JP2004527620A - 多孔質材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、油中水型高分散相エマルション(以下、HIPEと称する。)を重合して多孔質材料を製造するに際し、該製造工程において重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加して、性能が長期間安定して維持でき安定性にも優れた多孔質材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
孔径が微細で均一な連続気泡からなる多孔質材料を得る方法として、特定の界面活性剤の存在下にHIPEを形成させた後に重合体を得る方法がある。ここに、HIPEとは、該HIPEの全容積に占める分散相の比率が70容量%を超えるものとして一般に知られている。例えば特許文献1には、このようなHIPEに含まれる重合性単量体を架橋重合するHIPE法によって多孔質材料を製造する方法が開示されている。
【0003】
ここにHIPEとは、例えば(i)油溶性ビニル単量体と分子内に2以上の官能基を有する架橋性単量体とを含有する重合性単量体混合物、(ii)エマルションの90重量%、より好ましくは95重量%、特に好ましくは97重量%を占める水相、(iii)ソルビタン脂肪酸エステルとグリセロールモノ脂肪酸エステルなどの界面活性剤、および(iv)重合開始剤等から調製され、該HIPEを加熱し重合および架橋することで多孔質材料を製造することができる。このHIPE法によれば、網目状の連続気泡からなる多孔質材料が形成される。このため、HIPE法によって得られる多孔質材料は低密度かつ吸水性、保持性、断熱性、防音性などの特性を有するものとなり、おむつや生理用ナプキン等の衛生材料の吸収体、音や熱を吸収するために防音材や断熱材として使用され、芳香材や洗浄材等を含浸させる薬液含浸基材とすることができ、更に、油や有機溶剤などの吸収材として使用することができる。
【特許文献1】
米国特許第5334621号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HIPE法による多孔質材料を工業的に生産性良く製造するためには、短時間で反応を完結させることが必要である。このためには、比較的多量の重合開始剤を用いることが好ましいが、このようにして得られた多孔質材料は経時的に性能が変化するという問題が認められた。すなわち、多孔質材料に求められる物性である吸水速度、吸水倍率、材料強度等が特定条件下で放置することにより経時的に変化する現象が観察された。
【0005】
このように、長期間の保存中に多孔質材料の物性が変化するということは、例えば、衛生材料の吸収体として考えた場合、おむつや生理用品ナプキンの性能が経時的に変化するということであり、好ましくない。
【0006】
また、上記比較的多量の重合開始剤を使用し、短時間で得られた多孔質材料には、重合開始剤や単量体が残存している場合もあり、安全性の面からもこれらを低減させることが好ましい。
【0007】
従来から、HIPEを重合して得られた多孔質重合体を洗浄する方法は知られている。しかしながら、この手法を応用して残存重合開始剤や残存単量体を低減させようとした場合には多孔質材料の数倍から数十倍、条件によっては数百倍もの洗浄水が必要になりプロセスが複雑になるのみならず、この廃水処理等のプロセスも必要となり、結果的には製造コストを非常に上昇させるものとなる。
【0008】
このように、経時的に変化が無く、安定した性能を維持し、安全性にも優れた多孔質材料を複雑な工程を経ることなく生産性の良いプロセスで製造する方法はこれまでに知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、HIPE法による多孔質材料製造のプロセスを検討し、特定の重合段階で重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を該HIPE、該多孔質重合体または該多孔質材料に添加すると、長期の保存性に優れた吸水特性を有する多孔質材料が得られること、また、洗浄工程等複雑なプロセスを経なくても残存重合開始剤や残存重合性単量体レベルが低く、安全性にも優れた多孔質材料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多孔質材料の製造工程で重合開始剤を分解する化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加することで、同時に多孔質材料の保存安定性が極めて向上させることができ、製品中の重合開始剤や残存モノマーを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第一は、重合性単量体を含むHIPEを重合して多孔質重合体を得る工程を含む多孔質材料の製造方法において、重合率が70%以上の該エマルション、該多孔質重合体および/または該多孔質材料に、重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加する工程を含む、多孔質材料の製造方法である。具体的な形態としては、多孔質材料を製造する方法が、
(a)HIPEを形成する工程、
(b)該HIPEを重合して多孔質重合体を得る工程、
(c)該多孔質重合体を脱水して多孔質材料を得る工程とを順に含み、かつ上記工程(b)の工程以降で重合率が70%以上の該HIPE、該多孔質重合体および/または該多孔質材料に重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加する。
【0012】
本発明者らは、多孔質材料の物性変化などの原因について詳細に検討したところ、特定の重合率以上の該エマルション、該多孔質重合体および/または該多孔質材料に、該HIPE、該多孔質重合体および/または該多孔質材料に含まれる重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加すると、上記問題が解決されることを見出した。これらのメカニズムについては明らかではないが、長期保存中に残存している重合開始剤、残存重合性単量体(残存モノマー)等が多孔質材料の骨格、表面を変性させているということが考えられ、このような反応が抑制されたためではないかと考えられる。ゆえに、このような化合物の添加により極めて経時的な変化の少ない、保存安定性の良い多孔質材料を製造することができる。本発明は、プロセス的に大掛かりな装置を必要とせず、非常に有利なものである。
【0013】
ここに、多孔質重合体に還元剤を噴霧して多孔質材料を連続的に製造する態様の一例を、図1のフローを用いて説明する。図1に示すように、油相501と水相502とを乳化機503に導入してHIPE101を形成し、このHIPE101をHIPE供給部119から連続的にシート材203上に供給し、回転ローラー209の設定高さ調整により所定厚みのシート状に成形する。シート材203はコンベアベルト201と同期できるように巻出・巻取ローラー208,212の回転速度が制御される。シート材205はHIPE101の厚さが一定になるようにテンションをかけながら回転ローラー209,211と巻出・巻取ローラー207,213により回転速度を制御する。該コンベアベルト201の下部から温水シャワーからなる加熱昇温手段219である温水シャワーとコンベアベルト上方から熱風循環装置からなる加熱昇温手段217によって、重合炉215内でHIPE101を重合させて多孔質重合体102を得る。
【0014】
次いで、上下のシート材203、205をはがした後に該多孔質重合体102の表面に、還元性物質供給手段250の先端ノズル251から還元性物質252を噴霧する。次いで、該多孔質重合体102を脱水装置303の回転ロールによる搬送用コンベア302によって回転するベルト上に載せ、ベルトの上下に設けた圧縮ロール301の間に挟んでロールを回転しつつ脱水する。このなお、脱水した多孔質材料102’は連続して設けたエンドレスバンドナイフ式スライサー401に移送させ回転するバンドナイフ402により厚み方向にスライスすることもできる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
[I]HIPEの使用原料
HIPEの使用原料は、(a)重合性単量体(以下、単に「モノマー」ともいう)、(b)架橋性単量体および(c)界面活性剤を油相を構成する必須成分として含有し、(d)水を、水相を構成する必須成分として含有するものであればよい。さらに、必要に応じて、(e)重合開始剤、(f)塩類、(g)その他の添加剤を油相および/または水相を構成する任意成分として含有するものであってもよい。
【0016】
(a)重合性単量体
上記重合性単量体としては、分子内に1個の重合性不飽和基を有するものであればよく、分散またはHIPE中で重合可能であって気泡を形成できれば特に制限されるものではない。好ましくは少なくとも一部は(メタ)アクリル酸エステルを含むものであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを20質量%以上を含むものであり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸エステルを35質量%以上を含むものである。重合性単量体として、(メタ)アクリル酸エステルを含有することにより、柔軟性や強靭性に富む多孔質材料を得ることができるため望ましい。
【0017】
重合性単量体としては、具体的には、スチレン等のアリレン単量体;スチレン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼンなどのモノアルキレンアリレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸エステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロメチルスチレン等の塩素含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル化合物;その他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−オクタデシルアクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブテン等が例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記重合性単量体の使用量は、該重合性単量体と下記架橋性単量体からなる単量体成分全体の質量に対し、10〜99.9質量%の範囲であることが好ましい。この範囲で、微細な孔径の多孔質材料が得られるからである。より好ましくは30〜99質量%、特に好ましくは30〜70質量%の範囲である。重合性単量体の使用量が10質量%未満の場合には、得られる多孔質材料が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。一方、重合性単量体の使用量が99.9質量%を超える場合には、得られる多孔質材料の強度、弾性回復力などが不足したり、充分な吸水量および吸水速度を確保できないことがある。
【0019】
(b)架橋性単量体
上記架橋性単量体としては、分子内に少なくとも2個の重合性不飽和基を有するものであればよく、上記重合性単量体と同様に、分散またはHIPE中で重合可能であって気泡を形成できれば特に制限されるものではない。
【0020】
架橋性単量体としては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、p−エチル−ジビニルベンゼン、ジビニルアルキルベンゼン類、ジビニルナフタレン、ジビニルフェナンスレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベンジル、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド等の芳香族系単量体;ジビニルフラン等の酸素含有単量体;ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の硫黄含有単量体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等の脂肪族単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、テトラアリロキシエタン、並びにヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ソルビトールなどの多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化合物などが例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記架橋性単量体の使用量は、上記重合性単量体と該架橋性単量体からなる単量体成分全体の質量に対し、0.1〜90質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜70質量%、特に好ましくは30〜70質量%の範囲である。上記架橋性単量体の使用量が0.1質量%未満では、得られる多孔質材料の強度、弾性回復力などが不足したり、単位体積当たりまたは単位質量当たりの吸収量が不十分となり、充分な吸水量および吸水速度を確保できないことがある一方、上記架橋性単量体の使用量が90質量%を越えると、多孔質材料が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。
【0022】
(c)界面活性剤
上記界面活性剤としては、HIPEを構成する油相中で水相を乳化し得るものであれば特に制限はなく、従来公知のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。
【0023】
このうち、ノニオン性界面活性剤としては、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリスチレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ジグリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル; ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等があり、特にHLBが10以下、好ましくは2〜6のものが好ましい。これらのうち2種以上のノニオン性界面活性剤を併用してもよく、併用によりHIPEの安定性が改良される場合がある。
【0024】
カチオン性界面活性剤としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイドがある。カチオン性界面活性剤を用いることにより、得られる多孔質材料を吸水材等に利用する場合に優れた抗菌性等を付与することもできる。
【0025】
アニオン界面活性剤としては、アニオン部と油溶性部とを有するものが好ましく使用でき、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等の如きアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等の如きアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等の如きアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアヒエート等の如き脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等の如き二重結合を持った反応性アニオン乳化剤等が使用できる。アニオン性界面活性剤にカチオン性界面活性剤を併用してHIPEを調製することができる。
【0026】
なお、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を併用するとHIPEの安定性が改良される場合がある。
【0027】
上記界面活性剤の使用量は、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体成分全体の質量100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜15質量部である。界面活性剤の使用量が1質量部未満の場合には、HIPEの高分散性が不安定化することがあったり、界面活性剤本来の作用効果が充分に発現できないことがある。一方、上記界面活性剤の使用量が30質量部を超える場合には、得られる多孔質材料が脆くなり過ぎることがあり、これを超える添加に見合うさらなる効果が期待できず、不経済である。
【0028】
(d)水
上記水は、水道水、純水、イオン交換水の他、廃水の再利用を図るべく、多孔質材料を製造して得た廃水をそのまま、または所定の処理を行ったものを使用することができる。上記水の使用量は、連続気泡を有する多孔質材料の使用目的、例えば、吸水剤、衛材、吸油材、防音材、フィルター等によって適宜選択できる。
【0029】
(e)重合開始剤
本発明の目的である非常に短時間でのHIPEの重合を達成するためには、重合開始剤を用いる。該重合開始剤としては、逆相乳化重合で使用できるものであればよく、水溶性、油溶性の何れも使用することができる。
【0030】
水溶性重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ナトリウム、過酸化水素等の過酸化物等が挙げられる。
【0031】
油溶性重合開始剤としては、例えば、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシドなどの過酸化物などが挙げられる。
【0032】
これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。10時間で濃度が半分になるときの温度である10時間半減期温度の異なる2種以上の重合開始剤を併用する事が好ましい。当然のことながら、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とを併用してもよいことはいうまでもない。
【0033】
上記逆相乳化重合で使用できる重合開始剤の使用量は、上記単量体成分および重合開始剤の組み合わせにもよるが、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量体成分全体の質量100質量部に対し、0.05〜25質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜10質量部である。上記重合開始剤の使用量が0.05質量部未満の場合には、未反応の単量体成分が多くなり、従って、得られる多孔質材料中の残存単量体量が増加するので好ましくない。一方、上記重合開始剤の使用量が25質量部を超える場合には、重合の制御が困難となったり、得られる多孔質材料中の機械的性質が劣化するので好ましくない。
【0034】
さらに、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせてなるレドックス重合開始剤系を使用しても良い。レドックス重合開始剤は、重合開始剤として過酸化物のほかに更に還元剤を存在させるもので、還元剤と過酸化物とを添加すると2成分間の酸化還元反応によって活性遊離基を生成し、重合が開始される。この場合においては、重合開始剤として水溶性、油溶性の何れも使用することができ、水溶性レドックス重合開始剤系と油溶性レドックス重合開始剤系とを併用してもよい。具体的には、上記過酸化物に下記還元剤を併用する。
【0035】
上記還元剤のうち、水溶性還元剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸やチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩、亜ジチオン酸やその塩、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムなどのL−アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムなどのエリソルビン酸塩、シュウ酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硫酸第一鉄アンモニウム(モール塩)などの2価の鉄塩、塩化銅(I)、臭化銅(I)、よう化銅(I)、硫酸銅(I)、亜酸化銅、シアン化銅(I)などの1価の銅塩等がある。ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、グルコース、デキストロース、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、シュウ酸が挙げられる。また、油溶性還元剤としては、例えば、ジメチルアニリン、アニリン、p−フェニレンジアミンなどの有機アミン化合物、オクチル酸スズ、ナフテン酸コバルト等の有機酸遷移金属塩が挙げられる。これらレドックス重合開始剤の還元剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
上記レドックス重合開始剤の場合の還元剤の含有比率(質量比)は、重合開始剤(酸化剤)/還元剤=1/0.01〜1/10、好ましくは1/0.2〜1/5程度である。なお、レドックス重合開始剤では、予め還元剤を添加し、これに後から過酸化物を添加する方法と、予め過酸化物を添加し、これに後から還元剤とを添加する系とがあり、いずれでもよい。また、本発明では、重合開始剤としては、過酸化物を使用する場合に効果が優れる。
【0037】
(f)塩類
上記塩類としては、HIPEの安定性を改良するために必要であれば使用してもよい。
【0038】
上記塩類としては、具体的には、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩などの水溶性塩が挙げられる。これらの塩類は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。これらの塩類は、水相中に添加することが好ましい。なかでも、重合時のHIPEの安定性の観点から多価金属塩が好ましい。
【0039】
この様な塩類の使用量は、水100質量部に対し、0.1〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。塩類の使用量が20質量部を超える場合には、HIPEから搾り出された廃水中に多量の塩類を含むことになり、廃水を処理するコストがかさみ、これを超える添加に見合うさらなる効果も期待できず不経済である。塩類の使用量が0.1質量部未満の場合には、塩類の添加による作用効果が十分に発現できないおそれがある。
【0040】
(g)その他の添加剤
さらに、他の各種添加剤をこれらが有する性能・機能を付加することにより、製造条件や得られるHIPE特性や多孔質材料の性能の向上につながるものであれば適当に使用しても良く、例えば、pH調整のために、塩基および/または緩衝剤を加えても良い。これらの他の添加剤の使用量については、それぞれの添加の目的に見合うだけの性能・機能、さらには経済性を十分に発揮できる範囲内で添加すればよい。このような添加剤としては、活性炭、無機粉末、有機粉末、金属粉末、消臭剤、抗菌剤、防かび剤、香料、各種高分子などが例示できる。
【0041】
[II]HIPEを形成する工程
HIPEの形成方法については、特に制限されるものではなく、従来既知のHIPEの形成方法を適宜利用することができる。以下にその代表的な調製法につき、具体的に説明する。
【0042】
(a)HIPEの製造装置
HIPEの形成装置としては、特に制限されるものではなく従来公知の製造装置を利用することができる。例えば、水相と油相とを混合撹拌するために使用する撹拌機(乳化器)としては、公知の撹拌機、混練機が使用できる。例えば、プロペラ型、櫂型、タービン型などの羽根の撹拌機、ホモミキサー類、ラインミキサー、ピンミルなどが例示でき、これらの何れでもよい。
【0043】
(b)HIPE材料の混合
一般には、少なくとも重合性単量体、架橋性単量体および界面活性剤とを含む油相を構成する成分を所定温度で撹拌し均一の油相を調製し、乳化機に仕込む。一方、水に必要に応じて添加し得る塩類からなる水相を構成する成分を加えながら撹拌し、30〜95℃の所定温度に加温して均一の水相を調製し、乳化機に仕込む。後記する所定温度で効率良く混合撹拌して適度のせん断力をかけ、乳化することによってHIPEを安定に形成することができる。HIPE形成用の水相および油相には、必要に応じて他の成分を添加してもよい。
【0044】
(c)HIPEの形成温度
HIPEの形成温度(以下、乳化温度ともいう。)は、70〜110℃の範囲、より好ましくは80〜110℃の範囲である。HIPEの形成温度が70℃未満の場合には、硬化温度によっては加熱に長持間を有する場合があり、一方、HIPEの形成温度が110℃を超える場合には、形成したHIPEの安定性に劣る場合がある。なお、本明細書における乳化温度とは、重合開始剤の添加によってHIPEが重合を開始する際のHIPEの温度をいうものとする。従って、HIPEの調整時に水相および油相の温度が常に70〜110℃の範囲にある必要はない。このため、油相および/または水相の温度を予め所定の乳化温度に調整しておいて撹拌・混合して乳化し、最終的に上記温度範囲のHIPEを形成することができる。
【0045】
(d)水相/油相(W/O)比
こうして得られるHIPEの水相/油相(W/O)比(質量比)は、連続気泡を有する多孔質材料の使用目的(例えば、吸水材、吸油材、防音材、フィルターなど)等によって適宜選択することができるものであり、特に制限されるものではなく、先に規定したとおり3/1以上のものであればよいが、好ましくは10/1〜250/1、特には10/1〜100/1である。なお、W/O比が3/1未満の場合には、多孔質材料の水やエネルギーを吸収する能力が不充分で、開口度も低くなり、得られる多孔質材料の表面の開口度が低くなり、十分な通液性能等が得られないおそれがある。但し、W/O比を変化させることによって多孔質材料の空孔比率が決定される。したがって、用途、目的に合致する空孔比率になるようにW/O比を選択することが望ましい。例えば、オムツや衛生材料等その他各種吸収材として使う場合、W/O比は10/1〜100/1程度とするのが好ましい。なお、水相と油相との撹拌・混合により得られるHIPEは、通常、白色、高粘度のエマルションである。
【0046】
(e)重合開始剤の添加
HIPEは重合開始剤の添加後に重合を開始する。本発明では、温度70℃以上のHIPEに重合開始剤を添加して重合を開始させる。このため、HIPEの安定性の観点から、所定温度にHIPEを形成させた後に重合開始剤を添加させることが好ましい。
【0047】
また、重合開始剤には、レドックス系開始剤のように酸化剤と還元剤とを併用する場合があり、この場合には両者が混合した後に特に重合が促進する。このため、本明細書における「重合開始剤を添加」とは、重合開始剤が2以上の化合物を併用する場合には、該複数の重合開始剤が添加されたことをいう。重合開始剤としてレドックス重合開始剤を使用する場合には、油相および/または水相中に予め還元剤を添加してHIPEを形成し、該HIPEを所定温度に調温し、その後に過酸化物を添加することが好ましい。
【0048】
また、乳化温度および重合温度を高くすることで多孔質材料を連続的に短時間で生産することができるが、乳化温度が高い場合には重合開始剤の添加によってただちに重合が開始される。このため、本発明では、HIPEを形成する乳化機から重合容器あるいは重合機への経路に還元剤または酸化剤その他の重合開始剤の導入経路を設けてHIPEに添加し、ラインミキサーで混合することが好ましい。これによって、乳化機内におけるゲル化を防止することができる。この際に、HIPEに添加する重合開始剤の種類は問わない。従って、該経路で油溶性または水溶性の重合開始剤を添加する場合のほか、HIPE形成時に過酸化物を添加した後に、乳化機から該重合機への経路で水溶性還元剤を添加する方法も、使用する重合開始剤の種類によっては有効である。例えば、過硫酸ナトリウムとL−アスコルビン酸との組み合わせがある。
【0049】
重合開始剤は、無希釈、または水や有機溶剤の溶液、あるいは分散体などの形態で使用することができるが、特に、重合開始剤またはレドックス系重合開始剤の還元剤が油溶性の場合は油性溶媒に溶解し、水溶性の場合は水性溶媒に溶解してHIPEに添加することが効率的である。
【0050】
[III] 多孔質重合体を得る工程
(a)HIPEの賦形および重合
本発明においては、HIPEを賦形し重合するには、HIPEの形成において連続的に水相および油相を乳化機に供給してHIPEを形成し、得られたHIPEを重合して多孔質重合体を得、その後に多孔質重合体を脱水する工程を連続的に行う「連続法」や、適当な量の水相および油相を乳化機に供給し、乳化機内のHIPEを用いて多孔質重合体を得、次いでこれを脱水する「バッチ法」のいずれでもよい。しかしながら、HIPEを連続的に重合する連続重合法は生産効率が高く、重合時間の短縮効果と重合装置の短縮化とを最も有効に利用できるので好ましい方法である。すなわち、HIPEの形成、多孔質重合体を得る工程、多孔質材料を得る工程が連続的に行われることが好ましい。
【0051】
具体的には、シート状の多孔質重合体の連続重合法として、加熱装置によってベルトコンベアーのベルト表面が加温される構造の、走行するベルト上にHIPEを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状にHIPEを賦形しつつ加熱によって重合する方法がある。該コンベアーのエマルション接触面が平滑であれば、HIPEを所定厚みでベルト上に供給することで所望の厚みの連続したシート状物を得ることができる。
【0052】
また、三次元立体形状の多孔質重合体を製造するには、HIPEを該形状のメス型に注入して重合する方法、即ち注型重合を行うこともできる。なお、注型重合は上記のごとくバッチ法でもよく、型を連続して走行させる連続法でもよい。
【0053】
(b)HIPEの重合装置
本発明に用いることのできる重合装置は、特に制限されるものではなく、例えば、温度調整装置を備えたベルトコンベア方式の連続重合機、連続式注型重合機などを使用できる。もちろん、バッチ式重合槽やバッチ式注型重合機を用いることもできる。
【0054】
(c)重合温度
HIPEは従来公知の方法で重合させることができる。従って、上記重合装置にHIPEを供給し、加熱することで多孔質重合体を得ることができる。
【0055】
本発明のHIPEでは、常温〜150℃の範囲でHIPEを加熱することが好ましく、HIPEの安定性、重合速度の観点から、好ましくは70〜150℃の範囲、より好ましくは80〜130℃、特に好ましくは90〜110℃の範囲である。重合温度が常温未満では、重合に長時間を要し、工業的生産に好ましくない場合がある。他方、重合温度が150℃を越える場合には、得られる多孔質材料の孔径が不均一となったり、また多孔質材料の強度が低下するため好ましくない場合がある。また、重合温度は、重合中に2段階、さらには多段階に変更させてもよく、こうした重合の仕方を排除するものではない。
【0056】
(d)重合時間
また、HIPEの重合時間は、1分〜20時間の範囲である。好ましくは1時間以内、より好ましくは30分以内、特に好ましくは1〜20分の範囲である。重合時間が20時間を超える場合には、生産性に劣り工業的に好ましくない場合がある。特に、重合は賦形後に行われることから、賦形後の重合槽の効率化をはかることができ、重合時間を短くすることで連続的なシート状物の製造においては重合台長さを短くすることができる。なお、1分未満の場合には、多孔質材料の強度が十分でない場合がある。勿論上記より長い重合時間を採用することを排除するものではない。なお、重合後は、所定の温度まで冷却ないし徐冷されるが、特に限定されず、重合された多孔質材料を冷却することなく、後述する脱水や圧縮などの後処理工程に移行しても良い。
【0057】
ここに、本発明では、「重合時間」とは、賦形されたHIPEが重合炉に入ってから重合炉から出るまでの合計の時間をいう。本発明ではこの時間についての特別の制限はない。しかしながら、本発明のHIPEの重合時間は、1時間以内の範囲である。好ましくは30分以内、特に好ましくは1〜20分、特に好ましくは1〜10分の範囲である。重合時間が1時間を超える場合には、生産性に劣り工業的に好ましくない場合がある。なお、1分未満の場合には、多孔質材料の強度が十分でない場合がある。勿論上記より長い重合硬化時間を採用することを排除するものではない。
【0058】
[IV] 多孔質重合体の脱水工程
重合完結により形成された多孔質重合体は、通常、圧縮、減圧吸引およびこれらの組み合わせによって脱水して多孔質材料とする。一般に、こうした脱水により、使用した水の50〜98質量%の水が脱水され、残りは多孔質材料に付着して残る。
【0059】
脱水率は、多孔質材料の用途などによって適当に設定する。通常、完全に乾燥した状態での多孔質材料1g当たり、1〜10gの含水量、あるいは1〜5gの含水量となるように設定すればよい。
【0060】
この脱水工程で得た廃水はHIPEの形成に再使用することができるが、その他にも、HIPEの水相を形成するために使用した水、多孔質材料の乾燥に際して発生した水分なども廃水として使用することができる。
【0061】
[V] 重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物の添加
本発明では、上記HIPEを重合して多孔質重合体を得る工程以降、すなわち該工程の途中またはその後のいずれかの工程において重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加する。具体的には、重合率が70%以上のHIPEに重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加することを特徴とする。
【0062】
(a)重合開始剤と反応し得る化合物
本発明で使用する重合開始剤と反応し得る化合物としては、重合開始剤の作用機序にかかわらず、重合開始剤の作用を低減し、または該化合物と反応し得ることができる化合物であればよい。従って、重合開始剤として過酸化物を使用した場合には還元剤を使用し、還元剤としては、水溶性還元剤、油溶性還元剤の双方を使用することができる。
【0063】
水溶性還元剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸やチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩、亜ジチオン酸やその塩、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムなどのL−アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムなどのエリソルビン酸塩、シュウ酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硫酸第一鉄アンモニウム(モール塩)などの2価の鉄塩、塩化銅(I)、臭化銅(I)、よう化銅(I)、硫酸銅(I)、亜酸化銅、シアン化銅(I)などの1価の銅塩、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、グルコース、デキストロース、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、シュウ酸等が挙げられる。また、油溶性還元剤としては、例えば、アニリン、ジメチルアニリン、p−フェニレンジアミンなどの有機アミン化合物、オクチル酸スズ、ナフテン酸コバルト等の有機酸遷移金属塩が挙げられる。これらの還元剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
【0064】
特に、還元性物質によって過剰に含まれる重合開始剤を不活性化することができる。例えば、HIPEの重合に重合開始剤としてレドックス系重合開始剤を使用した場合には、予め添加した還元剤よりも多量の過酸化物がHIPEに添加されることが一般的であり、このためHIPEや多孔質重合体に含まれる水、更には脱水後の多孔質材料に重合開始剤が残存しまたは付着する場合がある。このような場合に、還元性物質を添加することによって経時的に安定な多孔質材料を得ることができる。
【0065】
(b)不飽和二重結合と反応し得る化合物
不飽和二重結合と反応し得る化合物としては以下の化合物がある。例えば、アンモニア、アンモニア塩、アルキルアミンもしくはその塩、ヒドロキシルアミン、リジンもしくはその塩等のアミノ基含有化合物;ハロゲン化水素、ブロモスクシンイミド、臭化ピリジウム、過臭化ジオキサン等のハロゲン含有化合物、アセチルアセトネート等のアセチル基含有化合物、活性水素を含むマクロネート等の活性水素含有化合物、過マンガン酸、重クロム酸、クロム酸、二酸化セレニウム、オゾン等のビニル二重結合を酸化する化合物、亜硫酸アルカリ、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸などの硫黄含有化合物、アルキルもしくはアリール、または置換アルキルもしくは置換アリールスルフィン酸等、またはその水溶性塩等のスルフィン含有化合物、ジ亜リン酸のアルカリ金属塩等のジ亜リン酸含有化合物、システインまたはその水溶性塩等の硫黄含有アミノ酸、L−ヒスチジン、5−アミノ−4−(アミノカルボニル)−イミダゾール塩、4−ヒドロキシメチルイミダゾール塩酸塩、4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール塩、イミダゾール−4−酢酸、イミダゾール−4,5−ジカルボキシアミド、2−イソプロピルイミダゾール、2−メチル−4−ニトロイミダゾール、4−ニトロイミダゾール、2−エチル−4−ニトロイミダゾール、2−エチルイミダゾール、ウロカニン酸、ヒスタミン等のイミダゾール誘導体、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾ−ル等のピラゾール誘導体、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、4−イミダゾリン等のイミダゾリン誘導体、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、4−ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、ピペラジン、1−ピペラジンエタノール、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、トランス2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン誘導体、モルホリン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、モルホリン脂肪酸等のモルホリン誘導体、3−ニトロピロール、3−アミノピロール等ピロール誘導体が例示できる。本発明では、これらの1種を単独で使用するほか、2種以上を併用することができる。
【0066】
不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加すると、HIPEや多孔質重合体または多孔質材料に残存するモノマーが低減する。特に多孔質材料は嵩高いために、これを圧縮して製品とし保存することが一般的である。しかしながら、モノマーが架橋重合体や多孔質材料に残存していると、保存期間中にもモノマーによる反応によって特に圧縮体でモノマーの重合反応が進行し、その結果、吸収特性が低下する可能性がある。特に、重合開始剤の残存によってこれらの架橋反応もより促進される。
【0067】
(c)溶媒
上記重合開始剤と反応し得る化合物や不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加するには、これらの化合物を水やアルコール、アセトンその他のこれらの化合物を溶解できかつHIPEや多孔質重合体、多孔質材料の品質に影響を及ぼさない溶媒に溶かして使用することが簡便である。このような溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、エーテル、THF等の水溶性の溶媒がある。本発明では、特に水溶性の重合開始剤と反応し得る化合物や不飽和二重結合と反応し得る化合物を溶解する場合には水を使用することが好ましく、油溶性の還元剤や不飽和二重結合と反応し得る化合物を使用する場合には、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類のほか、鉱物油、ヘキサン、ヘプタンなどの飽和炭化水素などを使用することが好ましい。
【0068】
これら場合の化合物の溶解濃度は特に制限はない。一般的には0.005〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%とする。
【0069】
(d)添加方法
本発明で重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加するのは、HIPEの重合途中でもよく、HIPEを重合して多孔質重合体を得た後、またはこれを脱水して多孔質材料を得る工程またはその後の工程のいずれでもよい。少なくともHIPEの一部が重合を開始し、過剰に添加された重合開始剤を除去しても多孔質重合体または多孔質材料が得られる段階であればよい。最終的に得られる多孔質材料の物性面から前記化合物の添加は、重合率が70%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
【0070】
HIPEの重合の途中で重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加するには、加熱などによってHIPE中のモノマーが重合反応を行っている段階で該化合物を液状で、例えば該化合物を含有する溶液をスプレーなどで噴霧し、または該化合物含有溶液に浸漬させることができる。重合炉内で化合物を添加する場合には、特に化合物の噴霧による方法がHIPEの温度を低下させることが少ないために好ましい。
【0071】
一方、多孔質重合体を得た後に該化合物を添加する場合には、脱水前であって、多孔がHIPEの調製水で満たされている状態で該化合物含有溶液を噴霧し、または該溶液中にHIPEを浸漬させることもできる。このような場合、多孔質重合体に化合物を添加する場合には、多孔質重合体が冷却する前に行うと、冷却操作を兼ねることができる点で好ましい。
【0072】
本発明では更に、多孔質重合体を脱水して多孔質材料としたものについて、該化合物含有溶液を噴霧し、または該溶液に浸漬させることもできる。また、該多孔質材料を所定の形状に切断し、または粉砕したものについて該化合物を添加することもできる。
【0073】
なお、HIPEは重合によって多孔質重合体となり、これを脱水して多孔質材料となるため、本発明における重合率が70〜100%の状態としては、エマルション、多孔質重合体、多孔質材料、更にこれをスライスした状態等のいずれの形態も含まれる。
【0074】
本発明においては、重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物としては、多孔質材料の製造工程の特定の1工程に限られず、複数工程で行うこともできる。また、例えば、多孔質重合体に還元性物質を添加した後、更に不飽和二重結合と反応し得る化合物を含有する溶液中に浸漬させてもよい。このように異なる段階で異なる化合物を添加すると、それぞれの薬効が十分に発揮されるために好ましい。
【0075】
また、不飽和二重結合と反応し得る化合物は、HIPEの重合率が90%以上、より好ましくは95%以上となった状態で行うと、得られる多孔質材料の吸水特性に優れる。
【0076】
[VI] 多孔質材料形成後の後処理(製品化)工程
(a)圧縮
本発明の多孔質材料は、元の厚みの数分の1に圧縮した形態にすることができる。圧縮したシート状などの形態は、元の多孔質材料に比べて容積が小さく、輸送や貯蔵のコストを低減できる。圧縮形態の多孔質材料は、多量の水に接すると吸水して元の厚みに戻る性質があり、吸水速度は元の厚みのものより速くなる特徴がある。輸送や在庫スペースの節約、取り扱いやすさの点から、元の厚みの1/2以下に圧縮するのが効果的である。より好ましくは元の厚みの1/4以下に圧縮するのがよい。
【0077】
(b)洗浄
多孔質材料の表面状態を改良するなどの目的で、多孔質材料を純水や任意の添加剤を含む水溶液、溶剤で洗浄してもよい。
【0078】
(c)乾燥
以上の工程で得られた多孔質材料は、必要であれば、熱風、マイクロ波などで加熱乾燥してもよく、また加湿して水分を調整してもよい。
【0079】
(d)切断
以上の工程で得られた多孔質材料は、必要であれば、所望の形状、サイズに切断して各種用途に応じた製品に加工してもよい。
【0080】
(e)含浸加工
洗浄剤、芳香剤、消臭剤、抗菌剤などの添加剤を含浸加工して機能性を付与することもできる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。なお、本実施例において、多孔質重合体の性能は以下のようにして測定し評価した。
【0082】
<含水率測定>
多孔質材料を約10g切り出し、減圧乾燥機(TABAI,VACUUME OVEN LHV−122)を用いて150℃で2時間減圧乾燥した。乾燥前後の質量(g)を精秤し、含水率は下式より算出した。
【0083】
【数1】
【0084】
<残存重合開始剤量の測定>
多孔質材料15gに対して1200gのイオン交換水を加え1時間放置した。その後、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製 製品番号DH−L)中で30秒間800rpmで攪拌した。攪拌後、ろ過してろ液を回収した。
【0085】
ろ液中の残存重合開始剤量の定量はヨウ素適定法を用いた。
【0086】
まず、ろ液100gをヨウ素価フラスコに投入し、ヨウ化カリウムを0.1g添加した。その後、フラスコを密栓し十分攪拌後18時間0℃で冷暗所に放置した。18時間後、冷暗所から取り出し、1%のでんぷん水溶液を2〜3ml加え、0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウムを用いて滴定し、紫色が消色するまで滴定した(Aml)。ろ液中の残存重合開始剤量は下式より計算し、該多孔質材料の含水率から、固形分当たりの残存重合開始剤量の質量ppmを算出した。
【0087】
【数2】
【0088】
<残存モノマー量の測定>
1mm角程度に細かく裁断した多孔質材料1gをアセトニトリル50g中に1時間攪拌し分散させた。攪拌後、0.2μmのろ紙で吸引ろ過しろ液を得た。ろ液を高速液体クロマトグラフィー((株)東ソー社製 LC−8020、カラム:ODS−80Ts)、キャリアー:アセトニトリル/イオン交換水=80/20、流速:1.0ml/min、温度:40℃、検出器:UV−8020)を用いて残存モノマー量を測定し、該多孔質材料の含水率から固形分当たりの残存モノマー質量%を算出した。また、重合率については下式に従って計算した。
【0089】
【数3】
【0090】
<吸水倍率測定と保存安定性評価>
製造直後と60℃1ケ月間放置後の多孔質材料の吸水倍率を測定して保存安定性の評価をした。
【0091】
まず製造直後の多孔質材料から1gの試験片を2つ切り出し、一つはポリエチレン袋中に密封して60℃1ケ月間乾燥機中に放置した。
【0092】
残りの試験片1gを25℃のイオン交換水に1時間浸漬した。浸漬後、試験片を取り出して試験偏の質量を測定した。同様の操作を60℃1ケ月間放置したサンプルについても測定した。
【0093】
吸水倍率は下式にしたがって算出した。
【0094】
【数4】
【0095】
続いて、多孔質材料の製造直後と、60℃1ケ月間放置後の吸水倍率の比より保存安定性を評価した。
【0096】
【数5】
【0097】
(製造例1)
2−エチルヘキシルアクリレート5.1質量部(以下、単に「部」と称する)、42%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)3.1部、1,6−へキサンジオールジアクリレート1.1部からなる単量体成分、界面活性剤としてグリセリンモノオレエート0.6部、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート0.1部を均一に溶解して、油相混合物溶液(以下、「油相」と称する)を調整した。一方、塩化カルシウム18部をイオン交換水425部溶解して、水相水溶液(以下、「水相」と称する)を調整し、95℃に加温した。油相と水相を上記比で連続的に乳化機である攪拌混合機内に供給し連続的にHIPEを形成させた。なお、水相と油相の比は44.3/1であった。
【0098】
得られたHIPEを連続的に攪拌混合機より抜き出し、あらかじめ95℃に加熱し、周囲に加熱、保温部材を具備したスタティックミキサーの入口より別途重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.5部を6部のイオン交換水に溶解した液を送りHIPEと重合開始剤を連続的に混合した。これにより最終的に水相と油相の比は45/1になった。
【0099】
このHIPEを、あらかじめ95℃に加熱し周囲に加熱・保温部材を具備したフレキシブルチューブを通して、95℃に加熱され、かつ水平に設置された1.2m/分で走行するベルト上に幅約50cm、厚み約5mmのシート状に連続的に成形した。続いて重合温度が95℃に制御された重合ゾーン10分間で通過後、ただちに脱水圧縮し、多孔質材料(1)を得た。多孔質材料(1)の含水率は67質量%、残存重合開始剤量は770ppm、重合率は99(%)、残存モノマー量は330(ppm)であった。
【0100】
(実施例1)
多孔質材料(1)を10g切り出し0.2質量%のL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液を1gをスプレーで噴霧した。噴霧後、25℃、相対湿度40%で16時間風乾し多孔質材料(2)を得た。多孔質材料(2)の含水率は19質量%で、残存重合開始剤量は5.5ppm、重合率は99(%)、残存モノマー量は150(ppm)であった。なお、以下の実施例及び比較例で製造した多孔質材料について、製造直後と1ヶ月後の吸水倍率、および保存安定性を表1に示す。
【0101】
(実施例2)
実施例1で0.2質量%のL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液を1gスプレーで噴霧後、130℃で2分間熱風乾燥する他は、実施例1と同じ操作を行い、多孔質材料(3)を得た。多孔質材料(3)の含水率は18質量%で、残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は140(ppm)であった。
【0102】
(実施例3)
実施例1で0.2質量%のL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液を1gスプレーで噴霧後、90℃で3分間熱風乾燥する他は、実施例1と同じ操作を行い、多孔質材料(4)を得た。多孔質材料(4)の含水率は21質量%で、残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は170(ppm)であった。
【0103】
(実施例4)
実施例1で0.2質量%のL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液の変わりに、0.2質量%のエリソルビン酸ナトリウム水溶液に変える他は実施例1と同じ操作を行い、多孔質材料(5)を得た。多孔質材料(5)の含水率は20質量%で、残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は120(ppm)であった。
【0104】
(実施例5)
実施例4で0.2質量%のエリソルビン酸ナトリウム水溶液を1gスプレーで噴霧後、130℃で2分間熱風乾燥する他は、実施例4と同じ操作を行い、多孔質材料(6)を得た。多孔質材料(6)の含水率は19質量%で残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は150(ppm)であった。
【0105】
(実施例6)
実施例5で0.1質量%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液に変える他は実施例5と同じ操作を行い、多孔質材料(7)を得た。多孔質材料(7)の含水率は20質量%で残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は70(ppm)であった。
【0106】
(実施例7)
2−エチルヘキシルアクリレート5.1部、42%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)3.1部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1.1部からなる単量体成分、界面活性剤としてグリセリンモノオレエート0.6部、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート0.1部を均一に溶解して、油相混合物溶液を調整した。一方、塩化カルシウム18部をイオン交換水425部溶解して、水相水溶液を調整し、95℃に加温した。油相と水相を上記比で連続的に乳化機である攪拌混合機内に供給し連続的にHIPEを形成させた。なお、水相と油相の比は44.3/1であった。
【0107】
得られたHIPEを連続的に攪拌混合機より抜き出し、あらかじめ95℃に加熱し、周囲に加熱、保温部材を具備したスタティックミキサーの入口より別途重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.5部を6部のイオン交換水に溶解した液を送りHIPEと重合開始剤を連続的に混合した。これにより最終的に水相と油相の比は45/1になった。
【0108】
このHIPEを、あらかじめ95℃に加熱し周囲に加熱・保温部材を具備したフレキシブチューブを通して、95℃に加熱され、かつ水平に設置された1.2m/分で走行するベルト上に幅約50cm、厚み約5mmのシート状に連続的に成形した。続いて重合温度が95℃に制御された重合ゾーン10分間で通過後、95℃の雰囲気下で、5.8質量%のL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液を100g/分で連続噴霧した。噴霧1分後、圧縮脱水し、多孔質材料(8)を得た。多孔質材料(8)の含水率は69%、残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は120(ppm)であった。
【0109】
(実施例8)
実施例7で5.8質量%のL−アスコルビン酸ナトリウム水溶液を連続噴霧量を100g/分から50g/分に変える他は実施例7と同じ操作をし、多孔質材料(9)を得た。多孔質材料(9)の含水率は68%で残存重合開始剤量は25ppm、重合率は99(%)、残存モノマー量は150(ppm)であった。
【0110】
(実施例9)
多孔質材料(9)を25℃・相対湿度40%で16時間風乾し、多孔質材料(10)を得た。多孔質材料(10)の含水率は18%で残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は110(ppm)であった。
【0111】
(実施例10)
多孔質材料(9)を120℃で3分間熱風乾燥し、多孔質材料(11)を得た。多孔質材料(11)の含水率は15%で残存重合開始剤量は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は100(ppm)であった。
【0112】
(実施例11)
2−エチルヘキシルアクリレート5.1部、42%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)3.1部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1.1部からなる単量体成分、界面活性剤としてグリセリンモノオレエート0.6部、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート0.1部を均一に溶解して、油相混合物溶液を調整した。一方、塩化カルシウム18部をイオン交換水425部溶解して、水相水溶液を調整し、95℃に加温した。油相と水相を上記比で連続的に乳化機である攪拌混合機内に供給し連続的にHIPEを形成させた。なお、水相と油相の比は44.3/1であった。得られたHIPEを連続的に攪拌混合機より抜き出し、あらかじめ95℃に加熱し、周囲に加熱、保温部材を具備したスタティックミキサーの入口より別途重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.5部を6部のイオン交換水に溶解した液を送りHIPEと重合開始剤を連続的に混合した。これにより最終的に水相と油相の比は45/1になった。このHIPEを、あらかじめ95℃に加熱し周囲に加熱・保温部材を具備したフレキシブルチューブを通して、95℃に加熱され、かつ水平に設置された1.2m/分で走行するベルト上に幅約50cm、厚み約5mmのシート状に連続的に成形した。続いて重合温度が95℃に制御された重合ゾーンを通過させた。ベルト上のHIPEが重合ゾーンに入って5分後に通過したところで、3.0質量%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を重合ゾーンの中で100g/分で連続噴霧した。重合ゾーン通過5分直後の亜硫酸水素ナトリウム噴霧前の重合率は93%であり、残存重合開始剤は980ppmであった。噴霧後さらに5分間重合ゾーンを通過させた後、圧縮脱水し、多孔質材料(12)を得た。
【0113】
多孔質材料(12)の含水率は71%、残存重合開始剤は検出されず、重合率は99(%)、残存モノマー量は60(ppm)であった。
【0114】
(比較例1)
多孔質材料(1)を25℃・相対湿度40%で16時間風乾し、比較多孔質材料(1)を得た。比較多孔質材料の含水率は21%で残存重合開始剤量は750ppm、重合率は99(%)、残存モノマー量は320(ppm)であった。
【0115】
(比較例2)
多孔質材料(1)を120℃で3分間熱風乾燥し、比較多孔質材料(2)を得た。比較多孔質材料(2)の含水率は18%で残存重合開始剤量は380ppm、重合率は99(%)、残存モノマー量は280(ppm)であった。
【0116】
(比較例3)
多孔質材料(1)を150℃で1分間熱風乾燥し、比較多孔質材料(2)を得た。比較多孔質材料(2)の含水率は14%で残存重合開始剤量は230ppm、重合率は99(%)、残存モノマー量は270(ppm)であった。
【0117】
(比較例4)
2−エチルヘキシルアクリレート5.1部、42%ジビニルベンゼン(他成分はp−エチル−ビニルベンゼン)3.1部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1.1部からなる単量体成分、界面活性剤としてグリセリンモノオレエート0.6部、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート0.1部を均一に溶解して、油相混合物溶液を調整した。一方、塩化カルシウム18部をイオン交換水425部溶解して、水相水溶液を調整し、95℃に加温した。油相と水相を上記比で連続的に乳化機である攪拌混合機内に供給し連続的にHIPEを形成させた。なお、水相と油相の比は44.3/1であった。得られたHIPEを連続的に攪拌混合機より抜き出し、あらかじめ95℃に加熱し、周囲に加熱、保温部材を具備したスタティックミキサーの入口より別途重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.5部を6部のイオン交換水に溶解した液を送りHIPEと重合開始剤を連続的に混合した。これにより最終的に水相と油相の比は45/1になった。このHIPEを、あらかじめ95℃に加熱し周囲に加熱・保温部材を具備したフレキシブチューブを通して、95℃に加熱され、かつ水平に設置された1.2m/分で走行するベルト上に幅約50cm、厚み約5mmのシート状に連続的に成形した。成形直後に10質量%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を100g/分で連続噴霧した。成形直後のHIPEの重合率は37%であった。続いて重合温度が95℃に制御された重合ゾーン10分間で通過させた。重合ゾーンを通過したHIPEの重合率は70%で、硬化状態が不十分のため多孔質材料が製造できなかった。このため、含水率、残存重合開始剤、残存モノマー、吸水倍率の測定を行うことはできなかった。
【0118】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明によれば、HIPEを重合して多孔質材料を製造するに際し、該製造工程において重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加することで、性能が長期間安定に維持でき安定性にも優れた多孔質材料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、本発明の多孔質材料の製造方法における、好適な連続重合装置の代表的な一実施態様を表す概略側面図である。
Claims (5)
- 重合性単量体を含む油中水型高分散相エマルションを重合して多孔質重合体を得る工程を含む多孔質材料の製造方法であり、重合率が70%以上である該エマルション、該多孔質重合体および/または該多孔質材料に、重合開始剤と反応し得る化合物および/または不飽和二重結合と反応し得る化合物を添加する工程を含む多孔質材料の製造方法。
- 該重合開始剤と反応し得る化合物が還元性物質である、請求項1記載の製造方法。
- 該添加方法が、該エマルション、該多孔質重合体、および/または該多孔質材料に、該重合開始剤と反応し得る化合物および/または該不飽和二重結合と反応し得る化合物を液状で噴霧するものである、請求項1または2記載の製造方法。
- 該添加方法が、該エマルション、該多孔質重合体、および/または該多孔質材料を、該重合開始剤と反応し得る化合物および/または該不飽和二重結合と反応し得る化合物を含有する溶液への浸漬である、請求項1または2記載の製造方法。
- 油中水型高分散相エマルションの形成、多孔質重合体を得る工程、多孔質材料を得る工程が連続的に行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
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