下する傾向にあった。
しかし、化学反応により画像を定着させる方法では、液体現像剤を用いて感光体上の静電潜像を現像する場合、液体現像剤や該液体現像剤に含まれる液体キャリアの抵抗が低いとにじみが発生したり、画像ボケが発生したりすることがあった。
しかし、このような液体現像剤は、トナーを分散させるために低揮発性の溶媒(キャリアオイル)を用いているため、記録媒体上に画像を定着させる際にトナーが記録媒体上に定着しにくかったり、定着しても揮発せずに残存するキャリアオイルにより擦過性が低くなったりする場合があった。これを解決するには、例えば画像の定着前に複数の除去ローラを設置してキャリアオイルを除去すればよいが、装置の大型化や機構の複雑化といった新たな問題が生じることとなる。
光硬化型モノマー液は、紫外線などの光が照射されると前記光重合開始剤がラジカル反応を誘発し、炭素同士の官能性不飽和基を有するモノマー、またはオリゴマーが架橋して硬化する。従って、前記光硬化型モノマー液を用いた液体現像剤は、溶媒ごと記録媒体上に画像を定着させることができ、溶媒を除去するための部材の設置を軽減できる。
しかし、上述したアクリレートに体表されるモノマー、またはオリゴマーは、極性を有するので溶媒の比抵抗が低く、現像時に感光体表面の電荷が液体現像剤に移動しやすい。その結果、感光体表面の電位が低下し、画像のにじみや画像ボケなどが発生する場合があった。
このように、光硬化型モノマー液を高抵抗にすることで、感光体表面の電位が低下するのを抑え、画像のにじみや画像ボケなどが発生するのを抑制できる。
しかしながら、特許文献4、5に記載の液体現像剤では、感光体上に液体現像剤が残留すると、除電光により光硬化型モノマー液中のモノマー、またはオリゴマーが硬化することがあった。そのため、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物が汚れ(スケーリング)として感光体の表面に付着し、感光体が劣化することがあった。この傾向は、長期に渡って液体現像剤を使用したり、画像の印刷枚数が増えたりするに連れて顕著になりやすい。
さらに、前記光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが多官能性であることが好ましい。
[液体現像剤]
本発明の液体現像剤は、感光体の表面を除電する除電装置を備えた画像形成手段を具備する画像形成装置に用い、結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子が分散用溶液に分散したものである。
分散用溶液は、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーと、光重合開始剤と、光重合禁止剤とを含む。また、分散用溶液として、前記光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーに、前記光重合開始剤および前記光重合禁止剤が溶解した第一の溶液と、該第一の溶液の流動性を向上させる非水系の第二の溶液とを含む溶液を用いてもよい。第二の溶液を含有することで、第一の溶液の流動性が向上するので、トナー粒子がより分散しやすくなる。
以下、第一の溶液と第二の溶液とを含む分散用溶液の一例について具体的に説明する。
第一の溶液は、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーに、光重合開始剤および光重合禁止剤が溶解した溶液である。第一の溶液は、紫外線などの光が照射されると光重合開始剤がラジカル反応を誘発し、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが架橋して硬化する。この原理を利用して画像を記録媒体上に定着させることができる。
光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーは、上述した官能性不飽和基を複数有する多官能性であることが好ましい。多官能性であることにより、硬化速度が速まり、より短時間で画像が定着できるようになる。従って、記録媒体が光定着手段を通過する短時間の間でも、十分に光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが硬化するので、記録媒体上に画像が定着しやすくなる。
なお、本発明において「除電光の発光波長領域」とは、画像形成装置に備わる除電装置から照射される除電光の波長領域のことである。
また、光重合開始剤として、除電光の発光波長領域以外の波長領域のみで、前記光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーを光硬化させる光重合開始剤を用いることで、感光体上に液体現像剤が残留した状態で、次の周回による画像形成に備えて感光体の表面を除電しても、光重合開始剤が反応しないので光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが硬化しにくい。よって、感光体表面に、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物が汚れ(スケーリング)として付着しにくく、感光体の劣化を抑制できる。
さらに、第一の溶液に光重合禁止剤を含有させることで、熱による反応を抑制でき、安定した液体現像剤が得られる。
導電率の低い溶剤としては、例えば流動性パラフィン等の炭化水素系溶剤などが挙げられる。
第二の溶液は、前記第一の溶液の流動性を向上させる非水系の溶液である。第二の溶液としては、電気絶縁性を有するもので、25℃における体積抵抗が1010Ω・cm以上の有機溶媒が好ましく、これにより得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることができる。
このような有機溶媒としては、液体の脂肪族炭化水素が挙げられ、例えば液状のn−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、またはその混合物が好ましい。具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、有機溶媒としては、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素が特に好ましい。分岐鎖を有する脂肪族炭化水素としては市販のものを用いてもよく、例えばエクソンモービル社製のアイソパーG、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV等が好適である。
このような有機溶媒は、沸点が概ね150℃以上と比較的高いため、大気中に放出されても臭いが発生しにくい。
乳化剤の配合量は、第二の溶液100質量%中、0.01〜1.0質量%が好ましい。
アニオン乳化剤としては、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、リン酸アルキル塩などが挙げられる。
カチオン乳化剤としては、高級アミンハロゲン酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム、第四アンモニウム塩などが挙げられる。
ノニオン乳化剤としては、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミノ基変性シリコーン、カルボキシル基変性シリコーン、ビニル基変性シリコーン、ヒドロキシル基変性シリコーンなどが挙げられる。
両性乳化剤としては、レシチン、アルキルイミダゾリニウム塩、アルキルカルボキシルベタイン、各種アミノ酸などが挙げられる。
顔料分散剤としては、市販のものを用いることができる。例えば、ビックケミー社製のBYK−116などが好適である。
トナー粒子は結着樹脂および着色剤を含有する。
(結着樹脂)
結着樹脂は、帯電制御樹脂を含有するのが好ましい。帯電制御樹脂は無色であり、高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定した液体現像剤を得ることができる。
また、帯電制御樹脂は、トナー粒子の帯電性に応じて負帯電制御樹脂または正帯電制御樹脂を用いる。
また前記スルホン酸基またはその塩を含有するモノビニル単量体と共重合可能な他のモノビニル単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、芳香族ビニル単量体、及びエチレン性不飽和ニトリル単量体等が挙げられる。
また、負帯電制御樹脂は、ガラス転移温度が40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは45〜75℃であり、さらに好ましくは45〜70℃である。ガラス転移温度が前記下限値未満であると、トナー粒子の保存性が低下する場合がある。一方、ガラス転移温度が前記上限値を超えると、記録媒体上への画像の定着性が低下する場合がある。
このような樹脂は、例えばアミノ基を含有するモノビニル単量体と、これと共重合可能な他のモノビニル単量体とを共重合したり、この共重合により得られる共重合体をアンモニウム塩化したりすることによって得られる。また、アンモニウム塩基を含有するモノビニル単量体と、これと共重合可能な他のモノビニル単量体と共重合することによっても得られるが、これらに限定されない。
一方、アミノ基を含有するモノビニル単量体と共重合可能な他のモノビニル単量体としては、負帯電性制御樹脂に用いられる公知のモノビニル単量体を用いることができる。
一方、アンモニウム塩基を含有するモノビニル単量体と共重合可能な他のモノビニル単量体としては、負帯電性制御樹脂に用いられる公知のモノビニル単量体を用いることができる。
また、正帯電制御樹脂は、ガラス転移温度が40〜100℃であることが好ましく、より好ましくは45〜80℃であり、さらに好ましくは45〜70℃である。ガラス転移温度が前記下限値未満であると、トナー粒子の保存性が低下する場合がある。一方、ガラス転移温度が前記上限値を超えると、記録媒体上への画像の定着性が低下する場合がある。
他の樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等。)、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等。)、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
着色剤としては、公知の顔料や染料を用いることができる。
例えば黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物などが挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKなどが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCなどが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、5〜30質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。
帯電制御樹脂による着色剤の表面の被覆率は、表面全体(100%)に対して0.1〜70%が好ましく、5〜40%がより好ましい。被覆率が0.1%未満であると、トナー粒子の帯電に寄与する効果が低くなる傾向にある。一方、被覆率が70%を越えると、液体現像剤中のトナー粒子の導電率が高くなり、像流れや画像ボケなどが発生する場合がある。
なお、帯電制御樹脂による着色剤の表面の被覆率は、混練条件を調節することで調整できる。例えば、被覆率を増加させる場合は、混練温度を高く設定したり、混練時間を長く設定したりすればよい。
ここで、本発明の液体現像剤の製造方法の一例について説明する。
まず、帯電制御樹脂および着色剤の混合物を混練して、着色剤の表面の少なくとも一部が帯電制御樹脂により被覆されたトナー混練物を調製する。トナー混練物は、粉砕器を用いて所望の粒子径にまで粉砕され、トナー粒子となる。混練の条件は先に示したものと同様である。
まず、トナー粒子と第二の溶液とを分散機で混合して、トナー粒子が第二の溶液に分散した現像剤原液を得る。
配合割合は、トナー粒子100質量部に対して第二の溶液の配合量は50〜1000質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。
配合割合は、現像剤原液100質量部に対して第一の溶液の配合量は50〜2000質量部が好ましく、100〜1200質量部がより好ましい。
さらに、第一の溶液に光重合禁止剤を含有させることで、熱による反応を抑制でき、安定した液体現像剤が得られる。
本発明の液体現像剤は、電子写真方式の一般の画像形成装置において好適に使用できる。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、図1はタンデム方式を採用したカラープリンタを示すものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等にも好適に用いることができる。
この例の画像形成装置1は、本発明の液体現像剤を用いて画像を形成する画像形成手段2と、記録媒体(紙など)を収容する給紙カセット3と、画像形成手段2で形成された画像を記録媒体上に転写する二次転写手段4と、転写された画像を記録媒体上に定着させる光定着手段5と、定着の完了した記録媒体を排出する排出手段6と、給紙カセット3から排出手段6まで記録媒体を搬送する用紙搬送手段7とを具備する。
中間転写ベルト20は、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、駆動ローラ22およびテンションローラ23に張架されて、図1において時計回りに走行する。なお、中間転写ベルト20の走行において、外側を向く面を中間転写ベルト20の表面と称し、他方の面を裏面と称する。
クリーニング部21は、クリーニングローラ211とクリーニングブレード212とを備える。
各画像形成ユニットには、感光体10と、帯電器11と、露光装置12と、現像装置13と、一次転写ローラ14と、クリーニング装置15と、除電装置16と、キャリア液除去ローラ17とを備える。
各画像形成ユニットには、それぞれ液体現像剤循環装置(図示略)が設けられ、各色に対応した本発明の液体現像剤の供給、および回収が行われる。
帯電器11は、感光体10の表面を一様に帯電させることができる装置である。
露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機械から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体10の表面に光を照射する。これにより、感光体10の表面には静電潜像が形成される。なお、露光装置12の光源は、後述する除電装置16の光源と同じ種類の光源を用いてもよい。
クリーニング装置15は、感光体10から記録媒体に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置であって、残留現像剤搬送スクリュー151と、クリーニングブレード152とを備える。
除電用の光源としては、発光ダイオード(LED)等の公知のものを使用できる。また、450〜780nmの波長の光源を使用するのが好ましい。このような光源としては、例えば浜松フォトニクス社製の赤色発光ダイオード(赤色LED)などが好適である。
二次転写手段4は中間転写ベルト20上に形成された画像(トナー像)を記録媒体に転写するものであって、中間転写ベルト20を駆動させる駆動ローラ22と、該駆動ローラ22に対向して配置された二次転写ローラ41とを備える。
光定着用光源51から照射される光としては紫外線、赤外線などが挙げられる。中でも紫外線が好ましい。紫外線を照射する光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプなどのランプが挙げられる。また、市販のランプを用いてもよく、例えばFusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプなどが好適である。さらに、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や、紫外線発光半導体レーザなどの紫外線発光半導体素子により、紫外線を照射することもできる。
なお、光定着用光源51から照射される光の波長は、除電装置から照射される除電光の波長と異なるものとする。
用紙搬送手段7は、複数の搬送ローラ対を備え、給紙カセット3から二次転写手段4や定着手段5、排出手段6に記録媒体を搬送する。
まず、帯電器11によって感光体10の表面を帯電させる。ついで、露光装置12によって感光体の表面を露光して静電潜像を形成する。ついで、現像装置13によって感光体10上の静電潜像に本発明の液体現像剤を付着させて静電潜像をトナー像(画像)として現像する。このようにして各画像形成ユニットで形成された画像を感光体10から中間転写ベルト20に転写し、該中間転写ベルト20上で重ね合わせてカラートナー像とする。
カラートナー像の形成と同時に給紙カセット3に収容される記録媒体を用紙搬送手段7に沿って搬送し、中間転写ベルト20への一次転写とタイミングを合わせて二次転写手段4に送り込み、二次転写手段4で中間転写ベルト20上のカラートナー像(画像)を記録媒体上に転写させる。
例えば、光定着用光源51から紫外線を照射する場合、紫外線の照射量は、10〜10000mJ/cm2であることが好ましく、50〜6000mJ/cm2であることがより好ましい。
このようにして画像が定着された記録媒体は、排出手段6によって画像形成装置1の外部に排出される。
[実施例1]
<液体現像剤の調製>
帯電制御樹脂(藤倉化成社製、「FCA−1001−NS」)60部と、着色剤としてToner Yellow HG VP2155(クラリアント社製、「PY180」)40部との混合物を3本ロール付混練器に投入し、90℃で1時間混練してトナー混練物を得た。
得られたトナー混練物を十分冷却した後、カッターミルを用いて粗粉砕し、さらにジェットミル(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕し、トナー粒子を得た。
ついで、顔料分散剤(ビックケミー社製、「BYK−116」)1部を添加し、全量を70部とした第二の溶液(エクソンモービル製、「アイソパーH」)と、得られたトナー粒子30部とを混合し、サンドグラインダー(IGARASHI KIKAI SEIZO CO.,Ltd.製)により、メディアとして直径1mmのガラスビーズ(150mL)を用いて、ウォータージャケット付1/8ガロンベッセル内にて、冷却水温度5℃、ディスク回転数2000rpmで3時間処理することにより湿式グラインディングし、現像剤原液を調製した。
先に得られた現像剤原液100部に第一の溶液900部を加えて希釈し、分散処理器(特殊機化工業社製、「T.K.オートホモミクサーM型」)を用いて10000rpmで3分間分散処理して、負帯電性の液体現像剤を得た。
(画像濃度の評価)
得られた液体現像剤を、図1に示すような画像形成装置にセットした。ついで、感光体上に、長手方向の長さ(回転中心線方向の長さ)が20cm、周方向の長さ(感光体回転方向の長さ)が5cmの帯状の静電潜像を形成し、該静電潜像を記録媒体(紙)に転写し、発光中心波長350nmの高圧水銀ランプを用い、紫外線を照射して、記録媒体上に20cm×5cmの帯状画像を形成し、これを初期画像とした。なお、紫外線の照射量は、5000mJ/cm2に設定した。また、露光装置および除電装置の光源として、発光中心波長が470nmのLED(浜松フォトニクス社製)を用いた。
この画像形成を10万枚繰り返し行い、10万枚印刷後の帯状画像(耐刷後画像)を得た。
得られた初期画像および耐刷後画像について画像濃度を測定し、画像濃度比{(耐刷後画像の画像濃度/初期画像の画像濃度)×100}を求めた。結果を表1に示す。
なお、画像濃度は、帯状画像の長手方向の両端からそれぞれ5cm内側、かつ周方向の幅の中心に位置する箇所と、帯状画像の中心に位置する箇所での反射濃度を反射濃度計(SAKURA社製、「デンシトメーター PDM5」)にてそれぞれ測定し、その平均値を画像濃度とした。
画像濃度の評価と同様にして10万枚印刷した後、除電光を照射して感光体上の電荷を除電した。除電光の照射に起因した光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物による感光体上の汚れ(スケーリング)の有無について、目視にて確認した。結果を表1に示す。
帯電制御樹脂として、藤倉化成社製の「FCA−1001−NS」の代わりに、藤倉化成社製の「FCA−207P」を用いた以外は実施例1と同様にして、正帯電性の液体現像剤を得た。
得られた正帯電性の液体現像剤について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計、および攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を1450部と、イソフタル酸890部とを投入し、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200℃〜240℃の温度下で脱水重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価または反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、脱水重縮合を停止させ、熱可塑性飽和ポリエステル樹脂を得た。得られた熱可塑性飽和ポリエステル樹脂は、Mw=6500、Mn=2500、Tg=55.1℃、酸価=25.0mgKOH/gであった。
得られた熱可塑性飽和ポリエステル樹脂60部と、着色剤としてToner Yellow HG VP2155(クラリアント社製、「PY180」)40部との混合物を3本ロール付混練器に投入し、180℃で4時間混練して高濃度着色剤混練物を得た。ニーダーを用いて、高濃度着色剤混練物を前記熱可塑性飽和ポリエステル樹脂で希釈し、最終的に着色剤濃度が15質量%の着色樹脂混練物を得た。
得られた着色樹脂混練物を十分冷却した後、カッターミルを用いて粗粉砕し、さらにジェットミル(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕し、トナー粒子を得た。
ついで、顔料分散剤(ビックケミー社製、「BYK−116」)1部を添加し、全量を70部とした第二の溶液(エクソンモービル製、「アイソパーH」)と、得られたトナー粒子30部とを混合し、サンドグラインダー(IGARASHI KIKAI SEIZO CO.,Ltd.製)により、メディアとして直径1mmのガラスビーズ(150mL)を用いて、ウォータージャケット付1/8ガロンベッセル内にて、冷却水温度5℃、ディスク回転数2000rpmで4時間処理することにより湿式グラインディングし、現像剤原液を調製した。
先に得られた現像剤原液100部に第一の溶液900部を加えて希釈し、分散処理器(特殊機化工業社製、「T.K.オートホモミクサーM型」)を用いて10000rpmで5分間分散処理して、正帯電性の液体現像剤を得た。
得られた正帯電性の液体現像剤について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
帯電制御剤として、オリエント化学工業社製の「P51」の代わりに、オリエント化学工業社製の「ボントロンE−88」を用いた以外は参考例3と同様にして、負帯電性の液体現像剤を得た。
得られた負帯電性の液体現像剤について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーとして、N−ビニルホルムアミド40部、およびメタクリル酸2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル(日本触媒社製、「VEEM」)80部に、可視光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフォンオキシド、吸収波長領域:400〜600nm)3部と、光重合禁止剤(ハイドロキノンモノメチルエーテル)0.1部を溶解させ、これを流動パラフィン(クリストールN42)に添加し、全量を900部とした混合液を調製した。
得られた混合液を第一の溶液の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして、負帯電性の液体現像剤を得た。
得られた負帯電性の液体現像剤について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
また、実施例および参考例で得られた液体現像剤は、10万枚印刷しても感光体表面に、除電光の照射に起因した光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーの硬化物による汚れが付着しにくく、長期に渡って感光体の劣化を抑制できた。
また、10万枚印刷後の感光体に除電光を照射すると、感光体表面に残留した液体現像剤中の光重合開始剤(可視光重合開始剤)が除電光に反応して、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーを硬化させ、硬化物が汚れとして感光体表面に付着した。
Claims (4)
- 感光体の表面を除電する除電装置を備えた画像形成手段を具備する画像形成装置に用いる、結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子が分散用溶液に分散した液体現像剤において、
前記分散用溶液は、光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーと、光重合開始剤と、光重合禁止剤とを含み、
前記光重合開始剤は、前記除電装置より照射される除電光の発光波長領域以外にのみ吸収波長領域を有し、
前記結着樹脂は帯電制御樹脂を含有し、該帯電制御樹脂により前記着色剤の表面の少なくとも一部が被覆されたことを特徴とする液体現像剤。 - 前記分散用溶液は、前記光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーに、前記光重合開始剤および前記光重合禁止剤が溶解した第一の溶液と、該第一の溶液の流動性を向上させる非水系の第二の溶液とを含むことを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記光硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーが多官能性であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 感光体の表面を除電する除電装置を備え、かつ請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤を用いて画像を形成する画像形成手段と、記録媒体上に転写された画像に光を照射して記録媒体上に画像を定着させる光定着手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
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