JP5064919B2 - セラミックヒータの製造方法,および,セラミックヒータ - Google Patents

セラミックヒータの製造方法,および,セラミックヒータ Download PDF

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Description

本発明は、セラミックシートを芯材に巻き付けてなる筒状のセラミックヒータに関する。
従来、セラミックシートを芯材に巻き付けて形成したセラミックヒータにおいては、そのセラミックシートに発熱体が埋設されている。
このとき、発熱体の後端側につながるリード部も埋設されており、リード部は、セラミックシートに形成された貫通孔内のビア導体を介して筒状のセラミックシートにおける外周側に形成された電極パッドに接続され、これにより、発熱体への導通を実現している(特許文献1参照)。
特開2003−317907号(例えば、図2など)
このように、発熱体への導通を実現するためには、セラミックシートに貫通孔を形成しておく必要があるが、セラミックシートを芯材に巻き付けるという構造上、その巻き付け時に貫通孔を円周方向に拡げる応力が発生し、貫通孔周辺にクラックが発生しやすいという問題があった。
その理由は、次の通りである。
すなわち、貫通孔は、加工用の工具(パンチ)により、セラミックシートの表面から裏面に向かって打ち抜かれることにより形成される。このとき、貫通孔の内周面のうち、セラミックシートの表面側は、工具の表面に合わせた平滑な面状に形成されるが、セラミックシートの裏面側では、その表面領域が工具により引っ張られて脱落することにより、貫通孔の内周面が平滑ではなくなることがある。
このような状態において貫通孔に埋設されるビア導体は、貫通孔におけるセラミックシートの裏面側が平滑でないために、貫通孔内周面との密着力が、セラミックシートの表面側よりも弱くなってしまう。
そして、このセラミックシートを、裏面側を外表面にして芯材に巻き付けると、貫通孔の内周面とビア導体とを円周方向に引き延ばす方向に応力が加わることとなるが、このとき、その裏面側の密着力が弱いために貫通孔内周面とビア導体とが剥離しやすく、これが貫通孔周辺におけるクラックの発生を誘発してしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、セラミックヒータにおいて、貫通孔周辺にクラックが発生することを防止するための技術を提供することである。
上記課題を解決するため請求項1に記載のセラミックヒータ製造方法は、セラミックシートに対し、該セラミックシートにおける第1面から第2面に向けて打ち抜き加工を行うことで、該第1面から該第2面に向かって拡径する貫通孔を形成する工程と、該貫通孔内に、導電性ペーストを充填して、ビア導体を形成する工程と、前記第2面に、発熱体,および,該発熱体と前記ビア導体とを接続するリード部を形成する工程と、第1面が外側に向くように、芯材に巻き付ける工程と、を有することを特徴とする。
このような製造方法によれば、セラミックシートは、貫通孔を打ち抜く際にその加工用の工具(パンチ)が最初に接触する打ち抜き開始面(第1面)を外側にして、芯材に巻き付けられることとなる。
こうして製造されたセラミックヒータは、後述する実験結果に示されるように、工具が最初に接触する面(第2面)を内側にしてセラミックシートが芯材に巻き付けられた場合と比べて、クラックが発生する確率を大幅に低下させることができる。
その理由は、次の通りである。
セラミックシートにおける第1面から第2面に向けて打ち抜き加工を行った場合には、上述のとおり、貫通孔の内周面のうち、セラミックシートにおける第2面側が平滑でなくなるため、この領域における貫通孔の内周面とビア導体との密着力が弱くなる。これに対し、上述した製造方法では、このセラミックシートを、第2面側ではなく、第1面側が外側へ向くように(第1面側を外表面にして)芯材に巻き付ける。この場合、貫通孔の内周面のうち、セラミックシートにおける第2面側では、セラミックシートが芯材に巻き付けられることに伴って、ビア導体に近づく方向への応力が発生する結果、密着力が向上する。なお、貫通孔の内周面のうち、セラミックシートにおける第1面側は、ビア導体から離れる方向の応力が加わることとなるが、この領域は、第2面側よりも密着力が強いため、貫通穴の内周面とビア導体との剥離が起こりにくい。したがって、上述した製造方法では、工具が最初に接触する面を内側にしてセラミックシートが芯材に巻き付けられた場合と比べて、クラックが発生する確率を大幅に低下させることができる。
また、貫通孔に充填されるビア導体は、セラミックシートが芯材に巻き付けられる際に、外側(第2面から第1面)に向けて応力が加わる結果、貫通孔とビア導体とにズレが生じ、貫通孔周辺にクラックが生じることがある。このような応力は、セラミックシートの巻き付け後の外径が3.0mm以下となるような小径のヒータの場合に特に顕著になる。ところが、上述のように、貫通孔が第1面から第2面に向かって拡径していると、セラミックシートが芯材に巻き付けられる際、貫通孔に充填されたビア導体が外側に応力がかかっても、貫通孔の内周面によってその応力を抑制できる。その結果、貫通孔とビア導体とにズレが生じにくくなり、貫通孔周辺のクラックの発生をより一層抑制することができる。なお、この構成における「拡径している」とは、第1面から第2面に向かって貫通孔の径が拡がっていればよく、具体的な例としては、R状に拡がる形状やテーパ状に拡がる形状とすることが考えられる。
ところで、応力を受けた際、セラミックシートにおける第1面側に位置する導電性ペーストに凹凸があると、その凹凸からクラックが発生する要因になる恐れがあるため、その位置における導電性ペーストは平滑であることが望ましい。
そこで、本発明の請求項2のように、前記ビア導体は、前記貫通孔の前記第1面側を平滑な板で塞いだ状態で、該貫通孔の第2面側から前記導電性ペーストを充填して形成されることが好ましい。これにより、導電性ペーストのうち、少なくともセラミックシートにおける第1面側の露出面を平滑な面状とすることができる。導電性ペーストの第1面側露出面を平滑とすることにより、クラックの起点となる応力がなくなるため、芯材への巻きつけ時のクラック発生を防止できる。
また、本発明の請求項3のように、前記セラミックシートは、前記第2面の方が前記第1面よりも表面粗度が小さいものとすることが好ましい。第2面には、発熱体が形成されるが、ヒータとしての特性は、その抵抗値に応じて決まり、その抵抗値が各パターンの形状(断面積,経路長)に応じて決まることから、第2面に凹凸があると、抵抗値および特性が意図しないものとなってしまう恐れがある。これに対し、上述したように、セラミックシートにおいて表面粗度の小さい方の面にヒータ部が形成される場合であれば、ヒータ部のヒータとしての特性に対する凹凸の影響を小さくすることができる結果、所望の特性を備えた発熱体を形成できる。
また、本発明の請求項4に記載のセラミックヒータは、軸線方向に延びる円柱状のセラミック層と、該セラミック層を貫通する第1貫通孔と、前記第1貫通孔内に充填された第1ビア導体と、該セラミック層の外表面上に形成され、前記第1ビア導体と接続される電極パッドと、該セラミック層の内表面上に形成された発熱体と、該セラミック層の内表面上に形成され、該発熱体と前記第1ビア導体とを接続するリード部と、を有するセラミックヒータであって、前記第1貫通孔の中心を通り前記軸線方向に沿った第1断面を見たときに、前記第1貫通孔は、前記セラミック層の外表面から内表面に向かって拡径していることを特徴とする。
このように、少なくとも第1断面において、第1貫通孔が外表面から内表面に拡径していると、第1貫通孔に充填された第1ビア導体に内表面側から外表面側に向かう応力が加わっても、第1貫通孔の内周面によりその応力を抑制することができる。その結果、第1貫通孔と第1ビア導体とにズレが生じにくくなり、第1貫通孔周辺のクラックの発生を抑制することができる。なお、第1貫通孔の断面形状は、外表面から内表面に向かって広がるテーパ形状が好ましい。
さらに、本発明の請求項5のように、前記第1貫通孔の外表面の直径は、前記第1断面において、0.5mm以下とすることが好ましい。第1貫通孔の外表面の直径が0.5mm以下となることで、第1ビア導体にかかる応力が小さくすることができ、クラックの発生を抑制することができる。
さらに、本発明の請求項6のように、前記第1貫通孔の外表面と内表面の径差は、前記第1断面において、0.1mm以上0.2mm以下であることが好ましい。このように、第1貫通孔の外表面と内表面の径差が0.1mm以上であることで、効果的に第1貫通孔と第1ビア導体とにズレが生じにくくなり、第1貫通孔周辺のクラックの発生を抑制することができる。また、0.2mmを越えると、ビア導体自身が大きくなることで、ビア導体に使用する金属の使用量が増え、コストが増えることがある。
さらに、本発明の請求項7のように、第1貫通孔の中心を通り軸線方向に垂直な第2断面を見たときに、前記第1貫通孔は、セラミック層の外表面から内表面に向かって拡径していることが好ましい。これにより、より第1貫通孔に充填された第1ビア導体に内表面側から外表面側に向かう応力が加わっても、第1貫通孔の内周面によりその応力を抑制することができる。その結果、第1貫通孔と第1ビア導体とにズレが生じにくくなり、第1貫通孔周辺のクラックの発生を抑制することができる。
さらに、本発明の請求項10のように、前記電極パッドに対向する対向面を備えた接続端子と、前記セラミック層を貫通し、前記第1断面において前記セラミック層の外表面から内表面に向かって拡径する第2貫通孔と、前記第2貫通孔内に充填され、前記電極パッドと前記リード部とを接続する第2ビア導体と、をさらに備え、前記接続端子の対向面は、前記第1貫通孔の中心および前記第2貫通孔の中心の間に配置されていることが好ましい。
従来では、電極パッドとリード部との接続を第1および第2貫通孔の内周面に形成するスルーホール導体で形成していたため、接続端子の対向面を2つの貫通孔より長くし、接続端子の対向面で第1および第2貫通孔を覆った状態で、ロウ付けする必要があった。そのため、ロウ材の容量が大きくなり、セラミック層とロウ材との熱膨張差によって、両者が剥離する虞があった。これに対して、本発明のように電極パッドとリード部とを接続を、第1および第2貫通孔に充填される第1および第2ビア導体で行ったため、第1および第2貫通孔を接続端子の対向面で覆う必要が無い。この結果、接続端子の対向面は、第1貫通孔の中心と第2貫通孔の中心の間に配置でき、電極パッドと接続端子を接合するロウ材の容量が小さくできる。これにより、セラミック層とロウ材との熱膨張差による剥離を抑制でき、また、高価なロウ材の使用量を低減することができる。
なお、「接続端子の対向面」とは、第1断面において、電極パッドと対向している接続端子の面のことを指す。
さらに、本発明の請求項11のように、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心との間の距離は、1mm以上5mm以下であることが好ましい。第1貫通孔と第2貫通孔との間の距離を5mm以下にすることで、電極パッドと接続端子を接合する接合部の容量が小さくできるが、2つのビア導体の中心距離が1mm未満となると、2つのビア導体間のセラミック層に応力が集中するため、セラミック層にクラックが生じる虞がある。そこで、本発明のように、2つのビア導体の中心距離が1mm以上とすることで、2つのビア導体間のセラミックに応力が集中することを抑制し、クラックが生じることを抑制できる。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
本発明を具体化したセラミックヒータおよびセラミックヒータ製造方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態のセラミックヒータは、センサ素子を活性化温度まで加熱するための用途などに用いることができる。また、加熱対象のセンサ素子としては、自動車や各種内燃機関における各種制御(例えば、空燃比フィードバック制御など)に使用するために、測定対象ガス(排ガス)中の特定ガス(酸素)を検出するガスセンサ素子などが挙げられる。
まず、図1,図2を参照して、セラミックヒータ100の構造について説明する。
図1は、セラミックヒータ100の外観を表した斜視図である。図2は、セラミックヒータ100の内部構成を表した分解斜視図である。
図1に示すように、セラミックヒータ100は、丸棒状(略円柱形状)に構成されており、有底筒状をなすセンサ素子(図示省略)に内挿されてセンサ素子を加熱するためのものである。なお、このセンサ素子は、有底筒状をなす固体電解質体の内外表面それぞれに電極層が形成されて構成されている。
なお、本実施形態のセラミックヒータ100においては、長手方向の両端部のうち、発熱部分を備える側(後述する発熱部142が形成される側)を「先端側」とし、これと反対側の端部を「後端側」として説明する。
セラミックヒータ100は、セラミック基体102と、セラミック基体102に内蔵された発熱部142およびリード部143と、セラミック基体102の外表面に設けられた電極パッド121a、121bと、導電性のロウ材により電極パッド121a、121bに接合される接続端子130a、130bと、を備えている。
図2に示すように、セラミック基体102は、丸棒状のアルミナセラミック製の芯材101と、その外周に積層されたアルミナセラミック製の第1セラミック層110および第2セラミック層120で構成されている。セラミック基体102の外径、すなわち、第2セラミック層120の外径は、2.5mm〜3.0mm(本実施形態では2.8mm)となっている。
第2セラミック層120の内表面120b上には、発熱部142と、発熱部142の両端のそれぞれに接続される一対のリード部143a、143bが形成されている。発熱部142およびリード部143a、143bは、タングステン系の材料で構成されている。また、第2セラミック層には、4個の貫通孔144a、144b、144c、144dが穿設され、それぞれを充填するビア導体145a、145b、145c、145dが形成されている。一対のリード部143a、143bは、それぞれ2つのビア導体、すなわち、145aおよび145b、145cおよび145dを介して、第2セラミック層の外表面120a上に形成される電極パッド121a、121bと電気的に接続される。なお、電極パッド121の表面には、後述するメッキによる金属層(図3に示すニッケルメッキ膜122)が形成される。
また、接続端子130a,130bは、ニッケルを90重量%以上含むニッケル部材からなる。接続端子130a,130bは、電極パッド121にロウ付けされる接合部133a、133b、外部回路接続用のリード線などをカシメ固定し、外部回路(外部電源装置)と接続するためのカシメ部135a、135bと、これらを接続する接続部134a、134bと、をそれぞれ備える。接続端子130a、130bは、電極パッド121a、121bにそれぞれ接合されて、セラミックヒータ100に電圧を印加する際の陽極側端子および陰極側端子として機能する。
次に、図3、図4を参照して、貫通孔144a、144bの構造について説明する。
図3は、図1に示すセラミックヒータ100のうち、一点鎖線A−A’にて矢視方向からみた電極パッド121a近傍のセラミックヒータ100の軸線方向に垂直な部分拡大断面図である。他方、図4は、図1に示すセラミックヒータ100のうち、一点鎖線B−B’にて矢視方向からみた電極パッド121a近傍のセラミックヒータ100の軸線方向に沿った部分拡大断面図である。
図3、図4に示すように、電極パッド121aは、第2セラミック層120の外表面120aに形成され、貫通孔144a内に充填されたビア導体145aを介して第2セラミック層120の内表面120bに形成されているリード部143aと導通されている。
接続端子130aは、図3に示したように、ロウ材124により電極パッド121aに接合されている。そして、ロウ材124により互いに接合された接続端子130aおよび電極パッド121aの上に、さらに、ニッケルメッキにより形成されたニッケル層125が形成されており、酸化による腐食を防止している。
そして、電極パッド121と接続端子130とを接合するロウ材124は、50重量%を上回る量の銅が含有されている。なお、本実施形態では、銅62重量%―金38重量%のロウ材124を用いて、電極パッド121と接続端子130とをロウ付けしている。
この電極パッド121aは、タングステン、モリブデンから選ばれる少なくとも1種類以上の元素からなる主体材料を80重量%以上含む金属層である。タングステンやモリブデンは、銅系のロウ材124との接合性がよく、また、融点が高く耐熱性に優れているので、電極パッド121aの組成として好適である。
なお、電極パッドa121の上には、ロウ付け前には、図3で一点鎖線123で示したニッケルメッキ膜122が形成されていたが、そのニッケル成分は、ロウ付け時にロウ材124へ拡散し、ロウ付け後においては、ニッケルメッキ膜122の一部がロウ材124へ拡散して溶け込んだ形態となり、ニッケルメッキ膜122およびロウ材124は、一体化した状態で形成される。
さらに、図4に示すような、貫通孔144a、144bの中心を通った第1断面を見たときに、貫通孔144a、144bは、第2セラミック層120の外表面120aから内表面120bへ向かって逆テーパ状に拡径している。これにより、貫通孔144a、144bに充填されたビア導体145a、145bに内表面120b側から外表面120a側へ向かう応力が加わっても、貫通孔144a、144bの内周面によりその応力を抑制することができる。その結果、本実施形態のように、第2セラミック層120の外径が3.0mm以下の小径のセラミックヒータ100においても、貫通孔144a、144b周辺のクラックの発生を抑制できる。
また、図3に示すような、貫通孔144aを通り軸線方向に垂直な第2断面を見たときに、貫通孔144aに充填されるビア導体145aは、第2セラミック層120の外表面120aから内表面120bへ向かってテーパ状に拡径している。貫通孔144aが第2セラミック層120の外表面120aから内表面120bに向かって拡径しているので、貫通孔144aに充填されたビア導体145aに内表面120b側から外表面120a側へ向かう応力が加わっても、貫通孔144aの内周面によりその応力を更に抑制することができる。その結果、本実施形態のように、第2セラミック層120の外径が3.0mm以下の小径のセラミックヒータ100においても、貫通孔144aとビア導体145aとにズレがより生じにくくなり、貫通孔144a周辺のクラックの発生を更に抑制できる。
また、ビア導体145の外表面が第2セラミック層120の外表面120aに沿った平滑な面となっている。これにより、第2セラミック層120の外表面が内表面よりも大きな応力を受けたとしても、ビア導体145の外表面が平滑になっていない場合に比べて、クラックの発生を抑制することができる。
また、第2セラミック層120の外表面120aよりも内表面120bの表面粗度が小さい。これにより、内表面120bに形成される発熱部142およびリード部143の抵抗値及び特性が意図しないものとなることを防止することができる。
また、図4に示す、第1断面での貫通孔144a、144bの外表面側の直径は、0.43mmであり、他方、図3に示す第2断面での貫通孔144aの外表面側の直径は、0.45mmであり、第1面側での直径よりも若干大きくなっているが、いずれも0.4〜0、5mmの範囲内となっている。このように外表面側での貫通孔144aの直径を0.5mm以下とした結果、貫通孔144aに充填されたビア導体145aに加わる内表面側から外表面側に向かう応力が小さくすることができ、貫通孔144a周辺のクラックの発生を更に抑制することができる。なお、貫通孔144a、144bの内表面側の直径は、いずれの断面においても、0.6mmとなっている。第1断面(図4)での貫通孔144a、144bの外表面側と内表面側の径差は、0.17mmとなっており、他方、第2断面(図3)での貫通孔144aの外表面側と内表面側の径差は、0.15mmとなっており、第1断面(図4)での径差よりも若干小さくなっている。
また、図4に示されているように、接続端子130aの接合部133aの接合面は、貫通孔144aの中心と貫通孔144bの中心との間に配置されている。貫通孔144a、144bは、ビア導体145a、145bによって充填されているので、接合部133aの接合面が貫通孔144a、144bを覆うようにロウ付けする必要がない。さらに、ロウ材124の容量が小さくなり、第2セラミック層120とロウ材124との熱膨張差による剥離を抑制することができる。
また、図4に示されているように、2つの貫通孔144a、144bの中心間の距離T1が1.5mmである。このように、2つのビア導体145の中心距離T1を1mm以上とすることで、貫通孔144a、144b間の第2セラミック層120に応力が集中することを抑制し、第2セラミック層120にクラックが生じることを抑制できる。
(2)製造方法
次に、セラミックヒータ100の製造方法を図5,図6に基づいて説明する。
まず、第2セラミック層120に対し、第1面120aから第2面120bに向けて打ち抜き加工を行うことで(図5(a)参照)、貫通孔144aを形成する(他の貫通孔144b、144c、144dも同様であるため、説明は省略する)。つまり、打ち抜き加工用の工具(パンチ)1は、最初に第2セラミック層120における第1面120aと接触することとなる。
ここでは、第2セラミック層120のうち、表面粗度が大きい方の面を第1面として打ち抜き加工を行う。
例えば、スラリー状のセラミックを搬送テープにより搬送しつつ、このセラミックを搬送テープ表面と対向する位置に配置されたブレードとの隙間に通す、といった製法(ドクターブレード法)で第2セラミック層120を作製した場合であれば、搬送テープに接触していなかった側の面の方が、表面粗度が比較的大きい(たとえば、最大高さRyが2〜3μm)ため、この面を第1面とし、他方、搬送テープに接触していた面は、表面粗度が比較的小さい(たとえば、最大高さRyが1μm以下)ため、この面を第2面とする。
このような貫通孔144の打ち抜き加工時には、第2セラミック層120において加工用の工具1が接触している領域だけでなく、その周辺領域も打ち抜く方向へと引っ張られるため、第2面側では、工具1が接触している領域と共に、その周辺領域の一部分が脱落する。これにより、通常は、第1面側よりも第2面側が拡がった形状に貫通孔144aが形成されることとなる(図5(b)参照)。
なお、この貫通孔144a周辺について、第1面側を電子顕微鏡で観察した様子を図7に示し、第2面側を電子顕微鏡で観察した様子を図8に示す。
続いて、上記打ち抜き手順にて形成された貫通孔144aにビア導体145aを形成する。
ここでは、打ち抜き手順にて貫通孔144aを形成した第2セラミック層120を表裏反転させた後、第1面120aを平滑な板2に接触させ、貫通孔144aを塞いだ状態で、この第2セラミック層120における第2面120b側から、マスク3を介して貫通孔144に導電性ペースト5をスキージ4で押し込んで充填することにより、貫通孔144a内にビア導体145aを形成する(図6(a)、(b)、図2参照)。
このとき、貫通孔144aを平滑な板2が閉塞しているため、ビア導体145aの第1面120a側表面は、第2セラミック層120の第1面120aと同じ高さで,かつ,平滑な面状となる。
続いて、表面粗度が小さい第2面120bに印刷により発熱部142およびリード部143a、143bを形成する(図6(c)、図2参照)。リード部143aは、ビア導体144a、144bを覆って形成され、また、リード部143bは、ビア導体144c、144dを覆って形成される。ただし、図6では、ビア導体144aのみ図示し、残りは省略する。
続いて、表裏反転させた後、第2セラミック層120における第1面120aに印刷により電極パッド121a、121bを形成した(図6(d)参照)後、第2面120bに第1セラミック層110を圧着する(図6(e)参照)。
次に、第1セラミック層110と第2セラミック層120の積層体を、芯材101に巻き付けることで、円筒状の成形体とする(図6(f)。
そして、この成形体を焼成することにより、図1、図2に示されたセラミックヒータ100が得られる(図1参照)。
なお、こうして製造されたセラミックヒータ100につき、その長さ方向で切断した場合における断面を電子顕微鏡にて観察した様子を図9に示す。
上述した製造方法によれば、第2セラミック層120は、貫通孔144a、144b、144c、144dを打ち抜く際にその加工用の工具(パンチ)1が最初に接触する第1面120aを外側にして、芯材101に巻き付けられることとなる。このとき、貫通孔144a、144b、144c、144dおよびビア導体145a、145b、145c、145dは、第1面120aから第2面120bに向けてテーパ状に拡がった形状となる(図9参照)。
こうして製造されたセラミックヒータ100は、後述する実験結果にて示されるように、工具1が最初に接触する面(第1面120a)を内側にして第2セラミック層120が芯材に巻き付けられた場合と比べて、クラックが発生する確率を大幅に低下させることができる。
また、上述した製造方法で製造されるセラミックヒータ100において、ビア導体145a、145b、145c、145dは、第1面120a側の表面が、平滑化されている。これにより、後述する実験結果にて示されるように、ビア導体145における第2セラミック層120の第1面に凹凸がある場合と比べてクラックの発生を抑えることができる。
また、上述した製造方法においては、第2セラミック層120の第2面120bに発熱部142およびリード部143a、143bを形成している。この第2面は、第2セラミック層120の表面および裏面のうち、表面粗度が小さい方の面であるため、ヒータとしての特性に対する凹凸の影響を小さくすることができる結果、その特性が意図しないものとなってしまうことを防止できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、丸棒状の芯材101である構成を例示したが、この芯材については、柱状のものや板状のものなど芯材たり得る形状であれば、どのような形状のものを用いてもよい。
また、上記実施形態においては、ロウ材124として、銅62重量%―金38重量%のものを使用した構成を例示した。しかし、このロウ材124としては、公知のロウ材を適用でき、その中で好ましいものとして、金2重量%〜45重量%を含む銅のロウ材をあげることができる。
以下に、セラミック層を棒状の芯材に巻き付けてなる筒状のセラミックヒータを、下記に示す複数種類の製造方法により製造した場合に、クラックが発生するか否かを実験した結果を示す。
なお、ここで用いたセラミックシートは、上述したドクターブレード法で作製したものであって、第1面の最大高さRyは2〜3μm、第2面の最大高さRyは1μm以下である。
この実験では、上述した製造方法における各手順のうち、打ち抜き手順およびビア導体形成手順の条件のみが異なる3種類の製造方法によりそれぞれ複数個のセラミックヒータを生成し、各種類のセラミックヒータにつき、その外周面(第2セラミック層)における貫通孔周辺を電子顕微鏡により観察した。また、第2セラミック層における表面および裏面のうち、表面粗度が大きい方の面(第1面)が外側に向くように芯材に巻き付けた。巻きつけた後の第2セラミック層の外径は、2.8mmである。
製造方法1〜3の具体的な条件は、次の通りである。
[製造方法1]
打ち抜き手順においては、上記実施形態とは逆に、第2面から第1面へと向けて打ち抜き加工を行った。また、ビア導体形成手順においては、上記実施形態とは逆に、第2面に平滑な板を接触させ、貫通孔を塞いだ状態で、第1面側から導電性ペーストを貫通孔内へ押し込んで、貫通孔内にビア導体を形成した。
[製造方法2]
打ち抜き手順においては、上記実施形態と同様に、第1面から第2面へと向けて打ち抜き加工を行った。他方、ビア導体形成手順においては、上記製造方法1と同様に、第2面に平滑な板を接触させ、貫通孔を塞いだ状態で、第1面側から導電性ペーストを貫通孔内へ押し込んで、貫通孔内にビア導体を形成した。
[製造方法3]
打ち抜き手順においては、上記実施形態と同様に、第1面から第2面へと向けて打ち抜き加工を行った。他方、ビア導体形成手順においては、上記実施形態と同様に、第1面に平滑な板を接触させ、貫通孔を塞いだ状態で第2面側から導電性ペーストを貫通孔内へ押し込んで、貫通孔内にビア導体を形成した。
上述した製造方法1〜3によりそれぞれ製造したセラミックヒータについて、その表面における貫通孔周辺を観察した結果、全ての製造方法においてクラックが発生しているセラミックヒータが存在していた。なお、クラックが発生している領域を電子顕微鏡で観察した様子を図10に示す。
これは、セラミックシート(第2セラミック層)を芯材に巻き付けるときに発生する応力(引っ張り応力)によって、貫通孔を拡げる方向にセラミックシートが変形し、その変形に耐えきれなくなった領域が破損してクラックになったものと推測される(図11参照)。
ただ、各製造方法によって、クラックの発生率が大きく異なっていた。具体的なクラックの発生率は次の通りである。
・製造方法1:100%
・製造方法2: 20%
・製造方法3: 9%
なお、各製造方法に対する条件およびクラックの発生率を図12に示す。
この結果からは、まず、第2面側から打ち抜き加工を行った場合よりも、第1面側から打ち抜き加工を行った場合の方が、クラックの発生率が極端に低くなることがわかった。
また、第1面側からビア導体を充填した場合よりも、第2面側からビア導体を充填した場合の方が、クラックの発生率が低くなることがわかった。
セラミックヒータの斜視図(一部破断した状態となっている) セラミックヒータの各構成要素を分解して示した斜視図 セラミックヒータのうち、貫通孔周辺の部分拡大断面図(図1にお ける一点鎖線A−A’にて矢視) セラミックヒータのうち、貫通孔周辺の部分拡大断面図(図1にお ける一点鎖線B−B’にて矢視) セラミックヒータの製造方法(打ち抜き手順)を示す図 セラミックヒータの製造方法(ビア導体形成手順〜巻き付け手順)を示す図 貫通孔周辺(第1面)を観察した様子を示す図 貫通孔周辺(第2面)を観察した様子を示す図 セラミックヒータの断面を観察した様子を示す図 クラックが発生したセラミックヒータの断面を観察した様子を示す図 貫通孔周辺にクラックが発生する原因を説明する図 実験の条件および結果を示す図
符号の説明
100・・・セラミックヒータ
101・・・芯材
102・・・セラミック基体
110・・・第1セラミック層
120・・・第2セラミック層(セラミックシート)
120a・・・外表面(第1面)
120b・・・内表面(第2面)
121a、102b・・・電極パッド
122・・・ニッケルメッキ膜
124・・・ロウ材
125・・・ニッケルメッキ膜
130a、130b・・・接続端子
133a、133b・・・接合部
142・・・発熱部
143a、143b・・・リード部
144a、144b、144c、144d・・・貫通孔
145a、145b、145b、144d・・・ビア導体

Claims (12)

  1. セラミックシートに対し、該セラミックシートにおける第1面から第2面に向けて打ち抜き加工を行うことで、該第1面から該第2面に向かって拡径する貫通孔を形成する工程と、
    該貫通孔内に、導電性ペーストを充填して、ビア導体を形成する工程と、
    前記第2面に、発熱体、および、該発熱体と前記ビア導体とを接続するリード部を形成する工程と、
    前記第1面が外側に向くように、芯材に巻き付ける工程と、
    を有することを特徴とするセラミックヒータの製造方法。
  2. 前記ビア導体は、前記貫通孔の前記第1面側を平滑な板で塞いだ状態で、該貫通孔の前記第2面側から前記導電性ペーストを充填して形成されることを特徴とする請求項1に記載のセラミックヒータの製造方法。
  3. 前記セラミックシートは、前記第2面の方が前記第1面よりも表面粗度が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックヒータの製造方法。
  4. 軸線方向に延びる円柱状のセラミック層と、
    該セラミック層を貫通する第1貫通孔と、
    該第1貫通孔内に充填された第1ビア導体と、
    前記セラミック層の外表面上に形成され、前記第1ビア導体と接続される電極パッドと、
    前記セラミック層の内表面上に形成された発熱体と、
    前記セラミック層の内表面上に形成され、前記発熱体と前記第1ビア導体とを接続するリード部と、
    を有するセラミックヒータであって、
    前記第1貫通孔の中心を通り前記軸線方向に沿った第1断面を見たときに、前記第1貫通孔は、前記セラミック層の外表面から内表面に向かって拡径している
    ことを特徴とするセラミックヒータ。
  5. 前記第1貫通孔の外表面の直径は、前記第1断面において、0.5mm以下となることを特徴とする請求項4に記載のセラミックヒータ。
  6. 前記第1貫通孔の外表面と内表面の径差は、前記第1断面において、0.1mm以上0.2mm以下であることを特徴とする請求項4または5に記載のセラミックヒータ。
  7. 前記第1貫通孔の中心を通り前記軸線方向に垂直な第2断面を見たときに、前記第1貫通孔は、前記セラミック層の外表面から内表面に向かって拡径していることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
  8. 前記第2断面における前記第1貫通孔の外表面の直径は、前記第1断面における第1貫通孔の外表面の直径よりも大きく、かつ、0.5mm以下となることを特徴とする請求項7に記載のセラミックヒータ。
  9. 前記第2断面における前記第1貫通孔の外表面と内表面の径差は、0.1mm以上であり、かつ、前記第1断面における前記第1貫通孔の外表面と内表面と径差よりも小さいことを特徴とする請求項7または8に記載のセラミックヒータ。
  10. 前記電極パッドに対向する対向面を備えた接続端子と、
    前記セラミック層を貫通し、前記第1断面において前記セラミック層の外表面から内表面に向かって拡径する第2貫通孔と、
    前記第2貫通孔内に充填され、前記電極パッドと前記リード部とを接続する第2ビア導体と、を備え、
    前記接続端子の対向面は、前記第1貫通孔の中心および前記第2貫通孔の中心の間に配置されていることを特徴とする請求項4乃至9のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
  11. 前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心との間の距離は、1mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項10に記載のセラミックヒータ。
  12. 前記セラミック層の前記軸線方向に垂直断面における外径は、2.5mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項4乃至11のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
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