JP5057710B2 - ヒートポンプ式熱回収装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートポンプを用いて排温水などの排熱源から熱を回収し、水などの媒体を加熱して高温水や低圧蒸気を発生させるヒートポンプ式の熱回収装置に関する。
各種工場においては、低圧蒸気や高温水を必要とする一方で、排温水が排出されているケースが多く、特に食品加工工場では蒸気殺菌や加熱および洗浄の工程で、多量の低圧蒸気や90℃以上の高温水を使用しており、これら各工程からは50〜80℃程度の排温水が多量に排出される。
これら排温水を低圧蒸気や高温水生成のための給水と単に熱交換させて熱回収を行うのみでは得られる温水の温度が低いため、この排温水を熱源として給水を直接に蒸気や高温水にすることのできる熱回収型のヒートポンプ装置が各種提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
図3は、特開昭61−125547号公報(特許文献1)に報告されている低圧蒸気を得るための従来例であり、ヒートポンプ装置の冷媒回路は圧縮機1、凝縮器として作用する蒸気発生用熱交換器2および給水予熱用熱交換器3、減圧装置として作用する膨張弁4、蒸発器として作用する熱回収用熱交換器5が、圧縮機1から蒸気発生用熱交換器2に至る冷媒吐出配管6、熱回収用熱交換器5から圧縮機1に至る冷媒吸入配管7およびその他の冷媒配管で環状に接続され構成されている。
また、低圧蒸気を得る熱出力側の蒸気ドラム8には、給水予熱熱交換器3を経由した給水管9と、蒸気発生用熱交換器2を経由した蒸気管10と、低圧蒸気取出管11が接続されており、一方排温水からの熱回収側は排温水管12が熱回収用熱交換器5に接続されている。
図4は、特開平7−139847号公報(特許文献2)に報告されている他の実施例の一部であり、圧縮機1、凝縮器として作用する蒸気発生用熱交換器2、減圧装置として作用する毛細管4a、蒸発器として作用する熱回収用熱交換器5、付属機器であるアキュムレータ13が冷媒吐出配管6、冷媒吸入配管7およびその他の配管で環状に接続され、蒸気発生用熱交換器2には蒸気管10が、熱回収用熱交換器5には排温水管12が接続されている。
これらの従来例では、例えば70℃の排温水を利用して100℃の蒸気を得る熱回収運転時においては、圧縮機1で圧縮されてその凝縮温度が例えば110℃となった高温高圧の蒸気冷媒が、冷媒吐出管6を経て蒸気発生用熱交換器2に入り、110℃で凝縮して蒸気管10からの熱水に熱を与え100℃の水蒸気を生成し、さらに凝縮器での熱交換後の残余の熱で給水予熱用熱交換器3で給水管9を流れる水を加熱した後、膨張弁4や毛細管4aで減圧され、例えば蒸発温度50℃の低圧の液冷媒となり、熱回収用熱交換器5で排温水管12からの70℃の排温水との熱交換によって蒸発し、60℃程度の低圧蒸気冷媒となって冷媒吸入配管7を経て圧縮機1に戻され、この圧縮機1において圧縮されて再び凝縮温度が110℃となった高温高圧の蒸気冷媒となるサイクルを繰返す。
特開昭61−125547号公報 特開平7−139847号公報
前述した従来のヒートポンプ式熱回収装置では、設置後や長時間の運転停止後は装置各部の温度は例えば20℃程度の室温になっており、この状態でヒートポンプによる熱回収運転を開始すると、ヒートポンプ回路を流れる冷媒は装置起動時には熱回収用熱交換器5で70℃の排温水から熱回収することによって蒸発温度50℃で蒸発して60℃程度の蒸気となるが、圧縮機1に戻る途中で20℃の冷媒吸入管7やアキュムレータ13を通るときに冷却されて凝縮し、再び液となって圧縮機1に戻り、圧縮機1を損傷させる。あるいは圧縮機内油温が30℃であった場合には油により冷媒蒸気が凝縮液化して液戻り状態と同様になり油圧低下するなどの課題があった。
上述の課題を解決するため、第1の本願発明に係るヒートポンプ式熱回収装置は、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器がこの順に環状に接続されて冷媒回路を構成し、前記凝縮器における冷媒の凝縮潜熱により外部から供給される水を加熱して蒸気・温水を生成するとともに、前記蒸発器に外部から供給される排熱を同蒸発器における冷媒の蒸発熱として回収する構成のヒートポンプ式熱回収装置において、前記蒸発器と圧縮機との間における冷媒回路の加熱手段を設けた構成のものとしてある。
また、第2の本願発明に係るヒートポンプ式熱回収装置は、前記加熱手段を、圧縮機の吐出管と蒸発器の出口管とを接続するバイパス配管と、前記圧縮機からの冷媒を前記バイパス配管側または凝縮器側に切り換えて流す開閉弁装置とで構成したものとしてある。
第3の本願発明に係るヒートポンプ式熱回収装置は、装置起動時において、蒸発器と圧縮機との間における冷媒の温度を検知する温度検知器が、冷媒の蒸発温度または蒸発器に供給される高温排熱の温度より低いことを検知すると、前記開閉弁装置が圧縮機からの冷媒をバイパス配管側に流し、前記温度検知器が予め設定された所定の温度に到達すると、凝縮器側に流すよう制御されるように構成したものとしてある。
第4の本願発明に係るヒートポンプ式熱回収装置は、前記加熱手段を、蒸発器に供給される排熱の供給管から分岐し、蒸発器から圧縮機に至る配管および機器類と熱交換可能に設けた排熱供給回路と、前記排熱の供給管と排熱供給回路との間で排熱の流れ方向を切り換える開閉弁装置とで構成したものとしてある。
第5の本願発明に係るヒートポンプ式熱回収装置は、装置起動時において、蒸発器と圧縮機との間における冷媒の温度を検知する温度検知器が、冷媒の蒸発温度または蒸発器に供給される高温排熱の温度より低いことを検知すると、前記開閉弁装置が外部からの排熱を前記排熱供給回路側に流し、前記温度検知器が予め設定された所定の温度に到達すると、蒸発器側に流すよう制御されるように構成したものとしてある。
第6の本願発明に係るヒートポンプ式熱回収装置は、第1の本願発明における加熱手段を、電気ヒータまたは温水ヒータで構成したものとしてある。
本発明によれば、装置起動時においてヒートポンプによる熱回収運転に入る前に、熱回収用熱交換器から圧縮機吸入口までを予め加温する予熱運転を設定しているため、熱回収運転起動後に前記熱回収用熱交換器から圧縮機吸入口の間で冷媒が急速に冷却され凝縮液化する、あるいは圧縮機内部で冷媒が油により凝縮液化し不具合を生じるという危険性が無く熱回収運転を立ち上げることができる。
以下、本発明に係る装置の実施例を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す図であり、同図1において符号1〜13は図3、4に示した従来例のものと基本的に共通の構成を示している。
そして、本実施例のものにおいては圧縮機1の冷媒吐出管6と熱回収用熱交換器5を出た後の冷媒吸入管7との間を、途中に第1開閉弁14を備えるバイパス配管15で接続するとともに、バイパス配管15と分岐した後の冷媒吐出管6に第2開閉弁16を設置し、これら開閉弁14、16よりなる開閉弁装置24を制御するための温度検知器17を、例えばアキュムレータ13に取付けている。
この温度検知器17に対し、蒸発温度検知のために温度検知器18を熱回収用熱交換器冷媒配管5aに、あるいは排温水温度検知のために温度検知器19を排温水管12に取り付けている。なお、冷媒には高温冷媒であるR−245faを採用するのが好適である。
上述のように構成した本発明によるヒートポンプ式熱回収装置では、装置の運転信号とともに排温水が排温水管12を流れるが、このとき温度検知器17で検知される温度が温度検知器18で検知される蒸発温度より低い、あるいは温度検知器19で検知される排温水温度より設定値ΔT以上低い場合は、第1開閉弁14が開、第2開閉弁16が閉となって圧縮機からの冷媒がバイパス配管15側に流される状態となる熱回収運転前の予熱運転が設定され、圧縮機1が起動する。
運転の起動ともに、圧縮機1で圧縮され高温高圧のガスとなって吐出された冷媒は、第1開閉弁14が開、第2開閉弁16が閉となっているため、冷媒吐出管6からバイパス配管15を通って熱回収用熱交換器5の出口側に導入され、その後冷媒吸入管7およびこの冷媒吸入管7に取付けられたアキュムレータ13などの機器類を通って圧縮機1に戻るが、この運転によって熱回収用熱交換器5から圧縮機1までの冷媒吸入管7やアキュムレータ13などの機器類が圧縮機からの高温の蒸気冷媒によって加温される。
前記の予熱運転中に、温度検知器17の温度が設定温度以上になると第2開閉弁16が開、第1開閉弁14が閉となり、圧縮機1で圧縮され高温高圧となった冷媒は、冷媒吐出管6から蒸気発生用熱交換器2、給水予熱熱交換器3に行って蒸気の生成および給水の予熱を行ったあと、膨張弁4で減圧され低圧となって熱回収用熱交換器5に行き、ここで排温水管12からの排温水と熱交換して蒸気となり圧縮機1に戻り再び圧縮されるサイクルを繰り返すが、このとき冷媒吸入管7やアキュムレータ13などの機器類は冷媒の蒸発温度以上となっているため、冷媒はここで冷却されず、したがって液化することなく蒸気の状態で圧縮機1に吸入される。
上述した実施例の装置においては、予熱運転として圧縮機1で圧縮された高温高圧の冷媒蒸気を冷媒吸入管7側にバイパスして加温する構成としたが、図2に示す他の実施例では、排熱の供給管たる排温水管12を、熱回収用熱交換器5に入る前に第1開閉弁20と第2開閉弁21よりなる開閉弁装置25を介して第1排温水管22と第2排温水管23とに分岐し、第1排温水管22は熱回収用熱交換器5に接続されて低圧の液冷媒と熱交換する構成とし、第2排温水管23は熱回収用熱交換器5を出た冷媒吸入配管7およびこの冷媒吸入配管7に取り付けられているアキュムレータ13などの機器類を介して第2排温水管内の排温水の熱を吸入冷媒と熱交換させる構成となっている。
上記のように構成された実施例では、装置の運転信号とともに排温水が排温水管12を流れるが、このとき温度検知器17で検知される温度が温度検知器18で検知される蒸発温度より低いか、あるいは温度検知器19で検知される排温水温度より設定値ΔT以上低い場合は、第1開閉弁20が閉、第2開閉弁21が開となり、圧縮機1は起動せず排温水は排温水管23を流れる予熱運転が設定される。
この予熱運転によって、蒸発器たる熱回収用熱交換器5と圧縮機1との間の冷媒回路である冷媒吸入配管7およびこの冷媒吸入配管7に取り付けられているアキュムレータ13などの機器類は、第2排温水管23を流れる排温水によって加温される。
予熱運転において、温度検知器17で検知される温度が温度検知器18で検知される蒸発温度以上、あるいは温度検知器19で検知される排温水温度が設定値温度に達すると、第1開閉弁20が開、第2開閉弁21が閉となり排温水は第1排温水管22を流れ、その後、圧縮機1が起動され、圧縮機1で圧縮され高温高圧となった冷媒は、冷媒吐出管6から蒸気発生用熱交換器2、給水予熱熱交換器3に行って蒸気の生成および給水の予熱を行ったあと、膨張弁4で減圧され低圧となって熱回収用熱交換器5に送られ、ここで第1排温水管22からの排温水と熱交換して蒸気となり、その後、冷媒吸入管7やアキュムレータ13などの機器類で冷却されず、したがって凝縮することなく、蒸気状態で圧縮機1に戻り再び圧縮されるサイクルを繰り返す。
なお、前記第1実施例において熱出力側の低圧蒸気を得る回路は、蒸気ドラム8に接続されている給水予熱の給水管9と低圧蒸気を得る蒸気管10から構成されているが、第2実施例のもののように、給水管9は蒸気ドラム8に接続することなく、温水の取出し管として独立させても良い。すなわち、低圧蒸気を得る回路は、第1実施例のものと第2実施例のものを相互に交換した構成とする場合もある。
さらに、第2実施例のものにおける給水予熱熱交換器3からの温水出口と蒸気発生用熱交換器2の給水口とを直接または制御弁を介して接続し、給水予熱熱交換器3からの温水をそのまま蒸気発生用熱交換器2に供給したり、上記制御弁の操作によって給水予熱熱交換器3からの温水の一部を外部に導出するとともに、残余を蒸気発生用熱交換器2に直接または外部からの給水と混合して送ったりするように構成する場合もある。
また、温度検知器17をアキュムレータ13に設置している例を図示しているが、設置場所はここに限定されることなく、冷媒吸入回路の温度を代表できる位置でよく、また複数個設置してもよい。
予熱運転の是非を判断する温度については、冷媒の蒸発温度あるいは排温水温度である。排温水温度で判断する場合は、冷媒との温度差ΔTを設定する必要がある。この温度差ΔTは、熱回収用熱交換器5で排温水と熱交換させる冷媒の蒸発温度の設計値に依存する値であり、一例として排温水温度が70℃のとき冷媒蒸発温度が50℃であれば、温度検知器17の温度は50℃以上になっていれば良く、したがって設定温度差ΔTは約20℃以内に設定される。
さらに、冷媒の蒸発温度や排温水温度および冷媒吸入配管7の温度等が予め想定されるときは、予熱運転の設定をタイマーによる時間設定としてもよい。
図1におけるヒートポンプ回路は基本構成機器を示すものであり、これ以外に圧縮機を2台備えた2段圧縮式の回路でもよく、また各種の制御弁や回路および油分離器、ドライヤ、受液器などの機器が付属されていても良いことはいうまでもない。
また、図2における排温水管23による冷媒吸入管7およびアキュムレータ13などの機器の加熱については、その熱交換の方法は特に限定するものではなく、排温水管21を冷媒吸入管7やアキュムレータ13などの機器に沿わせてもよく、また排温水管21によって加温された空気中に冷媒吸入管7やアキュムレータ13などの機器を配置する構成としても良い。
さらに、上述した実施例では圧縮機の吐出高温冷媒や排温水を、吸入側配管における加熱手段の熱源としているが、この熱源を電気ヒータや温水ヒータとする場合もある。
本発明によるヒートポンプ式熱回収装置の実施形態の一例を示す構成図。 本発明によるヒートポンプ式熱回収装置の実施形態の他の例を示す構成図。 従来例を示す構成図。 他の従来例を示す構成図。
符号の説明
1 圧縮機
2 蒸気発生用熱交換器
2a 蒸気発生用熱交換器冷媒配管
2b 蒸気発生用熱交換器水配管
3 給水予熱用熱交換器
3a 給水予熱用熱交換器冷媒配管
3b 給水予熱用熱交換器水配管
4 膨張弁
4a 毛細管
5 熱回収用熱交換器
5a 熱回収用熱交換器冷媒配管
5b 熱回収用熱交換器水配管
6 冷媒吐出管
7 冷媒吸入管
8 蒸気ドラム
9 給水管
10 蒸気管
11 低圧蒸気取出管
12 排温水管
13 アキュムレータ
14 第1開閉弁
15 バイパス配管
16 第2開閉弁
17 温度検知器
18 温度検知器
19 温度検知器
20 第1開閉弁
21 第2開閉弁
22 第1排温水管
23 第2排温水管
24 開閉弁装置
25 開閉弁装置

Claims (1)

  1. 圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器がこの順に環状に接続されて冷媒回路を構成し、前記凝縮器における冷媒の凝縮潜熱により外部から供給される水を加熱して蒸気・温水を生成するとともに、前記蒸発器に外部から供給される排熱を同蒸発器における冷媒の蒸発熱として回収する構成のヒートポンプ式熱回収装置において、前記蒸発器と圧縮機との間における冷媒回路の加熱手段を設け、この加熱手段を、蒸発器に供給される排熱の供給管から分岐し、蒸発器から圧縮機に至る配管および機器類と熱交換可能に設けた排熱供給回路と、前記排熱の供給管と排熱供給回路との間で排熱の流れ方向を切り換える開閉弁装置とで構成し、圧縮機を起動させる前の装置起動時において、蒸発器と圧縮機との間における冷媒の温度を検知する温度検知器が、熱回収用熱交換器冷媒配管に取り付けられた温度検知器で検知される温度よりも低い温度を検知すると、前記開閉弁装置が外部からの排熱を前記排熱供給回路側に流す予熱運転が行われ、前記蒸発器と圧縮機との間における冷媒の温度を検知する温度検知器が予め設定された所定の温度に到達すると、蒸発器側に流すよう制御されるように構成してなるヒートポンプ式熱回収装置。
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