JP2009240762A - 連発式クリップ処置具 - Google Patents

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Abstract

【課題】内視鏡から引き抜くことなく、連続でクリップによる処置を行なうことができる内視鏡用の連発式クリップ処置具において、1本の操作ワイヤでクリッピング等の操作を行なうことができ、しかも、クリップの向きを一致できるクリップ処置具を提供する。
【解決手段】クリップを、長尺な板を半分に折り返してなり、開放端と折り返し部との間に捻転部を設けることにより、クリップの腕部の開閉方向と、折り渇し部と捻転部との間が成す面とが交差するようにし、クリップの爪部を閉塞して、折り返し部に係合することでクリップを連結することにより、前記前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体内に挿入されて止血やマーキング等の処置を行なう、内視鏡用のクリップ処置具に関し、詳しくは、シースを引き抜くことなく、複数のクリップによる処置を連続して行なうことが可能な連発式のクリップ処置具に関する。
周知のように、内視鏡は、人体等の生体内に挿入されて、臓器の診断や治療、標本の採取等に使用される。
また、周知のように、内視鏡は、基本的に、人体に挿入される挿入部、挿入部の操作や送気送水などの内視鏡の操作を行なう操作部、送気源や吸引ポンプ等と接続されるコネクタ(LG(Light Guide)コネクタ)、および、コネクタと操作部および挿入部を接続するユニバーサルコード(LG軟性部)等から構成される。
このような内視鏡を用いる治療(処置)の1つとして、先端に爪部を有する2本の腕部によって生体組織をクリッピング(挟持)するクリップを用いた止血やマーキングの処理が有る。
クリップを用いる処置は、このクリップを収容するシース(導入管)を内視鏡の鉗子チャンネル(処置具挿通チャンネル)から体内に挿入して、例えば、クリップの腕部をシースから突出させることによって広げ、次いで、傷口や病変部をクリップの腕部先端の爪部でクリッピングすることによって行なう。
このようなクリップによる処置は、止血する傷口の大きさによっては、複数のクリップが必要である。
ところが、現在、実用化されている内視鏡用のクリップ処置具は、シースにクリップを1個しか装着することができない。そのため、複数のクリップによる処置が必要な場合には、クリップ処置具を処置部に体内に挿入してクリッピングを行なった後、クリップ処置具を内視鏡から引き抜き、シースにクリップを装着して(あるいは新しいクリップ処置具を用い)、クリップ処置具を、再度、内視鏡から体内に挿入してクリッピングを行なうことを、繰り返す必要がある。
このような不都合を解消するために、複数のクリップをシースに装填することができ、シースを引き抜くことなく、複数のクリップで連続的にクリッピングを行なうことができる、連発式のクリップ処置具が、各種、提案されている。
例えば、特許文献1には、シースと、シースに進退自在に挿通された複数の操作ワイヤと、複数のクリップとを有し、クリップをシース内に直列に収容すると共に、クリップと操作ワイヤとを個々に係合させた、連発式のクリップ処置具が開示されている。
しかしながら、このクリップ処置具では、クリップの数だけ操作ワイヤを有するため、最先端に位置するクリップに係合する操作ワイヤを探して、クリッピングを行なう必要があり、操作性が悪い。
しかも、基端側(操作手段側)に位置するクリップは、多数の操作ワイヤに干渉するため、円滑に動作しない可能性が高く、さらに、クリッピングを終了した操作ワイヤを抜き取るにしても、基端側のクリップに干渉した状態で抜き取りを行なう必要があるため、操作ワイヤを円滑に抜き取るのは、困難である。
これに対して、特許文献2には、シースと、シースの軸線方向に複数収納されるクリップと、クリップの操作ワイヤとを有する連発式のクリップ処置具において、クリップの基端部に、クリップの開閉方向と平行で、かつ、先端爪部が係合可能な連結孔を有する開口面を設け、シース内に、クリップを90°ずつ交互に向きを代えて配列して、クリップの先端爪部と連結孔とを係合して複数のクリップを直接連結してなる、連発式のクリップ処置具が開示されている。
特開2002−272751号公報 特開2006−187391号公報
特許文献2に開示される連発式のクリップ処置具によれば、隣り合わせるクリップにおいて、先端側のクリップの開口部に、基端側の爪部を係合することで、複数のクリップを連結するので、1本の操作ワイヤによる操作で、全てのクリップを牽引して、クリッピングを行なうことが可能である。
しかしながら、このクリップ処置具では、クリップ1個毎に、爪部(腕部)の開閉方向が、90°異なる。
そのため、処置を行なう医師は、1回のクリッピングを行なう毎に、クリップの開閉方向を前のクリップに合わせるために、内視鏡から体内に挿入したクリップ処置具のシースを90°回す必要がある。処置を行なう部位によっては、クリップ処置具のシースは2mを超える場合もあり、このシースを回す操作は、処置を行なう医師にとって、負担の大きいものとなる。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、内視鏡からシースを抜き取ることなく、複数のクリップによるクリッピングの処置を連続的に行なうことができる、内視鏡用の連発式クリップ処置具において、複数のクリップをクリップ同士で連結することにより、1本の操作ワイヤによる操作でクリッピングを行なうことができ、しかも、1回のクリッピングを行なう毎に、シースを回す必要も無い連発式クリップ処置具を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、長尺な板状物を折り返してなる形状を有する、2本の腕部、および、この腕部の開放端に形成される互いに対向する方向に折り曲げられた爪部を有する、複数のクリップと、前記クリップが挿通可能で、前記クリップを爪部が閉塞した状態で保持する筒状の連結リングとを有し、前記クリップは、前記爪部と折り返し部との間に捻転部を有し、この捻転部よりも開放端側を前記腕部とし、かつ、この捻転部が、自身と折り返し部との間の領域が成す面が、前記爪部の開閉方向と交差するように、前記クリップを捻転するものであり、1つの前記クリップの折り返し部側の少なくとも一部と、他の前記クリップの腕部の開放端側の少なくとも一部とを、1つの前記連結リングに挿入して、前記連結リングによって前記他のクリップの爪部を閉塞した状態で、前記1つのクリップの折り返し部に前記他のクリップの爪部を掛けることにより、前記複数のクリップを連結したことを特徴とする連発式クリップ処置具を提供する。
このような本発明の連発式クリップ処置具において、前記捻転部は、前記クリップを90°捻転するものであるのが好ましく、また、前記連結リングの貫通穴が矩形であり、前記クリップは、少なくとも一部が、前記貫通穴によって対角線方向に支持されるのが好ましく、さらに、前記連結リングと、前記腕部を閉塞してクリッピングを行なうための締付けリングとが、一体化されているのが好ましい。
本発明の連発式クリップ処置具は、内視鏡から抜き取ることなく、複数のクリップによるクリッピングを連続して行なうことが可能な連発式のクリップ処置具であって、長尺な板状物を折り返してなる形状を有するクリップを用い、基端側(操作部側)のクリップの爪部を、先端部側のクリップの折り返し部に掛けることで、複数のクリップを連結する。
本発明は、このような連発式クリップ処置具において、クリップが、爪部と折り返し部との間の捻転部で捻られた形状を有するので、連結される複数のクリップの爪部の開閉方向を、一方向にできる。例えば、捻転部が、90°クリップを捻転する構成であれば、爪部の開閉方向と、折り返し部近傍のクリップの略U字形(略V字形)が成す面とが、直交する。従って、腕部の開閉方向を一致させてクリップを配列すれば、この略U字の部分にクリップの爪部を掛けて閉塞することで、複数のクリップを連結することができる。
従って、本発明の連発式クリップ処置具によれば、複数のクリップを連結してなることによって、1本の操作ワイヤでのクリッピングの操作が可能であり、しかも、1回のクリッピングを行なう毎に、クリップの開閉方向を前のクリップに合わせるために、クリップ処置具のシースを回転する必要が無く、内視鏡およびクリップ処置具を扱う医師の負担を、大幅に低減できる。
以下、本発明の連発式クリップ処置具について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の連発式クリップ処置具の第1実施形態の模式図を示す。
なお、図1は、連発式クリップ処置具10(以下、クリップ処置具10とする)を長手方向(後述するシース16の軸線方向(長手方向))に切断した断面図であって、(A)は、後述する爪部22(腕部28)の開閉方向の断面であり、(B)は、この爪部22の開閉方向と直交する方向で、かつ、後述するスカート部38が開く方向の断面である。
図1に示すように、クリップ処置具10は、クリップ12と、連結リング14と、シース16と、ダミークリップ18と、操作ワイヤ20とを有して構成される。また、図示は省略するが、クリップ処置具10は、クリッピング(クリップ12による生体組織の挟持(把持))等の操作を行なうためのクリップ操作部も有する。
なお、クリップ処置具10の各部位(特に、体内への挿入部位)は、その作用に応じて、生体適合性を有する金属や樹脂材料等、公知の内視鏡用の処置具で使用されている各種の材料で形成すればよい。
図示例のクリップ処置具10は、4つのクリップ12(12A〜12D)と、4つの連結リング14(14A〜14D)とを有する。
連結リング14は、クリップ12を連結すると共に、クリッピングのためにクリップ12の爪部22を閉塞する締付けリングとしても作用するものである。4つのクリップ12および連結リング14との組み合わせは、チューブ状(長尺な円筒状)のシース16に、長手方向(軸線方向)に配列されて収容される。
クリップ12および連結リング14は、長尺なシース16の一方の端部に収容される。また、シース16のクリップ収容側と逆端側には、前記クリップ操作部が設けられる。以下、クリップ12を収容する側を先端、逆側のクリップ操作部側を基端とする。
クリップ12は、先端側から、クリップ12A、クリップ12B、クリップ12C,およびクリップ12Dの順で配列され、先端最も基端側のクリップ12Dには、ダミークリップ18が係合している。また、このダミークリップ18の基端側には、操作ワイヤ20が固定されている。操作ワイヤ20はシース16の基端部まで延びて、クリップ操作部に接続される。
後に詳述するが、クリップ処置具10においては、クリップ操作部を操作することで、操作ワイヤ20を所定の長さだけ基端部側に牽引し、ダミークリップ18を同方向に所定長さ移動させる。
これにより、一連のクリップ12が同量だけ移動し、先端に位置するクリップ12が、生体組織をクリッピングする。また、先端のクリップ12によるクリッピングが完了した後、シース16をクリップ操作部側へ所定の長さだけ引くことで、次のクリップ12によるクリッピングの準備が完了する。
従って、図示例のクリップ処置具10は、シース16を内視鏡(鉗子チャンネル(処置具挿入チャンネル))から体内に挿入したら、シース16を内視鏡から引き抜くことなく、続けて4回(4連発)のクリッピングを行なうことができる。
なお、図1(A)および(B)は、最先端(先頭)のクリップ12(クリップ12A)がシース16の先端から突出した状態の図としてあるが、クリップ12をシース16へ装填するときは、後述する図5(A)に示すように、先頭のクリップ12Aがシース16の内部に完全に納まった状態とされる。
また、図1に示す例は、クリップ12を4個装填可能な、4連発式のクリップ処置具であるが、本発明の連発式クリップ処置具において、クリップ12の数は4個に限定はされず、2〜3個でも、5個以上であってもよい。
図2にクリップ12の概念図を示す。なお、図2において、(A)は図1(A)と同方向にクリップ12を見た図であり、(B)は図1(B)と同方向にクリップ12を見た図である。
図示例のクリップ処置具10において、クリップ12は、バネ性を有する長尺な1枚の板材を半分に折り曲げた状態とし、折り返し部24と逆側の開放端側に、両端部が対向するように屈曲させた爪部22および22を形成してなる。
図示例のクリップ12は、1枚の板材を中心付近の2個所で同方向に曲げることで、長尺な1枚の板材を半分に折り返した形状を有する。従って、クリップ12の折り返し部24(その近傍の板材が成す形状)は、略U字状の形状となる。なお、本発明は、これに限定はされず、折り返し部24は、略V字状であっても、半円形であっても、楕円形であってもよい。
クリップ12は、このように長尺な板材を半分(略半分)に折り返した上で、図2に示すように、爪部22と折り返し部24との間に、適宜、設定された捻転部26において、この折り返した板材を90°捻転してなる形状を有する。クリップ12においては、この捻転部26よりも先端側(爪部22側)の領域が、生体組織を爪部22でクリッピングするための腕部28および28となる。
すなわち、図示例のクリップ12は、折り返し部24の略U字状の領域が成す面が、爪部22(腕部28)の開閉方向に対して直交すなわち90°となるように、半分に折り返した長尺な板材を捻転部26において90°捻った形状を有する。言い換えれば、クリップ12は、半分に折り返した状態の長尺な板材を、折り返し方向を面とする一枚の板とみなし、この板を、捻転部26で捻じることにより、捻転部26を境とする先端側の面と基端側の面とが、90°の角度を成すように(両面が90°で直交するように)、捻転部26で捻ってなる形状を有する。
図示例のクリップ処置具10は、4つのクリップを有し、先端側から、クリップ12A、クリップ12B、クリップ12C,およびクリップ12Dの順で配列される。
後に詳述するが、本発明のクリップ処置具10は、隣り合わせる2つのクリップ12において、先端側のクリップ12の折り返し部24に、基端側のクリップ12の爪部22を閉塞した状態で係合し、先端側のクリップ12の折り返し部24から捻転部26までの領域、および、基端側のクリップ12の腕部28を、1個の連結リング14に収容することにより、爪部22の閉塞状態を保って、4つのクリップ12を連結した状態で、シース16に収容する。
従って、捻転部26で90°捻転してなるクリップ12では、特許文献2に開示されるクリップ処置具のように、クリップ12を90°ずつ交互に向きを代えて配列しなくても、全てのクリップ12の向きすなわち爪部22の開閉方向を一致して配列した状態で、クリップ12を連結することが出来る。
そのため、クリップ12同士を連結することにより、1本の操作ワイヤ20によるクリッピングを可能にした連発式のクリップ処置具において、一回のクリッピング毎にシース16を回転して、クリップ12の腕部28の開閉方向を調整する必要がない。また、1本の操作ワイヤ20で、全てのクリップ12を操作できるので、操作ワイヤの選択の必要がなく、また、円滑な操作が可能である。従って、本発明によれば、クリップ処置具10による処置(診療)を行なう医師の負担を、大幅に減らすことができる。
本発明のクリップ処置部10において、捻転部26における捻り角(捻転の回転角)、すなわち、爪部22の開閉方向と、折り返し部24が成す面(折り返し部24の略U字が成す面)とが成す角度は、図示例の90°に限定はされず、捻転部26における捻り角は、折り返し部24が成す面と、腕部28の開閉方向とが交差する角度であればよい。
すなわち、本発明においては、クリップ12において、折り返し部24が成す面(その空間)を、爪部22の開閉方向が通過できるように、捻転部26で捻転すればよい。このような構成とすることにより、上述のように、全てのクリップ12の向きを一致させて、クリップ同士を連結してシース16に収容することが可能となる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、クリップ12の連結を容易、かつ、確実に行い、連結状態をより確実に維持できる等の点で、捻転部26における捻り角は、45°〜90°とするのが好ましく、特に、90°(略90°)とするのが好ましい。
図1に示すように、4つのクリップ12は、先端側から、クリップ12A、クリップ12B、クリップ12C、および、クリップ12Dの順番で、シース16内に配列される。なお、以下、便宜的に、隣り合わせる2個のクリップ12において、先端側を先のクリップ、基端側を次のクリップとも言う。
クリップ12は、捻転部26から折り返し部24までの間(以下、この領域を、便宜的に、基端側領域とする)を連結リング14に収容した状態で、シース16に収容/配列される。また、次のクリップ12は、腕部28の先端側の一部を、先のクリップ12の基端側領域が収容された連結リング14に収容した状態で配列される。この腕部28の先端を連結リング14に収容した状態では、クリップ12は、爪部22を閉じた状態(爪部22がかみ合った状態)となっている。
各クリップ12は、先のクリップ12と向き(爪部22の開閉方向)を一致して、先のクリップ12の折り返し部24(基端側領域)に、次のクリップ12の爪部22が閉じた状態で係合することにより、連結状態とされる。言い換えれば、各クリップ12は、向きを一致して、先のクリップ12の折り返し部24に、次のクリップ12の爪部22を閉塞することで形成した腕部28のリングを通すことにより、連結状態とされる。
すなわち、図1(A)に示すように、クリップ12Bのクリップ12Bの爪部22が、クリップ12Aの折り返し部24に係合して、連結リング14Aによって閉じた状態で保持されることにより、クリップ12Aとクリップ12Bは、向きを一致して連結状態とされる。以下、同様に、クリップ12Bには、クリップ12Cが、クリップ12Cにはクリップ12Dが、それぞれ、向きを一致して、先のクリップ12の折り返し部24に、次のクリップ12の爪部22を閉じた状態で、連結リング連結14によってされる。
なお、本発明において、爪部22は、連結リング14内において完全に閉じた状態(かみ合った状態)で保持されるのが好ましいが、これに限定はされず、折り返し部24に係合して、この係合が外れなければ、若干、2つの爪部22間に間隙を有した状態で閉塞するものであってもよい。
連結リング14は、2つのクリップ12の係合部(折り返し部24と腕部28)を覆って前述の連結状態を維持しつつ、シース16に進退可能に挿入される。すなわち、連結リング14は、外径がシース16の内径とほぼ等しく、クリップ12の移動に伴ってシース16内をスムーズに進退移動可能に構成される。
図3(A)および(B)に、連結リング14を示す。なお、図3において、(A)は正面図、(B)は断面図である。
連結リング14は、締付部40と保持部42とから成る、筒状のものである。
連結リング14は、樹脂製の保持部42の先端に、金属製の締付部40を固定して、一体構造とされており、保持部42が2つのクリップ12の連結状態の維持およびクリップ12の連結リング14内での保持を担当し、金属製の締付部40がクリップ12の締め付けを担当する。
締付部40は、連結リング14の先端側に取り付けられた矩形(軸線と直交方向が矩形すなわち四角柱状)の貫通穴を有する外観が円筒状の部材である。締付部40の貫通穴は、後述する保持部42の貫通穴44よりも、爪部22の開閉方向は若干大きく、この方向と直交する方向は同じ幅の矩形である。
締付部40は、クリップ12の捻転部26から先端側へ移動することで、クリップ12の腕部28(爪部22)を閉塞して固定する、締め付け機能(いわゆる締付けリングとして機能)を発現するものである。
保持部42は、外観は略円柱状で、矩形(軸線と直交方向が矩形すなわち四角柱状)の貫通穴44を有する、筒状の部材である。この貫通穴44および締付部の貫通穴に、前述のようにクリップ12が挿通される。
保持部42は、先のクリップ12の基端側領域(捻転部26〜折り返し部24までの領域)を保持する第1領域32と、次のクリップ12の腕部28の先端部を保持する第2領域34とを有している。
保持部42において、矩形の貫通穴44は、第1領域32においては、クリップ12の基端側領域を収容可能が可能で、かつ、第2領域34においては、クリップ12の腕部28を、爪部22が閉じた状態で収容可能な矩形の穴である。捻転部26が復元する力を有しているので、貫通穴44を矩形とし、この矩形の貫通穴44の対角線上に保持する。
ここで、図示例のクリップ処置具10においては、クリップ12の捻転部26において、折り返された2枚の板の離間方向(腕部28の下部における板の離間方向)が、貫通穴44の対角線方向と一致するように、クリップ12が保持部42(連結リング14)の貫通穴44に収容される。
図4に、図示例のクリップ処置具10を軸線方向に見た際の概念図を示す。なお、図4は、保持部42の貫通穴44のみを示しているが、前記締付部40の矩形の貫通穴も、全く同様である。
前述のように、クリップ12は、捻転部26において、腕部28の開閉方向と基端側領域が成す面とが90°となるように捻転されている。従って、クリップ12の先端部では、図4(A)に示されるように、腕部28の離間方向が貫通穴44の2辺と平行で2辺と直交した状態となる。クリップ12の捻転部26では、図4(B)に示すように、捻転部26(連結リング14へのクリップ12の挿通方向に見た平面形状の長手方向)が貫通穴44の対角線に一致するようにされる。さらに、クリップ12の折り返し部24と爪部22との係合部では、爪部22は開閉方向を図4(A)と同方向にして閉塞した状態で、折り返し部24は爪部22の開閉方向と直交して、共に、矩形の貫通穴44の辺と平行にされる。
図示例のクリップ処置具10においては、好ましい態様として、クリップ12の爪部22を閉塞した状態で、先のクリップの先端側領域と、次のクリップの腕部28を保持する連結リング14のクリップ12を挿通する貫通穴44(あるいはさらに、締付部40の貫通穴)を矩形とし、さらに、クリップ12の少なくとも一部を、この矩形の貫通穴44で対角線上に保持する。図示例のクリップ処置具10においては、前記締付部40の矩形の貫通穴の対角線方向にクリップ12の捻転部26を保持している。
これにより、クリップ12が、連結リング14内で回転することを防止し、全てのクリップ12の向きを、好適に一致させることができる。
本発明のクリップ処置具10においては、捻転部26を矩形の貫通穴44の対角線に一致させて、連結リング14にクリップ12を挿通するのに限定はされず、例えば、腕部28の離間方向(すなわち、折り返し部24=基端側領域が成す面)を、矩形の貫通穴44の対角線に一致させて、連結リング14にクリップ12を挿通してもよい。
第1領域32の先端部の外面には、締付部40が係合するための段付き部が形成されており、締付部40と保持部42とは、クリッピングの操作時に外れない強さで嵌合されている。
また、第1領域32は、略円筒状の保持部42の軸線(中心線)に対してスカート状に傾斜して広がるスカート部38を有している。
スカート部38は、先端側(図3の上方)の付け根が保持部42の本体につながっており、下方の広がり部分が、本体から一部切り離されて、半径方向に広がったり閉じたりするようになっている。
また、スカート部38は、保持部42の軸線方向(すなわち、操作ワイヤ20によるクリップ12の牽引方向)の同じ位置に、180°離れた2箇所に形成されている。
スカート部38は、外力が無い状態では、図3(A)に示すように、スカート状に広がる。このとき、保持部42の第1領域32の内部は、図3(B)に示すように、円柱状の空間となっている。
一方、クリップ12すなわち連結リング14がシース16内へ装填されるときは、例えば、図1(A)の2つ目のクリップ12Bの連結リング14Bに示すように、スカート部38が内側に押し込まれて、内部空間へ入り込む。これにより、スカート部38の内周部が第1領域32に保持されるクリップ12Bの折り返し部24を押圧して、クリップ12Bが連結リング14B内で回転および進退方向に移動しないように保持する。
また、スカート部38は、図1(B)の1つ目のクリップ12の連結リング14Aに示すように、シース16の先端から抜け出ると同時に開き、クリップ12Aの保持を解除すると共に、シース16の内径よりも広幅となって、連結リング14Aのシース16内への後退を阻止する。
この状態で操作ワイヤ20が引かれ、クリップ12が後退することで、連結リング14がクリップ12に対して相対的に前進し、締付部40がクリップ12Aを締め付け、クリッピングが行なわれる。
2つのクリップ12において、先のクリップ12の折り返し部24と、次のクリップ12の爪部22との係合部は、第2領域34内であって、かつ、第2領域34と第1領域32との境目の近傍に位置される。
一例として、クリップ12Bとクリップ12Cを例示すれば、先のクリップ12Bは、シース16の内部においては、折り返し部24が第1領域32の閉じたスカート部38によって保持されているので、進退および回転が抑えられている。また、このクリップ12Bの次のクリップ12Cは、第2領域34の矩形穴43によって先のクリップと90°回転した方向に保持されて、回転および進退が抑えられた先のクリップ12Bに係合することにより、進退が抑えられている。
図1に示すように、クリップ12Aの折り返し部24にクリップ12Bの爪部22が係合し、その係合部を連結リング14Aが保持する。連結リング14A(第2領域34)の内壁によって、クリップ12Bの爪部22は閉じた状態に保持されている。それにより、クリップ12Aとクリップ12Bの連結状態が維持される。
以下、同様に、クリップ12Bとクリップ12Cとの連結は連結リング14Bによって、クリップ12Cとクリップ12Dとの連結は連結リング14Cによって、クリップ12Dとダミークリップ18との連結は連結リング14Dによって、それぞれ維持される。
前述のように、最も基端側(最後尾)のクリップ12Dには、クリッピングには使用されないダミークリップ18が係合している。また、前述のようにダミークリップ18の根元には、操作ワイヤ20が固定的に接続されている。
ダミークリップ18は、クリップ12の捻転部26よりも開放端側の領域と類似する形状を有しており、爪部22を閉じた状態でクリップ12Dの折り返し部24に係合し、爪部22が開くとクリップ12Dを開放する。
シース(導入管)16は、例えば、金属ワイヤを密着巻きしたコイルシースである。
シース16の内径は、先のクリップ12の折り返し部24と、次のクリップ12の爪部22との係合が解除される寸法とされている。すなわち、シース16の内径は、2つの爪部22の長さと、折り返し部24の爪部22が係合する部分の幅とを足し合わせた長さよりも大きい。
以下に、クリップ処置具10によるクリッピング(クリップ処置具10の作用)について、図5を参照して説明することにより、本発明を、より詳細に説明する。
図5(A)〜(E)は、クリップ処置具10のクリッピング操作における段階的な状態を示す模式的に示す断面図である。
まず、図5(A)に示すように、クリップ処置具10のシース16に、クリップ12および連結リング14が装填される。
シース16へのクリップ12の装填は、例えば、予め前述のようにクリップ12と連結リング14とを係合して、4つのクリップ12A〜12D、および、ダミークリップ18を連結させておき、ダミークリップ18をシース16の先端から突出させた操作ワイヤ20の先端に取り付け、その後、シース16を操作ワイヤ20に対して相対的に前進させて、先頭のクリップ12Aを完全にシース16内に収容することで行う。
なお、この際においては、前述のように、クリップ12は、全てのクリップ12において、連結リング14(保持部42)の貫通穴44の対角線と捻転部26とが一致するようにし、かつ、爪部22の開閉方向向を一致した状態で、連結リング14によってクリップ12を連結して、シース16に収容する。
クリップ処置具10においては、クリップ12が、90°捻転する捻転部26を有し、腕部28の開閉方向と、基端側領域が成す面とが直交するので、全てのクリップ12の開閉方向を、容易に一致して、確実に連結することができる。
クリップ12の装填等、クリップ処置具10による処置の準備が数量したら、シース16が、内視鏡の鉗子口から鉗子チャンネルに挿入される。
シース16の先端が、生体内に挿入された内視鏡の先端部64まで到達し、体内に突出する。図示例においては、最初は、図5(A)に示すように、先頭のクリップ12Aの先端と、シース16の先端とが一致しているが、シース16が所定の1ストローク分引っ張られると、先頭のクリップ12Aに対して、シース16の先端が、連結リング14Aのスカート部38が開く位置まで下がり、シース16から突出したクリップ12Aの腕部28が広がって、図5(B)に示す状態となる。これにより、1発目のクリップ12Aが使用可能な状態となる。
なお、図5(B)では、連結リング14Aのスカート部38は紙面垂直方向にあるため、図に表れていない。
また、クリップ12Aとクリップ12Bの結合部は、連結リング14Aのスカート部38の直下に位置しているため、図5(B)の状態のとき、クリップ12Bの先端が、シース16の先端にほぼ一致している。すなわち、シース16を引く1ストローク分の長さは、シース16に装填されたクリップ12Aの先端から、クリップ12Bの先端までの距離に等しい。
次に、クリップ処置具10や内視鏡を操作して、クリップ12Aの爪部22を、クリッピングしたい部位に押し付けて、クリップ操作手段を操作して、操作ワイヤ20を所定量、引っ張る。
操作ワイヤ20を引くことで、ダミークリップ18から順に係合している全クリップ12A〜12D(クリップ列(=4つのクリップ12およびダミークリップ18を、連結リング18で連結してなる列))が、一様に引っ張られる。
このとき、図5(B)および図5(C)の状態では、シース16の先端から突出する連結リング14Aは、スカート部38が開いており、クリップ12Aの連結リング14Aによる保持が解除されている。そのため、操作ワイヤ20の牽引により、図5(C)に示すように、先頭のクリップ12Aにおいては、クリップ12Aのみが連結リング14Aに対して後退する。
この後退によって、クリップ12Aが、連結リング14Aの先端すなわち締付部40に押し込まれる。これにより、連結リング14Aによってクリップ12Aの腕部28が閉じられ、爪部22が目的とする生体組織を挟持して、クリッピングが行なわれる。
また、このクリップ12Aの後退によって、同時に、クリップ12Aと次のクリップ12Bとの係合部が、連結リング14Aの後端から抜け出る。シース16の内径は、2つの爪部22の長さと、折り返し部24の係合部の幅を足し合わせた長さよりも大きいので、クリップ12Aとクリップ12Bの係合部が連結リング14Aから外れると、クリップ12Bのバネ力によって腕部28がシース16の内壁に当たるまで拡開し、爪部22の間がクリップ12Aの折り返し部24の幅よりも広く開いて、クリップ12Aとクリップ12Bとの連結が解除される。
それにより、先頭のクリップ12Aは離脱可能となり、クリップ12Aによるクリッピングが完了する。
なお、後続のクリップ12B〜12Dは、前述のように、シース16内の連結リング14によって連結されている。
従って、先頭のクリップ12A以外のクリップ12(クリップ12と連結リング14)は、シース16に対して一体的に進退移動する。
クリップ操作手段は、操作ワイヤ20を、常に、一定量だけ引くように構成され、また、操作ワイヤ20を一定量引いた後、操作力が解放された時点で、すぐにその一定量だけ戻るように構成される。
従って、図5(B)の状態から図5(C)の状態まで引っ張った操作ワイヤ20は、クリップ操作部において操作力を解放すると、元の位置に戻り、図5(D)の状態となる。すなわち、2発目のクリップ12Bの先端が、図5(A)のときと同様の、シース16の先端にほぼ一致する位置となる。
次に、2発目のクリップ12Bを使用可能な状態とするために、シース16が所定の1ストローク分引っ張られる。それにより、シース16の先端が、次の連結リング14Bのスカート部38が開く位置まで下がり、シース16から突出したクリップ12Bの腕部28が広がって、図5(E)の状態となる。
ここで、クリップ12Bの腕部28の開腕方向は、最初のクリップ12Aと一致している。従って、クリッピングの処置を行なう医師は、シース16を回して、クリップ12Bの開閉方向を調整する必要が無い。
以下、同様に、クリッピングしたい部位にクリップ12Bの爪部22を押し付けて、操作ワイヤ20を所定量引っ張りクリッピングを行ない、シース16を引くこと、すなわち、図7(B)〜図7(E)に示す動作を繰り返し行なう。図示例のクリップ処置具10では、4個のクリップ12が装填されているので、シース16を内視鏡50から引き抜くことなく、4回のクリッピングを、連続で行なうことができる。
また、全てのクリップ12は開腕方向が、最初のクリップ12Aと一致している。従って、クリッピングの処置を行なう医師は、クリッピングを行なう毎に、シース16を回して、クリップ12Bの開閉方向を調整する必要が無い。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
前記第1実施形態は、シース16を操作部側に引っ張ることにより、次のクリップ12が使用可能な状態(スタンバイ状態)にするものであるが、本形態では、操作ワイヤ20を先端側に押し出すことにより、次のクリップ12が使用可能な状態とするものである。
図6に、本実施形態の連発式クリップ処置具の模式的斜視図を示す。なお、図6に示す連発式クリップ処置具80は、クリップ12、連結リング14、シース16、操作ワイヤ20など、図1に示す連発式クリップ処置具10と同じ部材を、多数、使用しているので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行なう。
この連発式クリップ処置具80は、操作ハンドル82に固定されたシース16の先端部に、複数のクリップ12を連結リング14で連結してなるクリップ列を収容して(図7等参照)、構成される。
図7に、シース16の先端部の模式的断面図を示す。なお、図7において、(A)はクリップ12の腕部28の開閉方向から見た図であり、(B)は、シース16の周方向に90°異なる方向(腕部28の開閉方向と直交方向)から見た図である。
図7に示すように、クリップ処置具80は、3つのクリップ12(12A、12Bおよび12C)が連結されて、進退可能にシース16に収容されている。すなわち、図示例のクリップ処置具80は、シースを引き抜くことなく、3回のクリッピングを連続で行なうことが可能な、3連発のクリップ処置具である。
なお、本形態のクリップ処置具も、図示例のような3連発のクリップ処置に限定はされず、2個のクリップを装填可能であってもよく、あるいは、4個以上のクリップを装填可能であってもよいのは、先の例と同様である。
前述の図1に示すクリップ処置10と同様、各クリップ12は、連結リング14(14A、14B、14C)によって連結されている。また、最も後(基端側)のクリップ12Cには、操作ワイヤ20に係合されるダミークリップ18が連結される。
後に詳述するが、操作ワイヤ20は、シース16内を挿通されて、後述する操作ハンドル82のハンドル部84に挿通され、クリッピングの準備およびクリッピングの操作を行なうスライダ54に連結される。クリップ処置具80においては、このスライダ54の操作により、シース16内において、操作ワイヤ20を進退(押し出しおよび牽引、すなわち、シース16の長手方向に移動)、シース16の先端部に連結して収容された全クリップ12A〜12C(クリップ列)を進退させることで、クリッピングの操作を行なう。
ここで、前述の図1に示すクリップ処置具10では、ダミークリップ18は、直接的に操作ワイヤ20に接続されていた。
これに対し、図7および図8に示すクリップ処置具80では、操作ワイヤ20の先端に接続部材21が固定され、また、ダミークリップ18の後端に接続部材21が嵌入可能な孔部19aが形成された連結部材19が固定されており、連結部材19の孔部19aに接続部材21を嵌入(両者を係合)することにより、ダミークリップ18と操作ワイヤ20とが接続される。
前述のように、クリップ処置具80は、操作ハンドル82と、操作ハンドル82(シース16)の先端部に収容されるクリップ列とから構成される。
また、操作ハンドル82は、シース16、操作ワイヤ20、操作ワイヤ20の先端の接続部材21、および、ハンドル部84を有して構成される。
図8に、操作ハンドル82のハンドル部84の模式的断面図を示す。
図8に示すように、操作ハンドル82のハンドル部84は、ハンドル本体52と、スライダ54と、スライダガイド56と、回転位置規制部材58と、付勢バネ60と、指掛け部材62とを有する。
図9に、ハンドル部84(ハンドル本体52)からスライダガイド56を取り外した際の模式的斜視図を示す。
図8および図9に示すように、ハンドル本体52は、外径の異なる3つの円筒部を有する段差付きの円筒状の部材で、基端側から、大径部52a、中径部52bおよび小径部52cの順番で形成される。
ハンドル本体52には、大径部52a、中径部52bおよび小径部52cを貫通して、同じ径の貫通穴52dが形成されており、大径部52aの基端側の端部には、貫通穴52dに固定的に嵌入して、指掛け部材62が固定される。指掛け部材62は、後述するスライダ54を操作する際に、医師が親指を掛けるためのもので、リング状の部分を有する。
ハンドル本体52の中径部52bには、ハンドル本体52を形成する円筒(=貫通穴52d)の中心軸方向に延在して、長穴な貫通穴である係合溝68が形成されている。また、中径部52bには、後述する略円筒状のスライダガイド56が回転自在に挿通される。
なお、以下の説明では、ハンドル本体52を形成する円筒の中心軸方向を「軸方向」、この軸方向を中心とする円周方向を「周方向」とも言う。
ハンドル本体52において、最も先端側の小径部52cの先端には、ハンドル本体52の貫通穴52dと連通するように、シース16が固定される。操作ワイヤ20は、シース16内を挿通されて、シース16の基端部から突出して、ハンドル本体52の小径部52cおよび中径部52bを挿通され、スライダ54に接続される。
従って、このクリップ処置具80では、前述の図1に示すクリップ処置具10のように、シース16を引き戻す(進退する)ことは無い。
スライダ54は、ハンドル本体52(および後述するスライダガイド56)を挿通するように、ハンドル本体52の外周に配置される、ハンドル本体52(同前)の軸方向に移動可能な略円筒状の部材である。
図示例において、スライダ54は、円筒の基端側端部と軸方向の途中との2個所に、外方向に突出する円盤状のフランジ部を有し、クリップ処置具80を用いた処置を行なう医師が指を掛けて、スライダ54を軸方向に動かし易いようになっている。一例として、医師は、前記指掛け部材62のリングに親指を入れ、フランジ部の間で人指し指および中指でスライダ54を挟むようにして、スライダ54を軸方向に移動する。
また、スライダ54は、ハンドル本体52の中心軸に向かって突出するように取り付けられたスライダピン70を有する。スライダピン70は、係合溝68を貫通して、ハンドル本体52の貫通穴52dの中心線に至る。このスライダピンの下端部近傍(貫通穴52dの中心線側)には、ハンドル本体52の小径部52cおよび中径部52bに挿通される操作ワイヤ20が固定されている。
前述のように、スライダ54はハンドル本体52の軸方向に移動可能であり、スライダ54を移動することにより、シース16に挿通される操作ワイヤ20を進退(先端側および基端側に移動)することができる。クリップ処置具80においては、このスライダ54による操作ワイヤ20の進退により、前述のように、シース16の先端部のクリップ列を進退させて、次のクリップ12を使用可能な状態(クリッピング準備状態)とし、また、クリッピングを行なう。
クリップ処置具80においては、係合溝68の基端側端部と、スライダピン70とが当接する位置が、スライダ54のホームポジション(HP)となっている。このHPから所定量だけスライダ54を先端側に移動することで、操作ワイヤ20を先端側に送り出して(進行して)、クリッピングの準備状態とし、この準備状態からスライダ54をHP側に戻すことで、操作ワイヤ20を引き戻して(後退して)、クリッピングおよび前のクリップ12と次のクリップ12との連結解除を行なう。
また、クリップ列をシース16に装填する際にも、スライダ54を所定量だけ先端側に移動した状態で、ダミークリップ18と操作ワイヤ20とを連結し、スライダ54をHPに移動することで、シース16にクリップ列を装填する。
この点については、後に詳述する。
図10(A)に、スライダガイド56の模式的斜視図を示す。
スライダガイド56は、スライダ54の軸方向への移動量すなわち操作ワイヤ20のシース16長手方向の進退量を規制する部材で、図8および図10(A)に示すように、ハンドル本体52を挿通する略円筒状の部材である。
このスライダガイド56は、ハンドル本体52の外周面上に、周方向に回転可能かつ軸方向に移動可能に軸支される。
スライダガイド56は、接合部56aと、把持部56bと、ガイド部56cとから構成される。
接合部56a、把持部56b、およびガイド部56cは、いずれも略筒状の部位であり、先端側から基端側に向かって、接合部56a、把持部56b、およびガイド部56cの順番で、1本の筒を構成するように一体的に形成される。
接合部56aは、ハンドル本体52の小径部52cの外径と略同一の内径を有する、略円筒状の部位で、凸状の先端部が、後述する、スライダガイド56の回転位置を規制するための回転位置規制部材58に形成される接合部58aに挿入される。
この接合部56aには、鋸歯状に、4つの凸部57aと、凸部57aの間の4つの凹部57bが形成される。この凸部57aおよび凹部57bは、回転位置規制部材58の接合部58aに形成される凸部59aおよび凹部59bと係合する。この点に関しては、後に詳述する。
把持部56bは、後述するように医師がクリッピングを行なうためにスライダガイド56を回転する際に、把持するための部位である。
ガイド部56cは、前述のハンドル本体52の中径部52bの外径と略同一の内径、ならびに、スライダ54の内径およびハンドル本体52の大径部52aの外径と略同一の外径を有する、略円筒状の部位である。
従って、スライダ54は、ハンドル本体52の大径部52aおよびガイド部56cの外周に案内されて、軸方向に移動する。
図10(B)に、ガイド部56cの展開図を示す。
ガイド部56cには、スライダ54(スライダピン70)を案内するためのガイド溝66A〜66Dが、軸方向に延在して形成される。すなわち、前述のように、図示例のクリップ処置具80は、3個のクリップ12を装填して、体内からシース16を抜くことなく3回のクリッピングを行なうことができる処置具である。これに対応して、ガイド部56cは、4本のガイド溝が形成される。
一例として、ガイド溝66Aはクリップ列の装填時に、ガイド溝66Bは1回目のクリッピングに、ガイド溝66Cは2回目のクリッピングに、ガイド溝66Dは3回目のクリッピングに、それぞれ、対応し、周方向に90°間隔で形成される。
なお、本発明において、装填(連発)可能なクリップの数は3個に限定されないのは前述のとおりである。従って、スライダガイド56のガイド部56cには、クリップ処置具(操作ハンドル)に装填可能なクリップ12の数nに応じて、これにクリップ列装填用の1を加えた「n+1個」のガイド溝66が形成される。
このガイド溝66A〜66Dは、前記ハンドル本体12の係合溝68と共にスライダ54(スライダピン70)の移動を案内すると共に、スライダ54の移動量を規制する。
前述のように、図示例のクリップ処置具80では、HPから軸方向にスライダ54を往復させることにより、クリッピングの操作、および、シース16へのクリップ列(3つのクリップ12およびダミークリップ18を、連結リング14で連結してなる列)の装填を行なう。また、シース16を体内から抜くことなく、3回のクリッピングを行なうことが可能な処置具である。
ここで、スライダ54の移動量は、クリップ列の装填時、および、クリッピングの回数(何回目のクリッピングか)によって、異なる。これに応じて、スライダガイド56は、図10に示すように、ガイド部56cに軸方向の長さが異なる4つのガイド溝66A〜66Dが形成される。
従って、各ガイド溝の長さは、クリップ列の装填時、および、クリッピングの回数に応じたスライダ54の移動量となる長さとなる。
具体的には、クリップ列の装填時には、接続部材21をシース16から突出させる必要があり、また、スライダ54をHPに戻した状態では、クリップ列の全域がシース16内に収容される必要が有る。
従って、図10(B)に示すように、クリップ列の装填時に対応するガイド溝66Aは、スライダ54の移動量が最も多い所定量となる長さに形成される。
また、クリッピングは、先端側のクリップ12から、順次、行なわれる。後述するが、クリッピング操作のHPは、回数によらず同一である。従って、次のクリップが使用可能な状態(クリッピングの準備状態)、すなわち、図7に示すようなクリップ12の腕部28および連結リング14のスカート部38がシース16の先端から突出した状態にするための、クリップ12および連結リング14の先端側への移動量は、1回目、2回目および3回目の順で、多くなる。すなわち、HPから先端側へのスライダの必要移動量は、1回目から3回目に向けて、順次、多くなる。
従って、図10(B)に示すように、1回目のクリッピング(クリップ12A)に対応するガイド溝66Bは、スライダ54の移動量が最も少ない所定量となる長さに形成される。また、2回目のクリッピング(クリップ12B)に対応するガイド溝66Cは、スライダ54の移動量が2番目に少ない所定量となる長さに形成される。さらに、3回目のクリッピング(クリップ12C)に対応するガイド溝66Cは、スライダ54の移動量が3番目に少ない所定量となるに形成される。
スライダガイド56は、クリップ列の装填やクリッピング等の操作に応じて回転され、各ガイド溝が、ハンドル本体52の係合溝68と一致される。
すなわち、クリップ列の装填時にはガイド溝66Aが、1回目のクリッピング(クリップ12A)の際にはガイド溝66Bが、2回目のクリッピング(クリップ12B)の際にはガイド溝66Cが、3回目のクリッピング(クリップ12C)の際にはガイド溝66が、それぞれ、係合溝68と一致するように、スライダガイド56が回転される。
前述のように、接合部56aの先端には、周方向(軸を中心とする回転方向)に、4つの凸部57aと凹部57bとが交互に等間隔で形成される。
4つの凸部57aは、同一形状であり、鋸歯状、すなわち、一方の歯面の傾斜角が緩やかなテーパ形状であり、他方の歯面の傾斜角が略直角の段差をなす断面三角形状の凸部である。また、隣接する凸部57aと凸部57aとの間が凹部57bとなる。
この凸部57aおよび凹部57bは、回転位置規制部材58の接合部58aに形成される凸部59aおよび凹部59bと係合する。
回転位置規制部材58は、ハンドル部84の最も基端側に配置される部材であり、円筒状の領域および略半球状の領域を有し、中心に貫通穴を有する、筒状の部材である。
この回転位置規制部材58は、円筒状の領域を先端側に向けて、貫通穴にハンドル本体52の小径部52cを挿通して、ハンドル本体52に固定される。
また、図11に示すように、回転位置規制部材58は、その基端側に、凹状の接合部58aを有する。前述のように、この凹状の接合部58aには、前記スライダガイド56の先端側の凸状の接合部56aが回転可能な状態で挿入される。
接合部58aには、スライダガイド56の先端側の凸状の接合部56aと同様、基端側に突出し、周方向に等間隔に、当接面に対する2つの歯面の傾斜角が異なる、同一形状の4つの凸部59aが形成されている。この凸部59aは、鋸歯形状、つまり、一方の歯面の傾斜角が緩やかでテーパ形状であり、他方の歯面の傾斜角が略直角の段差をなす断面三角形状の凸部である。また、隣接する凸部59aと凸部59aとの間は、凹部59bとなり、この凹部59bも4つ形成される。
スライダガイド56の接合部56aの凸部57aと回転位置規制部材58の接合部58aの凹部59b、および、スライダガイド56の接合部56aの凹部57bと回転位置規制部材58の接合部58aの凸部59aとは、互いに噛み合う形状となっている。
すなわち、スライダガイド56は、回転位置規制部材58によって、回転方向に90°間隔で位置決めをされる。
ここで、スライダガイド56のガイド溝66A〜66Dは、回転位置規制部材58の接合部58aおよびスライダガイド56の接合部56aの凹凸が歯合した際に、ハンドル本体52の係合溝68と、周方向の位置が重なるように形成される。すなわち、スライダガイド56の回転は、回転位置規制部材58によって、ガイド溝66とハンドル本体52の係合溝68とが重なる位置で停止するように規制される。
また、両凸部は、一方の歯面の傾斜角がテーパ形状、他方の歯面が略直角であるので、スライダガイド56の回転方向は、一方向に規定される。この凸部の歯面の形状は、スライダガイドの回転方向が、ガイド溝66A、ガイド溝66B、ガイド溝66C、およびガイド溝66Dの順で係合溝68と重なる順番となるように、形成される。
さらに、ハンドル本体52の中径部52aと小径部52cとの段差(この段差で形成される、中径部52bの先端側端面)と、スライダガイド56の接合部56aの基端側端面との間には、付勢バネ60が配置される。
付勢バネ60は、ハンドル本体52の小径部52cの外周に撒きつくように配置される圧縮バネであり、前記中径部52bの先端側端面と、接合部56aの基端側端面とを離間するように付勢する。すなわち、付勢バネ60は、スライダガイド56を、回転位置規制部材58に押しつけた状態とする。
従って、この付勢バネ60の作用により、スライダガイド56が不用意に回転することを防止する。
また、スライダガイド56を所定方向に回転することにより、回転位置規制部材58の接合部58aおよびスライダガイド56の接合部56aの凹凸によって、回転に応じて、付勢バネ60の付勢力に逆らってスライダガイド56が凹凸のテーパに沿って基端側に移動して、凹凸のテーパから外れた時点(凹凸が略垂直の歯面となった時点)で、付勢バネ60の付勢力によって、再度、スライダガイド56が、先端方向に移動して、回転位置規制部材58に押しつけられる。
前述のように、回転位置規制部材58の接合部58aとスライダガイド56の接合部56aとの凹凸が係合した位置では、係合溝68とガイド溝66とが周方向で一致するように構成される。従って、クリップ処置具80の操作を行なう医師は、スライダガイド56を回転させることで、クリッピングの回数等に応じて、容易かつ正確に係合溝68とガイド溝66とを一致させることができる。
なお、スライダガイド56は、回転位置規制部材58に押しつけられた状態で、ハンドル本体52の中径部52aと大径部52aとの段差(この段差で形成される、大径部52aの先端側端面)と、基端側の端部との間に、回転時における回転位置規制部材58の接合部58aおよびスライダガイド56の接合部56aの凹凸による基端側への移動量等に応じた間隙を有するように、軸方向の長さが設定される。
前述のように、クリップ処置具80においては、ハンドル本体52の係合溝68と、スライダガイドの各ガイド溝66とを一致させた状態で、スライダ54をHP(係合溝68の基端側端部とスライダピン70とが当接する位置)から、ガイド溝66の先端側端部に当接する位置まで移動して、再度、HPまで戻すことにより、クリップ12によって生体をクリッピングする。
また、クリップ処置具80は、シース16を内視鏡から引き抜くことなく、3回のクリッピングを行なうことができる、連発式のクリップ処置具である。
以下、図12(A)〜(P)に示すハンドル部84の模式的斜視図、図13に示すスライダガイド56の展開図および操作時におけるスライダピン70の位置(ハッチを掛けた円)を模式的に示す図、および、図14(A)〜(P)に示すシース16の先端部の概念図を参照して、クリップ処置具80における3回のクリッピングの操作の一例について説明する。
まず、必要に応じてスライダガイド56を回転して、図12(A)に示すように、ガイド溝66Aとハンドル本体52の係合溝68を一致(周方向の位置を一致)させ、スライダ54を、スライダピン70が係合溝68の先端側の端面に当接するHPまで軸方向に移動させる。つまり、スライダ54のスライダピン70を、図13に示す位置P1に移動させる(以下、スライダピン70は省略して、単に「スライダガイドを位置P1に移動」、「スライダガイドをHPに移動」のように記す)。
このとき、操作ワイヤ20の先端は、図14(A)に示すようにシース16内に引き込まれた状態となっている。この状態が、図示例のクリップ処置具80における処置の初期状態となる。
なお、本発明は、係合溝68の先端側端面やガイド溝66の先端側端部と、スライダピン70とを当接して、スライダ54の軸方向の移動量を規制する構成に限定はされず、スライダピン70ではなく、スライダ54の本体と、係合溝68の先端側端面やガイド溝66の先端側端部とを当接して、スライダ54の軸方向の移動量を規制する構成でもよい。
次に、図12(B)に示すように、スライダ54を、ガイド溝66Aの先端側端部に当接する位置、すなわち、図13に示す最大突出位置P2に移動する。
これにより、図14(B)に示すように、シース16の先端から操作ワイヤ20の接続部材21が、所定量、突出する。
この状態で、ダミークリップ18の連結部材19を操作ワイヤ20の接続部材21に取り付ける。これにより、3つのクリップ12およびダミークリップ18を連結リング14で連結したクリップ列が、操作ワイヤ20に接続される。
クリップ列の連結部材連結部材19を操作ワイヤ20の接続部材21に取り付けたら、図12(C)に示すように、スライダ54を図13に示す位置P3すなわちHPに戻す。この操作により、図14(C)に示すように、クリップ列をシース16内に収容する。
これにより、クリップ12を連結したクリップ列の操作ハンドル82への装填が終了し、すなわち、クリップ処置具80が構成される。
その後、シース16を生体内に挿入された内視鏡の鉗子口等に挿入して、シース16の先端を、内視鏡の挿入部の先端まで到達させ、内視鏡の先端から突出させる。
また、内視鏡の挿入部やアングル部の操作等によって、クリップ処置具80のシース16の先端を目的とする位置に移動する。
必要な操作が終了したら、図12(D)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Bと係合溝68とを一致させる。
これにより、スライダ54(スライダピン70)の位置は、図13において位置P4で示す、ガイド溝66Bに対応するHPに移動する。
次に、図12(E)に示すように、スライダ54をガイド溝66Bの先端側端部に当接する位置まで移動、すなわち、図13に示す最大突出位置P5に移動する。
このスライダ54の押し出し、すなわち、操作ワイヤ20の押し出しにより、クリップ列が先端方向に移動し、図14(D)に示すように、シース16の先端から、先頭のクリップクリップ12Aおよび連結リング14Aの第1領域32がシース16の先端から突出する。これにより、クリップ12Aの腕部28が開放し、また、連結リング14Aのスカート部38が開く。
ところで、クリップ12や連結リング14には製造誤差による寸法バラツキ等が存在する。また、内視鏡(その挿入部)に挿通されたクリップ処置具80では、操作ワイヤ20およびシース16の屈曲や湾曲等による内外周差等により、操作ワイヤ20の突出量が減少する場合も有る。
そのため、クリップ処置具80においては、ガイド溝66Bの先端側の端部は、クリップ12Aがシース12から脱落せず、かつ、クリップ12等の製造誤差やシース16の状態によらず確実に連結リング14Aのスカート部38が開放する、最大突出位置P5となるように形成してある。
従って、通常であれば、この最大突出位置P5までスライダ54を押し出した状態では、連結リング14Aのスカート部38は、シース16の先端部よりも先に位置しており、スカート部38とシース16とは離間している。
なお、この点に関しては、2回目のクリップ12Bによるクリッピングに対応する、ガイド溝66Cの先端側端部、ならびに、3回目のクリップ12Cによるクリッピングに対応する、ガイド溝66Dの先端側端部に関しても、同様である。
次いで、例えば内視鏡の画像を見ながら、図12(F)に示すように、スライダ54をHP側に引き戻し、連結リング14Aのスカート部38がシース16の先端部に当接する標準突出位置P5’まで、クリップ列を引き戻す。すなわち、図14(E)に示す状態まで、クリップ列をシース16に引き戻す。なお、この図14(E)に示す状態は、先の図7に示す状態と同様である。
これにより、1回目のクリッピング(1発目のクリップ12によるクリッピング)の準備が完了する(クリッピングの準備状態となる)。
スライダ54を標準突出位置P5’まで戻して、クリッピングの準備状態となったら、内視鏡を操作して、拡開したクリップ12Aの爪部22をクリッピングしたい生体位置に押し付けて、図12(G)に示すように、スライダ54を基端側に移動して、HPすなわち位置P7まで引き戻す。
準備状態では、連結リング14Aのスカート部38が開放しているので、連結リング14A内でのスカート部38によるクリップ12Aの押圧保持は開放している。また、連結リング14Aは、スカート部38がシース16先端で開いていることにより、シース16内への後退が阻止されている。
そのため、このスライダ54の移動により、先頭のクリップ12Aは連結リング14Aに引き込まれ、締付部40によって開放している腕部28が閉塞され、図14(F)に示すように爪部22が閉塞して生体をクリッピングする。また、標準突出位置P5’から、クリップ完了位置P6までスライダ54が移動(標準突出位置P5’からクリップストロークだけ移動)すると、前述のように、腕部28の凸部30の直下まで連結リング14Aに引き込まれ、クリッピングが完了する。
このクリッピング完了と同時に、図14(F)に示すように、先頭のクリップ12Aの基端側の端部(折り返し部24の基端側端部)、および、2番目のクリップ12Bの爪部22が、連結リング14Aの基端側端部から排出する。
これにより、連結リング14Aの第2領域34によって閉塞されていた2番目のクリップ12Bの腕部28が、シース16の内径まで開放して、前のクリップ12Aの折り返し部24と、次のクリップ12Bの爪部との係合が開放して、クリップ12Aおよび連結リング14Aがクリップ列から切り離され、シース16から排出可能な状態となる。
また、スライダ54をHPである位置P7まで戻した状態では、クリップ12Aおよび連結リング14Aの切り離したクリップ列は、図14(G)に示すように、シース16の内部に引き込まれた状態となる。
以上の説明より明らかなように、最大突出位置P5(P9、P13)から標準突出位置P5’(P9’、P13’)までの距離が、構成部品の製造誤差やシース16の内外周差等を吸収するためのバッファとなる。そのため、一旦、スライダ54(すなわちクリップ列(最先端のクリップ12))を最大突出位置P5まで押し出すことにより、クリップ12の製造誤差や体内におけるシース16の状態によらず、確実に、腕部28およびスカート部38を開放して、クリッピングを行なうことができる。
また、好ましい操作として、クリップ列を最大突出位置P5まで押し出して、次いで、標準突出位置P5’まで戻して、その後、生体に爪部22を当接してクリッピング(HPであるP7までのスライダ54の引き戻し)を行なうことにより、シース16からの突出し過ぎに起因するクリップ12の脱落事故等をより確実に防止でき、また、確実に保持されたクリップ12を、しっかりとクリッピングする生体に押しつけることができる。
なお、本発明のクリップ処置具80の操作は、このように、最大突出位置までスライダ54を押し出し、次いで、標準突出位置までスライダを戻した後に、HPまでスライダを戻してクリッピング、および、クリップ列の連結開放を行なうのに限定はされない。
例えば、最大突出位置において、先頭のクリップ12がしっかりと保持されており、脱落の可能性が無い(極めて低い)場合であれば、最大突出位置から標準突出位置までスライダ54を戻さずに、最大突出位置からHPまで、一気にスライダ54を引き戻して、クリッピング、および、クリップ列の連結開放を行ってもよい。
また、クリップ処置具80においては、スライダ54がクリップ完了位置P6(P10、P14)を通過した時点で、互いに係合する凹凸、付勢された球体とこれに係合する凹部など、公知の手段によって、小さな衝撃(いわゆるクリック感)を発生させ、クリッピングが完了したことを、処置を行なう医師が知見できるようにするのも好ましい。
スライダ54をHPである位置P7まで戻して、1回目のクリッピング(1発目のクリップ12Aによるクリッピング)を終了したら、次いで、図12(H)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Cと係合溝68とを一致させる。
これにより、スライダ54の位置は、図13において位置P8で示す、ガイド溝66Cに対応するHPに移動する。
次に、図12(I)に示すように、スライダ54を、ガイド溝66Cの先端側端部に当接する、図13に示す最大突出位置P9に移動する。この操作により、図14(H)に示すように、シース16の先端から、2番目のクリップ12Bおよび連結リング14Bの第1領域32がシース16から突出し、腕部28が開放し、また、スカート部38が開く。
図12(J)に示すように、スライダ54を、スカート部38がシース16の先端に当接する標準突出位置P9’まで引き戻し、図14(I)に示す状態とする。これにより、2回目(クリップ12Bによる)のクリッピング準備状態となる。
クリッピングの準備状態となったら、同様に、拡開したクリップ12Bの爪部22をクリッピングする位置に押し付けて、図12(K)に示すように、スライダ54を基端側に移動して、HPすなわち位置P11まで引き戻す。
これにより、1回目のクリッピングと同様に、図14(K)に示すようにクリッピングが行なわれ、標準突出位置P9’からクリップ完了位置P10までのスライダの移動で、2発目のクリップ12によるクリッピングが完了し、かつ、2番目のクリップ12Bと次(最基端側)のクリップ12Cとが切り離され、クリップ12Bおよび連結リング14Bがシース16から排出可能な状態となる。
また、スライダ54をHPである位置P11まで戻した状態では、クリップ12Bおよび連結リング14Bを切り離したクリップ列は、図14(K)に示すように、シース16の内部に引き込まれた状態となる。
2回目のクリッピングを終了したら、次いで、図12(L)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Dと係合溝68とを一致させる。
これにより、スライダ54の位置は、図13において位置P12で示す、ガイド溝66Dに対応するHPに移動する。
次に、図12(M)に示すように、スライダ54を、ガイド溝66Dの先端側端部に当接する最大突出位置P13に移動する。この操作により、図14(L)に示すように、シース16の先端から、3番目のクリップ12Cおよび連結リング14Bがシース16から突出し、腕部28が開放し、スカート部38が開く。
図12(N)に示すように、スライダ54を、標準突出位置P13P’まで引き戻して、図14(M)に示す、3回目のクリッピングの準備状態とする。
クリッピングの準備状態となったら、同様に、拡開したクリップ12Cの爪部22をクリッピングする位置に押し付けて、図12(O)に示すように、スライダ54を基端側に移動して、HPすなわち位置P15まで引き戻す。
これにより、先と同様に、図14(N)に示すようにクリッピングが行なわれ、標準突出位置13P’からクリップ完了位置P14までのスライダ54の移動で、3番目のクリップ12Cによるクリッピングが完了し、さらに、3番目のクリップ12Cとダミークリップ18とが切り離され、クリップ12Cおよび連結リング14Cが、シース16から排出可能な状態となる。
また、スライダ54をHPである位置P15まで戻した状態では、全てのクリップ12を切り離したダミークリップ18は、図14(O)に示すように、シース16の内部に引き込まれた状態となる。
3個のクリップ12によるクリッピングが完了したら、図12(P)に示すように、スライダガイド56を90°回転して、ガイド溝66Aと係合溝68とを一致させる。これにより、スライダ54の位置は、再度、図13において位置P1で示す、ガイド溝66Aに対応するHPに戻る。
その後、クリップ処置具80のシース16を内視鏡から引き抜く。
シース16を引き抜いた後、スライダ54をガイド溝66Aの先端側端部に当接する位置P2まで押し出し、図14(P)に示すように、シース16の先端から接続部材21、ダミークリップ18および連結部材19を突出させ、ダミークリップ18および連結部材19を、操作ワイヤ20先端の接続部材21から取り外す。
以上のように、連発式クリップ処置具80によれば、シースを引き抜くことなく、複数回のクリッピングを行うことができる。また、スライダガイド56の回転、および、スライダ54の往復移動のみで、クリップの回数(1回目/2回目…)に応じて、適正な量、クリップ列を軸方向(シース16の長手方向)に移動して、クリッピングの準備状態とし、クリッピングおよび連結されたクリップの切り離しを行なうことができる。また、先の例と同様に、全てのクリップ12の開腕方向が一致しているので、クリッピングの処置を行なう医師は、クリッピングを行なう毎に、シース16を回して、クリップ12の開閉方向を調整する必要が無い。すなわち、簡易な操作で、正確なクリッピングの処置を行なうことができる。
以上、本発明の連発式クリップ処置具について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
例えば、クリップや操作ワイヤ等が安全かつ安定して挿入可能であれば、本発明の連発式クリップ処置具において、シースを用いず、内視鏡の鉗子チャンネルをクリップを収容するシースとして利用して、連発式クリップ処置具を構成してもよい。また、本発明の連発式クリップ処置具は、止血用のみならず、マーキング用や縫合用等の各種のクリップが利用可能である。
(A)および(B)は、本発明の連発式クリップ処置具の第1実施形態を概念的に示す断面図である。 (A)および(B)は、図1に示す連発式クリップ処置具のクリップを概念的に示す図である。 (A)および(B)は、図1に示す連発式クリップ処置具の連結リングを示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図である。 (A)および(B)は、図1に示す連発式クリップ処置具を軸線方向から見た概念図である。 (A)〜(E)は、図1に示す連発式クリップ処置具の作用を説明するための概念図である。 本発明の連発式クリップ処置具の第2実施形態を概念的に示す斜視図である。 (A)および(B)は、図6に示す連発式クリップ処置具の先端部の断面図である。 図6に示す連発式クリップ処置具のハンドル部の断面図である。 図8に示すハンドル部からスライダガイドを取り外した状態を概念的に示す斜視図である。 (A)は、図8に示すハンドル部のスライダガイドのガイド部の斜視図であり、(B)は、このスライダガイドを展開した状態を概念的に示す図である。 図6に示すハンドル部の回転位置規制部材の斜視図である。 (A)〜(P)は、図6に示す連発式クリップ処置具のクリップ処置の作用を説明するための斜視図である。 図6に示す連発式クリップ処置具のクリップ処置の作用を説明するためのスライダガイドを展開した状態を概念的に示す図である。 (A)〜(P)は、図6に示す連発式クリップ処置具のクリップ処置の作用を説明するための連発式クリップ処理具の先端部の断面図である。
10、80 (連発式)クリップ処置具
12 クリップ
14 連結リング
16 シース
18 ダミークリップ
20 操作ワイヤ
22 爪部
24 折り返し部
26 捻転部
28 腕部
32 第1領域
34 第2領域
38 スカート部
40 締付部
42 保持部
44 貫通穴
52 ハンドル本体
54 スライダ
56 スライダガイド
56a 接合部
56b 把持部
56c ガイド部
58 回転位置規制部材
60 付勢バネ
62 指掛け部材
66A、66B、66C、66D ガイド溝
68 係合溝
70 スライダピン
82 操作ハンドル
84 ハンドル部

Claims (4)

  1. 長尺な板状物を折り返してなる形状を有する、2本の腕部、および、この腕部の開放端に形成される互いに対向する方向に折り曲げられた爪部を有する、複数のクリップと、前記クリップが挿通可能で、前記クリップを爪部が閉塞した状態で保持する筒状の連結リングとを有し、
    前記クリップは、前記爪部と折り返し部との間に捻転部を有し、この捻転部よりも開放端側を前記腕部とし、かつ、この捻転部が、自身と折り返し部との間の領域が成す面が、前記爪部の開閉方向と交差するように、前記クリップを捻転するものであり、
    1つの前記クリップの折り返し部側の少なくとも一部と、他の前記クリップの腕部の開放端側の少なくとも一部とを、1つの前記連結リングに挿入して、前記連結リングによって前記他のクリップの爪部を閉塞した状態で、前記1つのクリップの折り返し部に前記他のクリップの爪部を掛けることにより、前記複数のクリップを連結したことを特徴とする連発式クリップ処置具。
  2. 前記捻転部は、前記クリップを90°捻転するものである請求項1に記載の連発式クリップ処置具。
  3. 前記連結リングの貫通穴が矩形であり、
    前記クリップは、少なくとも一部が、前記貫通穴によって対角線方向に支持される請求項1または2に記載の連発式クリップ処置具。
  4. 前記連結リングと、前記腕部を閉塞してクリッピングを行なうための締付けリングとが、一体化されている請求項1〜3のいずれかに記載の連発式クリップ処置具。
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