JP2009169262A - 液体現像剤およびその製造方法、ならびに液体現像剤を用いた画像形成装置 - Google Patents

液体現像剤およびその製造方法、ならびに液体現像剤を用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期に渡って記録媒体上への画像の定着性を維持し、かつ画像の変色を抑制できる液体現像剤およびその製造方法、ならびに液体現像剤を用いた画像形成装置を実現する。
【解決手段】絶縁性有機溶媒中に、帯電制御樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、電磁波吸収剤とを含有するトナーが分散した液体現像剤であって、前記着色剤と前記電磁波吸収剤とが、前記帯電制御樹脂と共にフラッシング処理されたことを特徴とする液体現像剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤およびその製造方法、ならびに液体現像剤を用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式における現像法としては、粉体のトナー(乾式現像剤)を用いる乾式現像法が一般的である。また、近年、絶縁性を有する液体キャリアにトナーを分散させた液体現像剤を用いる湿式現像法が知られている。
また、電子写真方式において、紙などの記録媒体上に転写された画像を定着させる方法としては、従来、ヒートロール方式が主に採用されている。
しかし、ヒートロール方式は、画像が転写された記録媒体を加熱したロールの間を通過させることで、トナーを記録媒体に熱圧着させるものであるため、定着部で目詰まりが生じたり、画像が押し潰されるため解像度が低下したりすることがあった。そのため、使用する記録媒体の種類が制限される等の問題があった。また、ヒートロール方式は、記録媒体に転写された画像を定着させるのに多大な熱エネルギーを必要とするため、消費電力が増える傾向にある。そのため、ヒートロール方式は、近年の省エネルギー化の傾向を考慮すると必ずしも好適ではなかった。
このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、ヨウ素価130以上の油脂を含むトナー粒子を絶縁性の媒体に分散させた液体トナーが開示されている。該液体トナーは、トナー中に含まれたヨウ素価130以上の油脂が記録媒体上に定着された後、空気に触れることで比較的短時間で固化することができ、消費電力の抑制が期待される。
また、UVなどを用いた化学反応により記録媒体上に転写された画像を定着させる方法が提案されている。
しかし、特許文献1に記載の液体トナーでは、油脂を溶かす目的で金属類を含有したドライヤーを使用する場合、多くの熱エネルギーを消費することがあった。また、油脂が溶ける際に臭いが発生したり、定着に時間がかかったりするなどの問題があった。
一方、化学反応により画像を定着させる方法では、液体現像剤を用いて感光体上の静電潜像を現像する場合、液体現像剤や該液体現像剤に含まれる液体キャリアの抵抗が低いとにじみが発生したり、画像ボケが発生したりすることがあった。
ところで、液体現像剤用の液体キャリアとしては、IsoperやNorperに代表される炭化水素系有機溶媒やシリコーンオイル、植物油などのキャリアオイルが知られている。そして、これらキャリアオイル中にトナーが分散して液体現像剤を構成する。液体現像剤は、トナー同士の凝集作用を防ぐことができるので、乾式現像剤に比べて粒子径の小さいトナーを用いることができ、解像度の高い画像形成を行うことができる。
しかし、このような液体現像剤は、トナーを分散させるために低揮発性の溶媒(キャリアオイル)を用いているため、記録媒体上に画像を定着させる際にトナーが記録媒体上に定着しにくかったり、定着しても揮発せずに残存するキャリアオイルにより擦過性が低くなったりする場合があった。これを解決するには、例えば画像の定着前に複数の除去ローラを設置してキャリアオイルを除去すればよいが、装置の大型化や機構の複雑化といった新たな問題が生じることとなる。
そこで、炭化水素系有機溶媒やシリコーンオイルなどの代替キャリアとして、近年、光硬化型モノマー液が用いられている。該光硬化型モノマー液は、アクリレートなどに代表される炭素同士の官能性不飽和基を有するモノマー、またはオリゴマーから構成される液体に、光重合開始剤(電磁波吸収剤)を分散または溶解させたものである。
光硬化型モノマー液は、紫外線などの光が照射されると前記光重合開始剤がラジカル反応を誘発し、炭素同士の官能性不飽和基を有するモノマー、またはオリゴマーが架橋して硬化する。従って、前記光硬化型モノマー液を用いた液体現像剤は、溶媒ごと記録媒体上に画像を定着させることができ、溶媒を除去するための部材の設置を省略できる。
また、光硬化型モノマー液を用いた液体現像剤は、紫外線などの光を照射すると光重合開始剤(電磁波吸収剤)が光エネルギーを熱エネルギーに変換して熱を放出するので、該熱を利用して記録媒体上に画像を定着させることができる。従って、従来のようなヒートロール方式を採用しなくてもよく、画像形成装置の消費エネルギーを抑えることができる。
しかし、上述したアクリレートに体表されるモノマー、またはオリゴマーは、極性を有するので溶媒の比抵抗が低く、現像時に感光体表面の電荷が液体現像剤に移動しやすい。その結果、感光体表面の電位が低下し、画像のにじみや画像ボケなどが発生する場合があった。
そこで、例えば特許文献2、3には、高抵抗の光反応開始剤を用いることで抵抗を高めた光硬化型モノマー液を含有した液体現像剤が開示されている。
このように、光硬化型モノマー液を高抵抗にすることで、感光体表面の電位が低下するのを抑え、画像のにじみや画像ボケなどが発生するのを抑制できる。
特開平8−272153号公報 特開2003−57883公報 特開2005−352363公報
しかしながら、特許文献2、3に記載の液体現像剤では、長期に渡って使用を続けるとアクリレートに代表されるモノマー、またはオリゴマーに分散した光重合開始剤(電磁波吸収剤)の濃度が変化して、画像の定着性が低下しやすかった。
ところで、液体キャリアに分散させるトナーは結着樹脂と着色剤とを混練して作製するのが通常である。
しかし、結着樹脂と着色剤とを混練する際に、例えば赤外線吸収剤などの電磁波吸収剤を添加すると、赤外線吸収剤が焼結し、得られるトナーの色調が黒く変色することがあった。このようなトナーを用いた液体現像剤や、該液体現像剤より形成される画像も黒く変色しやすく、画質が低下しやすかった。
また、一般的に、赤外線吸収剤自体の融点が混練温度よりも高いため、赤外線吸収剤がトナー中で均一に分散されにくかった。そのため、紫外線などの光を照射することで光エネルギーを熱エネルギーに変換しても熱が均一に放出されにくく、その結果、画像の定着性が低下しやすかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、長期に渡って記録媒体上への画像の定着性を維持し、かつ画像の変色を抑制できる液体現像剤およびその製造方法、ならびに液体現像剤を用いた画像形成装置の実現を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、トナーの構成成分である着色剤と赤外線吸収剤などの電磁波吸収剤とを結着樹脂である帯電制御樹脂と共にフラッシング処理することで、より低い温度で混練できることを見出した。その結果、電磁波吸収剤の焼結を抑制し、かつ、電磁波吸収剤がトナー中で均一に分散することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の液体現像剤は、絶縁性有機溶媒中に、帯電制御樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、電磁波吸収剤とを含有するトナーが分散した液体現像剤であって、前記着色剤と前記電磁波吸収剤とが、前記帯電制御樹脂と共にフラッシング処理されたことを特徴とする。
ここで、前記電磁波吸収剤が、波長が750〜1100nmの近赤外領域を吸収することが好ましい。
また、前記トナーが酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。
また、本発明の液体現像剤の製造方法は、絶縁性有機溶媒中に、トナー原料として帯電制御樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、電磁波吸収剤とを含有するトナーが分散した液体現像剤の製造方法であって、前記トナー原料のうち、少なくとも着色剤と前記電磁波吸収剤を前記帯電制御樹脂と共にフラッシング処理する工程と、前記トナー原料を混練してトナーを作製する工程と、トナーを前記絶縁性有機溶媒に分散する工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記液体現像剤を用いて記録媒体上に形成された画像に、光を照射して前記記録媒体上に画像を定着させる光定着手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、長期に渡って記録媒体上への画像の定着性を維持し、かつ画像の変色を抑制できる液体現像剤およびその製造方法、ならびに液体現像剤を用いた画像形成装置を実現できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[液体現像剤]
本発明の液体現像剤は、絶縁性有機溶媒中にトナーが分散したものである。
<絶縁性有機溶媒>
絶縁性有機溶媒は液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。絶縁性有機溶媒としては、電気絶縁性を有するもので、25℃における体積抵抗が1010Ω・cm以上の有機溶媒が好ましい。
このような絶縁性有機溶媒としては液体の脂肪族炭化水素が挙げられ、例えば液状のn−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、またはその混合物、ハロゲン化脂肪族炭化水素等が好ましい。具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、パークロロエチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。また、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素が特に好ましい。分岐鎖を有する脂肪族炭化水素としては市販のものを用いてもよく、例えばエクソンモービル社製のアイソパーG、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV等が好適である。
<トナー>
トナーは、結着樹脂と、着色剤と、電磁波吸収剤とを含有する。
(結着樹脂)
結着樹脂は帯電制御樹脂を含む。帯電制御樹脂は無色であり、高速でのカラー連続印刷においても帯電性が安定した液体現像剤を得ることができる。
また、帯電制御樹脂は、トナーの帯電性に応じて負帯電制御樹脂または正帯電制御樹脂を用いる。
負帯電制御樹脂としては、重合体の側鎖に、カルボキシル基またはその塩、フェノール類基またはその塩、チオフェノール基またはその塩、スルホン酸基またはその塩よりなる群から選ばれる置換基を有する樹脂等が挙げられる。これらの中でも、重合体の側鎖にスルホン酸基またはその塩を有する樹脂が好ましい。具体的には、スルホン酸基またはその塩を含有するモノビニル単量体と、該モノビニル単量体と共重合可能な他のモノビニル単量体を共重合することによって得られる樹脂が挙げられる。
スルホン酸基またはその塩を含有するモノビニル単量体としては、例えばスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、及びメタクリルスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。
また前記スルホン酸基またはその塩を含有するモノビニル単量体と共重合可能な他のモノビニル単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、芳香族ビニル単量体、及びエチレン性不飽和ニトリル単量体等が挙げられる。
スルホン酸基またはその塩を含有するモノビニル単量体の配合量は、負帯電制御樹脂100質量%中、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。配合量が前記下限値未満であると、トナーの帯電量が不十分となる場合がある。一方、配合量が前記上限値を超えると、高温高湿下におけるトナーの帯電量の低下が大きくなり、カブリが発生する場合がある。
負帯電制御樹脂は、質量平均分子量が2,000〜50,000であることが好ましく、より好ましくは4,000〜40,000であり、さらに好ましくは6,000〜35,000である。
また、負帯電制御樹脂は、ガラス転移温度が40〜120℃であることが好ましく、より好ましくは50〜110℃であり、さらに好ましくは60〜100℃である。ガラス転移温度が前記下限値未満であると、トナーの保存性が低下する場合がある。一方、ガラス転移温度が前記上限値を超えると、記録媒体上への画像の定着性が低下する場合がある。
正帯電制御樹脂としては、例えば、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC、−N(C、−NHCOH等のアミノ基を含有する樹脂、およびこれらがアンモニウム塩化された官能基を含有する樹脂などが挙げられる。
このような樹脂は、例えばアミノ基を含有するモノビニル単量体と、これと共重合可能な他のモノビニル単量体とを共重合したり、この共重合により得られる共重合体をアンモニウム塩化したりすることによって得られる。また、アンモニウム塩基を含有するモノビニル単量体と、これと共重合可能な他のモノビニル単量体と共重合することによっても得られるが、これらに限定されない。
アミノ基を含有するモノビニル単量体としては、例えばアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル等のアクリル酸誘導体;メタアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド等のメタアクリルアミド系単量体;メタアクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル等のメタアクリル酸系誘導体;アリルアミン;2−アミノスチレン、4−アミノスチレン等のスチレン系誘導体などが挙げられる。
一方、アミノ基を含有するモノビニル単量体と共重合可能な他のモノビニル単量体としては、負帯電性制御樹脂に用いられる公知のモノビニル単量体を用いることができる。
アミノ基を含有するモノビニル単量体と、これと共重合可能な他のモノビニル単量体との共重合体をアンモニウム塩化するために用いられるアンモニウム化剤としては、公知のアンモニウム化剤を用いることができ、例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化メチル、及び臭化エチル等のハロゲン化アルキル;パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸プロピル等のパラトルエンスルホン酸アルキルエステルなどが挙げられる。
アンモニウム塩基を含有するモノビニル単量体としては、前記アミノ基を含有するモノビニル単量体と、前記アンモニウム化剤との反応物が挙げられる。具体的には、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル等のアクリル酸誘導体;メタアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド等のメタアクリルアミド系単量体;メタアクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル等のメタアクリル酸系誘導体;アリルアミン;2−アミノスチレン、4−アミノスチレンなどのヨウ化物や臭化物などが挙げられる。
一方、アンモニウム塩基を含有するモノビニル単量体と共重合可能な他のモノビニル単量体としては、負帯電性制御樹脂に用いられる公知のモノビニル単量体を用いることができる。
正帯電制御樹脂は、質量平均分子量が2,000〜30,000であることが好ましく、より好ましくは4,000〜25,000であり、さらに好ましくは6,000〜20,000である。
また、正帯電制御樹脂は、ガラス転移温度が40〜120℃であることが好ましく、より好ましくは50〜110℃であり、さらに好ましくは60〜100℃である。ガラス転移温度が前記下限値未満であると、トナーの保存性が低下する場合がある。一方、ガラス転移温度が前記上限値を超えると、記録媒体上への画像の定着性が低下する場合がある。
結着樹脂は、上述した帯電制御樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。
他の樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等。)、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等。)、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては、公知の顔料や染料を用いることができる。
例えば黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物などが挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKなどが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCなどが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
(電磁波吸収剤)
電磁波吸収剤は、波長が750〜1100nmの近赤外領域を吸収することが好ましく、より好ましくは800〜1000nmである。電磁波吸収剤の吸収波長領域が前記近赤外領域であれば、上述した着色剤の色調が変化しにくくなる。
このような電磁波吸収剤としては、近赤外線吸収剤が好ましい。例えばビスイミニウム誘導体;ペンタメチンベンゾインドリウム化合物、ペンタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ペンタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;ヘプタメチンインドリウム化合物、ヘプタメチンベンゾインドリウム化合物、ヘプタメチンオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンチアゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のヘプタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム誘導体;ビス(スチルベンジチオラト)化合物、ビス(ベンゼンジチオラト)ニッケル化合物、ビス(カンファージチオラト)ニッケル化合物等のニッケル錯体;スクアリリウム誘導体;アゾ色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物などが挙げられる。また、市販のものを用いてもよく、例えばナガセケムテックス社製のNIR−IM1やNIR−AM1、山本化成社製のMIRシリーズなどが好適である。
電磁波吸収剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.001〜1.0質量部が好ましく、0.05〜0.5質量部がより好ましい。
電磁波吸収剤は、紫外線などの光が照射されると光エネルギーを吸収して、該光エネルギーを熱エネルギーに変換して熱を放出する。この放出される熱を利用して記録媒体上に画像を定着させることができる。従って、従来のようなヒートロール方式を採用しなくてもよく、画像形成装置の消費エネルギーを抑えることができる。
(その他)
本発明に用いるトナーは、酸化防止剤を含有するのが好ましい。上述した電磁波吸収剤、特に近赤外線吸収剤は長波長領域に吸収帯を有するので、空気中の酸素など、ラジカルを持つ化合物の影響を受けて劣化しやすい。そこで、トナーに酸化防止剤を含有させることで、該酸化防止剤がクエンチャーの役割を果たし、ラジカルを持つ化合物による電磁波吸収剤の劣化を抑制できる。
酸化防止剤としては、例えばジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジメルカプト−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.0001〜0.1質量部が好ましく、0.0005〜0.05質量部がより好ましい。
<その他添加剤>
本発明の液体現像剤は、その他添加剤を含有してもよい。その他添加剤としては、顔料分散剤、帯電制御剤、可塑剤などが挙げられる。
顔料分散剤は、トナーを絶縁性有機溶媒中に分散しやすくするものである。顔料分散剤としては、市販のものを用いることができる。例えば、ビックケミー社製のBYK−116などが好適である。
本発明の液体現像剤は、上述したトナー原料を含有する。本発明においては、着色剤と電磁波吸収剤とが、帯電制御樹脂と共にフラッシング処理されている。これにより、通常よりも低い温度でトナー原料を混練してトナーを作製できるので、電磁波吸収剤の焼結を抑制し、かつ、電磁波吸収剤をトナー中で均一に分散できる。
ここで、液体現像剤の製造方法について説明する。
[製造方法]
本発明の液体現像剤の製造方法は、トナー原料のうち、少なくとも着色剤と電磁波吸収剤を帯電制御樹脂と共にフラッシング処理する工程(フラッシング処理工程)と、トナー原料を混練してトナーを作製する工程(混練工程)と、トナーを絶縁性有機溶媒に分散する工程(分散工程)とを有する。
フラッシング処理工程では、帯電制御樹脂が溶媒に溶解した溶液Aと、電磁波吸収剤が溶媒に溶解した溶液Bと、着色剤とを混合した後、溶媒を溜去する。これにより、着色剤と電磁波吸収剤とが、帯電制御樹脂と共にフラッシング処理される。なお、混合時や溶媒の溜去時は、減圧しながら行ってもよい。
フラッシング処理工程に用いる溶媒としては、例えばエチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
このようにフラッシング処理することで、着色剤の表面および電磁波吸収剤の表面の少なくとも一部が、帯電制御樹脂にて被覆されるようになる。
溶液Aにおいては、帯電制御樹脂100質量部に対して溶媒の配合量は30〜100質量部が好ましい。また、酸化防止剤を用いる場合は、溶液Aに含有させるのが好ましい。
一方、溶液Bにおいては、電磁波吸収剤100質量部に対して溶媒の配合量は50〜100質量部が好ましい。
溶液Aと溶液Bの質量比(溶液A/溶液B)は、99/1〜50/50が好ましい。なお、溶液Aと溶液Bで用いる溶媒は同じであってもよく、異なっていてもよいが、減圧溜去することを考慮すると、溶液Aと溶液Bで用いる溶媒は同じであることが好ましい。
混練工程では、フラッシング処理工程でフラッシング処理されたトナー原料と、必要に応じて含有されるこれら以外のトナー原料を混練してトナーを作製する。
混練する際は、60〜100℃の温度にて加温混練するのが好ましい。
また、混練工程で得られるトナー(トナー混練物)は、冷却した後、カッターミルなどを用いて粗粉砕し、さらにジェットミルなどを用いて微粉砕するのが好ましい。
従来、トナーを製造するに際しては、100〜140℃程度の比較的高い温度でトナー原料を混練していた。そのため、電磁波吸収剤を混練時に添加すると、電磁波吸収剤が焼結して得られるトナーが黒く変色しやすかった。また、電磁波吸収剤の融点は、通常、混練時の温度よりもさらに高いので、電磁波吸収剤がトナー中で均一に分散しにくかった。
しかし、本発明であれば、着色剤と電磁波吸収剤とを帯電制御樹脂と共にフラッシング処理することで、電磁波吸収剤が帯電制御樹脂中に混和されるので、混練時の温度を比較的低い温度に設定できると共に、着色剤の表面および電磁波吸収剤の表面の少なくとも一部が、帯電制御樹脂にて被覆されるので、トナー原料、特に電磁波吸収剤をトナー中で均一に分散できる。混練時の温度を比較的低い温度に設定できるので、電磁波吸収剤の焼結が抑制される。従って、本発明によれば、黒く変色しにくく、かつ電磁波吸収剤が均一に分散したトナーが得られる。
なお、フラッシング工程および混練工程は、混練工程の後にフラッシング工程を行わない限り、フラッシング工程の後に混練工程を行ってもよく、フラッシング工程と混練工程を同時に行ってもよい。特に、生産効率の観点から、フラッシング工程と混練工程を同時に行うのが好ましい。
ここで、フラッシング工程と混練工程を同時に行う方法の一例について具体的に説明する。
まず、帯電制御樹脂が溶媒に溶解した溶液Aと、電磁波吸収剤が溶媒に溶解した溶液Bと、着色剤とをニーダなどの混練機に添加し、減圧しながら混練する。この際、徐々に混練温度を上昇させて加温混練する。混練温度は、50〜60℃で開始するのが好ましく、最終的に80〜100℃まで昇温するのが好ましい。
ついで、溶媒を減圧溜去してトナー(トナー混練物)を得る。
ついで、必要に応じて、トナー混練物をカッターミルなどで粗粉砕し、さらにジェットミルなどで微粉砕する。
なお、結着樹脂として帯電制御樹脂以外の他の樹脂や、酸化防止剤などをトナーに含有させる場合は、これらを帯電制御樹脂と共に溶媒に溶解させて溶液Aとするのが好ましい。
このようにフラッシング処理しながら混練することで、単にトナー原料を混練する場合に比べて、トナー原料がより均一に分散できる。特に、電磁波吸収剤がトナー中で均一に分散したトナーが得られる。
こうして得られたトナーを用いて、公知の方法により液体現像剤を調製する。
すなわち、分散工程では、トナーと絶縁性有機溶媒とをサンドグラインダーなどの分散機で混合して、トナーが絶縁性有機溶媒に分散した液体現像剤を得る。
配合割合は、トナー100質量部に対して絶縁性有機溶媒の配合量は100〜1000質量部が好ましく、200〜400質量部がより好ましい。
なお、トナーと絶縁性有機溶媒とを混合する際に、顔料分散剤を添加してもよい。この場合、トナー100質量部に対して顔料分散剤の配合量は0.01〜30質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
このようにして得られる液体現像剤は、黒く変色しにくいトナーを用いるので、自身も黒く変色しにくい。よって、本発明の液体現像剤より形成される画像は変色しにくい。
また、本発明の液体現像剤は、紫外線などの光を照射すると電磁波吸収剤が光エネルギーを熱エネルギーに変換して熱を放出する。従って、液体現像剤より形成され、記録媒体上に転写された画像に光を照射すると、放出される熱によりトナーが溶融し、画像が記録媒体に定着する。
ところで、従来の液体現像剤は、長期に渡って使用を続けると、電磁波吸収剤の濃度が変化しやすく、画像の定着性が低下しやすかった。また、液体現像剤に用いられるトナーを混練して製造する際に、電磁波吸収剤の融点よりも低い温度で混練することが多いため、電磁波吸収剤がトナー中で均一に分散しにくかった。そのため、電磁波吸収剤が光エネルギーを熱エネルギーに変換しても、熱が均一に放出されにくく、画像の定着性が低下しやすかった。
しかし、本発明の液体現像剤であれば、電磁波吸収剤が均一に分散したトナーを用いるので、長期に渡って使用を続けても電磁波吸収剤の濃度が変化しにくく、常に電磁波吸収剤がトナー中で均一に分散した状態を保持できる。よって、電磁波吸収剤が光エネルギーを熱エネルギーに変換した時に発生する熱を均一に放出できるので、長期に渡って画像の定着性を維持できる。また、記録媒体上に形成された画像に光を照射すると、画像全体に熱が均一に伝わるため、トナーの硬化速度が速まる(すなわち、短時間でトナーが溶融する。)。よって、記録媒体が光定着手段を通過する短時間の間でも、十分にトナーが溶融するので、記録媒体上に画像が定着しやすくなる。
[画像形成装置]
本発明の液体現像剤は、電子写真方式の一般の画像形成装置において好適に使用できる。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、図1はタンデム方式を採用したカラープリンタを示すものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等にも好適に用いることができる。
この例の画像形成装置1は、本発明の液体現像剤を用いて画像を形成する画像形成手段2と、記録媒体(紙など)を収容する給紙カセット3と、画像形成手段2で形成された画像を記録媒体上に転写する二次転写手段4と、転写された画像を記録媒体上に定着させる光定着手段5と、定着の完了した記録媒体を排出する排出手段6と、給紙カセット3から排出手段6まで記録媒体を搬送する用紙搬送手段7とを具備する。
画像形成手段2は、中間転写ベルト20と、該中間転写ベルト20をクリーニングするクリーニング部21と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、FBとを備える。
中間転写ベルト20は、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、駆動ローラ22およびテンションローラ23に張架されて、図1において時計回りに走行する。なお、中間転写ベルト20の走行において、外側を向く面を中間転写ベルト20の表面と称し、他方の面を裏面と称する。
クリーニング部21は、クリーニングローラ211とクリーニングブレード212とを備える。
画像形成ユニットFY、FM、FC、FBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べてクリーニング部21と二次転写手段4との間に配置される。なお、各画像形成ユニットの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を考慮すると、図1に示す配置が好ましい。
各画像形成ユニットには、感光体10と、帯電器11と、露光装置12と、現像装置13と、一次転写ローラ14と、クリーニング装置15と、除電装置16と、キャリア液除去ローラ17とを備える。
各画像形成ユニットには、それぞれ液体現像剤循環装置(図示略)が設けられ、各色に対応した本発明の液体現像剤の供給、および回収が行われる。
感光体10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電したトナーを含むトナー像を担持可能である。
帯電器11は、感光体10の表面を一様に帯電させることができる装置である。
露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機械から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体10の表面に光を照射する。これにより、感光体10の表面には静電潜像が形成される。
現像装置13は、液体現像剤を感光体10上の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像に液体現像剤中のトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー層として現像される。現像装置13は、現像容器130、現像ローラ131、供給ローラ132、汲み上げローラ133、クリーニングブレード134、及び現像ローラ帯電器135を備える。現像容器130内に、本発明の液体現像剤18が収容される。
一次転写ローラ14は、中間転写ベルト20の裏面に、感光体10と対向して配置されている。一次転写ローラ14には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ14は、中間転写ベルト20と接触している位置で、中間転写ベルト20にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト20は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト14の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
クリーニング装置15は、感光体10から記録媒体に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置であって、残留現像剤搬送スクリュー151と、クリーニングブレード152とを備える。
除電装置16は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニングブレード152による液体現像剤除去後、感光体10の表面を光源からの光によって除電する。
キャリア液除去ローラ17は、感光体10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ17は、感光体10と中間転写ベルト20とが接触する位置よりも二次転写手段4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト20の表面からキャリア液を除去する部材である。
給紙カセット3は、トナー像を定着させる記録媒体(紙など)を収納するものである。
二次転写手段4は中間転写ベルト20上に形成された画像(トナー像)を記録媒体に転写するものであって、中間転写ベルト20を駆動させる駆動ローラ22と、該駆動ローラ22に対向して配置された二次転写ローラ41とを備える。
光定着手段5は、記録媒体上に転写された画像に光を照射して、前記記録媒体上に画像を定着させるものであり、光定着用光源51と、記録媒体を走行させる一対のフィードローラ52とを備える。
光定着用光源51としては、ハロゲンランプ、水銀ランプ、フラッシュランプ、赤外線レーザ等が挙げられる。中でもフラッシュランプが好ましく、瞬時に画像を記録媒体上に定着させることができ、消費エネルギーを節約できる。
排出手段6は、光定着手段5で画像が定着した記録媒体を排出させるものであって、画像形成装置1の上部に配置されている。
用紙搬送手段7は、複数の搬送ローラ対を備え、給紙カセット3から二次転写手段4や定着手段5、排出手段6に記録媒体を搬送する。
ここで、図1を用いて画像形成方法を説明する。
まず、帯電器11によって感光体10の表面を帯電させる。ついで、露光装置12によって感光体の表面を露光して静電潜像を形成する。ついで、現像装置13によって感光体10上の静電潜像に本発明の液体現像剤を付着させて静電潜像をトナー像(画像)として現像する。このようにして各画像形成ユニットで形成された画像を感光体10から中間転写ベルト20に転写し、該中間転写ベルト20上で重ね合わせてカラートナー像とする。
カラートナー像の形成と同時に給紙カセット3に収容される記録媒体を用紙搬送手段7に沿って搬送し、中間転写ベルト20への一次転写とタイミングを合わせて二次転写手段4に送り込み、二次転写手段4で中間転写ベルト20上のカラートナー像(画像)を記録媒体上に転写させる。
ついで、画像が転写された記録媒体を光定着手段5へ搬送させ、画像に光を照射して記録媒体上に定着させる。
ここで、光定着の方法について、具体的に説明する。なお、以下の説明は、光定着用光源51として、キセノン中の放電における発光現象を利用したフラッシュランプを用いた例である。
光定着の方法としては、複数のフラッシュランプを時間差を設けて発光させるディレイ方式を用いることができる。ディレイ方式とは、複数のフラッシュランプを並べ、各々のランプを0.01〜100msec程度ずつ遅らせて発光を行い、同じ箇所を複数回照らす方式のことである。
ディレイ方式により、一度の発光で画像に光エネルギーを供給するのではなく、分割して光エネルギーを供給できるため、定着条件を緩和でき耐ボイド性と定着性とを両立できる。
光定着用光源51の発光エネルギーは、1.0〜7.0J/cmであることが好ましく、2.0〜5.0J/cmであることがより好ましい。
なお、キセノンのランプ強度を示すフラッシュ光の単位面積当りの発光エネルギーは下記式(1)で表される。
S={(1/2)×C×V}/(u×L)×(n×f) ・・・(1)
式(1)中、nは一度に発光するランプの本数(本)、fは点灯周波数(Hz)、Vは入力電圧(V)、Cはコンデンサ容量(F)、uはプロセス搬送速度(cm/s)、Lはフラッシュランプの有効発光幅(通常は最大用紙幅、cm)、Sはエネルギー密度(J/cm2)を表す。
画像に対して複数回フラッシュ発光を行う場合、上述したフラッシュランプの発光エネルギーは、発光1回ごとのフラッシュ光の単位面積に与える発光エネルギーの総和量を指すものとする。
本発明においては、フラッシュランプの本数は0〜20本であることが好ましく、2〜10本であることがより好ましい。
また、複数のフラッシュランプ間の各々の時間差は0.1〜20msecであることが好ましく、1〜3msecであることがより好ましい。
さらに、フラッシュランプ1本あたりの1回の発光による発光エネルギーは、0.1〜1J/cmであることが好ましく、0.4〜0.8J/cmであることより好ましい。
光照射された画像は、トナー中の電磁波吸収剤が光を吸収して光エネルギーを熱エネルギーに変換する。この時に発生する熱が放出され、トナーが溶融し、記録媒体上に定着する。
本発明の液体現像剤は、電磁波吸収剤が均一に分散したトナーを用いるので、電磁波吸収剤が光エネルギーを熱エネルギーに変換した時に発生する熱を均一に放出できる。また、記録媒体上に形成された画像に光を照射すると、画像全体に熱が均一に伝わるため、トナーの硬化速度が速まる。よって、記録媒体が光定着手段を通過する短時間の間でも、十分にトナーが溶融するので、記録媒体上に画像が定着しやすくなる。
このようにして画像が定着された記録媒体は、排出手段6によって画像形成装置1の外部に排出される。
二次転写後、中間転写ベルト20上に残留したトナーは、中間転写ベルト20のクリーニング手段21によって除去される。また、感光体10に供給されず現像ローラ131上に残留した液体現像剤は、クリーニングブレード134によって掻き取られて回収される。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の記述中において「部」は「質量部」を示す。
[実施例1]
<液体現像剤の調製>
帯電制御樹脂(藤倉化成社製、「FCA−1001−NS」)320部と、酸化防止剤としてジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)1.3部を溶解したエチルメチルケトン溶液800部と、電磁波吸収剤として近赤外線吸収剤(ナガセケムテックス社製、「NIR−IM1」)1.3部を溶解したエチルメチルケトン溶液20部と、着色剤としてToner Yellow HG VP2155(クラリアント社製、「PY180」)80部とをガロンニーダに投入し、減圧下、20℃から80℃まで徐々に加温し、フラッシング処理しながら混練し、エチルメチルケトンを減圧溜去してトナー混練物を得た。
得られたトナー混練物を十分冷却した後、カッターミルを用いて粗粉砕し、さらにジェットミル(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕し、トナーを得た。
得られたトナー100部と、顔料分散剤(ビックケミー社製、「BYK−116」)13部と、絶縁性有機溶媒(エクソンモービル製、「アイソパーH」)315部とを混合し、サンドグラインダー(IGARASHI KIKAI SEIZO CO.,Ltd.製)により、メディアとして直径1mmのガラスビーズ(150mL)を用いて、ウォータージャケット付1/8ガロンベッセル内にて、冷却水温度5℃、ディスク回転数2000rpmで3時間処理することにより湿式グラインディングし、負帯電性の液体現像剤を得た。
<評価1:初期試験>
(定着性の評価)
得られた液体現像剤を、図1に示すような画像形成装置にセットした。ついで、感光体上に、長手方向の長さ(回転中心線方向の長さ)が20cm、周方向の長さ(感光体回転方向の長さ)が5cmの帯状の静電潜像を形成し、該静電潜像を記録媒体(紙)に転写し、20本のフラッシュランプを用い、時間差3msec、フラッシュランプ1本あたりの発光エネルギー0.8J/cmの条件で光照射して、記録媒体上に20cm×5cmの帯状画像を形成した。
得られた帯状画像の表面を質量300gのおもりで往復20回擦過し、擦過前後での画像濃度を測定し、画像濃度比{(耐刷後の画像濃度/耐刷前の画像濃度)×100}を求めた。結果を表1に示す。
なお、画像濃度は、帯状画像の長手方向の両端からそれぞれ5cm内側、かつ周方向の幅の中心に位置する箇所と、帯状画像の中心に位置する箇所での反射濃度を反射濃度計(SAKURA社製、「デンシトメーター PDM5」)にてそれぞれ測定し、その平均値を画像濃度とした。
(変色の評価)
定着性の評価と同様にして帯状画像の表面を質量300gのおもりで往復20回擦過し、擦過前後での帯状画像について、反射濃度計を用い明度(L)、色相(a)、色相(b)を測定し、下記式(2)より色差ΔEを算出し、変色の評価を行った。
ΔE={(L −L +(a −a +(b −b 1/2 ・・・(2)
ここで、L 、a 、b は、擦過前の帯状画像の測定値であり、L 、a 、b は、擦過後の帯状画像の測定値である。
<評価2:長期試験>
(定着性の評価)
評価1の定着性の評価と同様にして液体現像剤を評価機にセットし、帯状画像を連続10万枚印刷した。10万枚後の帯状画像について、評価1と同様にして擦過前後での画像濃度を測定し、画像濃度比{(耐刷後の画像濃度/耐刷前の画像濃度)×100}を求めた。結果を表1に示す。
(変色の評価)
評価2の定着性の評価で得られた帯状画像の表面を質量300gのおもりで往復20回擦過し、擦過前後での帯状画像について評価1の変色の評価と同様にして評価した。
[実施例2]
帯電制御樹脂として、藤倉化成社製の「FCA−1001−NS」の代わりに、藤倉化成社製の「FCA−207P」を用いた以外は実施例1と同様にして、正帯電性の液体現像剤を得た。
得られた正帯電性の液体現像剤について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
帯電制御樹脂(藤倉化成社製、「FCA−1001−NS」)320部と、酸化防止剤としてジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)10部と、電磁波吸収剤として近赤外線吸収剤(ナガセケムテックス社製、「NIR−IM1」)6部と、着色剤としてToner Yellow HG VP2155(クラリアント社製、「PY180」)80部とをヘンシェルミキサーに投入して混合した後、3本ロール付混練器を用いて、90℃で1時間混練してトナー混練物を得た。該トナー混練物を用いた以外は、実施例1と同様にして、負帯電性の液体現像剤を得た。
得られた負帯電性の液体現像剤について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
帯電制御樹脂(藤倉化成社製、「FCA−1001−NS」)320部と、着色剤としてToner Yellow HG VP2155(クラリアント社製、「PY180」)80部とをヘンシェルミキサーに投入して混合した後、3本ロール付混練器を用いて、90℃で1時間混練してトナー混練物を得た。
得られたトナー混練物を十分冷却した後、カッターミルを用いて粗粉砕し、さらにジェットミル(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕し、荷電粒子粗粉を得た。
得られた荷電粒子粗分100部と、電磁波吸収剤として近赤外線吸収剤(ナガセケムテックス社製、「NIR−IM1」)13.3部と、酸化防止剤としてジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)2.2部と、顔料分散剤(ビックケミー社製、「BYK−116」)13部と、絶縁性有機溶媒(エクソンモービル製、「アイソパーH」)315部とを混合し、サンドグラインダー(IGARASHI KIKAI SEIZO CO.,Ltd.製)により、メディアとして直径1mmのガラスビーズ(150mL)を用いて、ウォータージャケット付1/8ガロンベッセル内にて、冷却水温度5℃、ディスク回転数2000rpmで3時間処理することにより湿式グラインディングし、負帯電性の液体現像剤を得た。
得られた負帯電性の液体現像剤について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
Figure 2009169262
表1から明らかなように、着色剤と近赤外線吸収剤とを帯電制御樹脂と共にフラッシング処理しながら混練して調製した実施例の液体現像剤は、長期に渡り画像の定着性が良好であった。また、形成された画像は変色しにくかった。
一方、単にトナー原料を混練して調製した比較例1の液体現像剤は、90℃で混練したため、近赤外線吸収剤が焼結し、トナーが黒く変色した。その結果、形成された画像も黒く変色していた。また、混練温度が高かったため、近赤外線吸収剤がトナー中で均一に分散せず、その結果、エネルギー変換により放出する熱がトナーに均一に分散されず、画像の定着性が実施例に比べて劣っていた。さらに、形成された画像は、ΔEの値が実施例に比べて大きく、変色しやすかった。特に、10万枚印刷した後の画像は定着性が低く、変色しやすかった。
また、近赤外線吸収剤をトナーに外添して調製した比較例2の液体現像剤は、実施例に比べて近赤外線吸収剤がトナー中で均一に分散されなかったため、画像の定着性が劣っていた。さらに、形成された画像は、ΔEの値が実施例に比べて大きく、変色しやすかった。特に、10万枚印刷した後の画像は定着性が低く、変色しやすかった。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1:画像形成装置、2:画像形成手段、3:給紙カセット、4:二次転写手段、5:光定着手段、6:排出手段、7:用紙搬送手段

Claims (5)

  1. 絶縁性有機溶媒中に、帯電制御樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、電磁波吸収剤とを含有するトナーが分散した液体現像剤であって、
    前記着色剤と前記電磁波吸収剤とが、前記帯電制御樹脂と共にフラッシング処理されたことを特徴とする液体現像剤。
  2. 前記電磁波吸収剤が、波長が750〜1100nmの近赤外領域を吸収することを特徴とする請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記トナーが酸化防止剤をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の液体現像剤。
  4. 絶縁性有機溶媒中に、トナー原料として帯電制御樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、電磁波吸収剤とを含有するトナーが分散した液体現像剤の製造方法であって、
    前記トナー原料のうち、少なくとも着色剤と電磁波吸収剤を帯電制御樹脂と共にフラッシング処理する工程と、前記トナー原料を混練してトナーを作製する工程と、トナーを前記絶縁性有機溶媒に分散する工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤を用いて記録媒体上に形成された画像に、光を照射して前記記録媒体上に画像を定着させる光定着手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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