JP2010136818A - 連発式クリップ処置具 - Google Patents

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孝之 飯田
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勝福 崔
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義明 松岡
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Abstract

【課題】操作性が高く低コストで作製することができ、シース全体を内視鏡から引き出すことなく、複数箇所のクリッピングができる連発式クリップ処置具を提供する。
【解決手段】シースと、複数のクリップと、シースの先端に係止される係止部を形成するように拡径された拡径部を備えクリップを締め付ける複数の締付リングと、先端に複数のクリップが連結される操作ワイヤと、シースと連結される円筒状のハンドル本体と、このハンドル本体の外周上に装着され操作ワイヤをハンドル本体の軸方向に移動させるスライダと、ハンドル本体の外周上に周方向回転自在に装着され軸方向におけるスライダの移動量を、周方向の位置によって複数の異なる移動量に規制するスライダ移動量規制部材とを有し、シースはその先端にクリップ格納部を備え、クリップ格納部は弾性変形部を備えることにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体内等において止血や傷口の縫合や閉塞等に用いられる内視鏡用クリップ処置具の技術分野に係り、詳しくは、複数のクリップを連発して使用できる連発式クリップ処置具に関するものである。
近年、内視鏡用クリップ処置具は、生体内に挿入した内視鏡の先端からクリップを突出させて、出血部や病変組織除去後の処置部をクリップで摘み、止血や傷口の縫合や閉塞を行うために用いられる。従来用いられている内視鏡用クリップは、操作ワイヤの先端に1つのクリップが取り外し可能に取り付けられたもので、一回のクリップ処置を行うごとにシース全体を内視鏡から引き出し、次のクリップをセットして再び内視鏡内に挿入し、次のクリッピングを行うという煩瑣な作業が必要となっている。
これに対し、特許文献1には、一本のシース内に複数のクリップを配置した生体組織のクリップ装置が記載されている。具体的には、生体腔内に挿入可能な導入管と、導入管内に進退自在に挿通された少なくとも2本以上の操作ワイヤと、基端部を有しこの基端部より延出する腕部の先端に挟持部を形成して、少なくとも2個以上のクリップとを具備する生体組織のクリップ装置において、複数個のクリップを導入管内に直列に配列し、クリップと操作ワイヤをそれぞれ係合させた生体組織のクリップ装置が記載されている。
また、特許文献1には、クリップ装置の操作部として、個々のクリップに各々操作ワイヤを接続し、この操作ワイヤと接続したノブを操作部に設け、ノブを個別に操作することでクリッピングを行う機構が記載されている。このノブは操作部に設けられたスライダと係合している。さらに、スライダは、ラチェット機構を有し、スライダを基部に対して軸方向に移動可能にしている。
特許文献2には、バネ性のある金属製のパイプを加工してスリットを設け、弾性変形により径を自在に縮拡可能なコイルパイプを、シースの先端部分に取り付け、コイルパイプの先端側開口部の内径よりも大きい外径をもつ抑え管を用いる単発式のクリップ装置が記載されている。
特開2002−272751号公報 特開2007−222649号公報
しかしながら、特許文献1に記載のクリップ装置では、クリップ毎にワイヤを取り付けており、構成部品が多くなるため、装置としてのコストが高くなるという問題、また、製造工数も多くなるという問題がある。
また、スライダのスライド量の規制がないため、シース先端からクリップを突出させる動作を操作者(術者)が確認しながら行う必要がある。スライダをスライドさせすぎてしまい、次発のクリップ先端まで突出させてしまうと、クリップの操作が困難になる。
また、各クリップに対応してノブが設けられているため、操作の順番を間違える可能性があり、意図しないクリップを牽引すると、クリップまたはシースが、破損してしまう可能性がある。
このように、スライダ操作や、ノブでのワイヤ牽引等の操作が複雑なため、操作性が悪く、誤操作のリスクが高いという問題もある。
また、特許文献2に記載のクリップ装置では、コイルパイプの先端側の縮径部は肉厚となっており、該縮径部と接する抑え管の先端側も、抑え管の断面が軸方向に対して直角であるため、抑え管をコイルパイプから出すためには強い力で押す必要がある。また、コイルパイプ内の段差と、抑え管の先端の角が引っ掛かってしまうトラブルが発生するリスクも高いという問題もある。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、操作性が高く、低コストで作製することができ、シース全体を内視鏡から引き出すことなく、複数箇所のクリッピングを行うことができる連発式クリップ処置具を提供することにある。
上記課題を解決するために、円筒状のシースと、生体を把持するための複数のクリップと、前記シースの先端に係止される係止部を形成するように拡径された拡径部を備え、前記複数のクリップのそれぞれに対応して設けられ、前記クリップを締め付ける複数の締付リングと、前記シースの内部に配置され、先端に前記複数のクリップが連結される操作ワイヤと、前記シースと連結され、その内部に前記シースから延在する前記操作ワイヤが配置される円筒状のハンドル本体と、このハンドル本体の外周上に、その軸方向に移動可能に装着され、前記操作ワイヤと係合し、前記操作ワイヤを前記ハンドル本体の軸方向に移動させるスライダと、前記ハンドル本体の外周上に、前記ハンドル本体の周方向に回転自在に装着され、前記ハンドル本体の軸方向における前記スライダの移動量を、その周方向の位置によって、前記操作ワイヤに連結される前記複数のクリップそれぞれのクリップ処置に要する、複数の異なる移動量に規制するスライダ移動量規制部材とを有し、前記シースは、その先端に設けられ、前記複数のクリップ、および、前記複数の締付リングがそれぞれ一体として格納されるクリップ格納部を備え、前記クリップ格納部は、その先端側に形成され、基端側から先端側へ縮径され、その先端の直径が前記クリップ格納部、および、前記締付リングの前記拡径部の直径よりも小さく、前記締付リングの前記拡径部を通過させるようにその直径まで弾性変形する弾性変形部を備え、前記スライダを前記ハンドル本体の軸方向に移動させて、前記シースの内部に配置された前記操作ワイヤを前記シースの延在方向に移動させることで、前記操作ワイヤに連結された複数のクリップを同方向に移動させることを特徴とする連発式クリップ処置具を提供する。
ここで、前記締付リングの前記拡径部は、最も拡径され、前記シースの先端と当接する面で構成される前記係止部と、前記係止部から前記締付リングの先端側に向かって縮径されていく傾斜部とを備えるのが好ましい。
また、前記締付リングの前記係止部は、前記締付リングの基端側において前記シースの先端に係止される段差で構成されるのが好ましい。
また、前記弾性変形部は、前記シースの軸方向に設けられた複数のスリットを備えるのが好ましい。
さらに、前記スライダ移動量規制部材は、前記ハンドル本体に嵌合された円筒状のスライダガイド基部に取り付けられ、前記軸方向に沿って前記複数の異なる移動量に応じてそれぞれ形成された、前記シース側の先端部の位置が異なる複数の位置規制溝および辺の位置が異なる複数の位置規制段差の少なくとも一方を有するのが好ましい。
また、前記スライダは、前記位置規制段差および前記位置規制溝の少なくとも一方と係合する係合部を有し、前記スライダの前記係合部と係合する前記位置規制段差または前記位置規制溝により、前記スライダの移動量を前記複数の異なる移動量に規制するのが好ましい。
さらに、前記スライダは、前記スライダ移動量規制部材の外周上に、その軸方向に移動可能に装着され、前記スライダ移動量規制部材の基端側における前記複数の位置規制溝の他方の端部は、一部または全部が開放されており、前記複数の位置規制溝または前記複数の位置規制段差は、前記スライダ移動量規制部材の基端側からその周方向に沿って形成され、それぞれ前記スライダ移動量規制部材の先端側の端部の位置から前記位置規制溝の先端部の位置までの距離および前記辺の位置までの距離が異なるように階段状に形成されているのが好ましい。
また、前記クリップは、少なくとも爪部と、腕部とを有するのが好ましい。
さらに、前記締付リングは、その基端において、前記クリップが挿入される貫通孔の対応する位置に、前記クリップの前記爪部が閉じた状態で収容される前記クリップの前記腕部の先端側の部分が収容される2つの凹部を備えるのが好ましい。
また、前記クリップ格納部の先端側に位置する先のクリップと、該先のクリップの後ろに位置する後のクリップとの連結部は、前記締付リング内に位置し、前記締付リングにより先後の両クリップの連結が保持されているのが好ましい。
また、前記クリップ格納部の先端側に位置する先のクリップと、該先のクリップの後ろに位置する後のクリップとの連結部は、前記シースの内壁により先後の両クリップの連結が保持されているのが好ましい。
本発明によれば、スライダ移動量規制部材(以下、スライダガイドともいう)を設け、スライダガイドによって、クリップの進退を操作するスライダの移動量を規制することで、操作者が調整することなく、シースから適切な長さだけクリップを突出させることができ、クリップ処置具の操作性を高くすることができる。また、クリップが突出しすぎて抜け落ちることを防止でき、誤操作を防止することができる。
また、本発明によれば、1つのスライダガイドを回転させる動作と1つのスライダをスライドさせる動作のみで、クリップ処置を行うことができるため、この点での誤操作を発生しにくくすることができる。
また、本発明によれば、1つのスライダガイドと1つのスライダで、複数のクリップを順番に操作することができるため、使用するクリップの順番を間違える可能性を少なくすることができる。
また、本発明によれば、1つの操作機構で、複数のクリップを操作できるため、操作ハンドルおよびクリップ処置具を構成する構成部品の数を少なくすることができ、装置コストを低減し、製造工数を少なくすることができる。
また、本発明によれば、締付リングの係止部から先端側に向かって縮径されていく傾斜部を備え、シース先端の弾性変形部も先端側にかけて縮径されることで、該弾性変形部の内側に段差がなく、軽い力で操作することができ、操作性を向上させることができる。
以下、本発明に係る連発式クリップ処置具について、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の連発式クリップ処置具の一実施形態の構成を示す斜視図である。
本発明の連発式クリップ処置具(以下単に「処置具」ともいう。)10は、操作ハンドル48と、クリップ列13とを有する。
操作ハンドル48は、操作部50と、シース16と、操作ワイヤ20と、接続部材21とを有し、クリップ列13は、複数のクリップ12と、複数の締付リング14と、ダミークリップ18と、連結部材19とを有する。
操作ハンドル48のシース16の先端側には、複数のクリップ12を連結したクリップ列13が収容されるクリップ格納部40が設けられている。
なお、先端側とは、内視鏡を用いてクリップ処置具10による処置を行なう際に、生体内に挿入される側である。また、先端側と逆側(操作部50側)を基端側と言う。
図2は、クリップ処置具10による処置の例を表す全体図である。クリップ処置具10はシース16が内視鏡の鉗子チャネルに挿入され、体腔内120にその先端側が挿入される。シース16は、例えば、長さ1600mm〜2300mm、直径2.8mm〜2.1mmのものを用いることができる。シース16の先端はクリップ処置が行いやすいように、直径20mm〜30mmの円弧を描くように自在に曲げることが可能である。
図3(A)は、本発明の連発式クリップ処置具の先端部の概略構成を示す断面図であり、図3(B)は、図3(A)と90度異なる角度から見た断面図である。
図3(A)および(B)に示すように、図示例の処置具10は、3つのクリップ12(12A、12B、12C)が連結されて、シース16の先端のクリップ格納部40に収容されている。
なお、シース16は、クリップ格納部40を除くシース本体が、内視鏡用のクリップ処置具で用いられている、通常のシースであり、例えば、金属ワイヤを密着巻きした可撓性のコイルシースであり、クリップ格納部40は可撓性を有する樹脂で構成されている。
各クリップ12は、締付リング14(14A、14B、14C)によって連結されている。また、最後尾(最も基端側 以下、先端側を「前」、基端側を「後」とも言う)のクリップ12Cには、操作ワイヤ20に連結部材19を介して係合されるダミークリップ18が連結される。
後に詳述するが、操作ワイヤ20は、シース16内を挿通されて、後述する操作部50のスライダ54に接続され、シース16内を前後に移動することができる。
なお、図3(A)および(B)は、先頭のクリップ12Aによるクリップ処置動作開始直前の初期状態(スタンバイ状態)を示している。
図3(A)および(B)に示すように、1つのクリップ12と1つの締付リング14とは、1つの内視鏡用止血クリップ体を構成し、この止血クリップ体が長尺なシース16先端のクリップ格納部40の内部に複数装填されている。
また、連続する止血クリップ体の終端は、クリップ列13と操作ワイヤ20とを連結する部材であるダミークリップ18にかみ合い結合し、ダミークリップ18は、連結部材19を介して操作ワイヤ20に接続されており、操作ワイヤ20は、シース16の基端部まで延びて、後述する操作部50(図1参照)につながっている。
操作部50から操作ワイヤ20を所定の牽引長さだけ牽引し、ダミークリップ18を一方向に所定長さ移動させることで、一連のクリップ12が同量だけ移動し、先頭のクリップ12がそれを保持する締付リング14によって締め付けられて、先頭のクリップ12による止血やマーキング等のためのクリップ処置(クリッピング)が行われる。先頭のクリップ12によるクリップ処置が完了した後、操作ワイヤ20をシース16の先端側へ所定の長さだけ押し出すことで、次のクリップ12が使用可能な状態(スタンバイ状態)となり、続けて操作ワイヤ20をシース16の基端側へ所定の長さだけ牽引することで、クリップ処置を行うことができる。
なお、図3(A)および(B)では、先頭の第1クリップ12Aがシース16(クリップ格納部40)の先端から突出した状態の図としてあるが、クリップ12等をシース16のクリップ格納部40へ装填するときは、図4に示すように、先頭の第1クリップ12Aがシース16の内部に完全に納まった状態でセットされる。また、図3(A)および(B)では、クリップ12を3つとし、3連発式のクリップ処置具としてあるが、クリップ12の数は、2つ以上いくつであってもよい。
図5は、図3に示すクリップ12の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、クリップ12は、爪部22に対して180度ターンしたターン部24を有するクローズクリップであり、2つの開放端は、端部が対向するように屈曲させて爪部22、22を形成した形状をしている。交差部26を境にして、開放端側が腕部28、28であり、閉塞端側がターン部24である。腕部28、28には、爪部22、22の近傍に部分的に広幅とされた凸部30、30が形成されている。各腕部28は、屈曲部31によって爪部22側の先部28aと、交差部26側の基部28bとに分けられている。クリップ12には、生体適合性のある金属を用いることが好ましく、例えば、ステンレス鋼を用いることができる。
クリップ12は、その交差部26に嵌められた締付リング14が、腕部28、28の基部28b、28bを押圧しながら爪部22、22の方(凸部30、30の方)へ向かって所定量移動することにより、その腕部28、28および爪部22、22が閉じ、爪部22、22において所定の咬頭嵌合力(把持力)を発揮する。
爪部22、22は、出血部や病変組織除去後の処置部等の対象部を確実に摘むために、V字のオス型とメス型に形成されている。
また、図5に示すように、クリップ12の腕部28は、その先部28aにおいては、爪部22から屈曲部31まで凸部30を除き幅が一定で変わらないのに対し、基部28bにおいては、交差部26から屈曲部31に掛けて徐々に幅が広くなり、締付リング14の移動を容易かつ確実にして爪部22、22の開放や、閉止および嵌合を容易かつ確実にし、生体内等における止血や傷口の縫合や閉塞等を容易かつ確実にしている。
凸部30は、締付リング14の先端側の開口、および基端側の開口の内径より、すなわち凸部30が当接する部分よりも広い幅とされている。したがって、クリップ12の凸部30以外の部分は、締付リング14の内部に侵入できるが、凸部30は、締付リング14の先端側からも基端側からも、その内部に侵入できない。
図3(A)および(B)に示すように、第1クリップ12Aと第2クリップ12Bは、第2クリップ12Bの爪部22、22が第1クリップ12Aのターン部24を間に挟み込んで係合し、第2クリップ12Bの腕部28が閉じた状態で締付リング14Aに保持されることで連結状態とされる。すなわち、クリップ列13が先端側に押されたときは、第2クリップ12Bの片方の爪部22が第1クリップ12Aのターン部24を押し、クリップ列13が基端側へ引かれたときは、第2クリップ12Bのもう一方の爪部22が第1クリップ12Aのターン部24を引っ張るように連結されている。
図3(A)に示すように、第2クリップ12Bの爪部22、22は、第1クリップ12Aのターン部24に直交方向に噛みあって結合し、第1クリップ12Aと第2クリップ12Bは、90度異なる向きで連結される。同様に、第2クリップ12Bと第3クリップ12Cも90度異なる向きで連結されている。つまり、第1クリップ12Aと第3クリップ12Cは、同じ向きで配置されている。
締付リング14は、前後の2つのクリップ12、12の係合部を覆って連結状態を維持しつつ、シース16のクリップ格納部40に進退可能に嵌入されている。すなわち、締付リング14は、その拡径部33の外径がクリップ格納部40の内径よりやや小さく、クリップ12の移動に伴ってクリップ格納部40内をスムーズに進退移動することができる。図6(A)は、図3に示す締付リングの一例を示す正面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す締付リングの断面図であり、図6(C)は、図6(A)に示す締付リングの底面図である。
図6(A)〜(C)に示すように、締付リング14は、拡径部33とストレート部35とから成る。締付リング14は、クリップ12を締め付けたときに緩まない様、金属製であることが望ましく、一部材で構成されている。締付リング14は、円筒状(リング状)の部品であり、クリップ12の交差部26近傍の幅よりも大きく、凸部30の幅よりも小さい内径の穴(貫通孔)37が貫通するように形成されている。したがって、締付リング14は、保持するクリップ12の交差部26の近傍を移動することができるが、凸部30を超えて先端側へは抜けられない。すなわち凸部30が、クリップ12に対して前進する締付リング14の移動限界を決めるストッパとして機能する。拡径部33は、締付リング14の先端側に位置し、クリップ格納部40の先端に形成された弾性変形部42の開口部47の径よりも大きい径を有する。ストレート部35は、弾性変形部42の開口部47の径と略同一か、やや小さい径を有する。
締付リング14の拡径部33は、ストレート部35との間に段差を形成し、段差を形成する円環状の面(基端側の面)は、締付リング14をシース16のクリップ格納部40の先端(面)に係止するための係止部32を構成する。
締付リング14は、クリップ12の交差部26の近傍の所定位置にセットされる。締付リング14は、その初期位置から、クリップ12の腕部28が幅広になる、交差部26から凸部30の側へ移動することで、拡開しているクリップ12の両方の腕部28、28を閉じさせて固定する締め付け機能を有している。締付リング14には、生体適合性のある金属が用いられる。締付リング14を金属製とすることで、金属製のクリップ12に対して締付力となる摩擦力を発揮させることができる。
クリップ操作時に締付リング14が押されると、拡径部33は、シース16のクリップ格納部40の先端の弾性変形部42を内側から押し広げ、拡径部33がクリップ格納部40の弾性変形部42の開口部47から外部へと出る。ここで、ストレート部35は、弾性変形部42の開口部47の内面と当接しており、クリップ列13が基端側へ引かれると、拡径部33の係止部32が弾性変形部42の先端に係止され、一度クリップ格納部40から外に出た締付リング14が、再びクリップ格納部40内に戻らないようになっている。拡径部33には、締付リング14が弾性変形部42を通りやすいように、先端側が細くなる様、斜面34が設けられている。
さらに、クリップ列13に接続された操作ワイヤ20が引かれると、第1クリップ12Aが後退することで、締付リング14Aが第1クリップ12Aに対して相対的に前進し、締付リング14Aにより、第1クリップ12Aを締め付ける。
穴37内では、前のクリップ12に係合する後のクリップ12、具体的には、その爪部22、22が前のクリップ12のターン部24の閉塞端(尾部)を間に挟み込んで閉じた状態で保持される。すなわち、クリップ列13が先端側に押されたときは、後のクリップ12の片方の爪部22が前のクリップ12のターン部24を押し、クリップ列13が基端側へ引かれたときは、後のクリップ12のもう一方の爪部22が前のクリップ12のターン部24を引っ張ることができる状態で保持されている。
締付リング14の全長は、クリップ12に対して初期位置にセットされた締付リング14が、クリップ12の締め付けを完了するまで移動しても、後のクリップ12の爪部22がストレート部35から抜けない長さを持つ。すなわち、締付リング14は、クリップ12が締付リング14に対して相対的に後退して締め付けられていく間、その内部に保持する2つのクリップ12、12の連結を保持して、後のクリップ12の牽引力が前のクリップ12へ伝達されるようにするとともに、締付リング14による締め付けが完了したときには、2つのクリップ12、12の係合部がストレート部35から外れることにより、そのクリップ12、12の連結を解除する。
穴37の内部には、図6(C)に示すように、対向する2箇所に溝(凹部)36が形成されている。
溝36、36は、締付リング14に保持されるクリップ12の腕部28、28の先部28a、28aを、爪部22、22が閉じた状態で収容可能である。溝36、36は、締付リング14に保持されるクリップ12の爪部22の開閉方向(図6(B)中、左右方向)の両側2箇所に設けられている。締付リング14に保持されるクリップ12の腕部28、28の先部28a、28aの板面は、溝36、36の内壁に当接する。また、溝36の幅は、腕部28に形成された凸部30の幅よりは小さい。したがって、締付リング14に保持されるクリップ12の凸部30は、溝36に進入できない。
こうすることにより、後発クリップ12(例えば、12C)の先発クリップ12(例えば、12B)への潜り込みを防止することができ、その結果、先後発(前後)のクリップ12の相対位置を維持でき、操作ワイヤ20(スライダ54:図7参照)によるクリップ12の押出操作を維持できる。
前のクリップ12(例えば、図3(B)の締付リング14Bにおける第2クリップ12B)は、クリップ格納部40の内部においては、溝36によって腕部28が保持された後のクリップ12(例えば、図3(B)の締付リング14Bにおける第3クリップ12C)の爪部22、22によってターン部24が保持されているので、進退移動および回転移動が抑えられている。また、前のクリップ12に係合する後のクリップ12(例えば、図3(B)の締付リング14Bにおける第3クリップ12C)は、溝36によって前のクリップと90度異なる方向に保持されることにより、回転移動が抑えられ、進退移動が抑えられた前のクリップ12に係合することにより、進退移動が抑えられている。すなわち、前後のクリップの係合部は、遊びが非常に小さい状態で、締付リング14によって保持される。
図3に示すように最後尾の第3クリップ12Cには、クリップ処置には用いられないダミークリップ18が係合している。ダミークリップ18は、先端部に、クリップ12の交差部26から開放端側半分の部分と類似の形状をしたバネ性を持つ部分を有しており、爪部を閉じた状態で第3クリップ12Cのターン部に係合し、爪部を開くと第3クリップ12Cを開放する。また、ダミークリップ18の基端部には連結部材19が取り付けられている。この連結部材19は、後述する操作ワイヤ20の先端のフック状の接続部材(フック)21に着脱可能に接続されている。
シース16は、例えば、金属ワイヤを密着巻きした可撓性のコイルシースであるシース本体と、シース本体の先端側に形成され、例えば、可撓性を有する樹脂で構成されるクリップ格納部40とを備える。シース16のシース本体は、その先端側に位置するクリップ格納部40の内部にクリップ12が移動可能に嵌入され、クリップ12にダミークリップ18および連結部材19を介して接続されている操作ワイヤ20を収納するもので、基端側において操作部50に接続される。
クリップ格納部40は、それぞれ一体として格納される複数のクリップ12および複数の締付リング14と、ダミークリップ18と、連結部材19とを有するクリップ列13を格納するためのもので、シース16の基端側よりも太径となっており、可撓性を有する樹脂で構成され、図7に示すように、クリップ格納部40の先端には、弾性変形によりその開口部47の径が縮拡可能な弾性変形部42が形成されている。クリップ格納部40の内径は、締付リング14の拡径部33の外径よりもやや大きい径とされている。
弾性変形部42は、例えば、その先端から3本のスリット44を軸方向に基端側に向けて設け、スリット44間の爪46が自在に弾性変形することで、開口部47の径が縮拡可能な構成とされる。弾性変形部42は、基端側はクリップ格納部40と同じ内径であり、先端側の内径は、クリップ格納部40の内径および締付リング14の拡径部33の外径よりも小さく、クリップ格納部40内に格納された締付リング14が開口部47から外部に出るときに弾性変形し、締付リング14の拡径部33が通過すると元の径に戻ることで、拡径部33の係止部32と開口部47とが当接して、締付リング14が再びクリップ格納部40内に戻らないように構成されている。
なお、弾性変形部42は、図示例のように、3本のスリット44を設けることには限られず、弾性変形部42が必要な強度を有していれば、2本以上、何本のスリットを形成しても良い。また、弾性変形部42は、クリップ格納部40の一部として同じ樹脂で構成されているが、本発明はこれに限定されず、所要の弾性変形が可能であれば、クリップ格納部40を形成する樹脂とは異なる材料で形成されていても良く、例えば、円周上の一部にバネを有するリングや、ゴム等で構成されてもよい。
操作ワイヤ20は、一連のクリップ処置において、複数のクリップ12を進退動作させるもので、例えば、金属ワイヤからなり、シース16内に収納され、先端部(操作部50とは反対側の端部)には接続部材21が設けられている。操作ワイヤ20の太さは、例えば直径0.7mmのワイヤを用いることができる。操作ワイヤ20は、その先端部が接続部材21によって連結部材19およびダミークリップ18を介してクリップ12に接続され、接続部材21が取り付けられていない側の基端部が操作部50に接続されている。また、上述したように、シース16の基端部も、操作ワイヤ20と共に、後述する操作部50に取り付けられている。
操作ワイヤ20の接続部材21とダミークリップ18の連結部材19とは、クリップ12および操作ワイヤ20が進退動作する際、すなわち、シース16のクリップ格納部40内を移動する際に、外れないように、一方の部材に他方の部材をはめ込むことができる形状となっている。接続部材21を連結部材19にはめ込む形状とし、接続部材21を連結部材19の空間にはめ込むことで、操作ワイヤ20が操作部50側に牽引された場合にも、接続部材21の操作部50側の面が連結部材19の開口が形成されている面により支持されるため、接続部材21が連結部材19から外れることを防止することができる。
次に、本発明の連発式クリップ処置具用操作ハンドルについて詳細に説明する。
図8は、図1に示す連発式クリップ処置具の操作ハンドル48の概略構成を模式的に示す断面図である。また、図9は、図8に示す操作ハンドル48からスライダガイド56を取り外した状態の概略構成を示す斜視図であり、図10(A)は、図8に示すスライダガイド56の概略構成を示す斜視図であり、図10(B)は、図10(A)に示すスライダガイド56の外周面の部分展開図であり、図11は、図8に示す位置規制部材58の概略構成を示す斜視図である。
図8に示すように、本発明の操作ハンドル48は、操作部50と、シース16と、操作ワイヤ20と、操作ワイヤ20の先端に取り付けられるフック状の接続部材(フック)21とを有し、操作部50は、ハンドル本体52と、スライダ54と、スライダガイド56と、位置規制部材58と、付勢ばね60と、指掛けリング62とを有する。
図8に示すように、ハンドル本体52は、外周の径が異なる3つの円筒部を持つ段差付き円管状の部材であり、図9に示すように外周の径が中間の円筒部(太径部)52aには、中心軸方向に延在する溝(係合溝)68が形成されている。このハンドル本体52は、外周の径の小さい円筒部(細径部)52bの先端部がシース16の基端と連結しており、その内部、すなわち、2つの円筒部52a、52bの内部には、シース16に挿通された操作ワイヤ20が延在して挿通されている。ハンドル本体52のうち外周の径が最も大きい部分(基端部)52cはハンドル本体52のうち最も基端側に位置し、後述する指掛けリング62が取り付けられている。
スライダ54は、ハンドル本体52の外周に配置され、ハンドル本体52の外周上をその軸方向に移動可能な円筒部材であり、糸巻の形状を有しており、操作者が指を掛けて進退方向に動かし易いようになっている。また、スライダ54は、その円筒部材の内周面の一部に中心軸側に向かって突出するように取り付けられたスライダピン70を有する。スライダピン70は、溝68に挿入され、ハンドル本体52の内部に挿通された操作ワイヤ20が固定されている。
スライダ54をハンドル本体52に対してその軸方向に移動させることで、スライダ54に固定された操作ワイヤ20をシース16に対して、その軸方向に移動させることができ、操作ワイヤ20の先端に接続されたクリップ12をシース16(クリップ格納部40)に対して移動させることができる。
図8に示すように、スライダガイド56は、ハンドル本体52の外周面上を周方向に回転可能に配置され、ハンドル本体52の軸方向におけるスライダ54の移動量を規制する円筒部材であり、ハンドル本体52の外周面の、スライダ54よりもシース16の側(クリップ格納部40の側)に配置されている。スライダガイド基部72は先端側の凸状の接合部56aと、操作者が持ってスライダガイド56を回転させるための太径部56bとからなる。また、スライダガイド56は、その先端側の凸状の接合部56aが、後述するスライダガイド56の位置、特に回転位置を規制する位置規制部材58の基端側の凹状の接合部58aに回転可能な状態で嵌入されると共に、ハンドル本体52に回転可能な状態で支持されている。
スライダガイド56の先端部分(接合部56a)の内径は、挿通されるハンドル本体52の細径部52bの外径とほぼ等しく、スライダガイド56の基端側の内径は、挿通されるハンドル本体52の太径部52aの外径とほぼ等しく、スライダガイド56は、ハンドル本体52に、詳しくは、その太径部52aおよび細径部52bにその周(回転)方向および軸方向に摺動可能に支持されている。また、スライダガイド56の基端側部分の外径は、スライダ54の内径よりわずかに小さく、スライダ54が先端側へ移動したときに、スライダガイド56の基端側部分は、スライダ54の内側へ入り込むことができる。
スライダガイド56は、操作者の操作によってその先端の位置規制部材58に対して回転移動するため、そのスライダガイド基部72(接合部56aより基端側の部分)には、操作者が持ちやすいように、その外径がスライダガイド56の基端側部分の外径より大きい太径部56bが形成され、この太径部56bの外面に傾斜面および指に応じた凹凸が形成されている。
図10(A)および(B)に示すように、スライダガイド56には、スライダの移動量を複数段階に切り替えて、すなわち2以上の異なる移動量に規制するための、ハンドル本体52の中心軸に沿って延在する、その軸方向の規制位置の異なる4本のスライダガイド溝(位置規制溝)66A、66B、66Cおよび66Dが形成されている。4本のスライダガイド溝66A、66B、66Cおよび66Dは、スライダガイド56の円周方向において、90度間隔で形成されている。
4本のスライダガイド溝66A、66B、66Cおよび66Dは、図10(B)に示すように、それぞれ溝の規制位置(すなわち、シース16側(先端側)の端部の位置)が異なる。具体的には、スライダガイド溝66Aが最も先端側で、スライダガイド溝66D、スライダガイド溝66C、スライダガイド溝66Bの順に基端側となる。
また、4本のスライダガイド溝66A、66B、66Cおよび66Dの入側(スライダ54側)には、スライダピン70がスライダガイド56の他の部分に引っかからずに、各溝に入り易いように面取りがなされている。
スライダガイド溝66A、66B、66Cおよび66Dは、スライダガイド56が回転され、所定の向きとなることにより、それぞれハンドル本体52の溝68と重なる。
スライダガイド56は、溝68と重なっているスライダガイド溝66A、66B、66Cおよび66Dにより、溝68に沿って移動するスライダピン70の、ハンドル本体52の軸方向に移動するシース16側の移動限界位置を規制する。すなわちスライダピン70は、位置規制用のスライダガイド溝66A〜66Dと係合する係合部としても機能する。
また、後に詳述するが、スライダガイド56は、回転されることで、スライダガイド溝66A、スライダガイド溝66B、スライダガイド溝66C、スライダガイド溝66D、再び、スライダガイド溝66Aの順に、ハンドル本体52の溝68と重なる。
スライダガイド溝66A〜66Dは、スライダピン70をガイドしてその移動範囲を規定することにより、クリップ処置操作時の操作ワイヤ20の移動量を規定する。
図10(A)に示すように、スライダガイド56先端の凸状の接合部56aには、位置規制部材58の凹状の接合部58aと当接する当接面(すなわち、位置規制部材58とスライダガイド56とが突き当たっている面)に、ハンドル本体52の中心軸に平行な方向かつ先端側に突出し、周方向において、当接面に対する2つの歯面の傾斜角が異なる鋸歯状の凸部57aが4つ形成されている。4つの凸部57aは、同一形状である。この凸部57aは、鋸歯形状、すなわち一方の歯面の傾斜角が緩やかでテーパ形状であり、他方の歯面の傾斜角が略直角の段差をなす断面三角形状の凸部である。また、隣接する凸部57aと凸部57aとの連結部分は、凹部57bとなり、この凹部57bも4つ形成される。
図8および図11に示すように、位置規制部材58は、スライダガイド56の位置、特に回転位置を規制する段付き円筒部材であり、内部の貫通孔にハンドル本体52の細径部52bが挿通され、この貫通孔の内周面がハンドル本体52の細径部52bに固定されることにより、スライダガイド56よりも先端側においてハンドル本体52に固定される。また、位置規制部材58は、その基端側に、スライダガイド56の先端側の凸状の接合部56aが回転可能な状態で嵌入される凹状の接合部58aを備える。
位置規制部材58の凹状の接合部58aは、スライダガイド56の凸状の接合部56aと当接する当接面(つまり、位置規制部材58とスライダガイド56とが突き当たっている面)に、接合部56aの先端面の凸部57aと噛み合う形状の凸部59aが形成されている。すなわち接合部58aには、ハンドル本体52の中心軸に平行な方向で基端側に突出し、周方向において、当接面に対する2つの歯面の傾斜角が異なる鋸歯状の凸部59aが4つ形成されている。4つの凸部59aは、同一形状である。この凸部59aは、鋸歯形状、つまり、一方の歯面の傾斜角が緩やかでテーパ形状であり、他方の歯面の傾斜角が略直角の段差をなす断面三角形状の凸部である。また、隣接する凸部59aと凸部59aとの連結部分は、凹部59bとなり、この凹部59bも4つ形成される。
上述したように、スライダガイド56の接合部56aにも、位置規制部材58との当接面に位置規制部材58の接合部58aの凹凸(4つの凹部59bと凸部59a)に対応する凹凸(4つの凹部57bと凸部57a)が、凸部の両側の歯面の傾斜角が逆になるように形成されている。
位置規制部材58の接合部58aは、自身の凹凸とスライダガイド56の接合部56aの凹凸とが噛み合う(嵌合する)位置となった時に、すなわち、凸部59aが凹部57bに、凸部57aが凹部59bにそれぞれ嵌った状態になった時に、スライダガイド56の4本のスライダガイド溝66A、66B、66Cおよび66Dのうちのいずれか1つと、ハンドル本体52の溝68とが重なるようにスライダガイド56の回転方向および軸方向の位置を規制するように形成されている。
このように、位置規制部材58とスライダガイド56とは、両者の当接面に設けられたテーパ形状と段差とにより、スライダガイド56の回転方向および軸方向の少なくとも一方の位置を規制することができる。
また、位置規制部材58とスライダガイド56とが、両接合部58aおよび56aの鋸歯形状の凹凸で嵌合しているため、スライダガイド56は、一方向、具体的には、スライダガイド56の接合部56aの凸部57aの傾斜角が急激な歯面(段差)が、その歯面(段差)と接している位置規制部材58の接合部58aの凸部59aの傾斜角が急激な歯面(段差)から離れる方向のみに回転する。すなわち、例えば、スライダガイド56の接合部56aの凸部57aが、後述する付勢ばね60の付勢力に抗して、対向する位置規制部材58の接合部58aの傾斜角が緩やかな歯面(テーパ形状面)に沿ってその凹部59bから凸部59a方向に回転し、その後、凸部59aから傾斜角が急激な歯面(段差)を沿って次の凹部59bに移動して、凹部59bと凸部57aがかみ合わされる。
付勢ばね60は、ハンドル本体52の細径部52bの外周に巻きつくように配置され、一方の端部がスライダガイド56と接し、他方の端部がハンドル本体52の径の小さい円筒と径の大きい円筒の境界面(中心軸に直交する面)と接している。付勢ばね60は、スライダガイド56を位置規制部材58側に付勢している圧縮ばねである。
このように、付勢ばね60により、スライダガイド56を位置規制部材58側に付勢することで、オペレータ等からの外力が作用しない場合は、凹部と凸部がかみ合ったスライダガイド56が位置規制部材58に対して回転しない構成となっている。
指掛けリング62は、ハンドル本体52の基端側、すなわちシース16と連結している側とは反対側の端部に取り付けられたリング状部材である。指掛けリング62は、ハンドル本体52に対して、ハンドル本体52の中心軸を軸とした周方向に回転可能に支持されている。操作者は、スライダ54を操作する際に、指を指掛けリング62に掛け、スライダ54を指掛けリング62側に牽引することで、操作ワイヤ20の牽引量を調整することができる。
また、操作ワイヤ20の操作部50内に挿通されている部分には、補強管64が嵌合されている。補強管64は、スライダ54により操作ワイヤ20が移動させられる際に、ハンドル本体52の内部で屈曲しないように、また、折れることがないように、操作ワイヤ20を補強している。
操作ハンドル48およびその操作部50は、基本的に以上のような構成である。
溝68にスライダガイド溝66Aが重なっている場合に、スライダピン70とスライダガイド溝66Aのシース16側の端部とが接触するまで、スライダ54を移動させると、操作ワイヤ20の先端の接続部材21がシース16(クリップ格納部40)の先端から突出する。また、溝68にスライダガイド溝66Bが重なっている場合に、スライダピン70とスライダガイド溝66Bのシース16側の端部とが接触するまで、スライダ54を移動させると、第1クリップ12Aがシース16から脱落しない所定の位置まで、シース16から突出する。これにより、第1クリップ12Aがクリップ処置可能な状態となる。
同様に、溝68にスライダガイド溝66Cが重なっている場合に、スライダピン70とスライダガイド溝66Cのシース16側の端部とが接触するまで、スライダ54を移動させると、第2クリップ12Bがシース16(クリップ格納部40)から脱落しない所定の位置まで、シース16から突出する。これにより、第2クリップ12Bがクリップ処置可能な状態となる。同様に、溝68にスライダガイド溝66Dが重なっている場合に、スライダピン70とスライダガイド溝66Dのシース16側の端部とが接触するまで、スライダ54を移動させると、第3クリップ12Cがシース16(クリップ格納部40)から脱落しない所定の位置まで、シース16から突出する。これにより、第3クリップ12Cがクリップ処置可能な状態になる。
ここで、操作ハンドル48内の各部は、以下の材料で作製することが好ましい。
シース16や、操作ワイヤ20や、スライダピン70等の金属製部材は、オーステナイト系ステンレス(例えば、SUS303、SUS304、SUS316等)、析出硬化系ステンレス(例えば、SUS630、SUS631等)で作製することが好ましく、耐摩耗性の観点から析出硬化系ステンレスで作製することがより好ましい。
また、スライダ54や、ハンドル本体52や、スライダガイド56等の樹脂部品は、PPSU(ポリフェニルサルホン)、PSU(ポリサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PASF(ポリアリルサルホン)等、滅菌適性のある樹脂で作製することが好ましい。
また、スライダピンおよびスライダガイド溝の端面は、接触し、一定程度の力が働くため、共に、摺動性、耐摩耗性が良好な材料で作製することが好ましい。これらの材料で作製することで、スライダピン、スライダガイド溝端面の磨耗を抑止することができる。
また、スライダピンおよびスライダガイド溝の端面には、フッ素樹脂、またはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を成膜することも好ましい。上記組成の膜を成膜することで、耐摩耗性、摺動性を向上させることができる。特に、DLCの膜を成膜することで、摩擦抵抗(μ)を低減させ、かつ、表面硬度を高くすることによって、スライダピンとスライダガイド溝に何も成膜しなかった場合に比べて耐摩耗性を大幅に向上させることができる。
また、操作ハンドル48は、毎回の処置ごとに洗浄・滅菌が行われるため、γ線滅菌、EOG滅菌適性(耐エチレンオキサイドガス適性)、オートクレーブ滅菌適性(耐熱、耐蒸気適性)を有する材料で作製することが好ましい。なお、操作ハンドル48を使い捨てにする場合は、上記特性を持たない材料で作製してもよい。
次に、図1〜図11に示す本発明の連発式クリップ処置具の作用について説明する。
図12は、クリップ処置動作時のスライダガイドとスライダのスライダピンとの位置関係を示す部分展開図である。
まず、スライダガイド56をスライダガイド溝66Aが溝68と重なる向きとし、スライダ54をハンドル本体52の指掛けリング62側の移動領域の端部(以下、ハンドル本体52の指掛けリング62側の移動領域の端部を「ホームポジション」という。)まで移動させる。つまり、スライダ54のスライダピン70を、図12中の位置P1に移動させる。このとき、操作ワイヤ20はシース16内に引き込まれた状態となっている。この状態を操作ワイヤ20の初期状態とする。
次に、スライダ54を、スライダピン70がスライダガイド溝66Aのシース16側の端部に当たる位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P2に移動させ)、シース16(クリップ格納部40)の先端から操作ワイヤ20の接続部材21を突出させる。
その後、3つのクリップ12が連結されたクリップ列13のダミークリップ18の連結部材19を操作ワイヤ20の接続部材21に取り付ける。
3つのクリップ12が連結されたクリップ列13のダミークリップ18の連結部材19を、操作ワイヤ20の接続部材21に取り付けた後、シース16のクリップ格納部40の先端の弾性変形部42の開口部37を、例えば専用の治具を用いて、クリップ列13の締付リング14の拡径部33の最大直径となる係止部32が通過できる直径となるように拡径しておき、スライダ54をホームポジションまで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P3に移動させ)、3つのクリップ12が連結されたクリップ列13の3つの締付リング14の各拡径部33の最大直径となる係止部32を弾性変形部42の開口部37を通過させて、ダミークリップ18に連結されたクリップ列13の3つのクリップ12をシース16のクリップ格納部40内に格納する。
その後、シース16を先端(クリップ格納部40)から、生体内に挿入された内視鏡の鉗子口等に挿入し、シース16の先端(クリップ格納部40)を内視鏡の挿入部の先端まで到達させ、内視鏡の先端から突出させる。
その後、スライダガイド56のスライダガイド溝66Bが溝68と重なるように、スライダガイド56を90°回転させる。これにより、スライダピン70は、スライダガイド溝66Bの延長線上のホームポジション(図12中の位置P4)に移動される。なお、スライダガイド56の基端側には、ハンドル本体52の基端部52cとの間に間隔があり、スライダガイド56を回転させるとき、スライダガイド56の凸部57aが位置規制部材58の凸部59aを乗り越えるため、すなわちロック爪を乗り越えるための、スライダガイド56が基端側へわずかに移動することができるロック爪乗り越え高さが確保されている。
次に、スライダ54をスライダガイド溝66Bのシース16側の端部(つまり、クリッピング待機位置)まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P5に移動させ)、シース16の先端から、すなわちクリップ格納部40の弾性変形部42から、第1クリップ12A、および、第1クリップ12Aを締め付ける締付リング14Aの係止部32を、弾性変形部42から突出させる。
ここで、クリッピング待機位置とは、クリップ(ここでは、第1クリップ12A)がシース16(クリップ格納部40の弾性変形部42)から脱落せず、かつ構成部品の寸法のバラツキ、ワイヤおよびシースの内外周差により、突出量が減少した場合でも、締付リング14の拡径部33がシース16先端の弾性変形部42から突出して、利用可能な状態となる位置である。
その後、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的には、クリッピング開始位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P5’に移動させ)、第1クリップ12Aを締め付ける締付リング14Aの係止部32を、弾性変形部42の先端に接触させる。クリッピング開始位置まで牽引することで、第1クリップ12Aが突出しすぎている場合でも、係止部32と弾性変形部42の先端とを接触させることができ、第1クリップ12Aによる処置が可能な状態となる。
このように、クリッピング待機位置からクリッピング開始位置までの距離が、構成部品の寸法のバラツキやワイヤおよびシースの内外周差のバッファとなり、一度、クリッピング待機位置まで突出させることで、誤差によらず、拡径部33を弾性変形部42から突出させることができ、その後、クリッピング開始位置まで牽引することで、誤差によらず、係止部32と弾性変形部42の先端とを接触させることができる。
これにより、弾性変形部42、すなわちシース16(弾性変形部42)からの突出し過ぎに起因するクリップ12の脱落事故等をより確実に防止でき、また、確実に保持された第1クリップ12Aを、しっかりとクリッピングする生体に押しつけることができる。
その後、クリップ処置具10を移動させて、拡開した第1クリップ12Aの爪部22、22をクリップ処置したい患部等の疾患部位に押し付けて、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的にはクリッピング完了位置(つまり、スライダピン70を図12の位置中P6)まで移動させる。
このとき、締付リング14Aは、その係止部32が弾性変形部42(シース16)先端の開口部47と係合することにより、クリップ格納部40(シース16)内への後退が阻止されている。そのため、先頭の第1クリップ12Aは、締付リング14Aに対して後退する。締付リング14Aが、第1クリップ12Aの腕部28の基部28bに沿って交差部26側から凸部30の直下まで押し込まれることにより、爪部22、22が疾患部位をクリップし、締付リング14Aによる第1クリップ12Aの締め付けが完了する。
それと同時に、第1クリップ12Aと次の第2クリップ12Bとの係合部が締付リング14Aの後端から抜け出る。第1クリップ12Aと第2クリップ12Bの係合部が締付リング14Aから外れると、第2クリップ12Bのバネ力によって腕部28がクリップ格納部40の内壁に当たるまで拡開し、爪部22、22の間が第1クリップ12Aのターン部24の幅よりも広く開いて、第1クリップ12Aと第2クリップ12Bとの連結が解除される。それにより、第1クリップ12Aおよび締付リング14Aは、クリップ格納部40(シース16)から離脱可能となり、第1クリップ12Aおよび締付リング14Aによる疾患部位のクリップ処置が完了する。
一方、後続のクリップ12Bおよび12Cは、締付リング14Bおよび14Cによって、締付リング14Bおよび14Cに対して回転方向および進退方向に移動しないように保持されている。さらに、クリップ12Bおよび12Cに係合する第3クリップ12Cの爪部22およびダミークリップ18の爪部の広がろうとする力(付勢力)によって、爪部22が締付リング14Bおよび14Cの内壁に押し付けられており、クリップ12Bおよび12Cと締付リング14Bおよび14Cとの間の摩擦力が高まっている。そのため、締付リング14Bおよび14Cは、クリップ14Bおよび14Cの移動とともに移動する。
すなわち、先頭の第1クリップ12Aおよびそれを保持する締付リング14A以外のクリップ12Bおよび12Cと締付リング14Bおよび14Cとは、クリップ格納部40(シース16)に対して一体的に進退移動し、クリップ14Bおよび14C、およびダミークリップ18の連結状態は、締付リング14Bおよび14Cによって維持される。
第1クリップ12Aおよび締付リング14Aによるクリップ処置が完了したら、スライダ54をホームポジションまで移動させる。つまり、スライダピン70を図12中の位置P7に移動させる。これにより、クリップ12Bおよびクリップ12Cは、クリップ格納部40の内部に引き込まれた状態となる。
なお、スライダピン70のクリッピング開始位置P5’からクリッピング完了位置P6を経てホームポジションP7までの移動は、一連の動作で行ってもよい。また、例えばクリッピング待機位置において、先頭の第1クリップ12Aがしっかりと保持されており、脱落の可能性が無い(極めて低い)場合であれば、クリッピング待機位置からクリッピング開始位置まで、一度スライダ54を戻す動作をせずに、クリッピング待機位置からホームポジションまで、一気にスライダ54を引き戻してクリップ処置を行ってもよい。
次に、スライダガイド56のスライダガイド溝66Cが溝68と重なるように、スライダピン70をスライダガイド56に沿わせながら、スライダガイド56を90°回転させる。これにより、スライダピン70は、スライダガイド溝66Cの延長線上の位置P8(図12)に移動される。
以下、第2クリップ12B、第3クリップ12Cについても、第1クリップ12Aと同様の操作により、クリップ処置が行われる。
まず、スライダ54をスライダガイド溝66Cのシース16側の端部(つまり、クリッピング待機位置)まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P9に移動させ)、クリップ格納部40の先端から第2クリップ12Bを突出させ、第2クリップ12Bの拡径部33を弾性変形部42から突出させる。
次に、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的には、クリッピング開始位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P9’に移動させ)、第2クリップ12Bの係止部32を弾性変形部42の先端の開口部47に接触させる。
その後、クリップ処置具10を移動させて、拡開した第2クリップ12Bの爪部22、22をクリップ処置したい部位に押し付けて、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的にはクリッピング完了位置(つまり、スライダピン70を図12中の位置P10)まで移動させる。
スライダ54をクリップ完了位置まで移動させることで、第2クリップ12Bによる締め付けが完了し、第2クリップ12Bと第3クリップ12Cとの連結が解除され、第2クリップ12Bおよび締付リング14Bは、シース16(クリップ格納部40の弾性変形部42)から離脱可能となり、第2クリップ12Bおよび締付リング14Bによる疾患部位のクリップ処置が完了する。
第2クリップ12Bおよび締付リング14Bによるクリップ処置が完了したら、スライダ54(スライダピン70)を位置P11(図12)まで移動させる。これにより、第3クリップ12Cは、クリップ格納部40の内部に引き込まれた状態となる。
その後、スライダガイド56のスライダガイド溝66Dが溝68と重なるように、スライダピン70をスライダガイド56に沿わせながら、スライダガイド56を90°回転させる。これにより、スライダピン70は、スライダガイド溝66Dの延長線上の位置P12(図12)に移動される。
次に、スライダ54をスライダガイド溝66Dのシース16側の端部(つまり、クリッピング待機位置)まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P13に移動させ)、シース16の先端から第3クリップ12Cを突出させ、第3クリップ12Cの拡径部33を弾性変形部42から突出させる。
その後、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的にはクリッピング開始位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P13’に移動させ)、第3クリップ12Cの係止部32を弾性変形部42の先端の開口部47に接触させる。
その後、クリップ処置具10を移動させて、拡開した第3クリップ12Cの爪部22、22をクリップ処置したい部位に押し付けて、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的にはクリッピング完了位置(つまり、スライダピン70を図12中の位置P14)まで移動させる。
スライダ54をクリッピング完了位置まで移動させることで、第3クリップ12Cによる締め付けが完了し、第3クリップ12Cとダミークリップ18の連結が解除され、第3クリップ12Cおよび締付リング14Cは、シース16(弾性変形部42)から離脱可能となり、第3クリップ12Cおよび締付リング14Cによる疾患部位のクリップ処置が完了する。
第3クリップ12Cおよび締付リング14Cによるクリップ処置が完了したら、スライダ54(スライダピン70)を位置P15(図12)まで移動させる。これにより、ダミークリップ18は、クリップ格納部40の内部に引き込まれた状態となる。
その後、スライダガイド56のスライダガイド溝66Aが溝68と重なるように、スライダピン70をスライダガイド56に沿わせながら、スライダガイド56を90°回転させる。これにより、スライダピン70は、スライダガイド溝66Aの延長線上の位置P16(図12)に移動される。
その後、シース16が内視鏡から抜き取られる。
さらに、シース16が抜き取られた後、スライダ54をスライダガイド溝66Aのシース16側の端部まで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中P2に移動させ)、シース16の先端、すなわちクリップ格納部40から接続部材21、ダミークリップ18および連結部材19を突出させる。
その後、処理を終了する場合は、ダミークリップ18および連結部材19を取り外し、スライダ54をホームポジションに移動させる。
また、別のクリップでクリップ処置を行う場合は、ダミークリップ18および連結部材19を取り外した後、別の3つのクリップ12が連結されたダミークリップ18の連結部材19を接続部材21に取り付け、上述した工程を繰り返す。
クリップ処置具10は、以上のようにして、患部のクリップ処置に供される。
以上のように、本発明のクリップ処置具によれば、シースを引き抜くことなく、複数回のクリッピングを行うことができる。すなわち、クリップ同士を連結させ、順番にクリッピングを行うことで、1本の操作ワイヤで複数のクリップのクリッピングを操作することができる。
また、スライダガイドを設け、第1クリップであるか、第2クリップであるか等によって、クリップの進退を操作するスライダの移動量を規制することにより、操作者がスライダの移動量をその都度調整することなく、クリップをシースから適切な長さだけ突出させることができ、操作性を高くすることができる。また、クリップが突出しすぎて抜け落ちることを防止でき、誤操作を防止することができる。
また、1つのスライダガイドを回転させる操作および1つのスライダを牽引する操作のみで、クリップ処置を行うことができるため、この点での誤操作を発生しにくくすることができる。
また、1つのスライダガイドと1つのスライダで、複数のクリップを順番に操作することができるため、使用するクリップの順番を間違える可能性を少なくすることができる。
また、1つの操作機構で、複数のクリップを操作できるため、操作ハンドルおよびクリップ処置具を構成する構成物品の数を少なくすることができ、装置コストを低減し、製造工数を少なくすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図13(A)、(B)に示す本発明の第2の実施形態のクリップ処置具100は、図1に示す本発明の第1の実施形態のクリップ処置具10と、クリップ12の寸法、締付リング14の長さ、およびスライダガイドのパターンを除いて、同様の構成を有するものであり、図1に示すクリップ処置具10の場合と同様に、図8に示す操作部50を適用できるものであり、図1に示すクリップ処置具10に比べ、締付リング14の長さを短くし、クリップ12の爪部22が締付リング14の外、すなわちクリップ12の腕部28がクリップ格納部40の内壁に接するようにしたものであり、その他の構成は図3に示すクリップ処置具10と基本的に同様であるので、同様の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。以下、主に、本実施形態のクリップ処置具11が図9に示すクリップ処置具10と異なる点について説明する。
図13(A)は、本発明の連発式クリップ処置具の先端部の概略構成を示す断面図であり、図13(B)は、図13(A)と90度異なる角度から見た断面図である。
クリップ列84も、クリップ列13と同様に、複数のクリップ74と、複数の締付リング76と、ダミークリップ18と、連結部材19とを有する。
図13(A)および(B)に示すように、図示例の処置具100は、3つのクリップ74(74A、74B、74C)が連結されて、シース16の先端のクリップ格納部40に収容されている。
各クリップ74は、前のクリップ74のターン部24を後のクリップ74の爪部75で挟み込むことによって連結されている。また、最後尾のクリップ76Cには、操作ワイヤ20に連結部材19を介して係合されるダミークリップ18が連結される。
なお、図13(A)および(B)は、先頭のクリップ74Aによるクリップ処置動作開始直前の初期状態(スタンバイ状態)を示している。
クリップ74は、クリップ12とほぼ同様の形状であるが、先発クリップ74のターン部24は締付リング76の後端から、後発クリップ74の爪部75、75で挟み込むことができるだけ飛び出している。また、爪部75、75は、クリップ格納部40の内壁により、腕部28が閉じられた状態で先発クリップ74のターン部24を挟み込むことができるように、クリップ12の爪部22に比べ長くなっている。
図13(A)および(B)に示すように、第1クリップ74Aと第2クリップ74Bは、第2クリップ74Bの爪部75、75が第1クリップ74Aのターン部24を間に挟み込んで係合し、第2クリップ74Bの腕部28が閉じた状態でクリップ格納部40の内壁により保持されることで連結状態とされる。すなわち、クリップ列84が先端側に押されたときは、第2クリップ74Bの片方の爪部75が第1クリップ74Aのターン部24を押し、クリップ列84が基端側へ引かれたときは、第2クリップ74Bのもう一方の爪部75が第1クリップ74Aのターン部24を引っ張るように連結されている。
締付リング76は、クリップ74の交差部26の近傍の所定位置にセットされ、ターン部24をほぼ覆うような形で、クリップ格納部40に進退可能に嵌入されている。締付リング76は、締付リング14に比べその全長のうちストレート部35が短くなっている。
クリップ列84が先端側に押されたときは、後発クリップ74の片方の爪部75が先発クリップ74のターン部24、および締付リング76の底面を押し、クリップ列84が基端側へ引かれたときは、後発クリップ74のもう一方の爪部22が先発クリップ74のターン部24を引っ張ることができる状態で保持されている。
締付リング76の全長は、クリップ処置時にクリップ74を保持し、締め付けることができる長さであればよい。本実施形態においては、後発クリップ74の腕部28はクリップ格納部40の内壁で保持されているので、クリップ74が締め付けられていく間、締付リング76内で腕部28を保持する必要がなく、第1実施形態の締付リング14に比べてストレート部35を短くすることができる。
締付リング76による締め付けが完了した後、第1実施形態と異なり、操作ワイヤ20を牽引するだけでは2つのクリップ74、74の係合が外れないため、再度連結クリップ体を押す必要がある。生体を把持した先発クリップ74は、締付リング76によって締め付けられているので、再度押し出されると締付リング76はクリップ格納部40の先端、すなわち弾性変形部42から離れていく。さらに押し出されると、後発クリップ74の腕部28もクリップ格納部40の先端から突出し、その先端の爪部75は開き、先発クリップ74のターン部24から外れることにより、2つのクリップ74、74の連結が解除される。
穴37の内部には、後発クリップ74の腕部28が挿入されないことから、第1実施形態と異なり、溝は形成されていない。
後発クリップ74(例えば、74C)の先発クリップ74(例えば、74B)への潜り込みは、後発クリップ74の爪部75が、先発クリップ74の締付リング76の底面を押すことで防止することができ、その結果、先後発(前後)のクリップ74の相対位置を維持でき、操作ワイヤ20(スライダ54:図8参照)によるクリップ74の押出操作を維持できる。
図13に示すように最後尾の第3クリップ74Cには、クリップ処置には用いられないダミークリップ78が係合している。ダミークリップ78は、先端部に、クリップ74の交差部26から開放端側半分の部分と類似の形状をしたバネ性を持つ部分を有しており、爪部を閉じた状態で第3クリップ74Cのターン部に係合し、爪部を開くと第3クリップ74Cを開放する。また、ダミークリップ78の基端部には連結部材19が取り付けられている。この連結部材19は、操作ワイヤ20の先端のフック状の接続部材(フック)21に着脱可能に接続されている。
図14は、本実施形態におけるクリップ処置動作時のスライダガイドとスライダのスライダピンとの位置関係を示す部分展開図である。
スライダ54の移動量を規制するスライダガイドは、第1実施形態と本実施形態とでスライダ54の動きが異なるため、図14に示す、スライダガイド溝のパターンが異なるスライダガイド80を用いる。
スライダガイド80のスライドガイド溝82A、82B、82C、および82Dは、図14に示すように、それぞれ溝の規制位置(すなわち、シース16側(先端側)の規制位置)が異なり、さらに、スライダガイド溝82B、82C、および82Dの規制位置を結んだ線上に設けられたスライダガイド溝82Eによって接続されている。具体的には、スライダガイド溝82Aが最も先端側で、スライダガイド溝82D、スライダガイド溝82C、スライダガイド溝82Bの順に基端側となる。
また、4本のスライダガイド溝82A、82B、82C、および82Dの入側、すなわち、スライダガイド溝82A、82Bの基端側、および、スライダガイド溝82C、82Dの先端側には、スライダピン70がスライダガイド80の他の部分に引っかからずに、各溝に入り易いように面取りがなされている。
スライダガイド溝82A、82B、82C、および82Dは、スライダガイド80が回転され、所定の向きとなることにより、それぞれハンドル本体52の溝68と重なる。
スライダガイド80は、溝68と重なっているスライダガイド溝82A、82B、82C、および82Dにより、溝68に沿って移動するスライダピン70の、ハンドル本体52の軸方向に移動するシース16側の移動限界位置を規制する。すなわち、スライダピン70は、位置規制用のスライダガイド溝82A〜82Dと係合する係合部としても機能する。
また、スライダガイド80は、回転されることで、スライダガイド溝82A、スライダガイド溝82B、スライダガイド溝82C、スライダガイド溝82Dの順に、ハンドル本体52の溝68と重なり、スライダガイド溝82Eに沿って逆回転させることで、再び、スライダガイド溝82Aが、ハンドル本体52の溝68と重なる。
スライダガイド溝82A〜82Eは、スライダピン70をガイドしてその移動範囲を規定することにより、クリップ処置操作時の操作ワイヤ20の移動量を規定する。
スライダガイド溝82Cおよび82Dは、クリッピング完了後にスライダピン70が、再度それぞれのクリッピング待機位置を通り、スライダガイド溝82Eに沿って動くことでクリップ74が解放されるため、基端側は閉じた構造となっている。これにより、必要以上に操作ワイヤ20を牽引して、クリップ74が変形することを防ぐことができる。
また、クリッピング待機位置を結ぶスライダガイド溝82Eを設けることで、クリッピングが完了したクリップ74を解放しつつ、そのまま押し出すことで次のクリップ74のクリッピング待機状態とすることができる。
次に、図13および図14に示す本実施形態の連発式クリップ処置具の作用について説明する。
まず、スライダガイド80をスライダガイド溝82Aが溝68と重なる向きとし、スライダ54をハンドル本体52の指掛けリング62側の移動領域の端部(ホームポジション)まで移動させる。つまり、スライダ54のスライダピン70を、図14中の位置P1に移動させる。このとき、操作ワイヤ20はシース16内に引き込まれた状態となっている。この状態を操作ワイヤ20の初期状態とする。
次に、スライダ54を、スライダピン70がスライダガイド溝82Aのシース16側の端部に当たる位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図14中の位置P2に移動させ)、シース16(クリップ格納部40)の先端から操作ワイヤ20の接続部材21を突出させる。
その後、3つのクリップ74が連結されたクリップ列84のダミークリップ78の連結部材19を操作ワイヤ20の接続部材21に取り付ける。
3つのクリップ74が連結されたクリップ列84のダミークリップ78の連結部材19を、操作ワイヤ20の接続部材21に取り付けた後、シース16のクリップ格納部40の先端の弾性変形部42の開口部37を、例えば専用の治具を用いて、クリップ列84の締付けリング76の拡径部33の最大直径となる係止部32が通過できる直径となるように拡径しておき、スライダ54をホームポジションまで移動させ(つまり、スライダピン70を図12中の位置P3に移動させ)、3つのクリップ74が連結されたクリップ列84の3つの締付けリング76の各拡径部33の最大直径となる係止部32を弾性変形部42の開口部37を通過させて、ダミークリップ78に連結されたクリップ列84の3つのクリップ74をシース16のクリップ格納部40内に格納する。
その後、シース16を先端(クリップ格納部40)から、生体内に挿入された内視鏡の鉗子口等に挿入し、シース16の先端(クリップ格納部40)を内視鏡の挿入部の先端まで到達させ、内視鏡の先端から突出させる。
その後、スライダガイド80のスライダガイド溝82Bが溝68と重なるように、スライダガイド80を90°回転させる。これにより、スライダピン70は、スライダガイド溝82Bの延長線上のホームポジション(図14中の位置P4)に移動される。なお、スライダガイド80の基端側には、ハンドル本体52の基端部52cとの間に間隔があり、スライダガイド80を回転させるとき、スライダガイド80の凸部57aが位置規制部材58の凸部59aを乗り越えるため、すなわちロック爪を乗り越えるための、スライダガイド80が基端側へわずかに移動することができるロック爪乗り越え高さが確保されている。
次に、スライダ54をスライダガイド溝82Bのシース16側の端部、すなわちスライダガイド溝82Eとの接続部分(クリッピング待機位置)まで移動させ(つまり、スライダピン70を図14中の位置P5に移動させ)、シース16の先端から、すなわちクリップ格納部40の弾性変形部42から、第1クリップ74A、および、第1クリップ74Aを締め付ける締付リング76Aの係止部32を、弾性変形部42から突出させる。
その後、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的には、クリッピング開始位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図14中の位置P5’に移動させ)、第1クリップ74Aを締め付ける締付リング76Aの係止部32を、弾性変形部42の先端の開口部47に接触させる。
その後、クリップ処置具10を移動させて、拡開した第1クリップ74Aの爪部75、75をクリップ処置したい患部等の疾患部位に押し付けて、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的にはクリッピング完了位置(つまり、スライダピン70を図14の位置中P6)まで移動させる。
このとき、締付リング76Aは、その係止部32が弾性変形部42(シース16)先端の開口部47と係合することにより、クリップ格納部40(シース16)内への後退が阻止されている。そのため、先頭の第1クリップ74Aは、締付リング76Aに対して後退する。締付リング76Aが、第1クリップ74Aの腕部28の基部28bに沿って交差部26側から凸部30の直下まで押し込まれることにより、爪部75、75が疾患部位をクリップし、締付リング76Aによる第1クリップ74Aの締め付けが完了する。
次に、スライダ54を、再度スライダガイド溝82Bのシース16側の端部(つまり、クリッピング待機位置P5)まで移動させ、さらに、スライダガイド溝82Eに沿って移動させる。このとき、スライダガイド80はスライダ54を押す力によって回転され、または、操作者の手でスライダガイド80を回転されることによって、スライダピン70は、スライダガイド溝82Eに沿って動き、クリップ解放位置P7まで移動したとき、第2クリップ74Bの爪部75、75の間が第1クリップ74Aのターン部24の幅よりも広く開いて、第1クリップ74Aと第2クリップ74Bとの連結が解除される。それにより、第1クリップ74Aおよび締付リング76Aは、クリップ格納部40(シース16)から離脱可能となり、第1クリップ74Aおよび締付リング76Aによる疾患部位のクリップ処置が完了する。
一方、後続のクリップ74Bおよび74Cは、それぞれ、クリップ74Cおよびダミークリップ78により、回転方向および進退方向に移動しないように保持されている。
すなわち、先頭の第1クリップ74Aおよびそれを保持する締付リング76A以外のクリップ74Bおよび74Cと締付リング76Bおよび76Cとは、クリップ格納部40(シース16)に対して一体的に進退移動する。
第1クリップ74Aおよび締付リング76Aによるクリップ処置が完了したら、そのままスライダ54を回転させ、スライダガイド80のスライダガイド溝82Cが溝68と重なるように、スライダ54を第2クリップ74Bのクリッピング待機位置P8まで移動させる。すなわち、スライダガイド80は、スライダガイド溝82Bが溝68と重なる状態から、スライダガイド溝82Cが溝68と重なる状態まで、90°回転され、これにより第2クリップ74Bはクリッピング待機状態となる。
以下、第2クリップ74B、第3クリップ74Cについても、第1クリップ74Aと同様の操作により、クリップ処置が行われる。
スライダ54(スライダピン70)は、既にクリッピング待機位置P8にあるので、クリップ格納部40の先端から第2クリップ74Bが突出され、第2クリップ74Bの拡径部33が弾性変形部42から突出させられた状態にある。
次に、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的には、クリッピング開始位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図14中の位置P8’に移動させ)、第2クリップ74Bの係止部32を弾性変形部42の先端の開口部47に接触させる。
その後、クリップ処置具10を移動させて、拡開した第2クリップ74Bの爪部75、75をクリップ処置したい患部等の疾患部位に押し付けて、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的にはクリッピング完了位置(つまり、スライダピン70を図14の位置中P9)まで移動させる。
スライダ54をクリップ完了位置まで移動させることで、第2クリップ74Bによる締め付けが完了し、再度、スライダ54をスライダガイド溝82Cのシース16側の端部(つまり、クリッピング待機位置P8)まで移動させ、さらに、スライダガイド溝82Eに沿って移動させることで、クリップ解放位置P10を通り、第2クリップ74Bと第3クリップ74Cとの連結が解除される。
これにより、第2クリップ74Bおよび締付リング76Bは、シース16(クリップ格納部40の弾性変形部42)から離脱可能となり、第2クリップ74Bおよび締付リング76Bによる疾患部位のクリップ処置が完了する。そして、さらにスライダピン70をスライダガイド溝82Eに沿って、第3クリップ74Cのクリッピング待機位置P11まで移動させ、すなわちスライダガイド80を、第2クリップ74Bのクリッピング待機位置P8から90°回転させることで、第3クリップ74Cはクリッピング待機状態となる。
スライダ54(スライダピン70)は、既にクリッピング待機位置P11にあるので、クリップ格納部40の先端から第3クリップ74Cが突出され、第3クリップ74Cの拡径部33が弾性変形部42から突出させられた状態にある。
次に、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的には、クリッピング開始位置まで移動させ(つまり、スライダピン70を図14中の位置P11’に移動させ)、第3クリップ74Cの係止部32を弾性変形部42の先端の開口部47に接触させる。
その後、クリップ処置具10を移動させて、拡開した第3クリップ74Cの爪部75、75をクリップ処置したい患部等の疾患部位に押し付けて、スライダ54を指掛けリング62側に所定距離、具体的にはクリッピング完了位置(つまり、スライダピン70を図14の位置中P12)まで移動させる。
スライダ54をクリップ完了位置まで移動させることで、第3クリップ74Cによる締め付けが完了し、再度、スライダ54をスライダガイド溝82Dのシース16側の端部(つまり、クリッピング待機位置P11)まで移動させ、さらに、スライダガイド溝82Eに沿ってクリップ解放位置P13まで移動させることで、、第3クリップ74Cとダミークリップ78との連結が解除される。
これにより、第3クリップ74Cおよび締付リング76Cは、シース16(弾性変形部42)から離脱可能となり、第3クリップ74Cおよび締付リング76Cによる疾患部位のクリップ処置が完了する。
第3クリップ74Cおよび締付リング76Cによるクリップ処置が完了したら、スライダ54をホームポジションまで移動させる。つまり、クリップ処置時とは逆向きにスライダガイド80を回転させ、スライダピン70を、スライダガイド溝82Eおよび82Bを経由して、図14中の位置P14に移動させる。これにより、ダミークリップ78は、クリップ格納部40の内部に引き込まれた状態となる。
その後、スライダガイド80のスライダガイド溝82Aが溝68と重なるように、スライダガイド80をクリップ処置時とは逆向きに90°回転させる。これにより、スライダピン70は、スライダガイド溝82Aの延長線上のホームポジション(図14中の位置P15)に移動される。
その後、シース16が内視鏡から抜き取られる。
さらに、シース16が抜き取られた後、スライダ54をスライダガイド溝82Aのシース16側の端部まで移動させ(つまり、スライダピン70を図14中P2に移動させ)、シース16の先端、すなわちクリップ格納部40から接続部材21、ダミークリップ78および連結部材19を突出させる。
その後、処理を終了する場合は、ダミークリップ78および連結部材19を取り外し、スライダ54をホームポジションに移動させる。
また、別のクリップでクリップ処置を行う場合は、ダミークリップ78および連結部材19を取り外した後、別の3つのクリップ12が連結されたダミークリップ78の連結部材19を接続部材21に取り付け、上述した工程を繰り返す。
クリップ処置具100は、以上のようにして、患部のクリップ処置に供される。
以上のように、本発明の第2実施形態のクリップ処置具によっても、シースを引き抜くことなく、複数回のクリッピングを行うことができる。すなわち、クリップ同士を連結させ、順番にクリッピングを行うことで、1本の操作ワイヤで複数のクリップのクリッピングを操作することができる。
また、上述したクリップ処置具100では、スライダガイドにスライダガイド溝を設けたが、本発明はこれに限定されず、クリッピング完了時の位置規制が必要なければ、図15に示すように、スライダガイド溝に替えて、スライダガイド溝の片側の辺を省略した段差および傾斜が形成されたスライダガイド90を用いてもよい。
図15のスライダガイド90のように、スライダガイド溝に替えて、スライダガイド溝に対応する位置に辺または傾斜を形成しても、スライダガイド90を回転させ、すなわち位置規制部材58により規定される90°毎に回転させて、ハンドル本体52の溝68に重なる辺または傾斜を切り換えることで、ハンドル本体52の中心軸方向におけるスライダピン70の位置を規定することができる。つまり、スライダガイド90の辺(傾斜)毎にスライダピン70の移動限界位置を設定し、スライダガイド80のスライダガイド溝と同様に、クリップ74に対応してスライダ54の位置を規制することができ、クリップ74がシース16(弾性変形部42)から飛び出し過ぎることを防止できる。
また、スライダガイドを段差と傾斜を組み合わせた形状とすることで、最後のクリップ処置後にスライダガイドを逆回転させて、スライダをホームポジションに戻すことなく、スライダガイドをそのまま回転させることで、着脱位置に戻すことができる。これにより、操作者の操作量を少なくすることができる。
また、上述したクリップ処置具10および100では、操作性を高めるため、例えば、スライダガイド56とハンドル本体52との間に、位置規制部材58や、それらの当接面にテーパ形状および段差、それらからなる凹凸などの位置規制機構を設け、スライダガイド溝(66A〜66D)の1つとハンドル本体52の溝68とが、適切に重なるようにしたが、本発明はこれに限定されず、位置規制部材や位置規制機構は必ずしも設けなくてもよい。ただし、この場合は、操作者によりスライダガイド溝の1つとハンドル本体52の溝68を重ねる操作が必要になる。
また、上記実施形態では、位置規制部材および位置規制機構に、スライダガイドの停止位置およびスライダガイドの回転方向の両方を規制する機能を持たせたが、いずれか一方の機能のみを持たせるようにしてもよい。
例えば、位置規制機構として、位置規制部材にスライダガイドの回転方向を一方向に規制する機能のみを持たせる場合には、スライダガイド溝の位置とは関係なく、位置規制部材とスライダガイドとの当接面を円周方向に複数の鋸歯形の凹凸を形成した構造(つまり、ラチェット構造)とすればよい。
また、位置規制機構にスライダガイドの停止位置を規制する機能のみを持たせる場合には、位置規制機構として、スライダガイドにスライダガイド溝と対応した間隔で凹部を形成し、ハンドル本体の一箇所にスライダガイド側に付勢力が付与され、移動可能な凸部を設けた構成とし、スライダガイド溝とハンドル本体の溝とが重なる位置で、凹凸がかみ合う構造とすればよい。また、凹部と凸部の形成位置は、逆に形成してもよい。
以上、本発明に係る連発式クリップ処置具用操作ハンドルおよびそれを用いる連発式クリップ処置具について詳細に説明したが、本発明は、上記の実施形態、実施例および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
例えば、上述したクリップ処置具10では、1つのシースに3つのクリップ12を装填し、3回クリッピングする実施例としたために、スライダガイド溝を4本(各クリップ12に対応する3つの溝とクリップを装填するための溝)設けたが、本発明はこれに限定されず、スライダガイドには、装填するクリップの数に対応した本数にクリップを装填するための1本を加えた数のスライダガイド溝を、その周方向に形成し、各溝の位置に対応するようにスライダガイドを回転させるようにすればよい。
本発明の連発式クリップ処置具の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。 本発明の連発式クリップ処置具による処置の例を表す全体図である。 (A)および(B)は、図1に示すクリップ処置具の先端部を拡大して示す拡大断面図である。 (A)および(B)は、図1に示すクリップ処置具の先端部に、クリップ列を装填した状態を拡大して示す拡大断面図である。 図3に示すクリップの概略構成を示す斜視図である。 (A)は、図3に示す締付リングの一実施例を示す正面図であり、(B)は、(A)に示す締付リングの断面図であり、(C)は、(A)に示す締付リングの底面図である。 図4に示すクリップ処置具の先端部を拡大して示す斜視図である。 図1に示す操作ハンドルの概略構成を示す断面図である。 図8に示す操作ハンドルからスライダガイドを取り外した状態の概略構成を示す斜視図である。 (A)は、スライダガイドの斜視図であり、(B)は、(A)に示すスライダガイドのガイド溝部分の展開図である。 位置規制部材の斜視図である。 クリップ処置動作時のスライダガイドとスライダのスライダピンとの位置関係を示す、スライダガイドのガイド溝部分の展開図である。 (A)および(B)は、本発明の連発式クリップ処置具の、他の実施形態における連発式クリップ処置具の先端部を拡大して示す拡大断面図である。 本発明の操作ハンドルに用いることができるスライダガイドの他の例のガイド溝部分の展開図である。 本発明の操作ハンドルに用いることができるスライダガイドの他の例のガイド溝部分の展開図である。
符号の説明
10、100 クリップ処置具
12、74 クリップ
13、84 クリップ列
14、76 締付リング
16 シース
18、78 ダミークリップ
19 連結部材
20 操作ワイヤ
21 接続部材(フック)
22、75 爪部
24 ターン部
26 交差部
28 腕部
30 凸部
31 屈曲部
32 係止部
33 拡径部
34 斜面
35 ストレート部
36 溝
37 穴
40 クリップ格納部
42 弾性変形部
44 スリット
46 爪
47 開口部
48 操作ハンドル
50 操作部
52 ハンドル本体
54 スライダ
56、80、90 スライダガイド
56a、58a 接合部
56b 太径部
57a、59a 凸部
57b、59b 凹部
58 位置規制部材
60 付勢ばね
62 指掛けリング
64 補強管
66A、66B、66C、66D、82A、82B、82C、82D、82E スライダガイド溝
68 溝
70 スライダピン
72 スライダガイド基部

Claims (11)

  1. 円筒状のシースと、
    生体を把持するための複数のクリップと、
    前記シースの先端に係止される係止部を形成するように拡径された拡径部を備え、前記複数のクリップのそれぞれに対応して設けられ、前記クリップを締め付ける複数の締付リングと、
    前記シースの内部に配置され、先端に前記複数のクリップが連結される操作ワイヤと、
    前記シースと連結され、その内部に前記シースから延在する前記操作ワイヤが配置される円筒状のハンドル本体と、
    このハンドル本体の外周上に、その軸方向に移動可能に装着され、前記操作ワイヤと係合し、前記操作ワイヤを前記ハンドル本体の軸方向に移動させるスライダと、
    前記ハンドル本体の外周上に、前記ハンドル本体の周方向に回転自在に装着され、前記ハンドル本体の軸方向における前記スライダの移動量を、その周方向の位置によって、前記操作ワイヤに連結される前記複数のクリップそれぞれのクリップ処置に要する、複数の異なる移動量に規制するスライダ移動量規制部材とを有し、
    前記シースは、その先端に設けられ、前記複数のクリップ、および、前記複数の締付リングがそれぞれ一体として格納されるクリップ格納部を備え、
    前記クリップ格納部は、その先端側に形成され、基端側から先端側へ縮径され、その先端の直径が前記クリップ格納部、および、前記締付リングの前記拡径部の直径よりも小さく、前記締付リングの前記拡径部を通過させるようにその直径まで弾性変形する弾性変形部を備え、
    前記スライダを前記ハンドル本体の軸方向に移動させて、前記シースの内部に配置された前記操作ワイヤを前記シースの延在方向に移動させることで、前記操作ワイヤに連結された複数のクリップを同方向に移動させることを特徴とする連発式クリップ処置具。
  2. 前記締付リングの前記拡径部は、最も拡径され、前記シースの先端と当接する面で構成される前記係止部と、前記係止部から前記締付リングの先端側に向かって縮径されていく傾斜部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の連発式クリップ処置具。
  3. 前記締付リングの前記係止部は、前記締付リングの基端側において前記シースの先端に係止される段差で構成されることを特徴とする請求項2に記載の連発式クリップ処置具。
  4. 前記弾性変形部は、前記シースの軸方向に設けられた複数のスリットを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連発式クリップ処置具。
  5. 前記スライダ移動量規制部材は、前記ハンドル本体に嵌合された円筒状のスライダガイド基部に取り付けられ、前記軸方向に沿って前記複数の異なる移動量に応じてそれぞれ形成された、前記シース側の先端部の位置が異なる複数の位置規制溝および辺の位置が異なる複数の位置規制段差の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連発式クリップ処置具。
  6. 前記スライダは、前記位置規制段差および前記位置規制溝の少なくとも一方と係合する係合部を有し、
    前記スライダの前記係合部と係合する前記位置規制段差または前記位置規制溝により、前記スライダの移動量を前記複数の異なる移動量に規制する請求項5に記載の連発式クリップ処置具。
  7. 前記スライダは、前記スライダ移動量規制部材の外周上に、その軸方向に移動可能に装着され、
    前記スライダ移動量規制部材の基端側における前記複数の位置規制溝の他方の端部は、一部または全部が開放されており、
    前記複数の位置規制溝または前記複数の位置規制段差は、前記スライダ移動量規制部材の基端側からその周方向に沿って形成され、それぞれ前記スライダ移動量規制部材の先端側の端部の位置から前記位置規制溝の先端部の位置までの距離および前記辺の位置までの距離が異なるように階段状に形成されている請求項5または6に記載の連発式クリップ処置具。
  8. 前記クリップは、少なくとも爪部と、腕部とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の連発式クリップ処置具。
  9. 前記締付リングは、その基端において、前記クリップが挿入される貫通孔の対応する位置に、前記クリップの前記爪部が閉じた状態で収容される前記クリップの前記腕部の先端側の部分が収容される2つの凹部を備えることを特徴とする請求項8に記載に連発式クリップ処置具。
  10. 前記クリップ格納部の先端側に位置する先のクリップと、該先のクリップの後ろに位置する後のクリップとの連結部は、前記締付リング内に位置し、前記締付リングにより先後の両クリップの連結が保持されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の連発式クリップ処置具。
  11. 前記クリップ格納部の先端側に位置する先のクリップと、該先のクリップの後ろに位置する後のクリップとの連結部は、前記シースの内壁により先後の両クリップの連結が保持されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の連発式クリップ処置具。
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