JP2009043958A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、各種電子機器の電流値検出等に使用されるチップ型金属板抵抗器およびその製造方法に関するものである。
従来のこの種のチップ型金属板抵抗器は、金属板で構成された抵抗体と、この抵抗体の両端部に設けられ、かつその表面にめっき層が形成された一対の電極とを備えた構成としていた。また、前記抵抗体と一対の電極の接合は、抵抗体と一対の電極を加熱し、めっき層を溶融させることにより行っていた。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
国際公開第99/18584号パンフレット
上記した従来のチップ型金属板抵抗器においては、抵抗体と電極とをめっき層を介して接続しているため、抵抗体と電極との間にめっき層が介在することによる接触抵抗が生じ、これにより、抵抗値が安定しないという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、抵抗値を安定化させることができるチップ型金属板抵抗器およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、CuNiからなる金属板で構成された抵抗体と、この抵抗体の両端部に設けられたCuからなる一対の電極と、この電極の表面に設けられたSnからなるめっき層とを備え、前記めっき層、抵抗体および電極を窒素雰囲気中で熱処理することによって前記抵抗体と電極を接合したもので、この構成によれば、抵抗体と電極との間に、CuとSnが拡散して混在した金属層が構成されるため、抵抗体と電極との間に接触抵抗が生じることはほとんどなく、また抵抗体と電極の接合強度も高くなり、これにより、抵抗値を安定化させることができるという作用効果が得られるものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、Cuからなる一対の電極の表面にSnからなるめっき層を形成する工程と、CuNiからなる金属板で構成された抵抗体の両端部に前記一対の電極を形成する工程と、窒素雰囲気中において600℃〜1000℃の温度で前記めっき層、抵抗体および電極を加熱する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、抵抗体と電極との間に、CuとSnが拡散して混在した金属層を形成できるため、抵抗体と電極との間に接触抵抗が生じることはほとんどなく抵抗体と電極の接合強度も高くなり、これにより、抵抗値を安定化させることができるという作用効果が得られるものである。
以上のように本発明のチップ型金属板抵抗器は、めっき層、抵抗体および電極を窒素雰囲気中で熱処理することによって抵抗体と電極を接合しているため、抵抗体と電極との間に、CuとSnが拡散して混在した金属層を構成することができ、これにより、抵抗体と電極との間に接触抵抗が生じることはほとんどなくなり、抵抗体と電極の接合強度も高くなるため、抵抗値を安定化させることができるという優れた効果を奏するものである。
以下、本発明の一実施の形態におけるチップ型金属板抵抗器について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態におけるチップ型金属板抵抗器の断面図、図2は同チップ型金属板抵抗器の保護膜を除いた状態の斜視図である。
本発明の一実施の形態におけるチップ型金属板抵抗器は、図1、図2に示すように、CuNiからなる金属板で構成された抵抗体1と、この抵抗体1の両端部に設けられたCuからなる一対の電極2と、この電極2の表面に設けられたSnからなるめっき層3とを備えており、そして前記めっき層3、抵抗体1および電極2を窒素雰囲気中で熱処理することによって抵抗体1と電極2を接合しているものである。
上記構成において、前記抵抗体1は、CuNiからなる金属板で構成され、その長さは0.4〜15mm、幅は0.15〜10mm、厚みは50〜1000μmとなっている。また、この抵抗体1の下面および上面の一対の電極2が形成されていない箇所と、抵抗体1の側面にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の絶縁材からなる保護膜4が形成され、さらに、抵抗体1には抵抗値調整用の切欠き(図示せず)が形成されているものである。
また、前記一対の電極2は、抵抗体1とは別体のCuからなる金属で構成されているもので、その長さは抵抗体1の長さの1/10〜1/3となっている。そしてまた、この一対の電極2は断面コ字状に構成されているもので、このコ字状の電極2の凹部に抵抗体1の両端部を嵌め込むように設けられている。
さらに、前記一対の電極2の全面にはSnからなるめっき層3が形成されているもので、これにより、チップ型金属板抵抗器は基板に実装されるものである。
そして、前記抵抗体1と電極2との間には、CuとSnが拡散して混在した金属層5が形成され、この金属層5は0.1〜1μmの厚みとなっている。
次に、本発明の一実施の形態におけるチップ型金属板抵抗器の製造方法について説明する。
まず、CuNiからなる金属板に切断加工等を施すことにより、板状の抵抗体1を形成するとともに、抵抗体1とは別体のCuからなる金属に打ち抜き加工、プレス加工等を施すことにより、コ字状の一対の電極2を形成する。その後、電極2の全面に電解めっきを施すことにより、Snからなるめっき層3を形成する。
次に、図1、図2に示すように、抵抗体1の両端部をコ字状の電極2の凹部に嵌め込む。
次に、上記のように構成された抵抗体1、電極2およびめっき層3を、窒素雰囲気中において600℃〜1000℃の温度で加熱して熱処理する。この場合、窒素雰囲気というのは、抵抗体1、電極2、めっき層3を酸化させない雰囲気を示し、例えば、雰囲気が窒素やグリーンガスの場合が考えられる。
また、熱処理における加熱温度を600℃以上としたのは、図3に示すように、抵抗体1と電極2との接合強度を30N以上とすることができるからである。この場合、一般的には、30N以上の接合強度が要求されるものである。なお、図3において、抵抗体1の材料はCuNi、電極2の材料はCu、めっき層3の材料はSnをそれぞれ使用した。さらに、加熱温度を1000℃以下としたのは、1000℃を超えると電極2を構成するCuの融点に近くなって、電極2の形状が安定しないためである。
このように、抵抗体1、電極2およびめっき層3を、窒素雰囲気中において600℃〜1000℃の温度で加熱すれば、抵抗体1と電極2との間に、CuとSnが拡散して金属層5を形成することができる。
次に、抵抗値調整のためにレーザで抵抗体1に切欠き(図示せず)を形成する。
そして最後に、抵抗体1の下面および上面における電極2が形成されていない箇所と抵抗体1の側面に保護膜4を形成する。
上記した本発明の一実施の形態におけるチップ型金属板抵抗器においては、めっき層3、抵抗体1および電極2を窒素雰囲気中で熱処理することによって抵抗体1と電極2を接合しているため、抵抗体1と電極2との間に、CuとSnが拡散して混在した金属層5を構成することができ、これにより、抵抗体1と電極2との間に接触抵抗が生じることはほとんどなくなり、抵抗体と電極の接合強度も高くなるため、抵抗値を安定化させることができるという効果が得られるものである。
すなわち、一対の電極2における実装基板と接する位置の抵抗値はチップ型金属板抵抗器の抵抗値となるが、抵抗体1と電極2との間にめっき層が介在すれば、抵抗体1とめっき層との間、電極2とめっき層との間に接触抵抗が生じてしまうため、所望の抵抗値が得られない可能性があり、特に10mΩ以下の低い抵抗値を確保しようとするとこの接触抵抗は無視できない。これに対し、本発明の一実施の形態においては、抵抗体1と電極2との間にめっき層をそのまま介在させずに、抵抗体1とめっき層3とは600℃以上の高温による熱処理によって強固に接着し、そして電極2とめっき層3とはこれらの金属が拡散した金属層5により接合しているため、接触抵抗が生じることはほとんどなく、その結果、抵抗体1と電極2の接合強度も高くなる。
さらに、抵抗体1や電極2に高い圧力を加える必要はないため、抵抗体1、電極2の形状を変形等させることなく、抵抗体1と電極2を強固に接合できる。
なお、上記本発明の一実施の形態においては、抵抗体1の両端部をコ字状の電極2の凹部に嵌め込むものについて説明したが、図4に示すように平板状の電極2をU字状に折り曲げて、このU字状の電極2で抵抗体1の両端を包み込むように構成したものであってもよく、また、抵抗体1の両端部の下面のみに一対の電極2を設けたものであってもよいものである。
本発明に係るチップ型金属板抵抗器は、抵抗値を安定化させることができるという効果を有するものであり、特に各種電子機器の電流値検出等に使用されるチップ型金属板抵抗器およびその製造方法等に適用することにより有用となるものである。
1 抵抗体
2 一対の電極
3 めっき層
2 一対の電極
3 めっき層
Claims (2)
- CuNiからなる金属板で構成された抵抗体と、この抵抗体の両端部に設けられたCuからなる一対の電極と、この電極の表面に設けられたSnからなるめっき層とを備え、前記めっき層、抵抗体および電極を窒素雰囲気中で熱処理することによって前記抵抗体と電極を接合したチップ型金属板抵抗器。
- Cuからなる一対の電極の表面にSnからなるめっき層を形成する工程と、CuNiからなる金属板で構成された抵抗体の両端部に前記一対の電極を形成する工程と、窒素雰囲気中において600℃〜1000℃の温度で前記めっき層、抵抗体および電極を加熱する工程とを備えたチップ型金属板抵抗器の製造方法。
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