JP5071216B2 - 電動ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、車両等の駆動装置として好適な電動ユニットに関するものであり、ロータにより掻き揚げられた潤滑油を効率的に捕捉して回転軸に該潤滑油を供給するとともに、とくに高回転域での貯留部における潤滑油のレベルを低減して該潤滑油の掻き揚げに伴う撹拌損失を極力軽減しようとするものである。
車両等の駆動装置として適用される従来の電動ユニットとしては、軸受けを介して回転可能に支持されたロータと、このロータの胴体外周壁を全域にわたって取り囲むステータと、このステータ及びロータを内側に納める密閉空間を有しその下部に潤滑油の貯留部を形成するケースとによって構成されたものが一般的であり、ロータの回転により貯留部の潤滑油を掻き揚げ、必要個所への潤滑油の供給を可能としている。
ところで、この種の電動ユニットは、潤滑油に浸漬されるロータの浸漬レベルが比較的深いためロータの回転に伴う撹拌損失が大きい不具合があった。
上記の問題の解決を図った先行技術としては、駆動軸に動力を出力可能とする回転電機と、冷却媒体を貯留し回転電機の構成要素の一部を浸漬させた状態とする下部貯留部と、この下部貯留部の冷却媒体を回転電機の構成要素の少なくとも一部にかかるように流出させる流出口を有する上部貯留部と、下部貯留部に貯留されている冷却媒体を冷却して上部貯留部へ供給する冷却部と、を有する冷却手段を備えた駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005-117790号公報
係る駆動装置は、ユニットの上部に冷却媒体の貯留部が設けられているため、ロータの回転によって冷却媒体を上部の貯留部に供給することによりロータの冷却媒体における浸漬レベルを浅くすること可能でありロータの回転に伴う撹拌損失が従来のものに比較して低減できるとされていた。
しかしながら、該電動装置は、上部の貯留部を設置するスペースが必要でありユニットそのものの体積が大きくなること、また、設置位置が高くならざるを得ないので潤滑油の汲み上げに要するエネルギーロスが大きくなること、さらに、ロータの回転により飛散した潤滑油をキャッチ、回収するものであるから回収効率がよいとは言えずロータの回転に際して潤滑油のレベルを低減できる効果が得にくい等の問題が残されていた。
本発明の課題は、上記のような従来の問題を解消し得る電動ユニットを提案するところにある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その具体的手段は、軸受けを介して回転可能に支持されその一端が出力軸につながるロータと、このロータの胴体外周壁を全域にわたって取り囲むステータと、このステータ及びロータを内側に納める密閉空間を有しその下部に潤滑油の貯留部を形成するケースとを備えた電動ユニットにおいて、前記電動ユニットは、車両のタイヤを装着するホイールの内側に設置、固定され該タイヤを直接駆動するインホイールモータであり、前記ケースに、ケースの内外に向けてスライド可能でそのスライドにより潤滑油の貯留部の体積を増減させる可動壁を設け、前記可動壁は、非作動時においてはホイールの内側に収まっており、作動時にはホイールの外側に向けて突出するスライド代を有するところに特徴を有する。
電動ユニットを、軸受けを介して回転可能に支持されその一端が出力軸につながるロータと、このロータの胴体外周壁を全域にわたって取り囲むステータと、このステータ及びロータを内側に納める密閉空間を有しその下部に潤滑油の貯留部を形成するケースとを備えた構成とし、前記ケースに、ケースの内外に向けてスライド可能でそのスライドにより潤滑油の貯留部の体積を増減させる可動壁を設けることにより、貯留部における体積を任意に変更することができるので高速回転域(高車速)時には可動壁を作動させて貯留部における潤滑油のレベルを下げて潤滑油の撹拌抵抗を小さくすることが可能となり、撹拌すべき潤滑油の量を多く確保したい低速回転域(低車速)では、潤滑油のレベルを高く保つことが可能となり、電動ユニットの効率を著しく高め得る。また、電動ユニットは、車両のタイヤを装着するホイールの内側に設置、固定され該タイヤを直接駆動するインホイールモータであり、前記可動壁は、非作動時においてはホイールの内側に収まっており、作動時にはホイールの外側に向けて突出するスライド代を有する。そのため、非作動時においてはホイールの内側に可動壁を納めておくことで石撥ね等による損傷を回避し得る。可動壁を作動させる際にホイールの外側に向けて突出させるスライド代を確保しておくことで、オイルレベルの変更による撹拌抵抗(発熱)を低減するとともに走行風を可動壁に確実に当ててオイルの効果的な冷却を行うことができる。
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明にしたがう電動ユニット(電動モータ)の実施の形態(第1実施例)をインホイールモータに適用した場合について示した図である。
図における1は電動モータを構成するロータである。このロータ1はケースのハウジングに配置された軸受けr、rにて回転可能に支持されている。
また、2はロータ1の胴体外周壁を全周にわたって取り囲むステータである。このステータ2は内周面に空間部をもつ円筒形状をなしており外周部をケースに固定保持することによりロータ1に発生する駆動力の反力を受けるようになっており、その周りには複数のマグネットコイル(ステータ発熱部)2aが巻き回されている。マグネットコイル2aに交流電力を供給することでステータ2に回転磁界を発生させる。
3はロータ1の外周面1aに等間隔で設けられた永久磁石であり、この永久磁石3にはステータ2において発生した回転磁界に応じて回転力が生じるようになっている(電動機タイプとして同期電動機を構成する)。
4はステータ2及びロータ1を内側に納める密閉空間を有するケースである。このケース4はケース本体4aと、このケース本体4aの開口端に合わさり内側を密閉状態に保持する蓋体4bからなり、その下部には潤滑油(以下、オイルという)を収容する貯留部Nが形成されている。
5はケース4とロータ1の軸部1aに取り付けられた回転検出器である。この回転検出器5からの信号によりロータ1の回転数が制御される。
6はケース本体4aの中央部に形成された開口を通してロータ1の軸部1aにつながる減速機である。この減速機6は遊星歯車機構を使用した構成例として示してあり、ロータ1の軸部1aの右端部に取り付けられたサンギア6aと、このサンギア6aと噛み合うピニオン(大)、インターナルギア6bと噛み合うピニオン(小)とにて構成されたステップドピニオンギア6cと、このステップドピニオンギア6cを回転自在に支持しインターナルギア6b上を公転するキャリア6dと、このキャリア6dと一体に成形されハブ軸受け6eにて回転自在に支持される出力軸6fからなっている。
7はタイヤTを装着するホイールである。このホイール7はリム7aとこのリム7aに一体連結するディスク7bからなる。また、8はホイール7のディスク7aの内側面に配置されたブレーキドラム、9はブレーキドラム8の対抗位置でケース4(ケース本体4a)の側壁に組み付けられたブレーキ装置である。このブレーキ装置9はブレーキシリンダ、ブレーキシューにて構成され、このブレーキ装置9によってタイヤTの回転を制御する。
出力軸6fはブレーキドラム8及びホイール7につながっていて、ロータ1の回転は減速機6を通して減速されてタイヤTへ伝達される。
10はブレーキ装置9が設けられたケース4の反対側で貯留部Nに面して設置された可動壁である。この可動壁10は蓋体4bに略水平方向に設けられたシリンダ10aと、このシリンダ10aの内側にスライド可能に配置されたピストン10bと、このピストン10bをシリンダ10a内で弾性支持するリターンスプリング10cからなっている。ピストン10bはケース4内へ向けて開放され貯留部Nのオイルを収納する区画凹所Mが形成されている。
また、11はシリンダ10aとピストン10b及び蓋体4bの側壁を利用して区画された制御加圧室である。この制御加圧室11は加圧媒体(油や空気等)をその内側に供給する供給経路11aを有している。
制御加圧室11に加圧媒体が供給されていない状態(非作動)では、図2(a)に示すように、リターンスプリング10cの反発力でピストン10bは図面右方向へ押されケース4内へ格納されている。
供給経路11aを通して加圧媒体が制御加圧室11に供給される作動時においては、図2(b)に示すように、リターンスプリング10cの反発力に抗してピストン10bが図面左方向へ押されケース4から突出する。
ピストン10bがケース4から突出する作動時においては、図2(b)の網掛け線で示す部分に相当する量だけ貯留部Nの体積が増加し(スライド代L)、その分だけ貯留部Nに存在するオイルのレベルは低下する。
上記のような構成になる電動ユニットでは、可動壁10の作動にて、貯留部Nにおける体積を任意に変更することができるので高速回転域(高車速)時には可動壁を作動させて貯留部Nにおける潤滑油のレベルを下げて潤滑油の撹拌抵抗(発熱)を小さくすることが可能となり(図1のYのレベル)、撹拌すべき潤滑油の量を多く確保したい低速回転域(低車速)では、潤滑油のレベルを高く保つことが可能となる(図1のXのレベル)。
本発明にしたがう電動ユニットを、インホイールモータとして適用する場合、該電動ユニットを、ホイールの中に全て納まるように格納し、可動壁10を作動させるときにのみホイールから突出するように構成するのが好ましく、係る構成によれば石撥ね等の損傷から可動壁10を保護することができる。
とくにブレーキ装置9が設けられたケース4の反対側でかつ、貯留部Nの下方側に可動壁10を設けると、熱源となるブレーキ装置9はホイール(ディスク)に隣接することになるので放熱性能が向上する。また、可動壁10については車両の下方空間部にせり出すことができるので、作動スペースを確保しながら車両の床下を流れる走行風により放熱が促され、効率的な冷却が可能となる。
可動壁10をシリンダ10aと、このシリンダ10aの内側にスライド可能に配置されたピストン10bとにより構成し、リターンスプリング10c等の押圧手段を組み合わせて液圧あるいは空気圧を利用して作動させることで比較的簡便な構造のもとで貯留部Nの体積を変更することができる。
図3は本発明にしたがう電動ユニットの他の実施の形態(第2実施例)を示した図である。
係る電動ユニットは、可動壁10を構成するピストン10bを、ケース4の内側へ向けて開放された区画凹所を有し、リターンスプリング10cにて弾性支持された第1のピストン10bと、この第1のピストン10bを内側にスライド可能に入り込みリターンスプリング10cにて弾性支持された同心二重配置になる筒状の第2のピストン10bとからなるものとして、これにより多段ピストンとなしたものである。
多段ピストンはシリンダ10aにスライド可能に配置され、第1のピストン10bには第1の制御加圧室12が設けられ(ケース4を利用して形成される)、第2のピストン10bには第2の制御加圧室13が設けられ、該第1の制御加圧室12及び第2の制御加圧室13は連通路14にて連通されている。
加圧媒体の供給経路15を通して第2の制御加圧室13に加圧媒体が供給されると連通路14を通して加圧媒体が第1の制御加圧室12にも供給されて該媒体による圧力が作用する。
第2の制御加圧室13に作用する圧力は図4(a)に示す如く、リターンスプリング1cの反発力に抗して第2のピストン10bを図面左側に押出すとともに、同じく第1の制御加圧室12に作用する圧力は図4(b)に示す如く、リターンスプリング1cの反発力に抗して第1のピストン10bを図面左側へ向けて押出すことになり、ここに、オイルを収容する貯留部Nの体積増加量は上掲図1に示したものに比較して第2のピストン10bがスライドする分だけ多くなる。
可動壁10を多段ピストンにて構成したものにおいては、ピストンストロークを延長できるためオイルレベルの変更幅の拡大を図ることが可能で、オイルの撹拌抵抗(発熱)をさらに低減することができる。また、ピストンストークが延長できる割には格納スペースも比較的小さくてすむので電動ユニット自体をコンパクトなものにできる利点がある。
図5は本発明にしたがう電動ユニットの他の実施の形態(第3実施例)を示した図であり、図6は図5に示した電動ユニットをインホイールモータとしてホイール内に設置した例を示した図である。
係る電動ユニットは、可動壁10を、電動ユニットのケース4に対し、その径方向外側(外方)かつ下端部(下方)に突出させて配置し比較的大径の可動壁を実現したものである。
ホイール内に設けるインホイールモータは、通常、円筒形であるが故にアクスル部品取り付け等の制約によりホイール内径を有効に使うことが難しいが、上記のような構成を採用することによりホイールモータの外径にかかわらず大型の可動壁を設けることが可能で、同じスライド代でも貯留部Nにおけるオイルレベルの変更幅を飛躍的に拡大して、オイル撹拌抵抗(発熱)を効果的に低減することができる。また、この場合、貯留部Nにおけるオイルの収納量が増すことが可能となり熱容量及び耐久性の改善を図るのに有利となる。
図7は本発明にしたがう電動ユニットのさらに他の実施の形態(第4実施例)を示した図(インホイールモータの例で表示)である。
係る電動ユニットは、可動壁10の先端部に放熱機構(冷却部材)として冷却フィン16を設置したものである。車両17の床下を流れる気流の速度は車体近傍、路面近傍、タイヤ近傍でそれぞれ気流の速度が低下するので冷却フィン16はできる限りタイヤ等から突出させることが望ましいが、常時、冷却フィン16を突出させた場合には石撥等により該冷却フィン16が損傷する可能性が高い。このため、本発明では車両の速度が予め設定された速度を下回る条件下では格納されており、予め設定された速度を上回る条件下で作動、突出させるか、サスペンションの動き又は車両と地面との間の距離の変動を検知し、該距離が予め設定された距離よりも小さくなる条件下で作動、突出させるようにする。すなわち、ほぼ平坦路面での走行でのみ可動壁10を作動させることで石撥等による損傷を防ぎながら効果的にオイルの冷却を行う。
図8に車両の速度を検知して可動壁10を作動させる場合のフローチャートの一例を示す。
まず(S-1)にて車両の速度を読み込み、(S-2)において平坦路であるかどうか第一設定車両速度の判定を行う。そして予め設定された第一設定車速以上である(平坦路を走行中である)と判断した場合には(S-3)において可動壁10を作動させるアクチュエータ(液圧や空気圧を用いたもの)の制御を行う。また、第一設定車速以上であるかどうかの判断において車速が第一設定車速を下回ると判断した場合には(S-4)において悪路を走行中と判断し、可動壁10を作動させるアクチュエータの制御を停止する。このような制御を実施することで運転者が不快を感じない乗り心地で走行する条件として、ある程度平坦路であることを検知することが可能なので、比較的石撥等が起こらない環境下で可動壁10を作動させることができる。
図9はサスペンションの上下動を検知して可動壁10を作動させる場合のフローチャートを示した図である。
まず(S−11)においてサスペンション(SUSP)の上下動を読み込み、(S−12)において平坦路であるかどうかサスペンションの上下動判定を行う。そして(S−13)においてサスペンションの上下動が予め設定された値以下であれば平坦路を走行していると判断し可動壁10を作動させるべくアクチュエータの制御を行う。サスペンションの上下動が予め設定された値を超えると判断した場合には(S−14)において悪路を走行中であると判断し可動壁10を作動させるアクチュエータの制御を停止する(S−14)。このような制御を実施することで運転者が不快を感じない乗り心地で走行する条件として、ある程度平坦路であることを検知することが可能なので、比較的石撥等が起こらない環境下で可動壁10を作動させることができる。
図10は車両の速度とサスペンションの上下動を検知して可動壁10を作動させる場合のフローチャートを示した図である。
まず(S-21)において車両の速度を読み込むとともに、(S-22)においてサスペンションの上下動を読み込む。そして、(S-23)において平坦路を走行しているかどうか第一設定車速の判定を行ない、その判定に際して第一設定車速以上であれば平坦路を走行中であると判断され(S-24)へと進む。
(S-23)において第一設定車速以下と判定された場合には(S-26)において悪路を走行中であると判断され、可動壁10を作動させるアクチュエータの制御を停止する。
(S-23)において第一設定車速以上と判定された場合には(S-24)において平坦路を走行しているかどうかサスペンションの上下動判定が行われる。(S-24)においてサスペンションの上下動が予め設定された値以下であれば平坦路を走行中であると判断した場合には(S-25)へ進み可動壁10を作動させるべくアクチュエータの制御を行う。(S-24)においてサスペンションの上下動が予め設定された値を超える場合においては、悪路を走行中であると判断し(S-26)へ進み可動壁10を作動させるアクチュエータの制御を停止させる。
車両の速度とサスペンションの上下動を検知して可動壁10を作動させる上記のような制御は運転者が不快を感じない乗り心地で走行している条件として、ある程度平坦路であること、車両の上下動が少ないことをほぼ同時に検知できるので比較的石撥ね等が起こらない環境で可動壁10を作動させることができる。
図11は、静的レベルを軸心−35mm(静的レベルとは、電動ユニットを停止させた状態、つまりオイルが撹拌、潤滑されない状態で得られるオイルレベルをいう)、ロータの浸漬深さ44mm、回転数7000rpmの無負荷運転を行った場合(実験例1)と、静的レベルを−45mm(実験例1に対して−10mm)、ロータの浸漬深さ34mm、回転数7000rpmの無負荷運転を行った場合(実験例2)のオイルレベル低減による発熱量への影響度を調査した結果を示したものである。
図11より明らかなように、実験例2においてはオイルレベルを低減することによりロータの撹拌による発熱が実験例1に比較して約1/3程度低減されることがわかる。
また、図12はオイルレベルを低減させたことによるフリクショントルク(タイヤ上フリクショントルク)への影響を、シャシ−ダイナモ等の測定装置から電動ユニットをフリーランさせた状態で測定した結果を示したものである。図12より明らかなように、オイルレベルを低減させた場合にはフリクショントルクの上昇度合いは回転数が高くなっても小さいことが判明し、本発明にしたがう構成になる電動ユニットがとくに有用であることが確認された。
軸受けを介して回転可能に支持されその一端が出力軸につながるロータと、このロータの胴体外周壁を全域にわたって取り囲むステータと、このステータ及びロータを内側に納める密閉空間を有しその下部に潤滑油の貯留部を形成するケースとを備えた電動ユニットにつき、ケースに、ケースの内外に向けてスライド可能でそのスライドにより潤滑油の貯留部の体積を増減させる可動壁を設けることにより、オイルの撹拌抵抗(発熱)が大きくなる高回転(高車速)時に可動壁を作動させオイルレベルを下げることができるので、撹拌オイル量を確保したい低回転(低車速)時のオイルレベルを保持しつつ伝達効率の高い電動式駆動装置が提供できる。
電動ユニットを、車両のタイヤを装着するホイールの内側に設置、固定され該タイヤを直接駆動するインホイールモータとして適用し、該電動ユニットとホイールとをブレーキ装置を介して連結し、該ブレーキ装置の反対側のケース側面に可動壁を設けることで、熱源となるブレーキ装置のホイール側への放熱を促進することが可能になる(放熱性能の改善)とともに、可動壁を車体の下方空間にせり出すことができるので、可動壁の作動スペースを確保しながら車体床下を流れる走行風による積極的な冷却が可能となる。また、可動壁を作動させない状態ではホイール内に確実に格納できるので石撥ね等による損傷を回避し得る。
前記可動壁を、ケースに一体連結されたシリンダと、このシリンダの内側においてスライド可能に弾性支持されるピストンにて構成することにより、外部からの液圧あるいは空気圧の供給で該ピストンをスライドさせることができ、比較的簡便な構造のもとで貯留部の体積の増減が可能となる。
ピストンを多段ピストンとすることで、比較的小さな格納スペースでピストンのストロークを延長させることが可能となり、オイルレベルの変更幅を大幅に拡大させることでき、これによりオイルの撹拌抵抗(発熱)がより有利に低減される。
非作動時においてはホイールの内側に可動壁を納めておくことで石撥ね等による損傷を回避し得る。可動壁を作動させる際にホイールの外側に向けて突出させるスライド代を確保しておくことで、オイルレベルの変更による撹拌抵抗(発熱)を低減するとともに走行風を可動壁に確実に当ててオイルの効果的な冷却を行う。
可動壁の先端部近傍に放熱機構として複数のリブを設けておくことで可動壁に走行風を当ててオイルに蓄積された熱量を外部へ伝達させることができ(放熱)、インホイールモータにおける出力の増大、連続運転の延長が可能となる。
可動壁を、ケースの外径よりも外側でかつ、下端部において突出して設置することで、サスペンション取り付け等で外径寸法に制約があるインホイールモータ本体に対してホイール内径におけるスペースの有効活用が可能となり、該可動壁のサイズアップを図ることができる。可動壁のサイズアップによりオイルの収容量を増加させることが可能で、熱容量の改善、オイルの耐久性が改善されるうえ、オイルレベルの変更幅も拡大され、オイルの撹拌抵抗(発熱)を効果的に低減できる。
車両の速度が予め設定された速度を下回る条件下で可動壁を格納し、予め設定された速度を上回る条件下で作動、突出させることで石撥ね等に起因した損傷を有利に回避することができる。
サスペンションの動き又は車両と地面との間の距離の変動を検知し、該距離が予め設定された距離よりも小さくなる条件下で可動壁を作動、突出させることで石撥ね等による可動壁の損傷を回避することができる。
さらに、可動壁を、予め設定された速度を上回り、かつ、車両と地面との間の距離につき予め設定された距離よりも小さくなる条件下で作動、突出させることにより、より確実に石撥ね等による損傷を回避することが可能となる。
本発明にしたがう電動ユニットの実施の形態(第1実施例)を示した図である。 (a)は可動壁がケース内に格納された状態を示した図であり、(b)は可動壁がケースから突出した状態を示した図である。 本発明にしたがう電動ユニットの他の実施の形態(第2実施例)を示した図である。 (a)は第2の制御加圧室に作用する圧力の説明図であり、(b)は第1の制御加圧室に作用する圧力の説明図である。 本発明にしたがう電動ユニットの他の実施の形態(第3の実施例)を示した図である。 図5に示した電動ユニットをインホイールモータとしてホイール内に設置した例を示した図である。 本発明にしたがう電動ユニットの他の実施の形態(第4の実施例)を示した図である。 車両の速度を検知して可動壁を作動させるフローチャートの一例を示した図である。 サスペンションの上下動を検知して可動壁を作動させるフローチャートの一例を示した図である。 車両の速度とサスペンションの上下動を検知して可動壁を作動させるフローチャートを示した図である。 オイルレベル低減による発熱量への影響を調査した結果を示した図である。 オイルレベルの低減によるフリクショントルクへの影響を調査した結果を示した図である。
符号の説明
1 ロータ
1a 軸部
2 ステータ
2a マグネットコイル
3 永久磁石
4 ケース
4a ケース本体
4b 蓋体
5 開孔
6 減速機
6a サンギア
6b インターナルギア
6c ステップドピニオンギア
6d キャリア
6e ハブ軸受け
6f 出力軸
7 ホイール
7a リム
7b ディスク
8 ブレーキドラム
9 ブレーキ装置
10 可動壁
10aシリンダ
10bピストン
10cリターンスプリング
11 制御加圧室
11a供給経路
12 第1の制御加圧室
13 第2の制御加圧室
14 連通路
15 供給経路
16 冷却フィン
17 車両
、r 軸受け
T タイヤ
M 区画凹所
N 貯留部
P オイル収納部

Claims (9)

  1. 軸受けを介して回転可能に支持されその一端が出力軸につながるロータと、このロータの胴体外周壁を全域にわたって取り囲むステータと、このステータ及びロータを内側に納める密閉空間を有しその下部に潤滑油の貯留部を形成するケースとを備えた電動ユニットにおいて、
    前記電動ユニットは、車両のタイヤを装着するホイールの内側に設置、固定され該タイヤを直接駆動するインホイールモータであり、
    前記ケースに、ケースの内外に向けてスライド可能でそのスライドにより潤滑油の貯留部の体積を増減させる可動壁を設け
    前記可動壁は、非作動時においてはホイールの内側に収まっており、作動時にはホイールの外側に向けて突出するスライド代を有する、ことを特徴とする電動ユニット。
  2. 前記電動ユニットとホイールとをブレーキ装置を介して連結し、該ブレーキ装置の反対側のケース側面に可動壁を設けた請求項1に記載の電動ユニット。
  3. 前記可動壁は、ケースに一体連結されたシリンダと、このシリンダの内側においてスライド可能に弾性支持され、加圧媒体によって作動させるピストンからなり、
    該ピストンはケース内に向けて開放され、貯留部の潤滑油を収納する区画凹所を有する請求項1又は2に記載の電動ユニット。
  4. 前記可動壁は、ケースに設けられたシリンダと、このシリンダの内側においてスライド可能に弾性支持され、加圧媒体によって作動させる多段ピストンからなり、
    該多段ピストンのうちの少なくとも1つがケース内に向けて開放され、貯留部の潤滑油を収納する区画凹所を有する請求項1又は2に記載の電動ユニット。
  5. 前記可動壁は、その先端部近傍に放熱機構を有する請求項1又は2に記載の電動ユニット。
  6. 前記可動壁は、ケースの外径よりも外側でかつ、下端部において突出して設置されたものである請求項1又は2に記載の電動ユニット。
  7. 前記可動壁は、車両の速度が予め設定された速度を下回る条件下では格納されており、予め設定された速度を上回る条件下で作動、突出するものである請求項1又は2に記載の電動ユニット。
  8. 前記可動壁は、サスペンションの動き又は車両と地面との間の距離の変動を検知し、該距離が予め設定された距離よりも小さくなる条件下で作動、突出するものである請求項1又は2に記載の電動ユニット。
  9. 前記可動壁は、予め設定された速度を上回り、かつ、車両と地面との間の距離につき予め設定された距離よりも小さくなる条件下で作動、突出するものである請求項1又は2に記載の電動ユニット。
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