JP5064334B2 - クリップパッケージおよびクリップ装填方法 - Google Patents
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Description
これに対し、連続的なクリップ処置を可能にする内視鏡用クリップ装置が提案されている。例えば、特許文献2には、前のクリップの後端部分に形成された連結孔に、後ろのクリップの先端爪部を係合させることにより、複数のクリップが90度ずつ交互に向きを変えて直接連結されるようにした内視鏡用クリップ装置が記載されている。
このため、クリップケースに収納されているクリップとクリップ処置具のシース内に配置される操作ワイヤとの連結が容易であり、かつ、クリップケース内のクリップをクリップ処置具のシース内への装填が容易であるクリップケースが提案されている。
例えば、特許文献3には、クリップとクリップに嵌着することでクリップを閉成させる押さえ管(締付けリング)と、押さえ管内に挿入可能で、クリップと係合され、クリップ側とは反対側の端部に矢じりフックを有する連結部材とで構成されるクリップユニットを収納しているクリップケースが提案されている。
また、特許文献3には、収納部と小径部との間に傾斜部を設けることで、クリップユニットがクリップケースから引き出される時に、前述の押さえ管の突起部を縮小させることができ、クリップ装置(シース部のコイルパイプおよびコイルシース)内にスムーズに収納させることができると記載されている。
このため、このような連結作業を容易に行うことができるクリップケースが特許文献3に提案されているが、このクリップケースは、クリップケースの出口付近の傾斜部に、クリップの押さえ管の突出部を突き当てることで、突出部を押さえ管の内部に収納しているが、クリップの移動方向に平行な方向に対する、突起部の傾きの方向と傾斜部の傾きの方向が逆となるため、突出部(スカート部)に負荷がかかり突出部が損傷してしまう可能性があるという問題があった。
また、特許文献2には、クリップ装置に用いられる複数の連結クリップを収納するクリップケースや、クリップケースに収納された複数の連結クリップをクリップ装置の操作ワイヤにどのように接続し、操作ワイヤに接続された複数の連結クリップをどのようにしてシース内に装填するかについては全く開示されていないため、上述の単一のクリップの場合と同様に、煩雑な手作業が必要であり、複数のクリップが連結されているため、さらに煩雑な手作業となるという問題があった。
このため、複数の連結クリップを収納するクリップケースとして、特許文献3に記載のクリップケースを適用しようとしても、特許文献3に開示のクリップ処置具は、1つのクリップのみを用いるもので、特許文献3に記載のクリップケースは、1つのクリップのみを収納しているため、同様の構造で複数の連結クリップを収納しても、クリップ同士の連結を維持することが困難であるという問題があった。
また、本発明の目的は、上記問題点を解消し、複数のクリップを複数の連結リングによって連結させた状態であっても良好な状態で流通および保管でき、その間に各クリップおよび各連結リングの性能を低下させることがなく、かつ、複数の連結クリップの連結状態のまま内視鏡用クリップ処置具のシースへ簡単に装填できる連結クリップパッケージおよびその連結クリップパッケージからシースへのクリップ装填方法を提供することにある。
本発明者の開発した連発式クリップ処置具において、クリップの連結部に設けられる連結リングは、クリップの締め付け機能も有している。この連結リングは、患部を把持する際にクリップをシース先端に保持するために、外力が付与されない自然状態ではスカート状にその半径方向の外側にスカート上に拡がり、内側に押圧されると内側に閉じるスカート部を、例えば、連結リングの周方向の2箇所に備えており、このスカート部は、シース内では内側へ閉じ、シースの先端を通過した後にシース内径よりも広幅に開いてスカート状の広がり、クリップの締め付け時にクリップがシース内へ引っ張られるときに、連結リングがシース先端からシース内へ後退するのを阻止し、連結リングによるクリップの締め付けを可能にする。
また、クリップの流通および保管環境は、約5℃〜38℃の範囲で温度が変化する場合がある。上記連結リングは樹脂製であり、そのスカート部は、それ自体の弾性によって、シースの外へ出たときに広がる構成としている。しかし、連結リングが、シースと略同径の筒状のケースに収納されるなどにより、スカート部が内側へ閉じた状態で長期間保管され、さらに約5℃〜38℃の範囲での周辺温度の変化による熱ストレスが繰り返し与えられると、スカート部の弾性が損なわれ、クリップ処置時に所定の径まで開かなくなってしまうおそれがある。
また、本発明者は、1つのクリップを用いる単発式クリップ処置具であっても、スカート部を持つ連結リングを用いる場合には、同様に、開放部を持つケースとスカート収納機構を持つオーバーチューブとを備えるクリップパッケージにより、連発式クリップ処置具の場合と同様にクリップを自然な状態のまま良好な状態で流通および保管でき、シースへ簡単に装填できることを知見し、本発明に至ったものである。
また、前記ケースの前記開放部は、開口であり、前記スカート収納機構は、前記オーバーチューブの内周面に設けられた、前記開放部と当接する凸部であることが好ましい。
また、前記開放部は、外力が付与されない状態では、自然状態における前記スカート部の広がりに沿って前記半径方向の外側に広がる傾斜部を有し、前記スカート収納機構は、前記傾斜部を前記半径方向の内側に押圧する部材であることが好ましい。
また、前記扉部は、先端方向の端辺を軸として回動することが好ましい。
また、前記オーバーチューブは、前記ケースの先端から後端方向に被覆されて移動されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動されることも好ましい。
また、前記扉部は、円周方向の端辺を軸として回動することが好ましい。
また、前記オーバーチューブは、前記ケースに対して円周方向に回転されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動されることが好ましい。
また、前記扉部は、前記オーバーチューブと対向する面に突起が形成されていることが好ましい。
また、前記スカート部は、前記開放部と対向する面に突起が形成されていることが好ましい。
また、前記ケースは、前記開放部の後端側の端部よりも後端側から前記開放部に向かうに従って半径方向に広がる斜部を有することが好ましい。
また、前記連結リングの前記スカート部は、半径方向に押圧されて内側に閉じたときに、その連結リング内で連結される前記クリップの少なくとも一方を押圧して保持することが好ましい。
また、前記ケースは、後端部に、前記クリップおよび前記連結リングを装填するシースが嵌合する嵌合部を有することが好ましい。
また、本発明によれば、オーバーチューブのスカート収納機構により、連結リングのスカート状の広がりを閉じることができるため、連結リングのスカート部を閉じた状態で、ケースの内部を案内し、さらに、クリップ処置具のシースへ導入することができ、連結状態のまま、容易にシースへ装填することができる。
図1(A)は、本発明に用いられる連発式クリップ処置具の一実施例の概略構成を示す模式的断面図であり、図1(B)は、図1(A)と90度異なる角度から見た断面図である。
なお、以下の説明では、図1(A)および(B)における上側を先端側、その端部を先端と呼び、下側を基端側、その端部を基端と呼ぶ。
ここで、複数のクリップ12(12A、12B、12C、12D)と、連結リング14(14A、14B、14C、14D)と、最後尾のダミークリップ18と、連結部材19とは、クリップ列(連結クリップユニット)13を構成する。また、ダミークリップ18は、連結部材19を介して、操作ワイヤ20と複数のクリップ12とを連結する部材である。また、シース16、操作ワイヤ20(先端の接続部材(フック)21を含む)および操作部50は、操作ハンドル48を構成し、処置具10は、クリップ列13および操作ハンドル48から構成されるといえる。
図1(A)および(B)に示すように、1つのクリップ12と、後述する1つの締付リング40(図3参照)を備える1つの連結リング14とは、1つの内視鏡用止血クリップ体を構成し、処置具10は、この止血クリップ体が長尺なシース16の先端内部に複数装填されたものである。
また、連続する止血クリップ体の終端は、クリップ列13と操作ワイヤ20とを連結する部材であるダミークリップ18に噛み合い結合し、ダミークリップ18は、連結部材19を介して操作ワイヤ20に接続されており、操作ワイヤ20は、シース16の基端部まで延びて、後述する操作部50(図4参照)につながっている。
この操作部50から操作ワイヤ20を所定の牽引長さだけ牽引し、ダミークリップ18を一方向に所定長さ移動させることで、一連のクリップ12が同量だけ移動し、先頭のクリップ12がそれを保持する連結リング14の先端の締付リング40によって締め付けられて、先頭のクリップ12による止血やマーキング等のためのクリップ処置(クリッピング)が行われる。先頭のクリップ12によるクリップ処置が完了した後、操作ワイヤ20をシース16の先端側へ所定の長さだけ押し出すことで、または、シース16を操作部側へ所定の長さだけ引くことで、次のクリップ12が使用可能な状態(スタンバイ状態)となり、続けてクリップ処置を行うことができる。
また、図2に示すように、クリップ12の腕部28は、その先部28aにおいては、爪部22から凸部30まで幅が一定で変わらないのに対し、基部28bにおいては、交差部26から凸部30に掛けて徐々に幅が広くなり、凸部30近傍では一定幅となっており、締付リング40の移動を容易かつ確実にして爪部22、22の開放や、閉止および嵌合を容易かつ確実にし、生体内等における止血や傷口の縫合や閉塞等を容易かつ確実にしている。
スカート部38は、先端側、すなわち図3(A)および(B)における上方の付け根38aが保持部42の本体42aにつながっており、下方の広がり部分38bが、本体42aに形成された切り込み36によって本体42aから一部切り離されて、半径方向に広がったり閉じたりするようになっている。スカート部38は、クリップ12の牽引方向、すなわち、図3の上下方向において同じ位置に、180度離れた両側の2箇所に形成されている。
第2領域34は、領域長さとして、クリップ12に対して初期位置にセットされた締付リング40が、クリップ12の締め付けを完了するまでに要する移動長さとほぼ等しい長さを持つ。すなわち、連結リング14の第2領域34は、クリップ12が連結リング14に対して相対的に後退して締め付けられていく間、その内部に保持する2つのクリップ12、12の連結を保持して、後ろのクリップ12の牽引力が先端のクリップ12へ伝達されるようにするとともに、締付リング40による締め付けが完了したときには、2つのクリップ12、12の係合部が第2領域34から外れることにより、そのクリップ12、12の連結を解除する。
第2領域34には、図3(B)および(C)に示すように、第1領域32から貫通する同じ内径の穴43が形成され、さらに、その対向する2箇所に、溝(凹部)43aが形成されている。また、第2領域34には、図3(A)〜(C)に示すように、その基端から切り込むスリット46が2箇所に形成されている。
溝43a、43aは、第2領域34に保持されるクリップ12の爪部22の開閉方向(図3(B)中、左右方向)の両側2箇所に設けられている。第2領域34に保持されるクリップ12の腕部28、28の先部28a、28aの板面は、溝43a、43aの内壁に当接する。溝43aの幅(開口幅)は、クリップ12の腕部28の先部28aの最大幅よりわずかに大きく、一方の溝43aの壁面から他方の溝43aの壁面までの距離は、クリップ12の2つの爪部22、22の長さ(拡開方向の長さ)を足し合わせた長さにほぼ等しい。また、溝43aの幅は、腕部28に形成された凸部30の幅よりは小さい。したがって、第2領域34に保持されるクリップ12の凸部30は、溝43aに進入できない。
1)潜り込みが生じると、操作ワイヤ20の操作ストロークが変化してしまうが、潜り込みが防止でき、前後のクリップ12の相対位置を維持できるので、操作ストロークを維持できる。
また、連結リング14に設けたスリット46により第2領域34の曲げ剛性を下げ、クリップ12の鎖状連結とによって、アングル適性を持たせており、過度に後発クリップ12が先発の連結リング14の中に入り込むと、自由度が低下して、アングル適性が低下するが、潜り込みが防止でき、前後のクリップ12の相対位置を維持できるので、アングル適性を維持することができる。
<操作ワイヤ20によるクリップ12の押出操作、およびクリップ12への駆動力伝達は、以下のように行われる。>
・ダミークリップ18の凸部30、30が4発目のクリップ12Dの連結リング14Dの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・4発目のクリップ12Dは、シース16内で連結リング14Dと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Dに伝わる押出力はクリップ12Dに伝わる。(この時、3発目のクリップ12Dは、連結リング14Dのスカート部38、38の広がり部分38b、38bが内側に変形し、4発目クリップ12Dのターン部24を保持する。)
・4発目のクリップ12Dの凸部30、30が2発目のクリップ12Cの連結リング14Cの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・3発目クリップ12Cは、シース16内で連結リング14Cと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Cに伝わる押出力は、クリップ12Cに伝わる。
・3発目のクリップ12Cの凸部30、30が2発目のクリップ12Bの連結リング14Bの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・2発目クリップ12Bは、シース16内で連結リング14Bと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Bに伝わる押出力は、クリップ12Bに伝わる。
・2発目クリップ12Bの凸部30、30が1発目のクリップ12Aの連結リング14Aの基端側(保持部42側の端部)を押す。
・1発目クリップ12Aは、シース16内で連結リング14Aと摩擦接触により一体化されており、連結リング14Aに伝わる押出力は、クリップ12Aに伝わり、押し出される。
なお、操作ワイヤ20の牽引力は、直接クリップ12に掛かるため潜り込みの影響は特にない。
・操作ワイヤ20により牽引されるダミークリップ18の先端(爪部22、22)が、4発目のクリップ12Dの基端側(ターン部24)を引っ張る。
・4発目クリップ12Dの先端(爪部22、22)が、3発目のクリップ12Cの基端側(ターン部24)を引っ張る。
・3発目クリップ12Cの先端(爪部22、22)が、2発目のクリップ12Bの基端側(ターン部24)を引っ張る。
・2発目クリップ12Bの先端(爪部22、22)が、1発目発クリップ12Aの基端側(ターン部24)を引っ張る。
例えば、第2領域34に保持されるクリップ12の爪部22、22は、少し重なった状態となっていてもよいし、爪部22、22の間にわずかな隙間がある状態で、先のクリップ12との連結が維持されるようにしてもよい。
スリット46を設けることにより、連結リング14のフレキシブル性を向上させることができ、クリップ処置具10は、曲率の小さい湾曲部を通過することができる。また、スリット46を設けることにより、連結リング14の裾(基端部)が一部めくれるようになるため、シース16へのクリップ12の装填前に前後のクリップ12、12を連結させる際に、連結リング14の裾をめくることで容易に連結させることができるという利点もある。
スリット46の深さは、第1領域32のスカート部38に至らない第2領域34の位置までとされており、連結リング14の強度が大幅に低下するのが防止されている。また、スリット46の深さは、第1領域32に保持されるクリップ12の後端の位置、すなわちクリップ12、12の係合位置よりも浅い位置までとされており、シース16に装填される前の連結クリップユニットにおいても、連結リング14の第2領域34におけるクリップ12の保持を保つことができる。
このように、接続部材21を連結部材19に嵌め込む形状とし、接続部材21を連結部材19の接続用環や空間にはめ込むことで、操作ワイヤ20が操作部50側に牽引された場合にも、接続部材21の操作部50側の鉤状部分が連結部材19の接続用環に嵌入される、あるいは、接続部材21の操作部50側の面が連結部材19の開口が形成されている面により支持されるため、接続部材21が連結部材19から外れるのを防止することができる。
図4は、本発明に用いられるクリップ処置具の操作部の一実施例の概略構成を示す部分断面図であり、図4(A)は、平面図であり、図4(B)は、正面図である。図4(A)および(B)において、左側がクリップ処置具10に接続する先端側、右側が基端側(または後端側)である。操作部50は、ワイヤ操作部52と、シース操作部54とを有している。
レバー60は、ケース58の内部において、前後方向(ワイヤ操作部52の軸方向)に移動可能に保持されている。レバー60の後端側の一部は、ケース58の中央部分に設けられた貫通窓59に現れており、操作者が指を掛けてレバー60を後端側に引けるようになっている。レバー60の後端にはスプリング62が取り付けられている。スプリング62は、レバー60が後方へ引かれることによって圧縮され、レバー60を引く力が解除されると、反発力によって、レバー60を前方へ押し戻す。それにより、レバー60は、元の位置(ホームポジション)へ戻る。
図4(A)では、スプリング62をコイルスプリングとして示しているが、スプリング62は、レバー60を前方へ付勢できればよく、板ばねやその他の弾性体などを用いても良い。
支持ブロック70は、シース操作部54の後端部分に配置されており、シース操作部54に挿入された位置決めパイプ56を支持する。また、支持ブロック70は、図4(B)に示すように、その先端側の面が、位置決めパイプ56の先端に取り付けられた抜け止めリング64に当接して、位置決めパイプ56がシース操作部54から外れるのを防止している。
なお、図4の操作部50は、位置決めパイプ56にノッチ66が6個形成されており、5連発のクリップ処置具にも適用可能なものである。
すなわち、先頭クリップ12Aおよびそれを保持する連結リング14A以外のクリップ12B〜12Dと連結リング14B〜14Dとは、シース16に対して一体的に進退移動し、クリップ14B〜14Dおよびダミークリップ18の連結状態は、連結リング14B〜14Dによって維持される。
以下で説明する本発明のクリップパッケージは、上述のような連発式クリップ処置具10において用いられるクリップ体(クリップ12に連結リング14を嵌めたもの)を、予め所定数が連結された状態でケースに収納し、パッケージ化した連結クリップパッケージであるが、本発明のクリップパッケージは、単発式クリップ処置具において用いられる1個のクリップ体(1個のクリップ12および1個のダミークリップ18に1個の連結リング14を嵌めたもの)であっても良いのはもちろんである。
上記のクリップ処置具10の説明では、4つのクリップ体が連結されている例について説明したが、ここでは、5つのクリップ体が連結されている例について説明する。
ケース82は、円筒状であり、内部にクリップ12および連結リング14からなるクリップ体を収容する。このケース82は、図6(A)および(C)に示すように、略半円筒状で、円筒の中心軸を軸として対称形状の2つのケース部品(上下ハーフ)82a、82bを組み合わせて構成されている。2つのケース部品82a、82bの先端には上キャップ84が、後端には下キャップ86が嵌められており、ケース82を閉じた状態に保っている。
また、ケース部品82aとケース部品82bとは、境界面に後述する開放部91とが重ならないように、境界面の位置が切り替わっている。つまり、ケース部材82a、82bは、1つの開放部91が、1つの部品に跨らず、ケース部品82aとケース部品82bのいずれか一方のみに形成されるように、円周方向における境界面の位置が場所により切り替わる形状となっている。
扉部92は、スカート部38に対向した領域の先端側の端部がストレート部90と接合され、その他の3辺はストレート部90と切り離された、板状部材であり、スカート部38に対向した領域を覆っている。また、扉部92の厚みは、ストレート部90と略同じ厚みである。
この扉部92は、ストレート部90と接合している部分を軸として、スカート部39と離接する方向に回動可能な部材である。また、扉部92は、外力が負荷されてない状態では、自然状態におけるスカート部38の傾斜とほぼ同じ角度で、スカート部38の広がりにほぼ一致して、外側へ半径方向に拡がる。
なお、本実施形態では、扉部92をストレート部90と一体として成型しているが、本発明はこれに限定されず、扉部92とストレート部90とを別部材で形成してもよい。
また、扉部92は、外力が負荷されていない状態で、スカート部38を自然状態に維持できればよい。したがって、扉部92は、外力が負荷されてない状態では、自然状態におけるスカート部38の傾斜とほぼ同じ角度で、スカート部38の広がりにほぼ一致して、外側へ半径方向に拡がる形状には限定されず、外力が負荷されていない状態では、ストレート部90と同一平面状となる形状としてもよい。この場合は、スカート部38の拡がりにより、すなわち、スカート部38の拡がる力により外側に押し出され、外側へ半径方向に拡がるように、回動方向の抵抗が低く、回動しやすい構成とすればよい。
本発明のクリップパッケージ80は、以上のような構成であり、ケース82からクリップ12A〜12Eおよび連結リング14A〜14Eが引き出されるときに、オーバーチューブ89でケース82の外周面を覆うことで、オーバーチューブ89の内周面が、開放部91の扉部92をスカート部38側に押し、スカート部38を閉じさせることができる。また、開放部91よりも後端側に斜部94を設けることで、スカート部38が開放部91から出るときにめくれてしまうことをより確実に防止できる。
すなわち、オーバーチューブ89の、ケース82よりも剛性の高い材料で形成されている内周面が、本発明のスカート収納機構を構成する。
まず、クリップ12A〜12Eを順に連結させる。クリップ12A〜12Eの連結は、クリップ12に嵌められた連結リング14のスリット46をめくり、クリップ12のターン部24に次のクリップ12の爪部22を係合させて、係合部を連結リング14の所定位置にセットすることで行う。最後のクリップ12Eには、同様の方法でダミークリップ18を連結させる。
まず、図8(A)に示すように、連結クリップパッケージ80の下キャップ86を外して、シース16の先端から突出させた操作ワイヤ20(の先端の接続部材21)を、ケース82内のダミークリップ18の後端部の連結部材19に接続する。
オーバーチューブ91でケース82の外周面を覆うことで、ケース82のストレート部90に相当する部分の外周面よりも外側に出ている扉部92が、スカート部38側に押される。扉部92は、オーバーチューブ91によりスカート部38側に押されることで、スカート部38側の面がストレート部90と同一平面上に移動される。これにより、スカート部38もケース82の軸(中心軸)側に外力が負荷され、スカート部38は、ケース82の軸側に移動(回動)し、スカート部38が連結リング14Aの内部に収納される。
また、連結クリップパッケージ80は、連結リング14のスカート部38が開いた状態で保管できるので、スカート部38の弾性を損なうのを防止でき、クリップ12の使用時(クリップ処置時)に、クリップ12および連結リング14が十分な性能を発揮することができる。
また、クリップ列をシースに挿入する際に、スカート部の移動方向とは反対側の負荷を掛けることなく、スカート部の側面からスカートの回動方向に沿った外力を負荷してスカート部を閉じることができるため、スカート部に不要な負荷をかけることなく、挿入時にスカートが破損することを防止できる。
図9(A)〜(C)は、本発明のクリップパッケージである連結クリップパッケージの第2実施形態を示す図であり、(A)は、正面図であり、(B)は、断面図であり、(C)は、ケースの軸に直交する面の断面図である。
図9に示す連結クリップパッケージ100は、ケース102と、オーバーチューブ104と、上キャップ84と下キャップ86とを有する。
図9の連結クリップパッケージ100は、ケース102の外周面には、開放部110を通り円筒の軸方向に延在するガイド溝112が形成されており、開放部110が開口114となっている。また、オーバーチューブ104は、内周面にガイド溝112に対応する位置に円筒の軸方向に延在し、ガイド溝112と係合するガイド凸部116と、開放部110に対応する位置のガイド凸部116上の設けられ、開口114と嵌合する突起部118とを有する。これらの点を除いて、ケース102及びオーバーチューブ104は、上述したケース82およびオーバーチューブ89と基本的に同様の構成であるので、同様の部分についての詳細な説明は省略する。
また、ケース102の先端に嵌められた上キャップ84および後端に嵌められた下キャップ86は、上述の連結クリップパッケージ80の上キャップ84および下キャップ86と同様のものである。
ガイド溝112は、ケース102の外周面に形成された、開放部110に対応する領域を通り、円筒の軸方向に延在する凹部である。
開口114は、開放部110を構成する空間であり、スカート部38に対応する領域に形成されている。開口114には、ケース102の内部に配置されたクリップ列の連結部14のスカート部38の一部が飛び出している。スカート部38は、ケース102の対応する領域に開口114が形成されることで、外力が負荷されることがなく、ケース102の内部で自然状態のまま保持される。
ガイド凸部116は、内周面のガイド溝112に対応する位置に円筒の軸方向に延在して形成された線状の凸部である。ガイド凸部116は、オーバーチューブ104にケース102を挿入する際に、ガイド溝112と係合される。
突起部118は、ガイド凸部116上の開放部110に対応する位置に設けられ、中心から先端面までの距離が、ケース102の中心からストレート部の内表面までの距離と同一距離となる。
また、突起部118は、オーバーチューブ104にケース102が挿入され、開口114と対向する位置となったとき、開口114と嵌合する。
クリップパッケージ100は、以上のような構成である。
まず、図10(A)に示すように、連結クリップパッケージ80の下キャップ86を外し、シース16の先端から突出させた操作ワイヤ20を、ケース82内のダミークリップ18の後端部の連結部材19に接続する。
開口114に突起部116を嵌合させることで、突起部116のスカート部38側の面がストレート部90と同一平面上まで突出する。これにより、突起部116がスカート部38に対して、軸側の外力を負荷し、スカート部38は、軸側に移動(回動)し、スカート部38が連結リング14Aの内部に収納される。
このように、開放部は、扉部を設け、ケースの一部を介して、オーバーチューブからスカート部に外力を負荷することに限定されず、開口を設け、オーバーチューブとスカート部とが直接接触させて、オーバーチューブからスカート部に外力を負荷するようにしてもよい。
また、クリップパッケージ100に示すように、ケースの外周面とオーバーチューブの内周面に溝と凸部を設けることで、互いの円周方向の向きがずれることを防止でき、開口と突起部とを確実に嵌合させることができる。
また、ケースに溝を設け、オーバーチューブに凸部を設けることで、開口の深さと突起部の高さを小さくすることができ、オーバーチューブにケースを挿入し易くすることができる。
なお、本実施形態では、連結部毎にスカート部の形成されている向きが異なるため、開口に対応する部分以外に角度特定用の溝を設けてもよい。
なお、本実施形態の連結クリップパッケージ130に用いるケースは、図6に示すケース82と同様のものであるので、図示及び説明は省略する。
また、図11(A)〜(C)に示すように、オーバーチューブ132は、内周径がケースの外周径と略同等の筒状部材であり、開放部91に対応する領域に開口134が形成されている。
ここで、保管時、流通時、連結クリップパッケージ130は、図12(A)に示すように、ケース82とオーバーチューブ132とが、オーバーチューブ132の開口134がケース82の開放部91に対向する位置関係で配置されている。
開口134と開放部91とが対向している位置関係の場合は、開放部91の扉部92に外力が負荷されないため、スカート部38は、自然状態となる。
このように、オーバーチューブ132をケース82の後端側に相対的に移動させることにより、ケース82の開放部91は、オーバーチューブ132の開口134以外の領域と対向し、開放部91の外周面がオーバーチューブ132の内周面により閉じられた状態となる。これにより、開放部91の扉部92は、オーバーチューブ132から付与されたケース82の軸側に向かう外力により、ケース82の軸側に移動する。扉部92がケース82の軸側に移動されることで、スカート部38に外力が負荷され、スカート部38は、閉じられた状態となる。
図13に示す連結クリップパッケージ150は、ケース152と、オーバーチューブ154と、上キャップ84と下キャップ86とを有する。
ここで、図13に示す連結クリップパッケージ150は、ケース152の開放部156の形状、及び、オーバーチューブ154に開口160が形成されている点を除いて、上述したケース82及びオーバーチューブ89と基本的に同様の構成であるので、同様の部分についての詳細な説明は省略する。
また、ケース152の先端に嵌められた上キャップ84および後端に嵌められた下キャップ86は、上述の連結クリップパッケージ80の上キャップ84および下キャップ86と同様のものである。
扉部158は、ケースの後端から先端に向かう方向から見た断面(図13(C)参照)における反時計回り上流側の端部がストレート部90と接合され、その他の3辺は、ストレート部90と切り離された、板状部材であり、スカート部38に対向した領域を覆っている。また、扉部158の厚みは、少なくとも一部がストレート部90と略同じ厚みである。本実施形態では、ストレート部90との接続部から離れるに従って厚みが熱くなる形状である。
この扉部158も、ストレート部90と接合している辺を軸として、スカート部39と離説する方向に回動可能な部材である。また、扉部158は、外力が負荷されてない状態では、スカート部38が自然状態となるように、スカート部38の広がりよりも外側に開いている。
連結クリップパッケージ150も、図14(A)及び(B)、図15(A)及び(B)に示すように、保管時、流通時から、ケース152がオーバーチューブ154に挿入されており、ケース152の外周がオーバーチューブ154により覆われている。
ここで、保管時、流通時、連結クリップパッケージ150は、図14(A)及び図15(A)に示すように、ケース152とオーバーチューブ154とが、オーバーチューブ154の開口160がケース152の開放部156に対向する位置関係で配置されている。
開口160と開放部156とが対向している位置関係の場合は、開放部156の扉部158に外力が負荷されないため、スカート部38は、自然状態となる。
このように、オーバーチューブ154をケース152に対して相対的に回転させることで、ケース152の開放部156は、オーバーチューブ154の開口160以外の領域と対向し、開放部156の外周面がオーバーチューブ154の内周面により閉じられた状態となる。これにより、開放部156の扉部158は、オーバーチューブ154から付与されたケース152の軸側に向かう外力により、ケース152の軸側に移動する。扉部158がケース152の軸側に移動されることで、スカート部38に外力が負荷負荷され、スカート部152は、閉じられた状態となる。
また、突出部を設けることで、スカート部の後端側の端部をストレート部のない表面よりも軸側に収納させることができ、スカート部がケースに引っかかることをより確実に防止することができる。
図16(A)〜(D)は、それぞれ、スカート部と扉部の他の一実施例を示す部分断面図である。
例えば、図16(A)に示すように、スカート部202の扉部204と接触する面(外表面)を、ケースの軸方向に平行な方向における先端と後端とを結んだ平面よりも扉部204側に凸となる曲面や、多面体にすればよい。この場合は、最も突出している部分が突出部となる。
このようにスカート部202を外表面を凸形状とすることで、扉部204との接触面積を小さくすることができ、扉部204からスカート部202に外力を負荷した際に、スカート部202の後端側の端部をより軸側に移動させることができる。
このように突起216を設けることでも、図16(A)の場合と同様の効果を得ることができる。
このように、スカート部222と扉部224の両方に突起部を設けることで、より確実に接触面積を少なくすることができ、また、より確実に、スカート部202の後端側の端部をより軸側に移動させることができる。
なお、上述した連結クリップパッケージ80、100、130および150などは、連発式クリップ処置具10に用いられる複数のクリップ12からなるクリップ列を収納するものであるが、本発明はこれに限定されず、本発明のクリップパッケージは、単発式クリップ処置具10に用いられる1つのクリップからなるクリップ体を収納するものであっても良く、上述した同様な効果を得ることができる。
12 クリップ
14 連結リング
16 シース
18 ダミークリップ
19 接続部材
20 操作ワイヤ
22 爪部
24 ターン部
26 交差部
28 腕部
30 凸部
32 第1領域
34 第2領域(連結保持領域)
38 スカート部
40 締付部
42 保持部
43 穴
43a、44 溝
44a 内壁
46 スリット
50 操作部
52 ワイヤ操作部
54 シース操作部
56 位置決めパイプ
58、68 ケース
59 貫通窓
60 レバー
61 規制板
62 スプリング
64 抜け止めリング
66 ノッチ
70 支持ブロック
72 シース保持リング
74 ボタン
76 爪
80 クリップパッケージ
82 ケース
82a、82b ケース部品
84 上キャップ
86 下キャップ
88 カバー
89 オーバーチューブ
90 ストレート部
91 開放部
92 扉部
94 斜部
96 凹部
98 シース嵌合部
Claims (16)
- 内視鏡処置用クリップおよびこのクリップに連結される円筒状連結リングを備えるクリップ体と、
前記連結リングの外径よりわずかに大きい内径を持ち、前記クリップ体をその内部に収納する収容部を備える筒状のケースと、
前記ケースの外径と略同径の内径の内周面を持ち、前記ケースに被覆される筒状のオーバーチューブとを有し、
前記連結リングは、外力が付与されない自然状態ではスカート状にその半径方向の外側に広がって突出し、前記半径方向の内側に押圧されると内側に閉じるスカート部を有し、
前記ケースは、収容された前記クリップ体の前記連結リングの前記スカート部に対応する前記収容部の位置に、前記スカート部を自然状態に維持する開放部を有し、
前記オーバーチューブは、前記ケースに被覆され、前記開放部に対向する位置に移動された時に、前記スカート部を押圧し、少なくとも前記ケースの内面の位置まで内側に閉じさせるスカート収納機構を有することを特徴とするクリップパッケージ。 - 前記クリップ体は、前のクリップの後端に後のクリップの先端が係合することにより連結した複数のクリップおよび前後のクリップの係合部分を覆って前記前後のクリップの連結状態を維持する複数の円筒状連結リングからなるクリップ列であり、
前記クリップパッケージは、前記ケースに前記クリップ列を収容する連結クリップパッケージである請求項1に記載のクリップパッケージ。 - 前記ケースの前記開放部は、開口であり、
前記スカート収納機構は、前記オーバーチューブの内周面に設けられた、前記開放部と当接する凸部である請求項1または2に記載のクリップパッケージ。 - 前記開放部は、外力が付与されない状態では、自然状態における前記スカート部の広がりに沿って前記半径方向の外側に広がる傾斜部を有し、
前記スカート収納機構は、前記傾斜部を前記半径方向の内側に押圧する部材である請求項1または2に記載のクリップパッケージ。 - 前記開放部は、外力が付与されない状態では、自然状態における前記スカート部の広がりよりも外側の位置に保持され、外力が付与されることで前記ケースの軸に面した面が前記連結リングの外径よりわずかに大きい内径に移動可能な扉部を有し、
前記スカート収納機構は、前記扉部を押圧する部材である請求項1または2に記載のクリップパッケージ。 - 前記扉部は、先端方向の端辺を軸として回動する請求項5に記載のクリップパッケージ。
- 前記オーバーチューブは、前記ケースの先端から後端方向に被覆されて移動されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動される請求項6に記載のクリップパッケージ。
- 前記扉部は、円周方向の端辺を軸として回動する請求項5に記載のクリップパッケージ。
- 前記オーバーチューブは、前記ケースに対して円周方向に回転されることで、前記スカート収納機構が前記開放部と対向する位置に移動される請求項8に記載のクリップパッケージ。
- 前記扉部は、前記オーバーチューブと対向する面に突起が形成されている請求項5〜9のいずれかに記載のクリップパッケージ。
- 前記オーバーチューブは、前記スカート収納機構の移動方向の延長線上に、前記開放部よりも開口面積が大きい開口を有する請求項1〜10のいずれかに記載のクリップパッケージ。
- 前記スカート部は、前記開放部と対向する面に突起が形成されている請求項1〜11のいずれかに記載のクリップパッケージ。
- 前記ケースは、前記開放部の後端側の端部よりも後端側から前記開放部に向かうに従って半径方向に広がる斜部を有する請求項1〜12のいずれかに記載のクリップパッケージ。
- 前記連結リングの前記スカート部は、半径方向に押圧されて内側に閉じたときに、その連結リング内で連結される前記クリップの少なくとも一方を押圧して保持する請求項1〜13のいずれかに記載のクリップパッケージ。
- 前記ケースは、後端部に、前記クリップおよび前記連結リングを装填するシースが嵌合する嵌合部を有する請求項1〜14のいずれかに記載のクリップパッケージ。
- 請求項1〜15のいずれかに記載のクリップパッケージの前記クリップ体を内視鏡用クリップ処置具のシースに装填するクリップ装填方法であって、
前記シース内に配置された、前記クリップ体を牽引するための操作ワイヤの先端を、前記ケース内の最後尾の前記クリップに取り付けられた連結部材に接続し、
前記シースの先端と前記ケースの後端とを連結し、
前記ケースと前記オーバーチューブとを所定の相対位置とし、前記スカート収納機構により、前記スカート部を内側に閉じさせ、
前記操作ワイヤの先端が前記シースの基端側に移動する方向に、前記操作ワイヤと前記シースとを相対的に移動させることによって、前記クリップ体の全部を前記シース内に収容することをクリップ装填方法。
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