JP5061694B2 - 研磨パッドの製造方法及び研磨パッド並びにウエーハの研磨方法 - Google Patents

研磨パッドの製造方法及び研磨パッド並びにウエーハの研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウエーハの研磨に利用される研磨パッドの製造方法及び研磨パッド並びにウエーハの研磨方法に関する。
半導体デバイスの高集積化の進展に伴い、その材料である半導体ウエーハの平坦性(フラットネス)にも非常に高いレベルが要求されるようになってきている。
このような半導体ウエーハ等のウエーハを研磨するには、定盤上に研磨パッドを貼り付け、この研磨パッドとウエーハとを研磨スラリーを介在させて摺接することによって行う手法が用いられる。
研磨パッドには、大きく分けて不織布にポリウレタンを含浸させた不織布系のものと、ポリウレタンを発泡させたポリウレタン系のものがあり、一般的にポリウレタン系は不織布系より硬度が高い。また、ポリウレタン系の研磨パッドは、材料ポリウレタンの組成を変化させることで、その硬度を調節している。
平坦性の高いウエーハを得るためには研磨パッドの硬度が高い方が望ましい。しかし、硬度が高い研磨パッドはウエーハにキズを発生させる確率が高くなる。そのため、研磨パッドの硬度は適度に高いものを選択する必要がある。
一方、ポリウレタン系の研磨パッドの原料であるウレタンケーキには、ケーキ内に密度のバラツキがあり、これが研磨パッドの局所的な密度バラツキとなる。密度のバラツキは、硬度のムラとして研磨されたウエーハの平坦度に影響する。
ポリウレタン系の研磨パッドを用いた場合、比較的高い精度でウエーハを平坦化して研磨することができるが、近年要求されているような非常に高い平坦性レベルにおいては、その精度は未だ不十分であり、歩留まりも悪かった。
このような問題を解決するために、研磨パッドを定盤に固定した後、表面処理(ブラッシング、シーズニング、ドレッシング等)を施しているが、それでもウエーハの平坦性は十分に安定して得られていなかった。また、このような表面処理を行うための時間的な損失、及びそれによる生産性の損失、研磨パッドの短寿命化、等の問題があった。
また、ウエーハの平坦性を得るために研磨パッド自体を改善する方策が提案されている(特許文献1等)が、やはりウエーハの平坦性を十分に安定して得ることはできていなかった。
特開平11−267978号公報
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、平坦性の高いウエーハを安定して得ることができる研磨パッドの製造方法を提供することを主な目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、発泡ウレタンパッドからなり、定盤に貼り付けてウエーハの研磨に用いる研磨パッドの製造方法において、少なくとも、発泡ウレタンケーキをスライスして発泡ウレタンパッドとする工程と、該発泡ウレタンパッドを15000g/cm以上の圧力でプレス処理する工程とを有することを特徴とする研磨パッドの製造方法を提供する(請求項1)。
このような、発泡ウレタンパッドを15000g/cm以上の圧力でプレス処理する工程を有する研磨パッドの製造方法であれば、研磨パッドの密度分布を従来よりも均一にすることができるので、高い平坦性を有するウエーハを安定して得ることができる研磨パッドを製造することができる。
この場合、前記プレス処理工程よりも後に、前記発泡ウレタンパッドの少なくとも前記定盤に貼り付ける面をバフィング処理する工程を有することが好ましい(請求項2)。
このように、プレス処理工程よりも後に、発泡ウレタンパッドの少なくとも定盤に貼り付ける面(裏面)をバフィング処理すれば、研磨パッドの裏面(定盤に貼り付ける面)の平坦性を改善することができる。この結果、定盤に貼り付けたときの研磨パッドの表面(研磨面)を、より確実に平坦化することができる。
また、前記プレス処理工程よりも後に、前記発泡ウレタンパッドの周辺部を除去する工程を有することが好ましい(請求項3)。
このように、プレス処理工程よりも後に、発泡ウレタンパッドの周辺部を除去すれば、より確実に研磨パッドの密度分布を均一にすることができる。
また、前記プレス処理工程よりも後に、前記発泡ウレタンパッドの前記定盤に貼り付ける面を両面テープに接着する工程と、前記発泡ウレタンパッドの前記両面テープに接着した面とは反対側の面をバフィング処理する工程とを有することが好ましい(請求項4)。
このように、プレス処理工程よりも後に、発泡ウレタンパッドの定盤に貼り付ける面(裏面)を両面テープに接着し、発泡ウレタンパッドの両面テープに接着した面とは反対側の面(表面)をバフィング処理すれば、研磨パッドの表面(研磨面)を、より確実に平坦化することができる。
また、本発明は、前記の研磨パッドの製造方法によって製造されたことを特徴とする研磨パッドを提供する(請求項5)。
このような、前記の研磨パッドの製造方法によって製造された研磨パッドであれば、密度分布が従来よりも均一であるので、高い平坦性を有するウエーハを安定して得ることができる研磨パッドである。
また、本発明は、前記の研磨パッドの製造方法によって製造された研磨パッドを前記定盤に貼り付け、該研磨パッドが貼付された定盤を用いて前記研磨パッドの表面と前記ウエーハとの間に研磨スラリーを介在させて前記ウエーハの研磨を行うことを特徴とするウエーハの研磨方法を提供する(請求項6)。
このような、前記の研磨パッドの製造方法によって製造された研磨パッドを定盤に貼り付け、該研磨パッドが貼付された定盤を用いて研磨パッドの表面とウエーハとの間に研磨スラリーを介在させてウエーハの研磨を行うウエーハの研磨方法であれば、ポリウレタンの密度分布均一性の高い研磨パッドを用いて、均一性の高い研磨圧力でウエーハを研磨することができるため、平坦性の高いウエーハとすることができる。
本発明に係る研磨パッドの製造方法によれば、研磨パッドの密度分布を従来よりも均一にすることができるので、高い平坦性を有するウエーハを安定して得ることができる研磨パッドを製造することができる。
また、本発明に係るウエーハの製造方法によれば、ウエーハを研磨して高い平坦性を安定して実現することができ、また、研磨工程における稼働効率を改善することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
前述のように、従来、研磨されたウエーハの平坦性が不十分であり、また不安定であるという問題があった。
本発明者らがこのウエーハの平坦性のバラツキについて調査を行ったところ、以下のようなことがわかった。すなわち、従来のポリウレタン製研磨パッドでは、研磨パッドライフ(研磨パッドの使用時間)初期に加工ウエーハの平坦性が悪く、特にエッジロールオフ量(Roll off amount;ROA)が顕著に高くなり、SFQR(Site Frontside Least Squares Range)も悪い。なお、ROAとは、ウエーハ最外周部のダレの大きさのことであり、ウエーハ裏面を平面に矯正した状態で、ウエーハ表面の傾きを補正し、ウエーハ外周から3mmの位置と1mmの位置の表面高さの差を指す。また、SFQRとは、設定されたサイト内でデータを最小二乗法にて算出したサイト内平面を基準平面とし、この平面からの+側、−側各々最大変位量の絶対値の和で表した平坦度のことである。ROAの幅及びSFQRの幅は一定ではなく、研磨パッド間でバラツキが大きい。これを修正するためにダイヤモンドドレスなどのパッド表面処理を行ったが、修正効果は研磨パッド間でまちまちであり、時には十分に修正できない場合もあった。その状態で製品加工を継続した場合、ROA、SFQRは研磨パッドの使用時間により徐々に良くなり、バラツキがあるが約4000分で安定する場合が多い。しかし、安定化した後のROA、SFQRのレベルは研磨パッド間で一定でなく、バラツキが大きかった。
本発明者らは、このような現象の原因を検討したところ、ポリウレタン製の研磨パッドには、局所的な密度のバラツキが存在し、このような研磨パッドの局所的な硬度のムラが、研磨されたウエーハの平坦性に影響すると考えた。
そして、本発明者らは、このようにポリウレタン製の研磨パッドにおいて硬度のムラが生じる理由について鋭意検討を行った。
従来のポリウレタン製の研磨パッドの製造方法の一例を、模式的な概念図として図2に示した。
発泡ポリウレタンの塊である発泡ウレタンケーキから発泡ウレタンパッドをスライス(切り出し)して(工程1)、研磨パッドとする。
発泡ウレタンケーキからスライスした直後の研磨パッドは、図2(1)に示したように、ポリウレタン密度が密の領域(以下、単に「密の領域」と呼ぶことがある。)と、密度が疎の領域(以下、単に「疎の領域」と呼ぶことがある。)とが混在している。また、実際の発泡ポリウレタンには微小な発泡が生じている。
次に、この研磨パッドを両面テープに接着する(工程2)。
次に、必要に応じて例えば4000g/cm程度の低圧でプレス処理を行い、研磨パッドと両面テープの間の比較的大きな空隙を除去する(工程3)。
次に、研磨パッドの両面テープと接着した側とは反対側(研磨パッド表面;研磨の際には研磨面となる)をバフィング処理し、粗れやうねりを除去する(工程4)。
このような一連の工程を経ることにより、図2(4)に示したように、研磨パッドの研磨面の粗れやうねりは除去され平坦化されるが、研磨パッドには最初から存在していた密の領域と疎の領域の分布が残る。
このように研磨パッドに密度が密の領域と疎の領域とが混在していると、研磨を行う際に研磨圧力の分布が不均一となり、研磨されるウエーハの平坦性にも影響を及ぼすことになる。
また、上述したような、従来の研磨パッドでは、研磨パッドライフ初期において、特にウエーハ平坦性が悪く、不安定であること、及び、研磨パッド使用時間が経過するに従って徐々にウエーハの平坦性が改善していき、安定化していくことなどは、ウエーハを研磨する間に研磨パッドが圧縮され、その密度分布が次第に均一化していくためであると考えることができる。
そして、これらのことから、予め、研磨パッドにおけるポリウレタンの密度分布がほぼ均一に密の領域になるように高圧力でプレス処理することによって、安定して平坦性の高いウエーハとすることができる研磨パッドを製造することができることに想到し、本発明を完成させた。
以下では、本発明の実施の形態について、添付した図面に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明に係るポリウレタン製の研磨パッドの製造方法を模式的に示した概念図である。
まず、発泡ポリウレタンの塊である発泡ウレタンケーキをスライスして発泡ウレタンパッドを切り出す(工程a)。
発泡ウレタンケーキとしては、主成分がポリウレタンであれば、若干の添加物を含んでいてもよく、研磨パッド用として通常用いられる発泡ウレタンケーキであれば、本発明を適用することができる。
発泡ウレタンケーキからスライスした直後の発泡ウレタンパッドには、従来と同様にポリウレタン密度が密の領域と、密度が疎の領域が混在している。
次に、15000g/cm以上の高圧力でプレス処理を行う(工程b)。この高圧プレス処理により、発泡ウレタンパッドの密度分布が均一化される。これは、高圧プレス処理により、発泡ウレタンパッドのうち、ポリウレタンの密度が疎の領域が改質され、密度が密の領域となるためと考えられる。このプレス処理は単純なプレス加工機で行えばよく、例えば、プレス用の下定盤の上に発泡ウレタンパッドを置き、プレス用の上定盤を上から自重と重り等によりプレスすることなどによって行うことができるが、これに限定されるものではない。なお、プレス圧力を15000g/cm以上とする理由は後述する。
以上のようにして本発明の研磨パッドを製造することができるが、さらに、以下のような工程を適宜追加することが望ましい。
まず、工程bの高圧プレス処理の後、発泡ウレタンパッドの少なくとも定盤に貼り付ける側の面(パッド裏面)にバフィング処理を行う(工程c)。
通常、研磨パッドを研磨装置の定盤に固定するために、予め研磨パッドに両面テープを接着するが、研磨パッドの裏面、すなわち両面テープを接着する側の面が粗れやうねりを有しており、このこともウエーハの平坦性に影響する。このため、上記のような裏面バフィング処理を行って研磨パッド裏面の平坦性を改善しておくことが望ましい。
なお、このバフィング処理は通常研磨パッドに対して行われるバフィング処理方法を用いればよく、特に限定はされない。例えば、微小な刃のついたローラーを回転させながらパッドの表面を走査して表面を削ることによってこのバフィング処理を行う。また、この裏面バフィング処理におけるバフィング量も特に限定されず、例えば、0.01mm以上0.1mm以下程度とすることができる。
次に、この発泡ウレタンパッドの定盤に貼り付ける面を両面テープに接着する(工程d)。
両面テープは、通常、発泡ウレタンパッドに接着される側とは反対側に剥離紙が接着されており、定盤に研磨パッドを貼り付けるときにはこの剥離紙を剥がして貼り付ける。
発泡ウレタンパッドを両面テープに接着した後、必要に応じて、例えば4000g/cm程度の低圧でプレス処理を行ってもよい。このようにすれば、発泡ウレタンパッドと両面テープの間の空隙をより確実に除去することができる。
次に、発泡ウレタンパッドの両面テープと接着した側とは反対側(パッド表面;研磨の際には研磨面となる)をバフィング処理し、粗れやうねりを除去する(工程e)。このようにすることにより、より研磨面の平坦性を高めることができ、ウエーハの平坦性を高くして研磨することができる。また、この表面バフィング処理におけるバフィング量も特に限定されず、例えば、0.01mm以上0.1mm以下程度とすることができる。
なお、通常、研磨パッドは、研磨パッドを貼り付ける定盤の底面の形状に合わせて打ち抜くが、本発明において、予め定盤の底面より大きい研磨パッドを用い、工程bの高圧プレス処理工程よりも後に、発泡ウレタンパッドの周辺部を除去すれば、プレスされた状態の密度分布の均一度がより高い部分(除去する前のパッド中央部)を研磨の際に使用する研磨パッドとすることができるので、より確実に研磨パッドの密度分布を均一にすることができるので好ましい。
以下、このようにして製造した研磨パッドを用いてウエーハを研磨する方法について説明する。
本発明に係る研磨パッドを用いるウエーハの研磨では、片面研磨装置、両面研磨装置のいずれでも用いることができ、それぞれ公知の装置を用いることができる。
例えば、両面研磨装置としては、サンギアとインターナルギアを有し、下定盤と上定盤との間でウエーハが公転及び自転するタイプ(特開平10−249717号公報等参照)でも、このような公転及び自転をしないタイプ(特開平10−202511号公報等参照)でもよい。
また、シリコン単結晶ウエーハ等の半導体ウエーハの他、ガラス基板等種々のウエーハの研磨について用いることができる。
図3に本発明に係る研磨パッドを具備する両面研磨装置の一例の概略断面図を示した。
両面研磨装置11は、上下に相対向して設けられた下定盤13と上定盤14を備えており、各定盤13、14の対向面側には、それぞれ本発明に係る研磨パッド12が両面テープ等により貼付されている。ウエーハWはキャリア15の保持孔に保持され、上定盤14と下定盤13の間に挟まれる。上定盤14及び下定盤13が不図示の駆動源によって回転される。このときウエーハWはキャリア15の保持孔で保持されており、上下の研磨パッド12により両面を同時に研磨される。研磨時には、研磨スラリー供給手段16から研磨スラリーが供給される。
図4に本発明に係る研磨パッドを具備する片面研磨装置の一例の概略断面図を示した。
片面研磨装置21は、本発明に係る研磨パッド12が両面テープ等により貼付された定盤23と、ウエーハWを保持する研磨ヘッド25と、研磨スラリー供給手段26を具備している。定盤23と研磨ヘッド25が不図示の駆動源によって回転され、ウエーハWが研磨パッド12に摺接され、ウエーハWの被研磨面が研磨される。研磨時には、研磨スラリー供給手段26から研磨スラリーが供給される。
このような、本発明の研磨パッドの製造方法によって製造された研磨パッドを用いたウエーハの研磨方法であれば、密度分布の均一性の高い研磨パッドを用いて、均一性の高い研磨圧力でウエーハを研磨することができるため、平坦性の高いウエーハとすることができる。
以下、図1の工程bの高圧プレス圧力を15000g/cm以上とする理由等について、実験例を示して説明する。
(実験例1〜6)
図1に示したような本発明に係る研磨パッドの製造方法に従い、以下のように研磨パッドを製造した。
まず、密度が0.5g/cmであり、弾性係数(圧縮係数)が10000〜13000psi(69000〜89000kPa)である発泡ウレタンケーキから、厚さおよそ0.8mmの発泡ウレタンパッドを6枚切り出した(工程a)。
次に、4000g/cm(2枚)(実験例1、2)、15000g/cm(実験例3)、19000g/cm(実験例4)、23000g/cm(2枚)(実験例5、6)のそれぞれの圧力でプレス処理を行った(工程b)。
次に、実験例2、実験例6の発泡ウレタンパッドに対しては、0.03mm程度のバフィング量で裏面バフィング処理を行った(工程c)。
次に、それぞれの発泡ウレタンパッドを厚さ0.1mmの両面テープに接着した(工程d)。
次に、それぞれの発泡ウレタンパッドを0.03mm程度のバフィング量で表面バフィング処理を行った(工程e)。
このようにして製造した6枚の研磨パッドを定盤に貼り付け、ドレッシング等の特別な表面処理を行うことなく、実際にウエーハの研磨を行って、その研磨品質を評価した。
研磨したウエーハの種類は直径300mmのシリコン単結晶ウエーハであり、P型(比抵抗1Ωcm以上)のものを用いた。
研磨装置としては不二越機械工業製両面研磨機を用いた。これは、下定盤の上にガラスエポキシ製のキャリアを置き、その保持孔の部分にウエーハを5枚仕込み、その上から上定盤を置き、研磨スラリーを流しながら研磨を行うものである。下定盤と上定盤は反対方向に回転し、キャリアも揺動回転をする。
研磨時間は1バッチ当たり30〜60分程度、研磨圧力は16〜20kPa程度とした。それぞれの研磨パッドの使用時間が9000〜10000分程度までウエーハを取り替えながら研磨を行った。
このようにして研磨を行ったウエーハのROAを以下のようにして評価した。
測定装置としては、黒田精工製フラットネス測定装置Nanometroを用いた。これは、2つのレーザーセンサーの間にウエーハを配置し、レーザーセンサーを走査してウエーハの厚さを測定、そのデータを計算によりROAを求めるものである。ウエーハ裏面を平面に矯正した状態で、ウエーハ表面の傾きを補正し、ウエーハ外周から3mmの位置と1mmの位置の表面高さの差を算出した。
図5に、実験例1、3、4、5、すなわち裏面バフィング処理なしの場合の研磨パッドの使用時間とROAの関係を示すグラフを示した。実験例1のプレス圧力が4000g/cmである場合には、研磨パッド使用開始当初のウエーハのROAが0.30μmと高く、ROAが0.20μm以下となるには研磨パッドの使用時間4000分が必要であり、この間は十分なウエーハ平坦性が得られなかった。4000分を超えた辺りからROAの減衰が少なくなり、安定したと言えるが、ROAの減衰は9000分まで継続した。
実験例3、4、5はプレス圧力がそれぞれ15000g/cm、19000g/cm、23000g/cmの場合のROAの結果である。15000g/cmの場合、研磨パッド使用開始当初のウエーハのROAが0.23μmであり、実験例1と比較して十分に低かった。また、ROAが0.20μm以下となるには研磨パッドの使用時間1000分でよく、1000分を超えてからは十分なウエーハ平坦性が得られた。またROAの減衰が少なくなるのは約1500分であり、実験例1と比較して早く安定化した。
実験例4、5から、プレス圧力が高いほど研磨パッドの使用開始当初のウエーハのROAが低く、また、安定してからのROAの絶対値が低いことがわかる。すなわち、より高いウエーハ平坦性が得られる。
以上の実験結果から、工程bの高圧プレス処理工程のプレス圧力は15000g/cm以上とする。
図6に、実験例5および実験例6、すなわち、プレス圧力が23000g/cmのときの裏面バフィング処理を行った場合と行わなかった場合について研磨パッドの使用時間とROAの関係を示すグラフを示した。
このグラフから、高圧プレス処理に加えて、裏面バフィング処理を行うことによって、より効果的にウエーハ平坦性、およびその安定性の改善が見られたことがわかる。
図7に、実験例1および実験例2、すなわち、プレス圧力が4000g/cmのときの裏面バフィング処理を行った場合と行わなかった場合について研磨パッドの使用時間とROAの関係を示すグラフを示した。
このグラフより、プレス圧力が4000g/cmのように低い場合でも、裏面バフィング処理によりウエーハ平坦性の改善効果が見られる。しかし、パッド使用開始当初のウエーハのROAは依然高く、ROAの減衰が少なくなるのは3000分を超えた辺りからであり、安定化してからのROAの絶対値は実験例1と同等であった。裏面バフィング処理のみでは効果は不十分であることがわかる。
下記の表1に、実験例1〜6について、それぞれの工程bにおけるプレス圧力、工程cの裏面バフィング処理の有無、研磨開始後まもなくのROAの値(初期ROA)、研磨品質安定化までの研磨パッド使用時間のおおよその値、研磨品質安定化後のROAのおおよそのレベルを示した。
Figure 0005061694
表1より、工程bのプレス圧力が高いほど初期ROAが低く、研磨品質安定化までの研磨パッド使用時間も短く、研磨品質安定化後のROAレベルも低い傾向があることがわかる。また、裏面バフィング処理を組み合わせるとさらに効果的であることがわかる。
上記の実験で明らかになったように、本発明に係る研磨パッドの製造方法によって製造された研磨パッドを用いてウエーハの研磨を行えば、初期ROAが例えば0.23μm以下(特に、0.19μm以下)のように非常に高い研磨品質でウエーハの研磨を行うことができる。また、このような初期ROAを得ることができる本発明に係る研磨パッドを、ROAが安定化した後に操業に用いることが、特に好ましい。
なお、高圧プレス処理の圧力の上限は特に限定されないが、プレス装置の能力やコストとの兼ね合い等によって決まり、例えば、25000g/cm以下とすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に係る研磨パッドの製造方法の一例を模式的に示した概念図である。 従来の研磨パッドの製造方法の一例を模式的に示した概念図である。 本発明に係る研磨パッドを具備する両面研磨装置の一例を示した概略断面図である。 本発明に係る研磨パッドを具備する片面研磨装置の一例を示した概略断面図である。 研磨パッドの使用時間とROAとの関係を示したグラフである。 研磨パッドの使用時間とROAとの関係を示したグラフである。 研磨パッドの使用時間とROAとの関係を示したグラフである。
符号の説明
11…両面研磨装置、 12…研磨パッド、 13…下定盤、
14…上定盤、 15…キャリア、 16…研磨スラリー供給手段、
21…片面研磨装置、 23…定盤、 25…研磨ヘッド、
26…研磨スラリー供給手段、
W…ウエーハ。

Claims (6)

  1. 発泡ウレタンパッドからなり、定盤に貼り付けてウエーハの研磨に用いる研磨パッドの製造方法において、少なくとも、
    発泡ウレタンケーキをスライスして発泡ウレタンパッドとする工程と、
    該発泡ウレタンパッドを15000g/cm以上の圧力でプレス処理する工程と
    を有することを特徴とする研磨パッドの製造方法。
  2. 前記プレス処理工程よりも後に、前記発泡ウレタンパッドの少なくとも前記定盤に貼り付ける面をバフィング処理する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の研磨パッドの製造方法。
  3. 前記プレス処理工程よりも後に、前記発泡ウレタンパッドの周辺部を除去する工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨パッドの製造方法。
  4. 前記プレス処理工程よりも後に、前記発泡ウレタンパッドの前記定盤に貼り付ける面を両面テープに接着する工程と、前記発泡ウレタンパッドの前記両面テープに接着した面とは反対側の面をバフィング処理する工程とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の研磨パッドの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の研磨パッドの製造方法によって製造されたことを特徴とする研磨パッド。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の研磨パッドの製造方法によって製造された研磨パッドを前記定盤に貼り付け、該研磨パッドが貼付された定盤を用いて前記研磨パッドの表面と前記ウエーハとの間に研磨スラリーを介在させて前記ウエーハの研磨を行うことを特徴とするウエーハの研磨方法。
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