JP5064334B2 - クリップパッケージおよびクリップ装填方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体内等において止血や傷口などの患部の閉塞等に用いられる内視鏡処置用クリップの流通および保管用のパッケージ、特に、複数のクリップを連続して使用できる連発式クリップ処置具用連結クリップパッケージ、ならびにそのパッケージから内視鏡用クリップ処置具のシースへのクリップ装填方法に関する。
内視鏡用クリップ処置具は、生体内に挿入された内視鏡の先端からクリップを突出させて、出血部や病変組織除去後の処置部をクリップで摘み、止血や傷口などの患部の閉塞などを行うために用いられる。従来のクリップ処置具は、先端が開いたクリップと、クリップを閉じて留めるための締付部品とを有しており、開いたクリップに対して締付部品を前進させることでクリップを閉じる構成となっている。
例えば、特許文献1には、クリップの後端部分にクリップ締付リングを取り付け、クリップ締付リングに対してクリップを引くことで、クリップをクリップ締付リング内に引き込んで、クリップ先端部分の挟持部を閉じさせ、生体組織を把持する構成が記載されている。特許文献1のクリップ締付リングは、クリップが導入管(シース)の先端から押し出されると、一緒に押し出される。このクリップ締付リングは、突没自在な2枚の羽根を有しており、導入管の先端に取り付けられた先端チップを通過するとその羽根が突出して、その後クリップを引いても、クリップ締付リングは導入管内に後退しない。その状態でクリップを引くことで、クリップがクリップ締付リングによって締め付けられる。その後、クリップ締付リングはクリップと共に体腔内に留置される。
しかし、上記特許文献1に記載されたクリップ装置を始め、従来用いられているクリップ処置具は、操作ワイヤの先端に1つのクリップのみが取り付けられたもので、一回のクリップ処置を行うごとにシース全体を内視鏡から引き出し、次のクリップをシース内にセットして再びシースを内視鏡内に挿入して、次のクリップ処置を行うという煩瑣な作業が必要となっている。
これに対し、連続的なクリップ処置を可能にする内視鏡用クリップ装置が提案されている。例えば、特許文献2には、前のクリップの後端部分に形成された連結孔に、後ろのクリップの先端爪部を係合させることにより、複数のクリップが90度ずつ交互に向きを変えて直接連結されるようにした内視鏡用クリップ装置が記載されている。
また、特許文献1に記載されたクリップ装置や、従来のクリップ処置具においては、クリップは、通常、保管時や流通時には、クリップケースに収納されており、使用時に、クリップケースから取り出され、クリップ処置具のシース内に進退可能に配置されるクリップ操作用操作ワイヤに連結されて、シース内に装填される。この後、クリップ処置具のシースを生体内に挿入された内視鏡内に挿入し、内視鏡の先端にシースを位置させ、その先端からクリップを突出させて、出血部や病変組織除去後の処置部の止血や傷口の閉塞などに供している。
このため、クリップケースに収納されているクリップとクリップ処置具のシース内に配置される操作ワイヤとの連結が容易であり、かつ、クリップケース内のクリップをクリップ処置具のシース内への装填が容易であるクリップケースが提案されている。
例えば、特許文献3には、クリップとクリップに嵌着することでクリップを閉成させる押さえ管(締付けリング)と、押さえ管内に挿入可能で、クリップと係合され、クリップ側とは反対側の端部に矢じりフックを有する連結部材とで構成されるクリップユニットを収納しているクリップケースが提案されている。
特許文献3に提案されたクリップケースは、板状部材であり、連結材の押さえ管の突出部が突出した状態のクリップユニットを収納する収納部、収納部内のクリップユニットの連結部材の矢じりフックに対向した面の外周面にクリップ操作装置のコイルパイプの外径よりも大きい大径孔、大径孔と連通し、収納部側の面に形成されたコイルパイプの内径よりも小さく、押さえ管の外形よりも大きい小径部が形成されている。また、クリップケースは、収納部と小径部との間に傾斜部が形成されている。
また、特許文献3には、収納部と小径部との間に傾斜部を設けることで、クリップユニットがクリップケースから引き出される時に、前述の押さえ管の突起部を縮小させることができ、クリップ装置(シース部のコイルパイプおよびコイルシース)内にスムーズに収納させることができると記載されている。
特開2002−272751号公報 特開2006−187391号公報 特開2007−222649号公報
ところで、上述したように、特許文献1に記載されたクリップ装置を始め、従来用いられているクリップ処置具では、一回のクリップ処置を行うごとに、クリップケースに収納されているクリップをクリップケースから取り出し、シース内の操作ワイヤに連結してシース内に装填する必要があるが、クリップや連結リングなどは小さな部材であるため、この連結作業は煩雑な手作業となるという問題があった。
このため、このような連結作業を容易に行うことができるクリップケースが特許文献3に提案されているが、このクリップケースは、クリップケースの出口付近の傾斜部に、クリップの押さえ管の突出部を突き当てることで、突出部を押さえ管の内部に収納しているが、クリップの移動方向に平行な方向に対する、突起部の傾きの方向と傾斜部の傾きの方向が逆となるため、突出部(スカート部)に負荷がかかり突出部が損傷してしまう可能性があるという問題があった。
ところで、特許文献2のクリップ装置によれば、連続的なクリップ処置を行うことができる。しかし、上記のクリップ装置では、前後のクリップの係合のみでクリップの連結を維持しており、その連結部は、シース内に剥き出しになっている。そのため、連結状態が不安定であり、内視鏡への挿入時に、湾曲部を通過するときに外れてしまったり、連結部に無理な力が掛かって使用前のクリップにこじれや歪みを生じてしまう可能性があるという問題があった。
また、特許文献2には、クリップ装置に用いられる複数の連結クリップを収納するクリップケースや、クリップケースに収納された複数の連結クリップをクリップ装置の操作ワイヤにどのように接続し、操作ワイヤに接続された複数の連結クリップをどのようにしてシース内に装填するかについては全く開示されていないため、上述の単一のクリップの場合と同様に、煩雑な手作業が必要であり、複数のクリップが連結されているため、さらに煩雑な手作業となるという問題があった。
このため、複数の連結クリップを収納するクリップケースとして、特許文献3に記載のクリップケースを適用しようとしても、特許文献3に開示のクリップ処置具は、1つのクリップのみを用いるもので、特許文献3に記載のクリップケースは、1つのクリップのみを収納しているため、同様の構造で複数の連結クリップを収納しても、クリップ同士の連結を維持することが困難であるという問題があった。
本発明の目的は、上記問題点を解消し、内視鏡処置用クリップと連結リングとを連結した状態でも良好な状態で流通および保管でき、その間にクリップおよび連結リングの性能を低下させることがなく、かつ、その連結状態のまま、内視鏡用クリップ処置具のシースへ簡単に装填できるクリップパッケージおよびそのクリップパッケージからシースへのクリップ装填方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記問題点を解消し、複数のクリップを複数の連結リングによって連結させた状態であっても良好な状態で流通および保管でき、その間に各クリップおよび各連結リングの性能を低下させることがなく、かつ、複数の連結クリップの連結状態のまま内視鏡用クリップ処置具のシースへ簡単に装填できる連結クリップパッケージおよびその連結クリップパッケージからシースへのクリップ装填方法を提供することにある。
上記課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明者は、2つのクリップの係合部に、その係合部を覆ってクリップの連結状態を維持する連結リングを設けたクリップ列を用いる連発式クリップ処置具を研究開発すると共に、複数のクリップを連結リングで連結したクリップ列を収納するケースを備え、ケース内に収納されたクリップ列を操作ワイヤに接続し、シース内に装填するためのクリップパッケージおよびこのクリップパッケージからシースへのクリップ装填方法について鋭意研究を重ねた結果、以下のことを知見し、本発明に至ったものである。
本発明者の開発した連発式クリップ処置具において、クリップの連結部に設けられる連結リングは、クリップの締め付け機能も有している。この連結リングは、患部を把持する際にクリップをシース先端に保持するために、外力が付与されない自然状態ではスカート状にその半径方向の外側にスカート上に拡がり、内側に押圧されると内側に閉じるスカート部を、例えば、連結リングの周方向の2箇所に備えており、このスカート部は、シース内では内側へ閉じ、シースの先端を通過した後にシース内径よりも広幅に開いてスカート状の広がり、クリップの締め付け時にクリップがシース内へ引っ張られるときに、連結リングがシース先端からシース内へ後退するのを阻止し、連結リングによるクリップの締め付けを可能にする。
このような本発明者の連発式クリップ処置具は、クリップの連結状態を確実に維持することができ、連結が外れることや、連結部においてクリップにこじれや歪みを生じるのを抑制することができる。しかし、クリップと連結リングとを用いたクリップの連結作業をユーザが行ってシースに装填するのでは、ユーザの作業負担が大きく、また、装填に時間を要する。
また、クリップの流通および保管環境は、約5℃〜38℃の範囲で温度が変化する場合がある。上記連結リングは樹脂製であり、そのスカート部は、それ自体の弾性によって、シースの外へ出たときに広がる構成としている。しかし、連結リングが、シースと略同径の筒状のケースに収納されるなどにより、スカート部が内側へ閉じた状態で長期間保管され、さらに約5℃〜38℃の範囲での周辺温度の変化による熱ストレスが繰り返し与えられると、スカート部の弾性が損なわれ、クリップ処置時に所定の径まで開かなくなってしまうおそれがある。
このため、本発明者は、クリップ列を収納するケースには、スカート部を自然状態に維持する開放部を設け、ケースからシース内に装填する際には、スカート収納機構を持つオーバーチューブをケースに被覆して、ケースの開放部にスカート収納機構に位置させ、スカート収納機構により外側に拡がった連結リングのスカート部を押圧し、少なくともケースの内面の位置まで内側に閉じさせることにより、複数の連結クリップを連結状態のまま自然かつ良好な状態で流通および保管でき、連結状態のまま、シースへ簡単に装填できることを知見した。
また、本発明者は、1つのクリップを用いる単発式クリップ処置具であっても、スカート部を持つ連結リングを用いる場合には、同様に、開放部を持つケースとスカート収納機構を持つオーバーチューブとを備えるクリップパッケージにより、連発式クリップ処置具の場合と同様にクリップを自然な状態のまま良好な状態で流通および保管でき、シースへ簡単に装填できることを知見し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、内視鏡処置用クリップおよびこのクリップに連結される円筒状連結リングを備えるクリップ体と、前記連結リングの外径よりわずかに大きい内径を持ち、前記クリップ体をその内部に収納する収容部を備える筒状のケースと、前記ケースの外径と略同径の内径の内周面を持ち、前記ケースに被覆される筒状のオーバーチューブとを有し、前記連結リングは、外力が付与されない自然状態ではスカート状にその半径方向の外側に広がって突出し、前記半径方向の内側に押圧されると内側に閉じるスカート部を有し、前記ケースは、収容された前記クリップ体の前記連結リングの前記スカート部に対応する前記収容部の位置に、前記スカート部を自然状態に維持する開放部を有し、前記オーバーチューブは、前記ケースに被覆され、前記開放部に対向する位置に移動された時に、前記スカート部を押圧し、少なくとも前記ケースの内面の位置まで内側に閉じさせるスカート収納機構を有することを特徴とするクリップパッケージを提供するものである。
ここで、前記クリップ体は、前のクリップの後端に後のクリップの先端が係合することにより連結した複数のクリップおよび前後のクリップの係合部分を覆って前記前後のクリップの連結状態を維持する複数の円筒状連結リングからなるクリップ列であり、前記クリップパッケージは、前記ケースに前記クリップ列を収容する連結クリップパッケージであることが好ましい。
また、前記ケースの前記開放部は、開口であり、前記スカート収納機構は、前記オーバーチューブの内周面に設けられた、前記開放部と当接する凸部であることが好ましい。
また、前記開放部は、外力が付与されない状態では、自然状態における前記スカート部の広がりに沿って前記半径方向の外側に広がる傾斜部を有し、前記スカート収納機構は、前記傾斜部を前記半径方向の内側に押圧する部材であることが好ましい。
また、前記開放部は、外力が付与されない状態では、自然状態における前記スカート部の広がりよりも外側の位置に保持され、外力が付与されることで前記ケースの軸に面した面が前記連結リングの外径よりわずかに大きい内径に移動可能な扉部を有し、前記スカート収納機構は、前記扉部を押圧する部材であることが好ましい。
また、前記扉部は、先端方向の端辺を軸として回動することが好ましい。
また、前記オーバーチューブは、前記ケースの先端から後端方向に被覆されて移動されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動されることも好ましい。
また、前記扉部は、円周方向の端辺を軸として回動することが好ましい。
また、前記オーバーチューブは、前記ケースに対して円周方向に回転されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動されることが好ましい。
また、前記扉部は、前記オーバーチューブと対向する面に突起が形成されていることが好ましい。
また、前記オーバーチューブは、前記スカート収納機構の移動方向の延長線上に、前記開放部よりも開口面積が大きい開口を有することが好ましい。
また、前記スカート部は、前記開放部と対向する面に突起が形成されていることが好ましい。
また、前記ケースは、前記開放部の後端側の端部よりも後端側から前記開放部に向かうに従って半径方向に広がる斜部を有することが好ましい。
また、前記連結リングの前記スカート部は、半径方向に押圧されて内側に閉じたときに、その連結リング内で連結される前記クリップの少なくとも一方を押圧して保持することが好ましい。
また、前記ケースは、後端部に、前記クリップおよび前記連結リングを装填するシースが嵌合する嵌合部を有することが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、上記第1の態様のクリップパッケージ(または連結クリップパッケージ)の前記クリップ体を内視鏡用クリップ処置具のシースに装填するクリップ装填方法であって、前記シース内に配置された、前記クリップ体を牽引するための操作ワイヤの先端を、前記ケース内の最後尾の前記クリップに取り付けられた連結部材に接続し、前記シースの先端と前記ケースの後端とを連結し、前記ケースと前記オーバーチューブとを所定の相対位置とし、前記スカート収納機構により、前記スカート部を内側に閉じさせ、前記操作ワイヤの先端が前記シースの基端側に移動する方向に、前記操作ワイヤと前記シースとを相対的に移動させることによって、前記クリップ体の全部を前記シース内に収容することをクリップ装填方法を提供するものである。
上記構成を有する本発明によれば、ケースが、連結リングのスカート状の広がり部分に対応する領域に開放部を有しているので、連結リングのスカート状の広がり部分が外力を与えずに、自然に広がったままの状態で収納して、内視鏡処置用クリップと連結リングとを連結した状態でも良好な状態で流通および保管することができる。そのため、流通および保管中に連結リングのスカート部の弾性が劣化するのを防止でき、内視鏡処置用クリップおよび連結リングの性能を使用時まで低下させることがなく維持することができる。
また、本発明によれば、オーバーチューブのスカート収納機構により、連結リングのスカート状の広がりを閉じることができるため、連結リングのスカート部を閉じた状態で、ケースの内部を案内し、さらに、クリップ処置具のシースへ導入することができ、連結状態のまま、容易にシースへ装填することができる。
また、本発明によれば、2つのクリップの係合部を覆う連結リングによってクリップの連結状態を維持する構成とした連発式クリップ処置具用の複数の連結クリップを、連結させた状態でケースに収納してパッケージ化した連結クリップパッケージとしたので、複数のクリップを複数の連結リングによって連結させた状態であっても、連結状態のまま良好な状態で流通および保管でき、その間に各クリップおよび各連結リングの性能を低下させることがなく、かつ、複数の連結クリップの連結状態のまま、容易にシースへ装填することができる。
本発明に係るクリップパッケージおよびクリップ装填方法を、添付の図面に示す好適実施例に基づいて、以下に詳細に説明する。
まず、本発明のクリップパッケージとして、連結クリップパッケージを用いる連発式クリップ処置具について説明する。
図1(A)は、本発明に用いられる連発式クリップ処置具の一実施例の概略構成を示す模式的断面図であり、図1(B)は、図1(A)と90度異なる角度から見た断面図である。
なお、以下の説明では、図1(A)および(B)における上側を先端側、その端部を先端と呼び、下側を基端側、その端部を基端と呼ぶ。
図1に示すクリップ処置具(以下、単に、処置具ともいう)10は、クリップを連続して使用できる連発式のクリップ処置具であり、複数のクリップ12(12A、12B、12C、12D)と、隣り合うクリップ12の係合部を覆ってクリップ12の連結状態を維持する連結リング14(14A、14B、14C、14D)と、これらが嵌入されているシース16と、最後尾のクリップ12Dに接続されたダミークリップ18と、連結部材19を介してダミークリップ18に接続された操作ワイヤ20と、図1には示されていないが、シース16の基端側に取り付けられ、操作ワイヤ20を操作する操作部50(図4参照)とを有する。
ここで、複数のクリップ12(12A、12B、12C、12D)と、連結リング14(14A、14B、14C、14D)と、最後尾のダミークリップ18と、連結部材19とは、クリップ列(連結クリップユニット)13を構成する。また、ダミークリップ18は、連結部材19を介して、操作ワイヤ20と複数のクリップ12とを連結する部材である。また、シース16、操作ワイヤ20(先端の接続部材(フック)21を含む)および操作部50は、操作ハンドル48を構成し、処置具10は、クリップ列13および操作ハンドル48から構成されるといえる。
図1(A)および(B)は、先頭のクリップ12Aによるクリップ処置動作開始直前の初期状態を示している。
図1(A)および(B)に示すように、1つのクリップ12と、後述する1つの締付リング40(図3参照)を備える1つの連結リング14とは、1つの内視鏡用止血クリップ体を構成し、処置具10は、この止血クリップ体が長尺なシース16の先端内部に複数装填されたものである。
また、連続する止血クリップ体の終端は、クリップ列13と操作ワイヤ20とを連結する部材であるダミークリップ18に噛み合い結合し、ダミークリップ18は、連結部材19を介して操作ワイヤ20に接続されており、操作ワイヤ20は、シース16の基端部まで延びて、後述する操作部50(図4参照)につながっている。
この操作部50から操作ワイヤ20を所定の牽引長さだけ牽引し、ダミークリップ18を一方向に所定長さ移動させることで、一連のクリップ12が同量だけ移動し、先頭のクリップ12がそれを保持する連結リング14の先端の締付リング40によって締め付けられて、先頭のクリップ12による止血やマーキング等のためのクリップ処置(クリッピング)が行われる。先頭のクリップ12によるクリップ処置が完了した後、操作ワイヤ20をシース16の先端側へ所定の長さだけ押し出すことで、または、シース16を操作部側へ所定の長さだけ引くことで、次のクリップ12が使用可能な状態(スタンバイ状態)となり、続けてクリップ処置を行うことができる。
なお、図1(A)および(B)では、先頭の第1クリップ12Aがシース16の先端から突出した状態の図としてあるが、クリップ12等をシース16へ装填するときは、後述する図5(A)に示すように、先頭の第1クリップ12Aがシース16の内部に完全に納まった状態でセットされる。また、図1ではクリップ12を4つとし、4連発式のクリップ処置具としてあるが、クリップ12の数は、2つ以上いくつであってもよい。
図2は、図1に示すクリップ12の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、クリップ12は、爪部22に対して180度ターンしたターン部24を有するクローズクリップである。すなわち、クリップ12は、一枚の長細い板を180度湾曲させて閉塞端を作った後、その両片を交差させ、かつ2つの開放端に、端部が対向するように屈曲させて爪部22、22を形成した形状をしている。この交差部26を境にして、開放端側が腕部28、28であり、閉塞端側がターン部24である。腕部28、28の中央部分には、部分的に広幅とされた凸部30、30が形成され、各腕部28は、凸部30によって爪部22側の先部28aと、交差部26側の基部28bとに分けられている。クリップ12には、生体適合性のある金属を用いることが好ましく、例えば、析出硬化系ステンレス鋼であるSUS630、SUS631を用いることができる。
クリップ12は、その交差部26に嵌められた連結リング14の先端部分に固定された締付リング40が、腕部28、28の基部28b、28bを押圧しながら爪部22、22の方(凸部30、30の方)へ向かって所定量移動することにより、その腕部28、28および爪部22、22が閉じ、爪部22、22において所定の咬頭嵌合力(把持力)を発揮する。
爪部22、22は、出血部や病変組織除去後の処置部等の対象部を確実に摘むために、V字のオス型とメス型に形成されている。
また、図2に示すように、クリップ12の腕部28は、その先部28aにおいては、爪部22から凸部30まで幅が一定で変わらないのに対し、基部28bにおいては、交差部26から凸部30に掛けて徐々に幅が広くなり、凸部30近傍では一定幅となっており、締付リング40の移動を容易かつ確実にして爪部22、22の開放や、閉止および嵌合を容易かつ確実にし、生体内等における止血や傷口の縫合や閉塞等を容易かつ確実にしている。
凸部30は、連結リング14の先端側の開口(後述する締付リング40の穴41;図3参照)および基端側の開口(後述する保持部42の穴43)内径より、すなわち凸部30が当接する部分よりも広い幅とされている。したがって、クリップ12の凸部30以外の部分は、連結リング14の内部に侵入できるが、凸部30は、連結リング14の先端側からも基端側からも、その内部に侵入できない。
図1(A)および(B)に示すように、第1クリップ12Aと第2クリップ12Bは、第2クリップ12Bの爪部22が第1クリップ12Aのターン部24に係合して閉じた状態で連結リング14Aに保持されることで、連結状態とされる。図1(A)に示すように、第2クリップ12Bの爪部22、22は、第1クリップ12Aのターン部24に直交方向に噛みあって結合し、第1クリップ12Aと第2クリップ12Bは、90度異なる向きで連結される。同様に、以下の各クリップ12C、12Dは、90度ずつ交互に向きを変えて連結される。
連結リング14は、前後の2つのクリップ12と12との係合部を覆って連結状態を維持しつつ、シース16に進退可能に嵌入されている。すなわち、連結リング14は、その外径がシース16の内径よりやや細く、クリップ12の移動に伴ってシース16内をスムーズに進退移動することができる。図3(A)〜(C)に、連結リング14の概略構成を示す。図3(A)は、図1に示す連結リングの一実施例を示す正面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す連結リングの断面図であり、図3(C)は、図3(A)に示す底面図である。
図3(A)〜(C)に示すように、連結リング14は、締付リング40と保持部42とから成る。連結リング14は、樹脂製の保持部42の先端に、金属製の締付リング40を固定し、2部材で一体構成されている。樹脂製の保持部42が連結状態の維持およびクリップ12の連結リング14内での保持を担当し、金属製の締付リング40がクリップ12の締め付けを担当する。なお、連結リング14は、締付リング40および保持部42の両機能を発揮できれば、1部材で形成してもよい。
締付リング40は、連結リング14の先端側に取り付けられた金属製の円筒状(リング状)の部品であり、クリップ12の交差部26近傍の幅よりも大きく、凸部30の幅よりも小さい内径の穴41が形成されている。したがって、締付リング40は、保持するクリップ12の交差部26の近傍を移動することができるが、凸部30を超えて先端側へは抜けられない。すなわち凸部30が、クリップ12に対して前進する連結リング14の移動限界を決めるストッパーとして機能する。
締付リング40は、クリップ12の交差部26の近傍の所定位置にセットされる。締付リング40は、その初期位置から、クリップ12の腕部28が幅広になる、交差部26から凸部30の側へ移動することで、拡開しているクリップ12の両方の腕部28、28を閉じさせて固定する締め付け機能を有している。締付リング40には、生体適合性のある金属が用いられ、例えばステンレス鋼SUS304、SUS303やチタン合金などを用いることができる。締付リング40を金属製としたことで、金属製のクリップ12に対して締付力となる摩擦力を発揮させることができる。
保持部42は、樹脂成形された概略円筒状(リング状)の部品である。保持部42は、先のクリップ12を保持する第1領域32と、先のクリップに連結した状態で次のクリップ12を保持する連結保持領域である第2領域34とを有している。保持部42には、締付リング40の穴41に連通し、第1領域32および第2領域34を貫通する穴43が形成されている。
第1領域32には、クリップ12のターン部24および腕部28、28の基部28b、28bを収容可能な、締付リング40の穴41よりも大きな円形の穴43が形成されている。第1領域32の先端部の外面には、締付リング40を嵌めるための段付き部が形成されており、締付リング40と保持部42とは、シース16に装填された状態およびクリッピング操作時において外れない程度の締まり嵌めで嵌め合わされている。
また、第1領域32は、連結リング14本体の軸に対してスカート状に傾斜して広がるスカート部38を有している。
スカート部38は、先端側、すなわち図3(A)および(B)における上方の付け根38aが保持部42の本体42aにつながっており、下方の広がり部分38bが、本体42aに形成された切り込み36によって本体42aから一部切り離されて、半径方向に広がったり閉じたりするようになっている。スカート部38は、クリップ12の牽引方向、すなわち、図3の上下方向において同じ位置に、180度離れた両側の2箇所に形成されている。
両側のスカート部38、38は、外力が付与されない自然状態では、図3(A)に示すように、その広がり部分38bがスカート状に広がる。このとき、保持部42の第1領域32の内部は、図3(B)に示すように、円柱状の空間となっている。一方、連結リング14がシース16内へ装填されるときは、例えば、図1(B)の2つめの連結リング14Bに示すように、スカート部38(の広がり部分38b)が内側に押し込まれて内部空間へ入り込み、スカート部38(の広がり部分38b)の内周側の部分が、第1領域32に保持されるクリップ12Bのターン部24の側面(エッジ部)を押圧して、第2クリップ12Bが連結リング14B内で回転方向および進退方向に移動しないように保持する。なお、スカート部38が、第2領域34に保持されるクリップ、すなわち後ろ側のクリップを押圧して保持するようにしてもよい。
スカート部38、38は、図1(A)の1つめの連結リング14Aに示すように、シース16の先端から抜け出ると同時に、それ自体の弾性によって開き、第1クリップ12Aの保持を解除するとともに、シース16の内径よりも広幅となって、連結リング14Aのシース16内への後退を阻止する。この状態で操作ワイヤ20が牽引され、第1クリップ12Aが後退することで、連結リング14Aが第1クリップ12Aに対して相対的に前進し、連結リング14Aとして一体固定されている締付リング40により、クリップ12Aを締め付ける。
したがって、スカート部38は、シース16の内部では内側へ閉じることができ、シース16の先端から出て外力から解放されるとスカート状に広がるように、弾性を有していることが必要である。それとともに、スカート部38は、シース16の内部でクリップ12を保持できる剛性と、シース16の先端でクリップ12の締付力の反力に耐える剛性とを有していることも必要である。
これらの観点から、保持部42には、生体適合性があり、かつ、スカート部38に要求される弾性および剛性を満たす材料が用いられる。また、その形状は、スカート部38に要求される弾性および剛性を満たすように定められる。このような保持部42の材料としては、例えば、PPSU(ポリフェニルサルホン、polyphenylsulfone)、芳香族系ナイロンを用いることができる。製造の容易さから、保持部42は、一体成形されるのが好ましい。
第2領域34は、第1領域32の基端側に設けられており、第1領域32に保持されるクリップ12に係合する次のクリップ12、具体的には、その爪部22、22および腕部28、28の先部28a、28aを、その爪部22、22が先のクリップ12のターン部24の閉塞端(尾部)を挟んで閉じた状態で保持する。
第2領域34は、領域長さとして、クリップ12に対して初期位置にセットされた締付リング40が、クリップ12の締め付けを完了するまでに要する移動長さとほぼ等しい長さを持つ。すなわち、連結リング14の第2領域34は、クリップ12が連結リング14に対して相対的に後退して締め付けられていく間、その内部に保持する2つのクリップ12、12の連結を保持して、後ろのクリップ12の牽引力が先端のクリップ12へ伝達されるようにするとともに、締付リング40による締め付けが完了したときには、2つのクリップ12、12の係合部が第2領域34から外れることにより、そのクリップ12、12の連結を解除する。
第2領域34には、図3(B)および(C)に示すように、第1領域32から貫通する同じ内径の穴43が形成され、さらに、その対向する2箇所に、溝(凹部)43aが形成されている。また、第2領域34には、図3(A)〜(C)に示すように、その基端から切り込むスリット46が2箇所に形成されている。
溝43a、43aは、第2領域34に保持されるクリップ12の腕部28、28の先部28a、28aを、爪部22、22が閉じた状態で収容可能である。
溝43a、43aは、第2領域34に保持されるクリップ12の爪部22の開閉方向(図3(B)中、左右方向)の両側2箇所に設けられている。第2領域34に保持されるクリップ12の腕部28、28の先部28a、28aの板面は、溝43a、43aの内壁に当接する。溝43aの幅(開口幅)は、クリップ12の腕部28の先部28aの最大幅よりわずかに大きく、一方の溝43aの壁面から他方の溝43aの壁面までの距離は、クリップ12の2つの爪部22、22の長さ(拡開方向の長さ)を足し合わせた長さにほぼ等しい。また、溝43aの幅は、腕部28に形成された凸部30の幅よりは小さい。したがって、第2領域34に保持されるクリップ12の凸部30は、溝43aに進入できない。
こうすることにより、後発クリップ12(例えば、12C)の先発クリップ12(例えば、12B)への潜り込みを防止することができ、その結果、1)先後発(前後)のクリップ12の相対位置を維持できるし、また、2)操作ワイヤ20(スライダ54:図5参照)によるクリップ12の押出操作を維持できる。
1)潜り込みが生じると、操作ワイヤ20の操作ストロークが変化してしまうが、潜り込みが防止でき、前後のクリップ12の相対位置を維持できるので、操作ストロークを維持できる。
また、連結リング14に設けたスリット46により第2領域34の曲げ剛性を下げ、クリップ12の鎖状連結とによって、アングル適性を持たせており、過度に後発クリップ12が先発の連結リング14の中に入り込むと、自由度が低下して、アングル適性が低下するが、潜り込みが防止でき、前後のクリップ12の相対位置を維持できるので、アングル適性を維持することができる。
2)操作ワイヤ20によるクリップ12の押出操作を維持できる。
<操作ワイヤ20によるクリップ12の押出操作、およびクリップ12への駆動力伝達は、以下のように行われる。>
・ダミークリップ18の凸部30、30が4発目のクリップ12Dの連結リング14Dの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・4発目のクリップ12Dは、シース16内で連結リング14Dと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Dに伝わる押出力はクリップ12Dに伝わる。(この時、3発目のクリップ12Dは、連結リング14Dのスカート部38、38の広がり部分38b、38bが内側に変形し、4発目クリップ12Dのターン部24を保持する。)
・4発目のクリップ12Dの凸部30、30が2発目のクリップ12Cの連結リング14Cの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・3発目クリップ12Cは、シース16内で連結リング14Cと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Cに伝わる押出力は、クリップ12Cに伝わる。
・3発目のクリップ12Cの凸部30、30が2発目のクリップ12Bの連結リング14Bの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・2発目クリップ12Bは、シース16内で連結リング14Bと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Bに伝わる押出力は、クリップ12Bに伝わる。
・2発目クリップ12Bの凸部30、30が1発目のクリップ12Aの連結リング14Aの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・1発目クリップ12Aは、シース16内で連結リング14Aと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Aに伝わる押出力は、クリップ12Aに伝わり、押し出される。
なお、操作ワイヤ20の牽引力は、直接クリップ12に掛かるため潜り込みの影響は特にない。
<クリップ12による操作ワイヤ20の牽引操作伝達は、以下のように行われる。>
・操作ワイヤ20により牽引されるダミークリップ18の先端(爪部22、22)が、4発目のクリップ12Dの基端側(ターン部24)を引っ張る。
・4発目クリップ12Dの先端(爪部22、22)が、3発目のクリップ12Cの基端側(ターン部24)を引っ張る。
・3発目クリップ12Cの先端(爪部22、22)が、2発目のクリップ12Bの基端側(ターン部24)を引っ張る。
・2発目クリップ12Bの先端(爪部22、22)が、1発目発クリップ12Aの基端側(ターン部24)を引っ張る。
なお、両溝43a、43aの壁面から壁面までの距離は、先のクリップ12のターン部24と、次のクリップ12の爪部22、22との係合が外れない寸法にすればよく、2つの爪部22、22の長さと、ターン部24の爪部22、22が係合する部分の幅とを足し合わせた長さよりも短くすればよい。
例えば、第2領域34に保持されるクリップ12の爪部22、22は、少し重なった状態となっていてもよいし、爪部22、22の間にわずかな隙間がある状態で、先のクリップ12との連結が維持されるようにしてもよい。
2つのクリップ12、12の係合部は、第1領域32との境目に近接する第2領域34の部分に保持される。先のクリップ12(例えば、図1(B)の連結リング14Bにおける第2クリップ12B)は、シース16の内部においては、ターン部24が第1領域32の閉じたスカート部38によって保持されているので、進退移動および回転移動が抑えられている。また、先のクリップ12に係合する次のクリップ12(例えば、図1(B)の連結リング14Bにおける第3クリップ12C)は、第2領域34の溝43aによって先のクリップ12と90度異なる方向に保持されることにより、回転移動が抑えられ、進退移動が抑えられた先のクリップ12に係合することにより、進退移動が抑えられている。すなわち、前後のクリップ12の係合部は、遊びが非常に小さい状態で、連結リング14によって保持される。
スリット46は、スカート部38、38から90度ずれた2箇所に、第2領域34の上端よりも浅い位置まで形成されている。言い換えれば、スリット46は、第2領域34に保持されるクリップ12の拡開方向から90度ずれた位置に設けられている。
スリット46を設けることにより、連結リング14のフレキシブル性を向上させることができ、クリップ処置具10は、曲率の小さい湾曲部を通過することができる。また、スリット46を設けることにより、連結リング14の裾(基端部)が一部めくれるようになるため、シース16へのクリップ12の装填前に前後のクリップ12、12を連結させる際に、連結リング14の裾をめくることで容易に連結させることができるという利点もある。
スリット46の深さは、第1領域32のスカート部38に至らない第2領域34の位置までとされており、連結リング14の強度が大幅に低下するのが防止されている。また、スリット46の深さは、第1領域32に保持されるクリップ12の後端の位置、すなわちクリップ12、12の係合位置よりも浅い位置までとされており、シース16に装填される前の連結クリップユニットにおいても、連結リング14の第2領域34におけるクリップ12の保持を保つことができる。
図1(A)および(B)に示すように、第1クリップ12Aのターン部24に第2クリップ12Bの爪部22、22が係合し、その係合部を連結リング14Aが保持する。連結リング14A(その第2領域34)の内壁によって、第2クリップ12Bの爪部22、22は閉じた状態に保持されている。それにより、第1クリップ12Aと第2クリップ12Bの連結状態が維持される。同様に、第2クリップ12Bと第3クリップ12Cとの連結状態は、連結リング14Bによって、第3クリップ12Cと第4クリップ12Dとの連結状態は、連結リング14Cによって、第4クリップ12Dとダミークリップ18との連結状態は、連結リング14Dによって維持される。
最後尾の第4クリップ12Dには、クリップ処置には用いられないダミークリップ18が係合している。ダミークリップ18は、先端部に、クリップ12の交差部26から開放端側半分の部分と類似の形状をしたバネ性を持つ部分を有しており、すなわち、2本の爪部を持つ腕部が交差部で連結された形状をしており、爪部を閉じた状態で第4クリップ12Dのターン部に係合し、爪部を開くと第4クリップ12Dを開放する。なお、図示例のダミークリップ18の腕部には、凸部が設けられていないが、凸部が設けられていても良い。ダミークリップ18の基端部には連結部材19が取り付けられている。この連結部材19には、後述する操作ワイヤ20の先端のフック状(鉤状)の接続部材(フック)21(図4参照)が着脱可能に接続されている。
シース16は、例えば、金属ワイヤを密着巻きした可撓性のコイルシースである。シース16は、その内部に、先端側においてクリップ12が移動可能に嵌入され、クリップ12に、ダミークリップ18および連結部材19を介して接続されている操作ワイヤ20を収納するもので、基端側において操作部50に接続される。シース16の内径は、先のクリップ12のターン部24と、次のクリップ12の爪部22、22との係合が解除される寸法とされている。すなわち、シース16の内径は、2つの爪部22、22の長さと、ターン部24の爪部22、22が係合する部分の幅とを足し合わせた長さよりも大きい。
操作ワイヤ20は、一連のクリップ処置において、複数のクリップ12を進退動作させるもので、例えば、金属ワイヤからなり、シース16内に収納され、先端部(操作部50とは反対側の端部)にはフック状の接続部材21が設けられている。操作ワイヤ20は、その先端部が接続部材21によって連結部材19およびダミークリップ18を介してクリップ12に接続され、接続部材21が取り付けられていない側の基端部が、後述する操作部50に接続されている。また、上述したように、シース16の基端部も、操作ワイヤ20と共に、操作部50に取り付けられている。
ここで、操作ワイヤ20の接続部材21とダミーグリップ18の連結部材19とは、クリップ12および操作ワイヤ20が進退動作する際、すなわち、シース16内を移動する際に、外れないように、一方の部材に他方の部材を嵌め込むことができる形状となっている。具体的には、操作ワイヤ20の接続部材21は、鉤状の部材であり、連結部材19には、接続用環が設けられており、操作ワイヤ20の接続部材21の鉤状部分を連結部材19の接続用環に嵌め込むことにより、操作ワイヤ20と連結部材19とを接続することができる。なお、操作ワイヤ20の接続部材21を、操作ワイヤ20よりも径の大きい突起(例えば、先端側に凸部の円錐形状)として、連結部材19を、接続部材21と略同等から若干大きい空間が形成され、かつ、その空間よりも操作部50側に、該空間よりも径が小さくかつ操作ワイヤ20よりも径の大きい開口が形成された形状としても良い。なお、このような連結部材19に形成された空間は、接続部材21の側面(シース16の内周面と向かい合う面)の全周を覆う形状ではなく、周方向の4つの方向のうち、1つの方向または、対向する2つの方向は、開放されている。
このように、接続部材21を連結部材19に嵌め込む形状とし、接続部材21を連結部材19の接続用環や空間にはめ込むことで、操作ワイヤ20が操作部50側に牽引された場合にも、接続部材21の操作部50側の鉤状部分が連結部材19の接続用環に嵌入される、あるいは、接続部材21の操作部50側の面が連結部材19の開口が形成されている面により支持されるため、接続部材21が連結部材19から外れるのを防止することができる。
なお、操作ワイヤ20およびシース16の基端は、いずれも、操作部50に取り付けられている。
図4は、本発明に用いられるクリップ処置具の操作部の一実施例の概略構成を示す部分断面図であり、図4(A)は、平面図であり、図4(B)は、正面図である。図4(A)および(B)において、左側がクリップ処置具10に接続する先端側、右側が基端側(または後端側)である。操作部50は、ワイヤ操作部52と、シース操作部54とを有している。
ワイヤ操作部52は、円筒状のケース58と、ケース58の先端に軸を一致させて固定された位置決めパイプ56と、ケース58の内部に保持されたレバー60およびスプリング62とを有している。
レバー60は、ケース58の内部において、前後方向(ワイヤ操作部52の軸方向)に移動可能に保持されている。レバー60の後端側の一部は、ケース58の中央部分に設けられた貫通窓59に現れており、操作者が指を掛けてレバー60を後端側に引けるようになっている。レバー60の後端にはスプリング62が取り付けられている。スプリング62は、レバー60が後方へ引かれることによって圧縮され、レバー60を引く力が解除されると、反発力によって、レバー60を前方へ押し戻す。それにより、レバー60は、元の位置(ホームポジション)へ戻る。
レバー60の後方への移動限界は、貫通窓59によって規定される。すなわち、レバー60の指が掛かる面60aが、貫通窓59の後端に一致する位置が、レバー60の移動限界である。なお、レバー60の後方に規制板を設け、レバー60の後端がその規制板に当たることにより、レバー60の後方への移動限界を規定するようにしてもよい。
一方、レバー60の前方には、規制板61が設けられており、レバー60のホームポジションを規定している。レバー60は、スプリング62に付勢されて前方へ移動し、規制板61に当たって停止してホームポジションに戻る。
図4(A)では、スプリング62をコイルスプリングとして示しているが、スプリング62は、レバー60を前方へ付勢できればよく、板ばねやその他の弾性体などを用いても良い。
レバー60の先端には、クリップ12を牽引するための操作ワイヤ20が固定されている。操作ワイヤ20は、シース操作部54および位置決めパイプ56の内部を通過して、レバー60に到達している。
操作者が貫通窓59に指を挿入してレバー60を引くことで、レバー60が後方へ移動すると、レバー60の先端に取り付けられた操作ワイヤ20も同様に移動して、操作ワイヤ20の先端が後方へ移動する。また、レバー60を引く力が解除されてレバー60が元の位置に戻ると、操作ワイヤ20も同様に移動して、その先端が元の位置に戻る。
なお、クリップ処置における操作ワイヤ20の牽引量は、例えば3.1mmなどの非常に小さい量なので、操作部50における確かな操作感覚を与えるために、操作ワイヤ20の牽引量とレバー60の操作量との間に、操作ワイヤ20の牽引量の変倍機構を設けてもよい。
位置決めパイプ56は、中空のパイプ状の部材であり、その中を操作ワイヤ20が通過する。また、位置決めパイプ56の内径はシース16の外径よりも大きく、位置決めパイプ56の内部にシース16を挿入可能である。図4(B)に示すように、位置決めパイプ56の上側表面には、軸線方向に所定の間隔で刻まれた複数のノッチ66が形成されている。また、位置決めパイプ56の先端部は、シース操作部54の中に挿入され、その先端部に抜け止めリング64が取り付けられている。
図4(A)に示すように、抜け止めリング64の中心部には、シース16の外径よりわずかに大きい穴が形成されている。抜け止めリング64は、シース16を軸線方向に移動可能に保持する。
シース操作部54は、円筒状のケース68と、支持ブロック70と、シース保持リング72とを有する。
支持ブロック70は、シース操作部54の後端部分に配置されており、シース操作部54に挿入された位置決めパイプ56を支持する。また、支持ブロック70は、図4(B)に示すように、その先端側の面が、位置決めパイプ56の先端に取り付けられた抜け止めリング64に当接して、位置決めパイプ56がシース操作部54から外れるのを防止している。
シース保持リング72は、ケース68の先端に、シース操作部54の軸線上に設けられており、シース操作部54に挿入されたシース16の外周を固定的に保持する。したがって、シース操作部54が移動すると、シース16も共に移動する。
シース操作部54は、さらに、ケース68の外部に突出するボタン74と、ケース68の内部に設けられ、ボタン74の動きに連動する爪76を有している。爪76は、位置決めパイプ56に押し付ける方向に付勢されており、位置決めパイプ56のノッチ66に引っ掛かって、ワイヤ操作部52に対するシース操作部54の位置を決め、かつ、その移動を止める。
ボタン74が押されると、爪76が持ち上げられてノッチ66から乗り上げ、シース操作部54が、シース操作部54に対して移動可能となる。ボタン74から手を離してシース操作部54をワイヤ操作部52に対して移動させると、爪76が次のノッチ66に引っ掛かった時点で移動が止められる。したがって、シース操作部54およびシース16は、ノッチ66の間隔を1ストロークとして、その1ストロークの長さ単位で移動できる。
なお、図4の操作部50は、位置決めパイプ56にノッチ66が6個形成されており、5連発のクリップ処置具にも適用可能なものである。
シース操作部54の移動に伴ってシース16が移動すると、シース16の基端側の端部は、抜け止めリング64の穴を進んで、位置決めパイプ56の内部に進入する。
次に、連発式のクリップ処置具10の作用について、図5を参照して説明する。図5(A)〜(E)は、それぞれクリップ処置具10のクリップ処置動作時における段階的な状態を示す部分断面図である。
まず、図5(A)に示すように、シース16にクリップ12A〜12Dおよび連結リング14A〜14Dからなる4つの止血クリップ体(以下、単にクリップ体という)が装填された後、シース16が内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される。クリップ体の装填は、例えば、予め4つのクリップ体(クリップ12に連結リング14を嵌めたもの)とダミークリップ18を連結させておき、ダミークリップ18をシース16の先端から突出させた操作ワイヤ20の先端に取り付け、その後、シース16を操作ワイヤ20に対して相対的に前進させて、先頭のクリップ12Aを完全にシース16内に収容することで行うことができる。この方法については、後に詳述する。
図示例では、図5(A)に示すように、クリップ12Aの先端がシース16の先端にほぼ一致している。なお、先頭のクリップ12Aは、シース16の先端から所定量引っ込んだ位置にセットするようにしてもよい。
先頭のクリップ12Aは、シース16の内壁によって閉じた状態に保持される。各連結リング14A〜14Dは、その締付リング40がクリップ12A〜12Dの交差部26の近傍の初期位置に来るように嵌め込まれている。このとき、クリップ12B〜12Dの凸部30の上端が、それぞれ、連結リング14A〜14Cの直下に位置する。
シース16の先端が、生体内に挿入された内視鏡の挿入部の先端まで到達し、内視鏡先端から突出すると、図4に示した操作部50において、シース操作部54の爪76が1番目のノッチ66から2番目のノッチ66へ移動するようにシース操作部54が引かれる。シース操作部54にはシース16が固定されているので、シース操作部54の移動量と同じ量だけシース16が後退する。この操作により、操作ワイヤ20は移動せず、シース16のみが操作部50側に引かれる。
シース16が1番目のノッチ66と2番目のノッチ66の間隔に対応する所定量だけ引っ張られると、シース16の先端が、先頭の連結リング14Aのスカート部38が開く位置まで下がり、シース16から突出したクリップ12Aの爪部22、22は付勢力によって広がって、図5(B)の状態となる。これにより、1発目のクリップ12Aが使用可能な状態となる。なお、図5(B)では、連結リング14Aのスカート部38は紙面垂直方向にあるため、図に表れていない。
クリップ12Aとクリップ12Bの結合部は、連結リング14Aのスカート部38の直下に位置しているため、図5(B)の状態のとき、クリップ12Bの先端が、シース16の先端にほぼ一致している。
シース16が引かれるとき、シース16とシース16に嵌入されている連結リング14A〜14Dとの間に摩擦力が働く。しかし、連結リング14A〜14Dとクリップ12A〜12Dとの間には、閉じたスカート部38の内側部分によるクリップ12の押圧力、および、後ろ側のクリップ12の爪部22が開こうとするバネ力による連結リング14(その第2領域34、図3参照。)の内壁面への押圧力が働いている。さらに、クリップ12B〜12Dの凸部30が連結リング14A〜14Cの基端に当接し、連結リング14の穴43(図3参照)には進入できない。そのため、シース16を引いても連結リング14A〜14Dは不要に移動することがない。したがって、連結リング14A〜14Dは、それぞれ、クリップ12A〜12Dを保持した状態を維持することができる。
次に、図5(B)の状態のクリップ処置具10を移動させて、拡開したクリップ12Aの爪部22、22をクリップ処置したい部位に押し付けて、操作部50(図4参照)のレバー60を引くことにより、操作ワイヤ20を所定量引っ張る。操作ワイヤ20を引くことで、ダミークリップ18から順に係合している全クリップ12A〜12Dが、一様に引っ張られる。
このとき、図5(B)および(C)の状態では、シース16の先端に出た連結リング14Aは、スカート部38が開いており、スカート部38によるクリップ12Aの押圧保持は解除されている。また、連結リング14Aは、スカート部38がシース16先端で開いていることにより、シース16内への後退が阻止されている。そのため、図5(C)に示すように、先頭のクリップ12Aは連結リング14Aに対して後退する。連結リング14Aの先端、すなわち締付リング40が、クリップ12Aの凸部30の直下まで押し込まれることにより、連結リング14Aによるクリップ12Aの締め付けが完了する。
それと同時に、クリップ12Aと次のクリップ12Bとの係合部が連結リング14Aの後端から抜け出る。クリップ12Aとクリップ12Bの係合部が連結リング14Aから外れると、クリップ12Bのバネ力によって腕部28がシース16の内壁に当たるまで拡開し、爪部22、22の間がクリップ12Aのターン部24の幅よりも広く開いて、クリップ12Aとクリップ12Bとの連結が解除される。それにより、クリップ12Aおよび連結リング14Aは、シース16から離脱可能となり、クリップ12Aおよび連結リング14Aによるクリップ処置が完了する。
一方、後続のクリップ12B〜12Dは、スカート部38が閉じた連結リング14B〜14Dによって、連結リング14B〜14Dに対して回転方向および進退方向に移動しないように保持されている。さらに、クリップ12B〜12Dに係合するクリップ12C、12Dの爪部22およびダミークリップ18の爪部の広がろうとする力(付勢力)によって、爪部22が連結リング14B〜14Dの第2領域34(図3参照)の内壁に押し付けられており、クリップ12B〜12Dと連結リング14B〜14Dとの間の摩擦力が高まっている。そのため、連結リング14B〜14Dは、クリップ14B〜14Dの移動とともに移動する。
すなわち、先頭クリップ12Aおよびそれを保持する連結リング14A以外のクリップ12B〜12Dと連結リング14B〜14Dとは、シース16に対して一体的に進退移動し、クリップ14B〜14Dおよびダミークリップ18の連結状態は、連結リング14B〜14Dによって維持される。
操作ワイヤ20は、初期状態から一定量牽引できるように構成されている。この一定量とは、連結リング14の第2領域34の領域長さに等しいか、それよりもわずかに大きい量であると同時に、クリップ12の凸部30の下端からそのクリップ12を保持している連結リング14の先端までの長さと等しいか、それよりもわずかに小さい量である。この一定量は、図4(A)の操作部50において、レバー60のホームポジションから後方への移動限界までの長さによって定められる。
操作ワイヤ20は、操作部50のレバー60を付勢するスプリング62により、一定量引いた後、すぐにその一定量だけ戻るようになっている。図5(B)の状態から図5(C)の状態まで引っ張った操作ワイヤ20は、操作部50においてレバー60の引っ張り力を解放すると、レバー60が元の位置に戻り、それにより、操作ワイヤ20が元の位置に戻って、図5(D)の状態となる。すなわち、2発目のクリップ12Bの先端は、図5(B)のときと同様の、シース16の先端にほぼ一致する位置に戻る。
次に、2発目のクリップ12Bを使用可能な状態とするために、シース16が所定の1ストローク分引っ張られる。図4(A)の操作部50において、シース操作部54が、2番目のノッチ66から3番目のノッチ66へ動かされる。それにより、シース16の先端が、次の連結リング14Bのスカート部38が開く位置まで下がり、シース16から突出したクリップ12Bの爪部22、22は広がって、図5(E)の状態となる。
シース16を引く1ストローク分の長さは、シース16に装填された前後2つのクリップ12の先端の距離にほぼ等しい。また、シース16を引く1ストローク分の長さは、操作部50のノッチ66間の長さで定められる。
その後、上述のクリップ12Aのときと同様に、クリップ処置したい部位にクリップ12Bの爪部を押し付けて、操作ワイヤ20を所定量引っ張る。これにより、連結リング14Bによるクリップ12Bの締め付けが完了すると同時に、クリップ12Bとクリップ12Cとの連結が解除され、クリップ12Bによるクリップ処置が完了する。
以上に説明したように、図示例のクリップ処置具10では、連結リング14でクリップ12の連結部を覆って保持しているため、複数のクリップ12の連結状態が確実に維持される。そして、操作ワイヤ20でダミークリップ18およびそれに連結する複数のクリップ12を所定長分だけ一方向に牽引することで、連結リング14の締付リング40による先頭のクリップ12の締め付けと、次のクリップ12との連結解除とを同時に行って、先頭のクリップ12によるクリップ処置を行うことができ、さらに、シース16を操作部50側へ所定長分だけ引くことで、次のクリップ12が使用可能となり、続けてクリップ処置を行うことができる。
また、クリップ12の連結部を連結リング14で覆っているため、クリップ処置操作時等にクリップ12の連結部の角部などでシース16の内壁を傷付ける心配が無く、シース16を内視鏡に挿入する時などにも、連結部において、クリップ12にこじれや歪みを生じる可能性が極めて小さい。
次に、本発明のクリップパッケージについて説明する。
以下で説明する本発明のクリップパッケージは、上述のような連発式クリップ処置具10において用いられるクリップ体(クリップ12に連結リング14を嵌めたもの)を、予め所定数が連結された状態でケースに収納し、パッケージ化した連結クリップパッケージであるが、本発明のクリップパッケージは、単発式クリップ処置具において用いられる1個のクリップ体(1個のクリップ12および1個のダミークリップ18に1個の連結リング14を嵌めたもの)であっても良いのはもちろんである。
図6(A)〜(C)は、本発明の連結クリップパッケージの第1実施形態を示す図であり、(A)は、その正面図であり、(B)は、その断面図であり、(C)は、ケースの軸に直交する面の断面図である。以下では、図6(A)および(B)における左側を先端、右側を後端と呼ぶ。
上記のクリップ処置具10の説明では、4つのクリップ体が連結されている例について説明したが、ここでは、5つのクリップ体が連結されている例について説明する。
図6(A)に示すように、連結クリップパッケージ80は、ケース82と、上キャップ84と、下キャップ86と、オーバーチューブ89とから成る。
ケース82は、円筒状であり、内部にクリップ12および連結リング14からなるクリップ体を収容する。このケース82は、図6(A)および(C)に示すように、略半円筒状で、円筒の中心軸を軸として対称形状の2つのケース部品(上下ハーフ)82a、82bを組み合わせて構成されている。2つのケース部品82a、82bの先端には上キャップ84が、後端には下キャップ86が嵌められており、ケース82を閉じた状態に保っている。
また、ケース部品82aとケース部品82bとは、境界面に後述する開放部91とが重ならないように、境界面の位置が切り替わっている。つまり、ケース部材82a、82bは、1つの開放部91が、1つの部品に跨らず、ケース部品82aとケース部品82bのいずれか一方のみに形成されるように、円周方向における境界面の位置が場所により切り替わる形状となっている。
また、ケース82は、内部が見えるように、透明または半透明とするのが好ましい。また、耐衝撃性、扱い易さ、および成形の容易さから、周辺温度の変動範囲(例えば5℃〜38℃)で変質しない樹脂によって形成するのが好ましい。なお、本実施形態では、ケース82を円筒状としているが、ケース82の外形は、円柱状には限定されず、角柱であってもよい。
また、ケース82は、ケース部品82a、82bの外表面を透明樹脂製のカバー88で覆われている。なお、後述する開放部91に対応する領域は、カバー88で覆われていない。カバー88でケース部品82a、82bの外表面を覆うことで、ケース部品82a、82bが分離することを防止している。また、ケース82は、接着剤等でケース部品82aとケース部品82bとを接着させてもよい。
上キャップ84および下キャップ86は、ケース部品82a、82bの先端と後端を封じる物であればよく、ゴム製や樹脂製とすることができる。また、下キャップ86は取り外し可能である。ケース82内のクリップ体をシースへ装填するときは、下キャップ86が外されて内部のクリップ体が連結状態のまま引き出される。上キャップ84は取り外し可能でもそうでなくてもよい。また、ケース82で先端部分を構成し、上キャップ84を設けない形態としてもよい。
図6(B)に示すように、ケース82には連結リング14の外径よりわずかに大きく、クリップ体が装填されるシース16(図8参照)の内径とほぼ等しい内径の穴が、ケース82全体を貫いて形成されており、その穴に、連結された5つのクリップ12A〜12Eおよびダミークリップ18と、その連結部分を覆う5つの連結リング14A〜14Eが収容されている。先頭のクリップ12Aの先端は、上キャップ84からケース82内に突出する部分に保護されている。また、最後尾のクリップ12Eにつながるダミークリップ18の後端の連結部材19は、下キャップ86によって保持される。
ケース82の後端部分には、シース16が挿入可能なシース嵌合部98が形成されている。シース嵌合部98は、クリップ12A〜12Eおよび連結リング14A〜14Eを装填するシース16の外径にほぼ等しい径を有している。シース嵌合部98の径は、ケース82の穴のストレート部90の径よりも、シース16の肉厚分程度大きいので、シース嵌合部98の先端にはその分の段差ができている。ケース82内のクリップ体をシース16へ装填するときは、シース嵌合部98の先端までシース16が挿入される(図8参照)。
図6(B)の部分拡大図を図7に示す。図6(A)〜(C)および図7に示すように、ケース82の内面には、連結リング14A〜14Eが収容される位置に、各連結リング14A〜14Eのスカート部38に対応してそれぞれ開放部91が設けられている。この開放部91は、扉部92で構成されている。
扉部92は、スカート部38に対向した領域の先端側の端部がストレート部90と接合され、その他の3辺はストレート部90と切り離された、板状部材であり、スカート部38に対向した領域を覆っている。また、扉部92の厚みは、ストレート部90と略同じ厚みである。
この扉部92は、ストレート部90と接合している部分を軸として、スカート部39と離接する方向に回動可能な部材である。また、扉部92は、外力が負荷されてない状態では、自然状態におけるスカート部38の傾斜とほぼ同じ角度で、スカート部38の広がりにほぼ一致して、外側へ半径方向に拡がる。
なお、本実施形態では、扉部92をストレート部90と一体として成型しているが、本発明はこれに限定されず、扉部92とストレート部90とを別部材で形成してもよい。
また、扉部92は、外力が負荷されていない状態で、スカート部38を自然状態に維持できればよい。したがって、扉部92は、外力が負荷されてない状態では、自然状態におけるスカート部38の傾斜とほぼ同じ角度で、スカート部38の広がりにほぼ一致して、外側へ半径方向に拡がる形状には限定されず、外力が負荷されていない状態では、ストレート部90と同一平面状となる形状としてもよい。この場合は、スカート部38の拡がりにより、すなわち、スカート部38の拡がる力により外側に押し出され、外側へ半径方向に拡がるように、回動方向の抵抗が低く、回動しやすい構成とすればよい。
また、ケース82には、扉部92の後端側の端部よりも後端側から扉部92向かうに従って半径方向に拡がる斜部94が形成されている。つまり、斜部94は、扉部92の後端側の辺と対向する面に設けられており、扉部92側の端部が、ストレート部よりも半径方向の広く、後端側に向かうにしたがって、半径方向に狭まる形状で形成されている。
上述したように、クリップ12A〜12Eは90度ずつ向きを変えて連結されており、それに対応して、連結リング14A〜14Eも前後の連結リング14と90度向きを変えてクリップ12A〜12Eに嵌められている。したがって、ケース82における開放部91の位置も、各連結リング14A〜14Eに対応する位置において、周方向に90度ずつずれている。図6(B)においては、連結リング14A、14C、14Eのスカート部38に対応する開放部91が上下2箇所に示されている。連結リング14B、14Dのスカート部38に対応する開放部91は、図6(B)の紙面に垂直な方向の2箇所に形成されている。
この開放部91の扉部92により、連結リング14A〜14Eは、スカート部38が外力を受けずに広がった状態でケース82に収納される。そのため、ケース82に保管されている間にスカート部38の弾性が劣化することを防止でき、連結リング14A〜14Eの性能を維持することができる。
オーバーチューブ89は、図6(A)〜(C)に示すように、円筒状の管であり、内周がケース82の外周面と略同径であり、ケース82に被覆される。オーバーチューブ89は、少なくとも内周面が、ケース82よりも剛性の高い材料で形成されている。オーバーチューブ89は、内部にケース82を挿通させることができる。
本発明のクリップパッケージ80は、以上のような構成であり、ケース82からクリップ12A〜12Eおよび連結リング14A〜14Eが引き出されるときに、オーバーチューブ89でケース82の外周面を覆うことで、オーバーチューブ89の内周面が、開放部91の扉部92をスカート部38側に押し、スカート部38を閉じさせることができる。また、開放部91よりも後端側に斜部94を設けることで、スカート部38が開放部91から出るときにめくれてしまうことをより確実に防止できる。
すなわち、オーバーチューブ89の、ケース82よりも剛性の高い材料で形成されている内周面が、本発明のスカート収納機構を構成する。
クリップ体のケース82への収納は、次のように行う。
まず、クリップ12A〜12Eを順に連結させる。クリップ12A〜12Eの連結は、クリップ12に嵌められた連結リング14のスリット46をめくり、クリップ12のターン部24に次のクリップ12の爪部22を係合させて、係合部を連結リング14の所定位置にセットすることで行う。最後のクリップ12Eには、同様の方法でダミークリップ18を連結させる。
予め連結させた状態に組み立てられた連結クリップを、ケース82の一方のケース部品82aに収納する。その後、もう一方のケース部品82bをケース部品82aに被せて、外周をカバー88で覆い、上キャップ84および下キャップ86を嵌めることで、連結クリップパッケージ80を得る。
次に、図8(A)〜(D)を参照して、連結クリップパッケージ80から処置具10のシース16へのクリップ体の装填方法について説明する。
まず、図8(A)に示すように、連結クリップパッケージ80の下キャップ86を外して、シース16の先端から突出させた操作ワイヤ20(の先端の接続部材21)を、ケース82内のダミークリップ18の後端部の連結部材19に接続する。
操作ワイヤ20は、図4に示す操作部50の操作によって、シース16から突出させることができる。すなわち、図1のクリップ処置具10において、全てのクリップ12を使用した後は、図4の操作部50は、シース操作部54がワイヤ操作部52の側へ移動している。例えば、シース操作部54の爪76は、一番後ろのノッチ66に掛かっている。その状態において、ワイヤ操作部52とシース操作部54との間には、所定の間隔が空いており、シース操作部54をその間隔分だけ引いて、シース16を操作ワイヤ20に対して引くことにより、操作ワイヤ20をシース16の先端から突出させることができる。位置決めパイプ56に、操作ワイヤ20を突出させる位置に対応するノッチを設けておいてもよい。
既に使用したクリップ12の最後尾に係合していたダミークリップ18は、シース16から操作ワイヤ20を突出させた状態で、予め取り外される。
ダミークリップ18の後端部(の連結部材19)と操作ワイヤ20の先端(の接続部材21)は、着脱可能であり、かつ、操作ワイヤ20の進退移動では外れない構成となっている。例えば、連結部材19は接続用環を有し、操作ワイヤ20には鉤状の接続部材21が取り付けられており、操作ワイヤ20の鉤状の接続部材21を連結部材19の接続用環に引っ掛けて、ダミークリップ18と操作ワイヤ20とを接続する。
操作ワイヤ20をケース82内のダミークリップ18に接続したら、図8(B)に示すように、シース16をシース嵌合部98の先端まで挿入して、ケース82と嵌合させる。操作者がシース16とケース82とを持って、シース16の端部をケース82のシース嵌合部98に挿入した後、操作部50(図4参照)のシース操作部54を、ワイヤ操作部52に対して前進させることで、シース16を操作ワイヤ20に対して前進させて、シース16をシース嵌合部98の先端まで挿入することができる。
ケース82のシース嵌合部98にシース16を嵌合させた状態において、ケース82のストレート部90の内径と、シース16の内径は、ほぼ等しくなっている。
次に、図8(C)に示すように、ケース82の先端側からオーバーチューブ91を被せて、ケース82の外周面をオーバーチューブ91で被覆する。言い換えれば、ケース82を先端側からオーバーチューブ91に挿入する。
オーバーチューブ91でケース82の外周面を覆うことで、ケース82のストレート部90に相当する部分の外周面よりも外側に出ている扉部92が、スカート部38側に押される。扉部92は、オーバーチューブ91によりスカート部38側に押されることで、スカート部38側の面がストレート部90と同一平面上に移動される。これにより、スカート部38もケース82の軸(中心軸)側に外力が負荷され、スカート部38は、ケース82の軸側に移動(回動)し、スカート部38が連結リング14Aの内部に収納される。
次に、図8(D)に示すように、操作ワイヤ20の位置はそのままで、シース16だけを先端側へ移動させ、それと一緒にケース82を先端側へ移動させる。シース16の移動は、操作部50のシース操作部54をワイヤ操作部52に対して先端側へ移動することによって行う。このとき、図8(D)に矢印で示した、シース嵌合部98の先端部近傍を押さえながら、シース16およびケース82を移動させるのが好ましい。シース16およびケース82の移動により、ケース82内のクリップ12A〜12Eおよび連結リング14A〜14Eが、後端側から順に、シース16内へ装填される。
なお、クリップ12の装填には、シース16を操作ワイヤ20に対して相対的に前進させて、先頭の第1クリップ12Aを完全にシース16内に収容する位置まで移動させればよく、シース16およびケース82を移動させずに、操作ワイヤ20を引っ張って、クリップ体をシース16内に引き込んで装填するようにしてもよい。
ケース82において、連結リング14A〜14Eのスカート部38は、開いた状態で開放部91に対向する位置に収容されているが、ケース82が先端側へ移動するときには、スカート部38は、オーバーチューブ89に押圧された扉部91により、連結リング14の内部に収納されストレート部90に収まって、そのままシース16内へ引き込まれる。連結リング14A〜14Cのスカート部38は、後端側の他の開放部91を通過するが、その際に、オーバーチューブ89により、扉部92のスカート部38と接する面がストレート部90と同一平面上に移動されているため、スカート部38は、開かれることなく通過する。
連結リング14A〜14Eは、その後端側の第2領域34(図3参照)の内壁が、後ろ側のクリップ12B〜12Eおよびダミークリップ18の爪部22が広がろうとする付勢力によって、押圧されている。そのため、ケース82内において、クリップ12の連結状態、および、クリップ12A〜12Eと連結リング14A〜14Eとの位置関係が維持される。
さらに、シース16への装填時には、スカート部38が閉じていることで、連結リング14A〜14Eの内部のクリップ12A〜12Eがスカート部38の内側の部分によって押圧され、連結リング14A〜14Eがクリップ12A〜12Eおよびダミークリップ18の連結状態を保持する。そのため、シース16への装填時に、クリップ12A〜12Eおよびダミークリップ18の連結が外れたり、連結リング14A〜14Eとの位置関係がずれるのを防止することができる。
シース16の先端が、先頭のクリップ12Aの先端を収容する位置まで移動して、シース16へのクリップ12の装填が完了する。装填完了時、操作部50(図4参照)は、シース操作部54が先端側へ移動し、爪76が最初のノッチ66に掛かった状態となる。
このように、連結クリップパッケージ80は、複数のクリップ12が連結した状態で流通および保管することができ、さらに、その連結状態を保ったまま、簡単な操作でシース16へ装填できる。そのため、操作者の作業負担が小さく、短時間で簡単にクリップ体、すなわち複数のクリップ12からなるクリップ列の装填をすることができる。
また、連結クリップパッケージ80は、連結リング14のスカート部38が開いた状態で保管できるので、スカート部38の弾性を損なうのを防止でき、クリップ12の使用時(クリップ処置時)に、クリップ12および連結リング14が十分な性能を発揮することができる。
さらに、連結クリップパッケージ80は、ケース82の外周面にオーバーチューブ89で被覆するのみで、その内部で開いた状態のスカート部38を、シース16への装填時には自動的に閉じさせながら装填することができるので、装填操作が容易である。
また、クリップ列をシースに挿入する際に、スカート部の移動方向とは反対側の負荷を掛けることなく、スカート部の側面からスカートの回動方向に沿った外力を負荷してスカート部を閉じることができるため、スカート部に不要な負荷をかけることなく、挿入時にスカートが破損することを防止できる。
次に、本発明のクリップパッケージの第2実施形態について説明する。
図9(A)〜(C)は、本発明のクリップパッケージである連結クリップパッケージの第2実施形態を示す図であり、(A)は、正面図であり、(B)は、断面図であり、(C)は、ケースの軸に直交する面の断面図である。
図9に示す連結クリップパッケージ100は、ケース102と、オーバーチューブ104と、上キャップ84と下キャップ86とを有する。
図9の連結クリップパッケージ100は、ケース102の外周面には、開放部110を通り円筒の軸方向に延在するガイド溝112が形成されており、開放部110が開口114となっている。また、オーバーチューブ104は、内周面にガイド溝112に対応する位置に円筒の軸方向に延在し、ガイド溝112と係合するガイド凸部116と、開放部110に対応する位置のガイド凸部116上の設けられ、開口114と嵌合する突起部118とを有する。これらの点を除いて、ケース102及びオーバーチューブ104は、上述したケース82およびオーバーチューブ89と基本的に同様の構成であるので、同様の部分についての詳細な説明は省略する。
また、ケース102の先端に嵌められた上キャップ84および後端に嵌められた下キャップ86は、上述の連結クリップパッケージ80の上キャップ84および下キャップ86と同様のものである。
ケース102は、筒状の部材であり、ガイド溝112と開放部110となる開口114が形成されている。
ガイド溝112は、ケース102の外周面に形成された、開放部110に対応する領域を通り、円筒の軸方向に延在する凹部である。
開口114は、開放部110を構成する空間であり、スカート部38に対応する領域に形成されている。開口114には、ケース102の内部に配置されたクリップ列の連結部14のスカート部38の一部が飛び出している。スカート部38は、ケース102の対応する領域に開口114が形成されることで、外力が負荷されることがなく、ケース102の内部で自然状態のまま保持される。
また、オーバーチューブ104は、内周径がケース102の外周径と略同等の筒状部材であり、内周面に、本発明のスカート収納機構として機能するガイド凸部116と突起部118とを有する。
ガイド凸部116は、内周面のガイド溝112に対応する位置に円筒の軸方向に延在して形成された線状の凸部である。ガイド凸部116は、オーバーチューブ104にケース102を挿入する際に、ガイド溝112と係合される。
突起部118は、ガイド凸部116上の開放部110に対応する位置に設けられ、中心から先端面までの距離が、ケース102の中心からストレート部の内表面までの距離と同一距離となる。
また、突起部118は、オーバーチューブ104にケース102が挿入され、開口114と対向する位置となったとき、開口114と嵌合する。
クリップパッケージ100は、以上のような構成である。
次に、図10(A)〜(D)を参照して、連結クリップパッケージ100からシース16へのクリップ体の装填方法について説明する。なお、連結クリップパッケージ100の作製方法は、クリップパッケージ80と同様の手順であるので、説明は省略する。
まず、図10(A)に示すように、連結クリップパッケージ80の下キャップ86を外し、シース16の先端から突出させた操作ワイヤ20を、ケース82内のダミークリップ18の後端部の連結部材19に接続する。
操作ワイヤ20をケース102内のダミークリップ18に接続したら、図10(B)に示すように、シース16をシース嵌合部98の先端まで挿入して、ケース82と嵌合させる。
次に、図10(C)に示すように、ケース102の先端側からオーバーチューブ104を被せ、ケース102の外周面をオーバーチューブ104で覆う。このとき、操作者は、ケース102のガイド溝112と、オーバーチューブ104のガイド凸部116とが係合する向きで、ケース102をオーバーチューブ104内に挿入し、開口114に突起部116を嵌合させる。
開口114に突起部116を嵌合させることで、突起部116のスカート部38側の面がストレート部90と同一平面上まで突出する。これにより、突起部116がスカート部38に対して、軸側の外力を負荷し、スカート部38は、軸側に移動(回動)し、スカート部38が連結リング14Aの内部に収納される。
次に、図10(D)に示すように、操作ワイヤ20の位置はそのままで、シース16だけを先端側へ移動させ、それと一緒にケース82を先端側へ移動させる。シース16およびケース82の移動により、ケース82内のクリップ12A〜12Eおよび連結リング14A〜14Eが、後端側から順に、シース16内へ装填される。
このように、クリップパッケージ100に示すように、開放部を開口とし、ケース側には、スカート部と接触する部材は設けず、オーバーチューブに開口と嵌合する突起を設けることでも、クリップの保管、流通時は、スカート部を自然状態とし、クリップを装填する際は、スカート部を閉じた状態とすることができる。
このように、開放部は、扉部を設け、ケースの一部を介して、オーバーチューブからスカート部に外力を負荷することに限定されず、開口を設け、オーバーチューブとスカート部とが直接接触させて、オーバーチューブからスカート部に外力を負荷するようにしてもよい。
また、クリップパッケージ100に示すように、ケースの外周面とオーバーチューブの内周面に溝と凸部を設けることで、互いの円周方向の向きがずれることを防止でき、開口と突起部とを確実に嵌合させることができる。
また、ケースに溝を設け、オーバーチューブに凸部を設けることで、開口の深さと突起部の高さを小さくすることができ、オーバーチューブにケースを挿入し易くすることができる。
なお、本実施形態では、連結部毎にスカート部の形成されている向きが異なるため、開口に対応する部分以外に角度特定用の溝を設けてもよい。
次に、本発明のクリップパッケージである連結クリップパッケージの第3実施形態について説明する。図11(A)〜(C)は、本発明の連結クリップパッケージの第3実施形態に用いるオーバーチューブを示す図であり(A)は斜視図、(B)は断面図、(C)はケースの軸に直交する面の断面図である。また、図12(A)及び(B)は、それぞれ、本発明の連結クリップパッケージの第3実施形態を示す断面図である。
なお、本実施形態の連結クリップパッケージ130に用いるケースは、図6に示すケース82と同様のものであるので、図示及び説明は省略する。
また、図11(A)〜(C)に示すように、オーバーチューブ132は、内周径がケースの外周径と略同等の筒状部材であり、開放部91に対応する領域に開口134が形成されている。
ここで、連結クリップパッケージ130は、図12(A)および(B)に示すように、保管時、流通時から、ケース82がオーバーチューブ132に挿入されており、ケース82の外周がオーバーチューブ132により覆われている。
ここで、保管時、流通時、連結クリップパッケージ130は、図12(A)に示すように、ケース82とオーバーチューブ132とが、オーバーチューブ132の開口134がケース82の開放部91に対向する位置関係で配置されている。
開口134と開放部91とが対向している位置関係の場合は、開放部91の扉部92に外力が負荷されないため、スカート部38は、自然状態となる。
次に、ケース82内のクリップをシース16に装填する場合は、図12(B)に示すように、ケース82の軸方向において、オーバーチューブ132をケース82の後端側に相対的に移動させる。このとき、相対的な移動距離は、ケース82の軸方向における開口134の長さよりも長い距離である。
このように、オーバーチューブ132をケース82の後端側に相対的に移動させることにより、ケース82の開放部91は、オーバーチューブ132の開口134以外の領域と対向し、開放部91の外周面がオーバーチューブ132の内周面により閉じられた状態となる。これにより、開放部91の扉部92は、オーバーチューブ132から付与されたケース82の軸側に向かう外力により、ケース82の軸側に移動する。扉部92がケース82の軸側に移動されることで、スカート部38に外力が負荷され、スカート部38は、閉じられた状態となる。
このように、オーバーチューブにケースの開放部に対応した開口を形成することで、オーバーチューブにケースを挿入した状態でもスカート部を自然状態とすることができる。これにより、保存時流通時から、オーバーチューブにケースを挿入した状態とすることができるため、操作者は、毎回オーバーチューブにケースを挿入させることなく、オーバーチューブに挿入されたケースを相対的に移動させることで、スカート部を閉じさせることができる。
次に、本発明のクリップパッケージである連結クリップパッケージの第4実施形態について説明する。図13(A)〜(C)は、本発明の連結クリップパッケージの第4実施形態を示す図であり(A)は、正面図であり、(B)は、断面図であり、(C)は、ケースの軸に直交する面の断面図である。また、図14(A)及び(B)は、それぞれ、本発明の連結クリップパッケージの第3実施形態を示す断面図である。図15(A)及び(B)は、それぞれ、図14(A)および(B)に対応する状態の連結クリップパッケージのケースの軸に直交する面の断面図である。
図13に示す連結クリップパッケージ150は、ケース152と、オーバーチューブ154と、上キャップ84と下キャップ86とを有する。
ここで、図13に示す連結クリップパッケージ150は、ケース152の開放部156の形状、及び、オーバーチューブ154に開口160が形成されている点を除いて、上述したケース82及びオーバーチューブ89と基本的に同様の構成であるので、同様の部分についての詳細な説明は省略する。
また、ケース152の先端に嵌められた上キャップ84および後端に嵌められた下キャップ86は、上述の連結クリップパッケージ80の上キャップ84および下キャップ86と同様のものである。
ケース152は、筒状の部材であり、スカート部38に対応する位置にそれぞれ開放部156を有する。また、開放部156は、扉部158で構成されている。
扉部158は、ケースの後端から先端に向かう方向から見た断面(図13(C)参照)における反時計回り上流側の端部がストレート部90と接合され、その他の3辺は、ストレート部90と切り離された、板状部材であり、スカート部38に対向した領域を覆っている。また、扉部158の厚みは、少なくとも一部がストレート部90と略同じ厚みである。本実施形態では、ストレート部90との接続部から離れるに従って厚みが熱くなる形状である。
この扉部158も、ストレート部90と接合している辺を軸として、スカート部39と離説する方向に回動可能な部材である。また、扉部158は、外力が負荷されてない状態では、スカート部38が自然状態となるように、スカート部38の広がりよりも外側に開いている。
また、図13(A)〜(C)に示すように、オーバーチューブ154は、内周径がケースの外周径と略同等の筒状部材であり、開放部156に対応する領域に開口160が形成されている。
連結クリップパッケージ150も、図14(A)及び(B)、図15(A)及び(B)に示すように、保管時、流通時から、ケース152がオーバーチューブ154に挿入されており、ケース152の外周がオーバーチューブ154により覆われている。
ここで、保管時、流通時、連結クリップパッケージ150は、図14(A)及び図15(A)に示すように、ケース152とオーバーチューブ154とが、オーバーチューブ154の開口160がケース152の開放部156に対向する位置関係で配置されている。
開口160と開放部156とが対向している位置関係の場合は、開放部156の扉部158に外力が負荷されないため、スカート部38は、自然状態となる。
次に、ケース152内のクリップをシース16に装填する場合は、図14(B)及び図15(B)に示すように、オーバーチューブ154をケース152に対して、ケース152の後端から先端に向かう方向から見た断面において反時計回り方向に相対的に回転させる。このとき、オーバーチューブ154の内周面の円周方向における、相対的な移動距離は、ケース152の円周方向における開口160の長さよりも長い距離である。
このように、オーバーチューブ154をケース152に対して相対的に回転させることで、ケース152の開放部156は、オーバーチューブ154の開口160以外の領域と対向し、開放部156の外周面がオーバーチューブ154の内周面により閉じられた状態となる。これにより、開放部156の扉部158は、オーバーチューブ154から付与されたケース152の軸側に向かう外力により、ケース152の軸側に移動する。扉部158がケース152の軸側に移動されることで、スカート部38に外力が負荷負荷され、スカート部152は、閉じられた状態となる。
このように、扉部を、その円周方向の端部がストレート部と接続された構成とすることでも、保管時および流通時は、スカート部を自然状態とし、クリップをシースに装填する際は、オーバーチューブと、ケースとを所定方向に相対的に回転させるのみで、スカート部を閉じた状態とすることができる。
ここで、開放部として用いる扉部のスカート部に接触する面、および/またはスカート部の扉部と接触する面には、突起部を設けることが好ましい。このように突出部を設けることで、スカート部と扉部との接触面積を少なくし、移動時の抵抗を少なくすることができる。これにより、クリップ及び連結部がケース内をスムーズに移動することができる。
また、突出部を設けることで、スカート部の後端側の端部をストレート部のない表面よりも軸側に収納させることができ、スカート部がケースに引っかかることをより確実に防止することができる。
図16(A)〜(D)は、それぞれ、スカート部と扉部の他の一実施例を示す部分断面図である。
例えば、図16(A)に示すように、スカート部202の扉部204と接触する面(外表面)を、ケースの軸方向に平行な方向における先端と後端とを結んだ平面よりも扉部204側に凸となる曲面や、多面体にすればよい。この場合は、最も突出している部分が突出部となる。
このようにスカート部202を外表面を凸形状とすることで、扉部204との接触面積を小さくすることができ、扉部204からスカート部202に外力を負荷した際に、スカート部202の後端側の端部をより軸側に移動させることができる。
また、図16(B)に示すようには、扉部214のスカート部212と接触する面にスカート部212側に凸の突起216を設けてもよい。
このように突起216を設けることでも、図16(A)の場合と同様の効果を得ることができる。
また、図16(C)に示すように、スカート部222の扉部224と接触する面に突起部226を設け、扉部224のスカート部222と接触する面に突起部228を設けてもよい。
このように、スカート部222と扉部224の両方に突起部を設けることで、より確実に接触面積を少なくすることができ、また、より確実に、スカート部202の後端側の端部をより軸側に移動させることができる。
なお、移動時の抵抗を少なくする、スカート部がケースに引っかかることをより確実に防止するという効果を得ることはできないが、図16(D)に示すように、スカート部232も扉部234もともに接触する面が平面となる形状としてもよい。
ここで、上記実施形態では、いずれも、スカート部がケースに引っかかることをより確実に防止することができるため、ケースに斜部94を設けたが、本発明はこれに限定されず、斜部は必ずしも設けなくてもよい。
なお、上述した連結クリップパッケージ80、100、130および150などは、連発式クリップ処置具10に用いられる複数のクリップ12からなるクリップ列を収納するものであるが、本発明はこれに限定されず、本発明のクリップパッケージは、単発式クリップ処置具10に用いられる1つのクリップからなるクリップ体を収納するものであっても良く、上述した同様な効果を得ることができる。
また、クリップ処置具10では、クリップが90度ずつ向きを変えて連結され、それに対応して、連結リングも前後の連結リングと90度向きを変えてクリップに嵌められている構成としたため、ケースにおける開放部の位置も、各連結リングに対応する位置において、周方向に90度ずつずらして形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、爪部がターン部に対して周方向に90°回転した形状のクリップ、つまり、爪部22、22とターン部24との間の部分で90度だけ捻った形状のクリップを用いるの場合や、クリップとクリップと間に連結部材を配置し、クリップおよび連結リングが同一角度で連結されている場合は、全てのスカート部の向きが同一方向となるので、開放部も周方向において、同一位置に形成すればよい。
また、ターン部を有するクローズクリップを用いることで、ターン部を押圧して腕部に拡開するバネ力(付勢力)を与えることができる点で好ましいが、本発明は、ターン部を有さないオープンクリップ(U字状のクリップ)を用いるものに適用することもできる。
以上、本発明に係るクリップパッケージおよびクリップ装填方法について詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。また、本発明のクリップパッケージおよびクリップ装填方法を用いるクリップ処置具は、軟性鏡のほか、硬性鏡にも用いることができる。
(A)は、本発明に用いられる連発式クリップ処置具の一実施例の概略構成を示す軸方向の断面図であり、(B)は、(A)と90度異なる角度から見た軸方向の断面図である。 図1に示すクリップ処置具に用いられるクリップの概略構成を示す斜視図である。 (A)〜(C)は、それぞれ、図1に示す連結リングの一実施例を示す正面図、軸方向の断面図および底面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、図1に示すクリップ処置具の操作部の一実施例の概略構成を示す部分平面図および部分断面正面図である。 (A)〜(E)は、それぞれ、図1に示す連発式クリップ処置具のクリップ処置操作における段階的な状態を示す軸方向の部分断面図である。 (A)〜(C)は、それぞれ、本発明の連結クリップパッケージの一実施形態を示す正面図、軸方向の断面図および軸と直交方向の断面図である。 図6(B)の部分拡大図である。 (A)〜(D)は、それぞれ、図6に示す連結クリップパッケージからシースへのクリップ体の装填操作における段階的な状態を示す軸方向の部分断面図である。 (A)〜(C)は、それぞれ、本発明の連結クリップパッケージの他の実施形態を示す正面図、軸方向の断面図および軸と直交方向の断面図である。 (A)〜(D)は、それぞれ図9に示す連結クリップパッケージからシースへのクリップ体の装填操作における段階的な状態を示す軸方向の部分断面図である。 (A)〜(C)は、それぞれ、本発明の連結クリップパッケージの他の実施形態を示す正面図、軸方向の断面図および軸と直交方向の断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、図11に示す連結クリップパッケージの異なる使用状態を軸方向の断面図である。 (A)〜(C)は、それぞれ、本発明の連結クリップパッケージの他の実施形態を示す正面図、軸方向の断面図および軸と直交方向の断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、図13に示す連結クリップパッケージの異なる使用状態を軸方向の断面図である。 (A)および(B)は、それぞれ、図13に示す連結クリップパッケージの異なる使用状態を軸と直交方向の断面図である。 (A)〜(D)は、それぞれ、本発明の連結クリップパッケージのスカート部と扉部の他の一実施例を示す部分断面図である。
符号の説明
10 クリップ処置具
12 クリップ
14 連結リング
16 シース
18 ダミークリップ
19 接続部材
20 操作ワイヤ
22 爪部
24 ターン部
26 交差部
28 腕部
30 凸部
32 第1領域
34 第2領域(連結保持領域)
38 スカート部
40 締付部
42 保持部
43 穴
43a、44 溝
44a 内壁
46 スリット
50 操作部
52 ワイヤ操作部
54 シース操作部
56 位置決めパイプ
58、68 ケース
59 貫通窓
60 レバー
61 規制板
62 スプリング
64 抜け止めリング
66 ノッチ
70 支持ブロック
72 シース保持リング
74 ボタン
76 爪
80 クリップパッケージ
82 ケース
82a、82b ケース部品
84 上キャップ
86 下キャップ
88 カバー
89 オーバーチューブ
90 ストレート部
91 開放部
92 扉部
94 斜部
96 凹部
98 シース嵌合部

Claims (16)

  1. 内視鏡処置用クリップおよびこのクリップに連結される円筒状連結リングを備えるクリップ体と、
    前記連結リングの外径よりわずかに大きい内径を持ち、前記クリップ体をその内部に収納する収容部を備える筒状のケースと、
    前記ケースの外径と略同径の内径の内周面を持ち、前記ケースに被覆される筒状のオーバーチューブとを有し、
    前記連結リングは、外力が付与されない自然状態ではスカート状にその半径方向の外側に広がって突出し、前記半径方向の内側に押圧されると内側に閉じるスカート部を有し、
    前記ケースは、収容された前記クリップ体の前記連結リングの前記スカート部に対応する前記収容部の位置に、前記スカート部を自然状態に維持する開放部を有し、
    前記オーバーチューブは、前記ケースに被覆され、前記開放部に対向する位置に移動された時に、前記スカート部を押圧し、少なくとも前記ケースの内面の位置まで内側に閉じさせるスカート収納機構を有することを特徴とするクリップパッケージ。
  2. 前記クリップ体は、前のクリップの後端に後のクリップの先端が係合することにより連結した複数のクリップおよび前後のクリップの係合部分を覆って前記前後のクリップの連結状態を維持する複数の円筒状連結リングからなるクリップ列であり、
    前記クリップパッケージは、前記ケースに前記クリップ列を収容する連結クリップパッケージである請求項1に記載のクリップパッケージ。
  3. 前記ケースの前記開放部は、開口であり、
    前記スカート収納機構は、前記オーバーチューブの内周面に設けられた、前記開放部と当接する凸部である請求項1または2に記載のクリップパッケージ。
  4. 前記開放部は、外力が付与されない状態では、自然状態における前記スカート部の広がりに沿って前記半径方向の外側に広がる傾斜部を有し、
    前記スカート収納機構は、前記傾斜部を前記半径方向の内側に押圧する部材である請求項1または2に記載のクリップパッケージ。
  5. 前記開放部は、外力が付与されない状態では、自然状態における前記スカート部の広がりよりも外側の位置に保持され、外力が付与されることで前記ケースの軸に面した面が前記連結リングの外径よりわずかに大きい内径に移動可能な扉部を有し、
    前記スカート収納機構は、前記扉部を押圧する部材である請求項1または2に記載のクリップパッケージ。
  6. 前記扉部は、先端方向の端辺を軸として回動する請求項5に記載のクリップパッケージ。
  7. 前記オーバーチューブは、前記ケースの先端から後端方向に被覆されて移動されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動される請求項6に記載のクリップパッケージ。
  8. 前記扉部は、円周方向の端辺を軸として回動する請求項5に記載のクリップパッケージ。
  9. 前記オーバーチューブは、前記ケースに対して円周方向に回転されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動される請求項8に記載のクリップパッケージ。
  10. 前記扉部は、前記オーバーチューブと対向する面に突起が形成されている請求項5〜9のいずれかに記載のクリップパッケージ。
  11. 前記オーバーチューブは、前記スカート収納機構の移動方向の延長線上に、前記開放部よりも開口面積が大きい開口を有する請求項1〜10のいずれかに記載のクリップパッケージ。
  12. 前記スカート部は、前記開放部と対向する面に突起が形成されている請求項1〜11のいずれかに記載のクリップパッケージ。
  13. 前記ケースは、前記開放部の後端側の端部よりも後端側から前記開放部に向かうに従って半径方向に広がる斜部を有する請求項1〜12のいずれかに記載のクリップパッケージ。
  14. 前記連結リングの前記スカート部は、半径方向に押圧されて内側に閉じたときに、その連結リング内で連結される前記クリップの少なくとも一方を押圧して保持する請求項1〜13のいずれかに記載のクリップパッケージ。
  15. 前記ケースは、後端部に、前記クリップおよび前記連結リングを装填するシースが嵌合する嵌合部を有する請求項1〜14のいずれかに記載のクリップパッケージ。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載のクリップパッケージの前記クリップ体を内視鏡用クリップ処置具のシースに装填するクリップ装填方法であって、
    前記シース内に配置された、前記クリップ体を牽引するための操作ワイヤの先端を、前記ケース内の最後尾の前記クリップに取り付けられた連結部材に接続し、
    前記シースの先端と前記ケースの後端とを連結し、
    前記ケースと前記オーバーチューブとを所定の相対位置とし、前記スカート収納機構により、前記スカート部を内側に閉じさせ、
    前記操作ワイヤの先端が前記シースの基端側に移動する方向に、前記操作ワイヤと前記シースとを相対的に移動させることによって、前記クリップ体の全部を前記シース内に収容することをクリップ装填方法。
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