JP6465218B2 - 排熱回収ヒートポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、2段圧縮機の高段側圧縮機が、気液分離器からの中間圧冷媒と低段側圧縮機からの中間圧冷媒との混合冷媒を吸入冷媒として動作する場合、装置起動時における高段側圧縮機の液圧縮を確実に回避することができる排熱回収ヒートポンプ装置に関する。
ヒートポンプ装置には、ヒートポンプサイクル上に低圧側圧縮機と高圧側圧縮機との2つの圧縮機を設けた2段圧縮式を用いるものがある。特許文献1では、室内側熱交換器と、低圧側圧縮機と、高圧側圧縮機と、室内側熱交換器とから送られた冷媒を減圧する第1減圧装置と、第1減圧装置から送られた冷媒を気液分離する気液分離器と、気液分離器の液相側に接続され、気液分離器から送られた冷媒を減圧し、減圧した冷媒を室外側熱交換器に向けて送る第2減圧装置と、気液分離器の気相側に接続され、気液分離器から送られた冷媒を、低圧側圧縮機と高圧側圧縮機との間の管路上に導くインジェクション管路と、高圧側圧縮機に流入する冷媒を加熱ガス状態または飽和蒸気状態とするために、第2減圧装置における冷媒の減圧比を制御する制御部とを備えたヒートポンプ式加熱装置が記載されている。
特開2014−119157号公報
ところで、上述した特許文献1に記載されたヒートポンプ式加熱装置では、低圧側(低段側)膨張弁(第2減圧装置)による減圧量を制御することで高圧側(高段側)圧縮機の液圧縮を防止している。しかしながら、特許文献1に記載されたものは、低段側膨張弁の制御によって低段側の冷媒流量を減少させ、低段側圧縮機吐出温度を高温化することで高段側圧縮機の吸入冷媒の過熱状態を実現するものである。したがって、中間配管(インジェクション管路)への液冷媒混入量によっては必ずしも過熱状態を維持できるものではない。
特に、作動冷媒として高沸点の冷媒を用いた場合、装置停止後の周囲温度によっては、気液分離器内に凝縮した冷媒が貯留され、装置起動時に中間配管から液冷媒が流出する可能性が大きい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、2段圧縮機の高段側圧縮機が、気液分離器からの中間圧冷媒と低段側圧縮機からの中間圧冷媒との混合冷媒を吸入冷媒として動作する場合、装置起動時における高段側圧縮機の液圧縮を確実に回避することができる排熱回収ヒートポンプ装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる排熱回収ヒートポンプ装置は、外部熱源から回収した熱で冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発された冷媒を圧縮する低段圧縮機構と、前記低段圧縮機構で圧縮された冷媒を圧縮する高段圧縮機構と、前記高段圧縮機構で圧縮された冷媒を凝縮させ被加熱水を加熱する凝縮器と、前記凝縮器によって凝縮された冷媒を減圧膨張する高段膨張弁と、前記高段膨張弁から導入された冷媒を気液分離する気液分離器と、前記気液分離器の液側出口から吐出された冷媒をさらに減圧膨張して前記蒸発器に導入する低段膨張弁と、前記気液分離器の気体側出口から吐出された冷媒を前記低段圧縮機構の吐出口と前記高段圧縮機構の吸入口との間に導入する中間配管と、前記気液分離器の前記液側出口と、前記高段膨張弁を介して前記凝縮器の冷媒出口と前記気液分離器の冷媒入口とをつなぐ配管とを連通するバイパス配管と、前記中間配管に設けられた開閉制御弁と、前記バイパス配管に設けられたバイパス弁と、装置停止時に前記バイパス弁を開制御し、前記低段膨張弁を閉制御する制御部と、を備え、前記気液分離器の液相冷媒出口は前記凝縮器の冷媒出口よりも上方に配置されることを特徴とする。
また、本発明にかかる排熱回収ヒートポンプ装置は、上記の発明において、前記気液分離器の前記中間配管への気体側連通口は、前記凝縮器の冷媒入口よりも上方に配置されることを特徴とする。
また、本発明にかかる排熱回収ヒートポンプ装置は、上記の発明において、前記制御部は、装置停止時に前記開閉制御弁を閉にすることを特徴とする。
本発明によれば、装置停止時に気液分離器に貯留した液冷媒がバイパス弁を介して凝縮器側に自然導出されるので、装置起動における高段側圧縮機の液圧縮を確実に回避することができる。
本発明の実施の形態1に係る排熱回収ヒートポンプ装置の全体構成図である。 飽和ガス線と等エントロピー線とを含むR245faのP−h線図である。 図1に示したヒートポンプ部の詳細構成図である。 ヒートポンプ部の気液分離器と凝縮器との配置関係を示す模式図である。
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る排熱回収ヒートポンプ装置10の全体構成図である。排熱回収ヒートポンプ装置10は、工場排水等の温水から排熱を回収し、回収した排熱を利用して水蒸気を生成するシステムであり、生成した水蒸気は乾燥装置や殺菌装置等の外部の蒸気利用設備に送られる。
図1に示すように、排熱回収ヒートポンプ装置10は、水を蒸発させて水蒸気を生成し、外部へと送り出す蒸気生成部12と、温水供給部14によって供給される温水(熱源温水)から熱を回収し、この熱を蒸気生成部12での蒸気生成のための熱源として供給するヒートポンプ部16と、制御部20とを備える。
ヒートポンプ部16は、外部熱源である熱源温水から回収した熱で冷媒を蒸発させる蒸発器6と、蒸発器で蒸発された冷媒を圧縮する低段圧縮機構1aと、低段圧縮機構1aで圧縮された冷媒を圧縮する高段圧縮機構1bと、高段圧縮機構で圧縮された冷媒を凝縮させ被加熱水を加熱する凝縮器2と、凝縮器2によって凝縮された冷媒を減圧膨張する高段膨張弁3と、高段膨張弁3から導入された冷媒を気液分離する気液分離器4と、気液分離器4の液側出口から吐出された冷媒をさらに減圧膨張して蒸発器6に導入する低段膨張弁5と、気液分離器4の気体側出口から吐出された冷媒を低段圧縮機構の吐出口と高段圧縮機構の吸入口との間に導入する中間配管L1と、中間配管L1に設けられた開閉制御弁7とを有する。本実施の形態では、凝縮器2の出口側と高段膨張弁3との間に加熱器2aを接続している。高段膨張弁3および低段膨張弁5は、例えば電子膨張弁である。また、開閉制御弁7は、例えば電動弁である。
ヒートポンプ部16のヒートポンプサイクルに流れる冷媒は、図2に示すように、P−h線図上での等エントロピー線L11が低圧側で過熱域にあり、高圧側で飽和ガス線L12と等エントロピー線L11とが2点以上の交点もしくは接点を有する特性を持つ冷媒である。この冷媒は、例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(構造式:CHFCHCF、R245fa)である。図2は、R245faのP−h線図を示しており、飽和ガス線L12と等エントロピー線L11とが交点PP1,PP2の2点で交わっている。
高段圧縮機構1bで圧縮されて高温高圧となった冷媒は、凝縮器2で蒸気生成部12を循環する水と熱交換して冷却され凝縮する。凝縮器2を出た冷媒は、加熱器2aで給水経路30を流れる水を予熱してさらに冷却された後、高段膨張弁3で減圧膨張され、気液分離器4に導入される。気液分離器4の液側出口から吐出された冷媒は、さらに低段膨張機構5で減圧膨張され、蒸発器6で温水供給部14の温水経路32を流れる熱源温水から吸熱して蒸発して低段圧縮機構1aの吸入口に導入される。一方、気液分離器4の気体側出口から吐出された冷媒は、開閉制御弁7が設けられた中間配管L1を介して低段圧縮機構1aの吐出口と高段圧縮機構1bの吸入口との間に導入され、低段圧縮機構1aから吐出された冷媒と混合されて高段圧縮機構1bの吸入口に導入される。
蒸気生成部12は、ヒートポンプ部16を循環する冷媒を熱源として水を蒸発させて蒸気を生成する凝縮器2と、凝縮器2で生成される水と蒸気を含む気液二相流を蒸気と水とに分離する水蒸気分離器42と、水蒸気分離器42で分離された蒸気を外部の蒸気利用設備に供給する蒸気供給経路44と、水蒸気分離器42で分離された水を給水経路30から供給される水と合流させて凝縮器2から水蒸気分離器42へと導く水循環経路46とを有する。
水蒸気分離器42は、鉛直方向に沿った円筒状容器で構成され、下端壁に接続された水循環経路46に接続された給水経路30から水が給水補給されることで容器内部に水を貯留する。給水経路30は、図示しない水道管や水タンクからの水(給水)を給水ポンプ48によって加熱器2aを経て水循環経路46まで導入する。給水ポンプ48は制御部20の制御下に、水蒸気分離器42内に貯留された水の水位を測定する水位センサ50の検出値(水位)に基づきインバータ(INV)52を介してその運転回転数が制御される。水蒸気分離器42には、内部の蒸気圧が所定圧力以上になった際に開放される圧力逃がし弁54が接続されている。
水循環経路46は、水蒸気分離器42の下端壁から凝縮器2までを連通する液管46aと、凝縮器2から水蒸気分離器42の上部側壁までを連通する蒸気管46bとから構成されている。液管46aには水が流通し、蒸気管46bには水及び蒸気を含む気液二相流が流通する。液管46aには循環ポンプ56が設けられている。循環ポンプ56は制御部20の制御下に、インバータ(INV)58を介してその運転回転数が制御される。
蒸気供給経路44は、水蒸気分離器42の上端壁に接続され、蒸気管46bから当該水蒸気分離器42内に供給され、ここで水が分離された後の蒸気を外部に送り出す経路である。蒸気供給経路44には、流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁(蒸気圧力調整手段)60が設置されている。圧力調整弁60は、制御部20の制御下に、圧力センサ62で測定される水蒸気分離器42内の蒸気圧力に基づきその開度が調整される。圧力調整弁60の開度を適宜調整することにより、排熱回収ヒートポンプ装置10から外部に送り出される蒸気の流量や圧力を制御できる。蒸気供給経路44を流れる蒸気の圧力を調整する蒸気圧力調整手段としては、圧力調整弁60に代えて又はこれと共に蒸気を圧縮する蒸気圧縮機を用いてもよい。
制御部20は、それぞれインバータ(INV)を介して低段圧縮機構1aおよび高段圧縮機構1bの運転回転数を制御する。制御部20は、ヒートポンプサイクル上の圧力および温度を検出する図示しないセンサの検出値をもとに、ヒートポンプ部16の加熱出力を制御する。なお、低段圧縮機構1aおよび高段圧縮機構1bは、回転軸を共有した、例えば1台の2段スクロール圧縮機であってもよい。なお、制御部20は、高段膨張機構3及び低段膨張機構5の開度制御をさらに行うものであってもよい。
また、制御部20は、さらに給水ポンプ48、循環ポンプ56及び圧力調整弁60の制御を行うものであってもよいが、これら蒸気生成部12側は図示しない別の制御部によって制御してもよい。
(ヒートポンプ部の詳細構成)
図3は、図1に示したヒートポンプ部16の詳細構成図である。また、図4は、ヒートポンプ部16の気液分離器4と凝縮器2との配置関係を示す模式図である。なお、図3および図4に示した凝縮器2は、加熱器2aを含むものである。図3に示すように、ヒートポンプ部16は、さらに、気液分離器4の液側出口と、高段膨張弁3を介して凝縮器2の冷媒出口と気液分離器4の冷媒入口とをつなぐ配管とを連通するバイパス配管L2と、バイパス配管L2に設けられたバイパス弁8とを備える。具体的に、バイパス配管L2は、気液分離器4の液側出口に接続される配管上の位置PT1と、凝縮器2と高段膨張弁3を接続する配管上の位置PT2とを連通する。
また、図4に示すように、気液分離器4の液相冷媒連通口4Lの鉛直位置hb1は、凝縮器2の冷媒出口Q2の鉛直位置ha1よりも上方に配置される。また、気液分離器4の中間配管L1への気体側連通口4Vの鉛直位置hb2は、凝縮器2の冷媒入口Q1の鉛直位置ha1よりも上方に配置される。
(制御部による装置停止時の弁制御)
制御部20は、装置停止時にバイパス弁8を開制御し、低段膨張弁5および開閉制御弁7を閉制御する。ここで、装置停止により気液分離器4内の冷媒は外気温度によって冷却され液化することによって増大するが、気液分離器4の液相冷媒連通口4Lの鉛直位置hb1は、凝縮器2の冷媒出口Q2の鉛直位置ha1よりも上方に配置され、低段膨張弁5が閉になっているため、気液分離器4内に貯留した液冷媒は、バイパス配管L2を介して凝縮器2に移動して凝縮器2内に貯留される。これにより、気液分離器4内の液冷媒は、気液分離器4の気体側連通口4Vを介した中間配管L1に流入せず、装置起動時における高段圧縮機構1bの液圧縮を防止することができる。
また、気液分離器4の中間配管L1への気体側連通口4Vの鉛直位置hb2は、凝縮器2の冷媒入口Q1の鉛直位置ha1よりも上方に配置されるため、装置停止後に気液分離器4内の液冷媒が増大し、凝縮器2に貯留される液冷媒が満杯になっても、気液分離器4内の液冷媒が気体側連通口4Vを介して中間配管L1側に流出することがなくなる。この結果、気液分離器4内の液冷媒は、気液分離器4の気体側連通口4Vを介した中間配管L1に流入せず、装置起動時における高段圧縮機構1bの液圧縮を防止することができる。
さらに、開閉制御弁7が閉となるため、気液分離器4内の液冷媒が中間配管L1を介して高段圧縮機構1bの吸入口への流入を中間配管L1上で確実に防ぎ、装置起動時における高段圧縮機構1bの液圧縮を防止することができる。したがって、開閉制御弁7を気液分離器4の気体側連通口4Vの鉛直位置hb2よりも上方に配置することが好ましい。さらに、開閉制御弁7を気液分離器4の最上部よりも上方に配置することが好ましい。
なお、高段膨張弁3は、気液分離器4内の液冷媒の移動を容易にするため、装置停止時に開制御することが好ましい。
また、制御部20は、装置起動時に、バイパス弁8を閉制御し、高段膨張弁3、低段膨張弁5、および開閉制御弁7を運転状況に応じて開制御する。
1 圧縮機構
1a 低段圧縮機構
1b 高段圧縮機構
2 凝縮器
2a 加熱器
3 高段膨張弁
4 気液分離器
4L 液相冷媒連通口
4V 気体側連通口
5 低段膨張弁
6 蒸発器
7 開閉制御弁
8 バイパス弁
10 排熱回収ヒートポンプ装置
12 蒸気生成部
14 温水供給部
16 ヒートポンプ部
20 制御部
29 熱源温水温度センサ
30 給水経路
32 温水経路
42 水蒸気分離器
44 蒸気供給経路
46 水循環経路
52,58 インバータ
ha1,ha2,hb1,hb2 鉛直位置
L1 中間配管
L2 バイパス配管
Q1 冷媒入口
Q2 冷媒出口

Claims (3)

  1. 外部熱源から回収した熱で冷媒を蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器で蒸発された冷媒を圧縮する低段圧縮機構と、
    前記低段圧縮機構で圧縮された冷媒を圧縮する高段圧縮機構と、
    前記高段圧縮機構で圧縮された冷媒を凝縮させ被加熱水を加熱する凝縮器と、
    前記凝縮器によって凝縮された冷媒を減圧膨張する高段膨張弁と、
    前記高段膨張弁から導入された冷媒を気液分離する気液分離器と、
    前記気液分離器の液側出口から吐出された冷媒をさらに減圧膨張して前記蒸発器に導入する低段膨張弁と、
    前記気液分離器の気体側出口から吐出された冷媒を前記低段圧縮機構の吐出口と前記高段圧縮機構の吸入口との間に導入する中間配管と、
    前記気液分離器の前記液側出口と、前記高段膨張弁を介して前記凝縮器の冷媒出口と前記気液分離器の冷媒入口とをつなぐ配管とを連通するバイパス配管と、
    前記中間配管に設けられた開閉制御弁と、
    前記バイパス配管に設けられたバイパス弁と、
    装置停止時に前記バイパス弁を開制御し、前記低段膨張弁を閉制御する制御部と、
    を備え、
    前記気液分離器の液相冷媒出口は前記凝縮器の冷媒出口よりも上方に配置されることを特徴とする排熱回収ヒートポンプ装置。
  2. 前記気液分離器の前記中間配管への気体側連通口は、前記凝縮器の冷媒入口よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収ヒートポンプ装置。
  3. 前記制御部は、装置停止時に前記開閉制御弁を閉にすることを特徴とする請求項1または2に記載の排熱回収ヒートポンプ装置。
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