JP5081486B2 - 電池容器及び栓 - Google Patents

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Description

本発明は、電池容器及び栓、特に、リチウムイオン電池などに用いられる電池容器及び栓に関する。
従来から、高エネルギ密度のリチウムイオン電池が知られており、各種の携帯機器や自動車用の電源として使用されている。このリチウムイオン電池を安全に使用するためには、充電器でリチウムイオン電池を充電する際に電圧を管理する必要がある。また、リチウムイオン電池を組電池として使用する際には、組電池を構成する各単電池ごとに管理装置によって電圧を管理する必要がある。上述したリチウムイオン電池は、完全密閉構造をしており、リチウムイオン電池の内圧が所定の圧力に達すると破損する安全弁を備えている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、充電器や管理装置に障害等が発生すると、各単電池に充電電流が連続して流れ、この結果、電池容器内の電解液の分解が起こる。そして、リチウムイオン電池の電池容器内の圧力が上昇する。電池容器内の圧力が前記の安全弁の動作圧以下である場合、電池内には前記の圧力が印加されたままの状態であり、電池容器にはこのような圧力が連続して加えられた状態でも破損しないような機械的な強度が要求される。このため、十分な強度を有する金属等の容器が使用されていた。
しかし、このような電解液の分解等が急激に進むと、リチウムイオン電池の電池容器の内圧の上昇によって安全弁の動作のみならず安全弁の動作とともに電池容器の破損が生じ、電解液や電解液の分解物が電池容器の外部に飛散する恐れがある。
この問題を解決するために、従来、電池容器の一部に、ガス透過性調圧ユニットを設け、電池容器の内圧が上昇した場合には、このガス透過性調圧ユニットから電池容器内で電解液の分解等で生成した気体等を透過させ、電池容器の内圧が更に上昇した場合には、ガス透過性調圧ユニットを破損させて、電池容器の内圧の上昇を抑える技術が知られていた(特許文献3)。
特開2000−182587号公報 特開平6−36752号公報 特開2004−221129号公報
しかしながら、特許文献3に記載されているガス透過性調圧ユニットでは、電解液や電池内で生成した可燃性の分解物がそのまま電池外に排出されるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可燃性の気体等の物質が電池容器の外部に排出されることを防ぐことができる電池容器及び栓を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、電池容器に取り付けられ前記電池容器の内圧が上昇した場合に前記電池容器内の物質を外部に排出する圧力調整弁と、前記圧力調整弁から排出される物質の排出経路上に配置され、前記物質の可燃性を低下させる難燃剤とを有することを特徴とする電池容器である。
本発明では、電池容器内から外部に排出される気体の可燃性を難燃剤によって低下させることができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記圧力調整弁から排出される物質の排出経路上に設けられ、電池容器外部からの火の侵入を防ぐフィルタを更に有することを特徴とする請求項1に記載の電池容器である。
本発明では、フィルタによって電池容器外の火点が電池容器内に侵入することを防ぐことができる。
また、請求項3に記載の発明の前記フィルタは、内部に空間を有し、前記難燃剤は、前記フィルタの空間内に配置されることを特徴とする請求項2に記載の電池容器である。
本発明では、フィルタの内部の空間内に難燃剤を配置するようにしたので、電池容器に振動が加えられること等によって、圧力調整弁から排出される気体の流路外の領域に難燃剤が移動してしまうことを防ぐことができる。
また、請求項4に記載の発明は、前記難燃剤として、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤、フュームシリカ、三酸化アンチモンの少なくとも1つ以上を用いることを特徴とする請求項1から3までのいずれかの項に記載の電池容器である。
本発明では、リチウムイオン電池の電解液を電池容器内に充填した場合に、その電解液に含まれる物質が蒸発又は分解して発生する可燃性の気体を、不燃性の気体に変化させることができる。
また、請求項5に記載の発明の前記圧力調整弁は、スプリングディスク式圧力調整弁からなることを特徴とする請求項1から4までのいずれかの項に記載の電池容器である。
また、請求項6に記載の発明は、頭部と脚部とからなり前記頭部と前記脚部とを貫通する貫通孔が形成されたネジ部と、前記ネジ部の頭部に形成されている貫通孔を覆い火の侵入を防ぐフィルタと、前記ネジ部の貫通孔内又は前記フィルタ内に配置され可燃性の物質の可燃性を低下させる難燃剤とを有することを特徴とする栓である。
本発明では、電池容器の圧力調整弁が設けられている領域に、ネジ部を取り付けることにより、電池容器内から外部に排出される気体の可燃性を難燃剤によって低下させることができるとともに、フィルタによって電池容器外の火点が電池容器内に侵入することを防ぐことができる。
本発明によれば、可燃性の気体等の物質が電池容器の外部に排出されることを防ぐことができる電池容器及び栓を提供する。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの斜視図である。
リチウムイオン電池100aの電池容器50aは、容器本体20aと上蓋10aとから構成されている。容器本体20aと上蓋10aは、プラスチックにより形成されている。上蓋10aの中央部には、上蓋10aの一部である突出部30aが形成されている。突出部30aの内部の構造については、図3(a)及び図3(b)を参照して後述する。
また、上蓋10aには、リチウムコバルタイト(LiCoO)からなる正極40と、炭素(C)からなる負極41とが取り付けられている。
図2は、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの分解斜視図である。図2は、図1のリチウムイオン電池100aの容器本体20aから上蓋10aを取り外した状態を示している。
電池容器50aは、直方体状の形状をしており、内部に直方体状の空間が設けられている。電池容器50a内には、集電体12(12a、12b、12c、12d)や電極群11などが収納される。電池容器50a内には、電解液が充填される。
この電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)からなる電解液や、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの混合物(EC−MEC)からなる電解液や、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの混合物(PC−EC−MEC)に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)又は過塩素酸リチウム(LiClO)を添加した電解液などが用いられる。
電極群11は、渦巻き状の正電極シート11aと、渦巻き状の負電極シート11bとから構成されている。正電極シート11aと負電極シート11bとは、セパレータ(図示省略)により互いに電気的に絶縁されている。
正電極シート11aは、集電体12a、12bを介して、正極40に電気的に接続されている。負電極シート11bは、集電体12c、12dを介して、負極41に電気的に接続されている。集電体12a、12b、12c、12dとしては、導線などが用いられる。
図3(a)は、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの上蓋10aの構造を示す平面図である。また、図3(b)は、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの上蓋10aの構造を示す断面図である。
上蓋10aの中央部には、突出部30aが設けられている。突出部30aの内部には、フィルタ31(31a、31b)、リング状部材32が設けられている。
上蓋10aの両端には、凸部13a、13bが形成されている。上蓋10aの材質としては、樹脂を用いている。樹脂の材料としては、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂やPP(Polypropylene)樹脂などを用いることができる。上蓋10aのうち、樹脂で形成された樹脂部16には、貫通孔が2つ形成されており、その貫通孔にそれぞれ正極40と負極41とが取り付けられている。
上蓋10aの中央部には貫通孔h1が形成されており、上蓋10aには、その貫通孔h1を封止する圧力調整弁34が取り付けられている。
図4(a)は、本発明の第1の実施形態による圧力調整弁34の構造を示す斜視図である。圧力調整弁34は、直径がd10、高さがd11の有底円柱状の形状をしている。圧力調整弁34の内部には、直径がd12(d12<d10)、深さがd13(d13<d11)の円柱状の空間が形成されている。圧力調整弁34は、ゴムにより形成されており、電池容器50aの上蓋10aに設けられた取り付け部に勘合して装着される。ゴムの材料としては、エチレンプロピレンゴム、ネオプレンゴム等が適用できる。
電池容器50a内の圧力が上昇すると圧力調整弁34が変形し、気体等の電池容器50a内の物質が電池容器50a外に排出され、電池容器50a内の圧力が上昇することを防ぐことができる。
図5は、本発明の第1の実施形態による圧力調整弁34の機能について説明するためのグラフである。図5において、横軸は時間を示しており、縦軸は電池容器50a内の圧力を示している。
電池容器50aの内圧が開弁圧Paに達すると圧力調整弁34の開放動作によって電池容器50a内の圧力が所定の圧力Pbまで低下する。この圧力調整弁34は、逆止弁の働きがあり、いったん電池容器50a内の圧力が低下すると閉塞状態となり、電池容器50a内への外気の侵入を防止する。開弁圧Paは、例えば、160〜200mmHg(約0.2〜0.25kg/cm)である。なお、開弁圧Paは、この値に限定されるものではなく、圧力調整弁34の材質や形状、電池容器50aの強度を加味して任意に選定することが可能である。
図4(b)は、本発明の第1の実施形態によるフィルタ31aの構造を示す斜視図である。フィルタ31aは、直径がd20、厚さがd21の円板状の形状をしている。
図4(c)は、本発明の第1の実施形態によるフィルタ31bの構造を示す斜視図である。フィルタ31bは、直径がd30(d30=d20)、高さがd31の円柱状の形状をしている。フィルタ31bの内部には、直径がd32(d32<d30)、深さがd33(d33<d31)の円柱状の空間S1が形成されている。
フィルタ31a及びフィルタ31bは、アルミナの焼結体から構成される多孔質体により形成されている。この多孔質体は多数の細孔を有するので、火炎が内部に侵入することを防止することができる。
このフィルタ31bの開口部を塞ぐように、フィルタ31aをフィルタ31b上に設置することにより、直径がd32、高さがd33の円柱状の空間S1を内部に有するフィルタ31が形成される。
フィルタ31の内部の空間S1には、難燃剤33を内包した袋35を配置している。難燃剤33は、電池容器20a内に充填される電解液に含まれる有機溶剤の加熱された蒸気又は分解物である可燃性の気体に作用し、不燃性を付与する。
ここで、難燃剤33による難燃化機構について説明する。燃焼には、可燃性成分、酸素、熱エネルギが必須であり、これらの中の任意の一つが欠けると燃焼は抑制される。従って、物質の難燃化には、燃焼の過程で生じる活性なOHラジカルの安定化、酸素の遮断、断熱が有効である。そして、酸素の遮断には、不燃性ガスの生成による遮断、燃焼残渣による遮断、断熱には、燃焼残渣が有効である。
なお、難燃化機構は大別して、気相と固相における機能に分類される。気相における難燃化は、燃焼の過程で生じる活性なOHラジカル、OOHラジカルの様な燃焼誘因物質を捕捉する効果や吸熱反応により促進される。また、固相における難燃化は、燃焼残渣による断熱により促進される。
難燃剤33としては、臭素系、塩素系のハロゲン系難燃剤や、リン系、シリコン系のノンハロゲン系難燃剤などを用いることができる。
ここで、臭素系のハロゲン系難燃剤としては、例えば、DBDPO(デカブロモジフェニルオキサイド)や、DBDPE(デカブロモジフェニルエーテル)などを用いることができる。また、ノンハロゲン系難燃剤としては、リン系ではリン酸エステルなど、シリコン系ではシリコンポリマー粉末などを用いることができる。
なお、難燃剤33として、粒径が0.1マイクロメートル〜0.005マイクロメートルのフュームシリカや、粒径が0.1マイクロメートル〜0.005マイクロメートルの三酸化アンチモンなどを用いてもよい。この粒径のフュームシリカは、表面が活性なOHラジカルで覆われ、水素結合による強い凝集力により燃焼残渣を形成するとともに、粒子の繋がりにより可燃性ガスを吸着するため、可燃性の気体に難燃性の気体に変化させることができる。
また、難燃剤33として、上述したハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤、フュームシリカ、三酸化アンチモンのいずれか1つを用いてもよいし、これらの難燃剤を複数組み合わせて用いてもよい。
袋35としては、微細細孔を有する織物布や不織布を用いることができる。袋35の材質としては、綿、ポリエステル繊維、レーヨン繊維を単体で用いたり、これらの混紡等を用いたりすることができる。
また、袋35の材質として、開裂が容易な、ポリ塩化ビニリデンや、ポリ塩化ビニルなどを用いることもできる。この場合、上蓋10aの貫通孔h1から所定の圧力以上の可燃性の気体を含む物質が流出したときに、それらの物質の圧力によって袋35が開裂し、袋35に内包されていた難燃剤33と可燃性の物質が反応して、燃焼性が低下される。
図4(d)は、本発明の第1の実施形態によるリング状部材32の構造を示す斜視図である。このリング状部材32は、直径がd40(=d20)、厚さがd41のリング状の形状をしており、内部に直径がd42の貫通孔が形成されている。
リング状部材32の側面には、ネジ山321が形成されている。上蓋10aの突出部30aの内部には、ネジ溝301が形成されている(図3(b)参照)。上蓋10aの突出部30a内に、フィルタ31を設置した後、リング状部材32に形成されたネジ山321と、上蓋10aの突出部30aに形成されたネジ溝301とを嵌合することにより、突出部30a内にフィルタ31を固定することができる。
図6は、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの上蓋10aの一部の構造を示す断面図である。図6は、図3(b)において、上蓋10aの正極40、凸部13aを含む領域を示している。
上蓋10aの貫通孔に正極40を取り付ける際に、上蓋10aと正極40との間に隙間ができないように、本実施形態では、上蓋10aと正極40との間に樹脂14を埋め込んでいる。これにより、リチウムイオン電池100aの電池容器50a内を気密に封止することができる。樹脂14としては、例えば、エポキシ樹脂などを用いることができる。
なお、図6では、上蓋10aの正極40が取り付けられる領域の構造を示したが、上蓋10aの負極41が取り付けられる領域の構造についても図6と同様であるので、その説明を省略する。
図7は、本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの上蓋10aと容器本体20aとを接合する方法について説明するための図である。上蓋10aの両端には、それぞれ凸部13(13a、13b)が形成されている。
容器本体20aの縁の部分には凹部15(15a、15b)が形成されている。
リチウムイオン電池100aの電池容器50aの内部に、集電体12、電極群11(図2参照)などを収納した後に、上蓋10aの凸部13aと容器本体20aの凹部15aとを嵌合させる。これにより、図1に示すような形状の電池容器50aが完成する。なお、上蓋10aの凸部13と容器本体20aの凹部15との間には、接着剤を塗布することにより、上蓋10aと容器本体20aとが一体化される。
上述した本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの電池容器50aでは、電池容器50aに取り付けられ、その電池容器50aの内圧が上昇した場合に電池容器50a内の物質(本実施形態では、可燃性の気体)を外部に排出する圧力調整弁34と、その圧力調整弁34から排出される物質の排出経路上に設けられ火の侵入を防ぐフィルタ31と、前記圧力調整弁34から排出される物質の排出経路上に配置され前記物質の可燃性を低下させる難燃剤33とを設けるようにした。また、本実施形態では、フィルタ31は内部に空間S1を有し、難燃剤33はフィルタ31の空間S1内に配置されている。
本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの電池容器50aを用いれば、電池容器50a内の圧力が上昇した際、電池容器50a内から外部に排出される物質の可燃性を難燃剤33によって低下させることができ、可燃性の物質が電池容器50aの外部に排出されることを防ぐことができる。また、フィルタ31によって電池容器50a外の火点が電池容器50a内に侵入することを防ぐことができる。
なお、本発明の第1の実施形態では、突出部30、フィルタ31、リング状部材32、難燃剤33、安全弁34、袋35を、上蓋10a上に設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、容器本体20aの側面又は底面上に設けるようにしてもよい。
また、本発明の第1の実施形態では、突出部30a内に、フィルタ31aとフィルタ31bとを設置するようにしたが、これに限定されるものではなく、フィルタ31aとフィルタ31bのいずれか一方のみを設置するようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態において、第1の実施形態と同じ構成をとる部分については、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図8は、本発明の第2の実施形態によるリチウムイオン電池100bの斜視図である。
リチウムイオン電池100bの電池容器50bは、容器本体20aと上蓋10bとから構成されている。上蓋10bは、プラスチックにより形成されている。上蓋10bの中央部には、上蓋10bの一部である突出部30bが形成されている。突出部30b上には、フィルタ31cが取り付けられている。突出部30bの内部には、ネジ溝302が形成されている。突出部30b等の構造については、図9(a)及び図9(b)を参照して後述する。
図9(a)は、本発明の第2の実施形態によるリチウムイオン電池100bの上蓋10bの構造を示す平面図である。また、図9(b)は、本発明の第2の実施形態によるリチウムイオン電池100bの上蓋10bの構造を示す断面図である。
上蓋10bの中央部には、突出部30bが設けられている。突出部30bには、リング状部材36、ネジ部37を介して、フィルタ31cが取り付けられている。
本実施形態の栓70は、フィルタ31c、リング状部材36、ネジ部37、難燃剤33を内包した袋35により構成されている。
図10(a)は、本発明の第2の実施形態によるフィルタ31cの構造を示す斜視図である。フィルタ31cは、直径がd50、高さがd51の円柱状の形状をしている。フィルタ31cの内部には、直径がd52(d52<d50)、深さがd53(d53<d51)の円柱状の空間が形成されている。
フィルタ31cは、アルミナの焼結体から構成される多孔質体により形成されている。
図10(b)は、本発明の第2の実施形態によるネジ部37の構造を示す斜視図である。このネジ部37は、頭部37aと脚部37bとからなり、頭部37aと脚部37bとを貫通する貫通孔h2が形成されている。頭部37aと脚部37bは、プラスチックにより形成されている。
ネジ部37の頭部37aは、直径がd60(d60=d50)、厚さがd61の円柱状の形状をしている。頭部37aには、直径がd62の貫通孔h2が形成されている。
また、ネジ部37の脚部37bは、直径がd63(d63<d60)、高さがd64の円柱状の形状をしている。脚部37bには、直径がd62の貫通孔h2が形成されている。脚部37bの側面には、ネジ山371が形成されている。
図10(c)は、本発明の第2の実施形態によるリング状部材36の構造を示す斜視図である。リング状部材36は、直径がd70(d70=d50)、厚さがd71のリング状の形状をしている。リング状部材36には、直径がd72(d72<d70、d72=d63)の貫通孔が形成されている。リング状部材36は、ゴムにより形成されている。
図10(d)は、本発明の第2の実施形態による円板状部材38の構造を示す斜視図である。円板状部材38は、直径がd80、厚さがd81の円板の形状をしている。円板状部材38は、プラスチックにより形成されている。
フィルタ31cとネジ部37と上蓋10bとで囲まれる空間S2内には、難燃剤33を内包した袋35を配置している。なお、本実施形態では、袋35を支持するために上蓋10b上に円板状部材38を設置しているが、円板状部材38を設けなくてもよい。
ネジ部37の脚部37bに、リング状部材36を装着した後、ネジ部37の脚部37bのネジ山371と、上蓋10bの突出部30bのネジ溝302とを嵌合し、ネジ部37の頭部37aにフィルタ31cを接着剤等により接着し、ネジ部37の貫通孔内に、難燃剤33を内包した袋35を取り付けることにより、栓70を作成することができる。
上述した本発明の第2の実施形態による栓70では、頭部37aと脚部37bとからなり頭部37aと脚部37bとを貫通する貫通孔が形成されたネジ部37と、ネジ部37の頭部37aに形成されている貫通孔を覆い火の侵入を防ぐフィルタ31cと、ネジ部37の貫通孔内に配置され可燃性の物質(本実施形態では、可燃性の気体)の可燃性を低下させる難燃剤33を設けるようにした。
本発明の第2の実施形態によるリチウムイオン電池100bの栓70を用いれば、電池容器50bの圧力調整弁34が設けられている領域に、ネジ部37を取り付けることにより、電池容器50b内から外部に排出される物質の可燃性を、難燃剤33によって低下させることができ、可燃性の物質が電池容器50bの外部に排出されることを防ぐことができる。また、フィルタ31cによって電池容器50b外の火点が電池容器50b内に侵入することを防ぐことができる。
なお、本発明の第2の実施形態では、難燃剤33を内包した袋35を、ネジ部37の貫通孔内に配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、フィルタ31c内に配置するようにしてもよい。
なお、本発明の第1及び第2の実施形態では、難燃剤33が袋35に内包されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、難燃剤33を袋35に詰めずに空間S1(図3(b)参照)又は空間S2(図9(b)参照)内に配置するようにしてもよい。
本発明の第1及び第2の実施形態では、電池容器50a、50bを完全密閉構造でなく、電池容器50a、50bの内圧を調整する機能を持った圧力調整弁34を備えている。
したがって、電池容器50a、50bの内圧の極度の上昇を抑えることができ、従来の開裂式安全弁を使用した際に要求されていた安全弁の開裂圧力に耐えるような強度を持った電池容器を用いることなく電池を作製する事ができる。これによって、従来、機械的強度確保のため、金属容器等が使用されていたが、本発明の第1及び第2の実施形態の場合、樹脂製の電池容器の使用が可能になる。樹脂製の電池容器は、成形による大量生産が可能であり電池の製造コストを低減することができる。また、難燃性樹脂の使用により電池の難燃性の向上も期待できる。さらに、圧力調整弁を覆って防爆性のフィルタを配置しているので可燃性の物質が電池容器50a、50b外に流出することがあっても外部からの火点からの着火が防止でき安全性が高い。なお、このような可燃性物質の排出に備え、排出経路上に難燃化物質を配置しているので可燃性が低減され、電池の安全性の一層の向上が図られる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態において、第2の実施形態と同じ構成をとる部分については、その説明を省略する。
図11(a)は、本発明の第3の実施形態によるリチウムイオン電池の上蓋10cの構造を示す平面図である。また、図11(b)は、本発明の第3の実施形態によるリチウムイオン電池の上蓋10cの構造を示す断面図である。
図11(a)、図11(b)において、図9(a)、図9(b)と同じ構成をとる部分については、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
第3の実施形態では、上蓋10cに円板状部材38(図9(b))が設けられていない点において第2の実施形態と異なる。また、第3の実施形態では、上蓋10cの中央部の貫通孔の形状が第2の実施形態と異なる。また、第3の実施形態では、圧力調整弁34(図9(b))の代わりに、弁本体上部91と弁本体下部92などからなるスプリングディスク式圧力調整弁90を用いている点において第2の実施形態と異なる。
図12は、本発明の第3の実施形態によるスプリングディスク式圧力調整弁90の具体的な構成を示す断面図である。本実施形態では、上蓋10cの中央部に貫通孔h3が設けられており、その貫通孔h3の内部にネジ溝901が形成されている。スプリングディスク式圧力調整弁90は、弁本体上部91、弁本体下部92、ディスク93、スプリング94、押さえ板95、リング状部材96を備えている。なお、弁本体上部91、弁本体下部92、ディスク93、スプリング94、押さえ板95の材質としては、ステンレスや真鍮などの金属等を用いることができる。また、リング状部材96の材質としては、電池内の電解液と接触しても長期にわたって変質しないシリコンゴムなどの弾性体を用いることができる。
弁本体下部92はネジ状の形状をしており、側面の一部にネジ山903が形成されている。また、弁本体下部92には、軸方向に貫通孔h5が設けられている。弁本体下部92の上面の一部の領域には、リング状部材96が取り付けられている。なお、弁本体下部92の上面のうち貫通孔h5以外の全部の領域に、リング状部材96を取り付けるようにしてもよい。
弁本体上部91は、ドーム状の形状をしており、先端に開口部h4が形成されている。弁本体上部91の内部には、押さえ板95が取り付けられている。押さえ板95は、円板状の形状をしており、中央部に貫通孔h6が形成されている。押さえ板95には、スプリング94を介してディスク93が取り付けられている。ディスク93は、円板状の形状をしている。
上蓋10cのネジ溝901と、弁本体下部92のネジ山903とを螺合することにより、上蓋10cにスプリングディスク式圧力調整弁90が固定される。
スプリングディスク式圧力調整弁90は、電池の内圧が低い場合には、ディスク93とリング状部材96とが圧着するため、電池内は外部と遮断される。すなわち、スプリングディスク式圧力調整弁90は、逆止弁として機能する。このため、電池容器内に大気が流入することを防ぐことができる。
一方、電池内の圧力が上昇すると、ディスク93を介してスプリング94が押し上げられ、ディスク93とリング状部材96との間に隙間S4が生じ(図13参照)、加圧された電池内の物質はこの隙間S4を介して、流路R1を通って開口部h4からスプリングディスク式圧力調整弁90の外部に放出される。
ディスク93とリング状部材96との間に隙間S4が生じる電池内の圧力は、スプリング93の強度を調製することで任意に設定することが可能である。例えば、スプリング93の強度は、0.5〜3kg/cmに設定される。このスプリング93の強度は、電池を構成する電池容器の耐圧強度に基づいて決定される。
本実施形態では、電池容器の耐圧強度以下の圧力でスプリングディスク式圧力調整弁90が動作するように、スプリング93の強度を決定している。これにより、電池容器が内圧の上昇によって破損する前に、電池の内圧を低下させることができる。
本実施形態によるスプリングディスク式圧力調整弁90を用いれば、電池内の圧力が所定圧力に達した場合であっても、電池内の圧力が所定圧力以下に下がれば、ディスク93とリング状部材96とが再度圧着するため、スプリングディスク式圧力調整弁90を何度でも使用することが可能である。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの斜視図である。 本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの上蓋10aの構造を示す平面図及び断面図である。 本発明の第1の実施形態による圧力調整弁34の構造を示す斜視図等である。 本発明の第1の実施形態による圧力調整弁34の機能について説明するためのグラフである。 本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの上蓋10aの一部の構造を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態によるリチウムイオン電池100aの上蓋10aと容器本体20aとを接合する方法について説明するための図である。 本発明の第2の実施形態によるリチウムイオン電池100bの斜視図である。 本発明の第2の実施形態によるリチウムイオン電池100bの上蓋10bの構造を示す平面図及び断面図である。 本発明の第2の実施形態によるフィルタ31cの構造を示す斜視図等である。 本発明の第3の実施形態によるリチウムイオン電池の上蓋10cの構造を示す平面図及び断面図である。 本発明の第3の実施形態によるスプリングディスク式圧力調整弁90の具体的な構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態によるスプリングディスク式圧力調整弁90の動作を説明するための図である。
符号の説明
10a、10b・・・上蓋、11・・・電極群、12・・・集電体、13a、13b・・・凸部、14・・・樹脂、15a、15b・・・凹部、16・・・樹脂部、20a・・・容器本体、30a、30b・・・突出部、31、31a、31b、31c・・・フィルタ、32・・・リング状部材、33・・・難燃剤、34・・・圧力調整弁、35・・・袋、36・・・リング状部材、37・・・ネジ部、38・・・円板状部材、40・・・正極、41・・・負極、50a、50b・・・電池容器、70・・・栓、90・・・スプリングディスク式圧力調整弁、91・・・弁本体上部、92・・・弁本体下部、93・・・ディスク、94・・・スプリング、95・・・押さえ板、96・・・リング状部材、100a、100b・・・リチウムイオン電池

Claims (6)

  1. 電池容器に取り付けられ前記電池容器の内圧が上昇した場合に前記電池容器内の物質を外部に排出する圧力調整弁と、
    前記圧力調整弁から排出される物質の排出経路上に配置され、前記物質の可燃性を低下させる難燃剤と、
    を有することを特徴とする電池容器。
  2. 前記圧力調整弁から排出される物質の排出経路上に設けられ、電池容器外部からの火の侵入を防ぐフィルタを更に有することを特徴とする請求項1に記載の電池容器。
  3. 前記フィルタは、内部に空間を有し、
    前記難燃剤は、前記フィルタの空間内に配置されることを特徴とする請求項2に記載の電池容器。
  4. 前記難燃剤として、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤、フュームシリカ、三酸化アンチモンの少なくとも1つ以上を用いることを特徴とする請求項1から3までのいずれかの項に記載の電池容器。
  5. 前記圧力調整弁は、スプリングディスク式圧力調整弁からなることを特徴とする請求項1から4までのいずれかの項に記載の電池容器。
  6. 頭部と脚部とからなり前記頭部と前記脚部とを貫通する貫通孔が形成されたネジ部と、
    前記ネジ部の頭部に形成されている貫通孔を覆い火の侵入を防ぐフィルタと、
    前記ネジ部の貫通孔内又は前記フィルタ内に配置され可燃性の物質の可燃性を低下させる難燃剤と、
    を有することを特徴とする栓。
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