JP5062267B2 - 印画物 - Google Patents

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本発明は印画物に関し、特に自動車やビル等の窓ガラス等に取り付けて、そのガラス等の外側を透視できる、いわゆる「シースルー」の印画物であり、かつそのガラスの外側から見た場合、印画物に形成された画像が観察でき、ガラスの反対側は遮光されて、見えづらくなっている印画物に関するものである。
プライバシーの保護や遮光等のために、透明な窓ガラスに対して、屋内や車内を外側から観察しにくいように、特殊な偏光フィルムで被覆することが広く行なわれている。その偏光フィルムは、ポリエステルフィルム等の透明な基材にアルミニウム、チタン等の金属粉末を分散させたインキを塗布したフィルム、透明な基材にアルミニウム、チタン等の金属を蒸着法で積層したフィルム、隠蔽性の高いインキを基材に塗布したフィルム等がある。この偏光フィルムは、例えば、そのフィルムを貼付した窓ガラスを介して外側から内側を観察すると、グレーやそれに類する中性色の窓ガラスだけが視認され、内側の様子を観察することができない。一方、窓ガラスの内側から外を観察した場合、偏光フィルムがない時と同様に、外側の風景等、様子を観察することができる。上記の偏光フィルムは、プライバシーの保護や遮光等のために、有用なものであるが、偏光フィルムで被覆された窓ガラスを外側から観察すると、その色が黒やグレーあるいはそれに類する中性色であり、美観的に改善する余地がある。
その偏光フィルム自体の美観の改善ではないが、透明な窓、室内の間仕切り等の両側で、その透視性や透光性を妨げずに、反対側とは異なる表示を行なうことのできる化粧スクリーンが、特許文献1で開示されている。この化粧スクリーンは、透明なプラスチック又はガラス製の基材の上に多数個の透孔をあけた印刷層を設けてあり、また印刷層は隠蔽インキ層を挟んでその両側に、それぞれ、表面絵柄層及び裏面絵柄層を有する構成を有している。(図1に示されている。)この化粧スクリーンは、印刷層を有する転写シートを作製し、それにさらに多数個の透孔を穿った後、基材の片面に転写することによって製造することができる。この化粧スクリーンは例えば、窓ガラスに取り付けると、ガラスのどちら側からも反対側を透視可能であり、また表裏それぞれの側から別々の絵柄が見えるので、広告や装飾の目的に用いることができる。しかし、この化粧スクリーンでは、転写シートを予め作製しておくことが必要であり、またその転写シートに多数個の透孔を付与することも必要であるので、製造することが煩雑となってしまう。
上記の印刷物の美観の改善、さらに製造する上での煩雑さを解消させたものとして、特許文献2が挙げられ、それには光透過性シートに光非透過材による遮光パターンと、その遮光パターンの透光部に対応する部分を欠いた広告、宣伝文字や図形、絵画等の表示パターンを重ね印刷又は熱転写するシースルー・ウィンドウディスプレイ用シートの製造方法が記載されている。そして、その熱転写の時に使用する熱転写インクリボンがインク層、光非透過層、インク層を積層した構成である。しかし、この場合では光非透過層が隠蔽層であり、その両側にあるインク層の組み合わせが限定され、装飾や広告等の目的で使用する画像を多色で形成することが出来ない。
特開平3−69397号公報 特開平10−39757号公報
したがって、本発明の目的は、一方の面からは透視性を有し、他方の面からは内部を観察できない、遮光性を有し、かつ装飾や広告等のために、多色の画像をもつ美観を有する印画物であり、さらにその印画物を製造する上で煩雑性を解消した、印画物を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の印画物は、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層(3)を光透過性シートへ転写し、熱転写層(3)の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面に、転写面から見て上記熱転写された層の大きさからはみ出さずに、有色の熱転写層(2)またはインクジェットインクにより画像を形成したことを特徴としている。また、本発明の印画物は、前記の白色層と隠蔽層の積層された熱転写層(3)を設けた熱転写リボンを用いて、光透過性シートに該熱転写層(3)をストライプ状に転写することが好ましい。前記の白色層と隠蔽層の積層された熱転写層(3)を設けた熱転写リボンを用いて、光透過性シートに該熱転写層(3)を転写し、該熱転写層の転写された部分と転写されていない部分(透過部)との割合が、30:100〜100:30であることが好ましい。また、前記の印画物が、シースルー・ウィンドウディスプレイ用途である、つまり、自動車やビル等の窓ガラス等に取り付けて、そのガラス等の一方の面からは透視性を有し、他方の面からは内部を観察できず、遮光性を有し、かつ光透過性シートの形成された画像を観察でき、装飾や広告等のために用いられるものが、好ましい。
本発明は、基材上に、白色層、隠蔽層の熱転写層を順次積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層を光透過性シートへ転写し、転写された白色層の上に、該白色層からはみ出さずに、有色の熱転写層により画像を形成した印画物であり、白色層と隠蔽層を同時に光透過性シートへ転写するため、白色層と隠蔽層の転写ズレがなく、また白色層の上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等の熱転写着色層を転写して画像を形成する。例えば、白色層、隠蔽層の熱転写層を約1mm幅のストライプや約1mm直径の円等の形状で、約1mmの間隔を置いて、繰り返し、多数個で光透過性シートへ転写し、その転写された面と反対側からは透視性を有し、さらに転写面からは内部を観察できない、遮光性を有し、かつ美観を有する多色の画像の装飾や広告等が観察できる。
また、本発明は、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層を順次積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層を光透過性シートへ転写し、熱転写層の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面に、上から見て上記熱転写された層の大きさからはみ出さずに、有色の熱転写層により画像を形成した印画物であり、白色層と隠蔽層を同時に光透過性シートへ転写するため、白色層と隠蔽層の転写ズレがなく、また熱転写層の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面で、上から見て上記熱転写された層のある位置に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等の熱転写着色層を転写して画像を形成する。例えば、隠蔽層、白色層の熱転写層を約1mm幅のストライプや約1mm直径の円等の形状で、約1mmの間隔を置いて、繰り返し、多数個で光透過性シートへ転写し、その転写された面からは透視性を有し、その転写された面と反対側からは内部を観察できない、遮光性を有し、かつ美観を有する多色の画像の装飾や広告等が観察できる。上記の点は、光透過性シート上に有色の熱転写層(1)により画像を熱転写して形成し、次に該転写された画像上に、画像全体を覆うように、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(2)を順次積層した熱転写リボンを用いて、光透過性シートに熱転写層(2)を転写して形成した印画物の場合でも同様に、その転写された面と反対側からは透視性を有し、さらに転写面からは内部を観察できない、遮光性を有し、かつ美観を有する多色の画像の装飾や広告等が観察できる。特に、4ヘッド(4つのサーマルヘッドを有する)の熱転写プリンターでは、従来の方法では、Y、M、C、白色層、隠蔽層を1回の走査で印字できなかったが、本発明の熱転写リボンを使用すれば、1回の走査で印字できる。
以上の通り、本発明の印画物は、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)順次積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層(3)を光透過性シートへ転写する。光透過性シートを介して白色層の上に位置する場所に、該白色層からはみ出さずに、有色の熱転写層(2)またはインクジェットインクにより画像を形成した印画物である。したがって、白色層と隠蔽層を同時に光透過性シートへ転写するため、白色層と隠蔽層の転写ズレがない。また白色層の上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等の有色の熱転写着色層を転写して画像を形成し、または白色層の上にY、M、C等の有色のインクジェットインクで画像形成し、白色層、隠蔽層の熱転写層を一定幅のストライプや一定寸法の直径の円等の形状で、所定の間隔を置いて、繰り返し、多数個で光透過性シートへ転写し、印画物の一方の面からは透視性を有し、さらに印画物の他方の面からは印画物の向こう側(外側)を観察できない、つまり遮光性を有し、かつ美観を有する多色の画像の装飾や広告等が観察できる。
熱転写リボンである一つの実施形態を示す概略断面図である。 熱転写リボンである他の実施形態を示す概略断面図である。 熱転写リボンである他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の印画物である一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の印画物である他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の印画物である他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の印画物の一例を形成する手順を説明する概略図である。 隠蔽層及び白色層を被転写体に転写したパターンの例を示した概略図である。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。図1に熱転写リボンである一つの実施形態を示し、基材2上に、白色層3、隠蔽層4の熱転写層5−1を順次積層した構成の熱転写リボン1である。図2は、熱転写リボンである他の実施形態を示し、基材2上に、隠蔽層4、白色層3の熱転写層5−3を順次積層した構成である。図1、図2には示さなかったが、基材と白色層、隠蔽層(順番は問わない)の熱転写層との間に、剥離層を設けて熱転写時に基材から熱転写層がスムーズに剥離するようにすることができる。さらに、同様に図示はしていないが、上記熱転写層の熱転写リボンの形態での最上層に接着層を設け、熱転写層の光透過性シートとの接着性を向上させることができる。また、図1、図2に示していないが、基材の熱転写層を設けている面と反対の面に、サーマルヘッドとの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止するために、耐熱層を設けることが好ましい。
図3は、熱転写リボンである他の実施形態を示し、基材2上に、白色層3と隠蔽層4の積層された熱転写層5−1と、有色のイエロー熱転写層Y、マゼンタ熱転写層M、シアン熱転写層Cの有色熱転写層5−2を面順次に塗り分けて、図示したように繰り返し形成したものである。図4は、本発明の印画物である一つの実施形態を示すもので、基材2上に、白色層3、隠蔽層4の熱転写層5−1を順次積層した熱転写リボン1と、光透過性シート7を組み合わせて、該熱転写リボン1から熱転写層5を光透過性シート7へ転写し、転写された白色層3の上に、該白色層3からはみ出さずに、有色のイエロー熱転写層Y、マゼンタ熱転写層M、シアン熱転写層Cの3色により画像8を形成した印画物6である。
また、図5は本発明の印画物である他の実施形態を示すもので、基材2上に、隠蔽層4、白色層3の熱転写層5−3を順次積層した熱転写リボン1と、光透過性シート7を組み合わせて、該熱転写リボン1から熱転写層5を光透過性シート7へ転写し、熱転写層5の転写された光透過性シート7の転写面と反対側の面に、上から見て上記熱転写された層の大きさからはみ出さずに、有色のイエロー熱転写層Y、マゼンタ熱転写層M、シアン熱転写層Cの3色により画像8を形成した印画物6である。さらに、図6は本発明の印画物である他の実施形態を示すもので、光透過性シート7上に有色のイエロー熱転写層Y、マゼンタ熱転写層M、シアン熱転写層Cの3色により画像8を形成し、次にその転写され画像8上に、画像8全体を覆うように、基材2上に、隠蔽層4、白色層3の熱転写層5−3を順次積層した熱転写リボン1を用いて、熱転写層5を転写して形成した印画物6である。この場合の画像を光透過性シート上に転写する際、正規の画像とは鏡像で形成し、その画像を観察する際は、その転写された面と反対側から、透明性を有する光透過性シートを通して見るからである。
以下、熱転写リボンを構成する各層について説明する。
(基材)
熱転写リボンを構成する基材2は、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば、いずれのものでもよく、例えば、0.5〜50μm、好ましくは3〜10μm程度の厚さの紙、各種加工紙、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロファン等であり、特に好ましいものは、ポリエステルフィルムである。
(白色層)
白色層3は、それが被転写体の光透過性シートに転写され、さらにその白色層の上(白色層に隣接した位置あるいは透明シートを介して、その上)に有色の熱転写層で画像を形成し、その画像の背景(地色)となるものである。白色層は、主に白色顔料とバインダー樹脂から構成されている。バインダー樹脂は、いずれの樹脂を用いてもよく、好ましい樹脂としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂又はこれらの一部架橋樹脂である。また、白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。尚、酸化チタンは、ルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンがあるが、いずれのものでもよい。また、白色層には添加剤として充填剤を用いることができ、例えば、シリカ、アルミナ、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子(プラスチックピグメント)があげられる。
白色層は、上記のバインダー樹脂と白色顔料の他に、蛍光増白剤を添加することができる。蛍光増白剤は、スチルベンゼン系、ピラゾリン系等蛍光増白効果のある従来公知の化合物が使用できる。白色層は、白色顔料(必要に応じて加えた充填剤も合計分)とバインダー樹脂との固形分比、すなわち、P/V比と、白色層6の厚さを調整することにより、適度の白色度と隠蔽性をもたせることができる。上記の白色顔料とバインダー樹脂とのP/V比を、0.5〜2.0程度とし、白色層の厚さを乾燥状態で0.5〜2.0μm程度とすることが好ましい。
(隠蔽層)
熱転写リボンにおける隠蔽層4は、カーボンブラック及び/またはAl顔料を含有していることが好ましく、また隠蔽層はAl蒸着されていることが望ましい。カーボンブラック及び/またはAl顔料を含有している隠蔽層は、それらの成分を含有する塗工液を熱転写リボンに塗布することで形成することができる。その塗工液は、カーボンブラックやAl顔料等の隠蔽性を有する顔料と、バインダーを主成分として構成される。顔料として、カーボンブラックや酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のAl顔料が隠蔽性が高く好ましく用いられ、その他には、例えば炭酸カルシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化珪素、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ブロンズパウダー等の無機顔料、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、フタロシアニン、フタロシアニンの金属塩等の有機顔料が挙げられる。
上記顔料のなかでは、特に平均粒径が1〜50μm程度の燐片状の顔料が、使用量に比して隠蔽性が高い(遮光性が高い)ので好ましく、他の顔料に比べて少ない使用量で同程度の遮光性(隠蔽性)が得られる為、隠蔽層の厚さを薄くすることができ、結果として熱転写リボンの印字感度が向上するため好ましい。本発明で好ましく使用される燐片状の顔料としては、先ず金属材料として、アルミニウム、酸化錫等の展延性に富むもの、パール顔料(金属酸化物を含む顔料)等、又、非金属材料としては雲母、貝殻等があり、これらの粉末又は箔片状のものを粉砕或は研磨して、極めて薄く、しかも扁平な微粒子(リーフィング効果のよい薄片状のもの)としたものが挙げられる。特に好ましいものは燐片状アルミニウム顔料である。
また、隠蔽層のバインダー樹脂は、いずれの樹脂を用いてもよく、好ましい樹脂としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。隠蔽層は、上記の顔料と、バインダーを主成分とし、その他必要に応じて添加剤を加え、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の方法で、塗工量を、乾燥時で2〜30μm程度にして、形成する。上記の塗工方式では、顔料の隠蔽剤はワックス、樹脂等のベヒクル100重量部当たり10〜1,000重量部、更には50〜200重量部の割合で使用することが好ましい。形成される隠蔽層は400〜700nmの波長領域における透過率が20%以下であることが好ましく、これによって、隠蔽層の転写された印画物で隠蔽層を外側にして、その印画物の内側の様子が隠蔽され、見えなくしている。
隠蔽層をAl等の金属蒸着により形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で形成することができる。金属蒸着する金属としては、Alが隠蔽性が高く特に好ましいが、その他Te、Sn、In、Bi、Pb及びZnからなる金属(金属単体あるいは金属混合物)、これらの金属の少なくとも1種を含む合金、並びにこれらの金属の化合物を用いることができる。蒸着タイプの隠蔽層の厚さは10〜200nm程度で、特に30〜100nmの範囲が好ましい。厚さが小さすぎと、隠蔽性が劣り、好ましくない。一方厚さが大きすぎると、経済的に好ましくなく、また印字の切れ、印字感度が悪化してくる。
(剥離層)
熱転写リボンでは、基材と白色層、隠蔽層(順番は問わない)の熱転写層との間に、剥離層を設けて、熱転写時に基材から熱転写層がスムーズに剥離するようにすることができる。剥離層は、熱転写リボンから被転写体である光透過性シートへサーマルヘッドあるいはその他の手段で加熱された時に、両者が融着することを防止し、熱転写リボンの基材が被転写体からスムーズに剥離し、転写ムラをなくし、転写性を良好にするものである。剥離層は、ワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メチルメタアクリレート等のアクリル樹脂等により形成することができ、例えば、耐溶剤性の高いカルナバワックスを使用することができる。剥離層は、上記の隠蔽層と同様な塗工方法で形成することができ、その厚さは、塗布乾燥後で、0.1〜2.0μmが好ましい。
(接着層)
熱転写リボンは、熱転写層の有する側の最表面に接着層を設けることができ、隠蔽層、白色層の熱転写層と被転写体との接着性が低い場合に用いることが好ましい。接着層は被転写体である光透過性シートの表面との接着性が良好である材料が用いられる。接着層は、一般的には熱可塑性樹脂、天然樹脂、ゴム、ワックスなどを用いることができる。例えば、エチルセルロース、酢酪酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレンなどのスチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールなどのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、アイオノマー、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステルなどの合成樹脂や、粘着付与剤としてのロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルゴム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリルニトリルゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩素化オレフィンなどがあげられ、前記の材料の1種または2種以上よりなる組成物から接着層を構成することができる。
また、接着層には、上記の材料の他に、隠蔽層であげたような顔料を添加して、巻き形態での保管上、ブロッキング防止の処置を施してもよい。この接着層の厚さは、被転写体との接着性能が良好になるように決定されるが、通常は、乾燥状態で0.1〜20μmが好ましい。さらに、接着層は、前記の隠蔽層と同様な塗工方法で塗布、乾燥し、形成することができる。
熱転写リボンは、基材上に、白色層と隠蔽層の積層された熱転写層(白色層が基材側の場合と、隠蔽層が基材側の場合の2通りある)と、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)や必要に応じてBk(ブラック)の有色の熱転写層を面順次に塗り分けて、[白色層、隠蔽層]と[有色の熱転写層]の単位で、繰り返し形成することができる。このタイプの熱転写リボンであれば、被転写体の光透過性シートに、1つのサーマルヘッド(1ヘッド)を搭載した熱転写プリンターに1パスで、目的とする印画物を形成できる。尚、熱転写リボンとして、白色層と隠蔽層の積層された熱転写層のみを形成したものと、Y(イエロー)の熱転写層のみを形成したもの、M(マゼンタ)の熱転写層のみを形成したもの、C(シアン)の熱転写層のみを形成したものの4種類の熱転写リボンを用いる場合は、4ヘッドの熱転写プリンターで、目的とする印画物を形成できる。
(有色の熱転写層)
本発明で使用する熱転写リボンは、基材上に、白色層、隠蔽層の熱転写層(1)を順次積層したものと、同様に基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層したものがある。そして、前者の熱転写リボンを用いた場合は、被転写体に転写された白色層の上に、また後者の熱転写リボンを用いた場合は、熱転写層(3)の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面で、上から見て上記熱転写された層(3)のある位置に、有色の熱転写層(2)により画像を形成して印画物を得る。また、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層した熱転写リボンを用いる場合、上記の他に、光透過性シート上に有色の熱転写層(2)により画像を熱転写して形成し、次に該転写された画像上に、画像全体を覆うように、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層した熱転写リボンを用いて、光透過性シートに熱転写層(3)を転写して印画物を形成することもできる。本発明で使用する有色の熱転写層(2)は、基材上に、1色の有色熱転写層を設けたもの、2色以上の有色熱転写層を面順次に塗り分けて、繰り返し形成したもの、基材上に、白色層と隠蔽層の積層された熱転写層(1)または(3)と、有色の熱転写層(2)を面順次に塗り分けて、繰り返し形成したもののいずれの形態でも良い。
有色の熱転写層(2)は熱溶融性インキ層または昇華性染料インキ層の2種類に大別され、いずれのものでも使用できる。但し、同一の被転写体に転写して画像形成するための多色の熱転写層(2)は全色熱溶融型にしたり、或いは全色昇華型にしたり、あるいはY、M、Cを全て昇華型にして、Bkを熱溶融型にして組み合わせたりすることが好ましい。まず、熱溶融性インキ層は、従来公知の着色剤とバインダーよりなり、必要に応じて鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、熱可塑性樹脂、充填剤等の種々の添加剤を加えたものが使用される。バインダーとして用いられるワックス成分としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用いられる。このなかで、特に融点が50〜85℃であるものが好ましい。50℃以下であると、保存性に問題が生じ、又85℃以上であると感度不足になる。
バインダーとして用いられる樹脂成分としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等が挙げられるが、特に従来より感熱接着剤として使用されている比較的低軟化点、例えば、50〜80℃の軟化点を有するものが好ましい。
着色剤としては、公知の有機または無機の顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触することにより発色するような物質であってもよい。さらに、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着色剤を使用することができる。さらに、熱溶融性インキ層に、良好な熱伝導性および熱溶融転写性を与えるため、バインダーの充填剤として熱伝導性物質を配合してもよい。このような充填剤としては、例えばカーボンブラック等の炭素質物質、アルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の金属および金属化合物等がある。
熱溶融性インキ層の形成は、上記のような着色剤成分とバインダー成分と、さらに、必要に応じて水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した熱溶融性インキ層形成用塗工液を、従来公知のホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の方法で行う。また、水系又は非水系のエマルジョン塗液を用いて形成する方法もある。熱溶融性インキ層の厚みは、必要な印字濃度と熱感度との調和がとれるように、決定すべきであって、0.1μm〜30μmの範囲、好ましくは、1μm〜20μm程度が、好ましい。
次に、昇華性染料インキ層は、昇華性染料をバインダー樹脂で担持させた層である。使用する染料は、従来公知の熱転写シートに使用される染料はいずれも本発明に有効に使用可能であり、特に限定されない。例えば、幾つかの好ましい染料としては、赤色染料として、MS Red G、Macrolex RedVioret R、Ceres Red 7B、Samaron Red HBSL、Resolin Red F3BS等が挙げられ、又、黄色の染料として、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、又、青色染料としては、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAPFW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100等が挙げられる。
上記の如き昇華性染料を担持するためのバインダー樹脂としては、従来公知のものがいずれも使用でき、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
また、昇華性染料インキ層は、上記の染料、バインダー樹脂の他に必要に応じて従来公知の種々の添加剤を含めることができる。そして、適当な溶剤中に、上記の染料、バインダー樹脂、添加剤を加えて各成分を溶解または分散させてインキを調整し、これを上記の基材フィルム上に、熱溶融性インキ層で挙げた従来公知の塗工形成方法と同様の方法により、昇華性染料インキ層を形成する。昇華性染料インキ層の厚みは、0.1〜5.0μm、好ましくは0.4〜2.0μm程度である。
(耐熱層)
上記の如き熱転写リボンは、その裏面に、サーマルヘッドの熱によるスティッキングや印字しわなどの悪影響を防止するため、耐熱層を設けることが好ましい。上記の耐熱層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することがより好ましい。耐熱層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱層形成用インキを調製し、これを、上記の基材シートの他方に面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。
(光透過性シート)
上記の熱転写リボンを用いて、熱転写され、画像が形成される被転写体である光透過性シートは、熱転写層(2)に昇華型熱転写インキ層を用いる場合は、その受像面が前記の染料に対して染料受容性を有するものであれば、いかなるものでもよく、又、染料受容性を有しない紙、金属、ガラス、セラミックス、合成樹脂等の基材である場合には、その少なくとも一方の表面に染料受容層を形成すれば良い。そして、熱転写層(2)に熱溶融型熱転写インキ層を用いる場合は、その受像面が染料受容性を有するものが必要でなく、光透過性を有するものであれば、いかなるものでもよい。染料受容層を形成しなくてもよい受像シートとしては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等からなるフィルム、シート等の基材が挙げられる。特に、好ましいものは、ポリ塩化ビニルからなるシート、又はフィルムで、単層でも複層のラミネート構成でもよい。
本発明ではガラスやポリエステル、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、アクリル等の合成樹脂その他の非染着性の基材であっても、昇華型熱転写インキ層を転写される場合は、その記録面に上記の染着性の樹脂の溶液または分散液を塗布および乾燥させて染料受容層を形成するか、あるいはそれらの樹脂フィルムをラミネートすることにより、被転写体とすることができる。上記の被転写体において、染着性、非染着性のいずれを問わず、光透過性を有するシートである。さらに、上記の染着性のある基材であっても、その表面にさらに染着性の良い樹脂から、上記のように染料受容層を形成してもよい。
このようにして形成する染料受容層は、単独の材料からでも、また、複数の材料から形成してもよく、さらに本発明の目的を妨げない範囲で各種の添加剤を包含させてもよいのは当然である。例えば、印字時に熱転写リボンと被転写体が熱で融着することがないように、離型剤を添加することができる。離型剤の例としては、ビニル変性シリコーンや、アミノ変性シリコーンとエポキシ変性シリコーンなどの反応硬化型シリコーンが好ましく、その添加量は樹脂に対し、0.5〜20重量%が好ましい。また、受容層の印字感度を良くするために、フタル酸エステル、リン酸エステル、ポリエステル型可塑剤等、一般的に塩化ビニル樹脂用の可塑剤で、低分子量から高分子量のものを添加することができる。その添加量は樹脂に対し、0.5〜30重量%が好ましい。受容層を形成するには、上記に記載した樹脂、各種の添加剤を適当な溶剤により、溶解又は分散させて、受容層形成用インキを調製し、これを、上記の基材の表面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して、形成することができる。
(印字物)
本発明の印字物は、上記に説明してきたような熱転写リボン、すなわち基材上に、白色層、隠蔽層の熱転写層(1)を順次積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層(1)を光透過性シートへ転写し、転写された白色層の上に、該白色層からはみ出さずに、有色の熱転写層(2)により画像を形成したものである。また、本発明の印画物は、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層(3)を光透過性シートへ転写し、熱転写層(3)の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面に、上から見て上記熱転写された層の大きさからはみ出さずに、有色の熱転写層(2)により画像を形成したものもある。
さらに、本発明の印画物は、光透過性シート上に有色の熱転写層(2)により画像を熱転写して形成し、次に該転写された画像上に、画像全体を覆うように、基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層した熱転写リボンを用いて、光透過性シートに熱転写層(3)を転写して形成した形態もある。本発明では、上記の印画物は、基材上に、白色層、隠蔽層の熱転写層(1)または(3)を積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層(1)または(3)を光透過性シートへ転写する。その転写された白色層の上、または光透過性シートを介して白色層の上に位置する場所に、該白色層からはみ出さずに、有色の熱転写層(2)により画像を形成した印画物である。また、予め光透過性シートに有色の熱転写層(2)により画像を形成し、その画像全体を覆うように、基材上に隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層した熱転写リボンを用いて、光透過性シートに熱転写層(3)を転写して形成した印画物である。
図7に本発明の印画物の一例を形成する手順を説明する概略図を示す。まず、図7(1)は基材上に、白色層、隠蔽層の熱転写層(1)または(3)を積層した熱転写リボンから被転写体である光透過性シート7に熱転写層を転写して、隠蔽層4が表面に見える際の状態である。隠蔽層4の転写されたパターンが約1mm幅のストライプが、約1mmの間隔を置いて、規則正しく、繰り返し配列されている。そして、図7(2)は、上記の図7(1)の状態にある印画物を裏側から見た状態のものであり、光透過性シート7には約1mm幅のストライプ状の白色層3が、約1mmのピッチで、規則正しく、配列されている。この白色層3がその上に形成する熱転写画像の背景として機能する。次に、図7(3)に示すように、図7(2)の状態から、白色層3の上に、イエロー熱転写層Yを所定のパターンで、転写して形成した時の状態である。さらに、図7(4)には、図7(3)の状態から、白色層3の上に、マゼンタ熱転写層Mを所定のパターンで、転写して形成した時の状態を示している。また、図7(4)の状態から、白色層3の上に、シアン熱転写層Cを所定のパターンで、転写して形成し、光透過性シート7の転写された白色層3の上に、該白色層3からはみ出さずに、イエロー、マゼンタ、シアンの3色により、「D」の文字の画像が形成された。尚、この例ではイエロー、マゼンタ、シアンの各熱転写画像は互いに重なった部分をとらずに、形成したものであるが、異なる色を重ねて、中間調の色相を出したりすることも可能である。
本発明の印画物は、前記に説明したように、白色層と熱転写画像との位置関係で、3タイプのものがあるが、いずれのタイプでも有色の熱転写層(2)により形成した画像のバックには白色層が見え、その熱転写画像の部分と、隣接した非画像部分とのコントラストを高くして、白い背景の中で熱転写画像が浮き上がって、画像を鮮明にする効果を発揮している。さらに、その熱転写画像の形成している面と反対側の光透過性シート側から観察すると、その熱転写画像は認識できなく、隠蔽層の転写されたストライプ状のパターン(図7(1)参照)や、図8に示すような、多数のドットを除く部分が見え、さらに、隠蔽層の転写されていない部分から光透過性シートの外側(向こう側)を覗け、見通せるようになっている。それには、隠蔽層及び白色層の被転写体に転写されるパターンは約1mm幅のストライプで、約1mmの間隔を置いて、規則正しく、配列されたもの(図7(1)、(2)参照)や、また、図8に示すような四角形の全面ベタ部で、多数の規則正しく、配列されたドットを除く部分等が具体的なものとして挙げられる。このように、隠蔽層及び白色層の転写される部分と、転写されない部分とが緻密に規則正しく、配列されているため、隠蔽層の転写された表面が見える側では、適度な透視性を有し、さらにその反対側の面からは内部を観察できない、遮光性を有し、かつ美観を有する多色の画像が観察できる。
以上、上記の本発明の印画物について、光透過性シートへ白色層、隠蔽層の熱転写層(1)または(3)を転写し、その白色層の上や光透過性シートを介して白色層の上に位置する場所に画像形成する方式として、基材上に熱溶融型熱転写インキ層や昇華型熱転写インキ層を設けた熱転写リボンを用いた熱転写方式のみしか挙げなかったが、それに限定されず、インクジェット記録方式で画像形成しても良い。但し、インクジェット記録の場合は、白色層等のインクジェットインキが付着する面を、吸水性をもたせる等、インクジェットインキの定着しやすいようにする必要がある。具体的には白色層をインクジェット受容層に設計するか、又は光透過性シート上に透明インクジェット受容層を設ける必要がある。
また、本発明の印画物は、光透過性シートに白色層と隠蔽層を転写し、さらに熱転写画像やインクジェット記録方式による画像を形成したものであるが、その印画物を、例えば自動車やビル等の窓ガラス等に取り付けて使用する場合、印画物の面に従来から用いられている粘着剤や接着剤を塗布する等して、窓ガラスに貼りつけ易いようにすることができる。
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部または%とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
(実施例1)
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの基材の片面に耐熱層を形成しておき、基材の他方の面に下記組成の隠蔽層1を乾燥時0.5μmの厚さで設け、その隠蔽層1の上に下記組成の白色層2を乾燥時2μmの厚さで設け、さらに白色層2の上に下記組成の接着層3を乾燥時0.3μmの厚さで設けて、実施例1の熱転写リボンを作製した。
(隠蔽層1組成)
アクリル樹脂(Tg;105℃) 30部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5部
カーボンブラック 5部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 30部
(白色層2組成)
酸化チタン 40部
アクリル樹脂(Tg;50℃) 10部
トルエン 20部
メチルエチルケトン 30部
(接着層3組成)
ポリエステル樹脂エマルジョン(Tg;60℃、固形分30%) 30部
イソプロピルアルコール 50部
水 20部
75μm厚の透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、上記に用意した実施例1の熱転写リボンを用いて、図7(1)、(2)に示すようなストライプ幅1mm、ストライプ間の間隔1mmで、パターンを熱転写した。そして、そのパターン状に、熱転写層の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面に、転写面から見て上記熱転写された層の大きさからはみ出さずに、図7(3)、(4)、(5)に示すように、Y、M、Cの各熱溶融型熱転写層を転写し、「D」の画像を形成した。(図5参照)
得られた印画物を自動車の窓ガラスに、自動車室内側に隠蔽層が配置されるように取り付けると、自動車内部からは、ガラスの外側を透視できる、いわゆる「シースルー」であり、またガラスの外側から見た場合、印画物に形成された多色画像が観察でき、自動車室内は遮光されて、見えづらくなっている。
参考実施例2)
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの基材の片面に耐熱層を形成しておき、基材の他方の面に下記組成の白色層4を乾燥時1.5μmの厚さで設け、その白色層4の上に下記組成の隠蔽層5を乾燥時0.5μmの厚さで設け、さらに隠蔽層5の上に実施例1で使用した接着層3を乾燥時0.3μmの厚さで設けて、参考実施例2の熱転写リボンを作製した。
(白色層4組成)
酸化チタン 40部
アクリル樹脂(Tg;105℃) 10部
トルエン 25部
メチルエチルケトン 25部
(隠蔽層5組成)
アクリル樹脂(Tg;50℃) 15部
カーボンブラック 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
75μm厚の透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、上記に用意した参考実施例2の熱転写リボンを用いて、図7(1)、(2)に示すようなストライプ幅1mm、ストライプ間の間隔1mmで、パターンを熱転写し、その転写されたパターン上に、該転写パターンからはみ出さずに、図7(3)、(4)、(5)に示すように、Y、M、Cの各熱溶融型熱転写層を転写し、「D」の画像を形成した。(図4参照)
得られた印画物を自動車の窓ガラスに、自動車室内側に隠蔽層が配置されるように取り付けると、自動車内部からは、ガラスの外側を透視できる、いわゆる「シースルー」であり、またガラスの外側から見た場合、印画物に形成された多色画像が観察でき、自動車室内は遮光されて、見えづらくなっている。
参考実施例3)
参考実施例2で作製した熱転写リボンの隠蔽層を、300Åの厚さでAlをスパッタリング法で蒸着した層に変更した。その他は参考実施例2と同様にして、参考実施例3の熱転写リボンを作製した。75μm厚の透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、上記に用意した参考実施例3の熱転写リボンを用いて、図7(1)、(2)に示すようなストライプ幅1mm、ストライプ間の間隔1mmで、パターンを熱転写し、その転写されたパターン上に、該転写パターンからはみ出さずに、図7(3)、(4)、(5)に示すように、Y、M、Cの各熱溶融型熱転写層を転写し、「D」の画像を形成した。(図4参照)
得られた印画物を自動車の窓ガラスに、自動車室内側に隠蔽層が配置されるように取り付けると、自動車内部からは、ガラスの外側を透視できる、いわゆる「シースルー」であり、またガラスの外側から見た場合、印画物に形成された多色画像が観察でき、自動車室内は遮光されて、見えづらくなっている。
(実施例4)
実施例1で作製した熱転写リボンの隠蔽層を、以下に示す組成の隠蔽層6に変えて、乾燥時0.7μmの厚さで設けた。その他は実施例1と同様にして、実施例4の熱転写リボンを作製した。
(隠蔽層6組成)
アクリル樹脂(Tg;105℃) 20部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5部
Al顔料 15部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 30部
75μm厚の透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、上記に用意した実施例4の熱転写リボンを用いて、図7(1)、(2)に示すようなストライプ幅1mm、ストライプ間の間隔1mmで、パターンを熱転写した。そして、そのパターン状に、熱転写層の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面に、転写面から見て上記熱転写された層の大きさからはみ出さずに、図7(3)、(4)、(5)に示すように、Y、M、Cの各熱溶融型熱転写層を転写し、「D」の画像を形成した。(図5参照)
得られた印画物を自動車の窓ガラスに、自動車室内側に隠蔽層が配置されるように取り付けると、自動車内部からは、ガラスの外側を透視できる、いわゆる「シースルー」であり、またガラスの外側から見た場合、印画物に形成された多色画像が観察でき、自動車室内は遮光されて、見えづらくなっている。
参考実施例5)
参考実施例2で作製した熱転写リボンを使用して、75μm厚の透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、図7(1)、(2)に示すようなストライプ幅1mm、ストライプ間の間隔1mmで、パターンを熱転写し、その転写されたパターン上に、該転写パターンからはみ出さずに、図7(3)、(4)、(5)に示すように、Y、M、Cのインクジェットインクを付与し、「D」の画像を形成した。(図4参照)
得られた印画物を自動車の窓ガラスに、自動車室内側に隠蔽層が配置されるように取り付けると、自動車内部からは、ガラスの外側を透視できる、いわゆる「シースルー」であり、またガラスの外側から見た場合、印画物に形成された多色画像が観察でき、自動車室内は遮光されて、見えづらくなっている。尚、実施例1、4及び参考実施例2、3、5の印画物は、全て、白色層と隠蔽層の積層された熱転写層の転写された部分と転写されていない部分(透過部)との割合が、100:100である。
1 熱転写リボン
2 基材
3 白色層
4 隠蔽層
5−1 熱転写層(基材/白色層/隠蔽層)
5−2 熱転写層(基材/有色熱転写層)
5−3 熱転写層(基材/隠蔽層/白色層)
6 印画物
7 光透過性シート
8 (熱転写)画像

Claims (4)

  1. 基材上に、隠蔽層、白色層の熱転写層(3)を順次積層した熱転写リボンと、光透過性シートを組み合わせて、該熱転写リボンから熱転写層(3)を光透過性シートへ転写し、熱転写層(3)の転写された光透過性シートの転写面と反対側の面に、転写面から見て上記熱転写された層の大きさからはみ出さずに、有色の熱転写層(2)またはインクジェットインクにより画像を形成したことを特徴とする印画物。
  2. 前記の白色層と隠蔽層の積層された熱転写層(3)を設けた熱転写リボンを用いて、光透過性シートに該熱転写層(3)をストライプ状に転写したことを特徴とする請求項1に記載する印画物。
  3. 前記の白色層と隠蔽層の積層された熱転写層(3)を設けた熱転写リボンを用いて、光透過性シートに該熱転写層(3)を転写し、該熱転写層の転写された部分と転写されていない部分(透過部)との割合が、30:100〜100:30であることを特徴とする請求項1または2に記載する印画物。
  4. 前記の印画物が、シースルー・ウィンドウディスプレイ用途であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載する印画物。
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