JP2004004502A - 光学装置および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光路シフト素子によって光路をシフトさせても偏光状態が変化しにくい光学装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの光路シフト部を有する光路シフト素子を備えた光学装置であって、光路シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子とを有している。この装置は、光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子を更に備えている。
【選択図】 図4
【解決手段】少なくとも1つの光路シフト部を有する光路シフト素子を備えた光学装置であって、光路シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子とを有している。この装置は、光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子を更に備えている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッド・マウント・ディスプレイ(以下、「HMD」と称する。)や投影型表示装置(プロジェクタ)などに好適に用いられる光路シフト素子、および当該光路シフト素子を備えた表示装置に関している。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、一対の基板と、これらの基板間に挟まれた液晶層とを備えている。基板は、行および列(マトリクス)状に規則的に配列された複数の画素電極を有しており、画像信号に対応した駆動電圧が画素電極のそれぞれに印加される。この電圧印加によって液晶層の光学特性(光の透過率や反射率)が画素ごとに変化するため、画像や文字などを表示することができる。
【0003】
基板上の各画素電極に独立した駆動電圧を印加する方式には、「単純マトリクス方式」と「アクティブマトリクス方式」とがある。
【0004】
アクティブマトリクス方式の場合、各画素電極に対応するスイッチング素子が基板上に配列される。このようなスイッチング素子が配列された基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。アクティブマトリクス基板上のスイッチング素子は、対応する画素電極と信号配線との間で電気的な導通/非導通状態を切り替える働きをする。このようなスイッチング素子には、金属−絶縁体−金属(MIM)素子や薄膜トランジスタ(TFT)などが好適に用いられている。
【0005】
スイッチング素子は、非導通状態のとき、可能な限り高い電気抵抗を示すことが要求される。しかし、非導通状態にあるスイッチング素子に対して強い光が入射すると、スイッチング素子の電気抵抗が低下し、リーク電流が発生するため、画素電極に蓄えられていた電荷が放電されてしまうという問題が生じる。また、画素電極に適切なレベルの駆動電圧が印加されず、本来の表示動作が実行されなくなり、黒状態でも光が漏れてコントラスト比が低下するという問題も生じる。
【0006】
液晶表示素子が透過型の場合は、上記問題を解決するため、アクティブマトリクス基板上、または、アクティブマトリクス基板とは液晶層を挟んで対向する対向基板に、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光層が配置される。このブラックマトリクスの存在は、画素開口部の面積割合(開口率)を小さくしてしまう。ブラックマトリクスの占有面積を縮小して高精細化を達成するには、スイッチング素子や配線を微細化すればよいが、スイッチング素子や配線を微細化すると、駆動力の低下や配線抵抗の増加を招くことになる。また、製造技術上の制約からも、スイッチング素子や配線を微細化するのは難しい。
【0007】
ブラックマトリクス上の非表示領域を利用して高精細化をはかる目的で、表示画像を画素ピッチ程度だけ光学的に移動させる技術が特許文献1に開示されている。この技術によれば、画素の移動に同期させ、移動した画素位置に対応する映像を表示される。その結果、見かけ上の画素数が増えるため、解像度の低い表示素子を用いても、高精細の表示パネルを用いた場合と同様の表示が可能となる。
【0008】
米国特許第6、061、103号は、赤、緑、青(以下、「RGB」と称する。)の各画素をシフト素子によって光学的に順次シフトさせ、シフトした画素を重ね合わせて表示する方法を開示している。この方法では、1つの画素に対応する領域において、RGBの各画素が時分割で表示される。その結果、表示パネル上の画素ピッチを縮小せずに、見かけの解像度を3倍に向上させることができる。
【0009】
上記米国特許第6、061、103には、画像を光学的にシフトさせる手段として、液晶素子と複屈折素子とを組み合わせた光路シフト素子が開示されている。複屈折素子は、入射する光の偏光方向によって光の屈折方向が変わる材料から形成されたものである。複屈折素子に入射する光の偏光方向を液晶素子によって変えれば、複屈折素子から出る光の光軸をシフトさせることができる。
【0010】
図1は、公知の光路シフト素子を示している。この光路シフト素子は、光線の伝搬方向に沿って直列的に配列された液晶素子10および複屈折素子12を備えている。液晶素子10は、入射してきた直線偏光の電場ベクトル振動面(以下、「偏光面」と称する。)を90°回転させた状態と、回転させずにそのまま透過する状態との間で偏光状態をスイッチングする。複屈折素子12は、入射してきた直線偏光の偏光面の向きに応じて光線をシフトさせることができる。
【0011】
図1に示されている例では、液晶素子10に入射する光の電場ベクトル方向(偏光方向)は紙面に平行である。液晶素子10は屈折率異方性Δεが正のTNモードの液晶(TN液晶)を用いているため、液晶素子10の液晶層に電圧が印加されていない時(電圧OFF状態の時)、液晶分子は90°ねじれた状態にあり、その旋光性によって入射光の偏光面は90°回転する。一方、液晶素子10の液晶層に所定レベル以上の電圧が印加されている時(電圧ON状態の時)、液晶分子の長軸の向きは電界の向きに整合した状態にあるため、入射光の偏光面は紙面に平行なまま出射されることになる。そして、図示されている複屈折素子12は、偏光面が紙面に平行な光はそのまま透過させるが、紙面に垂直な光はシフトさせることができる。
【0012】
図1に示すような光路シフト素子内の液晶素子10は、印加される電圧の大きさに応じて、第1の直線偏光を出射する状態と、これに垂直な偏光面を有する第2の直線偏光を出射する状態との間で状態を適切かつ迅速に切り替えることが求められる。
【0013】
このような光路シフト素子を用いた投影表示装置が特許文献2に開示されている。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第4,984,091号明細書
【特許文献2】
特開平4−63332号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図1に示す構成を有する光路シフト素子には、以下に説明するような問題がある。
【0016】
上記光路シフト素子によれば、画像を目的とする位置にシフトさせるため、液晶素子10が入射光の偏光面を90°回転させたり、回転させずにそのまま透過したりする。このため、光路シフト素子を透過した光の偏光状態は、画素のシフト位置によって異なることになる。図1を参照すると、位置Aでは、液晶素子10がOFF状態(電圧無印加)であり、複屈折素子12を出射する光の偏光方向は紙面に垂直である。これに対し、位置Bでは、液晶素子10がON(電圧印加)になるため、複屈折素子12を出射する光の偏光方向は、入射偏光と同じであり、紙面に平行となる。
【0017】
一方、光路シフト素子が適用された表示装置、例えばHMDやプロジェクタにおいては、その観察光学系や投影光学系の一部に光路の折り曲げのための素子やレンズなどの各種光学部材が複数使用される。これらの光学部材による光の反射率や透過率は、光学部材の表面処理状態や光の入射角によって偏光依存性を示す。上述したように、図1の構成を有する光路シフト素子を用いた場合は、画像のシフト位置によって偏光方向が異なるため、観察光学系や投影光学系で透過または反射される光の強度がシフト位置によって異なってしまう。このような光の強度変化は、ちらつきとなって認識され、表示品位を低下させてしまう。
【0018】
例えば、赤、緑、および青に対応した3枚の液晶パネルを用いるプロジェクタに図1の光路シフト素子を適用する場合、3枚の液晶パネルの各々に光路シフト素子が割り当てられ、赤、緑、および青の各々の画像が独立してシフトさせられることになる。この場合、3つの光路シフト素子を通過した光を合成するために色合成プリズムを使用する必要がある。この色合成プリズムは、通常、図2に示すように、誘電体膜から形成された赤反射面と青反射面を有している。赤および青の各反射面の透過特性(反射特性)は、図3(a)および(b)に示すように、入射する光の偏光方向(P偏光またはS偏光)によって大きく異なる。例えば、青反射面の場合、図3(a)のグラフからわかるように、P偏光に比べてS偏光の方が長波長側に反射波長域がシフトする。一方、赤色反射面の場合、図3(b)のグラフからわかるように、P偏光に比べてS偏光の方が、短波長側に反射波長域がシフトする。このため、赤および青色光についてはS偏光を色合成プリズムに入射させ、緑色光についてはP偏光を色合成プリズムに入射させることにより、赤、緑、および青色の全ての光について、使用できる波長域を広げることができる。なお、ここでP偏光とは、図2の紙面に対して平行な方向に振動する直線偏光であり、S偏光とは図2の紙面に対して垂直な方向に振動する直線偏光である。
【0019】
このように、色合成プリズムに対しては、赤、青の光はS偏光で、緑の光はP偏光で入射させることが光利用効率を高める上で有利であることは、例えば特公平6−8985号公報に開示されている。
【0020】
しかしながら、図1のような構成を有する光路シフト素子を3板式液晶プロジェクタに適用する場合、色合成プリズムに入射する光の偏光方向が画像のシフト位置によって変化することになる。このため、画像がシフトするたびに、赤、緑、青の明るさが変化するので、ちらつきが発生するだけでなく、色自体も変化し、表示品位が大きく低下してしまうことになる。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、光路シフト素子によって光路をシフトさせても偏光状態が変化しにくい光学装置を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、画像または画素のシフトに起因するちらつきを抑え、表示品位に向上させた表示装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明による光学装置は、少なくとも1つの光路シフト部を有する光路シフト素子を備えた光学装置であって、前記光路シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、前記偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子とを有しており、前記光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子を更に備えている。
【0024】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる。
【0025】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は、少なくとも所定の波長域においては、直線偏光であり、その偏光方向は、前記光路のシフト位置によらず、略一定である。
【0026】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を更に備えている。
【0027】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0028】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0029】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子の応答速度は、前記偏光変調素子の応答速度と略同一である。
【0030】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は円偏光である。
【0031】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、位相差板である。
【0032】
本発明による装置は、上記いずれかの光学装置と、前記光学装置の前記偏光補正素子から出射された光が入射されるように配置された光学部材と備えている。
【0033】
好ましい実施形態において、前記光学部材の透過率および/または反射率は、偏光依存性を有している。
【0034】
好ましい実施形態において、前記光学部材は、特定波長帯域の光を選択的に透過または反射する部材である。
【0035】
本発明による表示装置は、光源と、光源からの光を信号に応じて変調する表示素子と、前記表示素子の光出射側に配置され、前記表示素子に表示された画像を表示フレーム毎に光学的にシフトさせる光路シフト素子とを備えた表示装置であって、前記光路シフト素子は、少なくとも1つのシフト部を有しており、前記シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、前記偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子とを有しており、前記光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子を更に備えている。
【0036】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる。
【0037】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は、少なくとも所定の波長域においては、直線偏光であり、その偏光方向は、前記光路のシフト位置によらず、略一定である。
【0038】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を更に備えている。
【0039】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0040】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0041】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子の応答速度は、前記偏光変調素子の応答速度と略同一である。
【0042】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は円偏光である。
【0043】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、位相差板である。
【0044】
好ましい実施形態において、前記光源からの光を赤、緑、青の光に分離する色分離光学系と、前記赤、緑、青の光を合成する色合成手段と、前記色合成手段からの出射光を投影する投影手段とを更に備えており、前記表示素子、前記光路シフト素子、および前記偏光補正素子は、前記赤、緑、青の各光路に配置され、しかも、前記光路シフト素子と前記偏光補正素子とが前記表示素子と前記色合成手段との間に配置されている。
【0045】
好ましい実施形態において、前記緑の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光は、前記色合成手段の色合成面に対し略P偏光の直線偏光であり、前記赤、青の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光方向が前記緑の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光方向と90°異なるS偏光である。
【0046】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を少なくも1つ備えている。
【0047】
好ましい実施形態において、前記偏光規制素子は、赤の光路および青の光路上に配置されており、緑の光路上には配置されていない。
【0048】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図4(a)および(b)を参照しながら、本発明による光学装置の実施形態を説明する。
【0049】
図示されている光学装置は、光路シフト素子と偏光補正素子とを備えた光学装置であり、光路シフト素子は1つの光路シフト部を有している。この光路シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子100と、偏光変調素子100から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子120とを有している。以下、簡単化のため、偏光方向が図に示す矢印の方向に向いた直線偏光が光路シフト素子の左方から偏光変調素子100に入射してくる場合を考える。本明細書における「直線偏光」とは、可視光帯域に含まれる全ての範囲において完全な直線偏光である必要は無く、所定の波長域内において実質的に直線偏光であればよい。
【0050】
偏光変調素子100は、任意の選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる素子であり、好ましくは液晶素子から構成される。液晶素子は、典型的には、一対の透明基板と、透明基板間に位置する液晶層と、液晶層に電圧を印加する透明電極(透明導電膜)とを有している。液晶素子によって偏光変調素子100を構成する場合、液晶はTN液晶に限定されず、例えば、ECBモードの液晶や強誘電液晶などを用いることもできる。
【0051】
複屈折素子120は、一軸結晶材料(例えば水晶など)から作製された素子である。複屈折素子120に用いられる材料は、一軸結晶であれば、如何なるものであってもよい。例えば、ニオブ酸リチウム、方解石、雲母、ルチル(TiO2)、チリ硝石(NaNO3)などの材料を用いることができる。ただし、HMDのように、表示装置の総重量を小さくする必要がある場合、屈折率異方性(Δn)が相対的に大きなニオブ酸リチウムやルチルを用いることが好ましい。Δnが大きい材料であれば、必要な画像シフト量を得るために必要な複屈折素子120の厚さを薄くできるため、小型化および軽量化に適している。
【0052】
本発明による光学装置に特徴的な点は、光路シフト素子から出射された光の偏光状態を、光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子40を備えていることにある。
【0053】
偏光補正素子40は、例えば、偏光変調素子100に用いる液晶素子と同様の液晶素子から構成され得る。偏光変調素子100が液晶素子から構成される場合は、その液晶素子による偏光面の回転動作と同期させて偏光補正素子40の液晶素子による偏光面の回転を行うことにより、出射光の偏光面を常に一定の向きに維持することが可能である。
【0054】
図4(a)に示す状態では、偏光変調素子100によって90°回転させられた偏光面が偏光補正素子40により更に90°回転させられる。その結果、偏光変調素子100に入射する前の偏光方向と偏光補正素子40から出射する光の偏光方向とが一致している。一方、図4(b)に示す状態では、偏光変調素子100によって回転しなかった偏光面が偏光補正素子40によって回転しないため、偏光変調素子100に入射する前の偏光方向と偏光補正素子40から出射する光の偏光方向とが一致している。
【0055】
図4(a)の状態と図4(b)の状態との間でのスムーズな遷移は、偏光変調素子100のスイッチング動作と偏光補正素子40のスイッチング動作とを同期させて実行することにより達成される。光路シフトのタイミングで偏光変調素子100および偏光補正素子40を的確に動作させれば、偏光補正素子40から出射される光の偏光状態は略一定に維持され、偏光方向も略一定となる。
【0056】
ただし、偏光変調素子100および偏光補正素子40のスイッチング動作のタイミングにずれが生じたり、スイッチング動作の速度に大きな差が存在したりすると、一時的に偏光方向が所望の方位からずれる可能性がある。このようなずれを極力抑制するには、偏光変調素子100および偏光補正素子40のスイッチング速度が等しくなるように、略同一の構造を有する素子から偏光変調素子100および偏光補正素子40の両方を作製することが好ましい。偏光変調素子100として、例えばTN液晶を用いた液晶素子を採用する場合は、偏光補正素子40としても同様のTN液晶を用いた液晶素子を採用することが好ましい。
【0057】
以上、光路シフトのタイミングに同期させて、入射直線偏光の偏光面を90°だけ回転または非回転することができる素子を用いて偏光補正素子40を構成する例を説明したが、偏光補正素子40は、このような素子に限定されない。例えば、1/4波長位相差板を偏光補正素子40として用いても良い。この場合、偏光補正素子40に入射した直線偏光は常に円偏光として出射されることになる。偏光補正素子40から出射された光が、光路のシフトの位置によらず円偏光であれば、その後方に、偏光依存性を有する光学部材が配置されていても、ちらつきなどの発生を充分に抑制できる場合がある。
【0058】
なお、図4(a)および(b)の例では、偏光補正素子40から出射された光の偏光方向は、シフト位置によらず、図4(a)および(b)の紙面に平行であるが、本発明はこれに限定されない。液晶素子100に入射する光の偏光方向が図4(a)および(b)の紙面に平行である場合において、偏光補正素子40から出射された光の偏光方向を、シフト位置によらず、図4(a)および(b)の紙面に垂直に維持するようにしてもよい。
【0059】
また、偏光補正素子40から出射された光の偏光方向を、あるモードでは図4(a)および(b)の紙面に対して平行に維持し、他のモードでは紙面に対して垂直に維持するように切り替えることも可能である。
【0060】
(実施形態2)
次に、図5および図6を参照しながら、本発明による表示装置の実施形態を説明する。
【0061】
図5の表示装置は、バックライト1、液晶表示素子2、光路シフト素子3、偏光補正素子4、反射ミラー5、および観察光学系6を備えている。バックライト1は透過型の液晶表示装置2を照明する光源であり、液晶表示素子2は、公知の液晶表示パネルから構成され、駆動回路7から駆動信号および映像信号などの信号を受け取り、映像信号などに応じた内容を持つ画像を表示することができる。なお、本明細書における「画像」とは、2次元的な情報の配列を広く含むものであり、液晶表示素子2に表示される画像は、イメージだけではなく、テキストその他の情報であってもよい。
【0062】
液晶表示素子2の前後には、液晶表示素子2への入出射光の偏光を規制する偏光板(不図示)がクロスニコル状態で配置されている。
【0063】
観察光学系6は、液晶表示素子2で表示された画像を光学的に拡大するための光学系である。観察者は、光路シフト素子3、偏光補正素子4、反射ミラー5、および観察光学系6を介して、液晶表示装置2で表示された画像を観察することができる。
【0064】
本実施形態では、バックライト1が必要な透過型液晶表子を用いているが、画像を表示できる素子であれば、反射型の液晶表示であってもよく、また、有機EL素子やプラズマスディスプレスパネル(PDP)などの自発光型の表示素子を用いることもできる。
【0065】
光路シフト素子3の動作は、光路シフト素子駆動回路8によって制御される。駆動回路8は、液晶表示素子2の映像表示に同期した駆動信号を光路シフト素子3に供給する。駆動回路8は光路シフト素子3に含まれる複数の液晶素子に対して個別に複数レベル(High/Low)の電圧を印加するための電圧印加部を有している。
【0066】
偏光補正素子4の動作は、偏光補正素子用駆動回路9によって制御される。駆動回路9は、液晶表示素子2の映像表示に同期した駆動信号を偏光補正素子4に供給する。駆動回路9は偏光補正素子4に含まれる液晶素子に対して複数レベル(High/Low)の電圧を印加するための電圧印加部を有している。
【0067】
上記の各構成素子のうち、バックライト1、液晶表示素子2、反射ミラー5、観察光学系6、および駆動回路7は、従来の画像表示装置で用いられてきた素子や回路と同様の構成を有しており、本実施形態に係る表示装置の特徴点は、光路シフト素子3と偏光補正素子4の構成および動作にある。
【0068】
図6は、本実施形態の光路シフト素子3の構成を示している。図示されている光路シフト素子3は、2つの光路シフト部、すなわち、画像を縦方向にシフトさせる第1シフト部150と、画像を横方向にシフトさせる第2シフト部200とを有している。
【0069】
第1シフト部150は、液晶素子10と複屈折素子12を用いて作製されており、第2シフト部200は、液晶素子11と複屈折素子12を用いて作製されている。液晶素子10および11の各々は、液晶層と、液晶層の光入射面および光出射面を挟み込む一対の透明電極(不図示)と、これらを挟み込む一対の透明基板とを備えている。液晶素子10および複屈折素子12は、接着剤などによって一体化され、第1シフト部150がひとつの部品として機能するように構成されていも良い。第2シフト部200についても同様である。また、第1シフト部150と第2シフト部200とが一体化されていてもよい。
【0070】
本実施形態における液晶素子10および11は、TNモードの液晶を用いて作製されており、印加電圧のHigh/Lowに応じて、入射光の偏光面を約90°回転させる状態(第1の状態)と、入射光の偏光面を実質的に回転させずにそのまま出射する状態(第2の状態)との間でスイッチングする。上記の液晶素子に用いることのできる液晶の種類は、TN液晶に限定されず、例えばECBモードの液晶や強誘電液晶などを用いることもできる。
【0071】
複屈折素子12は、複屈折素子12の光入射面から傾斜した光学軸を有している。複屈折素子12は、入射光の進行方向および光学軸を含む平面(以下、「主断面」と称する。)内において、入射光線を常光と異常光に分離することができる。従って、複屈折素子へ入射する光の偏光方向が「主断面」に対して垂直であれば、入射光は複屈折素子12にとって常光となるため、主断面内をまっすぐに伝搬する。一方、複屈折素子12へ入射する光の偏光方向が主断面に対して平行であれば、入射光は複屈折素子12にとって異常光となるため、主断面内を屈折する。
【0072】
液晶素子10および11の各々に印加する電圧レベルを変えることにより、入射光の偏光方向を複屈折素子12の主断面に対して垂直または水平な方向にスイッチングすれば、複屈折素子12の主断面内において、入射光線をシフトさせることができる。そして、その結果、表示素子2に表示された画像を入射光軸に垂直な方向へシフトさせることができる。
【0073】
第1シフト部150と第2シフト部200との間で異なる点は、第2シフト部200が第1シフト部150に対して光軸回りに90°回転した関係にある点だけである。このため、第2シフト部200による画素シフトの方向は、第1シフト部150による画像シフトの方向に直交している。このような配置の第1シフト部150および第2シフト部200を組み合わせて用いることにより、同一面(仮想平面)内における4つの異なる位置に画像を移動させることができる。
【0074】
以下、図7(a)から(d)を参照しながら、本実施形態の光路シフト素子の動作を説明する。この例では、偏光補正素子4として、液晶素子10と同様の構成を有する液晶素子を用いている。
【0075】
まず、図7(a)に示すように、液晶素子10をOFF、液晶素子11をON状態とする。このとき、液晶表示素子2における画像を構成するある任意の画素は、仮想平面上における位置Aにある。液晶素子10で偏光方向が90°回転させられるため、光路シフト素子3に入射した光は、90°偏光が回転した状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をON状態として、偏光補正素子4へ入射した光をそのままの偏光状態で出射させる。
【0076】
次に、図7(b)に示すように、液晶素子10をOFF状態にしたまま、液晶素子11をOFF状態にし、上記の画素を位置Bにシフトさせる。液晶素子10、11がOFF状態となるため、光路シフト素子3を出射した偏光は、光路シフト素子3に入射する前の光の偏光状態と同じ偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をOFF状態とすると偏光補正素子4で偏光面が90°回転する。このため、画素が位置Bにシフトしたときでも、偏光補正素子4を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じである。
【0077】
次に、図7(c)に示すように、液晶素子10、11をいずれもON状態にすることにより、画素をCの位置にシフトさせる。位置Cでは、液晶素子10、11がON状態となるため、位置Bと同様に光路シフト素子3を出射した光の偏光はそのままの偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をOFF状態とすると、偏光補正素子4で光の偏光面は90°回転して出射される。このため、画素が位置Cにシフトした時でも、偏光補正素子4から出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じになる。
【0078】
次に、図7(d)に示すように、液晶素子10をON状態にし、液晶素子11をOFF状態とすることにより、画素を位置Dにシフトさせる。位置Dでは、液晶素子10がON状態、液晶素子11がOFF状態となるため、光路シフト素子3に入射した光は、90°偏光が回転した状態で出射される。この時、偏光補正素子4内の液晶素子をON状態にすることにより、この液晶素子への入射偏光はそのままの状態で出射される。よって、画素が位置Dにシフトした時でも、偏光補正素子4から出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じになる。
【0079】
この後、液晶素子10をON状態からOFF状態へ、液晶素子11をOFF状態からON状態へ変化させると、図7(a)に示す状態に復帰する。
【0080】
以上のように、画素が位置A、B、C、およびDのすべてにおいて、偏光補正素子4を出射した光が常に同じ偏光状態となり、その後方に配置された光路を折り曲げる反射ミラー5に入射する。反射ミラー5や観察光学系6には偏光依存性があるため、偏光方向によって反射・透過特性が異なるが、上記したように本実施形態では、常に同じ偏光状態の光が入射するため、偏光依存性の影響を全く受けず、良好な画像を得ることができる。
【0081】
本実施形態では、観察光学系6を有する表示装置(HMDなど)であるが、プロジェクタに使用される光学部品にも偏光依存性があるため、プロジェクタに本発明を適用しても充分な効果を発揮させことができる。
【0082】
(実施形態3)
図8を参照しながら、本発明による表示装置の他の実施形態を説明する。
【0083】
本実施形態では、光源401として、120W、アーク長1.4mmのPhilips社製のUHPランプを用いる。光源としては、この他にハロゲンランプやキセノンランプ、メタルハライドランプを用いることができる。
【0084】
光源401から放射された光のうち、赤の光は、赤反射ダイクロイックミラー402で反射された後、反射ミラー403を経て赤用液晶表示素子404に入射する。また、緑、青の光は、赤反射ダイクロイックミラー402を透過し、緑反射ダイクロイックミラー405に入射する。緑反射ダイクロイックミラー405では、緑の光が反射され、緑用液晶表示素子406に入射する。青の光は、緑反射ダイクロイックミラー405を透過した後、2枚の反射ミラー407、408で反射され、青用液晶表示素子409に入射する。
【0085】
液晶表示素子404、406、および409の後方には、それぞれ、光路シフト素子3と偏光補正素子4が配置されている。光路シフト素子3および偏光補正素子4は、それぞれ、実施形態1における光路シフト素子3および偏光補正素子の構成と同様の構成を有している。
【0086】
液晶表示素子404、406、および409で変調された赤、緑、青の光は、それぞれ、光路シフト素子3および偏光補正素子4に入射する。液晶表示素子404、406、409の前後には、液晶表示素子404、406、409への入出射光の偏光を規制する偏光板(不図示)がクロスニコル状態で配置されている。
【0087】
それぞれの液晶表示素子404,406,409を出射した光は、色合成プリズム410に入射する。赤、緑、青の光は色合成プリズム410で合成された後、投影レンズ411を通して、スクリーン412上に投影される。
【0088】
次に、図9(a)から(d)を参照しながら、光路シフト素子3および偏光補正素子4の動作を説明する。ここでは、赤、緑、青のうち、緑の光路を例に取って説明することにする。
【0089】
本実施形態によれば、光路シフト素子3によって画素の位置をA、B、C、Dの4つの位置に順次シフトさせることにより、見かけ上の画素数を4倍に増やしている。
【0090】
位置Aでは、液晶素子10および11は両方ともON状態にあり、液晶素子10および11では偏光方向が回転しない。このため、光路シフト素子3に入射した光は、そのままの偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子はOFF状態であり、偏光補正素子への入射偏光は90°回転され、色合成プリズムに対してP偏光となって出射される。
【0091】
次に、位置Bでは、液晶素子10がON状態、液晶素子11がOFF状態となるため、光路シフト素子3を出射した偏光は、90°回転する。この時、偏光補正素子4の液晶素子をON状態にすると、偏光補正素子4の液晶素子への入射偏光はそのままの状態で出射される。よって、画素が位置Bにシフトした時でも、偏光補正素子4を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じとなる。
【0092】
位置Cでは、液晶素子10がOFF状態、液晶素子11がON状態となるため、位置Bと同様に、光路シフト素子3を出射した偏光は90°回転する。この時、偏光補正素子4の液晶素子をON状態とすると、偏光補正素子4の液晶素子への入射偏光は、そのままの状態で出射される。よって画素が位置Cにシフトした時でも、偏光補正素子4の液晶素子を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じとなる。
【0093】
位置Dでは、液晶素子10および11が両方ともOFF状態となるため、光路シフト素子3に入射した光は、入射時の偏光状態と同じ偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をOFF状態にすることにより、偏光補正素子4の液晶素子への入射偏光は90°回転された状態で出射される。よって、画素が位置Dにシフトした時でも、偏光補正素子4を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じとなる。
【0094】
以上のように、画素が位置A、B、C、およびDのすべてにおいて、偏光補正素子4を出射した光が同じ偏光状態になり、その後方に配置された色合成プリズム410の色反射面(又は透過面)に対してP偏光として入射する。
【0095】
緑の光について説明したことが、赤や青の光についても同様に当てはまる。ただし、赤および青の光は、緑の光とは偏光方向が90°異なる直線偏光(S偏光)となるように偏光補正素子4を動作させることになる。
【0096】
上記の構成を採用することにより、色合成プリズム410に常に一定の方向に振動する偏光を入射でき、明るさ、表示品位の良い画像を実現することができる。
【0097】
本実施形態では、赤、緑、青の光について、特定の偏光方向の光を色合成プリズム410に入射させることにより、ちらつきなどを防止している。しかし、色合成プリズムに入射させる光の偏光方向は、どのような場合にも一定に保たれる必要はない。例えば、表示装置の動作モードによって、偏光方向を変化させても良い。例えば、データ表示モードとオーディオビジュアル(AV)表示モードとで、表示のモードを変化させるために、本発明の偏光補正素子を利用することができる。具体的には、データ表示モードでは、高い表示輝度が求められるが、AV表示モードでは、明るさよりも優れたホワイトバランスが要求されるため、緑色光の強度を低下させることが好ましい場合がある。そのような場合、データ表示モードでは、前述のように、赤、緑、青の光のそれぞれついて、S偏光、P偏光、S偏光を色合成プリズムに入射するように偏光補正素子4を動作させる一方、AV表示モードでは、赤、緑、青の光のいずれについても、S偏光を色合成プリズムに入射するように偏光補正素子4を動作させるようにすることが好ましい。S偏光の緑色光が色合成プリズム410に入射すると、緑色光の透過率が少し減少するため、明るさは低下するが、ホワイトバランスが良くなり、白の表示品位が向上する。
【0098】
なお、上記の各実施形態では、シフト素子や偏光補正素子として、画面分割のない液晶素子を用いているが、本発明はこれに限定されない。液晶表示素子2、404、406、および409における表示画像の切り替えが線順次走査によって行われる場合は、この線順次走査による表示画像の切り替えに合わせて、画像シフトを行ってもよい。この場合は、光路シフト素子や偏光補正素子に用いる液晶素子による変調を画面一括的行わずに、表示素子における走査にあわせ、走査線またはブロック単位で変調を行う。具体的には、用いる液晶素子の透明電極膜を複数の領域に分割し、個別に駆動することになる。この場合、光路シフト素子および偏光補正素子の分割駆動を整合させて行う必要がある。
【0099】
また、実施形態2および3では、画像(画素)を4つの位置にシフトさせたが、本発明はこれに限られず、画像を2つの位置または3つの位置の間でシフトさせることや、同一直線上に並んだ4つ以上の位置でシフトさせることも可能であり、本発明は任意のシフトパターンに対応できる。
【0100】
更に、上記の各実施形態では、画像の表示フレーム内に液晶素子をスイッチングしているが、液晶の応答速度にあわせて、対応するフレームでバランスの取れたスイッチングができるように、前のフレームや後のフレーム内に多少時間をシフトさせて液晶素子の印加電圧のON/OFFを切り替えることが好ましい。
【0101】
(実施形態4)
図10は、TNモードの液晶セルによって構成した偏光変調素子100の前後に平行ニコル状態で一対の偏光板を配置した場合における出射光の透過率特性(波長依存性)を示している。
【0102】
図10に示す波長依存性を持つ偏光変調素子100によれば、波長域が500〜550nmの範囲内にある光は、偏光変調素子100によって偏光方向が90°回転した直線偏光に変換されて出射されることがわかる。しかし、波長域が500〜550nmの範囲から外れた光については、楕円偏光となって出射されるため、出射光は、必ずしも直線偏光であるとはいえない。
【0103】
液晶を用いて偏光変調素子100を作製した場合、偏光変調特性が上記のような波長依存性を持つのが通常である。どの波長域において、偏光方向を90°回転させるべきかは設計に応じて異なるが、赤色や青色の波長に比べて中間的な緑色に対応する波長域を選択することが好ましい。
【0104】
上記のような波長依存性を有する偏光変調素子100を用いて光路シフト素子を作製した場合、波長が500〜550nmの範囲の光のほとんどの成分は、略完全に直線偏光となり、図11に示す位置Aに出射される。しかしながら、他の波長域の光は楕円偏光成分を持つため、出射光の一部が位置Bに出射されてしまい、2重像が形成される。
【0105】
次に、図12を参照しながら、上記2重像形成の原因をより詳細に説明する。
【0106】
まず、図12(a)を参照する。図12(a)には、偏光変調素子100の液晶層に電圧を印加していない状態が示されている。この時、偏光変調素子100は、図10に示すような波長依存性を持つため、本来、位置Aに出射されるべき光のうちの1部が位置Bに出射されることになる。位置Aに到達する光は、所定の偏光方向を有する直線偏光であり、位置Bに到達する光は、位置Aに到達する直線偏光に対して偏光方向が90°だけ回転した関係にある直線偏光である。このように、完全な直線偏光とは言えない光(すなわち楕円偏光)が複屈折素子120に入射すると、直交する2種類の直線偏光(常光と異常光)が出射される。もっとも、所望の直線偏光成分以外の余分な直線偏光が形成されないように、偏光変調素子を構成することが理想である。
【0107】
次に、画像の位置を位置Aから位置Bにシフトさせるため、偏光変調素子100の液晶層に電圧を印加した場合を考える。この場合、図12(b)に示すように、出射光の位置は位置Aから位置Bにシフトするが、偏光変調素子100における液晶層に対して電圧が印加される前に位置Bに出射されていた光は位置Aにシフトする。ただし、液晶層に電圧が印加されている時における波長依存性は相対的に小さいため、位置Aに到達する光の強度は、液晶層に電圧を印加していない時に発生した位置Bにおける光の強度よりも充分に小さい。
【0108】
偏光変調素子の液晶層に対する電圧印加の有無によらず、位置Aに到達する光の偏光方向は一定であり、また、位置Bに到達する光の偏光方向も一定である。言い換えると、図12(a)の状態において本来表示に使用すべき光の偏光方向と、図12(b)の状態において2重像の原因となる余分な光の偏光方向とが同じとなる。逆に、図12(b)の状態において本来表示に使用すべき光の偏光方向と、図12(a)の状態において2重像の原因となる余分な光の偏光方向とが同一となる。
【0109】
偏光変調素子100の液晶層に対する電圧ON/OFFと同期させて偏光補正素子40に電圧を印加すると、図13(a)の状態と図13(b)の状態とによって、偏光補正素子40から出射される光の偏光方向が90°回転する。この動作は、図4を参照しながら説明した通りである。その結果、偏光補正素子40の光出射側においては、表示に利用すべき光の偏光方向および2重像の原因となる光が、それぞれ、画像シフト位置によらず一定の偏光方向を持つことになる。
【0110】
本実施形態では、2重像の形成を抑制するため、図13に示すように偏光補正素子40の後段に偏光規制素子(偏光規制手段)130を配置している。この偏光規制素子130は、例えば偏光子(偏光板または偏光フィルム)から形成され、2重像の原因となる偏光をカットし、本来の表示に用いられるべき直線偏光のみを透過させる機能を有してる。具体的には、偏光方向が図13の紙面に垂直な方向の直線偏光はカットし、図13の紙面に平行な直線偏光は透過する。この偏光規制素子130の働きにより、たとえ楕円偏光成分が複屈折素子12に入射した場合でも、2重像の形成を効果的に防止することができる。
【0111】
(実施形態5)
図14を参照しながら、図13に示す構成の光学装置を備えた表示装置の実施形態を説明する。
【0112】
本実施形態は、図5に示す装置と略同様の構成を有しており、相違点は、偏光規制素子130の有無にある。本実施形態では、液晶層を有する偏光補正素子4の光出射側において、偏光子から構成された偏光規制素子130が配置されている。このため、偏光補正素子4の液晶層の特性に起因して楕円偏光成分が発生したとしても、不要な偏光成分の光は偏光規制素子130によって適切にカットされるため、2重像の発生が防止される。
【0113】
偏光規制素子130は、偏光補正素子4と一体化されてもよいし、偏光補正素子4から分離された位置に設けられていてもよい。偏光補正素子4は、光路シフト素子3の光出射側における光路上であれば、いずれの位置に置かれてもいてもよい。ただし、光路シフト素子3、偏光補正素子4、偏光規制素子130、駆動回路8および9などが1個の装置として一体化されていると、表示装置の部品としての取り扱いが容易となるため、より好ましい。
【0114】
(実施形態6)
図15を参照しながら、本発明による表示装置の更に他の実施形態を説明する。本実施形態と実施形態3との相違点は、偏光規制素子130を各偏光補正素子4の光出射側に配置している点にあり、それら以外の点では、両実施形態に差異はない。
【0115】
本実施形態によれば、複屈折素子に入射する光の中に無視できない程度の楕円偏光成分が含まれていたとしても、複屈折素子の出射光のうち2重像の原因となる成分を偏光規制素子130によってカットするため、2重像の形成が防止され、画像の質が向上する。
【0116】
なお、図10に示す透過率特性からわかるように、楕円偏光成分がほとんど発生しない波長域が存在する。この波長域は、図10に示す特性例では、波長500〜550nmの範囲であり、緑色に対応している。図15の装置では、緑色の光路上においても、偏光規制素子130を配置しているが、図10の特性を持つ場合、緑色については2重像の原因となる偏光成分の光がほとんど発生しない。このため、偏光規制素子130を赤および青色の光路上にのみ配置するようにしてもよい。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、偏光面の回転に応じて光路をシフトさせるシフト素子の光出射側に偏光補正素子を配置することにより、偏光補正素子から出射した光の偏光状態をシフト位置によらず一定に維持することができる。このため、偏光依存性のある光学部品を用いても、シフト位置による透過率や反射率の変動を抑制することができる。このような光学装置を用いて表示装置を構成すれば、画像シフトによってちらつきが生じない高品位の表示が可能となる。
【0118】
また、3板式のプロジェクタに本発明の光学装置を使用した場合でも、偏光依存性を有する色合成用プリズムに常に一定の偏光方向の光を入射させることができるため、表示品位の高い画像を実現することができる。さらに、偏光補正素子により、色合成プリズムに入射させる光のうち緑の光の偏光方向を色合成プリズムの光反射面(又は透過面)に対してP偏光とし、赤、青の光の偏光方向をS偏光となるように設定すれば、色合成プリズム入射した光を効率的に合成でき、明るく表示品位のいい画像を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶素子および複屈折素子から構成されたシフト素子の構成を示す図である。
【図2】色合成プリズムの説明図である。
【図3】(a)は、図2の色合成プリズムの青反射面における透過率の波長依存性を示すグラフであり、(b)は、上記色合成プリズムの赤反射面における透過率の波長依存性を示すグラフである。
【図4】(a)および(b)は、偏光補正素子の動作を示す図である。
【図5】本発明による表示装置の実施形態を示す模式図である。
【図6】上記第1の実施形態で用いるシフト素子の構成図である。
【図7】(a)から(d)は、実施形態2におけるシフト素子および偏光補正素子の動作を示す斜視図である。
【図8】本発明による表示装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図9】(a)から(d)は、実施形態3におけるシフト素子および偏光補正素子の動作を示す斜視図である。
【図10】TNモードの液晶セルによって構成した偏光変調素子100の前後に平行ニコル状態で一対の偏光子を配置した場合における出射光の透過率特性(波長依存性)を示すグラフである。横軸は入射光の波長であり、縦軸は透過率である。
【図11】楕円偏光成分に起因する2重像の形成を説明するための図である。
【図12】偏光規制素子を設けない例に関しており、(a)では、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加していない状態における光路を示し、(b)は、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加している状態における光路を示す図である。
【図13】偏光規制素子を設けた場合(実施形態5)に関しており、(a)では、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加していない状態における光路を示し、(b)は、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加している状態における光路を示す図である。
【図14】本発明による表示装置の更に他の実施形態(実施形態5)の構成を示す図である。
【図15】本発明による表示装置の更に他の実施形態(実施形態6)の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 バックライト
2 液晶表示パネル
3 シフト素子
4 偏光補正素子
5 反射ミラー
6 観察光学系
7 液晶素子パネル用駆動回路
8 シフト素子用駆動回路
9 偏光補正素子用駆動回路
10 液晶素子
11 液晶素子
12 複屈折素子
100 偏光変調素子
150 第1シフト部
200 第2シフト部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッド・マウント・ディスプレイ(以下、「HMD」と称する。)や投影型表示装置(プロジェクタ)などに好適に用いられる光路シフト素子、および当該光路シフト素子を備えた表示装置に関している。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、一対の基板と、これらの基板間に挟まれた液晶層とを備えている。基板は、行および列(マトリクス)状に規則的に配列された複数の画素電極を有しており、画像信号に対応した駆動電圧が画素電極のそれぞれに印加される。この電圧印加によって液晶層の光学特性(光の透過率や反射率)が画素ごとに変化するため、画像や文字などを表示することができる。
【0003】
基板上の各画素電極に独立した駆動電圧を印加する方式には、「単純マトリクス方式」と「アクティブマトリクス方式」とがある。
【0004】
アクティブマトリクス方式の場合、各画素電極に対応するスイッチング素子が基板上に配列される。このようなスイッチング素子が配列された基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。アクティブマトリクス基板上のスイッチング素子は、対応する画素電極と信号配線との間で電気的な導通/非導通状態を切り替える働きをする。このようなスイッチング素子には、金属−絶縁体−金属(MIM)素子や薄膜トランジスタ(TFT)などが好適に用いられている。
【0005】
スイッチング素子は、非導通状態のとき、可能な限り高い電気抵抗を示すことが要求される。しかし、非導通状態にあるスイッチング素子に対して強い光が入射すると、スイッチング素子の電気抵抗が低下し、リーク電流が発生するため、画素電極に蓄えられていた電荷が放電されてしまうという問題が生じる。また、画素電極に適切なレベルの駆動電圧が印加されず、本来の表示動作が実行されなくなり、黒状態でも光が漏れてコントラスト比が低下するという問題も生じる。
【0006】
液晶表示素子が透過型の場合は、上記問題を解決するため、アクティブマトリクス基板上、または、アクティブマトリクス基板とは液晶層を挟んで対向する対向基板に、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光層が配置される。このブラックマトリクスの存在は、画素開口部の面積割合(開口率)を小さくしてしまう。ブラックマトリクスの占有面積を縮小して高精細化を達成するには、スイッチング素子や配線を微細化すればよいが、スイッチング素子や配線を微細化すると、駆動力の低下や配線抵抗の増加を招くことになる。また、製造技術上の制約からも、スイッチング素子や配線を微細化するのは難しい。
【0007】
ブラックマトリクス上の非表示領域を利用して高精細化をはかる目的で、表示画像を画素ピッチ程度だけ光学的に移動させる技術が特許文献1に開示されている。この技術によれば、画素の移動に同期させ、移動した画素位置に対応する映像を表示される。その結果、見かけ上の画素数が増えるため、解像度の低い表示素子を用いても、高精細の表示パネルを用いた場合と同様の表示が可能となる。
【0008】
米国特許第6、061、103号は、赤、緑、青(以下、「RGB」と称する。)の各画素をシフト素子によって光学的に順次シフトさせ、シフトした画素を重ね合わせて表示する方法を開示している。この方法では、1つの画素に対応する領域において、RGBの各画素が時分割で表示される。その結果、表示パネル上の画素ピッチを縮小せずに、見かけの解像度を3倍に向上させることができる。
【0009】
上記米国特許第6、061、103には、画像を光学的にシフトさせる手段として、液晶素子と複屈折素子とを組み合わせた光路シフト素子が開示されている。複屈折素子は、入射する光の偏光方向によって光の屈折方向が変わる材料から形成されたものである。複屈折素子に入射する光の偏光方向を液晶素子によって変えれば、複屈折素子から出る光の光軸をシフトさせることができる。
【0010】
図1は、公知の光路シフト素子を示している。この光路シフト素子は、光線の伝搬方向に沿って直列的に配列された液晶素子10および複屈折素子12を備えている。液晶素子10は、入射してきた直線偏光の電場ベクトル振動面(以下、「偏光面」と称する。)を90°回転させた状態と、回転させずにそのまま透過する状態との間で偏光状態をスイッチングする。複屈折素子12は、入射してきた直線偏光の偏光面の向きに応じて光線をシフトさせることができる。
【0011】
図1に示されている例では、液晶素子10に入射する光の電場ベクトル方向(偏光方向)は紙面に平行である。液晶素子10は屈折率異方性Δεが正のTNモードの液晶(TN液晶)を用いているため、液晶素子10の液晶層に電圧が印加されていない時(電圧OFF状態の時)、液晶分子は90°ねじれた状態にあり、その旋光性によって入射光の偏光面は90°回転する。一方、液晶素子10の液晶層に所定レベル以上の電圧が印加されている時(電圧ON状態の時)、液晶分子の長軸の向きは電界の向きに整合した状態にあるため、入射光の偏光面は紙面に平行なまま出射されることになる。そして、図示されている複屈折素子12は、偏光面が紙面に平行な光はそのまま透過させるが、紙面に垂直な光はシフトさせることができる。
【0012】
図1に示すような光路シフト素子内の液晶素子10は、印加される電圧の大きさに応じて、第1の直線偏光を出射する状態と、これに垂直な偏光面を有する第2の直線偏光を出射する状態との間で状態を適切かつ迅速に切り替えることが求められる。
【0013】
このような光路シフト素子を用いた投影表示装置が特許文献2に開示されている。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第4,984,091号明細書
【特許文献2】
特開平4−63332号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図1に示す構成を有する光路シフト素子には、以下に説明するような問題がある。
【0016】
上記光路シフト素子によれば、画像を目的とする位置にシフトさせるため、液晶素子10が入射光の偏光面を90°回転させたり、回転させずにそのまま透過したりする。このため、光路シフト素子を透過した光の偏光状態は、画素のシフト位置によって異なることになる。図1を参照すると、位置Aでは、液晶素子10がOFF状態(電圧無印加)であり、複屈折素子12を出射する光の偏光方向は紙面に垂直である。これに対し、位置Bでは、液晶素子10がON(電圧印加)になるため、複屈折素子12を出射する光の偏光方向は、入射偏光と同じであり、紙面に平行となる。
【0017】
一方、光路シフト素子が適用された表示装置、例えばHMDやプロジェクタにおいては、その観察光学系や投影光学系の一部に光路の折り曲げのための素子やレンズなどの各種光学部材が複数使用される。これらの光学部材による光の反射率や透過率は、光学部材の表面処理状態や光の入射角によって偏光依存性を示す。上述したように、図1の構成を有する光路シフト素子を用いた場合は、画像のシフト位置によって偏光方向が異なるため、観察光学系や投影光学系で透過または反射される光の強度がシフト位置によって異なってしまう。このような光の強度変化は、ちらつきとなって認識され、表示品位を低下させてしまう。
【0018】
例えば、赤、緑、および青に対応した3枚の液晶パネルを用いるプロジェクタに図1の光路シフト素子を適用する場合、3枚の液晶パネルの各々に光路シフト素子が割り当てられ、赤、緑、および青の各々の画像が独立してシフトさせられることになる。この場合、3つの光路シフト素子を通過した光を合成するために色合成プリズムを使用する必要がある。この色合成プリズムは、通常、図2に示すように、誘電体膜から形成された赤反射面と青反射面を有している。赤および青の各反射面の透過特性(反射特性)は、図3(a)および(b)に示すように、入射する光の偏光方向(P偏光またはS偏光)によって大きく異なる。例えば、青反射面の場合、図3(a)のグラフからわかるように、P偏光に比べてS偏光の方が長波長側に反射波長域がシフトする。一方、赤色反射面の場合、図3(b)のグラフからわかるように、P偏光に比べてS偏光の方が、短波長側に反射波長域がシフトする。このため、赤および青色光についてはS偏光を色合成プリズムに入射させ、緑色光についてはP偏光を色合成プリズムに入射させることにより、赤、緑、および青色の全ての光について、使用できる波長域を広げることができる。なお、ここでP偏光とは、図2の紙面に対して平行な方向に振動する直線偏光であり、S偏光とは図2の紙面に対して垂直な方向に振動する直線偏光である。
【0019】
このように、色合成プリズムに対しては、赤、青の光はS偏光で、緑の光はP偏光で入射させることが光利用効率を高める上で有利であることは、例えば特公平6−8985号公報に開示されている。
【0020】
しかしながら、図1のような構成を有する光路シフト素子を3板式液晶プロジェクタに適用する場合、色合成プリズムに入射する光の偏光方向が画像のシフト位置によって変化することになる。このため、画像がシフトするたびに、赤、緑、青の明るさが変化するので、ちらつきが発生するだけでなく、色自体も変化し、表示品位が大きく低下してしまうことになる。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、光路シフト素子によって光路をシフトさせても偏光状態が変化しにくい光学装置を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、画像または画素のシフトに起因するちらつきを抑え、表示品位に向上させた表示装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明による光学装置は、少なくとも1つの光路シフト部を有する光路シフト素子を備えた光学装置であって、前記光路シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、前記偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子とを有しており、前記光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子を更に備えている。
【0024】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる。
【0025】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は、少なくとも所定の波長域においては、直線偏光であり、その偏光方向は、前記光路のシフト位置によらず、略一定である。
【0026】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を更に備えている。
【0027】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0028】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0029】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子の応答速度は、前記偏光変調素子の応答速度と略同一である。
【0030】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は円偏光である。
【0031】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、位相差板である。
【0032】
本発明による装置は、上記いずれかの光学装置と、前記光学装置の前記偏光補正素子から出射された光が入射されるように配置された光学部材と備えている。
【0033】
好ましい実施形態において、前記光学部材の透過率および/または反射率は、偏光依存性を有している。
【0034】
好ましい実施形態において、前記光学部材は、特定波長帯域の光を選択的に透過または反射する部材である。
【0035】
本発明による表示装置は、光源と、光源からの光を信号に応じて変調する表示素子と、前記表示素子の光出射側に配置され、前記表示素子に表示された画像を表示フレーム毎に光学的にシフトさせる光路シフト素子とを備えた表示装置であって、前記光路シフト素子は、少なくとも1つのシフト部を有しており、前記シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、前記偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子とを有しており、前記光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子を更に備えている。
【0036】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる。
【0037】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は、少なくとも所定の波長域においては、直線偏光であり、その偏光方向は、前記光路のシフト位置によらず、略一定である。
【0038】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を更に備えている。
【0039】
好ましい実施形態において、前記偏光変調素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0040】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、液晶層と、前記液晶層に電圧を印加する電極とを有している。
【0041】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子の応答速度は、前記偏光変調素子の応答速度と略同一である。
【0042】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光は円偏光である。
【0043】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子は、位相差板である。
【0044】
好ましい実施形態において、前記光源からの光を赤、緑、青の光に分離する色分離光学系と、前記赤、緑、青の光を合成する色合成手段と、前記色合成手段からの出射光を投影する投影手段とを更に備えており、前記表示素子、前記光路シフト素子、および前記偏光補正素子は、前記赤、緑、青の各光路に配置され、しかも、前記光路シフト素子と前記偏光補正素子とが前記表示素子と前記色合成手段との間に配置されている。
【0045】
好ましい実施形態において、前記緑の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光は、前記色合成手段の色合成面に対し略P偏光の直線偏光であり、前記赤、青の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光方向が前記緑の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光方向と90°異なるS偏光である。
【0046】
好ましい実施形態において、前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を少なくも1つ備えている。
【0047】
好ましい実施形態において、前記偏光規制素子は、赤の光路および青の光路上に配置されており、緑の光路上には配置されていない。
【0048】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図4(a)および(b)を参照しながら、本発明による光学装置の実施形態を説明する。
【0049】
図示されている光学装置は、光路シフト素子と偏光補正素子とを備えた光学装置であり、光路シフト素子は1つの光路シフト部を有している。この光路シフト部は、光の偏光状態を変調させる偏光変調素子100と、偏光変調素子100から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさせる複屈折素子120とを有している。以下、簡単化のため、偏光方向が図に示す矢印の方向に向いた直線偏光が光路シフト素子の左方から偏光変調素子100に入射してくる場合を考える。本明細書における「直線偏光」とは、可視光帯域に含まれる全ての範囲において完全な直線偏光である必要は無く、所定の波長域内において実質的に直線偏光であればよい。
【0050】
偏光変調素子100は、任意の選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる素子であり、好ましくは液晶素子から構成される。液晶素子は、典型的には、一対の透明基板と、透明基板間に位置する液晶層と、液晶層に電圧を印加する透明電極(透明導電膜)とを有している。液晶素子によって偏光変調素子100を構成する場合、液晶はTN液晶に限定されず、例えば、ECBモードの液晶や強誘電液晶などを用いることもできる。
【0051】
複屈折素子120は、一軸結晶材料(例えば水晶など)から作製された素子である。複屈折素子120に用いられる材料は、一軸結晶であれば、如何なるものであってもよい。例えば、ニオブ酸リチウム、方解石、雲母、ルチル(TiO2)、チリ硝石(NaNO3)などの材料を用いることができる。ただし、HMDのように、表示装置の総重量を小さくする必要がある場合、屈折率異方性(Δn)が相対的に大きなニオブ酸リチウムやルチルを用いることが好ましい。Δnが大きい材料であれば、必要な画像シフト量を得るために必要な複屈折素子120の厚さを薄くできるため、小型化および軽量化に適している。
【0052】
本発明による光学装置に特徴的な点は、光路シフト素子から出射された光の偏光状態を、光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子40を備えていることにある。
【0053】
偏光補正素子40は、例えば、偏光変調素子100に用いる液晶素子と同様の液晶素子から構成され得る。偏光変調素子100が液晶素子から構成される場合は、その液晶素子による偏光面の回転動作と同期させて偏光補正素子40の液晶素子による偏光面の回転を行うことにより、出射光の偏光面を常に一定の向きに維持することが可能である。
【0054】
図4(a)に示す状態では、偏光変調素子100によって90°回転させられた偏光面が偏光補正素子40により更に90°回転させられる。その結果、偏光変調素子100に入射する前の偏光方向と偏光補正素子40から出射する光の偏光方向とが一致している。一方、図4(b)に示す状態では、偏光変調素子100によって回転しなかった偏光面が偏光補正素子40によって回転しないため、偏光変調素子100に入射する前の偏光方向と偏光補正素子40から出射する光の偏光方向とが一致している。
【0055】
図4(a)の状態と図4(b)の状態との間でのスムーズな遷移は、偏光変調素子100のスイッチング動作と偏光補正素子40のスイッチング動作とを同期させて実行することにより達成される。光路シフトのタイミングで偏光変調素子100および偏光補正素子40を的確に動作させれば、偏光補正素子40から出射される光の偏光状態は略一定に維持され、偏光方向も略一定となる。
【0056】
ただし、偏光変調素子100および偏光補正素子40のスイッチング動作のタイミングにずれが生じたり、スイッチング動作の速度に大きな差が存在したりすると、一時的に偏光方向が所望の方位からずれる可能性がある。このようなずれを極力抑制するには、偏光変調素子100および偏光補正素子40のスイッチング速度が等しくなるように、略同一の構造を有する素子から偏光変調素子100および偏光補正素子40の両方を作製することが好ましい。偏光変調素子100として、例えばTN液晶を用いた液晶素子を採用する場合は、偏光補正素子40としても同様のTN液晶を用いた液晶素子を採用することが好ましい。
【0057】
以上、光路シフトのタイミングに同期させて、入射直線偏光の偏光面を90°だけ回転または非回転することができる素子を用いて偏光補正素子40を構成する例を説明したが、偏光補正素子40は、このような素子に限定されない。例えば、1/4波長位相差板を偏光補正素子40として用いても良い。この場合、偏光補正素子40に入射した直線偏光は常に円偏光として出射されることになる。偏光補正素子40から出射された光が、光路のシフトの位置によらず円偏光であれば、その後方に、偏光依存性を有する光学部材が配置されていても、ちらつきなどの発生を充分に抑制できる場合がある。
【0058】
なお、図4(a)および(b)の例では、偏光補正素子40から出射された光の偏光方向は、シフト位置によらず、図4(a)および(b)の紙面に平行であるが、本発明はこれに限定されない。液晶素子100に入射する光の偏光方向が図4(a)および(b)の紙面に平行である場合において、偏光補正素子40から出射された光の偏光方向を、シフト位置によらず、図4(a)および(b)の紙面に垂直に維持するようにしてもよい。
【0059】
また、偏光補正素子40から出射された光の偏光方向を、あるモードでは図4(a)および(b)の紙面に対して平行に維持し、他のモードでは紙面に対して垂直に維持するように切り替えることも可能である。
【0060】
(実施形態2)
次に、図5および図6を参照しながら、本発明による表示装置の実施形態を説明する。
【0061】
図5の表示装置は、バックライト1、液晶表示素子2、光路シフト素子3、偏光補正素子4、反射ミラー5、および観察光学系6を備えている。バックライト1は透過型の液晶表示装置2を照明する光源であり、液晶表示素子2は、公知の液晶表示パネルから構成され、駆動回路7から駆動信号および映像信号などの信号を受け取り、映像信号などに応じた内容を持つ画像を表示することができる。なお、本明細書における「画像」とは、2次元的な情報の配列を広く含むものであり、液晶表示素子2に表示される画像は、イメージだけではなく、テキストその他の情報であってもよい。
【0062】
液晶表示素子2の前後には、液晶表示素子2への入出射光の偏光を規制する偏光板(不図示)がクロスニコル状態で配置されている。
【0063】
観察光学系6は、液晶表示素子2で表示された画像を光学的に拡大するための光学系である。観察者は、光路シフト素子3、偏光補正素子4、反射ミラー5、および観察光学系6を介して、液晶表示装置2で表示された画像を観察することができる。
【0064】
本実施形態では、バックライト1が必要な透過型液晶表子を用いているが、画像を表示できる素子であれば、反射型の液晶表示であってもよく、また、有機EL素子やプラズマスディスプレスパネル(PDP)などの自発光型の表示素子を用いることもできる。
【0065】
光路シフト素子3の動作は、光路シフト素子駆動回路8によって制御される。駆動回路8は、液晶表示素子2の映像表示に同期した駆動信号を光路シフト素子3に供給する。駆動回路8は光路シフト素子3に含まれる複数の液晶素子に対して個別に複数レベル(High/Low)の電圧を印加するための電圧印加部を有している。
【0066】
偏光補正素子4の動作は、偏光補正素子用駆動回路9によって制御される。駆動回路9は、液晶表示素子2の映像表示に同期した駆動信号を偏光補正素子4に供給する。駆動回路9は偏光補正素子4に含まれる液晶素子に対して複数レベル(High/Low)の電圧を印加するための電圧印加部を有している。
【0067】
上記の各構成素子のうち、バックライト1、液晶表示素子2、反射ミラー5、観察光学系6、および駆動回路7は、従来の画像表示装置で用いられてきた素子や回路と同様の構成を有しており、本実施形態に係る表示装置の特徴点は、光路シフト素子3と偏光補正素子4の構成および動作にある。
【0068】
図6は、本実施形態の光路シフト素子3の構成を示している。図示されている光路シフト素子3は、2つの光路シフト部、すなわち、画像を縦方向にシフトさせる第1シフト部150と、画像を横方向にシフトさせる第2シフト部200とを有している。
【0069】
第1シフト部150は、液晶素子10と複屈折素子12を用いて作製されており、第2シフト部200は、液晶素子11と複屈折素子12を用いて作製されている。液晶素子10および11の各々は、液晶層と、液晶層の光入射面および光出射面を挟み込む一対の透明電極(不図示)と、これらを挟み込む一対の透明基板とを備えている。液晶素子10および複屈折素子12は、接着剤などによって一体化され、第1シフト部150がひとつの部品として機能するように構成されていも良い。第2シフト部200についても同様である。また、第1シフト部150と第2シフト部200とが一体化されていてもよい。
【0070】
本実施形態における液晶素子10および11は、TNモードの液晶を用いて作製されており、印加電圧のHigh/Lowに応じて、入射光の偏光面を約90°回転させる状態(第1の状態)と、入射光の偏光面を実質的に回転させずにそのまま出射する状態(第2の状態)との間でスイッチングする。上記の液晶素子に用いることのできる液晶の種類は、TN液晶に限定されず、例えばECBモードの液晶や強誘電液晶などを用いることもできる。
【0071】
複屈折素子12は、複屈折素子12の光入射面から傾斜した光学軸を有している。複屈折素子12は、入射光の進行方向および光学軸を含む平面(以下、「主断面」と称する。)内において、入射光線を常光と異常光に分離することができる。従って、複屈折素子へ入射する光の偏光方向が「主断面」に対して垂直であれば、入射光は複屈折素子12にとって常光となるため、主断面内をまっすぐに伝搬する。一方、複屈折素子12へ入射する光の偏光方向が主断面に対して平行であれば、入射光は複屈折素子12にとって異常光となるため、主断面内を屈折する。
【0072】
液晶素子10および11の各々に印加する電圧レベルを変えることにより、入射光の偏光方向を複屈折素子12の主断面に対して垂直または水平な方向にスイッチングすれば、複屈折素子12の主断面内において、入射光線をシフトさせることができる。そして、その結果、表示素子2に表示された画像を入射光軸に垂直な方向へシフトさせることができる。
【0073】
第1シフト部150と第2シフト部200との間で異なる点は、第2シフト部200が第1シフト部150に対して光軸回りに90°回転した関係にある点だけである。このため、第2シフト部200による画素シフトの方向は、第1シフト部150による画像シフトの方向に直交している。このような配置の第1シフト部150および第2シフト部200を組み合わせて用いることにより、同一面(仮想平面)内における4つの異なる位置に画像を移動させることができる。
【0074】
以下、図7(a)から(d)を参照しながら、本実施形態の光路シフト素子の動作を説明する。この例では、偏光補正素子4として、液晶素子10と同様の構成を有する液晶素子を用いている。
【0075】
まず、図7(a)に示すように、液晶素子10をOFF、液晶素子11をON状態とする。このとき、液晶表示素子2における画像を構成するある任意の画素は、仮想平面上における位置Aにある。液晶素子10で偏光方向が90°回転させられるため、光路シフト素子3に入射した光は、90°偏光が回転した状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をON状態として、偏光補正素子4へ入射した光をそのままの偏光状態で出射させる。
【0076】
次に、図7(b)に示すように、液晶素子10をOFF状態にしたまま、液晶素子11をOFF状態にし、上記の画素を位置Bにシフトさせる。液晶素子10、11がOFF状態となるため、光路シフト素子3を出射した偏光は、光路シフト素子3に入射する前の光の偏光状態と同じ偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をOFF状態とすると偏光補正素子4で偏光面が90°回転する。このため、画素が位置Bにシフトしたときでも、偏光補正素子4を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じである。
【0077】
次に、図7(c)に示すように、液晶素子10、11をいずれもON状態にすることにより、画素をCの位置にシフトさせる。位置Cでは、液晶素子10、11がON状態となるため、位置Bと同様に光路シフト素子3を出射した光の偏光はそのままの偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をOFF状態とすると、偏光補正素子4で光の偏光面は90°回転して出射される。このため、画素が位置Cにシフトした時でも、偏光補正素子4から出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じになる。
【0078】
次に、図7(d)に示すように、液晶素子10をON状態にし、液晶素子11をOFF状態とすることにより、画素を位置Dにシフトさせる。位置Dでは、液晶素子10がON状態、液晶素子11がOFF状態となるため、光路シフト素子3に入射した光は、90°偏光が回転した状態で出射される。この時、偏光補正素子4内の液晶素子をON状態にすることにより、この液晶素子への入射偏光はそのままの状態で出射される。よって、画素が位置Dにシフトした時でも、偏光補正素子4から出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じになる。
【0079】
この後、液晶素子10をON状態からOFF状態へ、液晶素子11をOFF状態からON状態へ変化させると、図7(a)に示す状態に復帰する。
【0080】
以上のように、画素が位置A、B、C、およびDのすべてにおいて、偏光補正素子4を出射した光が常に同じ偏光状態となり、その後方に配置された光路を折り曲げる反射ミラー5に入射する。反射ミラー5や観察光学系6には偏光依存性があるため、偏光方向によって反射・透過特性が異なるが、上記したように本実施形態では、常に同じ偏光状態の光が入射するため、偏光依存性の影響を全く受けず、良好な画像を得ることができる。
【0081】
本実施形態では、観察光学系6を有する表示装置(HMDなど)であるが、プロジェクタに使用される光学部品にも偏光依存性があるため、プロジェクタに本発明を適用しても充分な効果を発揮させことができる。
【0082】
(実施形態3)
図8を参照しながら、本発明による表示装置の他の実施形態を説明する。
【0083】
本実施形態では、光源401として、120W、アーク長1.4mmのPhilips社製のUHPランプを用いる。光源としては、この他にハロゲンランプやキセノンランプ、メタルハライドランプを用いることができる。
【0084】
光源401から放射された光のうち、赤の光は、赤反射ダイクロイックミラー402で反射された後、反射ミラー403を経て赤用液晶表示素子404に入射する。また、緑、青の光は、赤反射ダイクロイックミラー402を透過し、緑反射ダイクロイックミラー405に入射する。緑反射ダイクロイックミラー405では、緑の光が反射され、緑用液晶表示素子406に入射する。青の光は、緑反射ダイクロイックミラー405を透過した後、2枚の反射ミラー407、408で反射され、青用液晶表示素子409に入射する。
【0085】
液晶表示素子404、406、および409の後方には、それぞれ、光路シフト素子3と偏光補正素子4が配置されている。光路シフト素子3および偏光補正素子4は、それぞれ、実施形態1における光路シフト素子3および偏光補正素子の構成と同様の構成を有している。
【0086】
液晶表示素子404、406、および409で変調された赤、緑、青の光は、それぞれ、光路シフト素子3および偏光補正素子4に入射する。液晶表示素子404、406、409の前後には、液晶表示素子404、406、409への入出射光の偏光を規制する偏光板(不図示)がクロスニコル状態で配置されている。
【0087】
それぞれの液晶表示素子404,406,409を出射した光は、色合成プリズム410に入射する。赤、緑、青の光は色合成プリズム410で合成された後、投影レンズ411を通して、スクリーン412上に投影される。
【0088】
次に、図9(a)から(d)を参照しながら、光路シフト素子3および偏光補正素子4の動作を説明する。ここでは、赤、緑、青のうち、緑の光路を例に取って説明することにする。
【0089】
本実施形態によれば、光路シフト素子3によって画素の位置をA、B、C、Dの4つの位置に順次シフトさせることにより、見かけ上の画素数を4倍に増やしている。
【0090】
位置Aでは、液晶素子10および11は両方ともON状態にあり、液晶素子10および11では偏光方向が回転しない。このため、光路シフト素子3に入射した光は、そのままの偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子はOFF状態であり、偏光補正素子への入射偏光は90°回転され、色合成プリズムに対してP偏光となって出射される。
【0091】
次に、位置Bでは、液晶素子10がON状態、液晶素子11がOFF状態となるため、光路シフト素子3を出射した偏光は、90°回転する。この時、偏光補正素子4の液晶素子をON状態にすると、偏光補正素子4の液晶素子への入射偏光はそのままの状態で出射される。よって、画素が位置Bにシフトした時でも、偏光補正素子4を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じとなる。
【0092】
位置Cでは、液晶素子10がOFF状態、液晶素子11がON状態となるため、位置Bと同様に、光路シフト素子3を出射した偏光は90°回転する。この時、偏光補正素子4の液晶素子をON状態とすると、偏光補正素子4の液晶素子への入射偏光は、そのままの状態で出射される。よって画素が位置Cにシフトした時でも、偏光補正素子4の液晶素子を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じとなる。
【0093】
位置Dでは、液晶素子10および11が両方ともOFF状態となるため、光路シフト素子3に入射した光は、入射時の偏光状態と同じ偏光状態で出射される。この時、偏光補正素子4の液晶素子をOFF状態にすることにより、偏光補正素子4の液晶素子への入射偏光は90°回転された状態で出射される。よって、画素が位置Dにシフトした時でも、偏光補正素子4を出射した光の偏光方向は、画素が位置Aの時と同じとなる。
【0094】
以上のように、画素が位置A、B、C、およびDのすべてにおいて、偏光補正素子4を出射した光が同じ偏光状態になり、その後方に配置された色合成プリズム410の色反射面(又は透過面)に対してP偏光として入射する。
【0095】
緑の光について説明したことが、赤や青の光についても同様に当てはまる。ただし、赤および青の光は、緑の光とは偏光方向が90°異なる直線偏光(S偏光)となるように偏光補正素子4を動作させることになる。
【0096】
上記の構成を採用することにより、色合成プリズム410に常に一定の方向に振動する偏光を入射でき、明るさ、表示品位の良い画像を実現することができる。
【0097】
本実施形態では、赤、緑、青の光について、特定の偏光方向の光を色合成プリズム410に入射させることにより、ちらつきなどを防止している。しかし、色合成プリズムに入射させる光の偏光方向は、どのような場合にも一定に保たれる必要はない。例えば、表示装置の動作モードによって、偏光方向を変化させても良い。例えば、データ表示モードとオーディオビジュアル(AV)表示モードとで、表示のモードを変化させるために、本発明の偏光補正素子を利用することができる。具体的には、データ表示モードでは、高い表示輝度が求められるが、AV表示モードでは、明るさよりも優れたホワイトバランスが要求されるため、緑色光の強度を低下させることが好ましい場合がある。そのような場合、データ表示モードでは、前述のように、赤、緑、青の光のそれぞれついて、S偏光、P偏光、S偏光を色合成プリズムに入射するように偏光補正素子4を動作させる一方、AV表示モードでは、赤、緑、青の光のいずれについても、S偏光を色合成プリズムに入射するように偏光補正素子4を動作させるようにすることが好ましい。S偏光の緑色光が色合成プリズム410に入射すると、緑色光の透過率が少し減少するため、明るさは低下するが、ホワイトバランスが良くなり、白の表示品位が向上する。
【0098】
なお、上記の各実施形態では、シフト素子や偏光補正素子として、画面分割のない液晶素子を用いているが、本発明はこれに限定されない。液晶表示素子2、404、406、および409における表示画像の切り替えが線順次走査によって行われる場合は、この線順次走査による表示画像の切り替えに合わせて、画像シフトを行ってもよい。この場合は、光路シフト素子や偏光補正素子に用いる液晶素子による変調を画面一括的行わずに、表示素子における走査にあわせ、走査線またはブロック単位で変調を行う。具体的には、用いる液晶素子の透明電極膜を複数の領域に分割し、個別に駆動することになる。この場合、光路シフト素子および偏光補正素子の分割駆動を整合させて行う必要がある。
【0099】
また、実施形態2および3では、画像(画素)を4つの位置にシフトさせたが、本発明はこれに限られず、画像を2つの位置または3つの位置の間でシフトさせることや、同一直線上に並んだ4つ以上の位置でシフトさせることも可能であり、本発明は任意のシフトパターンに対応できる。
【0100】
更に、上記の各実施形態では、画像の表示フレーム内に液晶素子をスイッチングしているが、液晶の応答速度にあわせて、対応するフレームでバランスの取れたスイッチングができるように、前のフレームや後のフレーム内に多少時間をシフトさせて液晶素子の印加電圧のON/OFFを切り替えることが好ましい。
【0101】
(実施形態4)
図10は、TNモードの液晶セルによって構成した偏光変調素子100の前後に平行ニコル状態で一対の偏光板を配置した場合における出射光の透過率特性(波長依存性)を示している。
【0102】
図10に示す波長依存性を持つ偏光変調素子100によれば、波長域が500〜550nmの範囲内にある光は、偏光変調素子100によって偏光方向が90°回転した直線偏光に変換されて出射されることがわかる。しかし、波長域が500〜550nmの範囲から外れた光については、楕円偏光となって出射されるため、出射光は、必ずしも直線偏光であるとはいえない。
【0103】
液晶を用いて偏光変調素子100を作製した場合、偏光変調特性が上記のような波長依存性を持つのが通常である。どの波長域において、偏光方向を90°回転させるべきかは設計に応じて異なるが、赤色や青色の波長に比べて中間的な緑色に対応する波長域を選択することが好ましい。
【0104】
上記のような波長依存性を有する偏光変調素子100を用いて光路シフト素子を作製した場合、波長が500〜550nmの範囲の光のほとんどの成分は、略完全に直線偏光となり、図11に示す位置Aに出射される。しかしながら、他の波長域の光は楕円偏光成分を持つため、出射光の一部が位置Bに出射されてしまい、2重像が形成される。
【0105】
次に、図12を参照しながら、上記2重像形成の原因をより詳細に説明する。
【0106】
まず、図12(a)を参照する。図12(a)には、偏光変調素子100の液晶層に電圧を印加していない状態が示されている。この時、偏光変調素子100は、図10に示すような波長依存性を持つため、本来、位置Aに出射されるべき光のうちの1部が位置Bに出射されることになる。位置Aに到達する光は、所定の偏光方向を有する直線偏光であり、位置Bに到達する光は、位置Aに到達する直線偏光に対して偏光方向が90°だけ回転した関係にある直線偏光である。このように、完全な直線偏光とは言えない光(すなわち楕円偏光)が複屈折素子120に入射すると、直交する2種類の直線偏光(常光と異常光)が出射される。もっとも、所望の直線偏光成分以外の余分な直線偏光が形成されないように、偏光変調素子を構成することが理想である。
【0107】
次に、画像の位置を位置Aから位置Bにシフトさせるため、偏光変調素子100の液晶層に電圧を印加した場合を考える。この場合、図12(b)に示すように、出射光の位置は位置Aから位置Bにシフトするが、偏光変調素子100における液晶層に対して電圧が印加される前に位置Bに出射されていた光は位置Aにシフトする。ただし、液晶層に電圧が印加されている時における波長依存性は相対的に小さいため、位置Aに到達する光の強度は、液晶層に電圧を印加していない時に発生した位置Bにおける光の強度よりも充分に小さい。
【0108】
偏光変調素子の液晶層に対する電圧印加の有無によらず、位置Aに到達する光の偏光方向は一定であり、また、位置Bに到達する光の偏光方向も一定である。言い換えると、図12(a)の状態において本来表示に使用すべき光の偏光方向と、図12(b)の状態において2重像の原因となる余分な光の偏光方向とが同じとなる。逆に、図12(b)の状態において本来表示に使用すべき光の偏光方向と、図12(a)の状態において2重像の原因となる余分な光の偏光方向とが同一となる。
【0109】
偏光変調素子100の液晶層に対する電圧ON/OFFと同期させて偏光補正素子40に電圧を印加すると、図13(a)の状態と図13(b)の状態とによって、偏光補正素子40から出射される光の偏光方向が90°回転する。この動作は、図4を参照しながら説明した通りである。その結果、偏光補正素子40の光出射側においては、表示に利用すべき光の偏光方向および2重像の原因となる光が、それぞれ、画像シフト位置によらず一定の偏光方向を持つことになる。
【0110】
本実施形態では、2重像の形成を抑制するため、図13に示すように偏光補正素子40の後段に偏光規制素子(偏光規制手段)130を配置している。この偏光規制素子130は、例えば偏光子(偏光板または偏光フィルム)から形成され、2重像の原因となる偏光をカットし、本来の表示に用いられるべき直線偏光のみを透過させる機能を有してる。具体的には、偏光方向が図13の紙面に垂直な方向の直線偏光はカットし、図13の紙面に平行な直線偏光は透過する。この偏光規制素子130の働きにより、たとえ楕円偏光成分が複屈折素子12に入射した場合でも、2重像の形成を効果的に防止することができる。
【0111】
(実施形態5)
図14を参照しながら、図13に示す構成の光学装置を備えた表示装置の実施形態を説明する。
【0112】
本実施形態は、図5に示す装置と略同様の構成を有しており、相違点は、偏光規制素子130の有無にある。本実施形態では、液晶層を有する偏光補正素子4の光出射側において、偏光子から構成された偏光規制素子130が配置されている。このため、偏光補正素子4の液晶層の特性に起因して楕円偏光成分が発生したとしても、不要な偏光成分の光は偏光規制素子130によって適切にカットされるため、2重像の発生が防止される。
【0113】
偏光規制素子130は、偏光補正素子4と一体化されてもよいし、偏光補正素子4から分離された位置に設けられていてもよい。偏光補正素子4は、光路シフト素子3の光出射側における光路上であれば、いずれの位置に置かれてもいてもよい。ただし、光路シフト素子3、偏光補正素子4、偏光規制素子130、駆動回路8および9などが1個の装置として一体化されていると、表示装置の部品としての取り扱いが容易となるため、より好ましい。
【0114】
(実施形態6)
図15を参照しながら、本発明による表示装置の更に他の実施形態を説明する。本実施形態と実施形態3との相違点は、偏光規制素子130を各偏光補正素子4の光出射側に配置している点にあり、それら以外の点では、両実施形態に差異はない。
【0115】
本実施形態によれば、複屈折素子に入射する光の中に無視できない程度の楕円偏光成分が含まれていたとしても、複屈折素子の出射光のうち2重像の原因となる成分を偏光規制素子130によってカットするため、2重像の形成が防止され、画像の質が向上する。
【0116】
なお、図10に示す透過率特性からわかるように、楕円偏光成分がほとんど発生しない波長域が存在する。この波長域は、図10に示す特性例では、波長500〜550nmの範囲であり、緑色に対応している。図15の装置では、緑色の光路上においても、偏光規制素子130を配置しているが、図10の特性を持つ場合、緑色については2重像の原因となる偏光成分の光がほとんど発生しない。このため、偏光規制素子130を赤および青色の光路上にのみ配置するようにしてもよい。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、偏光面の回転に応じて光路をシフトさせるシフト素子の光出射側に偏光補正素子を配置することにより、偏光補正素子から出射した光の偏光状態をシフト位置によらず一定に維持することができる。このため、偏光依存性のある光学部品を用いても、シフト位置による透過率や反射率の変動を抑制することができる。このような光学装置を用いて表示装置を構成すれば、画像シフトによってちらつきが生じない高品位の表示が可能となる。
【0118】
また、3板式のプロジェクタに本発明の光学装置を使用した場合でも、偏光依存性を有する色合成用プリズムに常に一定の偏光方向の光を入射させることができるため、表示品位の高い画像を実現することができる。さらに、偏光補正素子により、色合成プリズムに入射させる光のうち緑の光の偏光方向を色合成プリズムの光反射面(又は透過面)に対してP偏光とし、赤、青の光の偏光方向をS偏光となるように設定すれば、色合成プリズム入射した光を効率的に合成でき、明るく表示品位のいい画像を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶素子および複屈折素子から構成されたシフト素子の構成を示す図である。
【図2】色合成プリズムの説明図である。
【図3】(a)は、図2の色合成プリズムの青反射面における透過率の波長依存性を示すグラフであり、(b)は、上記色合成プリズムの赤反射面における透過率の波長依存性を示すグラフである。
【図4】(a)および(b)は、偏光補正素子の動作を示す図である。
【図5】本発明による表示装置の実施形態を示す模式図である。
【図6】上記第1の実施形態で用いるシフト素子の構成図である。
【図7】(a)から(d)は、実施形態2におけるシフト素子および偏光補正素子の動作を示す斜視図である。
【図8】本発明による表示装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図9】(a)から(d)は、実施形態3におけるシフト素子および偏光補正素子の動作を示す斜視図である。
【図10】TNモードの液晶セルによって構成した偏光変調素子100の前後に平行ニコル状態で一対の偏光子を配置した場合における出射光の透過率特性(波長依存性)を示すグラフである。横軸は入射光の波長であり、縦軸は透過率である。
【図11】楕円偏光成分に起因する2重像の形成を説明するための図である。
【図12】偏光規制素子を設けない例に関しており、(a)では、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加していない状態における光路を示し、(b)は、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加している状態における光路を示す図である。
【図13】偏光規制素子を設けた場合(実施形態5)に関しており、(a)では、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加していない状態における光路を示し、(b)は、電圧を偏光変調素子100の液晶層に印加している状態における光路を示す図である。
【図14】本発明による表示装置の更に他の実施形態(実施形態5)の構成を示す図である。
【図15】本発明による表示装置の更に他の実施形態(実施形態6)の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 バックライト
2 液晶表示パネル
3 シフト素子
4 偏光補正素子
5 反射ミラー
6 観察光学系
7 液晶素子パネル用駆動回路
8 シフト素子用駆動回路
9 偏光補正素子用駆動回路
10 液晶素子
11 液晶素子
12 複屈折素子
100 偏光変調素子
150 第1シフト部
200 第2シフト部
Claims (25)
- 少なくとも1つの光路シフト部を有する光路シフト素子を備えた光学装置であって、
前記光路シフト部は、
光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、
前記偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさ せる複屈折素子とを有しており、
前記光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定にする偏光補正素子を更に備えている光学装置。 - 前記偏光変調素子は、選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる請求項1に記載の光学装置。
- 前記偏光補正素子から出射された光は、少なくとも所定の波長域においては、直線偏光であり、その偏光方向は、前記光路のシフト位置によらず、略一定である請求項1または2に記載の光学装置。
- 前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を更に備えている請求項1から3のいずれかに記載の光学装置。
- 前記偏光変調素子は、
液晶層と、
前記液晶層に電圧を印加する電極と、
を有している請求項1から4のいずれかに記載の光学装置。 - 前記偏光補正素子は、
液晶層と、
前記液晶層に電圧を印加する電極と、
を有している請求項1から5のいずれかに記載の光学装置。 - 前記偏光補正素子の応答速度は、前記偏光変調素子の応答速度と略同一である請求項1から5のいずれかに記載の光学装置。
- 前記偏光補正素子から出射された光は円偏光である請求項1または2に記載の光学装置。
- 前記偏光補正素子は、位相差板である請求項8に記載の光学装置。
- 請求項1から9のいずれかに記載の光学装置と、
前記光学装置の前記偏光補正素子から出射された光が入射されるように配置された光学部材と、
備えている装置。 - 前記光学部材の透過率および/または反射率は、偏光依存性を有している請求項10に記載の装置。
- 前記光学部材は、特定波長帯域の光を選択的に透過または反射する部材である請求項10または11に記載の装置。
- 光源と、
光源からの光を信号に応じて変調する表示素子と、
前記表示素子の光出射側に配置され、前記表示素子に表示された画像を表示フレーム毎に光学的にシフトさせる光路シフト素子と、
を備えた表示装置であって、
前記光路シフト素子は、少なくとも1つのシフト部を有しており、
前記シフト部は、
光の偏光状態を変調させる偏光変調素子と、
前記偏光変調素子から出射された光の偏光状態に応じて光路をシフトさ せる複屈折素子とを有しており、
前記光路シフト素子から出射された光の偏光状態を前記光路のシフト位置によらずに略一定に維持する偏光補正素子を更に備えている表示装置。 - 前記偏光変調素子は、選択された期間、光の偏光方向を回転させることができる請求項13に記載の表示装置。
- 前記偏光補正素子から出射された光は、少なくとも所定の波長域においては、直線偏光であり、その偏光方向は、前記光路のシフト位置によらず、略一定である請求項13または14に記載の表示装置。
- 前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を更に備えている請求項15に記載の表示装置。
- 前記偏光変調素子は、
液晶層と、
前記液晶層に電圧を印加する電極と、
を有している請求項13から16のいずれかに記載の表示装置。 - 前記偏光補正素子は、
液晶層と、
前記液晶層に電圧を印加する電極と、
を有している請求項13から17のいずれかに記載の表示装置。 - 前記偏光補正素子の応答速度は、前記偏光変調素子の応答速度と略同一である請求項13から18のいずれかに記載の表示装置。
- 前記偏光補正素子から出射された光は円偏光である請求項13または14に記載の表示装置。
- 前記偏光補正素子は、位相差板である請求項20に記載の表示装置。
- 前記光源からの光を赤、緑、青の光に分離する色分離光学系と、
前記赤、緑、青の光を合成する色合成手段と、
前記色合成手段からの出射光を投影する投影手段と、
を更に備えており、
前記表示素子、前記光路シフト素子、および前記偏光補正素子は、前記赤、緑、青の各光路に配置され、しかも、前記光路シフト素子と前記偏光補正素子とが前記表示素子と前記色合成手段との間に配置されている請求項12から19のいずれかに記載の表示装置。 - 前記緑の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光は、前記色合成手段の色合成面に対し略P偏光の直線偏光であり、
前記赤、青の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光方向が前記緑の光に対応した偏光補正素子から出射された光の偏光方向と90°異なるS偏光である請求項22に記載の表示装置。 - 前記偏光補正素子から出射された光のうち、選択された偏光方向を持つ特定の直線偏光のみを透過する偏光規制素子を少なくとも1つ備えている請求項23に記載の表示装置。
- 前記偏光規制素子は、赤の光路および青の光路上に配置されており、緑の光路上には配置されていない請求項24に記載の表示装置。
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-
2002
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