JP3769987B2 - 電子写真用フラッシュ定着カラートナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用トナーに関し、さらに詳しく述べると、電子写真方式を利用した各種のイメージング装置、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ、静電印刷機などにおいて現像剤として有利に使用することができる、特にフラッシュ定着方式において最適な電子写真用カラートナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、印刷機などで広く普及している電子写真方式は、一般的には、次のような一連の工程からなる。
(1)感光体の帯電
例えば感光体ドラムなどのような光導電性絶縁体の表面に正又は負の均一な静電荷を与える。
(2)感光体の露光(潜像形成)
一様帯電工程の完了後、様々な手段によって光導電性絶縁体に光像を照射することによってその絶縁体上の静電荷を部分的に消去して静電潜像を形成する。例えば、レーザ光を照射して、特定部分の表面電荷を消去することにより、画像情報に応じた静電潜像を光導電性絶縁体上に形成することができる。
(3)トナーによる潜像の現像
次いで、光導電性絶縁体上の静電荷の残った潜像部分にトナーと呼ばれる現像剤の微粉体を付着させ、潜像を可視化する。トナー像が得られる。
(4)トナー像の記録媒体への転写
上記のようにして得られたトナー像を、印刷物となすため、一般的に、記録紙などの記録媒体に静電的に転写する。
(5)転写されたトナー像の定着
記録媒体に静電的に転写されたトナー像を、熱、光、圧力などの適用によって溶融定着させる。
【0003】
このような電子写真方式の最終工程である転写画像の定着工程は、周知の通り、種々の方法及び装置を用いて実施されている。現在一般的な方法としては、加熱ローラでトナーに圧力を加えながら溶融圧着させるヒートロール定着方式や、フラッシュ光などの光照射によりトナーを溶融定着させるフラッシュ定着方式がよく知られている。
【0004】
ヒートロール定着方式は、トナーを高温で加圧下に定着させるため、装置を安価に提供でき、また、トナー定着面が平滑になり、印字濃度を高くできるという利点を有している。反面、この定着方式は、定着後の記録用紙が高温によりカールをおこし、ロール化してしまう、定着ローラがトナーにより汚染されるので、オフセットが発生する、高速記録や、用紙の定着表面に糊剤がついているシール葉書などの定着が困難である、などの欠点を有している。
【0005】
これに対して、フラッシュ定着方式は、定着後の記録用紙がロール化することやオフセットの発生を防止することができ、しかも高速記録が可能であり、使用する記録用紙の種類の制限もないなどの多くの利点を有している。また、フラッシュ定着方式は、露光によりトナーを溶融させているので、記録用紙などと非接触でトナーを定着させることができるという利点を有しており、また、そのために、例えばシール葉書などのような特殊の記録用紙における画像の定着に有効である。
【0006】
しかし、フラッシュ定着方式は、一般的に、高い印字濃度が得られにくく、また、フラッシュ光を吸収しにくいカラートナーでは、トナーの温度が上昇しないため、製品化が難しいという問題を有している。また、フラッシュ光のエネルギー(すなわち、光から変換された熱エネルギー)でトナーの定着を行うので、カラートナーの色調による吸光量の違いによってトナーの定着率が大きく変動するという問題もある。
【0007】
従来、上記したような問題を解決するため、いろいろな種類のフラッシュ定着用カラートナーが提案され、実用化されている。例えば、特開平2−118670号公報には、結着樹脂中に着色剤を含有するコアの周囲に、前記樹脂と同一の樹脂中に赤外光吸収剤を含む被覆部を熱溶融させて設けてなることを特徴とするフラッシュ定着用カラートナーが開示されている。また、特開平6−348056号公報には、赤外線吸収剤を含有する平均粒子径が1μm以下のビニル系樹脂粒子を表面に保持してなることを特徴とするフラッシュ定着用カラートナーが開示されている。さらに、特開平6−118694号公報には、樹脂中に少なくとも着色剤を分散してなるトナー粒子の表面に赤外線吸収剤が固着していることを特徴とする電子写真用フラッシュ定着カラートナーが開示されている。しかし、このようにトナー粒子の表面領域にのみ赤外線吸収剤を選択的に含有させたカラートナーでは、赤外線吸収剤の添加量におのずと限界があり、したがって、高レベルのトナー定着率を達成することができない。さらに加えて、特開平6−348056号公報に開示されるカラートナーでは、ビニル系樹脂粒子がスチレン系単量体及び(又は)アクリル系単量体に由来しているので、定着時に発煙及び悪臭が発生するという問題点もある。
【0008】
定着時の悪臭発生の防止は、トナー定着率の改善とならんで、フラッシュ定着方式において解決されるべき大きな課題である。悪臭発生のメカニズムについて説明すると、フラッシュ定着方式では、ヒートロール定着方式とは異なって、フラッシュ光が当たることでトナーが発熱し定着するメカニズムを採用しているので、トナー中に含まれるバインダ樹脂の分子がフラッシュ光の作用により分解せしめられたり熱分解することが起こりやすく、定着の際にトナーから発煙し、悪臭も発生する。この発煙現象に対処するため、従来のフラッシュ定着方式を採用した電子写真プリンタでは、活性炭を主成分とする脱煙脱臭フィルタを定着部近傍に取り付け、煙の除去を行っている。しかし、現在入手可能なフィルタの寿命は短く、しばしば新品のフィルタと交換することが必要である。
【0009】
トナー定着率の改善を目指したものとしては、特開平10−39535号公報に開示された電子写真用フラッシュ定着トナー樹脂組成物もある。このトナー樹脂組成物は、少なくとも結着樹脂と赤外線吸収剤とを含有するトナー樹脂組成物において、赤外線吸収剤として、
(a)酸化インジウムにVI価金属原子及び(又は)Fを含有してなる金属酸化物系物質、
(b)酸化錫にV価金属原子及び(又は)Fを含有してなる金属酸化物系物質、
(c)酸化亜鉛に IIIB族金属原子、IVB族金属原子、 III価金属原子、IV価金属原子、F及びCのうちの少なくとも1つの原子を含有してなる金属酸化物系物質、及び
(d)錫酸カドミニウム、
のうちの少なくとも1つの赤外線吸収性無機化合物を含有していることを特徴としている。しかし、このトナー樹脂組成物でも、依然として十分に満足し得るトナー定着率を得ることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、したがって、特にフラッシュ定着方式を採用した電子写真プロセスにおいてカラートナーとして使用可能であって、優れたトナー定着率を実現するとともに、定着の際の発煙及び悪臭の発生を防止できる電子写真用トナーを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した目的は、本発明によれば、バインダ樹脂及び着色剤を含む電子写真用フラッシュ定着カラートナーにおいて、前記着色剤が、それと組み合わせて、次式(I)により表されるエステル化合物:
【0012】
【化2】
Figure 0003769987
【0013】
(上式において、mは10〜30の正の整数を表し、そしてnは1〜7の正の整数を表す)及び無機の赤外線吸収剤を含むことを特徴とするフラッシュ定着カラートナーによって達成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、フラッシュ定着方式に好適であって、優れた定着性を示すとともに、定着の際に、トナーの組成に原因した発煙やそれに伴う悪臭を発生することのないカラートナーを開発すべく鋭意研究した結果、着色剤に組み合わせて、前式(I)により表される特定構造のエステル化合物と赤外線吸収剤を使用するのが有効であるという知見を得、本発明を完成した。
【0015】
本発明による電子写真用カラートナーは、基本的に、電子写真法において従来より用いられているトナーと同様な組成とすることができる。すなわち、本発明のカラートナーは、少なくともバインダ樹脂及び着色剤を含むようにして構成されかつ、これらの主成分に追加して、上述の特定のエステル化合物(I)及び赤外線吸収剤の組み合わせが含まれる。
【0016】
本発明の電子写真用カラートナーで用いるバインダ樹脂は、最終的に得られるカラートナーの特性(使用時の特性も含む)において悪影響を生じない限りにおいて特に限定されるものではなく、汎用のバインダ樹脂を包含する。適当なバインダ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル−ポリオール樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。なお、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スレチン−アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などは、フラッシュ光での加熱の際に分解して発煙や悪臭を生じるので、使用すべきではない。上記したようなバインダ樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは2種類以上の樹脂を混合又は複合して使用してもよい。また、線状ポリエステル樹脂と、架橋成分を含むポリエステル樹脂を混合して使用してもよい。
【0017】
上記したようなバインダ樹脂のトナー中の含有量は、使用するバインダ樹脂の種類やトナーの組成、所望とする結果などのファクタに応じて広く変更することができるというものの、好ましくは、トナーの全量を基準にして60〜90重量%の範囲、さらに好ましくは70〜85重量%の範囲である。
本発明のカラートナーにおいてバインダ樹脂中に分散せしめられるべき着色剤は、多くの公知な染料及び顔料を包含し、トナーにおいて所望とされる色調に応じて任意に選択して使用することができる。以下に列挙するものは、本発明の実施において有利に実施することのできる染料及び顔料の一例である。
【0018】
カーボンブラック、モノアゾ系赤色顔料、ジスアゾ系黄色顔料、キナクリドン系マゼンタ顔料、アントラキノン染料、ニグロシン染料、第4級アンモニウム塩系の染料、モノアゾ系の金属錯塩染料、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.Azoic Blue 3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリーンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、ナフトールブルーブラック、食用赤色2号(アマランス、C.I.No.16185)、食用赤色3号(エリスロシン、C.I.No.45430)、食用赤色40号(アルラレッドAC、C.I.No.16035)、食用赤色102号(ニューコクシン、C.I.No.16255)、食用赤色104号(フロキシン、C.I.No.45410)、食用赤色105号(ローズベンガル、C.I.No.45440)、食用赤色106号(アシドレッド、C.I.No.45100)、食用黄色4号(タートラジン、C.I.No.19140)、食用黄色5号(サンセットイエローFCF、C.I.No.15985)、食用緑色3号(ファーストグリーンFCF、C.I.No.42053)、食用青色1号(ブリリアントブルーFCF、C.I.No.42090)、食用青色2号(インジゴカーミン、C.I.No.73015)、その他。
【0019】
上記したような染料及び顔料は、単独で使用してもよく、さもなければ、所望とするトナーの色調を得るために任意に混合して使用してもよい。
上記したような着色剤のトナー中の含有量は、所望とする着色効果などに応じて広く変更することができるというものの、通常、最も良好なトナー特性を得るため、すなわち、印字の着色力、トナーの形状安定性、トナーの飛散などを考慮した場合、トナーの全量を基準にして0.1〜20重量%の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜10重量%の範囲である。
【0020】
本発明の電子写真用カラートナーでは、上記したような着色剤とともに、前式(I)により表される特定構造のエステル化合物と赤外線吸収剤とを組み合わせて使用することが必須である。これらの2種類の化合物は、特に、フラッシュ定着の効果を補助し、高めるための定着助剤として機能することができる。ここで、これらの化合物の一方が欠けた場合には、たとえ残された化合物を多量に使用したとしても、満足し得る程度に高い定着性を得ることができない。すなわち、両者を併用して始めて、定着性を満足できるのである。
【0021】
特定構造のエステル化合物は、前記一般式(I)で規定される範囲内において種々のエステル化合物を包含する。なかんずく、式中のmが15〜25の正の整数を表し、そしてnが3〜5の正の整数を表すようなエステル化合物を有利に使用することができる。特に有利に使用することのできるエステル化合物は、次式(II)により表されるエステル化合物である。
【0022】
【化3】
Figure 0003769987
【0023】
上記したようなエステル化合物(I)は、トナー中においていろいろな量で使用することができるというものの、通常、トナーの全量を基準にして1〜20重量%の範囲で使用するのが好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲であり、最も好ましくは10重量%の前後である。このエステル化合物の使用量が1重量%を下回ると、定着性の低下を避けることができず、反対に20重量%を上回ると、印字面にボイドが発生し、いわゆる「耐ボイド性」が低下してしまう。
【0024】
上記したエステル化合物(I)と組み合わせて用いられる赤外線吸収剤は、好ましくは、公知の有機ジイモニウム系、ナフタロシアニン系、アシニウム系の化合物や、無機酸化錫、インジウム系化合物などであるが、より好ましくは、ドープされた酸化錫、ドープされた酸化インジウムあるいはこれらの化合物の混合物である。このような酸化された金属にドープされるべきドーパントは、この技術分野において一般的な物質のなかから適当なものを選択して使用することができるけれども、好ましくは、燐、錫などである。すなわち、ドープされた酸化錫の典型例は燐ドープの酸化錫であり、また、ドープされた酸化インジウムの典型例は錫ドープの酸化インジウムである。
【0025】
これらの赤外線吸収剤は、粉末、粒子等の形態で使用することができるけれども、好ましくは粒子の形態でありかつ、その際、赤外線吸収剤の粒子径は、1次粒子の粒子径で表して、0.1μm以下であることが好ましい。赤外線吸収剤の粒子径が0.1μmを上回るようになると、トナー中で不均一な分散を生じて不満足な定着を引き起こすばかりでなく、カブリ等を発生して印字品質の低下をも引き起こす。
【0026】
さらに、上記したような赤外線吸収剤は、トナー中においていろいろな量で使用することができるというものの、通常、トナーの全量を基準にして1〜70重量%の範囲で使用するのが好ましく、さらに好ましくは5〜50重量%の範囲であり、最も好ましくは10〜30重量%の範囲である。この赤外線吸収剤の使用量が1重量%を下回ると、定着助剤としての添加の効果を得ることができず、反対に70重量%を上回ると、定着性が低下してしまう。
【0027】
本発明の電子写真用カラートナーは、また、トナーの流動性の向上、その他の目的のために、各種の無機の微粒子を使用してもよい。本発明で使用し得る無機の微粒子は、通常、1次粒子径が5nm〜2mmの範囲のものであり、さらに好ましくは5〜500nmの範囲のものである。また、この無機の微粒子の表面積は、それをBET法による比表面積で表すと、20〜500m2/gの範囲であるのが好ましい。
【0028】
本発明の実施において適当な無機の微粒子の例は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、けい砂、クレー、雲母、けい灰石、けいそう土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などを包含する。とりわけ、シリカの微粉末を有利に使用することができる。
【0029】
上記したような無機の微粒子は、トナーに対していろいろな量で添加して使用することができるというものの、通常、トナーの全量を基準にして0.1〜5.0重量%の範囲で使用するのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲であり、最も好ましくは0.5〜1.0重量%の範囲である。さらに、本発明のカラートナーでは、必要に応じて、上記した無機の微粒子に加えて、その他の常用の添加剤、例えば、フッ素微粒子等、あるいは樹脂粒子、例えばアクリル微粒子等、も使用してもよい。
【0030】
さらにまた、本発明の電子写真用カラートナーは、トナーの帯電特性を制御する目的で、この技術分野において常用の電荷制御剤を有していてもよい。適当な電荷制御剤としては、例えば、正帯電トナーにはニグロシン染料、脂肪酸金属塩、第4アンモニウム塩などの電子供与性物質を、負帯電トナーにはアゾ系含金属染料、塩素化パラフィン、塩素化ポリエステルなどの電子受容性物質を、それぞれ挙げることができる。
【0031】
また、本発明のカラートナーには、離型剤あるいはオフセット防止剤として、各種のワックス、例えば低分子量のポリプロピレンあるいはポリエチレンなどを使用することができる。
以上の説明をまとめると、本発明の実施において、上記したようなトナー成分は、一般的に、トナーの全量を基準にして、
バインダ樹脂 60〜90重量%
着色剤 0.1〜20重量%
エステル化合物 1〜20重量%
赤外線吸収剤 1〜70重量%
電荷制御剤 1〜5重量%
ワックス 0〜5重量%
外添剤 0〜5重量%
の組成比で使用することができる。これらのトナー成分は、必要に応じて、上記した範囲よりも多くても、さもなければ少なくてもよい。
【0032】
本発明の電子写真用カラートナーは、上記したようなトナー成分を出発物質として使用して、いろいろな手順に従って調製することができる。例えば、本発明のカラートナーは、着色剤などを分散させた樹脂塊を粉砕、分級して作製する機械的粉砕法、着色剤を取り込みながらモノマーを重合させ、微粒子を作製する重合法などの公知の手法を使用して調製することができる。本発明のカラートナーは、好ましくは、機械的粉砕法に従って、次のような手順で有利に調製することができる。
(1)材料の混合
バインダ樹脂、着色剤、定着助剤(エステル化合物と赤外線吸収剤)、電荷制御剤などを計量した後、粉体混合機で均一に混合する。粉体混合機としては、例えば、ボールミルなどを使用することができる。着色剤、電荷制御剤などが樹脂バインダ中に均一に分散せしめられる。
(2)溶融混練
得られた混合物を加熱溶融させ、さらに混練する。スクリュー押出機(エクストルーダ)、ロールミル、ニーダなどを有利に使用することができる。着色剤粒子の微細化と均一分散などが達成される。
(3)冷却固化
混練の完了後、得られた混練物を冷却し、固化させる。
(4)粉砕
固化した混練物を先ず最初にハンマーミル、カッターミルなどの粗粉砕機で粗粉砕し、さらに続けて、ジェットミルなどの微粉砕機で微粉砕する。
(5)分級
微粉砕の完了後、トナー流動性の低下、トナーの飛散を引き起こす微小粒子及び画質の低下を引き起こす粗大粒子を除去するため、得られた微粉砕粒子を分級する。分級装置としては、例えば、遠心力を利用した風力分級機を使用することができる。約0.5〜50μm、好ましくは約1〜15μmの平均粒径を有する球状のトナー微粉体が得られる。
(6)表面処理
最終工程として、トナーの流動性の向上、その他の目的のため、得られたトナー微粉体の表面に疎水性シリカあるいは酸化チタン及び必要に応じてその他の外添剤を添加し、付着させてもよい。表面処理装置としては、例えば、高速流動型混合機を使用することができる。
【0033】
本発明のカラートナーは、磁性トナーでもよく、あるいは非磁性トナーでもよく、また、それを使用する現像方式は、キャリヤを併用する2成分方式でも、あるいはトナーのみを使用する1成分方式でもよい。
2成分方式のカラートナーの場合、併用するキャリヤとしては、この技術分野において常用のいろいろなキャリヤ材料、例えば鉄粉、フェライト粉などを使用することができる。
【0034】
特に、本発明では、より良好に現像を行うため、芯材にコーティングを施して得た材料をキャリヤとして有利に使用することができる。キャリヤの芯材として適当な材料としては、例えば、約65〜75emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、高磁化(約200emu/g)の鉄粉、マグネタイト(約90emu/g)、亜鉛(Cu−Zn)系材料(約60emu/g)などを挙げることができる。
【0035】
上記したようなキャリヤ芯材は、好ましくは、粒子の形態で使用することができ、また、そのような芯材粒子の平均粒径は、好ましくは、20〜100μmの範囲であり、さらに好ましくは、60〜90μmの範囲である。芯材粒子の平均粒径が20μmを下回ると、キャリヤ粒子の分布において微粉系が多くなり、キャリヤ粒子1個当たりの磁化が低くなることの結果、キャリヤの飛散が発生する。反対に、芯材粒子の平均粒径が100μmを上回ると、比表面積が低下することの結果としてトナーの飛散が発生する。また、ベタ部分の多いフルカラー印字の場合には、ベタ部分の再現が特に悪くなり、好ましくない。
【0036】
キャリヤ芯材に被覆すべきコーティングは、好ましくは、樹脂コーティングであり、さらに好ましくは、シリコーン樹脂コーティングである。シリコーン樹脂は、キャリヤの長寿命に有効に貢献し得るからである。シリコーン樹脂あるいはその他の樹脂のコーティングの量は、所望とする効果に応じて広く変更することができるというものの、通常、樹脂被覆した芯材の全量を基準にして0.1〜5.0重量%の範囲であり、好ましくは、0.15〜2.0重量%の範囲であり、さらに好ましくは、0.8〜1.5重量%の範囲である。樹脂コーティングの量が0.1重量%を下回ると、本発明に用いられるキャリヤ芯材の表面積指数の範囲(1.0〜2.1)では、キャリヤ表面に均一な樹脂コーティングを形成することができない。反対に、樹脂コーティングの量が5.0重量%を上回ると、樹脂コーティングが厚くなりすぎる結果、キャリヤ粒子どうしでの造粒が発生し、均一なキャリヤ粒子を得ることができなくなる傾向が発生する。
【0037】
キャリヤ芯材の表面に樹脂コーティングを施すことは、いろいろな技法に従って行うことができる。好ましくは、コーティング形成性の樹脂を適当な溶剤に溶解させた後、得られた樹脂溶液を、例えば浸漬法、スプレー法、刷毛塗り法などによりキャリヤ芯材の表面に施すことができる。樹脂溶液の調製に使用することのできる溶剤は、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブアセテートなどである。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、あるいは混合して使用してもよい。
【0038】
樹脂コーティングの形成が完了した後、乾燥により溶剤を蒸発させ、さらに続けて焼付を行う。焼付装置としては、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式又は流動式の電気炉、ロータリー式の電気炉、バーナー炉などを使用することができる。また、マイクロウエーブを利用した焼付装置を使用してもよい。焼付温度としては、180〜300℃の温度が好ましく、さらに好ましくは、220〜280℃の温度である。焼付温度が180℃を下回ると、樹脂コーティングを十分に固化させることができず、反対に300℃を上回ると、樹脂そのものの一部が分解が発生し、その結果、樹脂の表面層が荒れ、均一な樹脂コーティングが得られなくなるおそれがある。
【0039】
本発明による電子写真用カラートナーを使用して、従来より一般的に使用されている手法及び装置を使用して画像形成を行うことができる。典型的な画像形成の手順は、例えば、次の通りである。
(1)感光体の帯電
例えば感光体ドラムなどのような光導電性絶縁体の表面に正又は負の均一な静電荷を与える。感光体としては、例えば、アモルファスシリコン、セレンなどの無機の感光体、あるいはポリシラン、フタロシアニンなどの有機の感光体を挙げることができる。
(2)感光体の露光(潜像形成)
一様帯電工程の完了後、様々な手段によって光導電性絶縁体に光像を照射することによってその絶縁体上の静電荷を部分的に消去して静電潜像を形成する。例えば、レーザ光を照射して、特定部分の表面電荷を消去することにより、画像情報に応じた静電潜像を光導電性絶縁体上に形成することができる。また、光導電性絶縁体の裏側から現像部に露光することで現像を行う、いわゆる「光背面方式」を採用してもよい。
(3)トナーによる潜像の現像
次いで、光導電性絶縁体上の静電荷の残った潜像部分にトナーと呼ばれる現像剤の微粉体を付着させ、潜像を可視化する。この現像の方式は、先にも説明したように、1成分方式及び2成分方式のいずれであってもよい。トナー像が得られる。
(4)トナー像の記録媒体への転写
上記のようにして得られたトナー像を、印刷物となすため、一般的に、記録紙などの記録媒体に静電的に転写する。
(5)転写されたトナー像の定着
記録媒体に静電的に転写されたトナー像を、フラッシュ定着方式により溶融定着させる。フラッシュ定着の条件は、広い範囲で変更することができるというものの、好ましくは、
フラッシュ光の発光エネルギー 0.5〜3.0J/cm2
発光時間 500〜3,000μs
の範囲である。ここで、特に発光エネルギー及び発光時間を規定しているのは、発光エネルギーが強く、発光時間が長すぎると、定着性の良好なトナーを用いたときに記録媒体としての用紙が燃えやすくなってしまうからである。
【0040】
【実施例】
以下、本発明をその実施例及び比較例を参照して説明する。なお、下記の実施例中の「部」は、特に断りのある場合を除いてすべて「重量部」を意味する。また、下記の第1表及び第2表に記載の各トナー成分の配合量も「重量部」である。
例1
トナー1(本発明例)の調製
下記の第1表にも記載するように、下記のトナー成分を記載の量で用意した。
【0041】
バインダ樹脂:ポリエステル樹脂(花王製) 62.5部
着色剤:ウルトラマリーンブルー(大日精化製) 5部
定着助剤:エステル化合物(II)(次式参照、日本油脂製) 10部
【0042】
【化4】
Figure 0003769987
【0043】
定着助剤:燐ドープの酸化錫 20部
(1次粒径:0.1μm以下、触媒化成製)
帯電制御剤:スルホン酸ポリマー 1部
(藤倉化成製、商品名「FCA−1001NS」)
ワックス:プロピレンワックス 1部
(三井化学製、商品名「NP105」)
添加剤:酸化チタン(BET表面積=200m3/g) 0.5部
(日本アエロジル製、商品名「R974」)
これらのトナー成分をヘンシェルミキサに投入して予備混合を行った後、160℃に加熱したエクストルーダにより溶融混練した。得られた混練物を冷却固化した後、ハンマーミルにて粗粉砕し、さらにジェットミルにて微粉砕した。得られた微粉末を気流分級機にて分級を行い、体積平均粒径が8.5μmの黒色の着色微粒子を得た。次いで、得られた微粒子に対して1.5部の疎水性シリカ微粒子(クラリアントジャパン製、商品名「H2000/4」)を添加し、ヘンシェルミキサにより外添処理を行った後、気流分級機で分級した。平均粒径8.5μmの球形トナー微粉体が得られた。以下、このトナー微粉体を「トナー1」と呼ぶ。
例2
トナー2(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第1表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫に代えて、同量のアンチモンドープの酸化錫(1次粒径:0.1μm以下、触媒化成製)を使用した。以下、このトナー微粉体を「トナー2」と呼ぶ。
例3
トナー3(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第1表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫に代えて、同量の錫ドープの酸化インジウム(1次粒径:0.1μm以下、触媒化成製)を使用した。以下、このトナー微粉体を「トナー2」と呼ぶ。
例4
トナー4(比較例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、比較のため、下記の第1表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫に代えて、同量の錫ドープの酸化インジウム(1次粒径:1〜5μm、触媒化成製)を使用した。以下、このトナー微粉体を「トナー4」と呼ぶ。
例5
トナー5(比較例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、比較のため、下記の第1表に記載するように、定着助剤として使用したエステル化合物(II)の配合量を10部から0.5部に減量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から72部に増量した。以下、このトナー微粉体を「トナー5」と呼ぶ。
例6
トナー6(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第1表に記載するように、定着助剤として使用したエステル化合物(II)の配合量を10部から1部に減量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から71.5部に増量した。以下、このトナー微粉体を「トナー6」と呼ぶ。
例7
トナー7(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第1表に記載するように、定着助剤として使用したエステル化合物(II)の配合量を10部から20部に増量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から52.5部に減量した。以下、このトナー微粉体を「トナー7」と呼ぶ。
例8
トナー8(比較例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、比較のため、下記の第1表に記載するように、定着助剤として使用したエステル化合物(II)の配合量を10部から30部に増量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から42.5部に減量した。以下、このトナー微粉体を「トナー8」と呼ぶ。
例9
トナー9(比較例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、比較のため、下記の第2表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫の配合量を20部から0.5部に減量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から82部に増量した。以下、このトナー微粉体を「トナー9」と呼ぶ。
例10
トナー10(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第2表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫の配合量を20部から1部に減量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から81.5部に増量した。以下、このトナー微粉体を「トナー10」と呼ぶ。
例11
トナー11(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第2表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫の配合量を20部から30部に増量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から52.5部に減量した。以下、このトナー微粉体を「トナー11」と呼ぶ。
例12
トナー12(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第2表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫の配合量を20部から50部に増量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から32.5部に減量した。以下、このトナー微粉体を「トナー12」と呼ぶ。
例13
トナー13(本発明例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、下記の第2表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫の配合量を20部から70部に増量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から12.5部に減量した。以下、このトナー微粉体を「トナー13」と呼ぶ。
例14
トナー14(比較例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、比較のため、下記の第2表に記載するように、定着助剤として使用した燐ドープの酸化錫の配合量を20部から75部に増量しかつバインダ樹脂として使用したポリエステル樹脂の配合量を62.5部から7.5部に減量した。以下、このトナー微粉体を「トナー14」と呼ぶ。
例15
トナー15(比較例)の調製
前記例1に記載の手法を繰り返して球形トナー微粉体を調製した。なお、本例では、比較のため、下記の第2表に記載するように、バインダ樹脂として、ポリエステル樹脂に代えて、同量のスチレンアクリル樹脂(三井化学製)を使用した。以下、このトナー微粉体を「トナー15」と呼ぶ。
例16
シリコーン樹脂被覆キャリヤの調製
平均粒径80μmのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)フェライト粒子をキャリヤ芯材として用意し、この芯材の表面に流動床を用いてシリコーン樹脂(固形分含有量:20重量%、東レ・ダウコーニング・シリコーン製、商品名「SR2411」)を0.1重量%の被覆量でコーティングした。コーティングの完了後、250℃の温度で3時間にわたって焼付を行った。シリコーン樹脂被覆のフェライトキャリヤが得られた。
例17
印字試験
前記例1〜例15のそれぞれにおいて調製したトナーのフラッシュ定着性を評価するため、下記の手順で印字試験を実施した。
【0044】
それぞれのトナーを前記例16で調製したシリコーン樹脂被覆フェライトキャリヤと混合し、トナー濃度4.5重量%の現像剤を調製した。フラッシュ定着機を内蔵した高速プリンタ装置(品番F6760D、富士通社製)を負帯電トナー用に改造した後、それぞれの現像剤を使用して普通紙に文書パターンを連続印刷した。プリンタ装置のプロセス速度は1200mm/秒であり、また、トナー消費量は約1kg/時間であった。
【0045】
それぞれのトナーの印字試験において、下記の7項目の特性に関して評価を行った。得られた結果を下記の第1表及び第2表に示す。
(1)定着性
トナー印字の剥離状態により定着性の善し悪しを評価した。印字サンプルの印字面に加重600gでメンディングテープ(住友スリーエム製)を貼り付けた後、剥離した。テープの剥離後、印字面の印字濃度の変化を光学濃度計により測定し、印字濃度の変化が10%以下のものを「良好な定着性を有する(下記の表中、○で表示)」とし、それ以外のものを「不良(×)」とした。
(2)耐ボイド性
印字サンプルの印字面を光学顕微鏡で観察し、ボイド(小さな白点)が認められなかったものを「良好な耐ボイド性を有する(○)」とし、それ以外のものを「不良(×)」とした。
(3)トナーの粉砕性
トナーの調製時におけるトナーの粉砕性の善し悪しを目視により評価した。なんらの支障もなくトナーの粉砕を行い得たものを「良好(○)」、それ以外を「不良(×)」とした。
(4)フラッシュ定着機のフィルタの目詰まり
100万枚の連続印刷が完了した後、使用したフラッシュ定着機のフィルタの目詰まりの状態を目視により観察した。少しの目詰まりのないものを「良好(○)」、それ以外を「不良(×)」とした。
(5)初期印字
印字の初期段階で、得られた印字サンプルの印字状態の善し悪しを目視により評価した。満足のいく印字が行われているものを「良好(○)」、それ以外を「不良(×)」とした。
(6)キャリヤの付着
プリンタ汚染の評価のため、プリンタ装置の内部におけるキャリヤの付着の有無を目視により観察した。少しのキャリヤ付着も認められないものを「良好(○)」、それ以外を「不良(×)」とした。
(7)100万枚印刷後の印字状態
100万枚の印字の完了後、得られた印字サンプルの印字状態の善し悪しを目視により評価した。満足のいく印字が行われているものを「良好(○)」、それ以外を「不良(×)」とした。
【0046】
【表1】
Figure 0003769987
【0047】
【表2】
Figure 0003769987
【0048】
上記した結果から理解されるように、本発明によるトナーを使用した場合には、フラッシュ定着性に優れた良好な品質を有するプリントを得ることができる。これに反して、従来のトナーを使用した場合には、満足し得る定着性を得ることができない。特に、トナー15のようにスチレンアクリル樹脂をバインダ樹脂として使用した場合には、フラッシュ定着中の発煙とそれによる悪臭の発生を回避することができない。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明したように、フラッシュ定着方式を採用した電子写真プロセスにおいて本発明のカラートナーを使用すると、トナーそのものの優れた特性を損なうことなく、優れた定着性を達成することができるばかりでなく、従来のカラートナーでフラッシュ定着の際に発生した発煙を防止することができるので、発煙に伴う悪臭等の不快感を排除し、フィルタ交換などの煩雑な作業をなくすることができる。

Claims (1)

  1. バインダ樹脂及び着色剤を含む電子写真用フラッシュ定着カラートナーにおいて、
    前記バインダ樹脂が、ポリエステル樹脂からなり、かつ
    前記着色剤とともに、次式(I)により表されるエステル化合物:
    Figure 0003769987
    (上式において、mは15〜25の正の整数を表し、そしてnは4である)及び赤外線吸収剤を組み合わせて含み、
    前記赤外線吸収剤が、ドープされた酸化錫又は酸化インジウムあるいはその混合物であり、粒子の形態にありかつその粒子径が、1次粒子の粒子径で表わして、0.1μm以下であり、そして
    前式(I)のエステル化合物が、トナーの全量を基準にして1〜20重量%の量で添加されておりかつ前記赤外線吸収剤が、トナーの全量を基準にして1〜70重量%の量で添加されていることを特徴とする電子写真用フラッシュ定着カラートナー。
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