JP5077030B2 - モータ駆動回路およびモータの異常判定方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の第1の実施形態について図1および図2を参照しながら説明する。
図1は、DCモータ1(以下、モータ1という)を駆動するモータ駆動回路2の構成を示している。モータ駆動回路2には、バッテリ3から一対の直流電源線である電源線4およびグランド線5を介して例えば12Vの直流電圧VBが供給される。モータ駆動回路2は、ハーフブリッジ回路6、7、制御回路8、ゲートドライバ9〜12、駆動パルス生成回路13、バッファ14、コンパレータ15、16、判定回路17、コンデンサC1および抵抗R1〜R7を備えている。上記各構成要素のうち、コンデンサC1を除くものは、半導体集積回路(IC)として構成されている。なお、モータ駆動回路2は、コンデンサC1を含めてIC化してもよいし、ディスクリート部品により構成してもよい。
例えばモータ1において巻線間ショートなどの異常が生じている場合、巻線のインダクタンスLは異常が発生していない正常な場合と比べて変化する。従って、このインダクタンスLの変化を検出できれば、巻線間ショートなどの異常を判定することができる。巻線のインダクタンスLは、巻線に流れる電流の傾きをdi/dtとし、巻線に印加される電圧をVLとすれば、下記(1)式のように表される。
VL=L・di/dt …(1)
Vc=VB−L・di/dt …(2)
Vc=1/C・∫i・dt …(3)
Vc=−VF−L・di/dt …(4)
(2)式における直流電圧VBは一定値(バッテリ3における電圧変動を無視した場合)である。これらの式から、所定時間充電を行った後のコンデンサC1の端子電圧Vcは、インダクタンスLの値に応じて定まることになる。このようなことから、本実施形態では、上記したようにコンデンサC1を充電した後、その端子電圧Vcに基づいてインダクタンスLの変化を検出するようにしている。
以下、第1の実施形態に対して電荷初期化制御および通電制御の内容を変更した本発明の第2の実施形態について図3を参照しながら説明する。
図3は、第1の実施形態における図1相当図であり、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。モータ駆動回路21は、第1の実施形態のモータ駆動回路2に対し、駆動パルス生成回路13および判定回路17に替えて駆動パルス生成回路22および判定回路23を備えている点と駆動パルスの供給先とが異なる。
判定回路23は、異常判定に先立って、前述の電荷初期化制御を実行する。これにより、コンデンサC1の端子間に直流電圧VBが印加され、コンデンサC1の端子電圧Vcが12Vとなる。その後、判定回路23は前述の通電制御を実行する。これにより、駆動パルス生成回路22から駆動パルスPd’が出力され、トランジスタQ4が5μs間オンされる。トランジスタQ4がオンしている期間、モータ1の巻線を介してコンデンサC1の両端子が短絡される。これにより、巻線を介して流れる電流によってコンデンサC1の放電が行われる。この巻線を流れる電流は、駆動パルスPd’の出力が停止された後も、コンデンサC1の両端子が短絡されていた期間に巻線に蓄えられたエネルギーによりコンデンサC1、モータ1の巻線、還流ダイオードD3、電源線4、バッテリ3、グランド線5、コンデンサC1という経路で流れ続ける。これに伴い、コンデンサC1の端子電圧Vcは低下し続ける。
以下、第1の実施形態に対して電圧比較回路の構成を変更した本発明の第3の実施形態について図4および図5を参照しながら説明する。
図4は、第1の実施形態における図1相当図であり、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。モータ駆動回路31は、第1の実施形態のモータ駆動回路2に対し、コンパレータ15、16に替えてA/D変換回路32を備えている点と、判定回路17に替えて判定回路33およびメモリ34を備えている点とが異なる。A/D変換回路32は、コンデンサC1の端子電圧Vc、第1のしきい値電圧Vth1および第2のしきい値電圧Vth2を入力としてA/D変換を実行し、各入力電圧に対応するデジタル変換値Dc、Dth1およびDth2を判定回路33に出力する。
以下、本発明の第4の実施形態について図6を参照しながら説明する。
図6は、第1の実施形態における図1相当図であり、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。モータ駆動回路41は、第1の実施形態におけるモータ駆動回路2に対し、ハーフブリッジ回路42、ゲートドライバ43、44、スイッチ回路45および抵抗R41、R42を備えている点が異なる。
本実施形態では、三相のモータ46の各巻線47u〜47wの異常を判定するために、第1の実施形態における異常判定動作を2回行うことになる。つまり、例えば、1回目の異常判定動作で巻線47uおよび47vの異常判定を行い、2回目の異常判定動作で巻線47vおよび47wの異常判定を行うことで、全ての巻線47u〜47wの異常判定を実行可能としている。
以下、本発明の第5の実施形態について図7を参照しながら説明する。
図7は、第4の実施形態における図6相当図であり、第4の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。モータ駆動回路51は、第4の実施形態のモータ駆動回路41に対し、コンパレータ52、53およびコンデンサC51を備えている点と、スイッチ回路45が省かれて駆動パルスPdがトランジスタQ3のゲートに直接与えられている点とが異なる。
本実施形態では、2つのコンデンサC1、C51に対し、それぞれ2つの巻線を介して流れる電流により充電を行い、その充電後の各端子電圧Vc、Vc’の電圧値に基づいて全ての巻線47u〜47wの異常判定を以下のように実行する。
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
上記各実施形態では、2つのしきい値電圧Vth1およびVth2を用い、端子電圧Vcが正常な範囲内にあるか否かにより異常を判定する構成であったが、これに限らず、1つのしきい値電圧のみを用い、端子電圧Vcがしきい値電圧より高い(または低い)か否かにより異常を判定する構成としてもよい。
しきい値電圧を調整する調整手段としての機能は、回路特性のばらつきによる異常判定の精度低下が問題にならない場合には設けなくてもよい。つまり、抵抗R5〜R7は固定の抵抗値を有するものでもよい。また、第3の実施形態における判定回路33およびメモリ34は、調整手段35としての機能を備えなくてもよい。
電荷初期化制御は、ハーフブリッジ回路のトランジスタを用いて行う構成に限らず、例えばコンデンサの電荷を強制的に放電(または充電)するための放電回路(または充電回路)を設け、この回路を用いてコンデンサの電荷を初期化してもよい。
コンデンサC1、C51は、ハーフブリッジ回路の出力端子と電源線4との間に設けてもよい。この場合、通電制御時に駆動パルスを印加してオンさせるトランジスタを変更すればよい。
本発明は、複数のハーフブリッジ回路を介して駆動電圧を印加する構成であれば、DCモータまたは3相モータを駆動するモータ駆動回路に限らず、例えば3相以外の多相モータを駆動するモータ駆動回路にも適用可能である。この場合、モータの相数に応じたハーフブリッジ回路を備えた構成とすればよい。
Claims (18)
- 一対の直流電源線間に出力端子を挟んで直列に接続された2つのスイッチング素子およびこれに付随する還流ダイオードからなるハーフブリッジ回路を複数有するとともに、前記スイッチング素子の駆動を制御する制御回路を有し、前記ハーフブリッジ回路を介してモータの巻線に駆動電圧を印加するモータ駆動回路であって、
いずれかのハーフブリッジ回路の出力端子と一方の直流電源線との間に接続されたコンデンサと、
前記コンデンサが接続されたハーフブリッジ回路とは異なるハーフブリッジ回路の一方のスイッチング素子をオンさせる駆動パルスを生成する駆動パルス生成回路と、
しきい値電圧を生成するしきい値電圧生成回路と、
前記コンデンサの端子電圧と前記しきい値電圧とを比較する電圧比較回路と、
前記コンデンサの電荷を初期化した上で前記制御回路により全てのスイッチング素子がオフされている期間に前記駆動パルス生成回路に駆動パルスを出力させる通電制御回路と、
前記駆動パルスの出力後、前記電圧比較回路の出力信号に基づいて前記巻線の異常を判定する異常判定回路とを備えていることを特徴とするモータ駆動回路。 - 前記一方の直流電源線は、低電位側の直流電源線であり、
前記一方のスイッチング素子は、高電位側のスイッチング素子であり、
前記異常判定回路は、前記コンデンサの端子電圧が前記しきい値電圧より高い場合に前記巻線が異常であると判定することを特徴とする請求項1記載のモータ駆動回路。 - 前記通電制御回路は、前記コンデンサが接続されたハーフブリッジ回路の低電位側のスイッチング素子をオンさせて当該コンデンサの電荷を初期化することを特徴とする請求項2記載のモータ駆動回路。
- 前記一方の直流電源線は、低電位側の直流電源線であり、
前記一方のスイッチング素子は、低電位側のスイッチング素子であり、
前記異常判定回路は、前記コンデンサの端子電圧が前記しきい値電圧より低い場合に前記巻線が異常であると判定することを特徴とする請求項1記載のモータ駆動回路。 - 前記通電制御回路は、前記コンデンサが接続されたハーフブリッジ回路の高電位側のスイッチング素子をオンさせて当該コンデンサの電荷を初期化することを特徴とする請求項4記載のモータ駆動回路。
- 前記しきい値電圧は、第1のしきい値電圧と、この第1のしきい値電圧より低い第2のしきい値電圧とからなり、
前記異常判定回路は、前記コンデンサの端子電圧が前記第1のしきい値電圧より高い場合または前記第2のしきい値電圧より低い場合に前記巻線が異常であると判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のモータ駆動回路。 - 前記しきい値電圧生成回路は、前記一対の直流電源線から供給される直流電圧に基づいて前記しきい値電圧を生成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のモータ駆動回路。
- 前記電圧比較回路は、前記しきい値電圧の所定期間における平均値を算出する平均値算出手段を備えており、この算出された前記しきい値電圧の平均値と前記コンデンサの端子電圧とを比較することを特徴とする請求項7記載のモータ駆動回路。
- 前記しきい値電圧生成回路により生成される前記しきい値電圧の電圧値を調整可能とする調整手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のモータ駆動回路。
- 一対の直流電源線間に出力端子を挟んで直列に接続された2つのスイッチング素子およびこれに付随する還流ダイオードからなるハーフブリッジ回路を複数有するとともに、前記スイッチング素子の駆動を制御する制御回路を有し、前記ハーフブリッジ回路を介してモータの巻線に駆動電圧を印加するモータ駆動回路を用いたモータの異常判定方法であって、
いずれかのハーフブリッジ回路の出力端子と一方の直流電源線との間に接続されたコンデンサの電荷を初期化した上で前記制御回路により全てのスイッチング素子がオフされている期間に、前記コンデンサが接続されたハーフブリッジ回路とは異なるハーフブリッジ回路の一方の前記スイッチング素子をオンさせる駆動パルスを出力し、
前記駆動パルスの出力後、前記コンデンサの端子電圧としきい値電圧とを比較し、その結果に基づいて前記巻線の異常を判定することを特徴とするモータの異常判定方法。 - 前記一方の直流電源線が低電位側の直流電源線であり且つ前記一方のスイッチング素子が高電位側のスイッチング素子である場合、
前記コンデンサの端子電圧と前記しきい値電圧とを比較し、前記コンデンサの端子電圧が前記しきい値電圧より高い場合に前記巻線が異常であると判定することを特徴とする請求項10記載のモータの異常判定方法。 - 前記コンデンサが接続されたハーフブリッジ回路の低電位側のスイッチング素子をオンさせて当該コンデンサの電荷を初期化することを特徴とする請求項11記載のモータの異常判定方法。
- 前記一方の直流電源線が低電位側の直流電源線であり且つ前記一方のスイッチング素子が低電位側のスイッチング素子である場合、
前記コンデンサの端子電圧と前記しきい値電圧とを比較し、前記コンデンサの端子電圧が前記しきい値電圧より低い場合に前記巻線が異常であると判定することを特徴とする請求項10記載のモータの異常判定方法。 - 前記コンデンサが接続されたハーフブリッジ回路の高電位側のスイッチング素子をオンさせて当該コンデンサの電荷を初期化することを特徴とする請求項13記載のモータの異常判定方法。
- 前記しきい値電圧が第1のしきい値電圧およびこの第1のしきい値電圧より低い第2のしきい値電圧からなる場合、
前記コンデンサの端子電圧と前記第1のしきい値電圧および前記第2のしきい値電圧とを比較し、
前記コンデンサの端子電圧が前記第1のしきい値電圧より高い場合または前記第2のしきい値電圧より低い場合に前記巻線が異常であると判定することを特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載のモータの異常判定方法。 - 前記一対の直流電源線から供給される直流電圧に基づいて前記しきい値電圧を生成することを特徴とする請求項10ないし15のいずれかに記載のモータの異常判定方法。
- 前記しきい値電圧の所定期間における平均値を算出し、
この算出された前記しきい値電圧の平均値と前記コンデンサの端子電圧とを比較した結果に基づいて前記巻線の異常を判定することを特徴とする請求項16記載のモータの異常判定方法。 - 前記巻線の異常判定を少なくとも1回実行した後、その結果に基づいて前記しきい値電圧の電圧値を調整することを特徴とする請求項10ないし17のいずれかに記載のモータの異常判定方法。
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