JP2002145912A - 多孔質架橋重合体の製造方法 - Google Patents

多孔質架橋重合体の製造方法

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JP2002145912A
JP2002145912A JP2000339226A JP2000339226A JP2002145912A JP 2002145912 A JP2002145912 A JP 2002145912A JP 2000339226 A JP2000339226 A JP 2000339226A JP 2000339226 A JP2000339226 A JP 2000339226A JP 2002145912 A JP2002145912 A JP 2002145912A
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hipe
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water
temperature
polymer
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JP2000339226A
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Hiroki Inoue
博樹 井上
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温でも安定なHIPEを調製して生産効率
よく多孔質架橋重合体を製造する方法を提供する。 【解決手段】 油中水型高分散相エマルションを形成
し、次いでこれを重合して多孔質架橋重合体を製造する
に際し、炭素数が14以上の脂肪族炭化水素残基を2本
以上有するカチオン性界面活性剤を使用し、かつ温度6
0〜150℃で乳化して該エマルションを調製するもの
である。特定の界面活性剤を使用することで、高温でも
安定なHIPEを調製することができ、このため重合温
度とHIPE温度とが近似するために、効率よく多孔質
架橋重合体を製造することができる。特にヨウ素価が3
5未満である界面活性剤を使用することで、高温でも界
面活性剤の変質が少なく、界面活性剤の酸化による臭気
の発生が無く、臭気および刺激が少なく、かつ抗菌性を
有する多孔質架橋重合体を効率的に製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油中水型高分散相
エマルション(Water in Oil type High Internal
Phase Emulsion:以下、HIPEと称する。)を形
成して多孔質架橋重合体を製造するに際し、炭素数が1
4以上の脂肪族炭化水素残基を2本以上有するカチオン
性界面活性剤を使用して該エマルションを調製すること
を特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】孔径が微細で均一な連続気泡からなる多
孔質を得る方法として、特定の界面活性剤の存在下に油
中水型高分散相エマルション(Water in Oil type
HighInternal Phase Emulsion)中で重合体を得る方
法がある。ここに、高分散相エマルションとは、該エマ
ルションの全容積に占める分散相の比率が70容量%を
超えるもの(K.J.LISSANT, Journal of Colloid and In
terface Science vol.22,462(1966))と一般にいわれて
いる。例えば、米国特許第5334621号には、この
ようなHIPEに含まれる重合性単量体を架橋重合して
多孔質材料を製造する方法(以下、HIPE法と称
す。)が開示されている。
【0003】ここにHIPE法は、(i)油溶性ビニル
単量体と分子内に2以上の官能基を有する架橋単量体と
を含有する重合性単量体混合物、(ii)エマルション
の90重量%、より好ましくは95重量%、特に好まし
くは97重量%を占める水相、(iii)ソルビタン脂
肪酸エステルとグリセロールモノ脂肪酸エステルなどの
界面活性剤、および(iv)重合開始剤とを含有するH
IPEを調製し、該HIPEを加熱し重合および架橋す
ることで多孔質材料を製造するものである。一般には、
少なくとも上記(i)と(iii)とを含む油相と、
(ii)の水相とを混合して乳化させてHIPEを調製
し、これに(iv)の開始剤を添加すると共に重合に至
適な温度に加温することで重合を開始させ、多孔質架橋
重合体を製造する。このHIPE法によれば、逆相乳化
重合により網目状の連続気泡からなる多孔質材料が形成
されるため、得られる多孔質材料は低密度かつ吸水性、
保持性、断熱性、防音性などの特性を有するものとな
る。
【0004】このようなHIPE自体の調製方法として
は、例えば、WO97/45456号公報において、H
IPEの安定化を目的として、1以上のソルビタン脂肪
酸エステルまたは糖脂肪酸エステルを使用して乳化する
HIPEの調製方法が記載されている。該HIPEの調
製温度に関する記載はないが、該HIPEが安定な範囲
であれば、25〜90℃の範囲で硬化、即ち重合できる
と記載し、実際にはソルビタンモノラウレートとジタロ
ウジメチルアンモニウムクロライドを併用した場合に、
40℃の水相を用いてHIPEを調製し、70℃で24
時間重合してポリマー材料を製造している。
【0005】また、WO97/45479号公報には、
HIPEの安定化を目的として、親油性部位とカチオン
基とを有するアニオン性界面活性剤を使用してHIPE
を調製する方法が開示されている。該HIPEの調製温
度に関する記載はないが、該HIPEは少なくとも25
℃以上で硬化、即ち重合できると記載している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、HIP
E法は、少なくとも1種の重合性モノマーを含有する油
相と水相とを界面活性剤などの乳化剤を用いて乳化し、
ついで得られたHIPEを加熱などの手段によって重合
させて多孔質架橋重合体を得るものである。これを連続
的に行う場合には、HIPE調製時間とこれに連続する
重合時間を短縮することが、生産効率を向上させるため
に要求される。そして、一般にはHIPEは乳化器で調
製され、ついで重合機においてHIPEの重合が行われ
るため、HIPEに重合開始剤を添加し、その後に加熱
することによってHIPEの重合が開始される場合に
は、乳化器内のHIPEの温度と重合機内のHIPEの
重合温度とが近似することが、HIPEの重合開始時間
を短縮できるために好ましいと考えられる。
【0007】しかしながら、一般にHIPEの含水率は
1,000〜25,000(v/v)%にも達するほど
多量の水を含むため、HIPEの安定性は極めて低く、
僅かの温度の上昇によってHIPEが不安定となる。こ
のため、通常は、予め重合開始剤を含有する油相と水相
とを温度25〜40℃で乳化して調製する方法が行われ
ているのが現状である。
【0008】また、HIPEを重合させて多孔質架橋重
合体を製造する場合には、仕込み原料の変質に基づく臭
気が発生する場合がある。このような変質は特に温度に
依存するため、HIPEに使用する成分の変質を防止し
ようとすれば、当然に低温でHIPEを調製することが
好ましい。このため、HIPEの昇温による不安定性と
あいまって、HIPEの調製は、HIPEを製造するた
めの油相の調製および水相の調製から室温近傍で行うこ
とが一般的な要求である。
【0009】この点、上記したWO97/45456号
公報やWO97/45479号公報は、HIPEの安定
化を目的とし、高温でのHIPEの重合を達成するため
になされたものである。しかしながら、実際には乳化お
よび重合過程で乳化力が低下し、離水が発生し、その安
定化は十分なものとはいえない。特に、WO97/45
456号公報に開示された方法では、40℃より高い温
度の水相を用いて乳化しようとするとHIPEの安定性
が悪く、乳化時や重合時に多量の離水を生成し、ポリマ
ー材料の性能を低下させる場合もある。
【0010】一方、得られた多孔質架橋重合体は、音や
熱を吸収するために防音材や断熱材として使用され、芳
香材や洗浄材等を含浸させる薬液含浸基材とすることが
でき、更に、油や有機溶剤などの吸収材として使用する
ことができる。また、これをオムツや衛生用品などの衛
生材としてまたは化粧用、医療用等の人体に直接触れる
用途に使用することもできる。そしてこのような場合に
は、製品たる多孔質架橋重合体の表面がかぶれや使用時
の不快感を除くために皮膚に対する刺激を出来るだけ少
ないものとすることが必要となる。しかしながら、仕込
み原料の変質などによって臭気や刺激物が発生すると、
その臭いや刺激物は製品中に残存する場合があり、これ
を十分に除去しようとすれば、洗浄工程を強化する必要
が生ずる。しかしながら、HIPEは、本来1,000
〜25,000(v/v)%の含水率を有し、HIPE
の調製自体に多量の使用水を必要とするため、洗浄水の
使用は必要な限り低減させる必要がある。特に、多孔質
架橋重合体は、外気との接触面積が大きく、このため十
分な洗浄には多量の洗浄水を必要とする。しかし、これ
は多量の廃水の処理および排出を意味するものであり、
製造コストの上昇、環境負荷の増大など好ましくない結
果をもたらすものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、HIPE
法による多孔質架橋重合体製造のプロセスを詳細に検討
したところ、炭素数が14以上の脂肪族炭化水素残基を
2本以上有するカチオン性界面活性剤を乳化剤として使
用することで、高温でも極めて安定なHIPEが形成で
きること、および該HIPEを重合することで多孔質架
橋重合体が極めて効率的に製造できることを見出し本発
明を完成させた。また、臭気の原因が乳化剤として使用
した界面活性剤に由来するものであること、少なくとも
脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ素価が35未満のカチオ
ン性界面活性剤を乳化剤として使用することで、酸化反
応によって発生する多孔質架橋重合体の臭気や分解物の
発生を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する
ものである。
【0012】(1) 油中水型高分散相エマルションを
形成し、次いでこれを重合して多孔質架橋重合体を製造
するに際し、炭素数が14以上の脂肪族炭化水素残基を
2本以上有するカチオン性界面活性剤を使用し、かつ温
度60〜150℃で乳化して該エマルションを調製する
ものである、多孔質架橋重合体の製造方法。
【0013】(2) 該脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ
素価が35未満である、上記(1)記載の多孔質架橋重
合体の製造方法。
【0014】(3) 該カチオン性界面活性剤が、硬化
牛脂アルキル鎖を有するカチオン性界面活性剤である、
上記(1)または(2)記載の多孔質架橋重合体の製造
方法。
【0015】(4) 該エマルションの調製を行った後
に、該エマルションに重合開始剤を添加して重合を開始
するものである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載
の多孔質架橋重合体の製造方法。
【0016】(5) 該エマルションを、コンベアーに
連続的に供給したのちに所定形状の賦形および重合をす
るものである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の
多孔質架橋重合体の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、油中水型高分散相エマ
ルションを形成し、次いでこれを重合して多孔質架橋重
合体を製造するに際し、炭素数が14以上の脂肪族炭化
水素残基を2本以上有するカチオン性界面活性剤を使用
し、かつ温度60〜150℃で乳化して該エマルション
を調製するものである、多孔質架橋重合体の製造方法で
ある。
【0018】次いで、HIPEを重合させて多孔質架橋
ポリマー材料を連続的に製造する態様の一例を、図1の
フローを用いて説明する。図1に示すように、HIPE
101をHIPE供給部119から連続的にシート材2
03上に供給し、回転ローラー209の設定高さ調整に
より所定厚みのシート状に成形する。シート材203は
コンベアベルト201と同期できるように巻出・巻取ロ
ーラー208,212の回転速度が制御される。シート
材205はHIPE101の厚さが一定になるようにテ
ンションをかけながら回転ローラー209,211と巻
出・巻取ローラー207,213により回転速度を制御
する。該コンベアベルト201の下部から温水シャワー
からなる加熱昇温手段219とコンベアベルト上方から
熱風循環装置からなる加熱昇温手段217によって、重
合炉215内でHIPE101を重合させて多孔質架橋
ポリマー材料102を得る。次いで、上下のシート材2
03、205をはがすと多孔質架橋ポリマー材料102
を得ることができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】[I]HIPEの調製 (1)HIPEの使用原料 HIPEの使用原料は、(a)重合性単量体、(b)架
橋性単量体および(c)炭素数が14以上の脂肪族炭化
水素残基を2本以上有するカチオン性界面活性剤を油相
を構成する必須成分として含有し、(d)水を水相を構
成する必須成分として含有するものであればよい。さら
に、必要に応じて、(e)重合開始剤、(f)塩類、
(g)その他の添加剤を油相および/または水相を構成
する任意成分として含有するものであってもよい。
【0020】(a)重合性単量体 上記重合性単量体としては、分子内に1個の重合性不飽
和基を有するものであればよく、分散または油中水型高
分散相エマルション中で重合可能であって気泡を形成で
きれば特に制限されるものではない。好ましくは少なく
とも一部は(メタ)アクリル酸エステルを含むものであ
り、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを20
質量%以上を含むものであり、特に好ましくは(メタ)
アクリル酸エステルを35質量%以上を含むものであ
る。重合性単量体として、(メタ)アクリル酸エステル
を含有することにより、柔軟性や強靭性に富む多孔質架
橋重合体を得ることができるため望ましい。
【0021】重合性単量体としては、具体的には、スチ
レン等のアリレン単量体;スチレン、エチルスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベ
ンゼンなどのモノアルキレンアリレン単量体;(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル
酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、
(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シ
クロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メ
タ)アクリル酸エステル;塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、クロロメチルスチレン等の塩素含有単量体;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル
化合物;その他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N
−オクタデシルアクリルアミド、エチレン、プロピレ
ン、ブテン等が例示できる。これらは、1種を単独で使
用する他、2種以上を併用してもよい。
【0022】上記重合性単量体の使用量は、該重合性単
量体と下記架橋性単量体からなる単量体成分全体の質量
に対し、10〜99.9質量%の範囲であることが好ま
しい。この範囲で、微細な孔径の多孔質架橋重合体が得
られるからである。より好ましくは30〜99質量%、
特に好ましくは30〜70質量%の範囲である。重合性
単量体の使用量が10質量%未満の場合には、得られる
多孔質架橋重合体が脆くなったり吸水倍率が不充分とな
ることがある。一方、重合性単量体の使用量が99.9
質量%を超える場合には、得られる多孔質架橋重合体の
強度、弾性回復力などが不足したり、充分な吸水量およ
び吸水速度を確保できないことがある。
【0023】(b)架橋性単量体 上記架橋性単量体としては、分子内に少なくとも2個の
重合性不飽和基を有するものであればよく、上記重合性
単量体と同様に、分散または油中水型高分散相エマルシ
ョン中で重合可能であって気泡を形成できれば特に制限
されるものではない。
【0024】架橋性単量体としては、具体的には、ジビ
ニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニル
アルキルベンゼン類、ジビニルフェナンスレン、ジビニ
ルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベ
ンジル、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニ
ルスルフィド等の芳香族系単量体;ジビニルフラン等の
酸素含有単量体;ジビニルスルフィド、ジビニルスルフ
ォン等の硫黄含有単量体;ブタジエン、イソプレン、ペ
ンタジエン等の脂肪族単量体;エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカン
ジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)ア
クリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリル
アミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリアリルアミ
ン、テトラアリロキシエタン、並びにヒドロキノン、カ
テコール、レゾルシノール、ソルビトールなどの多価ア
ルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化
合物などが例示できる。これらは、1種を単独で使用す
る他、2種以上を併用してもよい。
【0025】上記架橋性単量体の使用量は、上記重合性
単量体と該架橋性単量体からなる単量体成分全体の質量
に対し、0.1〜90質量%の範囲であることが好まし
く、より好ましくは1〜70質量%、特に好ましくは3
0〜70質量%の範囲である。上記架橋性単量体の使用
量が0.1質量%未満では、得られる多孔質架橋重合体
の強度、弾性回復力などが不足したり、単位体積当たり
または単位重量当たりの吸収量が不十分となり、充分な
吸水量および吸水速度を確保できないことがある一方、
上記架橋性単量体の使用量が90質量%を越えると、多
孔質架橋重合体が脆くなったり吸水倍率が不充分となる
ことがある。
【0026】(c)界面活性剤 本発明では、炭素数が14以上の脂肪族炭化水素残基を
2本以上有するカチオン性界面活性剤を使用することを
特徴とする。該脂肪族炭化水素残基は、直鎖状でもよく
分岐があってもよい。脂肪族炭化水素残基の炭素数は、
乳化物の安定性および単量体成分への溶解性の観点から
14〜30が好ましく、より好ましくは14〜28、特
に好ましくは14〜22である。なお、該カチオン性界
面活性剤に含まれる2本以上の脂肪族炭化水素残基は、
各々同一でもよく異なっていてもよい。また、カチオン
性界面活性剤としたのは、高温でのHIPEの乳化安定
性に極めて優れることが判明したからである。しかも、
抗菌性も有するため、得られた多孔質架橋重合体に抗菌
性を付与することができる。また、該カチオン性界面活
性剤は、脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ素価が、35未
満であることが好ましく、より好ましくは10以下であ
る。脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ素価が35未満であ
れば、酸化反応によって発生する多孔質架橋重合体の臭
気や分解物の発生を防止することができるからである。
【0027】本発明に用いることができるカチオン性界
面活性剤の種類としては、第4級アンモニウム塩、アル
キルアミン塩、アルキルピリジニウム塩がある。なお、
ここでいう塩としては、酢酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、塩
化物・臭化物・ヨウ化物などのハロゲン化物などであ
る。
【0028】具体的には、ジ硬化牛脂アルキルジメチル
アンモニウムクロライド、ジ硬化牛脂アルキルジメチル
アンモニウムサルフェート、ジ硬化牛脂アルキルジメチ
ルアンモニウムメチルサルフェート、ジヘキサデシルジ
メチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチ
ルアンモニウムサルフェート、ジステアリルジメチルア
ンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニ
ウムサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウム
メチルサルフェート、ジオレイルジメチルアンモニウム
クロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムサルフェ
ート、ジオレイルジメチルアンモニウムメチルサルフェ
ート、トリヘキサデシルメチルアンモニウムクロライド
などの第4級アンモニウム塩;ジステアリルアミンアセ
テート、ジステアリルメチルアミンアセテートなどのア
ルキルアミン塩;ジステアリルピリジニウムクロライド
などのアルキルピリジニウム塩などがある。
【0029】本発明では、これらの中の1種を使用する
ほか2種以上を併用することもできる。本発明では、硬
化牛脂アルキル鎖を有するカチオン性界面活性剤、特
に、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライ
ドを用いることが好ましい。これらの中でも特に高温で
の安定性に優れ、かつ脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ素
価が10以下であるため高温で乳化してHIPEを調製
した場合にも酸化反応による分解が少なく、従って界面
活性剤の分解による悪臭の発生が少ないからである。
【0030】なお、本発明では、炭素数が14以上の脂
肪族炭化水素残基を2本以上有するカチオン性界面活性
剤と共に、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性
剤、両性界面活性剤、または炭素数が14未満の脂肪族
炭化水素残基を2本以上有するカチオン性界面活性剤を
併用してもよい。併用によってHIPEの安定性が向上
する場合があるからである。
【0031】本発明では、HIPEに配合する界面活性
剤の使用量は、重合性単量体成分の質量100質量部に
対し、0.5〜30質量部であることが好ましく、より
好ましくは2〜15質量部である。界面活性剤の使用量
が0.5質量部未満の場合には、HIPEの高分散性が
不安定化することがあったり、界面活性剤本来の作用効
果が充分に発現できないことがある。一方、上記界面活
性剤の使用量が30質量部を超える場合には、得られる
多孔質架橋重合体が脆くなり過ぎることがあり、これを
超える添加に見合うさらなる効果が期待できず、不経済
である。
【0032】また、炭素数が14以上の脂肪族炭化水素
残基を有するカチオン性界面活性剤に加えて他の界面活
性剤を併用する場合には、炭素数が14以上の脂肪族炭
化水素残基を2本以上有するカチオン性界面活性剤が、
界面活性剤全体の60質量%以上であることが好まし
く、より好ましくは70質量%以上である。炭素数が1
4以上の脂肪族炭化水素残基を2本以上有するカチオン
性界面活性剤が60質量%未満である場合には、高温に
おいてHIPEの高分散性が不安定化することがある。
【0033】(d)水 上記水は、水道水、純水、イオン交換水の他、廃水の再
利用を図るべく、多孔質架橋重合体を製造して得た廃水
をそのまま、または所定の処理を行ったものを使用する
ことができる。
【0034】上記水の使用量は、連続気泡を有する多孔
質架橋重合体の使用目的(例えば、吸水材、吸油材、防
音材、フィルターなど)等によって適宜選択することが
できる。すなわち、水の使用量は、HIPEの水相/油
相(W/O)比を変化させることによって多孔質架橋重
合体の空孔比率が決定されることから、用途、目的に合
致する空孔比率になるようにW/O比を選択すれば、自
ずと決定される。
【0035】(e)重合開始剤 本発明の目的である非常に短時間でのHIPEの重合を
達成するためには、重合開始剤を用いることが好まし
い。該重合開始剤としては、逆相乳化重合で使用できる
ものであればよく、水溶性、油溶性の何れも使用するこ
とができる。
【0036】このうち、水溶性重合開始剤としては、例
えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二
塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カ
リウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酢酸カリウ
ム、過酢酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ナトリ
ウム等の過酸化物等が挙げられる。
【0037】油溶性重合開始剤としては、例えば、クメ
ンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキシ
ド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベ
ンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオ
キシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペ
ルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒ
ドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、メチルエ
チルケトンペルオキシドなどの過酸化物などが挙げられ
る。これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、
2種類以上を併用してもよい。当然のことながら、水溶
性重合開始剤と油溶性重合開始剤とを併用してもよいこ
とはいうまでもない。
【0038】上記逆相乳化重合で使用できる重合開始剤
の使用量は、上記単量体成分および重合開始剤の組み合
わせにもよるが、重合性単量体と架橋性単量体からなる
単量体成分全体の質量100質量部に対し、0.05〜
25質量部の範囲であることが好ましく、より好ましく
は1.0〜10質量部である。上記重合開始剤の使用量
が0.05質量部未満の場合には、未反応の単量体成分
が多くなり、従って、得られる多孔質架橋重合体中の残
存単量体量が増加するので好ましくない。一方、上記重
合開始剤の使用量が25質量部を超える場合には、重合
の制御が困難となったり、得られる多孔質架橋重合体中
の機械的性質が劣化するので好ましくない。
【0039】さらに、上記重合開始剤と還元剤とを組み
合わせてなるレドックス重合開始剤系を使用しても良
い。この場合、重合開始剤としては、水溶性、油溶性の
何れも使用することができ、水溶性レドックス重合開始
剤系と油溶性レドックス重合開始剤系とを併用してもよ
い。
【0040】上記還元剤のうち、水溶性還元剤として
は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、L−アス
コルビン酸、第1鉄塩、ホルムアルデヒドナトリウムス
ルホキシレート、グルコース、デキストロース、トリエ
タノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
また、油溶性還元剤としては、例えば、ジメチルアニリ
ン、オクチル酸スズ、ナフテン酸コバルト等が挙げられ
る。これらレドックス重合開始剤系の還元剤は、単独で
用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0041】上記レドックス重合開始剤系の場合の還元
剤の含有比率(質量比)は、重合開始剤(酸化剤)/還
元剤=1/0.01〜1/10、好ましくは1/0.2
〜1/5程度である。
【0042】なお、上記重合開始剤(レドックス重合開
始剤系を含む)は、少なくともHIPEの重合時に存在
していればよく、後述するように、油相および/また
は水相中に予め添加してHIPEを形成しても良いほ
か、HIPEを形成させると同時に、または形成さ
せた後に、添加しても良い。また、レドックス重合開始
剤系の場合には、重合開始剤(酸化剤)と還元剤を別々
のタイミングで添加させても良い。
【0043】(f)塩類 上記塩類としては、HIPEの安定性を改良するために
必要であれば使用してもよい。
【0044】上記塩類としては、具体的には、塩化カル
シウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネ
シウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲ
ン化物、硫酸塩、硝酸塩などの水溶性塩が挙げられる。
これらの塩類は、単独で用いてもよく、また、2種類以
上を併用してもよい。これらの塩類は、水相中に添加す
ることが好ましい。なかでも、重合時のHIPEの安定
性の観点から多価金属塩が好ましい。
【0045】この様な塩類の使用量は、水100質量部
に対し、0.1〜20質量部とすることが好ましく、よ
り好ましくは0.5〜10質量部である。塩類の使用量
が20質量部を超える場合には、HIPEから搾り出さ
れた廃水中に多量の塩類を含むことになり、廃水を処理
するコストがかさみ、これを超える添加に見合うさらな
る効果も期待できず不経済である。塩類の使用量が0.
1質量部未満の場合には、塩類の添加による作用効果が
十分に発現できないおそれがある。
【0046】(g)その他添加剤 さらに、他の各種添加剤をこれらが有する性能・機能を
付加することにより、製造条件や得られるHIPE特性
や多孔質架橋重合体の性能の向上につながるものであれ
ば適当に使用しても良く、例えば、pH調整のために、
塩基および/または緩衝剤を加えても良い。これらの他
の添加剤の使用量については、それぞれの添加の目的に
見合うだけの性能・機能、さらには経済性を十分に発揮
できる範囲内で添加すればよい。このような添加剤とし
ては、活性炭、無機粉末、有機粉末、金属粉末、消臭
剤、抗菌剤、防かび剤、香料、各種高分子などが例示で
きる。
【0047】(2)HIPEの調製法 本発明に用いることのできるHIPEの調製法について
は、60〜150℃の温度、より好ましくは75〜11
0℃、特に好ましくは85〜110℃の温度でHIPE
を調製すること以外には特に制限されるものではなく、
従来既知のHIPEの調製法を適宜利用することができ
る。以下にその代表的な調製法につき、具体的に説明す
る。
【0048】まず、それぞれ上記に規定する使用量に
て、重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤、さ
らに必要に応じて添加し得る油溶性重合開始剤(油溶性
レドックス重合開始剤系を含む)、その他の添加剤から
なる油相を構成する成分を、温度0〜150℃、より好
ましくは75〜110℃、特に好ましくは85〜110
℃で撹拌し均一の油相を調製する。
【0049】一方、それぞれ上記に規定する使用量に
て、水に、さらに必要に応じて添加し得る水溶性重合開
始剤(水溶性レドックス重合開始剤系を含む)、塩類、
その他の添加剤からなる水相を構成する成分を加えなが
ら撹拌し、60〜150℃の温度に加温して均一の水相
を調製する。より好ましくは75〜110℃、特に好ま
しくは85〜110℃である。
【0050】次に、上記により調製された、単量体成
分、界面活性剤などの混合物である油相と、水、水溶性
塩などの混合物である水相とを合一し、以下に説明する
HIPEの形成温度(乳化温度)にて、効率良く混合撹
拌して適度のせん断力をかけ、乳化することによってH
IPEを安定に調製することができる。HIPEは加温
につれて安定性が減退するために、従来は60℃を越え
る温度でHIPEを乳化することは困難であった。しか
しながら、本発明では特定の界面活性剤を乳化剤として
配合することで、高温でも安定性に優れるHIPEを調
製することができるのである。しかも、不飽和二重結合
を有する親油性基を有する界面活性剤は、加熱によって
不飽和二重結合が酸化し悪臭を発生する場合があった。
しかしながら、本発明では炭素数が14以上の脂肪族炭
化水素残基を有するカチオン性界面活性剤を使用するこ
とで、高温でも安定性に優れるHIPEを調製すること
ができるのである。このため、HIPEの乳化温度と重
合温度とを近づけることができ、重合時間を短縮するこ
とができる。また、脂肪族炭化水素残基に平均ヨウ素価
が35未満のものを使用することで、高温であっても酸
化反応による悪臭の発生を抑制することができるのであ
る。
【0051】HIPEを安定に調製するための水相と油
相の撹拌・混合法としては、油相の撹拌下、油相に水相
を数分ないし数十分に亘って連続的に添加する方法が好
ましい。また、水相成分の一部と油相成分とを撹拌・混
合してヨーグルト状のHIPEを形成し、その後に残り
の水相成分を加えながら撹拌・混合して所望のHIPE
を製造しても良い。
【0052】(3)水相/油相(W/O)比 こうして得られるHIPEの水相/油相(W/O)比
(質量比)は、連続気泡を有する多孔質架橋重合体の使
用目的(例えば、吸水材、吸油材、防音材、フィルター
など)等によって適宜選択することができるものであ
り、特に制限されるものではなく、先に規定したとおり
3/1以上のものであればよいが、好ましくは10/1
〜250/1、特には10/1〜100/1である。な
お、W/O比が3/1未満の場合には、多孔質架橋重合
体の水やエネルギーを吸収する能力が不充分で、開口度
も低くなり、得られる多孔質架橋重合体の表面の開口度
が低くなり、十分な通液性能等が得られないおそれがあ
る。但し、W/O比を変化させることによって多孔質架
橋重合体の空孔比率が決定される。したがって、用途、
目的に合致する空孔比率になるようにW/O比を選択す
ることが望ましい。例えば、オムツや衛生材料等その他
各種吸収材として使う場合、W/O比は10/1〜10
0/1程度とするのが好ましい。なお、水相と油相との
撹拌・混合により得られるHIPEは、通常、白色、高
粘度のエマルションである。
【0053】(4)HIPEの製造装置 上記HIPEの製造装置としては、特に制限されるもの
ではなく従来公知の製造装置を利用することができる。
例えば、水相と油相とを混合撹拌するために使用する撹
拌機(乳化器)としては、公知の撹拌機、混練機が使用
できる。例えば、プロペラ型、櫂型、タービン型などの
羽根の撹拌機、ホモミキサー類、ラインミキサー、ピン
ミルなどが例示でき、これらの何れでもよい。
【0054】(5)HIPEの形成温度 HIPEの形成温度(以下、乳化温度ともいう。)は、
先に記載した温度の水相と油相とを混合する温度であ
り、通常60〜150℃の範囲であり、HIPEの安定
性の点からは、好ましくは75〜110℃の範囲、より
好ましくは85〜110℃、特に好ましくは85〜95
℃の範囲である。HIPEの形成温度が60℃未満の場
合には、硬化温度によっては加熱に長持間を有する場合
があり、一方、HIPEの形成温度が150℃を超える
場合には、形成したHIPEの安定性に劣る場合があ
る。なお、油相および/または水相の温度を予め所定の
乳化温度に調整しておいて撹拌・混合して乳化し、所望
のHIPEを形成することが望ましい。ただし、HIP
Eの調製では、水相の分量が多いため、少なくとも水相
の温度を所定の乳化温度に調整しておくことが好ましい
といえる。また、乳化中に重合性単量体や架橋性単量体
の重合が開始され、重合体が生成するとHIPEが不安
定になることがある。このためHIPE調製時に予め重
合開始剤(レドックス重合開始剤系を含む)を含ませる
場合は、HIPEの乳化温度は、重合開始剤(酸化剤)
が実質的に熱分解を起こし、これによってHIPEの重
合が開始されない温度とするのが好ましい。このため、
乳化温度は、重合開始剤(酸化剤)の半減期が10時間
である温度(10時間半減期温度)よりも低温とするこ
とがより好ましい。
【0055】[II] 多孔質架橋重合体の製造 (1)重合開始剤の添加 (a)重合開始剤の添加の時期 本発明では、HIPEを形成させる前の水相および/
または油相に重合開始剤を予め添加、混合するか、H
IPEを形成させると同時に、またはHIPEを形成
させた後に重合開始剤を添加させる。による場合に
も、上記HIPEの形成法において説明したと同様
に、レドックス重合開始剤系を用いても良い。本発明で
は、の添加方法が好ましい。
【0056】(b)重合開始剤の添加方法 重合開始剤または還元剤が油溶性の場合は油相に、水溶
性の場合は水相に予め添加しておく方法が簡便である。
また、水相に油溶性重合開始剤(酸化剤)または還元剤
の乳化物を加える方法なども例示できる。
【0057】(c)重合開始剤の使用形態 また、重合開始剤は、無希釈、または水や有機溶剤の溶
液、あるいは分散体などの形態で使用することができ
る。HIPEを形成させると同時に、またはHIPEを
形成させた後に添加した場合、添加した重合開始剤は、
単量体成分の不均一な重合を回避するためにHIPEに
すばやく均一に混合することが重要である。さらに、重
合開始剤を混合したHIPEは、速やかに重合装置であ
る重合容器あるいは連続重合機に導入する。かかる観点
から、HIPEを調製する乳化器から重合容器あるいは
連続重合機への経路に還元剤または酸化剤その他の重合
開始剤の導入経路を設けてHIPEに添加し、ラインミ
キサーで混合するなどの方法が推奨される。
【0058】また、重合開始剤を含むHIPEでは、乳
化温度と重合温度との温度差が小さいときには、乳化温
度が重合温度に近いために乳化中に重合性単量体や架橋
性単量体の重合が開始され、重合体が生成するとHIP
Eが不安定になることがあるので、還元剤または酸化剤
その他の重合開始剤を重合直前にHIPEに加える方
法、即ち上記またはの方法が望ましい。本発明では
特に、エマルションの調製を行った後に、該エマルショ
ンに重合開始剤を添加して重合を開始することが好まし
い。なお、重合開始剤の使用量については、上記HIP
Eの調製法において説明したと同様であり、変わるも
のではない。
【0059】(2)HIPEの重合 (a)重合方法 次ぎに、上記HIPEの重合方法については、特に制限
されるものではなく、従来公知のHIPEの重合方法を
適宜採用することができる。通常は、HIPE中の油中
に高分散してなる水滴構造が破壊されない条件で静置重
合法で重合する。この場合、かかるHIPEをバッチご
とに重合するバッチ重合でも、または連続的にフィード
しながら層状に形成して重合する連続重合でもよい。
【0060】本発明の特徴である高温での短時間重合の
効果をよりよく活かすために、重合法は、バッチ重合よ
りもHIPEの昇温が容易にできる連続重合の方が好ま
しい。例えば、走行するベルト上にHIPEを連続的に
層状に形成して重合する連続重合法を採用することが好
ましい。具体的には、シート状の多孔質架橋ポリマーの
連続重合法としては、例えば、加熱装置によってベルト
コンベアーのベルト表面が加温される構造等の、走行す
るベルト上にHIPEを連続的に供給し、ベルトの上で
平滑なシート状にHIPEを賦形しつつ重合する方法が
ある。該コンベアーのエマルション接触面が平滑であれ
ば、HIPEを所定厚みでベルト上に供給することで所
望の厚みの連続したシート状物を得ることができる。本
発明では、HIPEを高温で調製することができるた
め、HIPEを連続的に重合する連続重合法は生産効率
が高く、重合時間の短縮効果を最も有効に利用できるの
で好ましい方法である。しかも、上記のようにシート状
のHIPEを水平搬送しながら重合することは、HIP
Eの油相と液相とが上下方向に偏向分離しやすい比較的
脆性な性状を有することを勘案しても、好ましい形状で
ある。なお、この場合にも、ブロックまたはシート状に
重合してから、例えば、厚さ各5mmのシート状などに
切断するなどの任意の形態に加工することもできる。
【0061】(b)重合温度 本発明のHIPEの重合温度も特に制限されるものでは
なく、従来公知の温度で重合することができる。通常、
60〜150℃の範囲である。HIPEの安定性、重合
速度の観点から、好ましくは75〜130℃の範囲、よ
り好ましくは85〜110℃の範囲である。重合温度が
60℃よりも低いと重合に長時間を要し、工業的生産に
好ましくない場合がある。他方、重合温度が150℃を
越える場合には、得られる多孔質架橋重合体の孔径が不
均一となったり、また多孔質架橋重合体の強度が低下す
るため好ましくない場合がある。また、重合温度は、重
合中に2段階、さらには多段階に変更させてもよく、こ
うした重合の仕方を排除するものではない。
【0062】(c)重合時間 本発明のHIPEの重合時間も、特に制限されるもので
ないが、通常、1分〜10時間の範囲である。好ましく
は1時間以内、より好ましくは30分以内、特に好まし
くは1〜20分の範囲である。重合時間が10時間を超
える場合には、生産性に劣り工業的に好ましくない場合
がある。なお、1分未満の場合には、多孔質架橋重合体
の強度が十分でない場合がある。勿論上記より長い重合
時間を採用することを排除するものではない。
【0063】なお、重合後は、所定の温度まで、冷却な
いし徐冷されるが、特に限定されず、重合された多孔質
架橋重合体を冷却することなく、後述する脱水や圧縮な
どの後処理工程に移行しても良い。
【0064】(d)重合装置 本発明に用いることのできる重合装置は、特に制限され
るものではなく、従来公知の化学装置からそれぞれの重
合法に適したものを利用または改良して使用することが
できる。例えば、バッチ重合では、使用目的に応じた形
状の重合容器を、連続重合では、圧縮用ローラを備えた
ベルトコンベア式の連続重合機などを使用できる。さら
に、これらには、重合法に適した加熱昇温手段や制御手
段など,例えば、放射エネルギーなどを利用できるマイ
クロ波や近赤外線などの活性熱エネルギー線、または熱
水や熱風などの熱媒などにより迅速に硬化温度まで昇温
できる加熱昇温手段が併設されてなるものがあるが、こ
れらに限定されるものではない。また、バッチ重合する
場合に、重合容器に注入されたHIPEの上方および下
方の表面は、重合開始から重合完了まで空気、特に空気
中に含まれる酸素と接触させないことが好ましい。こう
した表面部もきっちりとオープンセル構造を確保できる
からである。このためには、例えばベルトコンベア式の
連続重合の場合には、HIPEを供給するベルトコンベ
アの上にPETフィルムを敷き、HIPEを供給した後
にもただちに該HIPE上にPETフィルム等のシール
材を載せてシールして空気を遮断する。これらの重合装
置などの材料に関しては、特に限定されるものではない
が、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼などの金属
製、ポリエチレン,ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリ
塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂などの合成樹脂
製、これらの合成樹脂をガラス繊維や炭素繊維などの繊
維で補強した繊維強化樹脂などを使用することができ
る。
【0065】(3)多孔質架橋重合体形成後の後処理
(製品化)工程 (a)脱水 重合完結により形成された多孔質架橋重合体は、通常、
圧縮、減圧吸引およびこれらの組み合わせによって脱水
する。一般に、こうした脱水により、使用した水の50
〜98%の水が脱水され、残りは多孔質架橋重合体に付
着して残る。
【0066】脱水率は、多孔質架橋重合体の用途などに
よって、適当に設定する。通常、完全に乾燥した状態で
の多孔質架橋重合体1g当たり、1〜10gの含水量、
あるいは1〜5gの含水量となるように設定すればよ
い。
【0067】(b)圧縮 本発明の多孔質架橋重合体は、元の厚みの数分の1に圧
縮した形態にすることができる。圧縮したシート状など
の形態は、元の多孔質架橋重合体に比べて容積が小さ
く、輸送や貯蔵のコストを低減できる。圧縮形態の多孔
質架橋重合体は、多量の水に接すると吸水して元の厚み
に戻る性質があり、吸水速度は元の厚みのものより速く
なる特徴がある。
【0068】圧縮形態にするには、均一に多孔質架橋重
合体全体に圧力が加わり、一様に圧縮し得るように、多
孔質架橋重合体の形態に応じた圧縮手段を用いればよ
い。なお、全体に均一に圧力をかけやすく、既存の多く
の圧縮装置を利用でき、その操作が容易であることか
ら、シート状の形態の多孔質架橋重合体が好ましい。か
かるシート状の形態の多孔質架橋重合体では、脱水後、
所定の間隔に調整したロールやベルト間を通せばよい
が、上記の脱水工程での圧縮、あるいは減圧吸引操作に
よって、通常、幾分かのシート厚みの減少があるので、
脱水工程終了後のシート厚みが所定範囲内にあれば、改
めて圧縮工程を設ける必要はない。また、シート状以外
の形態の多孔質架橋重合体の場合には、圧縮形態にする
のに、例えば、円筒状の形態の多孔質架橋重合体では、
これと同心円の円筒状物を外側と内側に配し、外側の円
筒状物は変形しない金属製などとし、内側の円筒状物は
同心円状に均一に膨らむことができるゴム製のチューブ
等を用い、内側の円筒状物のチューブにエアを導入して
圧縮させるなど、形態に応じて適当な装置を用いて圧縮
してもよい。あるいは、円筒状の形態の多孔質架橋重合
体の内径に合致する回転軸に取り付け、外側からロール
を押しつけながら、回転軸及びロールを回転させること
で圧縮してもよい。
【0069】前工程の脱水およびこの圧縮工程で、多孔
質架橋重合体を圧縮する時の温度は、多孔質架橋重合体
のガラス転移温度より高い温度で行うのが好ましい。当
該温度が重合体のガラス転移温度より低いと多孔質構造
が破壊されたり、孔径が変化することがある。
【0070】輸送や在庫スペースの節約、取り扱いやす
さの点から、元の厚みの1/2以下に圧縮するのが効果
的である。より好ましくは元の厚みの1/4以下に圧縮
するのがよい。
【0071】(c)洗浄 多孔質架橋重合体の表面状態を改良するなどの目的で、
多孔質架橋重合体を純水や任意の添加剤を含む水溶液、
溶剤で洗浄してもよい。
【0072】(d)乾燥 以上の工程で得られた多孔質架橋重合体は、必要であれ
ば、熱風、マイクロ波などで加熱乾燥してもよく、また
加湿して水分を調整してもよい。
【0073】(e)切断 以上の工程で得られた多孔質架橋重合体は、必要であれ
ば、所望の形状、サイズに切断して各種用途に応じた製
品に加工してもよい。
【0074】(f)含浸加工 洗浄剤、芳香剤、消臭剤、抗菌剤などの添加剤を含浸加
工して機能性を付与することもできる。
【0075】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳しく説明するが、本発明の範囲がこれらの例によ
り限定されるものではない。なお、本実施例において、
多孔質架橋重合体の性能は、以下のようにして測定およ
び評価した。
【0076】(1)離水率 重合後に発生した離水を、重合容器からデカンテーショ
ンにより回収し、重量を測定し、以下の式1で離水率
(%)を算出した。
【0077】
【数1】 離水率(%)=(離水の質量/使用した水相質量)×100・・・式1 (2)自由膨潤倍率 1cm角に裁断した予め乾燥、秤量した試料を用いて、
十分な量の純水にこの試料を浸漬した。純水を吸収し膨
張した試料を、直径120mm厚さ5mmのガラスフィ
ルター(#0:Duran社製)の上に30秒間放置して、液切
りを行った後、吸液した試料の質量を測定し、以下の式
2で多孔質架橋重合体の自由膨潤倍率(g/g)を算出
した。
【0078】
【数2】 自由膨潤倍率(%)=[吸液後の試料質量−吸液前の試料質量]/(吸液前の試 料質量)×100・・・式2 (3)ヨウ素価測定方法 ヨウ素価の測定は、JIS K0070−1992年に
したがって、以下のように行った。
【0079】試料(カチオン性界面活性剤の原料アミ
ン)を、共栓つきフラスコにその推定ヨウ素価に対応す
る下表の採取量に準じて計りとり、これに四塩化炭素1
0mlを加えて試料を溶解し、ウィイス液25mlを加
えて振り混ぜた。栓をした後、適宜振り混ぜながら下表
に示す時間、常温で暗所に置いた。
【0080】
【表1】
【0081】次に、10(w/v)%ヨウ化カリウム溶
液20mlおよび水100mlを加え、振り混ぜ、1/
10モルチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定し、溶液が微
黄色になったときは、でんぷん溶液を数滴加え、よく振
り混ぜながら滴定を続け、でんぷんによる青色が消失す
るところを終点とした。別に本試験と並行して空試験を
行い、次式によってヨウ素価を算出した。
【0082】
【数3】A=[(B−C)×f×1.269]/S なお、式中、Aはヨウ素価、Bは空試験に用いた0.1
モルチオ硫酸ナトリウム溶液の量(ml)、Cは滴定に
用いた0.1モルチオ硫酸ナトリウム溶液の量(m
l)、fは0.1モルチオ硫酸ナトリウム溶液のファク
ター、Sは試料の質量(g)、1.269はヨウ素の原
子量126.9×1/100である。
【0083】(実施例1)HIPEを形成するための連
続式乳化プロセスで使用する水相を、無水塩化カルシウ
ム36.3kgと過硫酸カリウム568gを純水378
リットルに溶解して調製した。次いで、スチレン160
0g、2−エチルヘキシルアクリレート4800g、5
5%ジビニルベンゼン1600gの混合物に、界面活性
剤(乳化剤)としてジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモ
ニウムクロライド(日本油脂:製品名「カチオン2−A
BT」:含まれる脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ素価
8.0)960gを添加し油相とした。水相温度は80
℃、流量56.5cm3/秒、油相は温度22℃、流量
1.13g/秒でそれぞれ別々に動的混合装置に供給
し、動的混合装置内で1800rpmで回転するピンイ
ンペラーによって完全に混合し、一部再循環して流量5
7.6cm3/秒で79℃のHIPEを得た。
【0084】図1に示す装置を用いて、得られたHIP
E(101)をHIPE供給装置部(119)からエン
ドレスベルト式のコンベア(駆動搬送装置付き)(20
1)上に供給した。HIPE(101)は、PETフィ
ルムからなるシート材(203,205)の間に流し込
み、厚み5mmに制御した後、コンベア(201)上で
移動させ内部温度80℃に設定された重合炉(215)
を移動速度15cm/分で通過させて60分間で重合さ
せて重合体(102)を得た。
【0085】得られた重合体には離水は観察されなかっ
た。この重合体を脱水、乾燥し、自由膨潤倍率を測定し
たところ、47g/gであった。経時変化による臭気は
無かった。結果を表2に示す。
【0086】(実施例2)80℃の水相を用いる代わり
に85℃の水相を用いる以外は、実施例1と同じ方法で
HIPEを得た。得られたHIPEをコンベアー上に連
続的に供給し、ただちに該HIPEをPETフィルムで
シールして、厚みを5mmにHIPEを成形した後、コ
ンベアーで移動させて内部温度95℃に設定された重合
炉を移動速度1.25m/分で通過させて8分間で重合
させて重合体を得た。
【0087】得られた重合体には離水は観察されなかっ
た。この重合体を脱水、乾燥し、自由膨潤倍率を測定し
たところ、47g/gであった。経時変化による臭気は
無かった。結果を表2に示す。
【0088】(実施例3)実施例1と同じ方法でHIP
Eを得た。得られたHIPE250gを600mlのパ
ックエースに入れ、蓋をした後に80℃に設定されたウ
ォーターバスに60分間つけて重合体を得た。
【0089】得られた重合体には離水は観察されなかっ
た。この重合体を5mm厚にスライスした後、脱水、乾
燥し、自由膨潤倍率を測定したところ、47g/gであ
った。経時変化による臭気は無かった。結果を表2に示
す。
【0090】(比較例1)界面活性剤としてジ硬化牛脂
アルキルジメチルアンモニウムクロライドに代えて、モ
ノオレイン酸グリセリルを用いる以外は、実施例1と同
じ方法でHIPEを得た。
【0091】得られたHIPEをコンベアー上に連続的
に供給し、ただちに該HIPEをPETフィルムでシー
ルして、厚みを5mmにHIPEを成形した後、コンベ
アーで移動させて内部温度80℃に設定された重合炉を
移動速度15cm/分で通過させて60分間で重合させ
て重合体を得た。
【0092】得られた重合体には離水が観察され、離水
率は36%であった。この重合体を脱水、乾燥し、自由
膨潤倍率を測定したところ、30g/gであり吸水性が
悪く、悪臭がするものであった。結果を表2に示す。
【0093】(比較例2)水相温度として80℃に代え
て、30℃とした以外は、実施例1と同じ方法でHIP
Eを得た。
【0094】得られたHIPEをコンベアー上に連続的
に供給し、ただちに該HIPEをPETフィルムでシー
ルして、厚みを5mmにHIPEを成形した後、コンベ
アーで移動させて内部温度80℃に設定された重合炉を
移動速度15cm/分で通過させて60分間で重合させ
て重合体を得た。
【0095】得られた重合体は、重合が不十分で脱水時
に崩壊し、吸水性を有する多孔質架橋重合体を得ること
ができなかった。結果を表2に示す。
【0096】(比較例3)界面活性剤としてジ硬化牛脂
アルキルジメチルアンモニウムクロライドに代えて、モ
ノオレイン酸グリセリルを用いる以外は、実施例1と同
じ方法でHIPEを得た。
【0097】得られたHIPE250gを600mlの
パックエースに入れ、蓋をした後に、80℃に設定され
たウォーターバスに60分間つけて重合体を得た。
【0098】得られた重合体には離水は観察され、離水
率は36%であった。この重合体を5mm厚にスライス
した後、脱水、乾燥し、自由膨潤倍率を測定したとこ
ろ、30g/gと吸水性が悪く、かつ異臭がするもので
あった。結果を表2に示す。
【0099】(比較例4)界面活性剤としてジ硬化牛脂
アルキルジメチルアンモニウムクロライドに代えて、モ
ノオレイン酸ジグリセリルを用いる以外は、実施例1と
同じ方法でHIPEを得た。
【0100】得られたHIPE250gを600mlの
パックエースに入れ、蓋をした後に、80℃に設定され
たウォーターバスに60分間つけて重合体を得た。
【0101】得られた重合体には離水が観察され、離水
率は15%であった。この重合体を5mm厚にスライス
した後、脱水、乾燥し、自由膨潤倍率を測定したとこ
ろ、40g/gと吸水性が悪く、かつ異臭がするもので
あった。結果を表2に示す。
【0102】
【表2】
【0103】(実施例4)攪拌機を備えた円筒形容器
に、2−エチルヘキシルアクリレート5.1質量部(以
下、単に「部」と称する)、42%ジビニルベンゼン
(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)3.1部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1.1部から
なる単量体成分、界面活性剤(乳化剤)としてジ硬化牛
脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド(日本油
脂:製品名「カチオン2−ABT」:含まれる脂肪族炭
化水素残基の平均ヨウ素価8.0)0.7部を加え、6
5℃に加熱、撹拌し均一に溶解して、油相混合物溶液
(以下、「油相」と称する)を調製した。一方、塩化カ
ルシウム19.2部をイオン交換水460.8部に溶解
して水相水溶液(以下、「水相」と称する)を調製し、
65℃に加温した。
【0104】油相を65℃で撹拌しながら、これに65
℃に調温した水相を10分間かけて滴下し、滴下終了後
2分間撹拌を続けて、W/O=48/1のHIPEを形
成させた。得られたHIPEは安定であった。
【0105】このHIPEに重合開始剤として、t−ブ
チルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂:
製品名 パーブチルO)0.2部を加え、2分間撹拌し
た。次いで円筒形容器から攪拌機を取り外し、65℃の
恒温槽中で18時間静置重合し、多孔質材料を得た。得
られた多孔質材料は離水がなく、かつ自由膨潤倍率が4
7g/gであった。経時変化による臭気は無かった。結
果を表3に示す。
【0106】(実施例5)界面活性剤をジオレイルジメ
チルアンモニウムクロライド(日本油脂:製品名「カチ
オン2−OLR」:含まれる脂肪族炭化水素残基の平均
ヨウ素価50)0.7部とする以外は実施例4と同様に
して、油相および水相を調製し、W/O=48/1のH
IPEを形成させた。得られたHIPEは、安定なもの
であった。
【0107】このHIPEに重合開始剤として、t−ブ
チルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂:
製品名 パーブチルO)0.2部を加え、2分間撹拌し
た。次いで円筒形容器から攪拌機を取り外し、65℃の
恒温槽中で18時間静置重合し、多孔質材料を得た。得
られた多孔質材料は離水がなく、かつ自由膨潤倍率が4
7g/gであった。経時変化により若干、臭気を発生す
るようになった。結果を表3に示す。
【0108】(比較例5)界面活性剤をソルビタンモノ
オレエート(竹本油脂:製品名「バイオニンD93
5」)0.7部とする以外は実施例4と同様にして、油
相および水相を調製した。
【0109】油相を65℃で撹拌しながら、これに65
℃に調温した水相を滴下したところ、水相添加量が約2
50部のところ(W/O=25/1)で遊離水が生じ、
撹拌を継続してもこの遊離水はなくならなかった。した
がって、W/O=48/1のHIPEを形成することは
できなかった。
【0110】(比較例6)界面活性剤をジデシルジメチ
ルアンモニウムクロライド(日本油脂:製品名「カチオ
ン2−DB−800E」:含まれる脂肪族炭化水素残基
の平均ヨウ素価1.0)0.7部とする以外は実施例4
と同様にして、油相および水相を調製した。
【0111】油相を65℃で撹拌しながら、これに65
℃に調温した水相を滴下したところ、水相添加量が約1
50部のところ(W/O=15/1)でエマルションが
崩壊した。したがって、W/O=48/1のHIPEを
形成することはできなかった。
【0112】(比較例7)界面活性剤をオクタデシルト
リメチルアンモニウムクロライド(日本油脂:製品名
「カチオンAB」:含まれる脂肪族炭化水素残基の平均
ヨウ素価8.0)0.7部とする以外は実施例4と同様
にして、油相および水相を調製した。
【0113】油相を65℃で撹拌しながら、これに65
℃に調温した水相を滴下したところ、全く乳化しなかっ
た。したがって、W/O=48/1のHIPEを形成す
ることはできなかった。
【0114】(実施例6)攪拌機を備えた円筒形容器
に、2−エチルヘキシルアクリレート5.1部、42%
ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼ
ン)3.1部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト1.1部からなる単量体成分、界面活性剤(乳化剤)
としてジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロラ
イド(日本油脂:製品名「カチオン2−ABT」:含ま
れる脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ素価8.0)0.7
部を加え、95℃に加熱、撹拌し均一に溶解して、油相
を調製した。一方、塩化カアルシウム19.2部をイオ
ン交換水460.8部に溶解して水相を調製し、95℃
に加温した。
【0115】油相を95℃で撹拌しながら、これに95
℃に調温した水相を10分間かけて滴下し、滴下終了後
2分間撹拌を続けて、W/O=48/1のHIPEを形
成させた。得られたHIPEは、安定なものであった。
【0116】このHIPEに重合開始剤として、t−ブ
チルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂:
製品名 パーブチルO)0.5部を加え、2分間撹拌し
た。次いで円筒形容器から攪拌機を取り外し、95℃の
恒温槽中で30分間静置重合し、多孔質材料を得た。得
られた多孔質材料は離水がなく、かつ自由膨潤倍率が4
7g/gであった。経時変化による臭気は無かった。結
果を表3に示す。
【0117】(実施例7)界面活性剤をジオレイルジメ
チルアンモニウムクロライド(日本油脂:製品名「カチ
オン2−OLR」:含まれる脂肪族炭化水素残基の平均
ヨウ素価50)0.7部とする以外は実施例3と同様に
して、油相および水相を調製し、W/O=48/1のH
IPEを形成させた。得られたHIPEは、安定なもの
であった。
【0118】このHIPEに重合開始剤として、t−ブ
チルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂:
製品名 パーブチルO)0.2部を加え、2分間撹拌し
た。次いで円筒形容器から攪拌機を取り外し、95℃の
恒温槽中で30分間静置重合し、多孔質材料を得た。得
られた多孔質材料は離水がなく、かつ自由膨潤倍率が4
7g/gであった。経時変化により若干、臭気を発生す
るようになった。結果を表3に示す。
【0119】
【表3】
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、炭素数が14以上の脂
肪族炭化水素残基を2本以上有するカチオン性界面活性
剤を使用することで高い乳化温度でも長時間に亘って安
定なHIPEを調製することができるため、高温を維持
したままHIPEを重合して多孔質架橋重合体を製造す
ることができ、多孔質架橋重合体の生産効率を向上させ
ることができる。このため、1時間以下、30分以下と
いう従来からは予想もできないような非常な短時間で、
HIPEを重合することができる。しかも、該方法によ
れば、優れた吸水特性を有する多孔質架橋重合体を製造
することができる。
【0121】しかも、本発明では、少なくともヨウ素価
が35未満の親油性部を有する界面活性剤を使用するこ
とで、高温でも界面活性剤の酸化反応が少ないために、
界面活性剤の酸化によって発生する臭気を防止すること
ができる。
【0122】カチオン性界面活性剤は抗菌力を有し、該
界面活性剤の酸化分解が防止できるために、抗菌力が長
時間に亘り維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用した多孔質架橋重合体製造装置
を示す概略側面図である。
【符号の説明】 101…HIPE、102…多孔質架橋重合体、119
…HIPE供給装置部、201…エンドレスベルト式の
コンベア(駆動搬送装置付き)、203,205…シー
ト材、207,208…巻出ローラー、209,211
…回転ローラー、212,213…巻取ローラー、21
5…重合炉、217…加熱昇温手段、219…温水シャ
ワー。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油中水型高分散相エマルションを形成
    し、次いでこれを重合して多孔質架橋重合体を製造する
    に際し、炭素数が14以上の脂肪族炭化水素残基を2本
    以上有するカチオン性界面活性剤を使用し、かつ温度6
    0〜150℃で乳化して該エマルションを調製するもの
    である、多孔質架橋重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 該脂肪族炭化水素残基の平均ヨウ素価が
    35未満である、請求項1記載の多孔質架橋重合体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 該カチオン性界面活性剤が、硬化牛脂ア
    ルキル鎖を有するカチオン性界面活性剤である、請求項
    1または2記載の多孔質架橋重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 該エマルションの調製を行った後に、該
    エマルションに重合開始剤を添加して重合を開始するも
    のである、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質架橋
    重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 該エマルションを、コンベアーに連続的
    に供給したのちに所定形状の賦形および重合をするもの
    である、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質架橋重
    合体の製造方法。
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