JP2009233314A - クリップ処置具 - Google Patents

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Abstract

【課題】クリッピング操作時のクリップのシース内への後退防止機能と、クリップの強力な締付力とを共に実現する締付リングを備え、クリッピングおよびクリップの装填を簡単な操作で行うことのできるクリップ処置具を提供する。
【解決手段】シース先端部に装填されたクリップと、クリップの後端に接続されクリップを牽引する操作ワイヤと、クリップに嵌められシースに進退可能に嵌入された保持リングとを備えるクリップ処置具であって、保持リングが、樹脂製の保持部と金属製の締付部とを有することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体内等において止血や傷口の閉塞等に用いられる内視鏡用クリップ処置具に関する。
内視鏡用クリップ処置具は、生体内に挿入した内視鏡の先端からクリップを突出させて、出血部や病変組織除去後の処置部をクリップで摘み、止血や傷口の閉塞を行うために用いられる。従来のクリップ処置具は、先端が開いたクリップと、クリップを閉じて留めるための締付部品とを有しており、開いたクリップに対して締付部品を前進させることでクリップを閉じる構成となっている。
例えば、特許文献1には、クリップの後端部分にクリップ締付リングを取り付け、クリップ締付リングに対してクリップを引くことで、クリップをクリップ締付リング内に引き込んで、クリップ先端部分の挟持部を閉じさせ、生体組織を把持する構成が記載されている。特許文献1のクリップ締付リングは、クリップが導入管(シース)の先端から押し出されると、一緒に押し出される。このクリップ締付リングは、突没自在な2枚の羽根を有しており、導入管の先端に取り付けられた先端チップを通過するとその羽根が突出して、その後クリップを引いても、クリップ締付リングは導入管内に後退しない。その状態でクリップを引くことで、クリップがクリップ締付リングによって締め付けられる。その後、クリップ締付リングはクリップと共に体腔内に留置される。
また、特許文献2には、クリップの後寄りの部分に締め環を嵌め、この締め環に対してクリップを引くことで、締め環をクリップの先寄りの位置に移動させて、クリップを閉じさせる構成が記載されている。特許文献2の締め環は、先端から後端にかけて外径が大きくなる円錐台状の部品であり、後端の外径は、シースの先端に取り付けられた筒状の先端チップの内径よりも大きい。先端チップの先寄りの部分には、軸線方向にスリットが入っており、内径が広がるように弾性変形できる。そのため、締め環は、先端チップから先端に押し出すことはできるが、一旦出たら戻れないようになっている。クリッピング時には、締め環は、先端チップから押し出され、先端チップによって後退が防止される。その状態で、操作ワイヤを牽引してクリップをシース内に引き込むことにより、クリッピングが行われる。
特開2002−272751号公報 特開2006−187391号公報
上記特許文献1のクリップは、金属製の薄い帯板で作られており、クリップ締付リングは、樹脂や金属などにより成形されている。しかし、クリップ締付リングを樹脂製とした場合には、把持する生体組織の大きさや硬さによっては、クリップによる把持力を維持するだけの強い締付力が得られない場合があり、クリップ締付リングを金属製とした場合には、羽根の部分に、十分な弾性を持たせることができず、先端チップを通過したときにきちんと広がらない可能性がある。
また、上記特許文献2には、シースの先端に、テーパ形状でスリットが入った先端チップという特殊な形状の別部材を別途用意しなければならず、さらに、この先端チップは、クリップをシース内に装填する度に外したり付けたりしなければならない。また、特許文献2には、クリップおよび締め環の材質については記載されていないが、締め環が樹脂等の場合には、把持する生体組織の大きさや硬さによっては、クリップによる把持力を維持するだけの強い締付力が得られない場合がある。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、クリッピング操作時のクリップのシース内への後退防止機能と、クリップの強力な締付力とを共に実現する締付リングを備え、クリッピングおよびクリップの装填を簡単な操作で行うことのできるクリップ処置具を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、シース先端部に装填されたクリップと、前記クリップの後端に接続される、長手方向に前記シースと相対的に移動可能な操作ワイヤと、前記クリップに嵌められ、前記シースに進退可能に嵌入された保持リングとを備えるクリップ処置具であって、前記保持リングが、前記シース内では、前記シースの内壁に押圧されて内側に閉じ、前記シースの先端通過直後に、前記シースの内径よりも広幅に開いて前記シース内への後退を阻止するスカート部を、前記シースと操作ワイヤとの相対移動方向に同じ位置であって、その周方向の2箇所以上に有する樹脂製の保持部と、前記保持部の先端側にあって、前記クリップの先端側に移動することで前記クリップに当接して前記クリップを締め付ける金属製の締付部とを有するクリップ処置具を提供する。
また、本発明は、前後のクリップと係合した状態でシースの先端部に装填された複数のクリップと、前記シースに進退可能に嵌入され、前記クリップの係合部を覆って前記クリップの連結状態を維持する連結リングと、前記複数のクリップからなるクリップ列の最後尾の前記クリップに接続される、長手方向に前記シースと相対的に移動可能な操作ワイヤとを備える連発式のクリップ処置具であって、前記連結リングが、前記シース内では、前記シースの内壁に押圧されて内側に閉じ、前記シースの先端通過直後に、前記シースの内径よりも広幅に開いて前記シース内への後退を阻止するスカート部を、前記シースと操作ワイヤとの相対移動方向に同じ位置であって、その周方向の2箇所以上に有する樹脂製の保持部と、前記保持部の先端側にあって、前記クリップの先端側に移動することで前記クリップに当接してクリップを締め付ける金属製の締付部とを有するクリップ処置具を提供する。
ここで、記連結リングのスカート部が、前記シース内で内側に閉じているときに、その連結リング内で連結される前記クリップの少なくとも一方を押圧して保持するのが好ましい。
また、前記連結リングのスカート部が、前記連結リングの周方向に均等に配置されるのが好ましい。
また、前記複数のクリップは、90度ずつ交互に向きを変えて連結されるのが好ましい。
また、先頭の前記クリップは、前記操作ワイヤによって前記連結リングに対して牽引され、後続の前記クリップとの係合部が前記連結リングから抜け出ることで、前記後続のクリップとの連結が解除されるのが好ましい。
さらに、前記先頭のクリップが連結解除されてクリッピングに供された後、前記シースが次の前記クリップを突出させる位置まで引き下げられることで、次の前記クリップが使用可能な状態となるのが好ましく、もしくは、前記先頭のクリップが連結解除されてクリッピングに供された後、前記操作ワイヤが次の前記クリップを突出させる位置まで押し出されることで、次の前記クリップが使用可能な状態となるのが好ましい。
本発明によれば、シース内でクリップを保持し、かつクリップを締め付ける保持リングを、樹脂製の保持部と金属製の締付部との2つの部材で一体的に構成したので、一部品で、シース先端においてシースへの後退を防止するための機構に必要な弾性を確保しつつ、クリップの強い締付力、すなわち、締め付けに必要な摩擦力を確保することができる。
また、本発明の一態様によれば、複数のクリップを連結させた連発式のクリップ処置具において、連結リングでクリップの連結状態を維持する構成としたので、連結状態を確実に維持することができ、連結が外れることや、連結部においてクリップにこじれや歪みを生じるのを抑制することができる。
また、この連結リングがシースに接触するので、クリップの突起や角部がシース内壁を傷付ける心配が無く、クリッピング操作時のクリップの移動もスムーズに行うことができる。
さらに、本発明の一態様によれば、クリップの連結部分が連結リングによって一定の状態で保持されるので、クリッピング操作時の進退移動を高精度に行うことができる。
本発明に係るクリップ処置具を、添付の図面に示す好適実施例に基づいて、以下に詳細に説明する。
図1(A)および(B)は、本発明のクリップ処置具の第1実施形態を示す模式的断面図であり、図1(B)は、図1(A)と90度異なる角度から見た図である。
図1に示すクリップ処置具10は、クリップを連続して使用できる連発式のクリップ処置具であり、複数のクリップ12(12A、12B、12C、12D)と、最後尾のクリップ12Dに接続されたダミークリップ18と、ダミークリップに接続された操作ワイヤ20と、隣り合うクリップ12の係合部を覆ってクリップ12の連結状態を維持する連結リング14(14A、14B、14C、14D)とを有し、これらがシース16内に嵌入されている。
なお、以下の説明では、内視鏡を用いてクリップ処置具による処置を行なう際に、生体内(内視鏡)に挿入される際の先頭側を先あるいは前、先頭と逆側(後尾側)を後あるいは基端とも言う。すなわち、図示例のクリップ処置具10においては、クリップ12Aが先端側であり、クリップ12Cが後端側である。
1つのクリップ12と1つの連結リング14は、1つの内視鏡用止血クリップ体を構成し、クリップ処置具10は、この止血クリップ体が長尺なシース16の先端内部に複数装填されたものである。連続する止血クリップ体の終端は、ダミークリップ18に噛み合い結合し、操作ワイヤ20は、シース16の基端部まで延びて、図示しない操作部につながっている。操作部から操作ワイヤ20を所定の長さだけ牽引し、ダミークリップ18を一方向に所定長さ移動させることで、一連のクリップ12が同量だけ移動し、先頭のクリップ12による止血やマーキング等のためのクリップ処置(クリッピング)が行われる。先頭のクリップ12によるクリッピングが完了した後、シース16を操作部側へ所定の長さだけ引くことで、次のクリップ12が使用可能な状態(スタンバイ状態)となり、続けてクリッピングを行うことができる。
図1(A)および(B)は、先頭のクリップ12Aがシース16の先端から突出した状態の図としてあるが、クリップ12等をシース16へ装填するときは、後述する図3(A)に示すように、先頭のクリップ12Aがシース16の内部に完全に納まった状態でセットされる。また、図1ではクリップ12を4つとし、4連発式のクリップ処置具としてあるが、クリップ12の数は、2つ以上いくつであってもよい。
クリップ12は、爪部22に対して180度ターンしたターン部24を有するクローズクリップである。すなわち、クリップ12は、一枚の長細い板を半分に曲げて閉塞端を作り、開放端には端部が対向するように屈曲させた爪部22,22を形成し、かつ、爪部22,22と閉塞端との間の部分で180度捻った形状をしている。この180度捻った交差部26を境にして、開放端側が腕部28,28であり、閉塞端側がターン部24である。腕部28,28の中央部分には凸部30,30が形成されている。
爪部22,22は、対象部を確実に摘むために、V字のオス型とメス型に形成するのが好ましい。また、図1(A)に示すように、クリップ12の腕部28は、交差部26から凸部30に掛けて徐々に幅が広くなっている。クリップ12には、生体適合性のある金属を用いることができ、例えばバネ材であるSUS631を用いることができる。
第1クリップ12Aと第2クリップ12Bは、第2クリップ12Bの爪部22が第1クリップ12Aのターン部24に係合して閉じた状態で連結リング14Aに保持されることで、連結状態とされる。図1(A)に示すように、第2クリップ12Bの爪部22,22は、第1クリップ12Aのターン部24に直交方向に噛みあって結合し、第1クリップ12Aと第2クリップ12Bは、90度異なる向きで連結される。同様に、以下の各クリップ12C、12Dは、90度ずつ交互に向きを変えて連結される。
連結リング14は、2つのクリップ12,12の係合部を覆って連結状態を維持しつつ、シース16に進退可能に嵌入されている。すなわち、連結リング14は、外径がシース16の内径とほぼ等しく、クリップ12の移動に伴ってシース16内をスムーズに進退移動することができる。図2(A)〜(C)に、連結リング14を示す。図2(A)は、連結リング14の正面図、図2(B)は断面図、図2(C)は、底面図である。
連結リング14は、締付部40と保持部42とから成る。連結リング14は、樹脂製の保持部42の先端に、金属製の締付部40を固定し、2部材で一体構造とされており、樹脂製の保持部42が連結状態の維持およびクリップの連結リング内での保持を担当し、金属製の締付部40がクリップの締め付けを担当する。
締付部40(締付リング)は、連結リング14の先端側に取り付けられた金属製の円筒状(リング状)の部品であり、クリップ12の交差部26近傍の幅よりも大きく、凸部30の幅よりも小さい内径の穴が形成されている。したがって、締付部40は、保持するクリップ12の交差部26の近傍を移動することができるが、凸部30を超えて先端側へは抜けられない。
締付部40は、クリップ12の腕部28が幅広になる、交差部26から凸部30の側へ移動することで、クリップ12の両方の腕部28,28を閉じさせて固定する締め付け機能を有している。締付部40には、生体適合性のある金属が用いられ、例えばSUS304を用いることができる。締付部40を金属製としたことで、金属製のクリップ12に対して締付力となる摩擦力を発揮させることができる。
保持部42は、樹脂成形された略円筒状(リング状)の部品である。保持部42は、先のクリップ12を保持する第1領域32と、次のクリップ12を保持する第2領域34とを有している。第1領域32には、先のクリップ12のターン部24を収容可能な、締付部40の穴よりも大きな円形の穴が形成されている。また、第2領域34には、図2(C)に示すように、第1領域32と同じ内径の穴43が形成され、さらに、その第2領域34に保持されるクリップ12の爪部22の開閉方向(図2中、左右方向)の2箇所に、溝部(凹部)43aが形成されている。凹部43aは、第2領域34に保持されるクリップ12の腕部28,28を、爪部22,22が閉じた状態で収容可能である。
溝部43a,43aは、その内壁が、クリップ12の腕部28,28の板面に当接する。すなわち、溝部43aの幅(開口幅)は、クリップ12の腕部28の最大幅よりわずかに大きく、一方の溝部43aの壁面から他方の溝部43aの壁面までの距離は、クリップ12の2つの爪部22,22の長さ(拡開方向の長さ)を足し合わせた長さにほぼ等しい。また、溝部43aの幅は、腕部28に形成された凸部30の幅よりは小さい。したがって、第2領域34に保持されるクリップ12の凸部30は、溝部43aに進入できない。
なお、両溝部43a,43aの壁面から壁面までの距離は、先のクリップ12のターン部24と、次のクリップ12の爪部22,22との係合が外れない寸法にすればよく、2つの爪部22,22の長さと、ターン部24の爪部22,22が係合する部分の幅とを足し合わせた長さよりも短くすればよい。例えば、溝部43a,43aの壁面間の距離は、2つの爪部22,22を足した長さより短くし、第2領域34に保持されるクリップ12の爪部22,22が少し重なった状態となるようにしてもよい。
第1領域32の先端部の外面には、締付部40が係合するための段付き部が形成されており、締付部40と保持部42とは、クリッピング操作時に外れない程度の締まり嵌めで嵌め合わされている。また、第1領域32は、本体の軸に対してスカート状に傾斜して広がるスカート部38を有している。
スカート部38は、先端側、すなわち図2における上方の付け根が保持部42の本体につながっており、下方の広がり部分が、本体から一部切り離されて、半径方向に広がったり閉じたりするようになっている。スカート部38は、クリップ12の牽引方向、すなわち図2の上下方向において同じ位置に、180度離れた2箇所に形成されている。なお、スカート部38の数は、2つには限定されず、2つ以上であればいくつでもよい。ただし、スカート部38を多数作ると、連結リング14本体の強度が落ちるので、強度を考慮して設計する必要がある。また、スカート部38は、周方向に均等に配置するのが好ましい。
スカート部38,38は、外力が無い状態では、図2(A)に示すように、スカート状に広がる。このとき、保持部42の第1領域32の内部は、図2(B)に示すように、円柱状の空間となっている。一方、連結リング14がシース16内へ装填されるときは、例えば、図1(B)の2つめの連結リング14Bに示すように、スカート部38が内側に押し込まれて、内部空間へ入り込み、スカート部38の内周側の部分が第1領域32に保持されるクリップ12Bのターン部24の側面(エッジ部)を押圧して、クリップ12Bが連結リング14B内で回転方向および進退方向に移動しないように保持する。なお、スカート部38が、第2領域34に保持されるクリップ、すなわち後ろ側のクリップを押圧して保持するようにしてもよい。
スカート部38,38は、図1(A)の1つめの連結リング14Aに示すように、シース16の先端から抜け出ると同時に開き、クリップ12の保持を解除するとともに、シース16の内径よりも広幅となって、連結リング14Aのシース16内への後退を阻止する。この状態で操作ワイヤ20が引かれ、クリップ12が後退することで、連結リング14がクリップ12に対して相対的に前進し、クリップ12を締め付ける。
したがって、スカート部38は、シース16の内部では内側へ閉じ、シース16の先端から出るとスカート状に広がるように、弾性を有していることが必要である。それとともに、スカート部38は、シース16の内部でクリップ12を保持できる剛性と、シース16の先端でクリップ12の締付力の反力に耐える剛性とを有していることも必要である。
これらの観点から、保持部42には、生体適合性があり、かつ、スカート部38に要求される弾性および剛性を満たす材料が用いられる。また、その形状は、スカート部38に要求される弾性および剛性を満たすように定められる。製造の容易さから、保持部42は、一体成形可能であるのが好ましい。このような保持部42の材料としては、例えば、PPSU(ポリフェニルサルホン、polyphenylsulfone)を用いることができる。
2つのクリップの係合部は、第2領域34の、第1領域32との境目に近接する部分に保持される。先のクリップ12(例えば、図1(B)のクリップ12B)は、シース16の内部においては、ターン部24が第1領域32の閉じたスカート部38によって保持されているので、進退移動および回転移動が抑えられている。また、先のクリップ12に係合する次(直後)のクリップ12(例えば、図1(B)のクリップ12C)は、第2領域34の溝部43aによって先のクリップと90度異なる方向に保持されて、回転移動が抑えられ、進退移動が抑えられた先のクリップに係合することにより、進退移動が抑えられている。すなわち、前後のクリップの係合部は、遊びが非常に小さい状態で、連結リング14によって保持される。
図1に示すように、クリップ12Aのターン部24にクリップ12Bの爪部22,22が係合し、その係合部を連結リング14Aが保持する。連結リング14A(その第2領域34)の内壁によって、クリップ12Bの爪部22,22は閉じた状態に保持されている。それにより、クリップ12Aとクリップ12Bの連結状態が維持される。同様に、クリップ12Bとクリップ12Cとの連結状態は、連結リング14Bによって、クリップ12Cとクリップ12Dとの連結状態は、連結リング14Cによって、クリップ12Dとダミークリップ18との連結状態は、連結リング14Dによって維持される。
最後尾のクリップ12Dには、クリッピングには用いられないダミークリップ18が係合している。ダミークリップ18は、クリップ12の交差部26から開放端側半分の部分と類似の形状をしており、爪部を閉じた状態でクリップ12Dのターン部に係合し、爪部を開くとクリップ12Dを開放する。ダミークリップ18の根元には、操作ワイヤ20が固定的に接続されている。
シース16は、例えば、金属ワイヤを密着巻きしたコイルシースである。シース16の内径は、先のクリップ12のターン部24と、次のクリップ12の爪部22,22との係合が解除される寸法とされている。すなわち、シース16の内径は、2つの爪部22,22の長さと、ターン部24の爪部22,22が係合する部分の幅とを足し合わせた長さよりも大きい。
次に、クリップ処置具10のクリッピングの作用について、図3を参照して説明する。図3(A)〜(E)は、クリップ処置具10のクリッピング操作における段階的な状態を示す模式的断面図である。
まず、図3(A)に示すように、シース16にクリップ12A〜12Dおよび連結リング14A〜14Dからなる4つの止血クリップ体が装填された後、シース16が内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される。止血クリップ体の装填は、例えば、予め4つの止血クリップ体(クリップ12に連結リング14を嵌めたもの)とダミークリップ18を連結させておき、ダミークリップ18をシース16の先端から突出させた操作ワイヤ20の先端に取り付け、その後、シース16を操作ワイヤ20に対して相対的に前進させて、先頭のクリップ12Aを完全にシース16内に収容することで行うことができる。
図示例では、図3(A)に示すように、クリップ12Aの先端がシース16の先端にほぼ一致している。先頭のクリップ12Aは、シース16の内壁によって閉じた状態に保持される。各連結リング14A〜14Dは、初期状態では、その締付部40がクリップ12A〜12Dの交差部26の近傍に来るように嵌め込まれる。このとき、クリップ12B〜12Dの凸部30の図3における上端が、連結リング14A〜14Cの直下に位置する。
シース16の先端が、生体内に挿入された内視鏡の挿入部の先端まで到達し、内視鏡先端から突出すると、操作ワイヤ20はそのままで、シース16のみが操作部側(後側/基端側)に引かれる。シース16が所定の1ストローク分引っ張られると、シース16の先端が、先頭の連結リング14Aのスカート部38が開く位置まで下がり、シース16から突出したクリップ12Aの爪部22,22は広がって、図3(B)の状態となる。これにより、1発目のクリップ12Aが使用可能な状態となる。なお、図3(B)では、連結リング14Aのスカート部38は紙面垂直方向にあるため、図に表れていない。また、クリップ12Aとクリップ12Bの結合部は、連結リング14Aのスカート部38の直下に位置しているため、図3(B)の状態のとき、クリップ12Bの先端が、シース16の先端にほぼ一致している。すなわち、シース16を引く1ストローク分の長さは、シース16に装填されたクリップ12Aの先端とクリップ12Bの先端との距離に等しい。
また、シース16を引くとき、シース16とシース16に嵌入されている連結リング14A〜14Dとの間に摩擦力が働くが、連結リング14A〜14Dとクリップ12A〜12Dとの間に、スカート部38の弾性力およびクリップ12A〜12Dのバネ力による保持力が働いているのに加え、クリップ12B〜12Dの凸部30が連結リング14A〜14Cの基端に当接し、その穴43には進入できないため、シース16を引いても連結リング14A〜14Dは不要に移動することがない。したがって、連結リング14A〜14Dは、それぞれ、クリップ12A〜12Dを保持した状態を維持することができる。
次に、図3(B)の状態のクリップ処置具10を移動させて、クリップ12Aの爪部22,22をクリッピングしたい部位に押し付けて、シース16の基端側において、操作ワイヤ20を所定量引っ張る。操作ワイヤ20を引くことで、ダミークリップ18から順に係合している全クリップ12A〜12D(クリップ列(=4つのクリップ12およびダミークリップ18を、連結リング14で連結してなる列))が、一様に引っ張られる。
このとき、図3(B)および(C)の状態では、シース16の先端に出た連結リング14Aは、スカート部38が開いており、クリップ12Aの連結リング14Aによる保持が解除されているので、図3(C)に示すように、先頭のクリップ12Aは連結リング14Aに対して後退する。連結リング14Aの先端、すなわち締付部40が、クリップ12Aの凸部30の直下まで押し込まれることにより、連結リング14Aによるクリップ12Aの締め付けが完了する。
それと同時に、クリップ12Aと次のクリップ12Bとの係合部が連結リング14Aの後端から抜け出る。シース16の内径は、2つの爪部22,22の長さと、ターン部24の係合部の幅を足し合わせた長さよりも大きいので、クリップ12Aとクリップ12Bの係合部が連結リング14Aから外れると、クリップ12Bのバネ力によって腕部28がシース16の内壁に当たるまで拡開し、爪部22,22の間がクリップ12Aのターン部24の幅よりも広く開いて、クリップ12Aとクリップ12Bとの連結が解除される。それにより、先頭のクリップ12Aは離脱可能となり、クリップ12Aによるクリッピングが完了する。
一方、後続のクリップ12B〜12Dは、スカート部38が閉じた連結リング14B〜14Dによって、連結リング14B〜14Dに対して回転方向および進退方向に移動しないように保持されている。さらに、クリップ12B〜12Dに係合するクリップ12C、12Dおよびダミークリップ18の爪部22の広がろうとする力によって、爪部22が連結リング14B〜14Dの第2領域34の内壁に押し付けられており、クリップ12B〜12Dと連結リング14B〜14Dとの間の摩擦力が高まっている。そのため、連結リング14B〜14Dは、クリップ12B〜12Dの移動とともに移動する。すなわち、先頭クリップ以外のクリップ12と連結リング14は、シース16に対して一体的に進退移動し、クリップ12B〜12Dおよびダミークリップ18の連結状態は、連結リング14B〜14Dによって維持される。
操作ワイヤ20は、常に一定量引けるように構成されている。この一定量とは、クリップ12の連結を保持しているときの連結リング14の先端からクリップ12の凸部30の端面までの長さと等しいか、それよりわずかに小さい量である。また、操作ワイヤ20は、該一定量引いた後、すぐにその一定量だけ戻るようになっている。図3(B)の状態から図3(C)の状態まで引っ張った操作ワイヤ20は、操作部において引っ張り力を解放すると、元の位置に戻り、図3(D)の状態となる。すなわち、2発目のクリップ12Bの先端は、図3(B)のときと同様の、シース16の先端にほぼ一致する位置に戻る。
次に、2発目のクリップ12Bを使用可能な状態とするために、シース16が所定の1ストローク分引っ張られる。それにより、シース16の先端が、次の連結リング14Bのスカート部38が開く位置まで下がり、シース16から突出したクリップ12Bの爪部22,22は広がって、図3(E)の状態となる。
その後、上述のクリップ12Aのときと同様に、クリッピングしたい部位にクリップ12Bの爪部を押し付けて、操作ワイヤ20を所定量引っ張る。これにより、連結リング14Bによるクリップ12Bの締め付けが完了すると同時に、クリップ12Bとクリップ12Cとの連結が解除され、クリップ12Bによるクリッピングが完了する。
以上に説明したように、本発明のクリップ処置具10では、金属製の締付部40と樹脂製の保持部42とで一体的に構成された連結リング14により、一部品で、シース16への後退を防止し、かつクリップ12を保持するスカート部38に必要な弾性および剛性を確保しつつ、クリップ12の強い締付力、すなわち、締め付けに必要な摩擦力を確保できる。
また、連結リング14でクリップ12の連結状態を維持するため、クリップ12の連結状態が確実に維持されるのに加え、クリップ12の連結部を連結リング14で覆っているため、クリッピング操作時等にクリップ12の連結部の角部などでシース16の内壁を傷付ける心配が無く、シース16を内視鏡に挿入する時などにも、連結部において、クリップ12にこじれや歪みを生じる可能性が極めて小さい。
さらに、本発明のクリップ処置具10では、連結リング14の保持部42が樹脂製であるため、連結リング14とシース16の内壁との摩擦が小さく、操作ワイヤ20によってクリップ12を進退移動させるときの操作、および、シース16を引くときの操作がスムーズであり、シース16の内壁を傷付ける心配が無い。なお、締付部40の外径は、保持部42の外径と同一か、それよりもわずかに小さくするのが好ましい。
また、クリップ12を装填したシース16は、生体内に挿入された内視鏡に挿入する際に、内視鏡の湾曲部を通過する必要があるが、保持部42が樹脂製であるため、フレキシブル性に優れ、クリップ12の連結部を保持しつつ湾曲することができる。
また、シース16内にセットされた状態では、連結リング14の保持部42のスカート部38がクリップ12を押圧して保持するので、クリップ12の連結部分を一定の状態で保持することができ、連結部分の遊びが極めて少ない。そのため、操作ワイヤ20による操作時の進退移動が安定し、移動量の誤差が小さく、高精度に移動させることができる。
なお、上記の例ではクリップ12を90度ずつ向きを変えて連結するものとしているが、本発明はこれには限定されず、係合部の形状に応じて連結クリップの内部形状を選択可能である。例えば、爪部22,22とターン部24との間の部分で90度だけ捻った形状のクリップを使用し、連続するクリップを同じ向きで連結するようにしてもよい。また、ターン部を有するクローズクリップを用いることで、ターン部を押圧して腕部に拡開するバネ力を与えることができる点で好ましいが、本発明は、ターン部を有さないオープンクリップ(U字状のクリップ)を用いるものに適用することもできる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記実施形態は、連発式のクリップ処置具としていたのに対し、ここでは、単発式のクリップ処置具とする場合について説明する。図4は、本発明のクリップ処置具に用いる保持リングを示す模式的断面図である。
図4に示す保持リング48は、図2の連結リング14の締付部40と同様の締付部40と、保持部42を短くして実質的に第1領域32だけとされた保持部44とから成る。締付部40の構成および作用は、図2の連結リング14の締付部40と同様であり、保持部44の構成および作用は、同連結リング14の保持部42の第1領域32と同様である。
図5は、本発明のクリップ処置具の第2実施形態を示す模式的断面図であり、(B)および(D)は、それぞれ、(A)および(C)と90度異なる角度から見た図である。
図5に示すクリップ処置具46は、1つのクリップ12と、クリップ12を保持する保持リング48と、クリップ12に係合するフック50と、フック50に接続された操作ワイヤ20とを有し、これらがシース16内に嵌入されている。
クリップ12および保持リング48からなる止血クリップ体は、図5(C)および(D)に示すように、シース16の先端に装填される。止血クリップ体の装填は、例えば、予めクリップ12に保持リング48を嵌め、クリップ12のターン部24にフック50を係合させておき、シース16の先端から突出させた操作ワイヤ20の先端にフック50を取り付け、その後、シース16を操作ワイヤ20に対して相対的に前進させて、クリップ12をシース16内に収容することで行うことができる。
操作ワイヤ20はそのままで、シース16のみを操作部側へ所定量引っ張ると、シース16の先端が、保持リング48のスカート部38が開く位置まで下がり、クリップ12の爪部22,22は広がって、図5(A)および(B)の状態となる。この状態で操作ワイヤ20を引くと、シース16、およびスカート部38が開いて後退不能となった保持リング48に対してクリップ12が後退し、保持リング48の締付部40がクリップ12の先端側へ押し込まれ、保持リング48によるクリップ12の締め付けが完了する。それと同時に、クリップ12とフック50の係合部が保持リング48の後端から抜け出て、クリップ12とフック50の係合が解除され、クリップ12によるクリッピングが完了する。
フック50は、一定の引っ張り力で塑性変形するようにしておき、保持リング48によってクリップ12を締め付けた後に更に操作ワイヤ20を引っ張って、上記一定の引っ張り力以上の力を掛けることにより、フック50を変形させて、クリップ12との係合を解除するようにしてもよい。
1回のクリッピングの後、シース16を内視鏡から引き出し、操作ワイヤ20の先端に次の止血クリップ体を装填することにより、次のクリッピングを行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前記第1実施形態及び第2実施形態は、共に、シース16を操作部側に引っ張ることにより、次のクリップ12が使用可能な状態(スタンバイ状態)にするものであるが、本形態では、操作ワイヤ20を先端側に押し出すことにより、次のクリップ12を使用可能な状態とするものである。
図6に、本実施形態のクリップ処置具の模式的斜視図を示す。なお、図6に示すクリップ処置具80は、クリップ12、連結リング14、シース16、操作ワイヤ20など、図1に示すクリップ処置具10と同じ部材を、多数、使用しているので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行なう。
このクリップ処置具80は、操作ハンドル82に固定されたシース16の先端部に、複数のクリップ12を連結リング14で連結してなるクリップ列を収容して(図7等参照)、構成される。
図7に、シース16の先端部の模式的断面図を示す。なお、図7において、(A)はクリップ12の腕部28の開閉方向から見た図であり、(B)は、シース16の周方向に90°異なる方向(腕部28の開閉方向と直交方向)から見た図である。
図7に示すように、クリップ処置具80は、3つのクリップ12(12A、12Bおよび12C)が連結されて、進退可能にシース16に収容されている。すなわち、図示例のクリップ処置具80は、シースを引き抜くことなく、3回のクリッピングを連続で行なうことが可能な、3連発のクリップ処置具である。
なお、本形態のクリップ処置具も、図示例のような3連発のクリップ処置に限定はされず、2個のクリップを装填可能であってもよく、あるいは、4個以上のクリップを装填可能であってもよいのは、先の例と同様である。
前述の図1に示すクリップ処置具10と同様、各クリップ12は、連結リング14(14A、14B、14C)によって連結されている。また、最も後(基端側)のクリップ12Cには、操作ワイヤ20に係合されるダミークリップ18が連結される。
後に詳述するが、操作ワイヤ20は、シース16内を挿通されて、後述する操作ハンドル82のハンドル部84に挿通され、クリッピングの準備およびクリッピングの操作を行なうスライダ54に連結される。クリップ処置具80においては、このスライダ54の操作により、シース16内において、操作ワイヤ20を進退(押し出しおよび牽引、すなわち、シース16の長手方向に移動)、シース16の先端部に連結して収容された全クリップ12A〜12C(クリップ列)を進退させることで、クリッピングの操作を行なう。
ここで、前述の図1に示すクリップ処置具10では、ダミークリップ18は、直接的に操作ワイヤ20に接続されていた。
これに対し、図7および図8に示すクリップ処置具80では、操作ワイヤ20の先端に接続部材21が固定され、また、ダミークリップ18の後端に接続部材21が嵌入可能な孔部19aが形成された連結部材19が固定されており、連結部材19の孔部19aに接続部材21を嵌入(両者を係合)することにより、ダミークリップ18と操作ワイヤ20とが接続される。
前述のように、クリップ処置具80は、操作ハンドル82と、操作ハンドル82(シース16)の先端部に収容されるクリップ列とから構成される。
また、操作ハンドル82は、シース16、操作ワイヤ20、操作ワイヤ20の先端の接続部材21、および、ハンドル部84を有して構成される。
図8に、操作ハンドル82のハンドル部84の模式的断面図を示す。
図8に示すように、操作ハンドル82のハンドル部84は、ハンドル本体52と、スライダ54と、スライダガイド56と、回転位置規制部材58と、付勢バネ60と、指掛け部材62とを有する。
図9に、ハンドル部84(ハンドル本体52)からスライダガイド56を取り外した際の模式的斜視図を示す。
図8および図9に示すように、ハンドル本体52は、外径の異なる3つの円筒部を有する段差付きの円筒状の部材で、基端側から、大径部52a、中径部52bおよび小径部52cの順番で形成される。
ハンドル本体52には、大径部52a、中径部52bおよび小径部52cを貫通して、同じ径の貫通穴52dが形成されており、大径部52aの基端側の端部には、貫通穴52dに固定的に嵌入して、指掛け部材62が固定される。指掛け部材62は、後述するスライダ54を操作する際に、医師が親指を掛けるためのもので、リング状の部分を有する。
ハンドル本体52の中径部52bには、ハンドル本体52を形成する円筒(=貫通穴52d)の中心軸方向に延在して、長穴な貫通穴である係合溝68が形成されている。また、中径部52bには、後述する略円筒状のスライダガイド56が回転自在に挿通される。
なお、以下の説明では、ハンドル本体52を形成する円筒の中心軸方向を「軸方向」、この軸方向を中心とする円周方向を「周方向」とも言う。
ハンドル本体52において、最も先端側の小径部52cの先端には、ハンドル本体52の貫通穴52dと連通するように、シース16が固定される。操作ワイヤ20は、シース16内を挿通されて、シース16の基端部から突出して、ハンドル本体52の小径部52cおよび中径部52bを挿通され、スライダ54に接続される。
従って、このクリップ処置具80では、前述の図1に示すクリップ処置具10のように、シース16を引き戻す(進退する)ことは無い。
スライダ54は、ハンドル本体52(および後述するスライダガイド56)を挿通するように、ハンドル本体52の外周に配置される、ハンドル本体52(同前)の軸方向に移動可能な略円筒状の部材である。
図示例において、スライダ54は、円筒の基端側端部と軸方向の途中との2個所に、外方向に突出する円盤状のフランジ部を有し、クリップ処置具10を用いた処置を行なう医師が指を掛けて、スライダ54を軸方向に動かし易いようになっている。一例として、医師は、前記指掛け部材62のリングに親指を入れ、フランジ部の間で人指し指および中指でスライダ54を挟むようにして、スライダ54を軸方向に移動する。
また、スライダ54は、ハンドル本体52の中心軸に向かって突出するように取り付けられたスライダピン70を有する。スライダピン70は、係合溝68を貫通して、ハンドル本体52の貫通穴52dの中心線に至る。このスライダピンの下端部近傍(貫通穴52dの中心線側)には、ハンドル本体52の小径部52cおよび中径部52bに挿通される操作ワイヤ20が固定されている。
前述のように、スライダ54はハンドル本体52の軸方向に移動可能であり、スライダ54を移動することにより、シース16に挿通される操作ワイヤ20を進退(先端側および基端側に移動)することができる。クリップ処置具10においては、このスライダ54による操作ワイヤ20の進退により、前述のように、シース16の先端部のクリップ列を進退させて、次のクリップ12を使用可能な状態(クリッピング準備状態)とし、また、クリッピングを行なう。
クリップ処置具80においては、係合溝68の基端側端部と、スライダピン70とが当接する位置が、スライダ54のホームポジション(HP)となっている。このHPから所定量だけスライダ54を先端側に移動することで、操作ワイヤ20を先端側に送り出して(進行して)、クリッピングの準備状態とし、この準備状態からスライダ54をHP側に戻すことで、操作ワイヤ20を引き戻して(後退して)、クリッピングおよび前のクリップ12と次のクリップ12との連結解除を行なう。
また、クリップ列をシース16に装填する際にも、スライダ54を所定量だけ先端側に移動した状態で、ダミークリップ18と操作ワイヤ20とを連結し、スライダ54をHPに移動することで、シース16にクリップ列を装填する。
この点については、後に詳述する。
図10(A)に、スライダガイド56の模式的斜視図を示す。
スライダガイド56は、スライダ54の軸方向への移動量すなわち操作ワイヤ20のシース16長手方向の進退量を規制する部材で、図8および図10(A)に示すように、ハンドル本体52を挿通する略円筒状の部材である。
このスライダガイド56は、ハンドル本体52の外周面上に、周方向に回転可能かつ軸方向に移動可能に軸支される。
スライダガイド56は、接合部56aと、把持部56bと、ガイド部56cとから構成される。
接合部56a、把持部56b、およびガイド部56cは、いずれも略筒状の部位であり、先端側から基端側に向かって、接合部56a、把持部56b、およびガイド部56cの順番で、1本の筒を構成するように一体的に形成される。
接合部56aは、ハンドル本体52の小径部52cの外径と略同一の内径を有する、略円筒状の部位で、凸状の先端部が、後述する、スライダガイド56の回転位置を規制するための回転位置規制部材58に形成される接合部58aに挿入される。
この接合部56aには、鋸歯状に、4つの凸部57aと、凸部57aの間の4つの凹部57bが形成される。この凸部57aおよび凹部57bは、回転位置規制部材58の接合部58aに形成される凸部59aおよび凹部59bと係合する。この点に関しては、後に詳述する。
把持部56bは、後述するように医師がクリッピングを行なうためにスライダガイド52を回転する際に、把持するための部位である。
ガイド部56cは、前述のハンドル本体52の中径部52bの外径と略同一の内径、ならびに、スライダ54の内径およびハンドル本体52の大径部52aの外径と略同一の外径を有する、略円筒状の部位である。
従って、スライダ54は、ハンドル本体52の大径部52aおよびガイド部56cの外周に案内されて、軸方向に移動する。
図10(B)に、ガイド部56cの展開図を示す。
ガイド部56cには、スライダ54(スライダピン70)を案内するためのガイド溝66A〜66Dが、軸方向に延在して形成される。すなわち、前述のように、図示例のクリップ処置具10は、3個のクリップ12を装填して、体内からシース16を抜くことなく3回のクリッピングを行なうことができる処置具である。これに対応して、ガイド部56cは、4本のガイド溝が形成される。
一例として、ガイド溝66Aはクリップ列の装填時に、ガイド溝66Bは1回目のクリッピングに、ガイド溝66Cは2回目のクリッピングに、ガイド溝66Dは3回目のクリッピングに、それぞれ、対応し、周方向に90°間隔で形成される。
なお、本発明において、装填(連発)可能なクリップの数は3個に限定されないのは前述のとおりである。従って、スライダガイド56のガイド部56cには、クリップ処置具(操作ハンドル)に装填可能なクリップ12の数nに応じて、これにクリップ列装填用の1を加えた「n+1個」のガイド溝66が形成される。
このガイド溝66A〜66Dは、前記ハンドル本体12の係合溝68と共にスライダ54(スライダピン70)の移動を案内すると共に、スライダ54の移動量を規制する。
前述のように、図示例のクリップ処置具10では、HPから軸方向にスライダ54を往復させることにより、クリッピングの操作、および、シース16へのクリップ列(3つのクリップ12およびダミークリップ18を、連結リング14で連結してなる列)の装填を行なう。また、シース16を体内から抜くことなく、3回のクリッピングを行なうことが可能な処置具である。
ここで、スライダ54の移動量は、クリップ列の装填時、および、クリッピングの回数(何回目のクリッピングか)によって、異なる。これに応じて、スライダガイド56は、図10に示すように、ガイド部56cに軸方向の長さが異なる4つのガイド溝66A〜66Dが形成される。
従って、各ガイド溝の長さは、クリップ列の装填時、および、クリッピングの回数に応じたスライダ54の移動量となる長さとなる。
具体的には、クリップ列の装填時には、接続部材21をシース16から突出させる必要があり、また、スライダ54をHPに戻した状態では、クリップ列の全域がシース16内に収容される必要が有る。
従って、図10(B)に示すように、クリップ列の装填時に対応するガイド溝66Aは、スライダ54の移動量が最も多い所定量となる長さに形成される。
また、クリッピングは、先端側のクリップ12から、順次、行なわれる。後述するが、クリッピング操作のHPは、回数によらず同一である。従って、次のクリップが使用可能な状態(クリッピングの準備状態)、すなわち、図7に示すようなクリップ12の腕部28および連結リング14のスカート部38がシース16の先端から突出した状態するための、クリップ12および連結リング14の先端側への移動量は、1回目、2回目および3回目の順で、多くなる。すなわち、HPから先端側へのスライダの必要移動量は、1回目から3回目に向けて、順次、多くなる。
従って、図10(B)に示すように、1回目のクリッピング(クリップ12A)に対応するガイド溝66Bは、スライダ54の移動量が最も少ない所定量となる長さに形成される。また、2回目のクリッピング(クリップ12B)に対応するガイド溝66Cは、スライダ54の移動量が2番目に少ない所定量となる長さに形成される。さらに、3回目のクリッピング(クリップ12C)に対応するガイド溝66Cは、スライダ54の移動量が3番目に少ない所定量となるに形成される。
スライダガイド56は、クリップ列の装填やクリッピング等の操作に応じて回転され、各ガイド溝が、ハンドル本体52の係合溝68と一致される。
すなわち、クリップ列の装填時にはガイド溝66Aが、1回目のクリッピング(クリップ12A)の際にはガイド溝66Bが、2回目のクリッピング(クリップ12B)の際にはガイド溝66Cが、3回目のクリッピング(クリップ12C)の際にはガイド溝66が、それぞれ、係合溝68と一致するように、スライダガイド56が回転される。
前述のように、接合部56aの先端には、周方向(軸を中心とする回転方向)に、4つの凸部57aと凹部57bとが交互に等間隔で形成される。
4つの凸部57aは、同一形状であり、鋸歯状、すなわち、一方の歯面の傾斜角が緩やかなテーパ形状であり、他方の歯面の傾斜角が略直角の段差をなす断面三角形状の凸部である。また、隣接する凸部57aと凸部57aとの間が凹部57bとなる。
この凸部57aおよび凹部57bは、回転位置規制部材58の接合部58aに形成される凸部59aおよび凹部59bと係合する。
回転位置規制部材58は、ハンドル部84の最も基端側に配置される部材であり、円筒状の領域および略半球状の領域を有し、中心に貫通穴を有する、筒状の部材である。
この回転位置規制部材58は、円筒状の領域を先端側に向けて、貫通穴にハンドル本体52の小径部52cを挿通して、ハンドル本体52に固定される。
また、図10に示すように、回転位置規制部材58は、その基端側に、凹状の接合部58aを有する。前述のように、この凹状の接合部58aには、前記スライダガイド56の先端側の凸状の接合部56aが回転可能な状態で挿入される。
接合部58aには、スライダガイド56の先端側の凸状の接合部56aと同様、基端側に突出し、周方向に等間隔に、当接面に対する2つの歯面の傾斜角が異なる、同一形状の4つの凸部59aが形成されている。この凸部59aは、鋸歯形状、つまり、一方の歯面の傾斜角が緩やかでテーパ形状であり、他方の歯面の傾斜角が略直角の段差をなす断面三角形状の凸部である。また、隣接する凸部59aと凸部59aとの間は、凹部59bとなり、この凹部59bも4つ形成される。
スライダガイド56の接合部56aの凸部57aと回転位置規制部材58の接合部58aの凹部59b、および、スライダガイド56の接合部56aの凹部57bと回転位置規制部材58の接合部58aの凸部59aとは、互いに噛み合う形状となっている。
すなわち、スライダガイド56は、回転位置規制部材58によって、回転方向に90°間隔で位置決めをされる。
ここで、スライダガイド56のガイド溝66A〜66Dは、回転位置規制部材58の接合部58aおよびスライダガイド56の接合部56aの凹凸が歯合した際に、ハンドル本体52の係合溝68と、周方向の位置が重なるように形成される。すなわち、スライダガイド56の回転は、回転位置規制部材58によって、ガイド溝66とハンドル本体52の係合溝68とが重なる位置で停止するように規制される。
また、両凸部は、一方の歯面の傾斜角がテーパ形状、他方の歯面が略直角であるので、スライダガイド56の回転方向は、一方向に規定される。この凸部の歯面の形状は、スライダガイドの回転方向が、ガイド溝66A、ガイド溝66B、ガイド溝66C、およびガイド溝66Dの順で係合溝68とが重なる順番となるように、形成される。
さらに、ハンドル本体52の中径部52aと小径部52cとの段差(この段差で形成される、中径部52bの先端側端面)と、スライダガイド56の接合部56aの基端側端面との間には、付勢バネ60が配置される。
付勢バネ60は、ハンドル本体52の小径部52cの外周に撒きつくように配置される圧縮バネであり、前記中径部52bの先端側端面と、接合部56aの基端側端面とを離間するように付勢する。すなわち、付勢バネ60は、スライダガイド56を、回転位置規制部材58に押しつけた状態とする。
従って、この付勢バネ60の作用により、スライダガイド56が不用意に回転することを防止する。
また、スライダガイド56を所定方向に回転することにより、回転位置規制部材58の接合部58aおよびスライダガイド56の接合部56aの凹凸によって、回転に応じて、付勢バネ60の付勢力に逆らってスライダガイド56が凹凸のテーパに沿って基端側に移動して、凹凸のテーパから外れた時点(凹凸が略垂直の歯面となった時点)で、付勢バネ60の付勢力によって、再度、スライダガイド56が、先端方向に移動して、回転位置規制部材58に押しつけられる。
前述のように、回転位置規制部材58の接合部58aとスライダガイド56の接合部56aとの凹凸が係合した位置では、係合溝68とガイド溝66とが周方向で一致するように構成される。従って、クリップ処置具10の操作を行なう医師は、スライダガイド56を回転させることで、クリッピングの回数等に応じて、容易かつ正確に係合溝68とガイド溝66とを一致させることができる。
なお、スライダガイド56は、回転位置規制部材58に押しつけられた状態で、ハンドル本体52の中径部52aと大径部52aとの段差(この段差で形成される、大径部52aの先端側端面)と、基端側の端部との間に、回転時における回転位置規制部材58の接合部58aおよびスライダガイド56の接合部56aの凹凸による基端側への移動量等に応じた間隙を有するように、軸方向の長さが設定される。
前述のように、クリップ処置具10においては、ハンドル本体52の係合溝68と、スライダガイドの各ガイド溝66とを一致させた状態で、スライダ54をHP(係合溝68の基端側端部とスライダピン70とが当接する位置)から、ガイド溝66の先端側端部に当接する位置まで移動して、再度、HPまで戻すことにより、クリップ12によって生体をクリッピングする。
また、クリップ処置具10は、シース16を内視鏡から引き抜くことなく、3回のクリッピングを行なうことができる、連発式のクリップ処置具である。
以下、図12(A)〜(P)に示すハンドル部84の模式的斜視図、図13に示すスライダガイド56の展開図および操作時におけるスライダピン70の位置(ハッチを掛けた円)を模式的に示す図、および、図14(A)〜(P)に示すシース16の先端部の概念図を参照して、クリップ処置具10における3回のクリッピングの操作の一例について説明する。
まず、必要に応じてスライダガイド56を回転して、図12(A)に示すように、ガイド溝66Aとハンドル本体52の係合溝68を一致(周方向の位置を一致)させ、スライダ54を、スライダピン70が係合溝68の先端側の端面に当接するHPまで軸方向に移動させる。つまり、スライダ54のスライダピン70を、図13に示す位置P1に移動させる(以下、スライダピン70は省略して、単に「スライダガイドを位置P1に移動」、「スライダガイドをHPに移動」のように記す)。
このとき、操作ワイヤ20の先端は、図14(A)に示すようにシース16内に引き込まれた状態となっている。この状態が、図示例のクリップ処置具80における処置の初期状態となる。
なお、本発明は、係合溝68の先端側端面と、スライダピン70とを当接して、スライダ54の軸方向の移動量を規制する構成に限定はされず、スライダピン70ではなく、スライダ54の本体と、係合溝68の先端側端面とを当接して、スライダ54の軸方向の移動量を規制する構成でもよい。
次に、図12(B)に示すように、スライダ54を、ガイド溝66Aの先端側端部に当接する位置、すなわち、図13に示す最大突出位置P2に移動する。
これにより、図14(B)に示すように、シース16の先端から操作ワイヤ20の接続部材21が、所定量、突出する。
この状態で、ダミークリップ18の連結部材19を操作ワイヤ20の接続部材21に取り付ける。これにより、3つのクリップ12およびダミークリップ18を連結リング14で連結したクリップ列が、操作ワイヤ20に接続される。
クリップ列の連結部材19を操作ワイヤ20の接続部材21に取り付けたら、図12(C)に示すように、スライダ54を図13に示す位置P3すなわちHPに戻す。この操作により、図14(C)に示すように、クリップ列をシース16内に収容する。
これにより、クリップ12を連結したクリップ列の操作ハンドル82への装填が終了し、すなわち、クリップ処置具80が構成される。
その後、シース16を生体内に挿入された内視鏡の鉗子口等に挿入して、シース16の先端を、内視鏡の挿入部の先端まで到達させ、内視鏡の先端から突出させる。
また、内視鏡の挿入部やアングル部の操作等によって、クリップ処置具80のシース16の先端を目的とする位置に移動する。
必要な操作が終了したら、図12(D)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Bと係合溝68とを一致させる。
これにより、スライダ54(スライダピン70)の位置は、図13において位置P4で示す、ガイド溝66Bに対応するHPに移動する。
次に、図12(E)に示すように、スライダ54をガイド溝66Bの先端側端部に当接する位置まで移動、すなわち、図13に示す最大突出位置P5に移動する。
このスライダ54の押し出し、すなわち、操作ワイヤ20の押し出しにより、クリップ列が先端方向に移動し、図14(D)に示すように、シース16の先端から、先頭のクリップクリップ12Aおよび連結リング14Aの第1領域32がシース16の先端から突出する。これにより、クリップ12Aの腕部28が開放し、また、連結リング14Aのスカート部38が開く。
ところで、クリップ12や連結リング14には製造誤差による寸法バラツキ等が存在する。また、内視鏡(その挿入部)に挿通されたクリップ処置具10では、操作ワイヤ20およびシース16の屈曲や湾曲等による内外周差等により、操作ワイヤ20の突出量が減少する場合も有る。
そのため、クリップ処置具10においては、ガイド溝66Bの先端側の端部は、クリップ12Aがシース16から脱落せず、かつ、クリップ12等の製造誤差やシース16の状態によらず確実に連結リング14Aのスカート部38が開放する、最大突出位置P5となるように形成してある。
従って、通常であれば、この最大突出位置P5までスライダ54を押し出した状態では、連結リング14Aのスカート部38は、シース16の先端部よりも先に位置しており、スカート部38とシース16とは離間している。
なお、この点に関しては、2回目のクリップ12Bによるクリッピングに対応する、ガイド溝66Cの先端側端部、ならびに、3回目のクリップ12Cによるクリッピングに対応する、ガイド溝66Dの先端側端部に関しても、同様である。
次いで、例えば内視鏡の画像を見ながら、図12(F)に示すように、スライダ54をHP側に引き戻し、連結リング14Aのスカート部38がシース16の先端部に当接する標準突出位置P5’まで、クリップ列を引き戻す。すなわち、図14(E)に示す状態まで、クリップ列をシース16に引き戻す。なお、この図14(E)に示す状態は、先の図7に示す状態と同様である。
これにより、1回目のクリッピング(1発目のクリップ12によるクリッピング)の準備が完了する(クリッピングの準備状態となる)。
スライダ54を標準突出位置P5’まで戻して、クリッピングの準備状態となったら、内視鏡を操作して、拡開したクリップ12Aの爪部22をクリッピングしたい生体位置に押し付けて、図12(G)に示すように、スライダ54を基端側に移動して、HPすなわち位置P7まで引き戻す。
準備状態では、連結リング14Aのスカート部38が開放しているので、連結リング14A内でのスカート部38によるクリップ12Aの押圧保持は開放している。また、連結リング14Aは、スカート部38がシース16先端で開いていることにより、シース16内への後退が阻止されている。
そのため、このスライダ54の移動により、先頭のクリップ12Aは連結リング14Aに引き込まれ、締付リング40によって開放している腕部28が閉塞され、図14(F)に示すように爪部22が閉塞して生体をクリッピングする。また、標準突出位置P5’から、クリップ完了位置P6までスライダ54が移動(標準突出位置P5’からクリップストロークだけ移動)すると、前述のように、腕部28の凸部30の直下まで連結リング14Aに引き込まれ、クリッピングが完了する。また、前述のように、本発明においては、クリップ12を締め付ける締付リング40が金属性であるので、締め付けに必要な十分な摩擦力で、確実なクリッピングが可能である。
このクリッピング完了と同時に、図14(F)に示すように、先頭のクリップ12Aの基端側の端部(ターン部24の基端側端部)、および、2番目のクリップ12Bの爪部22が、連結リング14Aの基端側端部から排出する。
これにより、連結リング14Aの第2領域34によって閉塞されていた2番目のクリップ12Bの腕部28が、シース16の内径まで開放して、前のクリップ12Aのターン部24と、次のクリップ12Bの爪部との係合が開放して、クリップ12Aおよび連結リング14Aがクリップ列から切り離され、シース16から排出可能な状態となる。
また、スライダ54をHPである位置P7まで戻した状態では、クリップ12Aおよび連結リング14Aの切り離したクリップ列は、図14(G)に示すように、シース16の内部に引き込まれた状態となる。
以上の説明より明かなように、最大突出位置P5(P9、P13)から標準突出位置P5’(P9’、P13’)までの距離が、構成部品の製造誤差やシース16の内外周差等を吸収するためのバッファとなる。そのため、一旦、スライダ54(すなわちクリップ列(最先端のクリップ12))を最大突出位置P5まで押し出すことにより、クリップ12の製造誤差や体内におけるシース16の状態によらず、確実に、腕部28およびスカート部38を開放して、クリッピングを行なうことができる。
また、好ましい操作として、クリップ列を最大突出位置P5まで押し出して、次いで、標準突出位置P5’まで戻して、その後、生体に爪部22を当接してクリッピング(HPであるP7までのスライダ54の引き戻し)を行なうことにより、シース16からの突出し過ぎに起因するクリップ12の脱落事故等をより確実に防止でき、また、確実に保持されたクリップ12を、しっかりとクリッピングする生体に押しつけることができる。
なお、本発明のクリップ処置具10の操作は、このように、最大突出位置までスライダ54を押し出し、次いで、標準突出位置までスライダを戻した後に、HPまでスライダを戻してクリッピング、および、クリップ列の連結開放を行なうのに限定はされない。
例えば、最大突出位置において、先頭のクリップ12がしっかりと保持されており、脱落の可能性が無い(極めて低い)場合であれば、最大突出位置から標準突出位置までスライダ54を戻さずに、最大突出位置からHPまで、一気にスライダ54を引き戻して、クリッピング、および、クリップ列の連結開放を行ってもよい。
また、クリップ処置具10においては、スライダ54がクリップ完了位置P6(P10、P14)を通過した時点で、互いに係合する凹凸、付勢された球体とこれに係合する凹部など、公知の手段によって、小さな衝撃(いわゆるクリック感)を発生させ、クリッピングが完了したことを、処置を行なう医師が知見できるようにするのも好ましい。
スライダ54をHPである位置P7まで戻して、1回目のクリッピング(1発目のクリップ12Aによるクリッピング)を終了したら、次いで、図12(H)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Cと係合溝68とを一致させる。
これにより、スライダ54の位置は、図13において位置P8で示す、ガイド溝66Cに対応するHPに移動する。
次に、図12(I)に示すように、スライダ54を、ガイド溝66Cの先端側端部に当接する、図11に示す最大突出位置P9に移動する。この操作により、図14(H)に示すように、シース16の先端から、2番目のクリップ12Bおよび連結リング14Bの第1領域32がシース16から突出し、腕部28が開放し、また、スカート部38が開く。
図12(J)に示すように、スライダ54を、スカート部38がシース16の先端に当接する標準突出位置P9’まで引き戻し、図14(I)に示す状態とする。これにより、2回目(クリップ12Bによる)のクリッピング準備状態となる。
クリッピングの準備状態となったら、同様に、拡開したクリップ12Bの爪部22をクリッピングする位置に押し付けて、図12(K)に示すように、スライダ54を基端側に移動して、HPすなわち位置P11まで引き戻す。
これにより、1回目のクリッピングと同様に、図14(K)に示すようにクリッピングが行なわれ、標準突出位置P9’からクリップ完了位置P10までのスライダの移動で、2発目のクリップ12によるクリッピングが完了し、かつ、2番目のクリップ12Bと次(最基端側)のクリップ12Cとが切り離され、クリップ12Bおよび連結リング14Bがシース16から排出可能な状態となる。
また、スライダ54をHPである位置P11まで戻した状態では、クリップ12Bおよび連結リング14Bを切り離したクリップ列は、図14(K)に示すように、シース16の内部に引き込まれた状態となる。
2回目のクリッピングを終了したら、次いで、図12(L)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Dと係合溝68とを一致させる。
これにより、スライダ54の位置は、図13において位置P12で示す、ガイド溝66Dに対応するHPに移動する。
次に、図12(M)に示すように、スライダ54を、ガイド溝66Dの先端側端部に当接する最大突出位置P13に移動する。この操作により、図14(L)に示すように、シース16の先端から、3番目のクリップ12Cおよび連結リング14Bがシース16から突出し、腕部28が開放し、スカート部38が開く。
図12(N)に示すように、スライダ54を、標準突出位置P13P’まで引き戻して、図14(M)に示す、3回目のクリッピングの準備状態とする。
クリッピングの準備状態となったら、同様に、拡開したクリップ12Cの爪部22をクリッピングする位置に押し付けて、図12(O)に示すように、スライダ54を基端側に移動して、HPすなわち位置P15まで引き戻す。
これにより、先と同様に、図14(N)に示すようにクリッピングが行なわれ、標準突出位置13P’からクリップ完了位置P14までのスライダ54の移動で、3番目のクリップ12Cによるクリッピングが完了し、さらに、3番目のクリップ12Cとダミークリップ18とが切り離され、クリップ12Cおよび連結リング14Cが、シース16から排出可能な状態となる。
また、スライダ54をHPである位置P15まで戻した状態では、全てのクリップ12を切り離したダミークリップ18は、図14(O)に示すように、シース16の内部に引き込まれた状態となる。
3個のクリップ12によるクリッピングが完了したら、図12(P)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Aと係合溝68とを一致させる。これにより、スライダ54の位置は、再度、図13において位置P1で示す、ガイド溝66Aに対応するHPに戻る。
その後、クリップ処置具10のシース16を内視鏡から引き抜く。
シース16を引き抜いた後、スライダ54をガイド溝66Aの先端側端部に当接する位置P2まで押し出し、図14(P)に示すように、シース16の先端から接続部材21、ダミークリップ18および連結部材19を突出させ、ダミークリップ18および連結部材19を、操作ワイヤ20先端の接続部材21から取り外す。
以上のように、クリップ処置具80によれば、シースを引き抜くことなく、複数回のクリッピングを行うことができる。また、スライダガイド56の回転、および、スライダ54の往復移動のみで、クリップの回数(1回目/2回目…)に応じて、適正な量、クリップ列を軸方向(シース16の長手方向)に移動して、クリッピングの準備状態とし、クリッピングおよび連結されたクリップの切り離しを行なうことができる。すなわち、簡易な操作で、正確なクリッピングの処置を行なうことができる。
しかも、本発明によれば、シース14内でクリップ12を保持/連結し、かつクリップ12を締め付ける連結リング14を、シース14での押圧の有無で内外に突出するスカート部38を有する樹脂製の保持部と金属製の締付部との2つの部材で一体的に構成したので、シース14へのクリップ12の後退およびクリップ12の連結の外れを好適に防止しつつ、クリップ12の締め付けに必要な摩擦力を確保することができる。
なお、本発明において、このようなシース16でのクリッピング操作を行なわず、先端側への操作ワイヤ18の送り出しでクリップをシースから突出させ、操作ワイヤ18を引くことでクリッピングを行なうクリップ処置具は、図示例のクリップ処置具80のような連発式のクリップ処置具のみならず、図4および図5に示すような、単発式のクリップ処置具でも好適に利用可能である。
以上、本発明に係るクリップ処置具について詳細に説明したが、本発明は上記種々の実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。また、本発明のクリップ処置具は、軟性鏡のほか、硬性鏡にも用いることができる。さらに、本発明のクリップ処置具は、止血用のみならず、マーキング用や縫合用等の各種のクリップが利用可能である。
(A)および(B)は、本発明のクリップ処置具の第1実施形態を示す模式的断面図である。 (A)〜(C)は、連結リングを示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図、(C)は底面図である。 (A)〜(E)は、クリップ処置具のクリッピング操作における段階的な状態を示す模式的断面図である。 連結リングの第2の形態を示す模式的断面図である。 (A)〜(D)は、本発明のクリップ処置具の第2実施形態を示す模式的断面図である。 本発明のクリップ処置具の第3実施形態を示す模式的斜視図である。 (A)および(B)は、図6に示すクリップ処置具の先端部の模式的断面図である。 図6に示す連発式クリップ処置具のハンドル部の模式的断面図である。 図8に示すハンドル部からスライダガイドを取り外した状態を示す模式的斜視図である。 (A)は、図8に示すハンドル部のスライダガイドのガイド部の模式的斜視図であり、(B)は、このスライダガイドを展開した状態を模式的に示す図である。 図6に示すハンドル部の回転位置規制部材の模式的斜視図である。 (A)〜(P)は、図6に示すクリップ処置具のクリップ処置の作用を説明するための模式的斜視図である。 図6に示すクリップ処置具のクリップ処置の作用を説明するためのスライダガイドを展開した状態を模式的に示す図である。 (A)〜(P)は、図6に示すクリップ処置具のクリップ処置の作用を説明するための連発式クリップ処理具の先端部の模式的断面図である。
10、46、80 クリップ処置具
12 クリップ
14 連結リング
16 シース
18 ダミークリップ
20 操作ワイヤ
22 爪部
24 ターン部
26 交差部
28 腕部
30 凸部
32 第1領域
34 第2領域
38 スカート部
40 締付部
42、44 保持部
43 穴
43a 溝部
48 保持リング
50 フック
52 ハンドル本体
54 スライダ
56 スライダガイド
56a 接合部
56b 把持部
56c ガイド部
58 位置規制部材
60 付勢バネ
62 指掛けリング
66A、66B、66C、66D ガイド溝
68 係合溝
70 スライダピン
82 操作ハンドル
84 ハンドル部

Claims (8)

  1. シース先端部に装填されたクリップと、
    前記クリップの後端に接続される、長手方向に前記シースと相対的に移動可能な操作ワイヤと、
    前記クリップに嵌められ、前記シースに進退可能に嵌入された保持リングとを備えるクリップ処置具であって、
    前記保持リングが、
    前記シース内では、前記シースの内壁に押圧されて内側に閉じ、前記シースの先端通過直後に、前記シースの内径よりも広幅に開いて前記シース内への後退を阻止するスカート部を、前記シースと操作ワイヤとの相対移動方向に同じ位置であって、その周方向の2箇所以上に有する樹脂製の保持部と、
    前記保持部の先端側にあって、前記クリップの先端側に移動することで前記クリップに当接して前記クリップを締め付ける金属製の締付部とを有するクリップ処置具。
  2. 前後のクリップと係合した状態でシースの先端部に装填された複数のクリップと、
    前記シースに進退可能に嵌入され、前記クリップの係合部を覆って前記クリップの連結状態を維持する連結リングと、
    前記複数のクリップからなるクリップ列の最後尾の前記クリップに接続される、長手方向に前記シースと相対的に移動可能な操作ワイヤとを備える連発式のクリップ処置具であって、
    前記連結リングが、
    前記シース内では、前記シースの内壁に押圧されて内側に閉じ、前記シースの先端通過直後に、前記シースの内径よりも広幅に開いて前記シース内への後退を阻止するスカート部を、前記シースと操作ワイヤとの相対移動方向に同じ位置であって、その周方向の2箇所以上に有する樹脂製の保持部と、
    前記保持部の先端側にあって、前記クリップの先端側に移動することで前記クリップに当接してクリップを締め付ける金属製の締付部とを有するクリップ処置具。
  3. 前記連結リングのスカート部が、前記シース内で内側に閉じているときに、その連結リング内で連結される前記クリップの少なくとも一方を押圧して保持する請求項2に記載のクリップ処置具。
  4. 前記連結リングのスカート部が、前記連結リングの周方向に均等に配置される請求項2または3に記載のクリップ処置具。
  5. 前記複数のクリップは、90度ずつ交互に向きを変えて連結される請求項2〜4のいずれかに記載のクリップ処置具。
  6. 先頭の前記クリップは、前記操作ワイヤによって前記連結リングに対して牽引され、後続の前記クリップとの係合部が前記連結リングから抜け出ることで、前記後続のクリップとの連結が解除される請求項2〜5のいずれかに記載のクリップ処置具。
  7. 前記先頭のクリップが連結解除されてクリッピングに供された後、前記シースが次の前記クリップを突出させる位置まで引き下げられることで、次の前記クリップが使用可能な状態となる請求項2〜6のいずれかに記載のクリップ処置具。
  8. 前記先頭のクリップが連結解除されてクリッピングに供された後、前記操作ワイヤが次の前記クリップを突出させる位置まで押し出されることで、次の前記クリップが使用可能な状態となる請求項2〜6のいずれかに記載のクリップ処置具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022161173A1 (zh) * 2021-01-28 2022-08-04 江苏唯德康医疗科技有限公司 一种吻合夹取出套装以及一种吻合夹释放套装

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