JP5066311B2 - 配線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア基板に電子部品を内臓し且つこのコア基板を貫通するスルーホール導体を有する配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における配線基板の小型化および配線基板内における配線の高密度化に対応するため、配線基板の第1主面上にICチップなどの電子部品を搭載するだけでなく、コア基板(配線基板本体)の内部に電子部品を内蔵する配線基板が提案されている。
例えば、図8に示す配線基板40は、絶縁性のコア基板42に穿孔した貫通孔45に埋込樹脂46を介してチップ状の電子部品50を内臓している。この電子部品50は、図8に示すように、一対の側辺から上・下端52,53に突出する複数の電極51をそれぞれ対称に有している。かかる電極51は、その上・下端52,53に接触するハンダバンプ54を介して、コア基板42の表・裏面43,44に形成された所定パターンの配線層57,58と接続されている。
【0003】
また、コア基板42における貫通孔45の周囲には、当該コア基板42を貫通する複数のスルーホール47内にスルーホール導体48が貫通孔45に沿って個別に形成されている。かかる導体48は、内部に充填樹脂49を有する。
更に、図8に示すように、コア基板42の表・裏面43,44には、樹脂製の絶縁層55,56が形成されると共に、所定パターンを有し且つ電子部品50の電極51の上・下端52,53と接続する配線層57,58が形成される。加えて、絶縁層55,56には、これを貫通し且つ配線層57,58と接続するビア導体59,60が形成され、その上・下端には別の配線層63,64が形成されると共に、これらの上下には絶縁層61,62が個別に形成されている。
【0004】
ところで、以上のような配線基板40では、図8に示すように、電子部品50の電極51とスルーホール導体48とは、ハンダバンプ54、配線層57,58、ビア導体59,60、配線層63,64、および、ビア導体59,60と迂回する経路により接続されている。この結果、電子部品50の電極51とスルーホール導体48との接続配線が長くなるため、かかる配線における抵抗やインダクタンスクタンスが高くなる。これにより、電子部品50への給電が不十分になったり、電子部品50から図示しない第1主面に搭載するICチップへの給電に損失および遅延を生じてスイッチングノイズが発生し易くなるなど、配線基板40内における電気的特性が不安定になる場合が生じる、という問題があった。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、コア基板に内蔵する電子部品が所要の機能を発揮すると共に、内部の電気的特性が安定する配線基板を提供すること、を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、コア基板に内蔵する電子部品とコア基板を貫通するスルーホール導体との接続経路を可及的に短くすることに着目して、成されたものである。
即ち、本発明の配線基板(請求項1)は、第1主面上に搭載される半導体素子に接続される接続端子が形成された配線基板であって、表面および裏面を有するコア基板と、このコア基板における表面と裏面との間を貫通する貫通孔、あるいはコア基板において表面に開口する凹部と、上記貫通孔または凹部内に埋込樹脂を介して内蔵され且つ上記コア基板の表面に電極を有する電子部品と、上記貫通孔または凹部の側面の周囲に沿って位置し且つコア基板における表面と裏面との間を貫通する複数のスルーホール導体と、を備え、上記埋込樹脂の表面とスルーホール導体の上端とは、同一平面において形成され、上記電子部品の電極とスルーホール導体の上端とは、埋込樹脂の表面上に形成された配線を介して接続されており、上記電子部品の電極と上記半導体素子の電極とは、ビア導体を介して接続されている、ことを特徴する。
【0007】
これによれば、電子部品の電極とスルーホール導体の上端とは、コア基板に形成した貫通孔または凹部に充填された埋込樹脂の表面上に形成した配線を介して最短の経路で接続される。この結果、電子部品への給電や電子部品からの接地が確実になるため、当該電子部品の機能を十分に発揮させ得ると共に、配線基板内における電気的特性を安定化させることもできる。更に、第1主面に搭載される半導体素子への給電時において、損失や遅延を生じ、スイッチングノイズが生じ易くなり、電気的な特性が不安定化になる、という問題を解消でき、引いては、半導体素子への給電も安定化し得る。
尚、電子部品には、コンデンサ、インダクタ、抵抗、フィルタ等の受動部品や、ローノイズアンプ(LNA)、トランジスタ、半導体素子、FET等の能動部品、或いはこれらのチップ状のものが含まれると共に、これらの異種の電子部品同士を同じ貫通孔や凹部内に内蔵しても良い。また、電子部品には、コア基板の表面または裏面の一方にのみ電極を有する形態も含まれる。
【0008】
付言すれば、表面および裏面を有するコア基板と、このコア基板における表面と裏面との間を貫通する貫通孔、あるいはコア基板において表面に開口する凹部と、上記貫通孔または凹部内に埋込樹脂を介して内蔵され且つ上記コア基板の表面に電極を有する電子部品と、上記貫通孔または凹部の側面の周囲に沿って位置し且つコア基板における表面と裏面との間を貫通するスルーホール導体と、を備え、上記電子部品の電極とスルーホール導体の上端とは、上記コア基板の表面配線上および上記埋込樹脂の表面上に形成した配線を介して接続されている、配線基板も本発明に含まれ得る。
【0009】
これによる場合、前述した電子部品の機能発揮や電気的特性の安定化に加え、電子部品を埋込樹脂によって埋設しつつコア基板に強固に内蔵できるため、電子部品をスルーホール導体や基板内の配線層と正確に接続し且つ所要の動作を確実に発揮させることが可能となる。
【0010】
付言すれば、前記電子部品の電極とこれに隣接するスルーホール導体とは、同じ電源用またはグランド(接地)用回路に接続されている、配線基板も本発明に含まれ得る。これによる場合、隣接する電極とスルーホール導体との間を最も最短の長さで接続することができる。
また、前記電子部品の電極とこれに隣接するスルーホール導体とが、正・負逆の電荷に帯電された第1電位または第2電位となるように配置されている、配線基板も本発明に含まれ得る。これによる場合、隣接する電極とスルーホール導体との間における相互インダクタンスを増加させ、且つ両者に跨る全体のループインダクタンスを低減することが可能となる。これにより、基板内の電子部品と配線層間の通電や、配線層同士間の通電を安定させ且つ確実に行わしめ得る。尚、上記「隣接する」とは「間近」、即ち「一番近い」ことを指す。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の一形態の配線基板1における主要部の断面を示す。
配線基板1は、図1に示すように、絶縁性のコア基板(配線基板本体)2と、その表面3上と裏面4下とに形成した配線層14,20,26,15,21,27と、絶縁層16,22,28,17,23,29とからなるビルドアップ層とを有する多層基板である。上記配線層14などの厚さは約15μm程度であり、絶縁層16などの厚さは約30μm程度である。
コア基板2は、平面視が略正方形で厚さ約0.8mmのガラス布入りのエポキシ樹脂からなり、その中央部をパンチングすることにより、図2(A)に示すように、平面視が略正方形で一辺が12mmの貫通孔5が穿孔されている。尚、コア基板2の表・裏面3,4には、予め銅箔2cがそれぞれ貼り付けられている。
【0012】
コア基板2の貫通孔5内には、シリカフィラなどの無機フィラを含むエポキシ系の埋込樹脂(樹脂を含む複合材料)13を介して、複数のチップコンデンサ(電子部品)10が内蔵されている。チップコンデンサ10は、両側面10aにおいて上下端に突出し且つコア基板2の表面3から裏面4に向けて延びるように表・裏面3,4に位置する銅製の電極11,12を対称に複数設けている。
かかるチップコンデンサ10は、例えばチタン酸バリウムを主成分とする誘電層と内部電極であるNi層とを交互に積層したセラミックスコンデンサであって、3.2mm×1.6mm×0.7mmのサイズを有する。
図1,図2(A)に示すように、貫通孔5の周囲には、コア基板2の表・裏面3,4間を貫通する複数のスルーホール7,7が穿孔され、その内部に銅メッキからなるスルーホール導体8a,8bおよびシリカフィラを含む充填樹脂(樹脂を含む複合材料)9がそれぞれ形成されている。
【0013】
尚、スルーホール導体8aは電源用回路に接続され、スルーホール導体8bはグランド用回路に接続される。また、上記充填樹脂9に替え、多量の金属粉末を含む導電性樹脂、あるいは金属粉末を含む非導電性樹脂を用いても良い。更に、図2では、スルーホール導体8aの上端(配線14c)を円形として表現した。
図1に示すように、コア基板2の表面3上には、銅メッキからなる配線層14および配線14aと、シリカフィラを含むエポキシ樹脂(樹脂を含む複合材料)からなる絶縁層16とが形成される。図1,図2(B)に示すように、配線14aは、左端のチップコンデンサ10の電極11とスルーホール導体8aの上端とを接続している。図2(B)において、配線14aを介してスルーホール導体8aと最短距離で接続される電極11も電源用回路に接続されている。
【0014】
尚、図2(C)に示すように、左下側のスルーホール導体8aと右上の電極11とを斜めの配線14aを介して接続する形態とすることもできる。この場合、貫通孔5の側面を挟んで隣接するスルーホール導体8a,8および電極11,11は、一方が正(+)の電源電位で且つ他方が負(−)のグランド電位となり、常に逆向きに通電される。この結果、隣接するスルーホール導体8aと電極11、およびスルーホール導体8と電極11との間におけるそれぞれの相互インダクタンス(2×M)が大きくなる。このため、両者の自己インダクタンスL1,L2の合計値から上記相互インダクタンスを差し引いた全体のループインダクタンスLを低減することができる。従って、チップコンデンサ10とスルーホール導体8a,8との間の導通が安定して取れ、同時スイッチングノイズや放射ノイズを防止することも可能となる。
【0015】
また、図1に示すように、絶縁層16内の所定の位置には、配線層14、配線14a、またはスルーホール導体8bの上端と接続する複数のフィルドビア導体18が形成され、これらビア導体18の上端と絶縁層16との上には配線層20が形成される。同様にして、配線層20の上には絶縁層22が形成され、且つフィルドビア導体24が上記ビア導体18の真上にスタックドビア(積み上げビア)として形成されると共に、フィルドビア導体24の上端と絶縁層22の上には配線層26が形成される。
【0016】
配線層26の上には、ソルダーレジスト層(絶縁層)28と、これを貫通し且つ第1主面30よりも高く突出する複数のハンダバンプ(IC接続端子(Pb−Sn系、Sn−Ag系、Sn−Sb系、Sn−Zn系など))32とが形成される。ハンダバンプ32は、第1主面30上に搭載されるICチップ(半導体素子)34の底面に突設された接続端子36と個別に接続される。尚、接続端子36およびハンダバンプ32の周囲には、これらを埋設するようにICチップ34と第1主面30との間に図示しないアンダーフィル材が充填される。
【0017】
図1に示すように、コア基板2の裏面4下にも、銅メッキからなる配線層15および配線15aとシリカフィラ入りのエポキシ樹脂からなる絶縁層17とが形成される。配線15aは、前記図2(A)または(B)に示した形態で、右端のチップコンデンサ10の電極12とスルーホール導体8bの下端との間を接続している。また、絶縁層17の所定の位置には、配線層15、配線15a、またはスルーホール導体8aに上端が接続する複数のフィルドビア導体19が形成され、これらのビア導体19の下端と絶縁層17の下には配線層21が形成される。
【0018】
同様にして配線層21の下には絶縁層23およびフィルドビア導体25が形成されると共に、当該ビア導体25の下端と絶縁層23の下には配線層27が形成される。この配線層27の下には、ソルダーレジスト層(絶縁層)29が形成され、第2主面31側に開口する開口部33内に露出する配線層27内の配線35は、その表面にNiおよびAuメッキが被覆され、当該配線基板1自体を搭載する図示しないプリント基板などのマザーボードとの接続端子となる。
以上のような配線基板1によれば、チップコンデンサ10の電極11,12とスルーホール導体8a,8bとは、コア基板2の表・裏面3,4に形成した配線14a,15aを介して短い経路により接続される。従って、チップコンデンサ10への給電や接地が確実に行え、該コンデンサ10の機能を十分に発揮させ得ると共に、配線基板1内部の電気的特性も安定したものとすることができる。これにより、例えばICチップ34への高速給電が可能となる。
【0019】
尚、チップコンデンサ10の表面3側(即ち、ICチップ34側)の電極11のみをスルーホール導体8aと接続する場合も、コア基板2の表面3に形成した配線14aを介して接続することにより、上記と同様の効果を得ることができる。また、上記形態の他に、表面3側でのみ当該表面3に形成した配線14aを介して電極11とスルーホール導体8aとを接続し、且つ裏面4側(即ち、ICチップ34と反対側のマザーボード側)では、電極12をビア導体を介してスルーホール導体8a,8bと接続する形態としても前記と同様の効果を得ることができる。
【0020】
図3乃至図4は、前記配線基板1の製造方法における主要な工程に関する。
図3(A)に示すように、表・裏面3,4に厚さ数10μmの銅箔2cを貼り付けた厚さ0.8mmのガラスーエポキシ樹脂からなるコア基板2を用意する。
次に、図3(B)に示すように、コア基板2における所定の位置にドリルを用いて表・裏面3,4間を貫通する直径約0.3mmのスルーホール7,7を穿孔する。尚、複数のスルーホール7は、平面視でほぼ正方形を形成する位置にある。
次いで、スルーホール7,7内に予めPdなどのメッキ用触媒を付着して無電解銅メッキを施した後、コア基板2の銅箔2c,2cを含めて電解銅メッキを施す。その後、所定パターンの図示しないエッチングレジストを表・裏面3,4の銅メッキ層上に形成した後、エッチングを施す。
この結果、図3(C)に示すように、スルーホール7,7内が円筒形で且つコア基板2の表面3上および裏面4下に延びるスルーホール導体8,8が形成される。かかる導体8の中空部には、樹脂9が充填される。
【0021】
更に、スルーホール導体8,8に囲まれたコア基板2にパンチングを施し、図3(C)に示すように、縦×横12mmずつの貫通孔5を表・裏面3,4間に穿孔する。次いで、図3(D)に示すように、コア基板2の裏面4側に、一方の表面がシリコン系の粘着剤からなる粘着面であるポリイミド製のテープTを貼り付けて貫通孔5の裏面4側を封止する。かかるテープTの粘着面は、貫通孔5側に向けられている。尚、テープTは、上記コア基板2を含む多数のコア基板からなる多数個取り用のパネルにおける裏面の全体に渉って貼り付けられる。
次に、図4(A)に示すように、複数のチップコンデンサ10を図示しないチップマウンタを用いて貫通孔5内に挿入すると共に、各チップコンデンサ10の電極12をテープTの粘着面における所定の位置に接着する。図示のように、各チップコンデンサ10における電極11,12の端部は、コア基板2の表・裏面3,4の表面上に形成された銅メッキ層の表面とほぼ同じ位置に位置している。
【0022】
次いで、図4(B)に示すように、コア基板2の表面3側から貫通孔5内に、エポキシ樹脂を主成分とする溶けた樹脂13を充填した後、約100℃に加熱し且つ約60分保持するキュア処理を施す。この結果、図示のように、樹脂13は固化して複数のチップコンデンサ10を貫通孔5内に埋設する埋込樹脂となる。かかる樹脂13のカーブして盛り上がった表面13aを、例えばバフ研磨などによって平坦に整面する。これにより、図4(C)に示すように、各チップコンデンサ10の電極11が露出する平坦な表面13bが形成される。該表面13bは、コア基板2の表面3上に形成された銅メッキ層の表面とほぼ同一平面である。また、図4(C)に示すように、テープTを剥離すると、埋込樹脂13の裏面13cには各チップコンデンサ10の電極12がそれぞれ露出する。尚、裏面13cも上記同様に整面すると各電極12を確実に露出させ得る。裏面13cは、コア基板2の裏面4の表面上に形成された銅メッキ層の表面とほぼ同一平面である。
【0023】
そして、コア基板2の表・裏面3,4と埋込樹脂の表・裏面13b,13cとに、メッキ用触媒を付着して無電解銅メッキおよび電解銅メッキを施す。更に、所定パターンの図示しないエッチングレジストを表・裏面3,13b,4,13cの銅メッキ層上に形成して、エッチング液(亜硫酸ナトリウム、濃硫酸など)によりエッチングし、所定パターンの配線層を形成する。
この結果、図4(D)に示すように、コア基板2の表面3上には、各チップコンデンサ10の電極11と接続される所要パターンの配線層14と、左端のチップコンデンサ10の電極11と左側のスルーホール導体8の上端、即ちコア基板2の表面3に形成された配線14cとを接続する配線14aとが形成される。このため、かかるスルーホール導体8は、前記図1で示したスルーホール導体8aとなると共に、内部に充填した樹脂9の上端部が蓋メッキされる。
尚、本形態における配線14a,14cは、前記特許請求の範囲におけるコア基板の表面で電子部品の電極とスルーホール導体とを接続する配線に該当する。
【0024】
また、図4(D)に示すように、コア基板2の裏面4下には、各チップコンデンサ10の電極12と接続される所要パターンの配線層15と、右端のチップコンデンサ10の電極12とスルーホール導体8の下端、即ちコア基板2の裏面4に形成された配線15cとを接続する配線15aとが形成される。この結果、スルーホール導体8は、前記図1で示したスルーホール導体8bとなると共に、内部に充填した樹脂9の下端部が蓋メッキされる。尚、本形態における配線15a,15cも、前記特許請求の範囲におけるコア基板の表面で電子部品の電極とスルーホール導体とを接続する配線に該当する。
これ以降は、配線層20,26,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29、および、ビア導体18,24,19,25を、公知のビルドアップ工程(セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法、フィルム状樹脂材料のラミネートによる絶縁層の形成、フォトリソグラフィ技術、レーザ加工によるビアホールの穿孔等)により形成する。これにより、前記図1に示した配線基板1を得ることができる。
【0025】
図5は、異なる形態の配線基板1aの主要部の断面を示す。尚、以下において前記形態と同じ部分や要素には共通する符号を用いるものとする。
図5,6に示すように、配線基板1aのコア基板2には、その表面3側に開口し且つ平面視が長方形で12mm×14mmの凹部6がルータ加工により形成されている。図5に示すように、凹部6には、表面3側に露出する複数の電極11のみを有する前記同様のチップコンデンサ10bが挿入され、且つ前記同様のエポキシ系の埋込樹脂13中に埋設されることにより、凹部6に内蔵されている。
図5に示すように、コア基板2の表面3上には、前記同様の配線層14および配線14a,14bが形成されている。配線14a,14bは、コア基板2を貫通するスルーホール導体8a,8bの上端、即ちコア基板2の表面3に形成された配線14cとそれぞれ個別に接続されている。尚、本形態における配線14a,14b,14cは、前記特許請求の範囲におけるコア基板の表面で電子部品の電極とスルーホール導体とを接続する配線に該当する。
【0026】
図6に示すように、凹部6に内臓された複数のチップコンデンサ10bの各電極11に隣接して、凹部6の側面に沿ってコア基板2を貫通するスルーホール導体8a,8bを交互に形成しても良い。スルーホール導体8aは、配線基板1aの電源用回路に接続され、スルーホール導体8bは、グランド用回路に接続されている。また、チップコンデンサ10bの同じ側面10aには、電源用回路またはグランド用回路に接続される電極11,11が交互に配置されているとする。
尚、図6,7では、スルーホール導体8a,8bの上端(配線14c)は、便宜上から円形として表現されている。
図7に示すように、凹部6の周囲に位置するスルーホール導体8a,8a間を斜め方向に接続する配線14aは、その途中で単数または複数のチップコンデンサ10bの電源用回路に接続された電極11に接続される。また、配線14aと平行で且つ凹部6の周囲に位置するスルーホール導体8b,8b間を斜めに接続する配線14bも、その途中で単数または複数のチップコンデンサ10bにおけるグランド用回路に接続された電極11に接続される。
【0027】
即ち、図7に示す場合には、凹部6の左右の側面を挟んで隣接するスルーホール導体8aと電極11およびスルーホール導体8bと電極11は、常に一方が電源電位(+)で他方がグランド電位(−)の正負逆の電位となり、常に逆向きに通電される。このため、隣接する導体8aと電極11または導体8bと電極11との間におけるそれぞれの相互インダクタンス(2×M)が大きくなる。この結果、両者の自己インダクタンスL1,L2の合計値から上記相互インダクタンスを差し引いた全体のループインダクタンスLを低減することができる。従って、チップコンデンサ10bの各電極11とスルーホール導体8a,8bとの間の導通が安定して取れ、同時スイッチングノイズや放射ノイズを防止することも可能となる。
【0028】
図5に示すように、コア基板2の表面3、配線層14、配線14a,14b上には、配線層20,26、ビア導体18,24、および絶縁層16,22,28が形成されている。配線層26の上には、第1主面30よりも高く突出する複数のハンダバンプ32が形成され、これらは、第1主面30上に搭載されるICチップ34の底面に突設された接続端子36と個別に接続される。尚、ハンダバンプ32と接続端子36の周囲には、これらを埋設するようにICチップ34の底面と第1主面30との間にアンダーフィル材38が充填される。
【0029】
また、図5に示すように、コア基板2の裏面4下には、前記同様に配線層15,21,27、ビア導体19,25、および絶縁層17,23が形成されている。配線層27の下には、ソルダーレジスト層(絶縁層)29が形成され、その開口部33内に露出する上記配線層27内の配線35は、表面にNiおよびAuメッキが被覆された接続端子である。そして、コア基板2を挟んだ配線層14,15は、スルーホール導体8a,8bを介して接続されているが、チップコンデンサ10bは配線14a,14bおよびスルーホール導体8a,8bを介して下側の配線層15,21,27や接続端子35と導通されている。
【0030】
本発明は以上において説明した各形態に限定されるものではない。
前記配線基板1において、電極11のみを有するチップコンデンサ10bをコア基板2の前記貫通孔5に埋込樹脂13を介して内蔵することもできる。
また、配線基板1aにおいて、電極11,12を有するチップコンデンサ10をコア基板2の凹部6に埋込樹脂13を介して内蔵することもできる。この場合、電極12は凹部6の底面とコア基板2の裏面4との間を貫通する短いスルーホール導体を介して配線層15と接続される。
更に、前記貫通孔5や凹部6に内蔵する電子部品は、1つのみでも良い。逆に、多数のコア基板2を含む多数個取りの基板(パネル)内における製品単位1個内に、複数の貫通孔5や凹部6を形成しても良い。
また、複数のチップ状電子部品を互いの側面間で予め接着したユニットとし、これを前記貫通孔5または凹部6内に挿入して内蔵することもできる。
【0031】
更に、チップ状電子部品には、前記チップコンデンサ10,10bの他、チップ状にしたインダクタ、抵抗、フィルタ等の受動部品や、トランジスタ、半導体素子、FET、ローノイズアンプ(LNA)などの能動部品も含まれると共に、互いに異種の電子部品同士を、コア基板の同じ貫通孔または凹部内に併せて内蔵することも可能である。
また、コア基板2の材質は、前記エポキシ樹脂の他、ビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂、ガラス−エポキシ樹脂複合材料、同様の耐熱性、機械強度、可撓性、加工容易性等を有するガラス織布や、ガラス織布等のガラス繊維とエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、またはBT樹脂等の樹脂との複合材料であるガラス繊維−樹脂材料を用いても良い。あるいは、ポリイミド繊維等の有機繊維と樹脂との複合材料や、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系複合材料等を用いることも可能である。
【0032】
更に、前記スルーホール導体8a,8b、配線層14,15、および配線14a,14b,15aなどの材質は、前記Cuの他、Ag、Ni、Ni−Au等にしても良く、あるいは、これら金属のメッキ膜を用いず、導電性樹脂を塗布する等の方法により形成しても良い。
また、前記ビア導体18などは、ビアホール内を埋め尽くす形態の前記フィルドビアに限らず、ビアホールの断面形状に倣った円錐形状の形態としても良い。
更に、絶縁層16,17などの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするもののほか、同様の耐熱性、パターン成形性等を有するポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を有するPTFE等3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を用いることもできる。尚、絶縁層の形成には、絶縁性の樹脂フィルムを熱圧着する方法のほか、液状の樹脂をロールコータにより塗布する方法を用いることもできる。
【0033】
【発明の効果】
以上に説明した本発明の配線基板によれば、電子部品の電極とスルーホール導体とは、コア基板に形成した貫通孔または凹部に充填された埋込樹脂の表面に形成した配線を介して最短の経路で接続されるため、電子部品への給電や電子部品からの接地が確実になる。従って、当該電子部品の機能を十分に発揮させ得ると共に、配線基板内における電気的特性を安定化させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板における1形態の配線基板の主要部を示す断面図。
【図2】(A)は図1中のa−a線に沿った視角の断面図、(B)は(A)中の部分拡大図、(C)は異なる形態の配線を示す(B)と同様な拡大図。
【図3】(A)〜(D)は図1の配線基板の製造方法における主要な工程を示す概略図。
【図4】(A)〜(D)は図3(D)に続く上記製造方法における主要な工程を示す概略図。
【図5】本発明の異なる形態の配線基板における主要部を示す断面図。
【図6】図5中のa−a線に沿った視角の断面図。
【図7】図6においてスルーホール導体と電極と間の配線などを示す概略図。
【図8】従来の配線基板における主要部を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a……………配線基板
2……………………コア基板
3……………………表面
4……………………裏面
5……………………貫通孔
6……………………凹部
8,8a,8b……スルーホール導体
10,10b………チップコンデンサ(電子部品)
11,12…………電極
14a,14b……配線
14c………………スルーホール導体の上端
Claims (1)
- 第1主面上に搭載される半導体素子に接続される接続端子が形成された配線基板であって、
表面および裏面を有するコア基板と、
上記コア基板における表面と裏面との間を貫通する貫通孔、あるいはコア基板において表面に開口する凹部と、
上記貫通孔または凹部内に埋込樹脂を介して内蔵され且つ上記コア基板の表面に電極を有する電子部品と、
上記貫通孔または凹部の側面の周囲に沿って位置し且つコア基板における表面と裏面との間を貫通する複数のスルーホール導体と、を備え、
上記埋込樹脂の表面とスルーホール導体の上端とは、同一平面において形成され、
上記電子部品の電極とスルーホール導体の上端とは、埋込樹脂の表面上に形成された配線を介して接続されており、
上記電子部品の電極と上記半導体素子の電極とは、ビア導体を介して接続されている、
ことを特徴する配線基板。
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