JP5066855B2 - Sram,半導体記憶装置,sramにおけるデータ維持方法,及び電子装置 - Google Patents
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Description
これに対して、不揮発性メモリであるSRAM(Static Random Access Memory)では、リフレッシュは不要である。
なお、例えば、下記特許文献1に開示されているような、DRAM構造を有するSRAMにおいてはリフレッシュが必要である。
α線によるソフトエラーでは、図5に示すごとく、α線がシリコンチップ101内を通過する時に生じる正孔及び電子が、データの記憶に関与している電荷(図中のコンデンサ102に蓄えられた電荷;例えば、40〜50fC)を消失させて、データ反転が引き起こされる。なお、図5に示すシリコンチップ101はDRAMである。
これに対して、SRAMやDRAMにおける中性子によるソフトエラーは、図5に示すごとく、中性子とシリコンの原子核との衝突によって核反応が起こり、このときの飛跡に沿って発生する電子や正孔によって生じるものであり、かかる電子や正孔によって、コンデンサ102の電荷が失われたり反転したりする。なお、図5に示すように、α線によれば約16fC/μmの電荷量が発生するのに対して、中性子によれば約160fC/μmの電荷量が発生する。
なお、一般に、東京において地上に到達する中性子の量は、11.66〜8.42個/cm2・時間であるといわれている。
そこで、本出願人は、様々な実験結果を検証することより、SRAMにおける中性子によるソフトエラーについて、α線によるソフトエラーとのふるまいの違いに着眼した。その一つが、中性子のエネルギ(すなわち、中性子が発生する電荷量)が大きいためにα線によるソフトエラーでは発生し得なかったラッチアップ現象が起こることである。
そして、中性子とシリコンの原子核との衝突によって発生する電荷が、サイリスタ構造Sにトリガをかけてサイリスタ構造Sを活性化させ、サイリスタ構造Sの電源(Vdd)とグランドとの間に電流パスを生じさせ(つまり、ラッチアップ現象を生じさせ)、その結果として、データが破壊されるのである。
しかも、電源Vddとグランドとを結ぶパスが一旦できてしまうと、リーク電流は流れ続けるので、一つのメモリセルのデータが破壊されるだけでなく、他のメモリセルのデータも破壊されてマルチビットエラーが発生する。
このように、本出願人は、SRAMにおける中性子によるソフトエラーでは、ECCでは修復することができない、ラッチアップ現象によるデータ破壊が発生していること、及び、そのメカニズムを解明した。
また、上記目的を達成するために、本発明のSRAMにおけるデータ維持方法は、中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく、SRAMのメモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュステップと、前記メモリセルの構造により寄生的に存在し前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間を、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて算出する算出ステップとを含み、前記リフレッシュステップは、算出された前記データ破壊時間よりも短い時間間隔で、前記リフレッシュを実行することを特徴としている。
〔1〕本発明の第1実施形態について
まず、図1に示すブロック図を参照しながら、本発明の第1実施形態としての半導体記憶装置の構成について説明する。この図1に示すように、本半導体記憶装置1は、SRAM(Static Random Access Memory)10及びリフレッシュ部20をそなえて構成されている。
メモリセルアレイ11は、データを記憶する記憶部であり、例えば、図2に示すような、6トランジスタのメモリセル11aを複数そなえており、各メモリセルにデータが保持されている。
行デコーダ12は、外部から入力されるアドレスをデコードしてメモリセルアレイ11における特定の行アドレスを活性化するものである。
第1制御部14は、外部から入力されるチップ選択を行なう信号(CS;Chip Select)や、リード信号(READ)もしくはライト信号(WRITE)を受けて、これらの信号(図中“R/W制御信号”と表記)に基づいて、これらの信号に対応する処理を実行するための内部タイミングを生成して、行デコーダ12や列デコーダ13に処理を実行させるものである。
リフレッシュ部20は、タイマ値設定部21,リフレッシュカウンタ22,マルチプレクサ23,及び第2制御部24をそなえて構成されている。
タイマ値設定部21は、SRAM10のメモリセルアレイ11をリフレッシュすべき一定周期(時間間隔)を設定・保持するものであり、リフレッシュすべき周期を算出する算出部21aと、この算出部21aによって算出された周期を保持するレジスタ21bとをそなえて構成されている。
つまり、メモリセル11aの蓄積電荷Qは、電源電圧Vとノード容量Cとによって、下記式(1)に示すように表わすことができる。
一方、蓄積電荷Qは、下記式(2)に示すように、サイリスタ構造Sにおけるラッチアップ現象によるリーク電流Iの積分値として表わすことができる。
Q=∫Idt ・・・(2)
ここで、式(2)における∫dtを“T”と置き換えると、下記式(3)を得ることができ、したがって、この“T”はデータ破壊時間を表わすものであるといえる。
そして、上記式(1),(3)より下記式(4)が成立する。
CV=IT ・・・(4)
ところで、リーク電流Iは拡散抵抗R3の抵抗値Rにより、下記式(5)で表わすことができるので、下記式(5)を上記式(4)に代入することによって、下記式(6)を得ることができる。
T=CR ・・・(7)
リフレッシュカウンタ22は、リフレッシュすべきメモリセル11aのアドレスを指定するためのカウンタであり、タイマ値設定部21において設定された時間間隔(つまり、算出部21aによって算出され、レジスタ21bに保持された時間間隔)で定期的に、かかるアドレスをマルチプレクサ23に対して出力する。
マルチプレクサ23は、外部から入力されるSRAM10へのアクセス(例えば、データの書込みや読出)のためのアドレスと、リフレッシュカウンタ22から出力されるアドレスとのいずれかを一つを選択して出力する、すなわち、SRAM10へのアクセスのためのアドレス(外部アドレス)と、リフレッシュのためのアドレス(すなわち、リフレッシュとしての擬似的な読出動作を実行させるためのアドレス)との出力を切り換えるものであり、第2制御部24に制御されて、かかる切り換えを実行する。
次に、図3に示すブロック図を参照しながら、本発明の第2実施形態としてのSRAMの構成について説明する。なお、図3において既述の符号と同一の符号は、既述の符号と同一の部分もしくは略同一の部分を示しているため、ここではその詳細な説明は省略する。
したがって、本SRAM2における、メモリセルアレイ11,行デコーダ12,列デコーダ13,タイマ値設定部21,リフレッシュカウンタ22,及びマルチプレクサ23は、上記第1実施形態の半導体記憶装置1のものと同一のものであり、本SRAM2は、制御部3が、上記第1実施形態の半導体記憶装置1の第1制御部14及び第2制御部24の機能を兼ね備えている点だけが、かかる半導体記憶装置1とは異なる。
このように、本発明の第2実施形態としてのSRAM2によれば、上述した第1実施形態の半導体記憶装置1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、SRAM10もしくはSRAM2におけるメモリセルアレイ11が6トランジスタのメモリセル11aを複数そなえて構成されている場合を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも、SRAMのメモリセルアレイがCMOS構造を有するメモリセルをそなえているか、もしくは、寄生的にサイリスタ構造が存在するような構造のメモリセルをそなえていればよい。
さらに、上述した本発明の第1実施形態としての半導体記憶装置1(つまり、SRAM10及びリフレッシュ部20)は図9に示すごとく電子装置4aにそなえられるものであり、また、第2実施形態としてのSRAM2は図10に示すごとく電子装置4bにそなえられるものである。
より具体的には、例えば図11に示すように、処理システム30を構成する電子装置としての情報処理装置31に、データを記憶するメモリ部(SRAM)10と、メモリ部10のメモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュ部20とがそなえられている。
(付記1)
データを記憶するSRAM(Static Random Access Memory)であって、
メモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュ部をそなえて構成されていることを特徴とする、SRAM。
前記リフレッシュ部が、中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記1記載のSRAM。
(付記3)
前記メモリセルの構造により寄生的に存在し、前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間よりも短い時間間隔で、前記リフレッシュ部が前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記2記載のSRAM。
前記リフレッシュ部が、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて、前記データ破壊時間を算出することを特徴とする、付記3記載のSRAM。
(付記5)
前記リフレッシュ部が、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記3または付記4記載のSRAM。
データを記憶するSRAM(Static Random Access Memory)と、
該SRAMのメモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュ部とをそなえて構成されていることを特徴とする、半導体記憶装置。
(付記7)
前記リフレッシュ部が、中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記6記載の半導体記憶装置。
前記メモリセルの構造により寄生的に存在し、前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間よりも短い時間間隔で、前記リフレッシュ部が前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記7記載の半導体記憶装置。
前記リフレッシュ部が、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて、前記データ破壊時間を算出することを特徴とする、付記8記載の半導体記憶装置。
(付記10)
前記リフレッシュ部が、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記8または付記9記載の半導体記憶装置。
データを記録するSRAM(Static Random Access Memory)におけるデータ維持方法
であって、
中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく、メモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュステップを含んでいることを特徴とする、SRAMにおけるデータ維持方法。
前記リフレッシュステップは、前記メモリセルの構造により寄生的に存在し、前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間よりも短い時間間隔で、前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記11記載のSRAMにおけるデータ維持方法。
前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて、前記データ破壊時間を算出する算出ステップを含んでいることを特徴とする、付記12記載のSRAMにおけるデータ維持方法。
(付記14)
前記リフレッシュステップは、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記12または付記13記載のSRAMにおけるデータ維持方法。
データを記憶するSRAM(Static Random Access Memory)をそなえた電子装置であって、
該SRAMのメモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュ部をそなえて構成されていることを特徴とする、電子装置。
前記リフレッシュ部が、中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記15記載の電子装置。
(付記17)
前記メモリセルの構造により寄生的に存在し、前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間よりも短い時間間隔で、前記リフレッシュ部が前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記16記載の電子装置。
前記リフレッシュ部が、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて、前記データ破壊時間を算出することを特徴とする、付記17記載の電子装置。
(付記19)
前記リフレッシュ部が、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、付記17または付記18記載の電子装置。
2,10 SRAM(Static Random Access Memory)
3 制御部
4a,4b 電子装置
11 メモリセルアレイ
11a,100 メモリセル
12 行デコーダ
13 列デコーダ
14 第1制御部
20,20´ リフレッシュ部
21 タイマ値設定部
21a 算出部
21b レジスタ
22 リフレッシュカウンタ
23 マルチプレクサ
24 第2制御部
30 処理システム
31 情報処理装置
32 CPU(Central Processing Unit)
33 書き込み/読み出し制御部
34 入出力制御部
35 入力装置
36 出力装置
101 シリコンチップ
102 コンデンサ
103 CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構造
S サイリスタ構造
Tr1,Tr2 寄生トランジスタ
R1〜R4 拡散抵抗
Claims (8)
- データを記憶するSRAM(Static Random Access Memory)であって、
中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく、メモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュ部をそなえ、
前記リフレッシュ部は、
前記メモリセルの構造により寄生的に存在し前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間を、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて算出し、
算出された前記データ破壊時間よりも短い時間間隔で前記リフレッシュを実行することを特徴とする、SRAM。 - 前記リフレッシュ部が、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、請求項1記載のSRAM。
- データを記憶するSRAM(Static Random Access Memory)と、
中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく、該SRAMのメモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュ部とをそなえ、
前記リフレッシュ部は、
前記メモリセルの構造により寄生的に存在し前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間を、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて算出し、
算出された前記データ破壊時間よりも短い時間間隔で前記リフレッシュを実行することを特徴とする、半導体記憶装置。 - 前記リフレッシュ部が、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、請求項3記載の半導体記憶装置。
- データを記録するSRAM(Static Random Access Memory)におけるデータ維持方法であって、
中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく、メモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュステップと、
前記メモリセルの構造により寄生的に存在し前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間を、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて算出する算出ステップとを含み、
前記リフレッシュステップは、算出された前記データ破壊時間よりも短い時間間隔で、前記リフレッシュを実行することを特徴とする、SRAMにおけるデータ維持方法。 - 前記リフレッシュステップは、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、請求項5記載のSRAMにおけるデータ維持方法。
- データを記憶するSRAM(Static Random Access Memory)をそなえた電子装置であって、
中性子によるソフトエラーによって前記データが破壊されるのを防止すべく、該SRAMのメモリセルにおける電荷の状態を維持するためのリフレッシュを行なうリフレッシュ部をそなえ、
前記リフレッシュ部は、
前記メモリセルの構造により寄生的に存在し前記中性子によって活性化されるサイリスタ構造のラッチアップによって前記データが破壊されるまでのデータ破壊時間を、前記データを保持する前記メモリセルのノード電荷と、前記サイリスタ構造においてリーク電流が通過する抵抗の抵抗値とに基づいて算出し、
算出された前記データ破壊時間よりも短い時間間隔で前記リフレッシュを実行することを特徴とする、電子装置。 - 前記リフレッシュ部が、前記データ破壊時間に基づいて定期的に前記リフレッシュを実行することを特徴とする、請求項7記載の電子装置。
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