JP5069833B2 - 多孔質架橋重合体の製造方法 - Google Patents

多孔質架橋重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、油中水滴型高分散相エマルション(Water in Oil type High Internal Phase Emulsion;以下、単にHIPEとも略す)を重合して、表面も内部も連通孔の形成されている連続気泡(open cell;以下、オープンセルとも称す)を有する多孔質架橋重合体を製造するに際して、非常に短時間でHIPEを硬化させて当該多孔質架橋重合体を製造する方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、(1)液体吸収材;例えば、▲1▼尿、血液などの体液の吸収材としておむつのコア材などに利用できるほか、▲2▼水、水性液、油、有機溶剤などの吸収材として廃水、廃油処理剤、廃溶剤処理剤などに、また(2)エネルギー吸収材;例えば、音、熱の吸収材として自動車、建築用の防音材、断熱材などに、さらに、(3)薬剤含浸基材;例えば、芳香剤、洗浄剤、つや出し剤、表面保護剤、難燃化剤などを含浸させた家庭用品などに幅広く利用できる連続気泡を有する多孔質架橋重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
HIPEとは、分散相(内相)である水相と外相である油相の比率(W/O比)が約3/1以上のエマルションをいう。このHIPEを重合させて、多孔質架橋重合体を製造することは公知である。
【0003】
そして、HIPE化することなく発泡剤を用いて製造される多孔質架橋重合体は、比較的大孔径の独立気泡のフォームが得られやすいのに比べ、HIPEから多孔質架橋重合体を製造する方法(以下、単にHIPE法ともいう)は、孔径の微細な連続気泡の低密度のフォームの製法として優れている。
【0004】
HIPEから多孔質架橋重合体を製造する方法としては、例えば、特開昭57−198713号公報、特開昭62−250002号公報、US−A−5252619号公報及びUS−A−5189070号公報に記載されている。
【0005】
特開昭57−198713号公報及び特開昭62−250002号公報には、水溶性および/または油溶性重合開始剤を含んだHIPEを作製し、これを50℃あるいは60℃で8時間から72時間加熱重合する方法が開示されている。また、US−A−5210104号公報には、HIPE作製後重合開始剤を添加する方法、さらにUS−A−5252619号公報には、重合開始剤を含んだHIPEを作製後、90℃以上の温度で重合する方法、及びUS−A−5189070号公報には、20〜65℃未満の温度でエマルションから所定の動的剪断弾性率を有するゲルを形成させ、その後に70℃以上の温度で重合させる方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特開昭57−198713号公報及び特開昭62−250002号公報に開示されている方法は、重合時間が長く生産効率が良くない。また、US−A−5252619号公報やUS−A−5189070号公報のように、高温で重合すると比較的短時間で重合できるものの、なお数時間程度の重合時間を要し、しかも条件によってはHIPEの安定性が損なわれ多量の水分が遊離してくる傾向が見られ、所定の孔径の多孔質架橋重合体が得られない場合があった。さらに、US−A−5210104号公報では、HIPEを作製後重合開始剤を添加しているので、HIPEの乳化安定性は改良されているが、重合時間は数時間必要であると記載されている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記技術的課題を解決し、HIPEの安定性を損なわずかつ例えば、30分、好ましくは10分以内という非常に短時間でHIPEを重合(硬化)させる多孔質架橋重合体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の開示】
本発明者は、HIPE法による非常に短時間での多孔質架橋重合体の製造方法を開発すべく鋭意検討した結果、HIPEを特定範囲の比較的薄い厚みに成形し、このHIPEを特定の加熱昇温速度で目的の硬化温度に到達させた後、硬化させることにより、従来高温において硬化させた場合に観察された遊離水が全く観察されず、均質な厚みの多孔質架橋重合体が得られ、多孔質架橋重合体の吸収特性も優れることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0009】
すなわち、上記諸目的は、下記(1)〜(11)によって達成される。
【0010】
(1) 重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られる油中水滴型高分散相エマルションを60〜110℃の硬化温度まで加熱昇温させて重合させる多孔質架橋重合体の製造方法において、
該エマルションが厚さ50mm以下に成形され、該エマルションの加熱昇温速度が5℃/分以上であることを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。
【0011】
(2) 前記エマルションがフィルム状またはシート状に成形されることを特徴とする上記(1)に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0012】
(3) 前記エマルションの加熱昇温速度が、5〜60℃/分であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0013】
(4) 前記エマルションの形成温度と該エマルションの硬化温度との温度差が、2〜50℃であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0014】
(5) 前記エマルションの形成温度が、40〜95℃であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0015】
(6) 前記エマルションの硬化温度が、80〜110℃であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0016】
(7) 前記エマルションの重合時間が、30分以内であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0017】
(8) 前記エマルションが近赤外線を用いて加熱昇温されることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0019】
) 前記エマルションを重合開始剤の存在下で重合され、該重合時間内に分解し終わる重合開始剤の量を単量体成分に対して0.05〜2.0モル%に制御することを特徴とす上記(1)〜()のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0020】
10) 前記エマルションを成形から重合までの一連の操作を連続的に行うことを特徴とする上記(1)〜()のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0021】
11) 前記エマルションを連続的に成形することを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0023】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の第1の発明は、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られるHIPEを60〜110℃の硬化温度まで加熱昇温させて重合させる多孔質架橋重合体の製造方法において、
該エマルションが厚み50mm以下に成形され、該エマルションの加熱昇温速度が5℃/分以上であることを特徴とするものである。
【0024】
以下、本発明の製造方法を工程順に詳しく説明する。
【0025】
[I]HIPEの調製
(1)HIPEの使用原料
HIPEの使用原料は、(a)重合性単量体、(b)架橋性単量体および(c)界面活性剤を油相を構成する必須成分として含有し、(d)水を水相を構成する必須成分として含有するものであればよい。さらに、必要に応じて、(e)重合開始剤、(f)塩類、(g)その他の添加剤を油相および/または水相を構成する任意成分として含有するものであってもよい。
【0026】
(a)重合性単量体
上記重合性単量体としては、分子内に1個の重合性不飽和基を有するものであればよく、分散または油中水滴型高分散相エマルション中で重合可能であって気泡を形成できれば特に制限されるものではない。好ましくは少なくとも1部は(メタ)アクリル酸エステルを含むものであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを20質量%以上を含むものであり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを35質量%以上を含むものである。重合性単量体として、(メタ)アクリル酸エステルを含有することにより、柔軟性や強靭性に富む多孔質架橋重合体を得ることができるため望ましい。
【0027】
重合性単量体としては、具体的には、スチレン等のアリレン単量体;エチルスチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼンなどのモノアルキレンアリレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸エステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロメチルスチレン等の塩素含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル化合物;その他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−オクタデシルアクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブテン等が例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記重合性単量体の使用量は、該重合性単量体と下記架橋性単量体からなる単量体成分全体の重量に対し、10〜99.9質量%の範囲であることが好ましい。この範囲で、微細な孔径の多孔質架橋重合体が得られるからである。より好ましくは30〜99質量%、特に好ましくは50〜95質量%の範囲である。重合性単量体の使用量が10質量%未満の場合には、得られる多孔質架橋重合体が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。一方、重合性単量体の使用量が99.9質量%を超える場合には、得られる多孔質架橋重合体の強度、弾性回復力などが不足したり、充分な吸水量および吸水速度を確保できないことがある。
【0029】
(b)架橋性単量体
上記架橋性単量体としては、分子内に少なくとも2個の重合性不飽和基を有するものであればよく、上記重合性単量体と同様に、分散または油中水滴型高分散相エマルション中で重合可能であって多孔質架橋重合体を形成できれば特に制限されるものではない。
【0030】
架橋性単量体としては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルアルキルベンゼン類、ジビニルフェナンスレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベンジル、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド等の芳香族系単量体;ジビニルフラン等の酸素含有単量体;ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の硫黄含有単量体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等の脂肪族単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、テトラアリロキシエタン、並びにヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ソルビトールなどの多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化合物などが例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記架橋性単量体の使用量は、上記重合性単量体と該架橋性単量体からなる単量体成分全体の重量に対し、0.1〜90質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜70質量%、特に好ましくは5〜50質量%の範囲である。上記架橋性単量体の使用量が0.1質量%未満では、得られる多孔質架橋重合体の強度、弾性回復力などが不足したり、単位体積当たりまたは単位重量当たりの吸収量が不十分となり、充分な吸水量および吸水速度を確保できないことがある一方、上記架橋性単量体の使用量が90質量%を越えると、多孔質架橋重合体が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。
【0032】
(c)界面活性剤
上記界面活性剤としては、HIPEを構成する油相中で水相を乳化し得るものであれば特に制限はなく、従来公知のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。
【0033】
このうち、ノニオン性界面活性剤としては、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリスチレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ジグリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル; ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等があり、特にHLBが10以下、好ましくは2〜6のものが好ましい。これらのうち2種以上のノニオン性界面活性剤を併用してもよく、併用によりHIPEの安定性が改良される場合がある。
【0034】
カチオン性界面活性剤としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイドがある。カチオン性界面活性剤を用いることにより、得られる多孔質架橋重合体を吸水材等に利用する場合に優れた抗菌性等を付与することもできる。
【0035】
なお、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を併用するとHIPEの安定性が改良される場合がある。
【0036】
上記界面活性剤の使用量は、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体成分全体の質量100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜15質量部である。界面活性剤の使用量が1質量部未満の場合には、HIPEの高分散性が不安定化することがあったり、界面活性剤本来の作用効果が充分に発現できないことがある。一方、上記界面活性剤の使用量が30質量部を超える場合には、得られる多孔質架橋重合体が脆くなり過ぎることがあり、これを超える添加に見合うさらなる効果が期待できず、不経済である。
【0037】
(d)水
上記水は、水道水、純水、イオン交換水の他、多孔質架橋重合体を製造して得た廃水をそのまま、または所定の処理を行ったものを使用することができる。
【0038】
上記水の使用量は、連続気泡を有する多孔質架橋重合体の使用目的(例えば、吸水材、吸油材、防音材、フィルターなど)等によって適宜選択することができる。すなわち、水の使用量は、HIPEの水相/油相(W/O)比を変化させることによって多孔質架橋重合体の空孔比率が決定されることから、用途、目的に合致する空孔比率になるようにW/O比を選択すれば、自ずと決定される。
【0039】
(e)重合開始剤
本発明の目的である非常に短時間でのHIPEの重合を達成するためには、重合開始剤を用いることが好ましい。該重合開始剤としては、逆相乳化重合で使用できるものであればよく、水溶性、油溶性の何れも使用することができる。
【0040】
このうち、水溶性重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ナトリウム等の過酸化物等が挙げられる。
【0041】
油溶性重合開始剤としては、例えば、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、等のハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ(s−ブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;アセチルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイドイソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド、等のジアシルパーオキサイド類;1,1’−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1’−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−1−メチルエチルパーオキシ−2−ヘキサノエート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類などが挙げられる。これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。当然のことながら、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とを併用してもよいことはいうまでもない。
【0042】
上記逆相乳化重合で使用できる重合開始剤の使用量は、上記単量体成分および重合開始剤の組み合わせにもよるが、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体成分全体の重量100質量部に対し、0.05〜25質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜10質量部である。上記重合開始剤の使用量が0.05質量部未満の場合には、未反応の単量体成分が多くなり、従って、得られる多孔質架橋重合体中の残存単量体量が増加するので好ましくない。一方、上記重合開始剤の使用量が25質量部を超える場合には、重合の制御が困難となったり、得られる多孔質架橋重合体中の機械的性質が劣化するので好ましくない。
【0043】
さらに、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせてなるレドックス重合開始剤系を使用しても良い。この場合、重合開始剤としては、水溶性、油溶性の何れも使用することができ、水溶性レドックス重合開始剤系と油溶性レドックス重合開始剤系とを併用してもよい。
【0044】
上記還元剤のうち、水溶性還元剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、第1鉄塩、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、グルコース、デキストロース、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。また、油溶性還元剤としては、例えば、ジメチルアニリン等が挙げられる。これらレドックス重合開始剤系の還元剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0045】
上記レドックス重合開始剤系の場合の還元剤の含有比率(質量比)は、重合開始剤(酸化剤)/還元剤=1/0.01〜1/10、好ましくは1/0.2〜1/5程度である。
【0046】
なお、上記重合開始剤(レドックス重合開始剤系を含む)は、少なくともHIPEの重合時に存在していればよく、後述するように、▲1▼油相および/または水相中に予め添加してHIPEを形成しても良いほか、▲2▼HIPEを形成させると同時に、または▲3▼形成させた後に、添加しても良い。また、レドックス重合開始剤系の場合には、重合開始剤(酸化剤)と還元剤を別々のタイミングで添加させても良い。
【0047】
(f)塩類
上記塩類としては、HIPEの安定性を改良するために必要であれば使用してもよい。
【0048】
上記塩類としては、具体的には、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩などの水溶性塩が挙げられる。これらの塩類は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。これらの塩類は、水相中に添加することが好ましい。なかでも、重合時のHIPEの安定性の観点から多価金属塩が好ましい。
【0049】
この様な塩類の使用量は、水100質量部に対し、0.1〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。塩類の使用量が20質量部を超える場合には、HIPEから搾り出された廃水中に多量の塩類を含むことになり、廃水を処理するコストがかさみ、これを超える添加に見合うさらなる効果も期待できず不経済である。塩類の使用量が0.1質量部未満の場合には、塩類の添加による作用効果が十分に発現できないおそれがある。
【0050】
(g)その他添加剤
さらに、他の各種添加剤をこれらが有する性能・機能を付加することにより、製造条件や得られるHIPE特性や多孔質架橋重合体の性能の向上につながるものであれば適当に使用しても良く、例えば、pH調整のために、塩基および/または緩衝剤を加えても良い。これらの他の添加剤の使用量については、それぞれの添加の目的に見合うだけの性能・機能、さらには経済性を十分に発揮できる範囲内で添加すればよい。このような添加剤としては、活性炭、無機粉末、有機粉末、金属粉末、消臭剤、抗菌剤、防かび剤、香料、各種高分子界面活性剤などが例示できる。
【0051】
(2)HIPEの調製法
本発明に用いることのできるHIPEの調製法については、特に制限されるものではなく、従来既知のHIPEの調製法を適宜利用することができる。以下にその代表的な調製法につき、具体的に説明する。
【0052】
まず、それぞれ上記に規定する使用量にて、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤、さらに必要に応じて添加し得る油溶性重合開始剤(油溶性レドックス重合開始剤系を含む)、その他の添加剤からなる油相を構成する成分を所定温度で混合し均一の油相を調製する。
【0053】
一方、それぞれ上記に規定する使用量にて、水に、さらに必要に応じて添加し得る水溶性重合開始剤(水溶性レドックス重合開始剤系を含む)、塩類、その他の添加剤からなる水相を構成する成分を加えながら混合し、30〜95℃の所定温度に加温して均一の水相を調製する。
【0054】
次に、上記により調製された、単量体成分、界面活性剤などの混合物である油相と、水、水溶性塩などの混合物である水相とを合一し、以下に説明するHIPEの形成温度(乳化温度)にて、効率良く混合して適度のせん断力をかけ、乳化することによってHIPEを安定に調製することができる。特に、HIPEを安定に調製するための水相と油相の混合法としては、油相の撹拌下、油相に水相を数分ないし数十分に亘って連続的に添加する方法が好ましい。また、水相成分の1部と油相成分とを混合してHIPEを形成し、その後に残りの水相成分を加えながら混合して所望のHIPEを製造しても良い。
【0055】
(3)水相/油相(W/O)比
こうして得られるHIPEの水相/油相(W/O)比(質量比)は、連続気泡を有する多孔質架橋重合体の使用目的(例えば、吸水材、吸油材、防音材、フィルターなど)等によって適宜選択することができるものであり、特に制限されるものではなく、先に規定したとおり3/1以上のものであればよいが、好ましくは10/1〜250/1、特には10/1〜100/1である。なお、W/O比が3/1未満の場合には、多孔質架橋重合体の水やエネルギーを吸収する能力が不充分で、開口度も低くなり、得られる多孔質架橋重合体の表面の開口度が低くなり、十分な通液性能等が得られないおそれがある。但し、W/O比を変化させることによって多孔質架橋重合体の空孔比率が決定される。したがって、用途、目的に合致する空孔比率になるようにW/O比を選択することが望ましい。例えば、オムツや衛生材料等その他各種吸収材として使う場合、W/O比は10/1〜100/1程度とするのが好ましい。なお、水相と油相との混合により得られるHIPEは、通常、白色、高粘度のエマルションである。
【0056】
(4)HIPEの製造装置
上記HIPEの製造装置としては、特に制限されるものではなく従来公知の製造装置を利用することができる。例えば、水相と油相とを混合するために使用する撹拌機(乳化器)としては、公知の撹拌機、混練機が使用できる。例えば、プロペラ型、櫂型、タービン型などの羽根の撹拌機、ホモミキサー類、ラインミキサー、ピンミルなどが例示でき、これらの何れでもよい。
【0057】
(5)HIPEの形成温度(乳化温度)T0
HIPEの形成温度(乳化温度)T0は、通常20〜110℃の範囲であり、HIPEの安定性の点からは、好ましくは30〜105℃の範囲、より好ましくは40〜95℃の範囲である。HIPEの形成温度が20℃未満の場合には、硬化温度によっては加熱に長持間を有する場合があり、一方、HIPEの形成温度が110℃を超える場合には、形成したHIPEの安定性に劣る場合がある。なお、油相および/または水相の温度を予め所定の形成温度(乳化温度)に調整しておいて混合して乳化し、所望のHIPEを形成することが望ましい。ただし、HIPEの調製(形成)では、水相の分量が多いため、少なくとも水相の温度を所定の形成温度(乳化温度)に調整することが好ましいといえる。また、乳化中に重合性単量体や架橋性単量体の重合が開始され、重合体が生成するとHIPEが不安定になることがあるので、重合開始剤(レドックス重合開始剤系を含む)を予め含むHIPEを調製する場合は、HIPEの形成温度(乳化温度)は、重合開始剤(酸化剤)が実質的に熱分解を起こさない温度とするのが好ましく、重合開始剤(酸化剤)の半減期が10時間である温度(10時間半減期温度)より低温で乳化するのがより好ましい。
【0058】
[II] 多孔質架橋重合体の製造
(1)重合開始剤の添加
(a)重合開始剤の添加の時期
本発明では、▲1▼HIPEを形成させる前の水相および/または油相に重合開始剤を予め添加、混合するか、▲2▼HIPEを形成させると同時に、または▲3▼HIPEを形成させた後に重合開始剤を添加させる方法が例示でき、これらを組み合わせてもよい。また重合開始剤がレドックス重合開始剤系の場合、重合開始剤(酸化剤)と還元剤を添加する場合にも上記▲1▼〜▲3▼の任意の方法を別々に選択する事ができる。▲1▼の場合、重合開始剤または還元剤が油溶性の場合は油相に、水溶性の場合は水相に予め添加しておく方法が簡便であるが、水相に油溶性重合開始剤(酸化剤)または還元剤の乳化物を加える方法なども例示できる。
【0059】
(b)重合開始剤の使用形態、添加方法
また、重合開始剤は、無希釈、または水や有機溶剤の溶液、あるいは分散体などの形態で使用することができる。(a)重合開始剤の添加の時期で述べた「▲2▼のHIPEを形成させると同時に、または▲3▼のHIPEを形成させた後に重合開始剤を添加」する場合、添加した重合開始剤は、単量体成分の不均一な重合を回避するためにHIPEにすばやく均一に混合することが重要である。さらに、重合開始剤を混合したHIPEは、速やかに重合装置である重合容器あるいは連続重合機に導入する。かかる観点から、HIPEを調製する乳化器から重合容器あるいは連続重合機への経路に重合開始剤導入経路を設けてHIPEに添加しラインミキサーで混合するなどの方法が推奨される。
【0060】
また、HIPEの形成温度(乳化温度)と硬化温度との温度差が小さいときには、乳化温度が硬化温度に近く乳化中に重合性単量体や架橋性単量体の重合が開始され、重合体が生成するとHIPEが不安定になることがあるので、同様に重合開始剤を重合直前に加える方法(上記▲2▼または▲3▼)が望ましい。
【0061】
なお、重合開始剤の使用量については、上記HIPEの調製法において説明した▲1▼と同様であり、変わるものではない。
【0062】
(2)HIPEの成形厚み及び形状
本発明の第1の発明では、得られたHIPEを厚さ50mm以下に成形したのちに重合させることが重要な構成要件の1つである。好ましくは厚さ30mm以下、より好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下、最も好ましくは5mm程度に成形したのちに重合させることが望ましい。成形厚さを50mm以下と小さくすることで、目的の硬化温度まで急速に昇温させることがはじめて可能となり非常に短時間で重合を完結させることができる。HIPEの成形厚さが50mmを超えると、HIPE全体が均一に重合せず、多孔質架橋重合体の物性が不均一になったり、重合中に離水が観察されたりする。これを避けようとすれば、比較的低温で長い重合硬化時間が必要となり、生産性に非常に劣ったものとなる。また、HIPEの成形厚さの下限は、特に制限されるものではなく、使用用途に応じて適宜決定されるべきものではある。すなわち、得られた厚さの薄い多孔質架橋重合体を重ねて使用しても、液体吸収材、エネルギー吸収材、薬剤含浸基材などに求められる性能・品質を確保することができるためである。ただし、厚さが0.1mm未満の場合には、その取り扱いが難しくなる場合があるので注意を要する。ここでいう「厚み」とは、物体の一面から、その反対面までのへだたりをいい、例えば、HIPEが外部から加熱される場合、HIPEの加熱される面に対して垂直方向のHIPEの距離(肉厚)をいう。HIPEの成形形状としては、特に制限されるものではなく、任意の形状をとりえる。
【0063】
(3)HIPEの重合法
次に、上記HIPEの重合法については、特に制限されるものではなく、従来公知のHIPEの重合法を適宜利用することができる。通常は、HIPE中の油中に高分散してなる水滴構造が破壊されない条件下で静置重合法で重合する。この場合、かかるHIPEをバッチごとに重合するバッチ重合でも、あるいは連続的にフィードしながら、キャストして重合する連続重合でもよい。
【0064】
本発明の第1の発明の特徴である短時間重合の効果をよりよく生かすために、重合法は、バッチ重合より連続重合の方が好ましい。例えば、走行するベルト上にHIPEを連続的に厚さ50mm以下でキャストして重合する連続重合法を採用するのが好ましい。
【0065】
(4)HIPEの硬化温度 T1
本発明のHIPEの硬化温度T1は、HIPEの形成温度T0より高い温度であればよいが、通常、常温〜150℃の範囲である。HIPEの安定性、重合速度の観点から、好ましくは60〜110℃の範囲、より好ましくは80〜110℃の範囲である。硬化温度が常温未満では、重合に長時間を要し、工業的に好ましくない場合がある。他方、硬化温度が150℃を越える場合には、得られる多孔質架橋重合体の孔径が不均一となったり、また多孔質架橋重合体の強度が低下するため好ましくない場合がある。また、本発明ではT0とT1の関係については、T0<T1を満足するものであればよいが、好ましくはT0とT1との温度差[T1−T0]が2〜50℃であることがHIPEを均一に作る面から望ましい。温度差[T1−T0]が2℃未満の場合には、重合の開始が速いため、得られる多孔質架橋重合体が不均一になる場合があり、温度差[T1−T0]が50℃を超える場合には、加熱昇温時にHIPEが不安定になる場合があるので注意を要する。また、本発明では、HIPEの加熱開始時点の温度がHIPEの形成温度T0より低下する場合には、この加熱開始時点のHIPEの温度をT0と定義する(よって、本明細書でT0を用いて規定している温度差[T1−T0]および加熱昇温速度[T0.9−T0/(t0.9−t0)]において、HIPEの形成温度よりも加熱開始温度が低いときは、この加熱開始時点のHIPEの温度がT0である。)。なお、硬化温度(重合温度)[T1]は、外部からのエネルギー量の制御により所定の温度(±数℃)範囲にするのが、得られる多孔質架橋重合体の性能・品質面および温度制御面から好ましい(図1参照)。また、硬化温度は、重合中に2段階、さらには多段階に変更させてもよく、こうした重合の仕方を排除するものではない。
【0066】
なお、重合後(重合硬化時間経過後)は、所定の温度まで、冷却ないし徐冷されるが、特に限定されず、重合された多孔質架橋重合体を冷却することなく、後述する脱水や圧縮などの後処理工程に移行しても良い。
【0067】
(5)加熱昇温速度
次に、本発明の第1の発明では、得られたHIPEを厚さ50mm以下に成形した後に、加熱昇温速度を5℃/分以上として、目的とする硬化温度まで急速に加熱昇温して重合させることが重要な構成要件の1つである。加熱昇温速度が5℃/分未満の場合には、重合が遅く、条件によっては重合中に離水が多く見られる場合がある。好ましくは加熱昇温速度が5〜60℃/分の範囲である。加熱昇温速度が60℃/分を超えて速くなりすぎると、W/O比などによっては、HIPEの乳化状態を安定に維持できずHIPEが潰れるおそれがある。さらに、上記HIPEの成形厚みがより好ましいとされる15mm以下の場合には、加熱昇温速度は10〜40℃/分の範囲、さらに、上記HIPEの成形厚みが特に好ましいとされる10mm以下の場合には、加熱昇温速度は10〜30℃/分の範囲とするのが好ましい。ここで、「加熱昇温速度」とは、HIPEの加熱昇温開始時[t0]の温度[T0]から所定の硬化温度[T1]に到達(安定化)する時間[t1]とから求められる[T1−T0/(t1−t0)]ではなく、所定の硬化温度[T1]と[T0]との温度差を100%とした場合の90%の温度差に相当する温度[T0.9]に到達する時間[t0.9]から求められる[T0.9−T0/(t0.9−t0)]とする(図1参照)。ここで[T0.9]=[T0]+([T1]−[T0])×0.9となる。すなわち、昇温加熱手段や温度制御手段によっても異なるが、実際の加熱昇温速度は、図1の▲1▼にあるように、常に一定の加熱昇温速度で所定の硬化温度になるまで制御することは難しく、通常は、図1の▲2▼〜▲6▼にあるように昇温加熱手段や温度制御手段により所定の硬化温度に到達するまでの経路は様々である。例えば、図1の▲2▼〜▲5▼にあるように、加熱昇温開始時直後の立ち上がり部分では大きな加熱昇温速度となり、所定の硬化温度近傍では、加熱昇温速度が鈍り小さくなるように加熱制御されたり、図1の▲6▼にあるように、加熱昇温開始時直後の立ち上がり部分と硬化温度近傍では、加熱昇温速度が鈍り小さく、その間の比較的短時間で極めて大きな加熱昇温速度となるように加熱制御されるなど、昇温過程において必ずしも上記加熱昇温速度の範囲内にないような場合であっても、上記に示す定義により、[T0.9−T0/(t0.9−t0)]≧5℃/分とする要件を満足すればよいものとする。したがって、所定の硬化温度まで加熱昇温する上で、図1の▲3▼や▲5▼のように所定の硬化温度を超えて過加熱になり一時的に降温させるような場合であっても、上記要件を満足する場合には、本発明の範囲に含まれるものであり、これらを排除するものではない。すなわち、「所定の硬化温度まで加熱昇温させて重合させる」との要件から「所定の硬化温度まで常に加熱昇温させて重合させる」との意味に狭く解釈されるものではない。
【0068】
本発明でHIPEの加熱昇温速度を求める場合には、HIPEの温度を測定する必要があるが、この場合には特定の厚みやシート状、フィルム状に形成されたHIPEの厚さ方向の中央部の温度を測定すればよい。
【0069】
(6)加熱昇温時間
上記加熱昇温速度において、トータルの加熱昇温時間は、15秒以上、好ましくは15秒〜10分である。15秒より短時間で昇温を終えた場合や、10分を超えて昇温を行った場合、HIPEが昇温中に安定に保たれず、離水が多くなったり、不均一に重合する場合がある。また、多孔質架橋重合体の均一重合性の観点から、好ましくは15秒〜10分、最も好ましくは30秒〜5分である。ここで、「加熱昇温時間」とは、HIPEの加熱昇温開始時[t0]から所定の硬化温度[T1]に到達(安定化)する時間[t1]までのトータルの時間[t1−t0]をいうものとする(図1参照)。
【0070】
(7)重合硬化時間
本発明の方法は、数十秒〜30分の範囲の短時間で重合を安定に実施する手段として非常に有効である。すなわち、本発明の第1に発明では、重合硬化時間は、好ましくは30分以内、より好ましくは10分以内、特に好ましくは1〜10分の範囲である。重合硬化時間が30分を超える場合には、生産性に劣り工業的に好ましくない場合がある。なお、1分未満の場合には、多孔質架橋重合体の強度が十分でない場合がある。勿論上記より長い重合硬化時間を採用することを排除するものではない。ここで、「重合硬化時間」とは、加熱昇温開始時[t0]から重合終了時[t2]までのトータルの時間[t2−t0]をいうものとする(図1参照)。
【0071】
(8)重合装置
本発明に用いることのできる重合装置としては、特に制限されるものではなく、従来公知の化学装置から、それぞれの重合法に適したものを利用ないし改良して使用することができる。例えば、バッチ重合では、使用目的に応じた形状の重合容器を、連続重合では圧縮用ローラを備えたベルトコンベアなどの連続重合機を利用することができ、さらにこれらには重合法に適した加熱昇温手段や制御手段等、例えば、放射エネルギー等を利用できるマイクロ波や近赤外線などの活性熱エネルギー線、あるいは熱水や熱風などの熱媒等により迅速に硬化温度まで加熱昇温し得るような加熱昇温手段が併設されてなるものであるが、これらに限定されるものではない。また、バッチ重合する場合に重合容器に注入されたHIPE表面や、連続重合する場合にコンベア等の駆動搬送体上に成形されたHIPEの表面(上面及び下面の両方)部は、重合開始時〜完了時まで空気(詳しくは空気中の酸素分)と非接触状態にすることが、こうした表面部もきっちりとオープンセル構造にするのに最適であるため、HIPE表面を各種シール材でシールすることが望ましい。また、これら重合装置等の材質に関しては、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などの金属(合金を含む)製、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂などの合成樹脂製、これらの合成樹脂をガラス繊維や炭素繊維などの繊維で補強した繊維強化樹脂製(FRP)などを使用できる。
【0072】
(9)多孔質架橋重合体の形態
上記重合工程によって得られる多孔質架橋重合体の形態は、特に制限されるものではなく、任意の形態をとりえる。すなわち、バッチ重合では、重合容器の形状と同じ形状の多孔質架橋重合体が得られるため、これに適した形状の重合容器を選択すればよい。多孔質架橋重合体は、厚さ50mm以下のブロック(またはシート)状の形態に重合してから、例えば、厚さ各5mmのシートないしフィルム(板ないし薄板)状などに切断するなど任意の形態に加工することもできるし、肉厚(厚さ)50mmの円筒状の形態の多孔質架橋重合体を任意に裁断して断面円弧状の形態に加工してもよい。均質化されていたHIPEの油相と水相とは上下方向に分離しやすく、また、HIPEはヨーグルト状の柔らかくて脆い性状を有する。このため、連続重合法による場合は、シート状ないしフィルム状のHIPEを水平搬送しながら重合して、シート状ないしフィルム状の形態の多孔質架橋重合体を形成することが望ましい。この場合にも厚さ50mm以下のブロック(またはシート)状に重合してから、例えば、厚さ各5mmのシート状などに切断するなど任意の形態に加工することもできる。
【0073】
(10)多孔質架橋重合体形成後の後処理(製品化)工程
(a)脱水
重合完結により形成された多孔質架橋重合体は、通常、圧縮、減圧吸引およびこれらの組み合わせによって脱水する。一般に、こうした脱水により、使用した水の50〜98%の水が脱水され、残りは多孔質架橋重合体に付着して残る。
【0074】
脱水率は、多孔質架橋重合体の用途などによって、適当に設定する。通常、完全に乾燥した状態での多孔質架橋重合体1g当たり、1〜10gの含水量、あるいは1〜5gの含水量となるように設定すればよい。
【0075】
(b)圧縮
本発明の多孔質架橋重合体は、元の厚みの数分の1に圧縮した形態にすることができる。圧縮したシート状などの形態は、元の多孔質架橋重合体に比べて容積が小さく、輸送や貯蔵のコストを低減できる。圧縮形態の多孔質架橋重合体は、多量の水に接すると吸水して元の厚みに戻る性質があり、吸水速度は元の厚みのものより速くなる特徴がある。
【0076】
圧縮形態にするには、均一に多孔質架橋重合体全体に圧力が加わり、一様に圧縮し得るように、多孔質架橋重合体の形態に応じた圧縮手段を用いればよい。なお、全体に均一に圧力をかけやすく、既存の多くの圧縮装置を利用でき、その操作が容易であることから、シート状の形態の多孔質架橋重合体が好ましい。かかるシート状の形態の多孔質架橋重合体では、脱水後、所定の間隔に調整したロールやベルト間を通せばよいが、上記の脱水工程での圧縮、あるいは減圧吸引操作によって、通常、幾分かのシート厚みの減少があるので、脱水工程終了後のシート厚みが所定範囲内にあれば、改めて圧縮工程を設ける必要はない。また、シート状以外の形態の多孔質架橋重合体の場合には、圧縮形態にするのに、例えば、円筒状の形態の多孔質架橋重合体では、これと同心円の円筒状物を外側と内側に配し、外側の円筒状物は変形しない金属製などとし、内側の円筒状物は同心円状に均一に膨らむことができるゴム製のチューブ等を用い、内側の円筒状物のチューブにエアを導入して圧縮させるなど、形態に応じて適当な装置を用いて圧縮してもよい。あるいは、円筒状の形態の多孔質架橋重合体の内径に合致する回転軸に取り付け、外側からロールを押しつけながら、回転軸及びロールを回転させることで圧縮してもよい。
【0077】
前工程の脱水およびこの圧縮工程で、多孔質架橋重合体を圧縮する時の温度は、多孔質架橋重合体のガラス転移温度より高い温度で行うのが好ましい。当該温度が重合体のガラス転移温度より低いと多孔質構造が破壊されたり、孔径が変化することがある。
【0078】
輸送や在庫スペースの節約、取り扱いやすさの点から、元の厚みの1/2以下に圧縮するのが効果的である。より好ましくは元の厚みの1/4以下に圧縮するのがよい。
【0079】
(c)洗浄
多孔質架橋重合体の表面状態を改良するなどの目的で、多孔質架橋重合体を純水や任意の添加剤を含む水溶液、溶剤で洗浄してもよい。
【0080】
(d)乾燥
以上の工程で得られた多孔質架橋重合体は、必要であれば、熱風、マイクロ波などで加熱乾燥してもよく、また加湿して水分を調整してもよい。
【0081】
(e)切断
以上の工程で得られた多孔質架橋重合体は、必要であれば、所望の形状、サイズに切断して各種用途に応じた製品に加工してもよい。
【0082】
(f)含浸加工
洗浄剤、芳香剤、消臭剤、抗菌剤などの添加剤を含浸加工して機能性を付与することもできる。
【0083】
次に、本発明の第2の発明は、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られるHIPEを所定の硬化温度まで加熱昇温させて重合させる多孔質架橋重合体の製造方法において、
該HIPEがフィルム状またはシート状に成形され、該HIPEの加熱昇温速度が5℃/分以上であることを特徴とするものである。
【0084】
本発明の第2の発明では、HIPEをフィルム状またはシート状に成形したのちに重合させることが主要な構成要件の1つである。これにより、その後に目的とする硬化温度までHIPEの加熱昇温速度を5℃/分以上で急速に昇温する条件(もう1つの主要な構成要件)をさらに満足するものであれば、フィルム状またはシート状に成形したHIPE全体が均一に重合でき、多孔質架橋重合体の物性が均一になり、重合中の離水を防止することができるものである。なお、ここでいうフィルム状とシート状とは、厚みが0.25mm未満の成形HIPEをフィルム状とし、厚みがが0.25mm以上の成形HIPEをシート状として区別する。
【0085】
尚、本発明の第2の発明において、各構成要件に関しては、基本的には本発明の第1の発明にて説明した通りであるので、ここでは重複を避けるためこれらの説明は省略する。
【0086】
ただし、上記[II](9)多孔質架橋重合体の形態に関しては、本発明の第2の発明によることで、次のような特有の作用効果が得られる。すなわち、連続重合法による場合に、シート状ないしフィルム状のHIPEを水平搬送しながら高速で重合することで、重合中にHIPEの油相と液相とが上下方向に偏向分離するのを防ぎ、HIPEが安定的に均質化された状態を保持したままシート状ないしフィルム状の形態の多孔質架橋重合体を短時間のうちに形成することができる。
【0087】
また、上記[II](10)(b)圧縮工程に関しても、HIPEをシート状ないしフィルム状に形成し、シート状ないしフィルム状の形態の多孔質架橋重合体を形成することで、圧縮する際に、全体に均一に圧力をかけやすく、既存の多くの圧縮装置を利用でき、その操作が容易である。すなわち、シート状ないしフィルム状の形態の多孔質架橋重合体では、脱水後、所定の間隔に調整したロールやベルト間を通すだけでよい。上記の脱水工程での圧縮、あるいは減圧吸引操作によって、通常、幾分かのシートないしフィルム厚みの減少があるので、脱水工程終了後のシート状ないしフィルム状の形態の多孔質架橋重合体の厚みが所定範囲内にあれば、改めて圧縮工程を設ける必要はない。また、圧縮したシート状ないしフィルム状の形態は、元の多孔質架橋重合体に比べて容積が小さく、輸送や貯蔵のコストを低減できる。
【0088】
なお、上記[II](2)HIPEの成形厚みに関しては、本発明の第2の発明において、当該要件を必須要件としないため、シート状またはフィルム状でさえあれば必ずしもHIPEの成形厚さは問わないが、シート状の場合の厚さは、50mm以下、好ましくは40mm以下、より好ましくは20mm以下、特に好ましくは10mm以下である。50mmを超えるとHIPE全体が均一に重合せず、多孔質架橋重合体の物性が不均一になったり、重合中に離水が観察されたりすることがある。
【0089】
次に、本発明の第3の発明では、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られるHIPEを重合開始剤の存在下で重合させる多孔質架橋重合体の製造方法において、
該HIPEが厚み50mm以下またはフィルム状若しくはシート状に成形され、重合時間が30分以内であり、かつ該重合時間内に分解し終わる重合開始剤量を単量体成分に対して0.05〜2.0モル%に制御することを特徴とするものである。ただし、重合開始剤が分解して発生するラジカル数nが、n>2の場合は、これらの重合開始剤量の値をn/2倍した値に制御するものとする。
【0090】
本発明の第3の発明では、▲1▼HIPEの成形厚さを50mm以下と小さくしてまたは▲2▼HIPEをフィルム状若しくはシート状に成形したのちに、該HIPEの重合時間を30分以内と従来からは予測もできないような非常に短時間で重合を完結させるものであり、重合時間内に分解し終わる重合開始剤量を単量体成分に対して0.05〜2.0モル%に制御することが主要な構成要件である。これにより、HIPEの乳化状態を壊すことなく短時間でHIPE全体を重合中の離水もみられず均一に重合でき、さらに重合が非常に速く進むにもかかわらず多孔質架橋重合体の圧縮強度などの機械的物性を優れたレベルに保つことができるものである。また、非常に高い生産性が得られ、工業的にも非常に優れる。
【0091】
本発明の第3の発明においては、「HIPEを重合開始剤の存在下で重合させる」ことが必須要件である。そのため、上記[II](1)重合開始剤の添加は必須であり、HIPEの重合の際には、重合開始剤が存在している必要がある。
【0092】
また、本発明の第3の発明においては、HIPEの厚み、形状が上述した範囲であり、かつ重合時間が30分以内という非常に短時間で多孔質架橋重合体を製造する場合に上記重合時間内に分解し終わる重合開始剤量を単量体成分に対して0.05〜2.0モル%に制御するというものである。本発明者らは、多孔質架橋重合体の構造とフォームの吸収特性の関係を鋭意検討したところ、特定の厚み、形状のHIPEの重合を30分以内という短時間で終了させる場合に上記重合時間内に分解し終わる重合開始剤量を上記特定範囲に制御すればフォーム物性が低下せず、吸水特性に優れた多孔質架橋重合体を製造できることを見出した。
【0093】
この0.05〜2.0モル%という値は、あくまで所望とする重合時間内に分解し終わる重合開始剤量であり、その量がこの範囲に制御されている限り、使用される重合開始剤の総量は特に制限されない。重合時間内に分解し終わる重合開始剤量が0.05モル%未満の場合には、重合時間内に重合が十分完結せず、多孔質架橋重合体の物性が不十分である。一方、重合時間内に分解し終わる重合開始剤量が2.0モル%を超える場合には、分子量の低下などにより得られる多孔質架橋重合体の圧縮強度などの機械的物性が大きく低下する。また、重合時間内に分解し終わる重合開始剤量は、水溶性の重合開始剤の場合はいわゆるW/Oによっても最適値が異なるが、一般に、好ましくは0.08〜0.50モル%、より好ましくは0.10〜0.30モル%の範囲に制御することが望ましい。
【0094】
本発明の重合時間内に分解し終わる重合開始剤量(モル%)について説明する。本発明の重合時間内に分解し終わる重合開始剤量(モル%)は、まず重合開始剤分解量(モル)を求め、それを使用した単量体成分のモルに対する百分率(モル%)に換算することで求められる。
【0095】
上記の重合開始剤分解量は、重合時間内に分解する重合開始剤量のことで、▲1▼文献等に記載の重合開始剤の分解速度式を用いる方法や、▲2▼文献等に記載の重合開始剤の活性化エネルギーと1分間、ないし1時間、ないし10時間、ないし100時間で開始剤濃度が半分になる温度である1分間半減温度、1時間半減温度、10時間半減温度、100時間半減温度等の半減温度を用いて算出する方法等によって求めることができる。本発明では、重合開始剤として過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムを用いる場合は▲1▼から、その他の重合開始剤を用いる場合は▲2▼から計算するものとする。
【0096】
まず、重合開始剤が過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの場合について説明する。過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムの場合は下記式1を用い、過硫酸アンモニウムの場合は下記式2を用いて、重合温度(K)を式に代入してその温度で開始剤分解速度定数kを求める。
【0097】
【数1】
Figure 0005069833
【0098】
【数2】
Figure 0005069833
【0099】
なお、重合温度(K)とは、重合初期から重合終了時までの間の平均の重合温度(℃)を絶対温度(K)に換算したものであり、昇温工程を含めた全重合時間の平均温度を意味し、例えば、以下のように求められる。重合開始温度が60℃で昇温速度20℃/分で100℃まで昇温し、その後、100℃で10分間重合(合計12分)した場合、
重合温度(K)
=273+{(60×2+(100−60)×2/2+100×10}/12
=369.7K
となる。
【0100】
続いて、重合温度(K)での開始剤分解速度定数kが上記で求まれば、下記式3の開始剤分解速度定数、重合時間と重合開始剤仕込み量の関係式から重合開始剤分解量が計算される。
【0101】
【数3】
Figure 0005069833
【0102】
例えば、過硫酸カリウムを0.1モル使用して65℃で形成されたHIPEを、1.5分間(昇温速度20℃/分)で95℃まで昇温し、95℃で8.5分間保持した状態で昇温温度を含み10分間重合した場合、重合温度は365.75Kとなり、式1よりこの温度での開始剤分解速度定数kは0.0123(分-1)となる。続いて、上記式3を用いることで、この重合温度、重合時間での重合開始剤分解量は0.0116モルと算出される。
【0103】
よって、本発明の重合時間内に分解し終わる重合開始剤量(モル%)は、このようにして求めた重合開始剤分解量(モル)を、使用した単量体成分のモルに対する百分率(モル%)に換算すればよい。
【0104】
次に、その他の重合開始剤の場合について説明する。この場合は、カタログや技術資料、文献等に記載の重合開始剤の活性化エネルギー及び1分間半減温度、ないしは1時間半減温度、ないしは10時間半減温度、ないしは100時間半減温度等の関係式、下記式4、5を用いて計算することにより、下記式6に相当する重合温度(K)と開始剤分解速度定数k(分-1)の関係式を各々の開始剤で求め、先の式3に基づいて重合時間内に分解し終わる重合開始剤量を算出する。
【0105】
【数4】
Figure 0005069833
【0106】
【数5】
Figure 0005069833
【0107】
上記式において、Rは、気体定数で、8.3184(J/mol K)である。Lnは、自然対数である。Aは、重合開始剤によって異なる定数である。
【0108】
式4は、例えば、1分間での半減温度が100℃(373K)である場合、
1(分)={1/{100℃での開始剤分解速度定数k373K(分-1)}×Ln2という関係式である。まず、式4を用いて、所定温度での開始剤分解速度定数kを計算した後、式5によりその重合開始剤の定数Aを計算する。
【0109】
例えば、株式会社日本油脂製のt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(t-butylperoxy(2-ethylhexanoate;商品名:パーブチルO)は、10時間の半減温度72.5℃(345.5K)、またその活性化エネルギーは28.8kcal/mol(120.56kJ/mol)と記載されている。よって、この場合、式4の関係式を用いて計算すると、
600(分)
=1/{345.5Kでの開始剤分解速度定数k345.5K(分-1)}×Ln2
となり、k345.5K=1.1552×10-3(分-1)と計算される。
【0110】
345.5Kでの開始剤分解速度定数k345.5Kを式5に代入することで、
Ln(1.1552×10-3)=LnA−{120560/(8.3184×345.5)}の関係式が得られるので、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)の場合の定数A=1.91×1015が計算される。
【0111】
次に、算出された定数Aと式5の関係を用いて、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)の場合の重合温度(K)と開始剤分解速度定数k(分-1)の関係、式6が誘導される。
【0112】
【数6】
Figure 0005069833
【0113】
重合温度T(K)から上記式6により開始剤分解速度定数kが求まり、これを前述した式3に代入することで、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)の場合の重合開始剤分解量を算出することができる。
【0114】
例えば、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)を2モル使用して、65℃で形成されたHIPEを1.5分間(昇温速度20℃/分)で95℃まで昇温し、95℃で8.5分間保持した状態で、昇温時間を含む10分間重合した場合、重合温度は365.75Kとなり、この温度での開始剤分解速度定数kは式6より0.0118(分-1)となる。続いて、上記式3を用いることで、この場合の重合開始剤分解量は0.223モルと算出される。
【0115】
よって、本発明の重合時間内に分解し終わる重合開始剤量(モル%)は、この重合開始剤分解量を使用した単量体成分のモルに対する百分率(モル%)に換算すればよい。
【0116】
本発明の重合時間内に分解し終わる重合開始剤量の制御手段としては、例えば、重合開始剤の使用量、硬化温度、加熱昇温速度、ラジカル補足剤の投入等が挙げられるが、特に制限されるものではない。また、重合時間内に分解し終わる重合開始剤量を算出するに当たり、その系に上記方法の適応が困難な場合にはその都度それに応じた測定法、計算法を用いても差し支えない。
【0117】
尚、本発明の第3の発明において、上記に説明した以外の他の各構成要件に関しては、基本的には本発明の第1〜2の発明にて説明した通りであるので、ここでは重複を避けるためこれらの説明は省略する。
【0118】
ただし、上記[II](7)重合硬化時間に関し、本発明の第3に発明では、重合時間が30分以内、好ましくは10分以内、より好ましくは1〜10分の範囲である。重合時間が30分を超える場合には、生産性に劣り、工業的に好ましくない。なお1分未満の場合には、多孔質架橋重合体の強度が十分でない場合がある。ここで、「重合時間」とは、重合開始時から重合終了時までのトータルの時間をいうものとする。さらに重合の始まり(始点)である重合開始時が、加熱昇温開始時となるため、加熱昇温開始時[t0]から重合終了時[t2]までのトータルの時間[t2−t0]を「重合硬化時間」と定義した。一方、本発明の第3の発明では、発明の構成要件として「所定の硬化温度に加熱昇温させる」ことを必須要件としないため、T0とT1の関係については、特に制限されるものではなく、T0<T1、T0=T1、T0>T1のいずれであってもよい。さらに重合の「始まり(始点)」である重合開始時が加熱昇温開始時と限定し得ないため、単に重合の「始まり(始点)」と「終わり(終点)」だけでもって「重合時間」を定義した。よって、本明細書中で単に「重合時間」とある場合には「重合硬化時間」を含む広い意味で使用している場合もあり得る(表1参照)。
【0119】
また、上記[II](4)硬化温度において説明したT0とT1の関係については、上記したとおり特に制限されないため、本発明の第3の発明では、HIPEの形成温度と硬化温度の温度差[T1−T0]は、−20〜50℃であることがHIPEを均一に作る面から望ましい。温度差[T1−T0]が−20℃よりもマイナス側に大きい場合には、重合がHIPE形成時に生じやすく、温度差[T1−T0]が50℃を超える場合には、加熱昇温時にHIPEが不安定になる場合があるので注意を要する。
【0120】
また、上記[II](5)加熱昇温速度および(6)加熱昇温時間に関しては、本発明の第3の発明においては、加熱昇温を要件としないため、これらの要件も必須要件ではなく、必ずしも加熱昇温速度が5℃/分以上でなくともよいし、加熱昇温時間も15秒以上でなくともよい。なお、加熱昇温を行う場合には、加熱昇温速度が60℃/分を超えて速くなりすぎないようにすることが望ましく、また、加熱昇温時間が10分を超えて長くなりすぎないようにすることが望ましい。
【0121】
次に、本発明の第4の発明による多孔質架橋重合体の連続的製造方法は、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られるHIPEを、好ましくは駆動搬送体上において、連続的に成形したのち、該HIPEの加熱昇温速度が5℃/分以上で所定の硬化温度まで加熱昇温させた後、該硬化温度下で重合させることを特徴とするものである。
【0122】
本発明の第4の発明では、好ましくは駆動搬送体上において、HIPEを連続的に、(i)成形し、(ii)加熱昇温速度5℃/分以上で目的の硬化温度に到達させ、(iii)該硬化温度下で硬化させることが主要な構成要件である。これにより、従来高温において硬化させた場合に観察された遊離水が全く観察されず、また連続的にキャストするため、全体に均一な厚みに成形が容易であり、かつ成形後に油相と液相とがほとんど偏向分離しないし、さらに加熱昇温速度5℃/分以上としてもHIPEの乳化状態を壊すことなく、従来からは予測もできないような非常に短時間でHIPE全体を均一に重合でき、多孔質架橋重合体の物性(オープンセル構造性、耐ピンホール・ボイド性など)が良好でかつ全体が一様に均質になり、重合中の離水を防止することができるものである。また、一連の製造工程を連続的に行い得るため、非常に高い生産性が得られ、工業的にも非常に優れる。
【0123】
なお、ここでいう、多孔質架橋重合体の連続的製造方法とは、本発明の第4の発明にて規定したとおり、好ましくは駆動搬送体上において、HIPEを、▲1▼成形し、▲2▼成形後に加熱昇温速度5℃/分以上で目的の硬化温度に到達させ、▲3▼到達後に該硬化温度下で重合させて多孔質架橋重合体を形成するまでを、いわば連続的に、行うものであればよいが、工業的には、最初のHIPEの調製から、最後の多孔質架橋重合体の形成後の後処理までを一貫して連続的に行うことが望ましい。
【0124】
尚、本発明の第4の発明において、各構成要件に関しては、基本的には本発明の第1〜3の発明にて説明した通りであるので、ここでは重複を避けるためこれらの説明は省略する。
【0125】
なお、上記[II](2)HIPEの成形厚み及び形状については、本発明の第4の発明では、HIPEを、好ましくは駆動搬送体上において、HIPEの成形厚さを50mm以下と小さくして、またはHIPEをフィルム状若しくはシート状に連続的に成形するのが好ましい。HIPEを駆動搬送体上にキャストする場合には、駆動搬送体上に流動性に富むHIPEを、乳化器から駆動搬送体の上方に進行方向に対して直角方向(横方向)に設置されたTダイ等の成形手段を用いて駆動搬送体上にキャストすればよい。
【0126】
また上記[II](8)重合装置のうち、本発明の第4の発明では、連続重合に使用される、HIPEの供給手段、成形手段、加熱昇温手段、温度制御系の手段等が付設されてなるベルトコンベアなどの連続重合機を利用することができるが、これらに限定されるものではない。駆動搬送体を用いる場合には、上記ベルトコンベアが一連の重合操作を連続して行う上で好ましい手段の1つであるが、これに限定されるものではなく、従来公知の搬送手段を適宜利用することができる。
【0127】
なお、上記した本発明の第3の発明において、当該第4の発明で説明した多孔質架橋重合体の連続的製造方法を適用してもよい。すなわち、本発明の第3の発明における多孔質架橋重合体の連続的製造方法は、前記HIPEを成形から重合までの一連の操作を連続的に行うことを特徴とするものである。これにより、本発明の第3の発明並びに本発明の第4の発明により得られる双方の作用効果をいわば相乗的に得ることができる。
【0128】
なお、本発明の第3の発明における多孔質架橋重合体の連続的製造方法では、「HIPEを成形する工程」と「硬化温度下で重合させて多孔質架橋重合体を形成する工程」(操作)を連続的に行うものであればよい。工業的には、最初のHIPEの調製から、最後の多孔質架橋重合体の形成後の後処理までを一貫して連続的に行うことが望ましい。
【0129】
本発明の第3の発明における多孔質架橋重合体の連続的製造方法の各構成要件に関しては、基本的には本発明の第1〜4の発明にて説明した通りであるので、ここでは重複を避けるためこれらの説明は省略する。
【0130】
次に、本発明の第5の発明は、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られる油中水滴型高分散相エマルションを所定の硬化温度まで加熱昇温させて重合させる多孔質架橋重合体の製造方法において、
該エマルションが厚み50mm以下またはフィルム状若しくはシート状に成形され、活性熱エネルギー線を用いて該エマルションを加熱昇温させることを特徴とするものである。
【0131】
本発明の第5の発明では、▲1▼HIPEの成形厚さを50mm以下と小さくしてまたは▲2▼HIPEをフィルム状若しくはシート状に成形したのちに、加熱昇温手段として活性熱エネルギー線を用いることで、従来からは予測もできないような非常に短時間で重合を完結し得るものである。これにより、HIPEの乳化状態を壊すことなく短時間でHIPE全体を均一に重合でき、多孔質架橋重合体の物性が均質になり、重合中の離水を防止することができるものである。また、非常に高い生産性が得られ、工業的にも非常に優れる。
【0132】
尚、本発明の第5の発明において、各構成要件に関しては、基本的には本発明の第1〜5の発明にて説明した通りであるので、ここでは重複を避けるためこれらの説明は省略する。
【0133】
ただし、上記[II](8)重合装置のうち、本発明の第5の発明では、加熱昇温手段として活性熱エネルギー線を用いることを必須とするものである。ここでいう、活性熱エネルギー線とは、放射エネルギー(外部から入射した赤外線は物質原子と電磁的共鳴を起こして効果的に吸収されその温度を高めるとする熱作用)を利用できる遠赤外線(可視光線の赤色端からマイクロ波のミリメートル波に至る赤外線のうち、波長20μm〜1mmの電磁波)および近赤外線(可視光線の赤色端からマイクロ波のミリメートル波に至る赤外線のうち、波長0.75μm〜20μmの電磁波)、高周波誘電加熱(高周波電場(数メガヘルツ〜数ギガヘルツ)中で絶縁物が誘電損失により発熱する現象を利用したもので物体の内部から加熱される利点がある)を利用できるマイクロ波(波長1メートル〜数ミリメートル、周波数300〜数十万メガヘルツの電磁波)などが挙げられる。特に昇温速度を速める観点からは、透過性が高く熱損失が少なくエネルギー効率が高く、装置も簡易でコンベヤ方式(連続重合)による生産に向く近赤外線を使用することが好ましい。とりわけ、5℃/分以上の加熱昇温速度を達成するためや目的とする硬化温度が85℃以上である場合での急速昇温において近赤外線は特に効果的である。
【0134】
次に、本発明の第6の発明による多孔質架橋重合体の連続的製造方法は、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られる油中水滴型高分散相エマルションを、好ましくは駆動搬送体上において、連続的に成形したのち、活性熱エネルギー線を用いて該エマルションを加熱昇温させた後、硬化温度下で重合させることを特徴とするものである。
【0135】
本発明の第6の発明では、HIPEを、好ましくは駆動搬送体上において、連続的に、(i)成形し、(ii)急速加熱昇温に適した加熱昇温手段である活性熱エネルギー線を用いて迅速に到達させ、(iii)該硬化温度下で硬化させることが主要な構成要件である。これにより、本発明の第4の発明並びに本発明の第5の発明により得られる双方の作用効果をいわば相乗的に得ることができる。
【0136】
尚、本発明の第6の発明において、各構成要件に関しては、基本的には本発明の第1〜5(特に4〜5)の発明にて説明した通りであるので、ここでは重複を避けるためこれらの説明は省略する。
【0137】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本実施例において、多孔質架橋重合体の性能は以下のようにして測定・評価した。
【0138】
<離水度及び多孔質架橋重合体の表面状態>
重合した多孔質架橋重合体を重合容器から取り出す際に、多孔質架橋重合体の周辺に存在する多孔質架橋重合体に拘束されていない自由水を重合容器から分離し、その重量を測定し、重合中に遊離した水の質量比(%)を求め、この値を離水度とした。
【0139】
また、同時に重合した多孔質架橋重合体の表面の均一性を観察した。
【0140】
<残存モノマー>
得られた多孔質架橋重合体1.0gを塩化メチレン200g中に加え、2時間攪拌した後、濾過し、濾液をエバポレーターで濃縮乾固させた後、アセトニトリル/水=80/20(容積比)に溶解し、各単量体濃度を液体クロマトグラフィーにて測定し、多孔質架橋重合体の残存モノマーを求めた。
【0141】
<圧縮強度>
インストロン試験機(インストロン社製;商品名Instron1186−RE5500)を用いて、24℃において、一軸(厚さ方向の)圧縮強度を測定し、国際単位系(kPa)に換算した。
【0142】
実施例1
攪拌器を備えた円筒形容器に、2−エチルヘキシルアクリレート3.0質量部(以下、単に「部」と称する)、55%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)1.8部からなる単量体成分、油溶性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート0.25部を加え、均一に溶解して、油相混合物溶液(以下、「油相」と称する)を調製した。一方、塩化カルシウム3部をイオン交換水150部に溶解して、水相水溶液(以下、「水相」と称する)を調製し、55℃に加温した。油相を55℃で攪拌しながら、これに55℃に調温した水相を5分間かけて添加し、添加終了後、10分間攪拌し続けて、W/O比=45/1の安定な油中水滴型高分散エマルション(HIPE)を得た。これに、水溶性重合開始剤としての過硫酸カリウム0.1部を10部のイオン交換水に溶解して加え、2分間攪拌した。得られたHIPEを、シート状になるように、長さ1100mm、巾100mm、厚さ5mmのステンレス製角型重合容器に流し込み、熱電対をつけた(硬化前のHIPEはヨーグルト状であるため容器の中央部に熱電対が位置するように差し込んだ。以下、同様。)後、上ブタをし、97℃の水浴に浸した。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から1.5分で95℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は27℃/分であった。
【0143】
加熱昇温開始から7分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、硬化した多孔質架橋重合体(1)を得た。7分間に分解し終わる重合開始剤量は0.083モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(1)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0144】
実施例2
実施例1において、加熱昇温開始から10分後に容器を引き上げた後は、実施例1と同様の操作を行い、多孔質架橋重合体(2)を得た。10分間に分解し終わる重合開始剤量は0.133モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(2)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0145】
実施例3
実施例1と同様の操作によって得られたHIPEを、長さ1100mm、巾30mm、厚さ5mmのステンレス製角型重合容器に流し込み、熱電対をつけた後、上ブタをし、97℃の水浴に浸した。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から0.75分で95℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は53℃/分であった。
【0146】
加熱昇温開始から10分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、硬化した多孔質架橋重合体(3)を得た。10分間に分解し終わる重合開始剤量は0.154モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(3)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0147】
実施例4
実施例1と同様の操作によって得られたHIPEを、長さ1100mm、巾100mm、厚さ20mmのステンレス製角型重合容器に流し込み、熱電対をつけた後、上ブタをし、97℃の水浴に浸した。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から3分で95℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は13℃/分であった。
【0148】
加熱昇温開始から10分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、硬化した多孔質架橋重合体(4)を得た。10分間に分解し終わる重合開始剤量は0.099モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(4)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0149】
実施例5
攪拌器を備えた円筒形容器に、2−エチルヘキシルアクリレート3.0部、55%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)1.8部からなる単量体成分、油溶性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート0.25部を加え、均一に溶解して、油相を調製した。一方、塩化カルシウム3部をイオン交換水150部に溶解して、水相を調製し、65℃に加温した。油相を65℃で攪拌しながら、これに65℃に調温した水相を5分間かけて添加し、添加終了後、10分間攪拌し続けて、W/O比=45/1の安定な油中水滴型高分散エマルション(HIPE)を得た。これに、水溶性重合開始剤としての過硫酸カリウム0.1部を10部のイオン交換水に溶解して加え、2分間攪拌した。得られたHIPEを、長さ1100mm、巾100mm、厚さ5mmのステンレス製角型重合容器に流し込み、熱電対をつけた後、上ブタをし、98℃の水浴に浸した。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から1.5分で95℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は20℃/分であった。
【0150】
加熱昇温開始から10分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、硬化した多孔質架橋重合体(5)を得た。10分間に分解し終わる重合開始剤量は0.143モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(5)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0151】
実施例6
実施例5において、過硫酸カリウム0.1部を過硫酸ナトリウム0.25部に変更し、加熱昇温開始から5分後に容器を引き上げた以外は、実施例5と同様の操作を行い、多孔質架橋重合体(6)を得た。5分間に分解し終わる重合開始剤量は0.167モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(6)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0152】
実施例7
実施例5において、過硫酸カリウム0.1部を過硫酸ナトリウム0.25部に変更し、得られたHIPEを長さ1100mm、巾100mm、厚さ20mmのPET製角型重合容器に流し込み、熱電対をつけた後、上ブタをし、98℃の水浴に浸した以外は、実施例5と同様の操作を行い、多孔質架橋重合体(7)を得た。本実施例においては、HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から3.0分で95℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は10℃/分であった。
【0153】
加熱昇温開始から7分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、硬化した多孔質架橋重合体(7)を得た。7分間に分解し終わる重合開始剤量は0.264モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(7)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0154】
実施例8
2−エチルヘキシルアクリレート3.0部、55%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)1.8部からなる単量体成分、油溶性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート0.25部を加え、均一に溶解して、油相を調製した。一方、塩化カルシウム3部と、水溶性重合開始剤としての過硫酸カリウム0.1部をイオン交換水150部に溶解して、水相を調製し、65℃に加温した。W/O比=45/1の比率で攪拌器内に連続的に供給して、65℃に調温しながら混合・乳化し、生成した油中水滴型高分散エマルション(HIPE)を連続的に抜き出し、これを水平に設置された一定速度で走行するベルト上に、幅約50cm、厚み約5mmのシート状に連続的に供給(成形)した。約90℃に制御された重合ゾーンを約20分で通過させて重合し、多孔質架橋重合体(8)を得た。この多孔質架橋重合体(8)の分解し終わる重合開始剤量は約0.18モル%(対単量体成分)であった。この連続重合装置において、HIPEは重合ゾーンに搬入された時(加熱昇温開始時)から3分後に90℃(硬化温度)に達し、HIPEの加熱昇温速度は8.3℃/分であった。多孔質架橋重合体(8)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0155】
実施例9
2−エチルヘキシルアクリレート300部、55%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)180部からなる単量体成分、油溶性界面活性剤としてソルビタンモノオレエート25部を加え、均一に溶解して、油相を調製した。一方、塩化カルシウム3部と、水溶性重合開始剤としての過硫酸カリウム10部をイオン交換水15000部に溶解して、水相を調製し、65℃に加温した。W/O比=45/1の比率で攪拌器内に連続的に供給して、65℃に調温しながら混合・乳化し、生成した油中水滴型高分散エマルション(HIPE)を連続的に抜き出し、これを水平に設置された一定速度で走行するベルト上に、幅50cm、厚み5mmのシート状に連続的に供給(成形)した。出力11kWで近赤外炉に約2分間、約95℃に制御された重合ゾーンに約8分間で通過させて重合し、多孔質架橋重合体(9)を得た。この連続重合装置において、HIPEは重合ゾーンに搬入されたとき(加熱開始時)から約1.5分後に95℃(硬化温度)に達し、HIPEの加熱昇温速度は20℃/分であった。この多孔質架橋重合体(9)の分解し終わる重合開始剤量は約0.143モル%であった。多孔質架橋重合体(9)を取り出し、離水度、表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0156】
実施例10
2−エチルヘキシルアクリレート300部、55%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)180部からなる単量体成分、油溶性界面活性剤としてソルビタンモノオレエート25部を加え、均一に溶解して、油相を調製した。一方、塩化カルシウム3部と、水溶性重合開始剤としての過硫酸ナトリウム25部をイオン交換水15000部に溶解して、水相を調製し、65℃に加温した。W/O比=45/1の比率で攪拌器内に連続的に供給して、65℃に調温しながら混合・乳化し、生成した油中水滴型高分散エマルション(HIPE)を連続的に抜き出し、これを水平に設置された一定速度で走行するベルト上に、幅50cm、厚み5mmのシート状に連続的に供給(成形)した。出力13kWで近赤外炉に約1分間、約95℃に制御された重合ゾーンに約4分間で通過させて重合し、多孔質架橋重合体(10)を得た。この連続重合装置において、HIPEは重合ゾーンに搬入されたとき(加熱開始時)から約1.5分後に95℃(硬化温度)に達し、HIPEの加熱昇温速度は20℃/分であった。この多孔質架橋重合体(10)の分解し終わる重合開始剤量は約0.406モル%であった。多孔質架橋重合体(10)を取り出し、離水度、表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0157】
実施例11
攪拌器を備えた円筒形容器に、2−エチルヘキシルアクリレート3.0部、55%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)1.8部からなる単量体成分、油溶性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート0.25部を加え、均一に溶解して、油相混合物溶液を調製した。一方、塩化カルシウム9部をイオン交換水208.2部に溶解して、水相水溶液を調製し、55℃に加温した。油相を55℃で撹拌しながら、これに55℃に調温した水相を5分間かけて添加し、添加終了後、10分間撹拌し続けて、W/O比=45/1の安定な油中水滴型高分散エマルション(HIPE)を得た。これに、水溶性重合開始剤としての過硫酸カリウム0.1部を10部のイオン交換水に溶解して加え、2分間撹拌した。得られたHIPEを、シート状になるように、長さ1100mm、巾100mm、厚さ5mmのステンレス製角型重合容器に流し込み、熱電対をつけた後、上ブタをし、97℃の水浴に浸した。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から1.5分で95℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は27℃/分であった。
【0158】
加熱昇温開始から7分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、硬化した多孔質架橋重合体(11)を得た。7分間に分解し終わる重合開始剤量は0.083モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(11)を取り出し、離水度および表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0159】
実施例12
実施例11において、加熱昇温開始から10分後に容器を引き上げた後は、実施例11と同様の操作を行い、多孔質架橋重合体(12)を得た。10分間に分解し終わる重合開始剤量は0.133モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(12)を取り出し、離水度及び表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0160】
実施例13
攪拌器を備えた円筒形容器に、2−エチルヘキシルアクリレート3.0部、55%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)1.8部からなる単量体成分、油溶性界面活性剤としてのソルビタンモノオレエート0.25部を加え、均一に溶解して、油相混合物溶液を調製した。一方、塩化カルシウム9部をイオン交換水218.2部に溶解して、水相水溶液を調製し、55℃に加温した。油相を55℃で撹拌しながら、これに55℃に調温した水相を5分間かけて添加し、添加終了後、10分間撹拌し続けて、W/O比=45/1の安定な油中水滴型高分散エマルション(HIPE)を得た。これに油溶性重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)0.1部をHIPEに加え、2分間撹拌した。得られたHIPEを、長さ1100mm、巾100mm、厚さ5mmのステンレス製角型重合容器に流し込み、熱電対をつけた後、上ブタをし、97℃の水浴に浸した。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から0.4分で95℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は27℃/分であった。
【0161】
加熱昇温開始から7分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、硬化した多孔質架橋重合体(13)を得た。7分間に分解し終わる重合開始剤量は0.099モル%(対単量体成分)であった。この多孔質架橋重合体(13)を取り出し、離水度および表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0162】
比較例1
実施例1と同様の操作によって得られた重合開始剤を含んだ65℃のHIPE約450mlを、直径90mmのポリプロピレン製円筒容器(容量:500ml)に流し込み、容器の中心部に熱電対をつけた後、上ブタをし、98℃の水浴に浸した。HIPEの厚みは約80mmであった。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から90分で90℃(硬化温度)に達し、加熱昇温速度は0.28℃/分であった。
【0163】
この操作を繰り返し、加熱昇温開始から10分後(トータル10分後)に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、比較用多孔質架橋重合体(1)を得た。10分間に分解し終わる重合開始剤量は0.0084モル%(対単量体成分)であった。しかしこの比較用多孔質架橋重合体(1)は柔らかいヨーグルト状であり、残存モノマーが55%の重合が完全に進んでいないものであり、その他の項目は測定できなかった。結果を下記表1に示す。
【0164】
比較例2
実施例1と同様の操作によって得られた重合開始剤を含んだ65℃のHIPE約450mlを、直径90mmのポリプロピレン製円筒容器(容量:500ml)に流し込み、容器の中心部に熱電対をつけた後、上ブタをし、98℃の水浴に浸した。HIPEの厚みは約80mmであった。HIPEは、水浴浸漬時(加熱昇温開始時)から90分で90℃(硬化温度)に達し、その後はほぼ一定温度を示した。加熱昇温速度は0.28℃/分であった。
【0165】
加熱昇温開始から120分後に容器を引き上げ、氷浴につけて重合を停止させた後、比較用多孔質架橋重合体(2)を得た。120分間に分解し終わる重合開始剤量は0.417モル%(対単量体成分)であった。この比較用多孔質架橋重合体(2)の離水度および表面状態を調べた後、残存モノマーや圧縮強度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0166】
比較例3
実施例1と同様の操作によって得られたHIPE約450mlを、直径90mmのポリプロピレン製円筒容器(容量:500ml)に流し込んだ。HIPEの厚みは約80mmであった。容器の中心部に熱電対をつけた後、上ブタをし、連続出力マグネトロンを用いた発振器で2450MHzのマイクロ波を発する装置中で高周波出力500Wにて昇温加熱した。しかし、HIPE中の水分を選択加熱するため、内部が90℃に達する前にかなりの水が沸騰し、HIPEが崩壊したため、昇温加熱開始から4分後に操作を中止した。
【0167】
【表1】
Figure 0005069833
【0168】
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、30分以下、好ましくは10分以下という従来からは予想もできないような非常な短時間で、しかもHIPEの乳化状態を壊すことなく、乳化状態を安定に維持したまま重合を完結でき、吸収特性に優れた多孔質架橋重合体が効率よく製造できる。
【0169】
また、本発明の製造方法は、連続重合で多孔質架橋重合体を非常に高い生産性で製造できるため、工業的にも非常に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の多孔質架橋重合体の製造方法における、代表的な幾つかの加熱開始(重合開始)から重合後の冷却までのHIPEの温度変化を示すグラフであって、本発明で規定する加熱昇温開始速度、加熱昇温開始時間、重合時間等の重要な文言の定義付けを説明するための解説図面的役割を果たす図面である。

Claims (11)

  1. 重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤を必須成分として含有する油相と、水を必須成分として含有する水相とを混合して得られる油中水滴型高分散相エマルションを60〜110℃の硬化温度まで加熱昇温させて重合させる多孔質架橋重合体の製造方法において、
    該エマルションが厚さ50mm以下に成形され、該エマルションの加熱昇温速度が5℃/分以上であることを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。
  2. 前記エマルションがフィルム状またはシート状に成形されることを特徴とする請求項1に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  3. 前記エマルションの加熱昇温速度が、5〜60℃/分であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  4. 前記エマルションの形成温度と該エマルションの硬化温度との温度差が、2〜50℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  5. 前記エマルションの形成温度が、40〜95℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  6. 前記エマルションの硬化温度が、80〜110℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  7. 前記エマルションの重合時間が、30分以内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  8. 前記エマルションが近赤外線を用いて加熱昇温されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  9. 前記エマルションを重合開始剤の存在下で重合し、前記エマルションの重合時間が30分以内であり、かつ重合時間内に分解し終わる重合開始剤の量を単量体成分に対して0.05〜2.0モル%に制御することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  10. 前記エマルションを成形から重合までの一連の操作を連続的に行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  11. 前記エマルションを連続的に成形することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
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