JP5077438B2 - 可塑性油脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、可塑性油脂組成物の製造法に関する。
マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの可塑性油脂組成物の製造は、調合物とも呼ばれる油脂または油脂を含むエマルジョンの溶液を、コンビネーター、パーフェクター、ボテーターなどに代表される掻き取り式熱交換器を通すことで急冷・混捏した後箱に充填し、熟成室やテンパリング庫とも呼ばれる保温庫にて一定時間保持する熟成工程(テンパリングとも呼ばれる)を経て、安定な品質の製品を得るのが通常である。テンパリングを経ることで、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの可塑性油脂組成物は、展延性やホイップ性が改善する傾向がある。テンパリングなしに、急冷混捏して得た製品をそのまま冷蔵、貯蔵、流通させると、展延性やホイップ性が劣る傾向があり、また、経時的な硬さの上昇がより顕著に見られ、好ましくない。よって、展延性やホイップ性を特に必要とする用途に使用する製品においては、テンパリングを実施することが必要となる場合が多い。特に昨今、油脂原料の価格高騰から、相対的に廉価な油脂とされるパームに由来する油脂を多用する傾向が見られるが、パームに由来する油脂を多く使用する可塑性油脂組成物においては、テンパリングを行わないと物性が悪くなる傾向がより大きい。よってパームに由来する油脂を多く使用する可塑性油脂組成物ほど、テンパリングの実施が求められる傾向がある。非特許文献1にはパーム油について「パーム油は結晶化が遅く、マーガリン製造機のような急冷可塑化装置で処理した後も・・・充填包装後に経時的に硬くなり、伸展性の低下を起こす。」と記載され、その油脂組成物における物性の悪さは当業者に一般的に知られている。また「・・・油脂の結晶粗大化(グレーニング;ざらつき)が起こりやすいため、以前はマーガリンやショートニングへの配合割合が低く抑えられてきた。」と記載され、パーム油を問題なく使用するためには、その配合量を低く抑えることが、一つの手段であった。

通常テンパリングは、テンパリング庫と呼ばれる、ある一定の温度に保った貯蔵庫に、一定時間(24時間から72時間)保持し、製品温度を製品に含まれる油脂の軟化点から若干程度低い熟成温度にまで昇温することにより行われる。このため、テンパリングが必要な製品は、製造から製品出荷までに要する時間が長くなり、生産効率が低下する傾向が見られる。また、製品ごとに違う温度に設定したテンパリング庫が必要であり、設備の点からもコスト負担が大きくなる傾向がある。さらに、製品を一旦テンパリング庫へ入れ、テンパリング終了後冷蔵庫へ移動する必要があり、作業が煩雑である。
上記テンパリングの時間短縮や、煩雑さを改善する目的で、いくつかの出願がなされている。たとえば特許文献1(特開昭52−151759号公報)、特許文献2(特開昭57−138343号公報)、特許文献3(特開昭59−41396号公報)、特許文献4(特開2007−37467号公報)は、可塑性油脂組成物を箱へ充填後、マイクロ波でテンパリング温度まで昇温することでテンパリングと同等の効果を得ようとしたものである。しかしながらマイクロ波を用いた昇温では、マイクロ波の半減深度が比較的浅いため、箱の厚さを薄く抑える必要があり、汎用性が低い。また、マイクロ波にて目的物を均一に昇温することは難しく、特許文献4のように、複数のマイクロ波発生装置にて間断的にマイクロ波を照射する必要がある。そのため、大型の装置が必要となり、コスト負担が大きい。
また、特許文献5(特開昭59−6841号公報)のように、箱詰め後のマイクロ波による昇温と、インラインでのマイクロ波での昇温を組み合わせたもの、また特許文献6(特開昭59−6842号公報)、特許文献7(特開昭59−80499号公報)のように、インラインのみでマイクロ波により製品を目的の温度に昇温する出願もある。特許文献5の方法は、温度を均一化する点において、箱詰め後のみマイクロ波照射して昇温する方法に比べ有効であると思われるが、それでも、マイクロ波の半減深度を考慮した箱の大きさを採用しなければならず汎用性は低い。特許文献6、7の方法は、本願発明者も再現を試みたが、明細書記載の条件では目的を達成することはできなかった。特に、パームに由来する油脂を多用した配合においては、その効果は低く、これによりテンパリングを代替することは難しいと判断された。
そもそも、特許文献5、6、7の方法においては、インラインにてマイクロ波による昇温を行っているが、マイクロ波発生装置部分は金属材料を使用することができないため耐圧性が低く、実機での使用は難しい。
マイクロ波以外の手段にて製品の温度を上昇させる試みとしては、特許文献8(特開平2−182790)がある。ここでは高周波を昇温の手段に用いている。高周波はマイクロ波に比べ半減深度が比較的深いため、箱に製品を充填した後に高周波を照射した場合、マイクロ波に比べれば箱を深く設定することは可能である。しかし、それでも表面付近の温度上昇のほうが深部の温度上昇よりも大きく、深部を目標温度にするまで照射を行うと、表面は融解し始める程度にまで昇温してしまい実用的ではない。

特開昭52−151759号公報 特開昭57−138343号公報 特開昭59−41396号公報 特開2007−37467号公報 特開昭59−6841号公報 特開昭59−6842号公報 特開昭59−80499号公報 特開平2−182790号公報 「パーム油・パーム核油の利用」加藤秋男編著 P154 幸書房1990年
本発明の目的は、可塑性油脂組成物の製造において、長い時間が必要で作業も煩雑な従来の「テンパリング」工程を効率化した、可塑性油脂組成物の新規な製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、可塑性油脂組成物の調製において、冷却混捏後、インラインの装置にて直ちにテンパリング温度まで昇温しても、通常のテンパリング庫を使用するテンパリングと同じ効果を得ることはできないが、偶然にも、冷却混捏によりある一定のレベルまで温度を下げた後、一定の滞留時間をとった後に一定の温度に昇温することで、通常のテンパリングと同等の効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は
(1)調合物を、油脂が全て融解した状態から、油脂の軟化点より12〜27℃低温まで急冷混捏して結晶を析出せしめ、その後昇温して油脂の軟化融点に対しー5.0〜+1.0℃の範囲(ただし上昇融点以下の温度)にし、しかる後、包装容器内に充填することを特徴とする可塑性油脂組成物の製造法。
(2)油脂中SUS(Sは飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸)型トリグリセリドを5〜37重量%含有する、(1)記載の製造方法。
(3)パーム油由来成分が、調合物中の油脂に20重量%以上含まれる、(1)記載の製造法。
(4)融点近辺への昇温が攪拌機能つきの管路内で行なわれる、(1)〜(3)いずれか記載の製造法。
(5)包装容器内に充填後冷蔵する(1)〜(4)いずれか記載の製造法。
(6)可塑性油脂組成物がマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングのいずれかである、(1)〜(5)いずれか記載の製造法。
に関するものである。
本発明により、テンパリングに長時間を要せず、またテンパリング庫が不要となり、従来法のように、一旦テンパリング庫へ入れた製品を、再度冷蔵庫へ移動するという煩雑さがなくなる。その結果、可塑性油脂組成物をより効率的に生産できるようになる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に使用する原材料は、通常の可塑性油脂組成物に使用するものと同じものを使用することができる。主な原材料は、マーガリンやファットスプレッドにおいては油脂と水、ショートニングにおいては油脂であり、その他副原料として、マーガリンやファットスプレッドにおいては脱脂粉乳や全脂粉乳などが使用される場合もある。また添加物としては乳化剤や香料が適宜使用される。なお本発明においては、原材料を全て混合した液状のものを調合物と称する。
本発明において使用される油脂としては、一般的な可塑性油脂組成物同様、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、やし油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード等の動物性油脂等、それら油脂類の単独又は混合油あるいはそれらの分別、硬化、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。

昨今、比較的廉価なパーム油由来油脂を多用する傾向がある。本発明で言うパーム油とは、精製のみを行い、分別や硬化、エステル交換などの加工を行っていないものをさす。また、パーム油由来油脂とは、パーム油そのものをはじめ、パーム油を分別、硬化、エステル交換等の加工を1つ以上経た油脂の総称である。エステル交換においては、他の油種原料の併用を妨げない。また「パーム油由来成分」という場合は、エステル交換した油脂においては、その中に含まれるパーム油に由来する成分を示す。
パーム油由来油脂を多く配合した場合、SUSで表されるトリグリセリド(Sは飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸。以下単にSUSと称する場合がある。)を多く含む傾向がある。SUSを含有する油脂はパーム油由来油脂に限定されるものではないが、パーム油由来油脂以外に由来するものも含め、結果としてSUSを油脂中に多く含む配合になった場合、油脂組成物に製品として求められる、良好な硬さと展延性を付与するためにはテンパリングを行うことが必要となる場合が多い。本発明においては、調合物の油脂に5重量%以上のSUSを含む場合、その効果が顕著に現れる。また、調合物の油脂中SUSが37重量%を超える量になると、テンパリングを行っても良好な硬さと展延性を得ることが難しくなる傾向がある。本発明の、調合物に含まれる油脂中のSUS含有量に関し、より好ましい適用範囲は7〜33重量%である。
パーム油由来油脂を多く配合した場合、SUS以外の要因とも思われる影響で、テンパリングを行わなければならない場合も多い。たとえば、パーム油から分別した低融点画分を多く配合した油脂組成物においても、製品としての物性を付与するためにはテンパリングを行わなければならない場合が多い。通常、エステル交換油脂等も含め、調合物に含まれる全油脂中、パーム油由来成分が20重量%以上含まれると、テンパリングを行わなければならない場合が多く、このような配合の場合、本発明を適用すると、その効果が顕著に現れる。また、調合物に含まれる全油脂中、パーム油由来成分が25重量%以上含まれると、本発明の効果はより顕著に現れ、30重量%以上の場合は、さらに顕著に現れ有利である。
本発明に使用する油脂は完全に融解し、適宜乳化剤等を添加する。その後、マーガリンやファットスプレッドにおいては水相を添加する。水相とは、水を主体に、必要により水に溶解する脱脂粉乳などの副原料等を溶解させたものである。融解した油脂に水相を添加した後、必要により香料等を添加し、適宜攪拌、均一化して調合物とする。なおショートニングにおいては水を使用しないため、油脂に適宜乳化剤等を添加したものを調合物と称する。調合物はポンプで送液し、殺菌を行った後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の掻き取り式急冷混和機を通す。掻き取り式急冷混和機を通した後の温度は調合物中の油脂の軟化点より12〜27℃低く、かつ0℃以上であることが望ましく、より望ましくは調合物中の油脂の軟化点より14〜27℃低く、かつ0℃以上であり、さらに望ましくは調合物中の油脂の軟化点より16〜27℃低く、かつ0℃以上である。掻き取り式急冷混捏機を通過後の品温が、調合物中の油脂の軟化点より12℃低い温度よりも高いと、得られる油脂結晶の量が不十分であり、製品の物性に悪影響が出て好ましくない。また、調合物中の油脂の軟化点より27℃低い温度よりもさらに低いと、調合物は過冷却になりすぎ、その後の滞留において一気に結晶が発生し、好ましい物性は得られにくい。またいずれの場合も、掻き取り式急冷混捏機を通過後の品温が0℃を下回ると、過冷却になりすぎるのみならず、マーガリンやファットスプレッドにおいては氷結晶が発生する可能性もあり、好ましくない。なお、油脂の軟化点(環球法)の測定法は「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法 2.2.4.3(1996)1996年版」に準じた。
掻き取り式急冷混和機通過後、装置内で140〜600秒、より望ましくは150〜500秒、さらに望ましくは160〜450秒滞留させる。ここで言う「装置内」とは、一連の可塑性油脂組成物製造装置のラインの中のことである。必要な滞留時間は、油脂の組成によっても異なるが、SUSやパーム油、パーム油由来油脂を多用した場合に長くなる傾向がある。また、滞留時間を長く取りすぎた場合の油脂組成物の物性への悪影響は限定的であるが、滞留時間が長いと、必要な滞留装置の容積が大きくなるため、できるだけ短い方が望ましい。
上記滞留の間に油脂の結晶が成長着するのを防止のため、適宜ジャケット等を設置し、温水を流すことが好ましい。B筒にて滞留を行う場合、シャフトはしていると想定されるが、滞留時間が140秒よりも少ないと、未だ油脂結晶の量が十分でないためか、本発明の目的を達成することが難しくなる。一方、滞留時間が600秒を越えると、滞留させるために必要な容量が大きく、設備面でのコスト負担が大きくなりすぎ、好ましくない。
装置内での滞留は、急冷混和機から連続的に結合した太いパイプのようなもの、もしくはB筒と呼ばれるピンマシン等にてもおこなうことができる。この場合、油脂組成物が滞留管周囲へ付できるだけゆっくりまわすことが望ましい。なお、装置内での滞留時間は、装置間をつなぐ配管容量に基づく滞留時間をも積算することができる。
なお、特許文献6、7の方法はもとより、通常は配管をできるだけ短くすることで設備をできるだけ小さくし、また配管内の製品ロスを少なくする方向で装置が設計される場合が多い。しかしながら本発明においては、装置内で結晶を十分に発生させた後に昇温する必要があることから、装置内で140〜600秒の間滞留するように装置を設計する必要がある。
所定時間滞留させた後、融点近辺までの加温処理を行う。加温処理は、製造装置中で連続的に行うと、製造を効率的に行うことができ好適である。この場合の昇温装置としてはオンレーター(株式会社櫻製作所)などの掻き取り式熱交換機や多管円筒式熱交換機(東洋システム株式会社)、スタティックミキサー内蔵式熱交換器(株式会社ノリタケカンパニーリミテド)などを使用することができるがこれらに限定されるものではない。このうち、管路内に攪拌機能のあるスタティックミキサー内蔵式熱交換器は設置面積も少なく好適である。マイクロ波による昇温も可能ではあるが、マイクロ波発生装置部分には金属材料を使用することができないため耐圧性が十分ではなく、工業レベルの製造装置への使用は難しい。
スタティックミキサー内蔵式熱交換器を使用する場合の一つの例としては、調合物中油分83重量%のマーガリンにおいて、製品の流量53kg/hr、熱交換器入り口における製品温度16℃に対し、熱交換機の伝熱面積0.2平方メートル、目標とする品温を27℃とした場合、熱交換機へ32℃の温水を325L/hの流量で流すことで、熱交換機通過後の品温を目標温度にまで高めることができる。これは一つの目安であり、製品の流量や配合、目標とする品温、熱交換機の種類や伝熱面積の大きさなどによりその条件は異なるが、当業者であれば容易に条件を設定することができる。ただ、伝熱面積があまりにも小さいと、目標とする品温を得るためには熱交換機を高い温度に設定しなければならないが、その場合、製品の融解が起こることが危惧され、好ましくない。一つの目安としては、熱交換機の温度が、調合物に含まれる油脂の上昇融点より5℃以上高いと、熱交換機内部で乳化組成物の融解が起こる可能性が高く好ましくない。なお、上昇融点の測定法は「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法 2.2.4.2(1996)1996年版」に準じた。
目標とする品温は、それぞれの調合物中の油脂の軟化点に対しー5.0〜+1.0℃の範囲でありかつ、上昇融点を超えない温度までが好ましい。より好ましくは油脂の軟化点に対しー4.0〜+1.0℃の範囲でありかつ、上昇融点を超えない温度までであり、さらにより好ましくは油脂の軟化点に対しー4.0〜+0.5℃の範囲でありかつ、上昇融点を超えない温度までである。品温が調合物中の油脂の軟化点に対しー5℃よりもさらに低いと、テンパリングの効果を得られにくくなり好ましくない。一方、品温が調合物中の油脂の軟化点に対し+1.0℃よりもさらに高い場合、または上昇融点よりも高い場合は、組成物が融解してしまう可能性があり好ましくない。
熱交換機で昇温を行った後、さらにB筒を通すと製品が均一化され好ましい。その後箱に充填するが、このときの容量は5kg以上が望ましく、より望ましくは10kg以上である。容積が5kgよりも小さいと、その後冷蔵庫に入れた際に短時間で製品温度が低下してしまい、テンパリングの効果が得られにくくなる可能性がある。すなわち本発明においては、所定の温度に昇温された製品が箱に充填された後、冷蔵庫内で徐々に温度が低下する過程でテンパリングと同様の変化が起こっていると推定されるが、この時間が短いと、テンパリングと同様の変化が終了する前に、低温に達してしまう可能性が考えられるためである。
箱に充填した後は速やかに冷蔵庫へ移動することができるが、1時間程度常温で放置しても影響は限定的である。また、冷蔵庫は従来から使用しているものを使用することができる。その後、製品が3〜7℃となれば、使用可能である。
得られた製品の評価は、硬さおよび官能的な展延性評価により行う。硬さは、テンパリングの実施により大きく改善する傾向があり、テンパリング操作が有効であったかどうかの大きな判断材料となる。

以下に実施例を記載する。
<実施例1>
油脂部分がパーム油、パーム硬化油、スーパーパームオレインの混合物83重量%(軟化点29.5℃、上昇融点36.0℃、SUS含有率:調合物の油脂中30重量%、パーム油由来成分:調合物の油脂中100重量%)、水16重量%、乳化剤・香料合計1重量%からなる配合Aを、油脂が完全に融解した状態(65℃)から、コンビネーターを用い5℃へ急冷混捏した後、滞留管にて180秒間装置内で滞留させた。その後、スタティックミキサー内蔵式熱交換器を通し、品温を28℃に上昇させた後、B筒を通し、箱へ10kgずつ充填した。得られた製品を直ちに冷蔵庫へ移動し、48時間経過後、品質評価を行った。
「硬さの測定」
得られた製品を一辺が5±1cmの立方体に切断し、20℃のインキュベーターへ入れ、24時間経過後の硬さを測定した。硬さは、不動工業社製「レオメーター」を使用し、Φ1cmのプランジャーを5cm/minの速度で押し当てることにより測定した。配合Aでは、100〜280g/cmΦの硬さを合格と判断した。また、官能的評価を行い、品質判定を行った。
結果
「硬さの測定」
実施例1での硬さは160g/cmΦであり、合格であった。官能的にも展延性は良好であった。

<比較例1>
実施例1の配合Aを、実施例1と同様にコンビネーターを用い5℃へ急冷混捏した後、滞留管にて180秒滞留させた。その後スタティックミキサー内蔵式熱交換器にて品温を22.6℃へ昇温した後B筒を通し、箱へ10kgずつ充填した。得られた製品を直ちに冷蔵庫へ移動し、48時間経過後、品質評価を行った。
結果
「硬さの測定」
実施例1と同様の方法にて硬さを測定した。比較例1での硬さは290g/cmΦであり、不合格であった。展延性も不良であった。
コンビネーターによる急冷混捏後の昇温は、配合Aに関し請求項の数値範囲を当てはめると24.5〜30.5℃の範囲で昇温する必要があるが、ここでは22.6℃までしか昇温しなかった。結果、それでは硬さの規格が合格の範囲に入らなかった。

<実施例2>
実施例1の配合Aを、実施例1と同様にコンビネーターを用い5℃へ急冷混捏した後、滞留管にて180秒滞留させた。その後スタティックミキサー内蔵式熱交換器にて品温を29.3℃へ昇温した後B筒を通し、箱へ10kgずつ充填した。得られた製品を直ちに冷蔵庫へ移動し、48時間経過後、品質評価を行った。
結果
「硬さの測定」
実施例1と同様の方法にて硬さを測定した。実施例2での硬さは220g/cmΦであり、合格であった。官能的に展延性も良好であった。
コンビネーターによる急冷混捏後の昇温は、配合Aに関し請求項の数値範囲を当てはめると24.5〜30.5℃の範囲で昇温する必要があるが、ここでは29.3℃まで昇温した。結果、硬さの規格は合格範囲であった。

<実施例3>
実施例1の配合Aを、実施例1と同様にコンビネーターを用い5℃へ急冷混捏した後、滞留管にて180秒滞留させた。その後スタティックミキサー内蔵式熱交換器にて品温を26.4℃へ昇温した後B筒を通し、箱へ10kgずつ充填した。得られた製品を直ちに冷蔵庫へ移動し、48時間経過後、品質評価を行った。
結果
「硬さの測定」
実施例1と同様の方法にて硬さを測定した。実施例3での硬さは280g/cmΦであり、合格であった。官能的に展延性も良好であった。
コンビネーターによる急冷混捏後の昇温は、配合Aに関し請求項の数値範囲を当てはめると24.5〜30.5℃の範囲で昇温する必要があるが、ここでは26.4℃まで昇温した。結果、硬さの規格は合格範囲であった。

<実施例4>
実施例1の配合Aを、実施例1と同様にコンビネーターを用い16℃へ急冷混捏した後、滞留管にて150秒滞留させた。その後スタティックミキサー内蔵式熱交換器にて品温を28.0℃へ昇温した後B筒を通し、箱へ10kgずつ充填した。得られた製品を直ちに冷蔵庫へ移動し、48時間経過後、品質評価を行った。
結果
「硬さの測定」
実施例1と同様の方法にて硬さを測定した。実施例4での硬さは280g/cmΦであり、合格であった。官能的に展延性も良好であった。
コンビネーターによる急冷混捏後の温度は、請求項の数値範囲を当てはめると2.5〜17.5℃の範囲だが、ここでは16.0℃であった。また、急冷混捏後の滞留時間は、望ましくは140〜600秒であるが、ここでは150秒にて実施した。結果、硬さの規格は合格範囲であった。

<比較例2>
実施例1の配合Aを、実施例1と同様にコンビネーターを用い10℃へ急冷混捏した後、滞留管にて120秒滞留させた。その後スタティックミキサー内蔵式熱交換器にて品温を28.1℃へ昇温した後B筒を通し、箱へ10kgずつ充填した。得られた製品を直ちに冷蔵庫へ移動し、48時間経過後、品質評価を行った。
結果
「硬さの測定」
実施例1と同様の方法にて硬さを測定した。比較例2での硬さは330g/cmΦであり、不合格であった。官能的に展延性も不良であった。
急冷混捏後の滞留時間は、望ましくは140〜600秒であるが、ここでは120秒にて実施した。結果、硬さの規格は不合格であった。
以上記載したように、本発明の方法を用いることで、テンパリング操作が必要とされる可塑性油脂組成物において、その生産を効率化することができる。

Claims (6)

  1. 調合物を、油脂が全て融解した状態から、油脂の軟化点より12〜27℃低温まで急冷混捏して結晶を析出せしめ、装置内で140〜600秒滞留させその後昇温して油脂の軟化点に対し-5.0〜+1.0℃の範囲(ただし上昇融点以下の温度)にし、しかる後、包装容器内に充填することを特徴とする可塑性油脂組成物の製造法。
  2. 油脂中SUS(Sは飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸)型トリグリセリドを5〜37重量%含有する、請求項1記載の製造方法。
  3. パーム油由来成分が、調合物中の油脂に20重量%以上含まれる、請求項1記載の製造法。
  4. 融点近辺への昇温が攪拌機能つきの管路内で行なわれる、請求項1〜3いずれか1項に記載の製造法。
  5. 包装容器内に充填後冷蔵する請求項1〜4いずれか1項に記載の製造法。
  6. 可塑性油脂組成物がマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングのいずれかである、請求項1〜5いずれか1項に記載の製造法。
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