JP5057395B2 - 双方向クラッチ - Google Patents

双方向クラッチ Download PDF

Info

Publication number
JP5057395B2
JP5057395B2 JP2008167219A JP2008167219A JP5057395B2 JP 5057395 B2 JP5057395 B2 JP 5057395B2 JP 2008167219 A JP2008167219 A JP 2008167219A JP 2008167219 A JP2008167219 A JP 2008167219A JP 5057395 B2 JP5057395 B2 JP 5057395B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
input
output
force
portions
driving force
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008167219A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010007755A (ja
Inventor
太郎 磯部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Origin Electric Co Ltd
Original Assignee
Origin Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Origin Electric Co Ltd filed Critical Origin Electric Co Ltd
Priority to JP2008167219A priority Critical patent/JP5057395B2/ja
Publication of JP2010007755A publication Critical patent/JP2010007755A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5057395B2 publication Critical patent/JP5057395B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、入力部材側からの回転力は出力部材側に伝達され、出力部材側からの回転力は入力部材側に伝達されない双方向クラッチに関する。
駆動側である入力側からの双方向の駆動力が従動側である出力側に伝達され、出力側からの回転力は入力側に伝達されない双方向クラッチは既に提案されている。例えば、入力側からの双方向の駆動力が出力側に伝達され、出力側からの外力は入力側に伝達されない双方向クラッチの例として、出力部材となる従動側部材に回転力が与えられると、従動側部材がロックされる機構を有し、そのロックによって従動側部材が回転できなくなり、出力側からの回転力は入力側に伝達されない双方向クラッチ(例えば、特許文献1、2参照)が提案されている。また、双方向クラッチの他の例として、出力部材となる従動側部材に回転力が与えられると、出力部材が空転する構造のものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−199532号公報 特開2007−032634号公報 特開平10−037985号公報
前掲の特許文献1の発明に係る双方向クラッチは複数のカム部材、コイルスプリングなどを組み合わせた構造であるので、比較的複雑であり、組み立て作業に時間を要するなどコストの低減、小型化を十分に行えないという問題点がある。また、前掲の特許文献2の双方向クラッチも入出力側の歯部を互いに噛み合せる構造であるので、小型化が難しいと共に、ローラが入力部材と出力部材とに噛み付く機構を高精度にすることが要求される。さらに、これら特許文献1、2に記載されている双方向クラッチはいずれも、出力部材に力が働くときに噛み付いて空転しない構造であり、出力側を空転させたい場合には使用できないという問題がある。
前掲の特許文献3に記載された双方向クラッチは、出力部材に力が働くときに噛み付かずに出力部材が空転するという点においては問題がないが、入力部材と出力部材との間に形成される双方向の楔形空間を高精度で形成しなければ、出力部材に力が働いたときに出力部材とローラとの間の摩擦力によって食い込み、空転しなくなるという問題がある。また、精度の高い構造としても汚れなどによって空転し難くなり、その過程で異音を発生し、寿命が短くなるという欠点がある。
本発明は、上述のような従来の課題を解決することを目的とし、入力部材に与えられる回転力は出力部材に伝達され、出力部材に与えられる回転力は出力部材が空転することにより入力部材に伝達されない双方向クラッチを提供するものである。本発明の双方向クラッチは、内輪部材に相当する中間部材が2個以上からなり、前記入力部材の変位によって2個の前記中間部材が互いに離れる方向(放射外方向)、又は近づく方向(放射内方向)に動くことにより、前記出力部材と前記中間部材との間隙を変化させて、前記出力部材と前記中間部材とを機械的に結合させ、あるいは結合させずに双方向に自在に動けるようにしているので、構造上の精度が高くなくても、あるいは使用により摩耗しても、入力部材と出力部材と連結、あるいは空転が確実に行え、しかも長寿命化を実現できる。特に、前記出力部材又は前記中間部材に凹凸を設けることによって、前記出力部材と前記中間部材との連結時に滑り難くしているので、小型で大きな回転トルクを伝達するのに適した双方向クラッチを提供することができる。
第1の発明は、入力部材と、出力部材と、前記入力部材と前記出力部材との間に位置して複数の中間部からなる中間部材と、前記複数の中間部を互いに引き付け合う方向の力を与える緊締部材と、前記中間部材と前記出力部材との間に位置する転がり部材と、前記入力部材、前記出力部材、前記中間部材及び前記転がり部材を収容するハウジング部材とを備え、前記入力部材からの回転駆動力は前記出力部材に伝達され、前記出力部材からの回転力は前記入力部材に伝達されない双方向クラッチであって、前記出力部材は、前記中間部材に対面する内側面に、凹凸又は前記転がり部の一部分を収容する凹所を備え、前記中間部材は、前記出力部材に対面する外側面に、前記転がり部の一部分を収容する凹所又は凹凸を備え、前記中間部材の動きを案内し、規制する支承部材を備え、その支承部材には、前記入力部材の前記回転駆動力が所定値以下のときには前記支承部材が回転するのを阻止する摩擦力が働き、前記入力部材に働く回転駆動力でその入力部材がその回転中心を基準にして変位するとき、前記入力部材は前記支承部材に働く前記摩擦力によって回転していない前記中間部材を直接押して放射外方向に動かし、前記出力部材の前記凹凸を有する内側面と前記中間部材の前記凹所の底面とで、又は前記出力部材の前記凹所の底面と前記中間部材の前記凹凸を有する外側面とで、前記転がり部材を挟みつけることにより、前記中間部材と転がり部材とを介して前記入力部材と前記出力部材とを連結することを特徴とする双方向クラッチを提供する。
第2の発明は、入力部材と、出力部材と、前記入力部材と前記出力部材との間に位置して複数の中間部からなる中間部材と、前記複数の中間部を互いに引き付け合う方向の力を与える緊締部材と、前記入力部材、前記出力部材、前記中間部材を収容するハウジング部材とを備え、前記入力部材からの回転駆動力は前記出力部材に伝達され、前記出力部材からの回転力は前記入力部材に伝達されない双方向クラッチであって、前記出力部材は、前記中間部材に対面する内側面に、凹凸を有する凹凸面を備え、前記中間部材は、前記出力部材に対面する外側面に、凹凸を有する連結用凹凸部を備え、前記中間部材の動きを案内し、規制する支承部材を備え、その支承部材には、前記入力部材の前記回転駆動力が所定値以下のときには前記支承部材が回転するのを阻止する摩擦力が働き、前記入力部材に働く回転駆動力でその入力部材がその回転中心を基準にして変位するとき、前記入力部材は前記支承部材に働く前記摩擦力によって回転していない前記中間部材を直接押して放射外方向に動かし、前記出力部材と前記中間部材とを前記出力部材の前記凹凸面と前記中間部材の前記連結用凹凸部とで、当接させることにより、前記中間部材を介して前記入力部材と前記出力部材とを連結することを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第2の発明によれば、前記出力部材の前記凹凸面と前記中間部材の前記連結用凹凸部により結合される構造としたので、転がり部材が不要であり、構造を簡易化できると共に、小型化及び信頼性を向上でき、しかも組み立てが容易になるので経済的にも有利である。
第3の発明は、前記第1の発明又は前記第2の発明において、前記ハウジング部材と組み合わされるシールド部材と、そのシールド部材と前記支承部材との間に位置して摩擦力を生じる弾性摩擦部材とを備えることを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第3の発明によれば、前記入力部材の前記回転駆動力が所定値以下のときには前記支承部材が回転するのを阻止する前記弾性摩擦部材を備えているので、前記中間部材の複数の中間部の動作を確実なものにできる。
第4の発明は、前記第1の発明又は前記第2の発明において、前記支承部材は前記ハウジング部材に当接して摩擦力を生じる円環状の肉厚部を有することを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第4の発明によれば、前記弾性摩擦部材を省略できるので、より構造が簡潔で小型の双方向性クラッチを提供できる。
第5の発明は、前記第3の発明又は前記第4の発明において、前記支承部材は、前記中間部材の動きを案内し、規制する面を有し、その面を覆う摩耗抑制部材を備えていることを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第5の発明によれば、前記中間部材の動きを案内し、規制する前記支承部材の面を摩耗抑制部材で覆っているので、前記中間部材が金属製で、前記支承部材が合成樹脂製であっても、前記中間部材の動きを案内し、規制する面が摩耗することが無い。したがって、前記支承部材が経済性に優れた合成樹脂性であっても、寿命が長くなり、また、前記中間部材の動きを案内し、規制する機能が低下することは無く、信頼性の高い安価な双方向性クラッチを提供することができる。
第6の発明は、前記第1の発明ないし前記第5の発明のいずれか1項において、前記入力部材は、長軸側と短軸側とを有する断面形状の入力係合部と該入力係合部から延びる入力軸部とから構成され、前記入力係合部は前記複数の中間部の間に挟まれており、前記出力部材は、出力軸部と該出力軸部よりも直径の大きな出力円筒状部とから構成され、前記出力円筒状部は、前記内側面に、前記凹凸、前記凹所、前記凹凸面のいずれかを有し、前記中間部材を囲むように配置されており、前記中間部は、前記外側面に、前記凹所、前記凹凸、前記連結用凹凸部のいずれかを有し、前記入力部材に前記回転駆動力が働くとき、前記複数の中間部は前記入力係合部により力を受け、前記緊締部材の力に逆らって互いに離れる方向に動き、これに伴い前記中間部と前記出力円筒状部とが連結され、前記入力部材の回転駆動力が前記出力部材に伝達されることを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第6の発明によれば、前記出力部材と前記中間部材との精度が高くなくても、前記第1の発明ないし前記第5の発明の効果を実現できる具体的な構造を提供できる。また、摩耗などによっても噛み付き機能及び空転機能は影響されず、長寿命化を図ることが可能である。
第7の発明は、前記第1の発明において、前記中間部材又は前記出力部材に形成されている前記凹所は、その凹所の中央が深く、両端が浅くなる底面を有する楔形凹所であり、前記入力部材に前記回転駆動力が働くとき、前記転がり部材は前記出力部材又は前記中間部材の前記楔形凹所の底面と前記中間部材又は前記出力部材の前記凹凸の形成された面とで挟みつけられることを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第7の発明によれば、前記中間部材又は前記出力部材が備える凹所はその中央が深く、両端が浅くなる底面を有する楔形凹所である。このような構造にすることによって、転がり部材の噛み付きが良好になり、小型の双方向性クラッチで大きな回転トルクを得ることが可能になる。また、楔形凹所の底面の摩耗などによっても噛み付き機能及び空転機能が影響されず、より長寿命化を図ることが可能である。
第8の発明は、前記第6の発明又は前記第7の発明において、前記中間部材が2個の前記中間部からなる場合は、前記入力係合部は長方形状又は楕円状であり、前記中間部材が3個以上の前記中間部からなる場合は、前記入力係合部は、前記中間部の個数と同じ個数の角を有する多角形状となることを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第8の発明によれば、前記中間部材を3個又は4個以上に分割することも可能であるので、前記出力部材に対する前記転がり部材の噛み付き箇所をより分散できる。したがって、噛み付き機能及び空転機能の優れた出力部材の摩耗を軽減することができ、より一層、寿命を向上させることができる。
第9の発明は、前記第の発明ないし前記第8の発明のいずれか1項において、前記緊締部材は弾性部材であり、その弾性部材が前記中間部をその弾性力で結合することにより、前記入力部材に前記回転駆動力が働かないときには、前記緊締部材の働きによって前記中間部材と前記出力部材とは連結されず、前記出力部材が空転可能であることを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第9の発明によれば、前記緊締部材が弾性部材であり、前記分割された中間部材に常に弾性力を与えているので、前記出力部材の空転時の応答性が良好であり、機能の優れた双方向クラッチを提供することができる。
第10の発明は、前記第9の発明において、前記緊締部材はバネであり、前記中間部は前記バネと係合する係合部を有し、前記支承部材はその主面から延びる複数のピンを備え、これらピンが前記バネを支承し、前記入力部材に前記回転駆動力が働くとき、前記バネの弾性力に逆らって、前記中間部は前記支承部材の前記ガイド部に沿って互いに離れる方向に動くことを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第10の発明によれば、前記緊締部材がバネであり、そのバネは前記中間部材と前記支承部材とを機械的に結合する働きを行うので、組み立て時に前記中間部材と前記支承部材とがバラバラになることがなく、組み立てが容易となる。
第11の発明は、前記第の発明ないし前記第8の発明のいずれか1項において、前記緊締部材は複数の前記中間部のそれぞれに備えられた極性の異なる磁石部材からなり、該磁石部材の吸引力が前記中間部を互いに引き付け合うことにより、前記入力部材に前記回転駆動力が働かないときには、前記緊締部材の働きによって前記中間部材と前記出力部材とは連結されず、前記出力部材が空転可能であることを特徴とする双方向クラッチを提供する。
前記第11の発明によれば、前記緊締部材が磁石であるので、予めそれぞれの中間部に磁石を組み込んでおくことができ、組み立て時に前記中間部と前記支承部材とがバラバラになることがないので、組み立てが容易となる。また、磁石の吸引力によって前記出力部材の空転時の応答性が良好である。
本発明によれば、駆動側である入力部材側から従動側である出力部材側には駆動力が確実に伝達されるが、出力部材側に加えられる回転力は出力部材が空転することによって入力部材側に確実に伝達されない、小型化が可能で経済性に優れた双方向クラッチを提供できる。また、前記出力部材と前記中間部材とが連結したときに、入力部材にかけられる回転力によって滑りにくい構造となっているので、小型で大きな回転トルクを伝達できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
[実施形態1]
本発明に係る実施形態1の双方向クラッチ100について、図1〜図11により説明する。図1はこの双方向クラッチ100の具体的な構造を示す図であり、図1(A)は図1(B)の破断線X−X’での断面(斜線は省略)を示し、図1(B)は図1(A)の破断線Y−Y’での断面(斜線は一部分省略)を示している。この実施形態1の双方向クラッチ100は、図1に示すように、主に入力部材1、出力部材3、二つに分割されていて内輪として働く中間部材5、ローラ又はボールのような転がり部材7、2分割されている中間部材5に引き付け合う力を与える緊締部材9、緊締部材9を支承し、中間部材5の動きをガイドすると共に規制する支承部材11、ハウジング部材13、シールド部材15、及び弾性摩擦部材17などからなる。また、入力部材1と出力部材3の回転をスムーズなものにするために、必要に応じて軸受部材19と21を備える。全体の具体的な構造、組み立て及び動作については後で説明するものとし、先ず個々の部材について説明する。
図2により入力部材1を説明する。図2(A)は入力部材1の側面を示し、図2(B)はそれを左側から見た図、図2(C)は右側から見た図である。入力部材1は図示しないモータなどから回転駆動力を付与されるものであり、中間部材5と組み合わされる入力係合部1Aは丸棒部分1Bの両側を軸線Zに沿って削除した相互に平行となる面a、bを有する。そして、入力係合部1Aは平行な面a、b間の長さを短軸側e、円弧状の面c、d間の最大径となる長さを長軸側fとする形状を有する。
なお、入力係合部1Aは楕円形状のもの、又は長方形の角を丸めた長方形状のものなどであってもよい。入力係合部1Aから丸棒部分1Bを通して延びる入力軸部1Cは、組み立てたときに双方向クラッチ100の外側に延びて図示しないモータの軸などに結合するためのものである。丸棒部分1Bは入力係合部1Aの長軸側fの寸法よりも径が小さい丸棒であり、入力軸部1Cはモータの軸などとの機械的な結合を強固なものとするために、図2(C)に示すように、入力部材1の回転中心となる軸線Zに沿って丸棒部分1Bの一部分が入力係合部1Aと同様に軸線Zに沿って削除された形状になっている。
次に、図3、図4によって出力部材3を説明する。出力部材3は出力軸部3Aと出力円筒状部3Bとからなる。図3は出力部材3の出力軸部3Aを示し、図4は外輪として働く出力円筒状部3Bを示す。図3(A)は出力軸部3Aの側面を示し、図3(B)はそれを左側から見た図、図3(C)は出力軸部3Aを右側から見た図である。図4(A)は出力円筒状部3Bの断面を示し、図4(B)は出力円筒状部3Bを左側から見た図、図4(C)はそれを右側から見た図である。図3(C)に示すように、出力軸部3Aは、入力部材1の入力係合部1Aと同様に入力部材1の軸線Zに沿って部分的に切除され相互に平行な面h、iを有する部分3A1、丸棒部分3A2、部分3A1と同様に入力部材1の軸線Zに沿って部分的に切除された部分3A3からなる。
出力円筒状部3Bは、外輪として働く円筒状部分3B1と、円筒状部分3B1よりも外径が小さく、出力軸部3Aの部分3A1が圧入される圧入孔Hを備える嵌合部分3B2とからなる。円筒状部分3B1の内側面は凹凸面3B11になっており、外側面は円筒状面で示されているが、多角形状などであってもよい。円筒状部分3B1の凹凸面3B11は、転がり部材7の円筒部又は球部の一部分を受け入れることができる程度の凹凸、又は細かい凹凸を備える。凹凸面3B11は図示のような断面が三角形状又は台形状、あるいは波状など任意の形状の凹凸でよいが、転がり部材7の円筒部又は球部の一部分を適度に受け入れることができる程度の凹凸形状であることが好ましい。嵌合部分3B2の圧入孔Hは、出力軸部3Aの部分3A1が圧入されるのに適した形状となっている。なお、出力軸部3Aの部分3A3は、図示しない負荷側の機器などが結合される。図1(B)に示すように、組み立てた状態では、出力軸部3Aは入力部材1と同軸関係にあるが、勿論、入力部材1と出力部材3とは別々に動作できるように、それらの間には間隙がある。
図5により中間部材5の構造について説明する。図5(A)は中間部材5の側面を示し、図5(B)はそれを左側から見た図、図5(C)はそれを右側から見た図である。中間部材5は内輪及び後述する転がり部材7を保持するリテーナとして働くものであって、実施形態1では二つの等しい中間部5A、5Bからなる。本発明の中間部材5が従来の内輪部材などと異なる大きな点は、入力部材1と機械的に係合しているが、入力部材1に一体的に固定されている構造でないところにある。組み立てられたときに、中間部5A、5Bは入力部材1の入力係合部1Aの短軸側eを両側から挟みこむ中央凹所5A1、5B1をそれぞれ有する。中間部5A、5Bの外周部には転がり部材7の一部分を収容する楔形凹所5A2、5B2を1個以上それぞれ備える。楔形凹所5A2、5B2の深さは転がり部材7の直径よりも当然に浅く、楔形凹所5A2、5B2のそれぞれの底面wは中央から回転方向の両側に向けて浅くなるように傾斜又は湾曲しているか、あるいは平坦である。
楔形凹所5A2、5B2は、転がり部材7がローラであるときにはローラの長さにほぼ等しい奥行きを有し、転がり部材7がボールであるときにはボールの直径にほぼ等しい奥行きを有するのが好ましい。また、楔形凹所5A2、5B2は一端側が開いて、他端側が閉止部分5A3、5B3によって閉じられている。つまり、楔形凹所5A2、5B2は中間部5A、5Bの閉止部分5A3、5B3を延びてはおらず、閉止部分5A3、5B3の外側面は円弧状になっている。ここで、楔形凹所5A2、5B2の内部の回転方向の幅は、転がり部材7の直径よりも大きくなっており、楔形凹所5A2、5B2内には転がり部材7を回転方向の両側から安定に保持するためのバネ部材8が備えられている。バネ部材8は個々のバネでもよいが、中間部5A用の一般的な一体型のバネ、及び中間部5B用の一般的な一体型のバネであってもよい。
ここで、バネ部材8は必ずしも必要ではなく、バネ部材8を用いない場合には、楔形凹所5A2、5B2の入り口が転がり部材7の直径よりも若干小さくなるように形成する。この場合には、転がり部材7を各楔形凹所5A2、5B2に組み込んだ後で容易には脱落しないので、組み立て工程上で都合が良い。また、中間部材5の二つの中間部5A、5Bは、後述する緊締部材9として用いられるコの字状の板バネと係合する係合部5A4、5B4となる凹所をそれぞれ両側に有する。なお、転がり部材7は通常のものでよいので、特に説明をしないが、転がり部材7の楔形凹所5A2、5B2の装着は組み立て上から都合の良い時点で行われる。なお、転がり部材7は一部分のものだけを示している。
図6により緊締部材9の構造について説明する。図6(A)は緊締部材9の側面図、図6(B)は正面図、図6(C)は中間部材5の二つの中間部5A、5Bに係合された状態の形状をそれぞれ示している。この実施形態1に係る双方向クラッチ100の緊締部材9は、図6(A)に示すように、略コの字状の板バネであり、以下、実施形態1ではコの字状板バネ9と称する。前記コの字状板バネ9は弾性に富む金属板をプレスなどによってコの字状に折り曲げたものであり、部分9A、9B、9Cからなる。部分9Aと部分9Cは部分9Bに対してほぼ直角ないしは鋭角になるように折り曲げられており、好ましいバネ力を得るために外力がかからない状態では、幾分鋭角になっているのが好ましい。部分9Aと部分9Cが中間部材5の二つの中間部5A、5Bそれぞれの係合部5A4、5B4に係合する。この状態では、部分9Aと部分9Cは図6(C)に示すように、部分9Bに対してほぼ直角になる。また、部分9Bは、図7に示す支承部材11に装着するのに適した浅い凹部9B1を中央に有する形状になっている。
次に、図7により支承部材11の構造について説明する。図7(A)は支承部材11の正面図、図7(B)はその一部分を断面で示す側面図、図7(C)はその裏面図を示している。図1(B)に示したように、支承部材11はハウジング部材13内に収納できる大きさの円板状部11A、入力部材1の丸棒部分1Bが挿通される中央穴11Bを挟んで向き合う形で形成されたガイド部11Cと11D、ガイド部11Cと11Dから垂直方向に延びるように形成された3本のピン11C1、11C2、11C3、及び11D1、11D2、11D3をそれぞれ備える。ピン11C1〜11C3の内の中央に位置するピン11C2はピン11C1、11C3に対して位置がずれており、コの字状板バネ9を両面側から挟み込めるようになっている。ピン11D1、11D2、11D3も同様である。
ガイド部11Cと11Dは、中間部5Aと5Bの動きをガイドする働きと、中間部5Aと5Bが支承部材11に対して回転しないように中間部5Aと5Bを規制する働きを行う。ガイド部11Cと11Dは互いに平行となるガイド辺11C4、11D4を有する。なお、円板状部11Aの外周部にはハウジング部材13の段差部13Eに当接して適度の摩擦トルクを得るための円環状の肉厚部11Eが形成されている。円環状の肉厚部11Eはハウジング部材13の段差部13Eに円状に線接触するように、段差部13Eに対して円弧状になっており、一様な滑りを行う。
支承部材11の別の1実施例を図8により説明する。軽量化、経済性の面などから支承部材11を樹脂成形で造る場合がある。中間部材5の中間部5A、5Bが金属製の場合、支承部材11が中間部5A、5Bをガイドし、その動きを規制する働きを繰り返すことにより摩耗し、中間部材5の中間部5A、5Bを正確にガイドし、その動きを規制することができなくなり、寿命が低下する。したがって、この実施例では、図8(B)に示すような金属材料からなる摩耗抑制部材12を用い、図7(A)に示されているようなガイド部11Cのガイド辺11C4と、ガイド部11Dのガイド辺11D4を覆う。
ガイド部11C、11Dには同一構造の摩耗抑制部材12が取付けられるので、好ましく図示されているガイド部11Dだけについて説明する。摩耗抑制部材12は、主に適当な厚みの金属板を打ち抜いて形成された摩耗抑制部12Aと取付け部12Bとからなる。摩耗抑制部12Aは図7(A)に示されているガイド辺11D4をほぼ全体又は大部分を覆うことができるような大きさを有し、平坦な面を有する。取付け部12Bは、3本のピン11D1、11D3とピン11D2との間に挟まれ、両端は中間部5A、5Bの動作によってずれないように適当な角度で、例えば図8(A)ではほぼ90度で中央穴11B側へ曲げられている。このようにすることにより、前述のように中間部材5の中間部5A、5Bが動くとき、中間部5A、5Bはガイド辺11C4とガイド辺11D4とにそれぞれ備えられた摩耗抑制部12Aによってガイドされ、動きが規制されるので、ガイド辺11C4、ガイド辺11D4が摩耗することが無い。
次に、これら中間部材5、緊締部材9及び支承部材11の組み立て構造を図9により説明する。図9(A)は緊締部材9の組み込み前、図9(B)は緊締部材9の組み込み後の状態をそれぞれ示している。先ず、中間部材5の中間部5Aと中間部5Bとを支承部材11のガイド部11Cと11Dのガイド辺11C4、11D4間に挿入する。このとき、中間部5Aと中間部5Bとはガイド辺11C4、11D4に接触しているが、円板状部11Aの上面及びガイド辺11C4、11D4に案内されて、図9の上下方向に動ける構造になっている。図9には入力部材1が図示されていないが、入力部材1は支承部材11の中央穴11Bを挿通する。つまり、図2に示した入力部材1の入力係合部1Aは紙面の手前にあって中間部5Aと5Bとの間に挟まれた状態になり、入力部材1の丸棒部分1Bが支承部材11の中央穴11Bを紙面の裏側方向に延び、入力部材1の入力軸部1Cは紙面の裏側方向に位置することになる。
この状態で、図9(B)に示すように、一方のコの字状板バネ9の部分9Bを支承部材11のガイド部11Cに形成された3本のピン11C1〜11C3で挟んで係止させる。同様にして、他方のコの字状板バネ9を両面側から支承部材11のガイド部11Dに形成された3本のピン11D1〜11D3で挟んで係止させる。このとき、図6に示した一方のコの字状板バネ9の部分9Aは、図5の一方の中間部5Aの係合部5A4に係止され、同様に、他方のコの字状板バネ9の部分9Cは他方の中間部5Bの係合部5B4に係止される。なお、図8で示したように、支承部材11に摩耗抑制部材12を取り付けた場合には、摩耗抑制部材12の取付け部12Bとコの字状板バネ9の部分9Bとが、ガイド部11Cのピン11C1〜11C3、ガイド部11Dのピン11D1〜11D3に把持される。
この状態では、一対のコの字状板バネ9の部分9Aと9Cとが図6(A)の状態から図6(C)に示したように部分9Bに対してほぼ直角に近い状態になり、一対のコの字状板バネ9の部分9Aと9Cとが中間部5Aと5Bとに対して互いに緊締、つまり挟んで互いに引き付ける弾性力を与える。この状態では、図5の中間部材5の中間部5Aと5Bの中央凹所5A1、5B1で、入力部材1の入力係合部1Aが中間部5Aと5Bとに挟まれた形で当接する。
図10により、ハウジング部材13とシールド部材15の構造について説明する。ハウジング部材13は、図3に示した出力軸部3Aの部分3A1が圧入される短円筒状の小径部13A、出力軸部3Aの部分3A1の圧入時にその位置を規制するストッパ部13B、出力部材3の出力円筒状部3Bを収容する部分となる中径部13C、支承部材11の円板状部11A及び図1(B)に示した弾性摩擦部材17を収容する部分となる短円筒状の大径部13D、中径部13Cと大径部13Dとの間に形成される段差部13E、大径部13Dの端部から放射外方向に延びる取付け用円板部13Fからなる。取付け用円板部13Fは、図示しない機器などにボルトなどの取付け金具で双方向クラッチ100を取り付ける取付け孔13Gを備える。図10では1個の取付け孔13Gを示しているだけであるが、ほぼ等間隔で2個以上、好ましくは3個以上備えられる。
シールド部材15は、図10に示すように、取付け用円板部13Fの取付け孔13Gに合致する位置に取付け孔15Aを有するシールド円板状部15B、図1(B)に示した軸受部材19が圧入される短円筒面15Cにより形成される挿通孔15Dを備える。シールド部材15は、入力部材1、出力部材3、中間部材5、転がり部材7、緊締部材9、支承部材11、弾性摩擦部材17などを図10の矢印方向からハウジング部材13に組み込んだ後に、ハウジング部材13の取付け用円板部13Fに固定される。なお、シールド部材15の内面となる面は弾性摩擦部材17との間の摩擦抵抗ができるだけ小さくなるように、滑り易い面となっているのが望ましい。
弾性摩擦部材17は弾力性及び耐摩耗性に優れた金属材料又は合成樹脂材料からなる円形状のウエーブバネ、あるいは皿バネなど、一般的に使用されるものでよいので、図を用いて詳しく述べることはしない。弾性摩擦部材17はシールド部材15をハウジング部材13の取付け用円板部13Fに固定するときに、支承部材11の円板状部11Aの裏面とシールド部材15との間に備えられる。弾性摩擦部材17はハウジング部材13内で動かないようになっているのが好ましい。そして、シールド部材15が弾性摩擦部材17を通して図2、図3に示した軸線Zの方向の所定の加圧力を支承部材11の円板状部11Aに与えるように、取付け用円板部13Fに固定される。したがって、支承部材11の円板状部11Aの裏面と弾性摩擦部材17との間には所定の摩擦抵抗が生じており、この摩擦抵抗は、入力部材1に加わる回転駆動力が所定の大きさを越えない期間では支承部材11が回転するのを防ぐ働きを行う。また、前述したように、支承部材11の円環状の肉厚部11Eとハウジング部材13との間でも摩擦抵抗は生じている。弾性摩擦部材17の更に詳しい働きについては動作説明の中で説明する。
なお、以上述べた実施形態1では、弾性摩擦部材17を支承部材11の円板状部11Aとシールド部材15との間に備え、かつ支承部材11の円環状の肉厚部11Eをハウジング部材13に当接させた。このようにすることによって、入力部材1の回転駆動力が所定値を越えるまで、弾性摩擦部材17と支承部材11との摩擦抵抗、及び支承部材11とハウジング部材13との摩擦抵抗が支承部材11の回転を防いで中間部材5が回転しないようにしたが、いずれか一方だけでもよい。支承部材11とハウジング部材13との摩擦抵抗だけを利用する場合には、少なくとも円板状部11Aの円環状の肉厚部11Eに所定の摩擦抵抗を付与すると共に耐摩耗性に優れるなど摺動特性に優れた材料から構成するのが好ましい。この変形例では、より経済的で薄型の双方向クラッチを提供することが可能である。
次に、図1ないし図10に加えて、動作説明のための図11も用いて双方向クラッチ100の動作説明を行う。図11(A)は初期状態及び出力部材3の空転状態を示す図、図11(B)は入力部材1から出力部材3に回転駆動力が伝達される状態を示す図、図11(C)は回転駆動力の伝達状態から空転状態に復帰する状態を説明する図である。図11では、出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の内面の凹凸を図示していないが、円筒状部分3B1の内面は図1、図4に示すような凹凸面3B11となっているものとする。なお、実際には入力部材1の入力係合部1Aの回転方向に対する位置は必ずしも水平ではなく任意となる。
入力部材1に回転駆動力が加えられていない状態では、図11(A)に示すように、図2に示した入力部材1の入力係合部1Aは変位せず、入力部材1の入力係合部1Aに当接している中間部材5の中間部5A、5Bに力が加わらない。したがって、中間部5A、5Bは全く動かないから、転がり部材7が出力部材3の出力円筒状部3Bの内面に接触することはない。この状態では、仮に出力部材3にいずれかの方向の回転力が加わったとしても、出力部材3の出力円筒状部3Bは回転するが、転がり部材7は出力円筒状部3Bの回転によって楔形凹所5A2、5B2内で変位することがないので、中間部材5の中間部5A、5Bと出力円筒状部3Bとの間で噛み合うことはなく、したがって、出力円筒状部3Bは空転し、出力部材3にかけられる前記回転力が入力部材1に伝達されることはない。
他方、時計方向の回転駆動力が入力部材1に働くと、図11(B)に示すように、先ず入力部材1の入力係合部1Aは、入力部材の回転中心を基準にして時計方向に変位する。入力部材1の入力係合部1Aは、図2で説明したように短軸側eと長軸側fとを有するから、図11(B)の矢印で示すように、入力係合部1Aが回転中心の軸線Z(図3参照)を基準に時計方向に変位するのに従って中間部5Aを押し上げると同時に、中間部5Bを押し下げる。これに伴い、中間部5A、中間部5Bは、図7に示した支承部材11のガイド部11C、11Dに案内されて紙面の上下方向に動き、各転がり部材7は出力部材3の出力円筒部3Bの内面に押し付けられる。
前述したように、出力円筒部3Bの円筒状部分3B1の内側面は図1、図4に示すような凹凸面3B11となっているから、入力部材1の回転駆動力により転がり部材7は中間部材5の中間部5A、5Bの楔形凹所5A2、5B2と出力円筒部3Bの円筒状部分3B1の凹凸面3B11とに食い込む。つまり、転がり部材7は出力円筒部3Bの円筒状部分3B1の凹凸面3B11の凹凸部とそれぞれの楔形凹所5A2、5B2の底面w(図5)とにより挟みつけられる。したがって、転がり部材7が出力円筒部3Bの円筒状部分3B1の凹凸面3B11、楔形凹所5A2、5B2の底面wに対して滑ることが無く、大きな回転トルクを伝達できる。また、出力円筒部3Bの円筒状部分3B1の凹凸面3B11が転がり部材7の一部分を実質的に受け入れることができない程度の細かい凹凸であっても、転がり部材7と凹凸面3B11との間で滑りにくくなるので、回転トルクを増大させることができる。
転がり部材7が出力部材3と中間部材5とを連結するのに伴い、入力部材1の時計方向の回転運動と一緒に中間部材5、転がり部材7及び出力部材3が時計方向に回転し、入力部材1にかけられた回転駆動力は出力部材3に伝達される。このとき、支承部材11及びそれに支承されている緊締部材であるコの字状板バネ9も当然に一緒に回転する。この状態では、図6に示したコの字状板バネ9の部分9A、9Cは押し広げられているので、中間部材5の中間部5A、5Bにそれらを互いに引き付ける方向の力を与えている。また、軸受部材19、21はそれぞれ入力部材1、出力部材3の回転を容易にしている。
そして、前述したようにコの字状板バネ9の部分9A、9Cが中間部5A、5Bにそれらを互いに引き付ける方向の力を与えているので、入力部材1にかけられていた回転駆動力が除去され、入力部材1がフリーになる、つまり入力部材1が外力から開放されると、コの字状板バネ9の力によって、図11(C)の矢印で示すように中間部5A、5Bは支承部材11のガイド部11C、11D(図7)に案内されて相互に近づき、入力部材1の入力係合部1Aの短軸側eの平らな面a、b(図2)に当接する。これに伴い、各転がり部材7は出力円筒部3Bの内面から離れ、図11(A)に示した出力部材3の空転可能な状態となる。なお、反時計方向の回転駆動力が入力部材1に働く場合も全く同様であるので、説明を省略する。
双方向クラッチ100の動作における弾性摩擦部材17の働きについて説明する。前述したように、支承部材11の円板状部11Aの裏面と弾性摩擦部材17との間には所定の摩擦抵抗が生じているから、入力部材1に加わる回転駆動力がその摩擦抵抗による摩擦力を越えない期間では支承部材11が回転しない。このことは大切であり、もし支承部材11がほとんど抵抗なく回転しやすい状態にあるときには、入力部材1に回転駆動力が加わると同時に支承部材11が回転し、当然に中間部5A、5Bは紙面上下方向に動くことなく回転してしまう。この場合には、各転がり部材7は噛み付きを行わず、入力部材1の回転駆動力は出力部材3に伝達されない。
したがって、支承部材11の円板状部11Aの裏面と弾性摩擦部材17との間に適度な摩擦力が生じることによって、回転駆動力がその摩擦力を超えるまで支承部材11は回転しない。この期間に、つまり回転駆動力がその摩擦力を超えない内に、図11(B)のように入力部材1の回転駆動力で中間部材5の中間部5Aと中間部5Bとの間を押し広げ、各転がり部材7を出力部材3の出力円筒部3Bの円筒状部分3B1の凹凸面3B11に押し付ける。そして、入力部材1の回転駆動力が支承部材11の円板状部11Aの裏面と弾性摩擦部材17による前記摩擦力を超えると、前述したように支承部材11は入力部材1などと一緒に回転する。
このとき前述したように、シールド部材15の面が滑り易くなっていれば、入力部材1とほぼ一緒に弾性摩擦部材17も回転し、双方向クラッチ100の摩擦を小さくできる。なお、弾性摩擦部材17を省き、支承部材11の円環状の肉厚部11E(図7)とハウジング部材13との摩擦力を利用する場合には、入力部材1の回転駆動力が支承部材11の円環状の肉厚部11Eとハウジング部材13とによる前記摩擦力を超えると、前述したように支承部材11は入力部材1などと一緒に回転する。
ここで、各転がり部材7の一部分は中間部材5の楔形凹所5A2、5B2から当然に突出しているが、入力部材1がフリーの状態では、その突出している頂点を結んでなる仮想円の直径は出力部材3の出力円筒部3Bの凹凸面3B11の凸部の頂点を結んでなる仮想円の直径よりも小さくなっている。この双方向クラッチ100では緊締部材9としてコの字状板バネを用いたが、一般的な不図示のOリング、あるいは円環状のスプリングなどを緊締部材9として用いても良い。この場合には、図示しないが、中間部5A、5Bの側面(紙面表裏側)に円環状の溝である係合部を形成し、その溝にOリング又は円環状のスプリングを配置し、Oリング又は円環状のスプリングにより中間部5A、5Bを相互に引き付ける力を与える。また、少し大型化するが、中間部5A、5Bの側面(紙面表裏側)に円筒状の突出部のような係合部を設け、その突出部をOリング又は円環状のスプリングで締め付けるようにしてもよい。なお、この変形例でも中間部5Aと5Bが自在に回転しないように中間部5Aと5Bの動きを規制する必要がある。
[実施形態2]
図12により実施形態2に係る双方向クラッチ200について説明する。図12(A)は双方向クラッチ200の内部を説明するための図であり、図12(B)は入力部材など一部分の部材を拡大した図を示す。双方向クラッチ200は前述の双方向クラッチ100と基本的には同じであるが、主な違いは中間部材5が等しく4分割された中間部5A、5B、5C、5Dからなる構造にある。これに伴って、双方向クラッチ100の入力部材1の入力係合部1Aに相当する入力部材1の部分が、図12(B)に示すように、二つの短軸側e1とe2、二つの長軸側f1とf2を有する形状であること、及び図7又は図8に示した支承部材11が中央穴11Bを中心にして4方向に等間隔で4個のガイド部11C、11D、11G、11H(図12)を備える構造などが異なる。
ガイド部11Cには、双方向クラッチ100と同様に3本のピン11C1、11C2、11C3が形成されている。他のガイド部11D、11G、11Hについても同様であるが、ピンを示す記号を省略している。ガイド部11C〜11Hは所定の高さを有し、ガイド部11Cと11Dとで中間部材5の中間部5Aの動きを案内し、規制する。また、同様にガイド部11Dと11Gとで中間部5Bを、ガイド部11Gと11Hとで中間部5Cを、ガイド部11Hと11Cとで中間部5Dの動きをそれぞれ案内し、規制する。なお、出力部材3は図4に示した構造と同様であり、その出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の内側面は凹凸面3B11となっている。
緊締部材9としては板バネ(以下、この実施形態2では板バネ9という。)を用いている。この板バネ9は図6に示したコの字状板バネの部分9Aと9Cが存在しない平板状のものであり、その中央部分が3本のピンで支承されている。例えば、ガイド部11Cの場合にはピン11C1、11C2、11C3で板バネ9を支承している。板バネ9の両端部は、隣り合う中間部材5の中間部に係止されている。例えば、中間部材5の中間部5B、5Cの場合には、板バネ9の一端が中間部5Bの係合部5B4に延び、他端が中間部5Cの係合部5C4に延びる。
入力部材1に回転駆動力が加わっていない状態、つまり入力部材がフリーのときには、図12(B)に示すように、入力部材1の入力係合部1Aの短軸側e1、e2の4面が中間部5A〜5Dそれぞれの内側面5a、5b、5c、5dに接するように、それぞれの板バネ9が中間部5A〜5Dを入力部材1の入力係合部1A側に押す力を与えている。この状態では、中間部5A〜5Dは放射外方向に押し出されないので、それぞれの転がり部材7は出力部材3の円筒状部分3B1の凹凸面3B11に当接せず、出力部材3は空転可能な状態にある。
入力部材1に回転駆動力が働くと、入力部材1の入力係合部1Aがその回転中心を基準にして変位し、その長軸側f1、f2の四つの円弧状の面が中間部5A〜5Dを放射外方向に押して変位させ、それぞれの転がり部材7を出力部材3の出力円筒状部3Bの内面に押し付ける。この状態では、それぞれの板バネ9はその両端部が中間部5A〜5Dにより放射外方向に押されて湾曲しているので、中間部5A〜5Dを入力係合部1Aの方向に戻す力を中間部5A〜5Dに与えている。
連結動作及び空転状態への復帰動作などは実施形態1とほぼ同じであるので説明を省略する。この双方向クラッチ200の場合は、入力部材1にいずれの方向の回転駆動力がかかっても、中間部材5の中間部5A〜5Dそれぞれの転がり部材7にほぼ等しい力が加わるので、連結動作が正確であり、出力部材3の出力円筒状部3Bの内面の摩耗が偏らないので寿命を向上させることができる。なお、中間部材5を等分に3分割したものも有効である。この場合には、入力部材1の入力係合部1Aは正三角形のそれぞれの角を丸めた形状のものが用いられる。つまり、入力部材1の入力係合部1Aは前記中間部材の分割個数、つまり中間部の個数に対応した多角形状に応じた形状を有する。
[実施形態3]
次に、図13により実施形態3に係る双方向クラッチ300について説明する。双方向クラッチ300は緊締部材9として磁石部材を用いていることが特徴である。緊締部材9が磁石部材であること、支承部材11のガイド部11C、11Dがピンを有していないことなどを除いて、図1に示した双方向クラッチ100とほぼ同じであるので、異なる部分についてのみ説明する。なお、出力部材3は図4に示した構造と同様であり、その出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の内側面は前述した凹凸面3B11となっている。
中間部材5を構成する二つの中間部5A、5Bが互いに対向する面側に、それぞれ磁石部材9A、9B、9C、9Dが埋め込まれている。磁石部材9Aと9Cは互いに異極性であり、磁石部材9Bと9Dも互いに異極性である。したがって、磁石部材9Aと9C、及び磁石部材9Bと9Dの吸引力によって、中間部5A、5Bは常に引き合う力を受けているので、回転駆動力が入力部材1から除去されると、図11(C)の矢印で示すような力が働き、入力部材1の入力係合部1A及び中間部5A、5Bは図11(A)に示すような状態に戻る。
支承部材11の円板状部11Aは前記実施形態と同様なものであるが、緊締部材9を支承するピンをガイド部11Cと11Dに備える必要がないので、ガイド部11Cと11Dとの間の距離をできるだけとり、なるべく大きな磁石部材9A、9B、9C、9Dを設けることができるように、中間部5Aと5Bそれぞれの幅を大きくしている。ガイド部11Cと11Dの働きは前記実施形態と同様であるので、説明を省略する。入力部材1及び中間部材5の動作も前述とほぼ同様であるので、説明を省略する。この双方向クラッチ300では、予め磁石部材9を組み込んだ中間部5A、5Bを造っておくことによって、組み立てが容易な双方向クラッチを提供できる。また、緊締部材として機械的なバネを使用していないので、信頼性の向上を期待できる。
[実施形態4]
次に、図14により実施形態4に係る双方向クラッチ400について説明する。双方向クラッチ400は中間部材5に楔形凹所を設けずに、出力部材3における出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の内側面に複数の楔形凹所3Cを設け、また、中間部材5の中間部5A、5Bの外面を円弧状の凹凸面5A5、5B5としたことが特徴である。出力部材3における出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の内側面に複数の楔形凹所3Cを設け、かつ中間部材5の中間部5A、5Bの外側面を円弧状の凹凸面5A5、5B5としたことなどを除いて、図1に示した双方向クラッチ100とほぼ同じであるので、異なる部分について説明する。
出力部材3の出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1は実施形態1〜3の場合よりも肉厚になっており、楔形凹所3Cを形成するのに適した厚みを有している。中間部材5の中間部5A、5Bの凹凸面5A5、5B5は、断面が三角形状又は波状などの凹凸状になっている。入力部材1に回転駆動力がかけられていないときには、前述したように、入力係合部1Aは変位しておらず、この状態では楔形凹所3Cに配置された各転がり部材7が自在に回転できる程度に、中間部5A、5Bと出力円筒状部3Bとの間隙は広くなっている。
したがって、出力部材3に外力が加わっても、出力側の外力は入力部材1に伝達されない。入力部材1に回転駆動力がかけられると、前述した構造の入力係合部1Aがその回転中心となる軸線Z(図2、図3)を基準にして変位し、中間部5A、5Bを放射外方向に動かすので、中間部5A、5Bと出力円筒状部3Bとの間隙は狭くなり、中間部5A、5Bの凹凸面5A5、5B5が転がり部材7に押し付けられる。これに伴い、各転がり部材7は中間部5A、5Bの凹凸面5A5、5B5と楔形凹所3Cの底面との間で噛み付き、入力部材1の回転駆動力は出力部材3に伝達される。このように、楔形凹所を出力円筒状部3Bに設けた双方向クラッチ400も、中間部材5に楔形凹所を備えた双方向クラッチと同様な機能を有する。
[実施形態5]
次に、図15により実施形態5に係る双方向クラッチ500について説明する。この双方向クラッチ500は、前述の実施形態1〜4の双方向クラッチから転がり部材7を除去し、中間部5A、5Bの外面に任意の形状の凹凸を有する連結用凹凸部5A7、5B7を設けたところが前記実施形態と異なる。連結用凹凸部5A7、5B7は、断面が三角形状又は台形状、あるいは波状など任意の形状である。ここで、凹凸とは所定の大きさの凹部が一定間隔で形成、あるいは所定の大きさの凸部が一定間隔で形成、又は所定の大きさの凹凸が連続して形成されていることをいう。
双方向クラッチ500は、細かな点を除いて、他については図1に示した双方向クラッチ100とほぼ同じであるので、異なる部分について主に説明する。図15に示す双方向クラッチ500では、中間部5A、5Bは断面が三角形状の連結用凹凸部5A7、5B7を有する。中間部5A、5Bにおいて、連結用凹凸部5A7、5B7が形成される部分の面は、最初は連結用凹凸部5A7、5B7が形成されない部分の面5A8、5B8よりも径の大きな円弧状の面であるが、その面に断面が三角形状の凹部5A71、5B71を連続して又は一定の間隔で複数個形成することによって、連結用凹凸部5A7、5B7が形成される。なお、連結用凹凸部5A7、5B7と、連結用凹凸部5A7、5B7が形成されない部分の面5A8、5B8との比率は任意である。
出力部材3における出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の内側面は、中間部5A、5Bの連結用凹凸部5A7、5B7と互いに噛み合い易い凹凸面3B11となっている。凹凸面3B11は、断面が三角形状の凹部3B12を一定間隔で全周にわたって形成した凹凸面からなる。凹凸面3B11の凹部3B12は、連結用凹凸部5A7、5B7の断面が台形状の凸部5A72、5B72の一部分を少なくとも受け入れることができるように形成されている。
入力部材1がフリーな状態では、中間部5A、5Bの連結用凹凸部5A7、5B7は、図6に示した構造と同様な構造の緊締部材9の締め付け力によって、入力部材1に当接しており、出力部材3の出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の凹凸面3B11に軽く接触するか、あるいは接触しない程度に離れている。したがって、出力部材3に外力が加わっても、出力側の外力は入力部材1に伝達されない。
次に、入力部材1に回転駆動力がかけられると、前述した構造の入力係合部1Aがその回転中心となる軸線Z(図2、図3)を基準にして変位し、中間部5A、5Bを放射外方向に動かすので、中間部5A、5Bと出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1との間隙は狭くなり、中間部5A、5Bの連結用凹凸部5A7、5B7の凸部5A72、5B72と出力部材3の円筒状部分3B1の凹凸面3B11における凹部3B12とが噛み付き、強く連結される。これに伴い入力部材1の回転駆動力は出力部材3に伝達される。中間部5A、5Bの連結用凹凸部5A7、5B7を有する双方向クラッチ500も、実施形態1〜4のように転がり部材を有する双方向クラッチと同様な機能を有する。
なお、図15には示されていないが、この実施形態5においても中間部5A、5Bは、実施形態1で説明した支承部材11により支承されると共にガイドされる。また、弾性摩擦部材17が前述したような大切な働きを行うので、入力部材1に加わる回転駆動力がその摩擦抵抗による摩擦力を越えない期間では支承部材11が回転しない。この期間に、つまり回転駆動力がその摩擦力を超えない内に、図11(B)のように入力部材1の回転駆動力で中間部材5の中間部5Aと中間部5Bとの間を押し広げ、連結用凹凸部5A7、5B7を出力部材3の出力円筒状部3Bの円筒状部分3B1の凹凸面3B11に押し付けるので、入力部材1の回転駆動力は出力部材3に確実にかつ安定して伝達される。
この実施形態5の双方向クラッチ500によれば、中間部5A、5Bに楔形凹所を設ける代わりに、それらの外面に連結用凹凸部5A7、5B7をそれぞれ形成するだけで、転がり部材及び転がり部材を安定に保持するためのバネ部材が不要になるだけでなく、それら部材を組み込む工数が不要になるので、コストダウンが可能であり、また、転がり部材及びバネ部材がずれたり、外れたりすることが無く、信頼性の高い双方向クラッチを提供することが可能である。
なお、実施形態1ではコの字状の板バネ、あるいは板バネを緊締部材9として用いたが、スプリングによって中間部同士を結合して弾性力を与えるようにしても勿論よい。また、入力部材1の入力軸部1C及び出力部材3の出力軸部3Aの構造は前述した構造に制限されることなく、通常用いられる取付け構造に適した任意の構造であってもよい。入力係合部1Aは知られているカム構造のものでもよく、中間部材5のすべての中間部に対して放射外方向の力をほぼ均等に与える構造であればよい。また、中間部材5が3個以上から構成される場合でも、実施形態5と同様にして、中間部材5に連結用凹凸部を、又は出力部材3に凹凸面を設けることにより、同じような効果を得ることができる。
本発明の実施形態1に係る双方向クラッチ100を説明するための図である。 双方向クラッチ100の入力部材1を示す図である。 双方向クラッチ100の出力部材3の出力軸部3Aを示す図である。 双方向クラッチ100の出力部材3の出力円筒状部3Bを示す図である。 双方向クラッチ100の中間部材5を説明するための図である。 双方向クラッチ100の緊締部材9の一例であるコの字状板バネを示す図面である。 双方向クラッチ100の支承部材11を説明するための図である。 双方向クラッチ100の支承部材11の別の一例を説明するための図である。 双方向クラッチ100の一部分の組み立てを説明するための図である。 双方向クラッチ100のハウジング部材13とシールド部材15を示す図である。 双方向クラッチ100の動作説明を行うための図である。 本発明の実施形態2に係る双方向クラッチ200を説明するための図である。 本発明の実施形態3に係る双方向クラッチ300を説明するための図である。 本発明の実施形態4に係る双方向クラッチ400を説明するための図である。 本発明の実施形態5に係る双方向クラッチ500を説明するための図である。
符号の説明
1・・・入力部材
1A・・・入力係合部
1B・・・丸棒部分
1C・・・入力軸部
e・・・入力係合部1Aの短軸側
f・・・入力係合部1Aの長軸側
a、b・・短軸側eの面
c、d・・・長軸側fの円弧状の面
Z・・・入力部材1の回転中心となる軸線
3・・・出力部材
3A・・・出力軸部
3B・・・出力円筒状部
3B1・・・円筒状部分
3B11・・・出力部材3の凹凸面
3B12・・・凹凸面3B11の凹部
3B2・・・嵌合部分
H・・・圧入孔
3C・・・出力円筒状部3Bの楔形凹所
5・・・中間部材
5A、5B、5C、5D・・・中間部
5A1、5B1・・・中間部5A、5Bの中央凹所
5A2、5B2・・・中間部5A、5Bの楔形凹所
5A3、5B3・・・中間部5A、5Bの閉止部分
5A4、5B4・・・中間部5A、5Bの係合部
5A5、5B5・・・中間部5A、5Bの凹凸面
5A7、5B7・・・中間部5A、5Bの連結用凹凸部
5A71、5B71・・・連結用凹凸部5A7、5B7の凹部
5A72、5B72・・・連結用凹凸部5A7、5B7の凸部
5A8、5B8・・・連結用凹凸部5A7、5B7が形成されない部分の面
5a〜5d・・・中間部5A〜5Dの内側面
7・・・転がり部材
8・・・バネ部材
9・・・緊締部材(バネ、磁石部材など)
9A〜9C・・・緊締部材としてのコの字状バネを形成する部分
11・・・支承部材
11A・・・円板状部
11B・・・中央穴
11C・・・ガイド部
11C1〜11C3・・・ピン
11D・・・ガイド部
11D1〜11D3・・・ピン
11E・・・円板状部11Aの円環状の肉厚部
11G・・・ガイド部
11H・・・ガイド部
12・・・摩耗抑制部材
12A・・・摩耗抑制部
12B・・・取付け部
13・・・ハウジング部材
13A・・・小径部
13B・・・ストッパ部
13C・・・中径部
13D・・・大径部
13E・・・段差部
13F・・・取付け用円板部
13G・・・取付け用孔
15・・・シールド部材
15A・・・取付け孔
15B・・・シールド円板状部
15C・・・短円筒面
15D・・・挿通孔
17・・・弾性摩擦部材
19・・・軸受部材
21・・・軸受部材

Claims (11)

  1. 入力部材と、出力部材と、前記入力部材と前記出力部材との間に位置して複数の中間部からなる中間部材と、前記複数の中間部を互いに引き付け合う方向の力を与える緊締部材と、前記中間部材と前記出力部材との間に位置する転がり部材と、前記入力部材、前記出力部材、前記中間部材及び前記転がり部材を収容するハウジング部材とを備え、前記入力部材からの回転駆動力は前記出力部材に伝達され、前記出力部材からの回転力は前記入力部材に伝達されない双方向クラッチであって、
    前記出力部材は、前記中間部材に対面する内側面に、凹凸又は前記転がり部の一部分を収容する凹所を備え、
    前記中間部材は、前記出力部材に対面する外側面に、前記転がり部の一部分を収容する凹所又は凹凸を備え、
    前記中間部材の動きを案内し、規制する支承部材を備え、該支承部材には、前記入力部材の前記回転駆動力が所定値以下のときには前記支承部材が回転するのを阻止する摩擦力が働き、
    前記入力部材に働く回転駆動力で入力部材がその回転中心を基準にして変位するとき、前記入力部材は前記支承部材に働く前記摩擦力によって回転していない前記中間部材を直接押して放射外方向に動かし、前記出力部材の前記凹凸を有する内側面と前記中間部材の前記凹所の底面とで、又は前記出力部材の前記凹所の底面と前記中間部材の前記凹凸を有する外側面とで、前記転がり部材を挟みつけることにより、前記中間部材と転がり部材とを介して前記入力部材と前記出力部材とを連結することを特徴とする双方向クラッチ。
  2. 入力部材と、出力部材と、前記入力部材と前記出力部材との間に位置して複数の中間部からなる中間部材と、前記複数の中間部を互いに引き付け合う方向の力を与える緊締部材と、前記入力部材、前記出力部材、前記中間部材を収容するハウジング部材とを備え、前記入力部材からの回転駆動力は前記出力部材に伝達され、前記出力部材からの回転力は前記入力部材に伝達されない双方向クラッチであって、
    前記出力部材は、前記中間部材に対面する内側面に、凹凸を有する凹凸面を備え、
    前記中間部材は、前記出力部材に対面する外側面に、凹凸を有する連結用凹凸部を備え、
    前記中間部材の動きを案内し、規制する支承部材を備え、該支承部材には、前記入力部材の前記回転駆動力が所定値以下のときには前記支承部材が回転するのを阻止する摩擦力が働き、
    前記入力部材に働く回転駆動力で該入力部材がその回転中心を基準にして変位するとき、前記入力部材は前記支承部材に働く前記摩擦力によって回転していない前記中間部材を直接押して放射外方向に動かし、前記出力部材と前記中間部材とを前記出力部材の前記凹凸面と前記中間部材の前記連結用凹凸部とで、当接させることにより、前記中間部材を介して前記入力部材と前記出力部材とを連結することを特徴とする双方向クラッチ。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記ハウジング部材と組み合わされるシールド部材と、該シールド部材と前記支承部材との間に位置して摩擦力を生じる弾性摩擦部材とを備えることを特徴とする双方向クラッチ。
  4. 請求項1又は請求項2において、
    前記支承部材は前記ハウジング部材に当接して摩擦力を生じる円環状の肉厚部を有することを特徴とする双方向クラッチ。
  5. 請求項3又は請求項4において、
    前記支承部材は、前記中間部材の動きを案内し、規制する面を有し、該面を覆う摩耗抑制部材を備えていることを特徴とする双方向クラッチ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    前記入力部材は、長軸側と短軸側とを有する断面形状の入力係合部と該入力係合部から延びる入力軸部とから構成され、
    前記入力係合部は前記複数の中間部の間に挟まれており、
    前記出力部材は、出力軸部と該出力軸部よりも直径の大きな出力円筒状部とから構成され、
    前記出力円筒状部は、前記内側面に、前記凹凸、前記凹所、前記凹凸面のいずれかを有し、前記中間部材を囲むように配置されており、
    前記中間部は、前記外側面に、前記凹所、前記凹凸、前記連結用凹凸部のいずれかを有し、
    前記入力部材に前記回転駆動力が働くとき、前記複数の中間部は前記入力係合部により力を受け、前記緊締部材の力に逆らって互いに離れる方向に動き、これに伴い前記中間部と前記出力円筒状部とが連結され、前記入力部材の回転駆動力が前記出力部材に伝達されることを特徴とする双方向クラッチ。
  7. 請求項1において、
    前記中間部材又は前記出力部材に形成されている前記凹所は、該凹所の中央が深く、両端が浅くなる底面を有する楔形凹所であり、
    前記入力部材に前記回転駆動力が働くとき、前記転がり部材は前記出力部材又は前記中間部材の前記楔形凹所の底面と前記中間部材又は前記出力部材の前記凹凸の形成された面とで挟みつけられることを特徴とする双方向クラッチ。
  8. 請求項6又は請求項7において、
    前記中間部材が2個の前記中間部からなる場合は、前記入力係合部は長方形状又は楕円状であり、前記中間部材が3個以上の前記中間部からなる場合は、前記入力係合部は、前記中間部の個数と同じ個数の角を有する多角形状となることを特徴とする双方向クラッチ。
  9. 請求項ないし請求項8のいずれか1項において、
    前記緊締部材は弾性部材であり、該弾性部材が前記中間部をその弾性力で結合することにより、前記入力部材に前記回転駆動力が働かないときには、前記緊締部材の働きによって前記中間部材と前記出力部材とは連結されず、前記出力部材が空転可能であることを特徴とする双方向クラッチ。
  10. 請求項9において、
    前記緊締部材はバネであり、
    前記中間部は前記バネと係合する係合部を有し、
    前記支承部材はその主面から延びる複数のピンを備え、これらピンが前記バネを支承し、
    前記入力部材に前記回転駆動力が働くとき、前記バネの弾性力に逆らって、前記中間部は前記支承部材の前記ガイド部に沿って互いに離れる方向に動くことを特徴とする双方向クラッチ。
  11. 請求項ないし請求項8のいずれか1項において、
    前記緊締部材は複数の前記中間部のそれぞれに備えられた極性の異なる磁石部材からなり、該磁石部材の吸引力が前記中間部を互いに引き付け合うことにより、前記入力部材に前記回転駆動力が働かないときには、前記緊締部材の働きによって前記中間部材と前記出力部材とは連結されず、前記出力部材が空転可能であることを特徴とする双方向クラッチ。
JP2008167219A 2008-06-26 2008-06-26 双方向クラッチ Expired - Fee Related JP5057395B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008167219A JP5057395B2 (ja) 2008-06-26 2008-06-26 双方向クラッチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008167219A JP5057395B2 (ja) 2008-06-26 2008-06-26 双方向クラッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010007755A JP2010007755A (ja) 2010-01-14
JP5057395B2 true JP5057395B2 (ja) 2012-10-24

Family

ID=41588497

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008167219A Expired - Fee Related JP5057395B2 (ja) 2008-06-26 2008-06-26 双方向クラッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5057395B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5357117B2 (ja) * 2010-07-30 2013-12-04 オリジン電気株式会社 双方向クラッチ
JP5851817B2 (ja) * 2011-12-07 2016-02-03 Ntn株式会社 逆入力遮断クラッチ
JP5645900B2 (ja) * 2012-10-16 2014-12-24 オリジン電気株式会社 逆入力遮断クラッチ
JP6511687B2 (ja) * 2015-10-07 2019-05-15 三井金属アクト株式会社 動力伝達装置
JP2021081027A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 株式会社ミツバ 減速機構付モータ
JP7082964B2 (ja) * 2019-11-27 2022-06-09 株式会社オリジン 逆入力遮断クラッチ
JP7405037B2 (ja) 2020-07-31 2023-12-26 株式会社アイシン 逆入力遮断動力伝達装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3418802C2 (de) * 1984-05-19 1986-03-06 Kiekert GmbH & Co KG, 5628 Heiligenhaus Vorrichtung zur Betätigung eines Kraftfahrzeug-Türverschlusses
JPS6131730A (ja) * 1984-07-19 1986-02-14 Nippon Denso Co Ltd 一方向性クラツチ
JPS6152731U (ja) * 1984-09-11 1986-04-09
JPH02245521A (ja) * 1988-08-25 1990-10-01 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 自動車用アクチユエータのクラツチ
JPH1037985A (ja) * 1996-07-23 1998-02-13 Sony Corp 両方向クラッチ
JP2000230584A (ja) * 1999-02-09 2000-08-22 Sanshin Ind Co Ltd ワンウェイクラッチ構造
JP2001124107A (ja) * 1999-11-01 2001-05-08 Koyo Seiko Co Ltd クラッチ装置
JP2003056603A (ja) * 2001-08-09 2003-02-26 Ntn Corp 電動モータユニット
JP4940793B2 (ja) * 2005-12-26 2012-05-30 株式会社デンソー 両方向クラッチ
JP4816474B2 (ja) * 2007-01-26 2011-11-16 トヨタ紡織株式会社 クラッチ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010007755A (ja) 2010-01-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5057395B2 (ja) 双方向クラッチ
US7032731B2 (en) Seat cushion pumping device for vehicle
US5000303A (en) One-way clutch
US7214161B2 (en) One-way clutch
CN110001461B (zh) 用于车辆座椅的泵送装置
US2750019A (en) One-way engaging device
EP2085637A1 (en) Friction pad assembly for disk brake
JP4949196B2 (ja) 双方向クラッチ
JP2007113634A (ja) プーリ構造体
GB2259962A (en) Torque limiter
US20020134636A1 (en) Oneway clutch device
JP5231615B2 (ja) 双方向クラッチ
WO2003087611A1 (en) Wrap spring clutch
JP5357117B2 (ja) 双方向クラッチ
JP3989702B2 (ja) 一方向クラッチ
JP3411681B2 (ja) ワンウェイクラッチ
JP2010127349A (ja) 逆入力防止クラッチ
JP3664978B2 (ja) クラッチ装置
JPH09177835A (ja) 一方向クラッチ
JP4525046B2 (ja) 電磁ボールクラッチ
JP2006220280A (ja) トルクリミッタ
JP4650189B2 (ja) スプラグ型一方向クラッチ用スプリングと該スプリングを備えたスプラグ型一方向クラッチ
JP2518808Y2 (ja) スリップ機構
JPH0313636Y2 (ja)
JP3241152B2 (ja) 2方向差動クラッチ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100929

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120724

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120725

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5057395

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees