図1は本発明の第1の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。なお、同図に示した実施の形態例は単一の透過型の液晶ライトバルブを想定している。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置10は、単一のライトバルブ11と、単色光を時分割して高速で順次照明する時分割照明手段12と、各色照明されている時間に、照明されている色画像を形成するようにライトバルブ11の画像表示情報を制御し、後述する色切替手段12−3による色切替や後述する画素シフト手段14による画素シフトを制御する制御手段13と、ライトバルブ11の投射画素を別の投射画素に重ならないように、具体的な一例としてライトバルブ11の投射画素を画素ピッチ以下にシフトさせる画素シフト手段14と、ライトバルブ11を拡大投射する投影光学系15と、パネル16とを含んで構成されている。また、時分割照明手段12は、白色の光源12−1、集光素子12−2、色切替手段12−3、照度均一化手段12−4、集光素子12−5を含んで構成されている。なお、光源12−1としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプなどが用いられ、あるいはLEDランプ、LDなどのカラー3原色の単色光も用いられる。近年高輝度な白色LEDも登場しており、本発明の照明光源としても適用できる。また、集光素子12−2,12−5としては、高効率な照明効率を得られるように照明光学系を搭載してもよく、回転楕円体リフレクタ、放物面リフレクタなどを利用し集光素子として兼ねてもよい。そして、白色照明光は色切替手段12−3により、カラー3原色に時分割で選択される。なお、色切替手段12−3としては、カラーフィルタを高速に切り替えるカラーフィルタ方式、カラーリンク社製の液晶素子によるカラースイッチング素子による方式でもよい。更に、照明効率を向上させるために、いわゆるインテグレータ光学系を配置してもよい。単色の個体光源を、例えばR,G,B色のLED光源を順次点灯させて、時分割照明を行ってもよい。また、光源切替方式と、フィルタ切替方式の組み合わせにより、3原色の色空間を広げた高品質なカラー照明も可能である。照度均一化手段12−4としては、ロッドインテグレータ等が好適である。また、他の手段としては、フライアイレンズアレイを組み合わせ、ライトバルブ11上へ照明光を重畳させて均一化してもよい。ライトバルブ11としては、透過型の液晶パネル、反射型の液晶パネル、マイクロミラーデバイス(DMD(登録商標))などが用いられるが、液晶パネルを用いる場合、パネルに入射する光は直線偏光照明が必要なため、偏光子などを挿入し偏光を揃える必要がある。また、より光利用効率を向上させるために、図示はしないが偏光変換素子を照明系に搭載してもよい。ここで、本実施の形態例では透過型の例を示したが反射型の場合では、偏光ビームスプリッタにより照明光路と結像光路を分離し、画像表示を得ることができる。この場合も、液晶による偏光制御による光のスイッチングを行うため、偏光を揃える必要がある。また、マイクロミラーデバイスを用いてもよい。ミラーでは、特に偏光を揃える必要は無いが、画素シフト手段14において偏光特性を利用し、光路を切り替えるために、画素シフト手段14に入射する光束中に偏光子を挿入する必要がある。ここでの偏光子としては直線偏光子などがある。光利用効率を低下させないために、照明光路にPBSと波長板を組み合わせた偏光変換素子などを挿入してもよい。
このような構成を有する第1の実施の形態例の画像表示装置10では、偏光の揃った照明光を、図1の制御手段13によって、例えばカラー3原色であるR、G、Bの照明光を得るように、図1の色切替手段12−3にカラー選択制御信号を供給して色切替手段12−3を高速に制御して照明光として取り出している。また、制御手段13は、照明光の色に合わせ、そのカラーの画像を得るように、表示制御信号をライトバルブ11に供給してライトバルブ11を制御する。このとき、所定の波長帯域、例えば比視感度特性の最も高いGの照明光を少なくとも1フレームに2回以上含むように時分割照明し、その分割した時間に応じて図1の画素シフト手段14を、制御手段13により、時分割照明手段12、ライトバルブ11と連動して高速に画素シフトを行う。また、画素シフト位置に応じた画像表示を行うように、ライトバルブ11の駆動を行えばよい。また、それぞれのフレームの表示画像は、シフト位置に応じた画像を表示する。画素シフトの量は、分割数が2つなら、ピッチの半分、あるいは、1.5ピッチ、あるいは、2.5ピッチといった、1/2画素の奇数分だけシフトした位置での画像となるように、ライトバルブの画像の更新を行えばよい。画素間に2カ所補完するような3分割のシフトを行うならば、画素ピッチの1/3、2/3、あるいは、−1/3、+1/3となるような位置でもよい。また、横と縦方向にそれぞれ1/2ピッチの画素だけシフトさせ、4倍の画素密度に対応し4分割の照明としてもよい。1フレーム内で、画素シフト位置に応じた画像表示を行うようにライトバルブの駆動を行っているので、人の目の残像効果によりあたかも画素が増大したかのように見える。なお、画素シフト手段14としては、上述した光路変換素子や液晶を用いて光路シフトを生じさせ画素シフト素子が挙げられる。図1の画素シフト手段14は、光路中に挿入し、光路を画素シフトする素子を想定しているが、図示はしないがパネル16を直接微動シフトして画素シフトを行ってもよい。例えば、電磁駆動による駆動、ピエゾ駆動による駆動など、メカニカルに駆動させてもよい。また、光路中にミラーを配置し、微小角度だけ変位させた、いわゆるガルバノミラーにより光路を切り替えてもよい。更に、平行平板などを光路に設置し、この平行平板をチルトさせることで光路をシフトさせてもよい。
よって、Gの時に画素シフトを行って高精細画像とし、その他のR、Bの色の時は、特に画素シフトに対応したサブフレーム画像表示は必要としないようにし、所定の波長帯域、例えば比視感度特性の最も高いグリーンの表示に対し画素数を増やしたので、画素シフトの効果が最も現れる。その他のR、Bの色の時は、特に画素シフトに対応したサブフレーム画像表示の効果は比較的少ないため対費用効果が非常に大きくなる構成である。従って、1フレーム内で最大4つのサブフレームを表示すればよく、従来からある時分割照明に対応したライトバルブを数多く利用でき、低コストと同時に効果的に高精細化が可能となり、コストパフォーマンスの高い画像表示装置が提供できる。また、面サイズを拡大していると、画素が認識でき、画面のざらつき間、文字や、線のジャギーがより目立つようになる。そこで、本発明では、所定の波長帯域、例えば比視感度の最も高いG光の画素を高速にシフトさせて、見かけ上高精細化を行っているために、投射レンズと組み合わせて拡大投射しても、従来の画像表示装置より、高品質な画像を得ることができる。また、装置においても、単一のライトバルブによって、カラー画像と、高精細化を図っているので、装置が大がかりならず、低コストの装置が実現できる。
次に、色選択手段で得られる照明色と画素シフトのスイッチングのタイミングについてタイミングシーケンスを示す図2及び他の例のタイミングシーケンスを示す図3に従って説明する。図2の(a)に示すシーケンスは、ある画素フレームFiを構成するカラー画像として、R,B,G1,G2の順で分割照明するシーケンスである。画素シフト素子は1フレーム内では少なくともG1とG2の間でシフトを行う。所定の波長帯域、例えば比視感度の最も高いグリーン光で画素シフトが行われる。つまり、画素シフトの切り替えの時間を1フレーム内で等間隔としたシーケンスである。図2の(b)の例は、R,G1,G2,Bの順で分割照明する例であり、図2の(c)の例は、R,G1,B,G2の順で分割照明する例である。一方、図3に示すタイミングシーケンスでは、ある画素フレームFiを構成するカラー画像として、赤(R)、緑(G)、青(B)の順で分割照明して順次照明しているが、Gの照明時間内に、画素シフトを行う。画素シフト位置1に応じたGの画像をG1fiの時間に、画素シフト位置2に対応したGの画像をとG2fiの時間で表示させる。ちょうど、G光の照明時間内で画素シフトを行うタイミングとなる。図3の(a)のシーケンスは、R、G、B光の照明時間をほぼ同一にしたことにより、従来の照明系の変更をほとんど伴うことなく、画素シフトに対応した照明が可能である。図3の(b)のシーケンスは、Gのシフト位置1、位置2の画像表示時間を図3の(a)の場合より長くとった。これにより、ライトバルブの画像更新に関して、図3の(a)の場合より、長い時間がとれることにより、ライトバルブの速度の制約に関して許容量が広がるようになる。
図4は1フレームで表示される画素の動作を模式的に示した図である。なお、同図におけるシーケンスの順は、R,G1,B,G2の順番とした。また、R,G1の表示の時は、画素シフトを行うことによって、画素の位置1及び位置2と表記した。更に、図中の正方形は画素の形状を示すものではなく、破線で示した正方形の大きさも画素ピッチ以下であればよい。例えば、R表示の時は、そのとき表示画素の中心は図示した画素位置1の一点鎖線のライン上に位置しているとする。R表示のあとに、画素位置はそのままで、G1の表示がされ、その後G2の表示になる間に画素位置2の表示画像になるように、ライトバルブの表示を制御する。
図5は1フレームで表示される別の画素の動作を模式的に示した図である。シーケンスの順は、R、G1、G2、Bの順番である。Gの照明時間に画素シフト位置1から画素シフト位置2にシフトさせる。R表示の時は、表示画素の中心は図示した画素位置1の一点鎖線のライン上に位置しているとする。R表示のあとに、G画像光の画素位置1の画像が得られるようにライトバルブで表示する。その後、画素シフト位置2に移動すると同時に、G2の表示になるようにライトバルブの表示を制御する。
ここで、図4及び図5における一例は画素位置1ないしは画素位置2の状態にする一方向画素シフト技術の説明であったが、斜め方向、縦、横方向いずれであってもよい。また、応答速度の許す限り、3段階としてもよいし、縦横併せて4倍実施してもよい。
なお、本実施の形態例によれば、これらのR,G,Bの照明の順番を制約するものではない。また、R,B画像の画素シフトの位置や回数を制約するものでない。1フレーム内において、所定の波長帯域、例えば比視感度特性の最も高い色の照明光を時間分割し、その分割された各々の時間で画素シフトを行って、その照明光の画像を高精細化するものである。
図6は表示色と画素シフト位置の関係を示す図である。同図に示すように、R,G1,B,G2が1フレーム(F1,F2)を構成し、このフレーム内で、R,Bを各1回、Gを2回表示する。Gの2回は、画素シフトに対応した画像を表示させる。このとき、Gの2回(G1,G2)の間に、R及びBの表示を行い、R,Bの表示時間内に、画素シフトを行う。R,Bの画像は、必ずしも画素シフトに対応した画像でなくてもよい。このような構成であって、R及びBの照明されている時間内で画素シフトを行っているため、所定の波長帯域、例えば比視感度特性の最も高いGの画像G1とG2の画像の切り替えに対応した正確に画像を表示でき、高精細化の効果がもっとも得られる。
図7は図1の色切替手段の一例を示す図である。同図の(a),(b)に示すように、R,G2,B,G1の順に選択的に通過する透過型のカラーフィルタ20が回転し、順次、R,G2,B,G1の照明光が得られる。もちろん、反射型のフィルタを用いて、反射型光を選択してもよい。
図8は図1の色切替手段の別の一例を示す図である。同図の(a),(b)に示すように、R,G,Bのカラーフィルタ30が並列に並んでおり、Gを中心として、一軸方向に高速に往復移動する。往復移動には、電気電磁誘導によるアクチュエータ機構(図示せず)などを搭載しており、ライトバルブや画素シフト素子を駆動制御する図1の制御手段13により、駆動制御が同時に行われている。また、駆動周期を検出しフィードバック制御を行い、パネル表示画像と正確に連動してもよい。このような構成であって、図7に示す回転方式のカラーフィルタ20では、Gの表示ために、Gフィルタが2つ必要であったが、本方式では往復移動するフィルタを用いることによってGフィルタが1つでよく、第1の実施の形態例におけるシーケンスが可能となる。カラーフィルタ30が上方に位置したときはBを選択し、中央はGを選択、下方に位置したときはRを選択するようになっており、往復運動を行うことでR,G2,B,G1を繰り返すフィルタの切り替えが可能となる。Gのフィルタは一周期(往復)で2回通過させるようにできるため、図7のカラーフィルタ20の場合は実質4つのフィルタが必要であるが、図8に示すように最低3枚のフィルタで構成することができ、非常に効率のよい配列が可能となった。R,G,B,Gのカラーシーケンスに最も好都合である。また、各色フィルタ形状は矩形形状とできるので、パネルへの矩形形状照明光としても非常に効率的な形状である。
図9は単色の3原色の固体光源を並列に配置した一例を示す図である。同図に示すように、単色の3原色の固体光源41−1〜41−3からの3原色の光(R,G,B)を効率よく照明するために集光素子40を配置した。集光素子40は一つで、3原色の光(R,G,B)を集光させている。
図10は単色の3原色の各固体光源からの各単色光を集光する構成の一例を示す図である。同図に示すように、照明光の集光効率をさらに引き上げ、単色の3原色の各固体光源50〜52からの3原色の光それぞれに適した集光素子53〜55を配列し、カラーフィルタ等で合成手段を用いた。R反射、Rの補色は透過するフィルタ56、そしてB反射、Bの補色は透過するフィルタ57を組み合わせた、いわゆるクロスフィルタなどで構成している。ライトバルブの表示制御と、画素シフトの駆動制御と連動して、図示はしないが、発光素子の制御を行う。なお、光源の発光切り替えとしては、光源の発光を遮断したり、透過したりするシャッター機能により光のオン/オフを制御してもよい。
このような構成によれば、カラーフィルタを用いて白色光から、色を選択して照明する従来の場合よりも、メカニカルな駆動部分が無くなり、非常に信頼性の高い表示装置が実現する。
次に、ライトバルブに反射型液晶パネルを用いた実施の形態例について説明する。
図11は本発明の第2の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。異なる構成要素としては、偏光子60、反射型液晶パネル61及び拡大投射レンズ62を設けている。作用動作は、第1の実施の形態例の説明に準ずるので省略する。PBSなどの光路分離素子(図示せず)がパネル前方に配置し、このPBSで照明光と、結像光に分離する構成が一般的である。もちろん、光路分離ができれば、PBSを無くして、斜入射方向から照明してもよい。PBSとしては、誘電体多層膜を用いたプリズムタイプのPBSや、金線格子を形成したプレート状のPBS、有機多層膜で偏光分離を行うPBSなどが用いられる。
図12は本発明の第3の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図において、図11と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。異なる構成要素としては、本実施の形態例はマイクロミラーデバイス70を用いた画像表示装置の一例である。同図において、マイクロミラーデバイス70では光の反射があるか無いかで一画素表示を行っているので、偏光していない照明でも表示が可能となる。画素シフト素子としては、液晶による光の偏光特性を利用した光路シフト作用を利用する際は、偏光子などで偏光を揃える必要がある。図12の例では偏光子30を配置した構成を示したが、パネルを表示画面平面内で駆動する手段の場合は特に偏光を揃える必要がない。
図13は本発明の第3の実施の形態例に係る画像表示装置の別の構成を示す概略図である。同図において、図12と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。異なる構成要素としては、本実施の形態例はライトバルブを表示素子面内で高速シフトする画素シフト手段とする微動アクチュエータ80を用いた画像表示装置の一例である。この方式は、DMDに限らず、透過型、反射型液晶パネルなど、ライトバルブに適用できる。
次に、本発明の第4の実施の形態例に係る画像表示装置について説明する。本実施の形態例の画像表装置は、画像表示の1フレームの時間内に、所定の波長帯域、例えば比視感度特性の最も高い表示色を少なくとも2分割以上に分け、1フレーム内の時間では、照明光としては白色光となるように各色の照明する時間を設定している。例えば図14に示すタイミングチャートからわかるように、R、G1,B、G2と、Gが2回照明され、画素シフト位置1と画素シフト位置2に相当する画像更新をこの期間中に行う。具体的な、照明方法としては、カラーフィルタなどを高速に切り替え、その切り替え時間を調整してもよい。高速変調が可能なLED単色光源を使って、高速にきり換えてもよい。従来技術としては、カラーフィルタを円盤状にした所謂カラーホイールと呼ばれる回転型のカラーフィルタを照明光路に挿入し、回転動作させることによって、時間分割して照明する手段が従来例として用いられている。このような回転型のカラーフィルタは、R、G、Bのフィルタを等分してフィルタを設けているのが一般である。しかし、所定の波長帯域、例えば比視感度が最も高いグリーン光をG1、G2と2分割し、R、G1、G2、Bで1フレームとし、各照明時間が同等でG光が2回照明されるような場合、トータルのG光の光量が大きくなり、カラーバランスが損なわれる。本実施の形態例では、このような、一色だけ複数回照明するような場合のカラーバランスが狂うのを防ぐことができるようになる。一般にちらつきが生じない周波数として、1フレーム60Hzが目安とされている。すなわち、1フレーム16.6msec以下の時間内に、R、G、B光の照明する時間を均等に分割している。例えば、図15に示すように、R、G1,G2,Bの照明時間をそれぞれTR、TG1、TG2,Bとしたとき、TR=TB=TG1+TG2の関係を概略保つように照明時間を設定した。ここで、フィルタ等のばらつきや、ライトバルブの透過率のばらつきを吸収するために多少の調整は設計レベルで反映するためである。このような関係を保つことで、照明光としてトータル光量としては白色を保つことができ、ライトバルブの波長依存性にもよるが、ほぼ、表示画像として高品質なカラーバランスを保つことが可能となる。また、本実施の形態例では、単色光を時分割して順次照明する手段として、白色光源と、複数の波長選択フィルタを切り換える手段とを用いている。この波長選択フィルタとして、所謂カラーホイールなどが用いられる。赤色波長帯域を選択的に透過させる領域をR、緑色波長帯域を選択的に透過させる領域をG1,およびG2とし、青波長帯域を選択的に透過させる領域をBとした。このような波長選択フィルタを図16のような配置にし、図中の矢印のように回転させると、図中の右側から進んできた白色光を選択的に、R→G1→B→G2→R→G1→・・・・といった順番で単色光として取り出せることができる。一回転ちょうど1フレームの画像を得られるような線速で回転させることにより、1フレーム内でG光のみ2回照明できることとなる。このとき、G1及びG2を通過している時間は、それぞれ、TG1、TG2、Rを通過している時間はTR、Bを通過している時間はTBであり、TG1とTG2では、画素シフト位置が異なる様に、画素シフトを行い、それに応じたライトバルブの画像が更新される。ここで、G1とG2を通過する合計の時間が他のR、Bの時間とほぼ同じになるように設定している。つまり、TG1+TG2=TB=TRとなる。このような構成を採用することで、カラーバランスのとれた照明光を得ることができる。
図17は別の色選択フィルタの一例を示す概略図である。同図に示すように、G1とG2の領域を隣接させることで、これまでのR、G、Bシーケンシャル照明のフィルタと同等な構成となり、従来の回転フィルタの設計、作成技術を容易に転用できるようになる。
ここで、単色光を時分割して順次照明する手段としての液晶スイッチが、例えば特表2000−510961号公報に掲げているようなものがある。この素子は、電圧印加により偏光を制御する素子であり、この電圧印加量を制御して透過波長と、透過光量を制御できる素子である。具体的には、カラーリンク社製のカラースイッチの液晶素子と位相差板を用いた分光素子を用いることもできる。そのスイッチングスピードもON時0.3msec以下、OFF時10umsec以下と非常に高速な制御が可能であり、照明の切り替え時間を自在に調整できるので非常に好適である。また、上述したような回転型のカラーフィルタを用いた場合にはメカニカルな駆動が必要であったが、液晶スイッチング素子を用いたので、メカ的な駆動部が無くなり信頼性の高い制御、装置が提供できるようになった。
次に、G1とG2の間に照明光を遮るための遮光時間を設けた場合について説明する。図18の(a),(b)に示すように、画素シフト位置aから画素シフト位置bへ移動する時間は必ずしも0ではない。1フレームの時間をFt必要とすると、R,G,Bの照明光にそれぞれ等分すると、各色Ft/3程となる。このうちG光の照明時に2つの画素シフト位置に対応して2分割すると、Ft/6ずつに分割する必要がある、G1とG2が連続して照明する際に、必要な表示時間に対する画素シフトしている時間の相対的な割合が増えてくる。図19はG1とG2の間に遮光時間を設けた場合の様子を示す模式図である。この遮光時間が長くなれば、長くなるほど、2箇所の画素シフト位置に応じた表示ができなくなる。このため、画素シフト効果による高精細化の特徴が薄れてくる。より、高精細な表示のためにはこの移動時間への照明を行わないようにすればよい。具体的には、図19に示すようにG1とG2の間に遮光部分(BK)を設けている。この遮光部分(BK)は、回転型フィルタの一部を反射膜や、吸収膜等により、光を遮る様な遮光部である。また、遮光期間は、ライトバルブの画像更新中、あるいは、画素シフトが行われる時間の一部分、あるいは全部の時間となるように、フィルタ部の遮光部分の領域を設定すればよい。この遮光部分(BK)の時間だけ、1フレーム時間からさし引き、残りの時間を3等分して、R,G,Bの照明時間に当てればよい。一方、ライトバルブの画像更新に関しても有限の時間が必要であり、この更新時間だけ、照明光を遮光する事で画素の滲みが無くなる。図20に示すように、照明光の色が切り替わる瞬間にも、遮光することにより、ライトパネルの画像の更新中も、この瞬間の照明をカットすることで、色のにじみも防ぐことが可能となる。
次に、画像表示の1フレームの時間内に、所定の波長帯域、例えば比視感度特性の最も高いG光を分割し、分割数の多いG光の照明光量を意図的に調整することによって、照明時間が他の色より長い時間であっても光強度が高くならず、色バランスを保てるようにした場合について図21を用いて説明する。図21の(a)に示すように、1フレーム時間FtにR、B、そしてG光は2回の4つのサブフレームで構成した場合を想定した。よって、1つのサブフレーム期間はFt/4である。ライトバルブの画素更新の時間も、その時間に合わせて更新される。ここで、G光の光強度は、4サブフレームのうち2サブフレーム分を担うため、他の色に比べてトータルの照明時間が2倍と長くなる。そのため、照明光としては色バランスが狂ってくる。ここで、光の強度の図21の(a)に示すように、G光における光の強度を他の色の場合より低く設定する、あるいは相対的に、R、Bの強度をG光の強度より高く設定することにより、ホワイトバランスを保って照明光を得るようにした。図21の(b)は、回転型色フィルタの場合の具体例であり、G1、G2の領域の透過率を低く設定した。よって、G色選択フィルタの透過率を低くしたり、あるいは、G色選択フィルタとNDフィルタが一体となったフィルタなどで光量を調整することも可能である。なお、1フレーム内でGを3分割した場合、画素の1/3ピッチで3段回のシフトの場合は、5つのサブフレームとし、G光は1/3の強度とすればよい。また、Gのみ縦横2通りの4回とするときは、1フレームを6分割し、G光は1/4の強度とすればよい。
次に、上述したように、分割数の多いG光の照明の強度を意図的に調整した構成であったが、分割したサブフレーム期間内で、照明しない時間を設け、実質的に光強度を低減させた構成とする場合について図22を用いて説明する。図22の(a)に示すように、1フレームFt時間内で、Gを2回、R、Bは各1回の合計4つのFt/4の時間のサブフレームで構成している。G光の時間中のほぼ半分の時間Ft/8だけ、遮光の時間を設けている。このとき、Ft/4のサブフレーム表示時間でのG光のトータルの光量を実質低減でき、R、Bとのバランスが保てるようになる。図22の(b)に回転型色フィルタの形態にした場合の具体例を示す。本実施の形態例の遮光の位置は、RとG1、BとG2の間にしたが、G1とB、G2とRの間にしてもよい、また、遮光時間を半分ずつにして、G1の位置での表示時間内に1/2時間だけ照明するように遮光層を設けてもよい。また、遮光層とG光の選択フィルタが交互にあってもよい。
図23は本発明の第5の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。なお、同図に示す本実施の形態例の画像表示装置90は三枚の透過型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。図中の点線は赤色、一点鎖線は緑色、二点鎖線は青色の光路をそれぞれ示す。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置90は、投射レンズ91と、ハロゲンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプなどの白色光源と、集光性を上げてかつ均一な照明が得られるようにするためのインテグレータ光学系(フライアイレンズによる重畳、あるいは、ロッドインテグレータ光学系:図示せず)等で構成された照明光学系92と、赤のみを反射するダイクロイックミラー93及び青のみを反射するダイクロイックミラー94で構成された色分離ミラー光学系95と、赤、緑、青に対応した画像を表示する透過型のライトバルブ96〜98と、クロスダイクロプリズムなどの色合成素子99と、ミラー100〜103と、各ライトバルブ96〜98の画像表示情報を制御し、後述する画素シフト手段105による画素シフトを制御する制御手段104と、ライトバルブ97における投射画素を別の投射画素に重ならないようにライトバルブ97の投射画素を画素ピッチ以下にシフトさせる画素シフト手段105とを含んで構成されている。また、本実施の形態例の画像表示装置90によれば、所定の波長帯域、例えば視感度特性の最も高く、一般的に460nm〜570nmの波長帯域の緑色の画像を形成する緑のライトバルブ97と投射レンズ91の間に画素シフト手段105を配置し、この画素シフト手段105によって、あたかも画素位置が画素ピッチの半分、あるいは、1.5ピッチ、あるいは、2.5ピッチといった、1/2画素の奇数分だけシフトした位置に配置(隣接画素に重ならないように)しているかのように投射画像を全体にシフトさせる。一方、ライトバルブ96〜98も、画素シフトに応じて、上述した制御によって、そのシフトした位置の画像を表示するようにライトバルブの画像の更新を行う。
ここで、本実施の形態例の画像表示装置における各ライトバルブの画素シフトについて画素シフトのタイミングシーケンスである図24に従って説明する。ある画素フレームFiを構成するカラー画像として、ライトバルブ96における照明光は赤色であり、ライトバルブ97における照明光は緑色であり、ライトバルブ98における照明光は青色である。また、ライトバルブ96では、ある画素フレームFiで画像Rfi、画素フレームFi+1で画像Rfi+1、画像フレームFi+2で画像Rfi+2を形成し、画素シフトは画像フレームFi〜Fi+2で画素位置1のままであるように、制御手段104によりライトバルブ96の表示が制御される。更に、ライトバルブ97では、画素シフト位置1に応じてGの画像をGf1i、Gf1i+1、Gf1i+2とシフトさせて形成し、画素シフト位置2に応じてGの画像をGf2i、Gf2i+1、Gf2i+2とシフトさせて形成し、制御手段104により画素シフト手段105が制御されて、ライトバルブ97による表示が制御される。また、ライトバルブ98では、ある画素フレームFiで画像Bfi、画素フレームFi+1で画像Bfi+1、画像フレームFi+2で画像Bfi+2を形成し、画素シフトは画像フレームFi〜Fi+2で画素位置1のままであるように、制御手段104によりライトバルブ98の表示が制御される。
このような画素シフトの応答速度及び画像更新は、1フレーム以内で高速に行われるので、人の目の残像効果によりあたかも画素が増大したかのように見える。画素シフト手段105としては、光路変換素子や液晶を用いて光路シフトを生じさせ画素シフト素子が挙げられる。なお、画素シフト手段105は、光路中に挿入し、光路をずらす素子を想定している。図示はしないが、パネルを直接微動シフトして画素ずらしを行ってもよい。例えば、電磁駆動による駆動、ピエゾ駆動による駆動など、メカニカルに駆動させてもよい。また、投射光学系のバックフォーカスが十分に長く取ることができれば、光路中にミラーを配置し、微小角度だけ変位させたいわゆるガルバノミラーにより光路を切り替えてもよい。また、画素シフト手段105は、ライトバルブ97の直後で近接するように配置されることが望ましく、もっとも効果的である。なぜならば、投射レンズ91の光束がライトバルブ97に近くなればなるほど、ライトバルブ97のサイズに近づき小さくなる。画素シフト手段105は、ミラーの場合はさほど大きさに関しての制約はないが、なるべく開口形状を小さくできれば、液晶材料を透明基板で挟み込んで、電界印可するタイプの素子では、サイズによるコストダウン効果が大きくなる。大きなサイズから切り出し、電極形成のための行程でも、素子サイズにより、取り数をより多くすることが可能であり、それだけ素子のコストを抑えることが可能となってくる。
このように、所定の波長帯域、例えば視感度特性の最も高い表示画像に対して画素シフト表示を行い、上述したように従来最低でも4枚のパネルが必要だった画像投射装置であったが、画素シフト手段を、緑色画像を生成するパネルと投射画像の間に配置し、画素シフトと、パネルの高速画像切り替えとにより、画素数増大化が可能となった。よって、ライトバルブの数を3枚で済み、装置の大型化を防ぎ、低コストで高精細表示画像を得ることができる。
図25は本発明の第6の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図において、図23と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、同図に示す本実施の形態例の画像表示装置110は三枚の透過型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。図中の点線は赤色、一点鎖線は緑色、二点鎖線は青色の光路をそれぞれ示す。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置110は、所定の波長帯域、例えば視感度特性の最も高い緑の画像を形成するライトバルブ97と色合成素子99の間に画素シフト手段105を配置し、更に画素シフト手段105を透過する際に生じる光路差と同じだけの光路差を発生させる光路長補正手段111、112をライトバルブ96と色合成素子99の間とライトバルブ98と色合成素子99の間にそれぞれ配置したものである。具体的には、画素シフト手段105で実質的に光路が長くなる分だけ、赤のライトバルブ96及び青のライトバルブ98と色合成素子99のそれぞれの間に、画素シフト手段105の光路長と等価な光学素子を配置した。画素シフト手段105がガラス基板により液晶材料を平行に挟み込んだ構成であると、光路長補正手段111、112は、ガラスの平行平板とすればよい。画素シフト手段105の厚みに応じて、平行平板の厚みを設定すればよい。
このように、所定の波長帯域、例えば視感度特性の最も高い波長帯域を有した画像を形成するライトバルブ以外のライトバルブと色合成素子の間に画素シフト手段の光路長と等価となるような光学的に光路差を補正する光路長補正手段の光学素子を配置したことによって、色による倍率誤差、ディストーションの均一性、色収差による解像度劣化等を防ぐことが可能となる。
図26は本発明の第7の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図において、図23と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、同図に示す本実施の形態例の画像表示装置120は三枚の透過型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。図中の点線は赤色、一点鎖線は緑色、二点鎖線は青色の光路をそれぞれ示す。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置120は、直線偏光の照明光を色分離ミラー光学系95で、赤、緑、青の光の三原色に分離したのち、それぞれの色に対応した、透過型のライトバルブ96〜98に照明光として入射させる。そして、それぞれのライトバルブ96〜98には、紙面に平行なP偏光の照明光とし、画素毎に変調されて白色光はS偏光となって色合成素子99へと導かれる。ここで、色合成素子99として、従来でも良く採用されているクロスプリズムなどが好適である。このクロスプリズムはもっとも光路をコンパクトにできるのが特徴であるが、通常、緑光は透過で用い、青、赤は、反射で用いられる。赤と青は反射で使われることから、S偏光でクロスプリズムに入射させることがよい。また、透過で使われる緑光はP偏光とすることで、赤、青の高い反射率と、緑色の高い透過率を有するダイクロイック膜を設計、製作することができる。すなわち、ダイクロイックプリズムで合成された直後では、緑色と他の色の偏光が互いに直交している。よって、図26に示すように、色合成された光路中に、入射光の変更依存性のある画素シフト手段105を配置すると共にライトバルブ97と色合成素子99の間に1/2波長板121を設けている。よって、光路偏向は、所定の波長帯域、例えば視感度特性の最も高い波長帯域を有した画像を形成するライトバルブの画像、すなわち緑色のP偏光の光に対してのみしか光路シフトしないようになっている。そのため、その他のライトバルブで形成される画像の偏光方向は、光路シフトされずにそのまま投射レンズへと向かい、所定の波長帯域、例えば視感度特性の最も高い緑色の画像のみのシフトを行うに好都合な画素シフト手段105の位置である。なぜならば、各色の光路中に、光路シフト素子を実質配置していることから、色による光路差が生じにくい。
以上説明したように、第5〜第7の実施の形態例のように、ライトバルブとして透過型のライトバルブを採用したことにより、ライトバルブ直後に、光路シフト素子を配置でき、また色合成素子との間も極力小さくでき、投射レンズのバックフォーカスをもっとも短くできる。また、レンズバックに制約のある光学系においても画素シフト手段を配置できる。なお、透過型ライトバルブとしては、高温ポリシリコンのTFT液晶などがもっとも好適である。
図27は本発明の第8の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図において、図23と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、同図に示す本実施の形態例の画像表示装置130は三枚の反射型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。図中の点線は赤色、一点鎖線は緑色、二点鎖線は青色の光路をそれぞれ示す。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置130によれば、各色のライトバルブの作用としては、照明光源系92からの直線偏光の照明光を色分離ミラー光学系95及び色分離ミラー131で赤、緑、青の光の三原色に分離し、コンデンサレンズ132、136、139で集光された各色の光が色分離偏光ビームスプリッタ133、137、140にそれぞれ入射され、色分離偏光ビームスプリッタ133、137、140によって反射されたS偏光の照明光を画素単位で変調し、光をONとする場合は偏光方向を90度回転させ、偏光ビームスプリッタ133、137、140をP偏光として照明光と分離させる。このように、照明光と投射光を偏光ビームスプリッタ133、137、140で分離した後、各色の像を色合成素子99で合成し、カラー画像を得る。また、本実施の形態例の画像表示装置130によれば、少なくともライトバルブ138と色合成素子99の間に、画素シフト手段105を配置している。また、ライトバルブ134とライトバルブ141で変調された画像は、偏光ビームスプリッタ133,140をP偏光で透過し、色合成素子99へと向かうが、色合成素子99に入射する直前で1/2波長板135,142が配置されているので、90度偏光方向を回転されS偏光となって色合成素子99のダイクロイック膜で反射して投射レンズ91へと向かう。一方、ライトバルブ138においては、偏光ビームスプリッタ137を透過したP偏光はそのまま色合成素子99を透過する。また、図27に示すように、画素シフト手段105を偏光ビームスプリッタ137とライトバルブ138の間に配置しているので、画素シフト手段105のサイズがより一層小さくできる。よって、画素シフト手段のサイズを小さくでき、素子の量産性が向上し、より低コストな素子を提供でき、従って、投射装置全体のコストを抑えることが可能となる。このように、偏光依存性のある画素シフト手段を用いたことによって、クロスプリズムの青、赤の高い反射特性と緑光の高い透過特性を生かすことができ、光の利用効率の高い明るい投射光学系を得ることができる。なお、画素シフト手段105を偏光ビームスプリッタ137と色合成素子99の間であってもよい。
図28は本発明の第9の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図において、図23と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、同図に示す本実施の形態例の画像表示装置130は三枚の反射型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。図中の点線は赤色、一点鎖線は緑色、二点鎖線は青色の光路をそれぞれ示す。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置150によれば、投射レンズ91と色合成素子99の間に、画素シフト手段105を配置している。そして、ライトバルブ134とライトバルブ141で変調された画像は、偏光ビームスプリッタ133,140をP偏光で透過し、色合成素子99へと向かうが、色合成素子99に入射する直前で1/2波長板135,142が配置されているので、90度偏光方向を回転されS偏光となって色合成素子99のダイクロイック膜で反射して投射レンズ91へと向かう。一方、ライトバルブ138においては、偏光ビームスプリッタ137を透過したP偏光はそのまま色合成素子99を透過する。そのため、色合成素子99で合成された直後では、緑色と他の色(赤、青)の偏光が互いに直交し、ここに偏光依存性のある画素シフト手段105を配置し、緑色のみ偏光機能が働くため、画素シフト方向に応じて緑色の画像を高速に切り替えることによって、見かけ上画素を増大できる。
図29は本発明の第10の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図において、図28と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、同図に示す本実施の形態例の画像表示装置160は三枚の反射型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。図中の点線は赤色、一点鎖線は緑色、二点鎖線は青色の光路をそれぞれ示す。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置150によれば、図28に示す第9の実施の形態例の画像投射装置140の構成に加え、画素シフト手段105の通過後に、色選択性波長板151を配置した。ここで、色選択性波長板151は、特定の色のみの偏向方向を90度回転させる機能を有する波長板であり、例えばcolor link社のcolorselect(登録商標)という製品などがある。この色選択性波長板161により、所定の波長帯域、例えば視感度特性の最も高い波長帯域を有した画像光、あるいはその他の波長帯域の画像光の何れか一方のみの偏光を90度回転して各色の偏光を揃えることができる。このような構成により、反射型スクリーンや透過型スクリーンなど、スクリーンには少なからず偏光依存性があり、そのため投射光によっては色バランスが崩れることが問題であったが、投射光の偏光が揃っているため、このような問題がなくなった。
図30は本発明の第11の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図の(a)において、図28と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、同図の(a)に示す本実施の形態例の画像表示装置170は2枚の透過型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置170によれば、直線偏光の照明光(図中、直線で表記)をM/G色分離素子、ダイクロイックミラーなどの色分離ミラー光学系171で、図中一点鎖線で示す緑(G)と図中破線で示すマゼンタ(M)光の2色に分離させる。分離されたM光は、色切替手段173を介してライトバルブ175を照明する。色切替手段173としては、赤(R)光と、青(B)光を選択的に透過するカラーフィルタで構成し、例えば同図の(b)に示すような、R光のみ透過するカラーフィルタRと、青光のみ透過するカラーフィルタBで構成した回転式のカラーフィルタなどが用いられる。この回転式のカラーフィルタを画像切り替えのタイミングに応じた速度で、回転同期させ照明光の色を時間順次で行うことで、青と赤の画像を形成する。一方、色分離ミラー光学系171で分離された緑(G)光は、ライトバルブ97を照明する。このライトバルブで形成された画像は、ライトバルブ97の後に配置された画素シフト手段105によって画素シフト位置に応じた、画素シフト位置1及び画素シフト位置2のサブフレーム画像を形成し、ライトバルブ175で形成された青の画像又は赤の画像と色合成素子99により合成され、投射レンズ91により拡大表示される。
ここで、本実施の形態例の画像表示装置における各ライトバルブの画素シフトについて画素シフトのタイミングシーケンスである図31に従って説明する。ある画素フレームFiを構成するカラー画像として、ライトバルブ97における照明光は緑色であり、ライトバルブ175における照明光は赤色又は青色である。また、ライトバルブ97では、画素シフト位置1に応じてGの画像をGf1i、Gf1i+1、Gf1i+2とシフトさせて形成し、画素シフト位置2に応じてGの画像をGf2i、Gf2i+1、Gf2i+2とシフトさせて形成し、制御手段104により画素シフト手段105が制御されて、ライトバルブ97による表示が制御される。また、ライトバルブ175では、ある画素フレームFiで画像Rfiと画像Bfi、画素フレームFi+1で画像Rfi+1と画像Bfi+1、画像フレームFi+2で画像RFi+2と画像Bfi+2を形成し、画素シフトは画像フレームFi〜Fi+2で画素位置1のままであるように、制御手段104によりライトバルブ165の表示が制御される。
図32は本発明の第12の実施の形態例に係る画像表示装置の構成を示す概略図である。同図の(a)において、図30と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、同図に示す本実施の形態例の画像表示装置180は2枚の反射型の液晶ライトバルブを用いた装置を想定している。同図に示す本実施の形態例の画像表示装置180によれば、直線偏光の照明光(図中、直線で表記)をM/G色分離素子、ダイクロイックミラーなどの色分離ミラー光学系171で、図中一点鎖線で示す緑(G)と図中破線で示すマゼンタ(M)光の2色に分離させる。分離されたM光は、色切替手段173を介して赤(R)光と青(B)光を選択的に透過する。透過した赤(R)光又は青(B)光は、偏光ビームスプリッタ183をS偏光で反射してライトバルブ184により赤又は青の画像を形成し、更に偏光ビームスプリッタ183をP偏光で透過する。一方、色分離ミラー光学系171で分離された緑(G)光は、偏光ビームスプリッタ181をS偏光で反射してライトバルブ182により緑の画像を形成し、更に偏光ビームスプリッタ181をP偏光で透過する。このライトバルブ182で形成された緑の画像は、色合成素子99の後に配置された画素シフト手段105によって画素シフト位置に応じた、画素シフト位置1及び画素シフト位置2のサブフレーム画像を形成する。また、ライトバルブ182で形成された緑の画像とライトバルブ184で形成された青の画像又は赤の画像は、色合成素子99により合成され、投射レンズ91により拡大表示される。
このように、第11、第12の実施の形態例によれば、緑と、青、赤の照明する時間が異なり、人間の目ではその積算された時間で明るさが決定されるので、緑色の照明時間を2つのシフト位置に照明する時間をそれぞれ半分にするか、あるいは全体に光量を落としてカラーバランスを保てばよい。また、カラースクロール照明技術などを用いて光利用効率を落とすことない構成も採用できる。
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。