以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における制御装置100が搭載される車両1の上面視を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印FWDは、車両1の前進方向を示す。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、複数(本実施の形態では4輪)の車輪2と、それら各車輪2の内の一部(本実施の形態では左右の前輪2FL,2FR)を回転駆動する車輪駆動装置3と、各車輪2のキャンバ角を調整する懸架装置4と、その懸架装置4に支持される車体フレームBFと、ステアリング63の操作に伴って各車輪2の内の一部(本実施の形態では左右の前輪2FL,2FR)を操舵するステアリング装置5とを主に備え、車輪2のキャンバ角を調整して車輪2の性能を発揮させることで、悪路走行時における乗り心地の向上を図ることができるように構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の進行方向FWD前方側に位置する左右の前輪2FL,2FRと、進行方向FWD後方側に位置する左右の後輪2RL,2RRとの4輪を備えている。また、左右の前輪2FL,2FRは、車輪駆動装置3から付与される回転駆動力により回転駆動される駆動輪として構成される一方、左右の後輪2RL,2RRは、車両1の走行に伴って従動する従動輪として構成されている。なお、車輪2の詳細構成については、図5を参照して後述する。
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力を付与して回転駆動するための装置であり、後述するように電動モータ3aにより構成されている(図4参照)。電動モータ3aは、図1に示すように、ディファレンシャルギヤ(図示せず)及び一対のドライブシャフト31を介して、左右の前輪2FL,2FRに接続されている。
運転者がアクセルペダル61を操作した場合には、車輪駆動装置3から左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力が付与され、それら左右の前輪2FL,2FRがアクセルペダル61の踏み込み状態に応じた回転速度で回転駆動される。なお、左右の前輪2FL,2FRの回転差は、ディファレンシャルギヤにより吸収される。
懸架装置4は、いわゆるサスペンションとして機能する装置であり、図1に示すように、各車輪2に対応して配設されている。また、本実施の形態における懸架装置4は、上述したように、車輪2のキャンバ角を調整するキャンバ角調整装置としての機能を兼ね備えている。
ここで、図2及び図3を参照して、懸架装置4の詳細構成について説明する。図2及び図3は、懸架装置4の正面図であり、図3(a)は、車輪2のキャンバ角がプラス方向(ポジティブ)に調整された状態が図示され、図3(b)は、車輪2のキャンバ角がマイナス方向(ネガティブ)に調整された状態が図示されている。なお、図2及び図3では、発明の理解を容易とするために、ドライブシャフト31等の図示を省略し、図面を簡素化している。また、各懸架装置4の構成は、それぞれ共通であるので、右の前輪2FRに対応する懸架装置4を代表例として、図2及び図3に図示する。
懸架装置4は、図2に示すように、ストラット式(マクファーソン式)の機構により構成され、アクスルハブ41と、サスペンションアーム42と、FRアクチュエータ43FRとを主に備えている。
アクスルハブ41は、車輪2を回転可能に支持するものであり、図2に示すように、車両1の内側(図2右側)から車輪2を支持すると共に、サスペンションアーム42を介してFRアクチュエータ43FRに連結されている。サスペンションアーム42は、アクスルハブ41をFRアクチュエータ43FRに連結するものであり、第1〜第3アーム42a〜42cを備えている。
第1アーム42a及び第2アーム42bは、一端(図2左側)がアクスルハブ41の上部(図2上側)及び下部(図2下側)にそれぞれ軸支される一方、他端(図2右側)が第3アーム42cの上端(図2上側)及び下端(図2下側)にそれぞれ軸支されている。また、第1アーム42a及び第2アーム42bは、互いに対向して配置されると共に、第3アーム42cは、アクスルハブ41に対向して配置されている。これにより、アクスルハブ41とサスペンションアーム42(第1〜第3アーム42a〜42c)とにより、4節のリンク機構が構成される。
なお、サスペンションアーム42には、路面Gから車体フレームBFに伝わる衝撃を緩和するコイルばね及びそのコイルばねの振動を減衰させるショックアブソーバ(いずれも図示せず)が配設されている。
FRアクチュエータ43FRは、サスペンションアーム42と車体フレームBFとを連結するものであり、油圧シリンダにより構成されている。このFRアクチュエータ43FRは、図2に示すように、本体部(図2上側)が車体フレームBFに軸支される一方、ロッド部(図2下側)が第3アーム42cに軸支されている。
ここで、第2アーム42bは、キャンバ軸44を介してアクスルハブ41に軸支されており、FRアクチュエータ43FRが伸縮駆動されると、アクスルハブ41とサスペンションアーム42とにより構成されるリンク機構(以下、単に「リンク機構」と称す。)が屈伸し、キャンバ軸44を中心軸として車輪2が揺動する(図3参照)。
即ち、一般に、車輪2は、路面Gとの間の摩擦により、路面Gに対して滑りを生じないため、リンク機構は、車輪2の接地面に最も近くに配置されるキャンバ軸44を固定軸として屈伸する。その結果、キャンバ軸44を中心軸として車輪2が揺動する。
また、キャンバ軸44は、アクスルハブ41が車輪2を車両1の内側から支持する構成であるので、車両1の正面視において、車輪2の中心線Mよりも車両1の内側(図2右側)に配置されている。
上述したように構成される懸架装置4によれば、図3(a)及び図3(b)に示すように、図2に示す状態からFRアクチュエータ43FRが伸縮駆動されると、リンク機構が屈伸し、車輪2がキャンバ軸44を中心軸として矢印A方向または矢印B方向へ揺動することで、車輪2のキャンバ角が調整される。また、FRアクチュエータ43FRが伸縮駆動されると、リンク機構が屈伸し、FRアクチュエータ43FRを介してサスペンションアーム42に連結された車体フレームBFが昇降することで、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hが変更される。即ち、FRアクチュエータ43FRを伸縮駆動することで、車輪2のキャンバ角を調整するのと同時に、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを変更することができる。
ここで、本実施の形態では、上述したように、車両1の正面視において、キャンバ軸44が車輪2の中心線Mよりも車両1の内側に配置される構成であるので、図3(a)に示すように、FRアクチュエータ43FRを収縮駆動することで、車輪2のキャンバ角をプラス方向(ポジティブ)に調整することができる。同時に、車体フレームBFが上昇することで、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを広げることができる。
一方、図3(b)に示すように、FRアクチュエータ43FRを伸長駆動することで、車輪2のキャンバ角をマイナス方向(ネガティブ)に調整することができる。同時に、車体フレームBFが下降することで、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを縮めることができる。
図1に戻って説明する。ステアリング装置5は、ラックアンドピニオン式の機構により構成され、ステアリングシャフト51と、フックジョイント52と、ステアリングギヤ53と、タイロッド54と、ナックル55とを主に備えている。
このステアリング装置5によれば、運転者によるステアリング63の操作は、まず、ステアリングシャフト51を介してフックジョイント52に伝達されると共に、フックジョイント52により角度を変えられつつ、ステアリングギヤ53のピニオン53aに回転運動として伝達される。そして、ピニオン53aに伝達された回転運動は、ラック53bの直線運動に変換され、ラック53bが直線運動することで、ラック53bの両端に接続されたタイロッド54が移動して、ナックル55を押し引きすることで、車輪2の操舵角が調整される。
アクセルペダル61及びブレーキペダル62は、運転者により操作される操作部材であり、各ペダル61,62の踏み込み状態(踏み込み量、踏み込み速度など)に応じて、車両1の走行速度や制動力が決定され、車輪駆動装置3の制御が行われる。ステアリング63は、運転者により操作される操作部材であり、その操作に伴って、車輪2がステアリング装置5により操舵される。
同様に、車高調整スイッチ64は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(オン/オフ)に応じて、リンク駆動装置43の制御が行われる。また、車高調整スイッチ64は、原位置スイッチ64aと、上昇スイッチ64bと、下降スイッチ64cとを備えており、各スイッチ64a〜64cは、押下された場合にオンの状態となる押しボタン式のオン/オフスイッチとして構成されている。
なお、原位置スイッチ64aがオンの状態は車体フレームBFと路面Gとの間隔H(図2参照)を予め設定された間隔に復帰させることが運転者により指示された状態に、上昇スイッチ64bがオンの状態は車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを広げることが運転者により指示された状態に、下降スイッチ64cがオンの状態は車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを縮めることが運転者により指示された状態に、それぞれ対応する。
制御装置100は、上述したように構成される車両1の各部を制御するための装置であり、例えば、各ペダル61,62の踏み込み状態を検出し、その検出結果に応じて車輪駆動装置3を制御することで、各車輪2を回転駆動する。また、車高調整スイッチ64の操作状態を検出し、その検出結果に応じてリンク駆動装置43を制御することで、各車輪2のキャンバ角を調整して、車体フレームBFと路面Gとの間隔H(図2参照)を変更する。或いは、後述するキャンバ制御処理(図8参照)において、走行路が悪路であるか否かを判断し、その判断結果に応じてリンク駆動装置43を制御する。
ここで、図4を参照して、制御装置100の詳細構成について説明する。図4は、制御装置100の電気的構成を示したブロック図である。制御装置100は、図4に示すように、CPU71、EEPROM72及びRAM73を備え、それらがバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の複数の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置であり、計時回路71aが設けられている。計時回路71aは、時間を計測するための回路であり、この計時回路71aにより計時を行うことができる。
EEPROM72は、CPU71によって実行される制御プログラムや固定値データ等を書き換え可能に記憶すると共に、電源遮断後も内容を保持可能な不揮発性のメモリであり、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリである。また、EEPROM72には、図8に図示されるフローチャート(キャンバ制御処理など)のプログラムが格納されると共に、規定値メモリ72a、規定時間メモリ72b及び履歴メモリ72cが設けられている。
規定値メモリ72aは、後述するキャンバ制御処理(図8参照)において、走行路が悪路であるか否かを判断するための閾値となる車体フレームBF(図1参照)の車両1高さ方向(図1紙面表裏方向)の加速度を記憶するメモリであり、設計段階で予め設定された数値が記憶されている。
CPU71は、この規定値メモリ72aの内容に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断することができる。なお、本実施の形態では、CPU71は、後述する上下方向加速度センサ81cの検出結果(加速度)が既定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)よりも大きい状態が規定時間継続した場合に、走行路が悪路であると判断する。
規定時間メモリ72bは、キャンバ制御処理において、走行路が悪路であるか否かを判断するための閾値となる時間を記憶するメモリであり、規定値メモリ72aの内容と同様に、設計段階で予め設定された数値が記憶されている。
CPU71は、この規定時間メモリ72bの内容に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断することができる。なお、本実施の形態では、上述したように、CPU71は、上下方向加速度センサ81cの検出結果(加速度)が規定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)よりも大きい状態が規定時間継続した場合に、走行路が悪路であると判断するが、かかる状態の継続時間を計時回路71aにより計測し、その計測結果(継続時間)が規定時間メモリ72bに記憶されている閾値(時間)を経過した場合に、走行路が悪路であると判断する。
履歴メモリ72cは、過去に走行した走行路の情報(走行路が悪路であることを識別する識別情報など)を広域座標系の位置情報に対応付けて記憶するメモリであり、後述するナビゲーション装置82のマンマシンインタフェース(操作部)から運転者により書き込み可能に構成されている。CPU71は、この履歴メモリ72cの内容に基づいて、走行路の情報を得ることができる。
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FR(図1参照)を回転駆動するための装置であり、それら左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力を付与する電動モータ3aと、その電動モータ3aをCPU71からの命令に基づいて制御する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
リンク駆動装置43は、上述したように、リンク機構を屈伸させることで車輪2を揺動駆動するための装置であり、リンク機構に屈伸のための駆動力を付与する4個のFL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRと、それら各アクチュエータ43FL〜43RRをCPU71からの命令に基づいて制御する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRは、上述したように、油圧シリンダにより構成され、各油圧シリンダにオイル(油圧)を供給する油圧ポンプ(図示せず)と、その油圧ポンプから各油圧シリンダに供給されるオイルの供給方向を切り換える電磁弁(図示せず)とを主に備えて構成されている。
CPU71からの指示に基づいて、リンク駆動装置43の制御回路が油圧ポンプを駆動制御すると、その油圧ポンプから供給されるオイル(油圧)によって、各油圧シリンダ(FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RR)が伸縮駆動される。また、電磁弁がオン/オフされると、各油圧シリンダ(FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RR)の駆動方向(伸長または収縮)が切り替えられる。
リンク駆動装置43の制御回路は、各油圧シリンダ(FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RR)の伸縮量を伸縮センサ(図示せず)により監視し、CPU71から指示された目標値(伸縮量)に達した油圧シリンダ(FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RR)は、伸縮駆動が停止される。なお、伸縮センサによる検出結果は、制御回路からCPU71に出力され、CPU71は、その検出結果に基づいて各車輪2のキャンバ角および車体フレームBFと路面Gとの間隔H(図2参照)を得ることができる。
加速度センサ装置81は、車体フレームBFの加速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後、左右および上下方向加速度センサ81a,81b,81cと、それら各加速度センサ81a,81b,81cの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
前後方向加速度センサ81aは車体フレームBFの車両1前後方向(図1上下方向)の加速度を、左右方向加速度センサ81bは車体フレームBFの車両1左右方向(図1左右方向)の加速度を、上下方向加速度センサ81cは車体フレームBFの車両1高さ方向(図1紙面表裏方向)の加速度を、それぞれ検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ81a,81b,81cが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
CPU71は、加速度センサ装置81から入力された前後方向加速度センサ81a及び左右方向加速度センサ81bの検出結果(加速度)を時間積分して、2方向(前後および左右方向)の速度をそれぞれ得ると共に、かかる2方向の速度成分を合成することで、車両1の対地速度を得ることができる。
ナビゲーション装置82は、車両1の現在位置や目的地までの経路案内などを表示する装置であり、GPS衛星からGPS信号(車両1の位置情報など)を受信するGPS受信機(図示せず)と、地図データ等の各種情報が記憶された記憶媒体から走行路の情報(走行路が悪路であることを識別する識別情報など)を読み取る情報読取装置(図示せず)と、操作部、LCD及びスピーカ等から構成されるマンマシンインタフェース装置(図示せず)とを主に備えている。
CPU71は、このナビゲーション装置82のGPS受信機により受信されたGPS信号に基づいて、広域座標系における車両1の現在位置を得ることができると共に、情報読取装置により読み取られた地図データに基づいて、走行路の情報を得ることができる。
アクセルペダルセンサ装置61aは、アクセルペダル61の踏み込み状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、アクセルペダル61の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
ブレーキペダルセンサ装置62aは、ブレーキペダル62の踏み込み状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ブレーキペダル62の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
ステアリングセンサ装置63aは、ステアリング63の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ステアリング63の回転角度を回転方向に対応付けて検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各角度センサが電気抵抗を利用した接触型のポテンショメータとして構成されている。CPU71は、各センサ装置61a,62a,63aの処理回路から入力された各角度センサの検出結果により、各ペダル61,62の踏み込み量およびステアリング63の回転角度を得ると共に、その検出結果を時間微分することで、各ペダル61,62の踏み込み速度およびステアリング63の回転速度を得ることができる。
車高調整スイッチセンサ装置64dは、車高調整スイッチ64の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、原位置スイッチ64aのオン/オフ状態を検出するオン/オフセンサ(図示せず)と、上昇スイッチ64bのオン/オフ状態を検出するオン/オフセンサ(図示せず)と、下降スイッチ64bのオン/オフ状態を検出するオン/オフセンサ(図示せず)と、それら各オン/オフセンサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
図4に示す他の入出力装置83としては、例えば、走行路の路面状況を非接触で検出する光学センサ、或いは、走行路が悪路である場合に運転者により操作されるスイッチの操作状態(オン/オフ)を検出する装置などが例示される。
次いで、図5から図7を参照して、車輪2の詳細構成について説明する。図5は、車両1の上面視を模式的に示した模式図であり、図6及び図7は、車両1の正面視を模式的に示した模式図である。なお、図6では、車輪2のキャンバ角がプラス方向(ポジティブ)に調整された状態が図示され、図7では、車輪2のキャンバ角がマイナス方向(ネガティブ)に調整された状態が図示されている。
車輪2は、図5に示すように、第1トレッド21及び第2トレッド22の2種類のトレッドを備え、各車輪2において、第1トレッド21が車両1の外側に配置され、第2トレッド22が車両1の内側に配置されている。また、車輪2は、第1トレッド21と第2トレッド22とが互いに異なる特性に構成され、第1トレッド21が第2トレッド22に比して軟らかい特性(ゴム硬度の低い特性)に構成されている。なお、本実施の形態では、両トレッド21,22の幅寸法(図5左右方向寸法)が同一に構成されている。
上述したように構成される車輪2によれば、図6に示すように、リンク駆動装置43が制御され、車輪2のキャンバ角θL,θRがプラス方向(ポジティブ)に調整されると、車両1の外側に配置される第1トレッド21の接地(接地面積)が増加する一方、車両1の内側に配置される第2トレッド22の接地(接地面積)が減少する。これにより、第1トレッド21と第2トレッド22との接地比率を変更できるので、接地比率の高いトレッド、即ち、第1トレッド21の特性による影響を大きくして、第1トレッド21の特性により得られる性能を車輪2に発揮させることができる。
ここで、本実施の形態では、上述したように、車輪2は、第1トレッド21を第2トレッド22に比して軟らかい特性(ゴム硬度の低い特性)とする構成であるので、第1トレッド21の軟らかい特性、即ち、弾性に富み、外力に対して変形し易い特性によって、車両1が路面Gから受ける衝撃を緩和することができる。
これに対し、図7に示すように、リンク駆動装置43が制御され、車輪2のキャンバ角θL,θRがマイナス方向(ネガティブ)に調整されると、車両1の外側に配置される第1トレッド21の接地(接地面積)が減少する一方、車両1の内側に配置される第2トレッド22の接地(接地面積)が増加する。これにより、接地比率の低いトレッド、即ち、第1トレッド21の特性による影響を小さくすることができる。
これにより、第1トレッド21の軟らかい特性(ゴム硬度の低い特性)、即ち、高グリップ特性によって、車輪2の転がり抵抗が大きくなることを回避できるので、燃費の悪化を抑制して、燃費性能の向上を図ることができる。
次いで、図8を参照して、キャンバ制御処理について説明する。図8は、キャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置100の電源が投入されている間、CPU71により繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。
CPU71は、キャンバ制御処理に関し、まず、車体フレームBFの車両1高さ方向の加速度(以下、「車両1の振動」と称す。)を加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)により検出し(S1)、その検出結果(加速度)が規定値メモリ72bに記憶されている閾値(加速度)よりも大きいか否かを判断する(S2)。
その結果、検出結果(加速度)が規定値メモリ72bに記憶されている閾値(加速度)よりも大きいと判断される場合には(S2:Yes)、計時回路71aにより計時を開始すると共に(S3)、再び、S1及びS2の処理と同様に、車両1の振動を検出し(S4)、その検出結果(加速度)が規定値メモリ72bに記憶されている閾値(加速度)よりも大きいか否かを判断する(S5)。
その結果、S3の処理で計時を開始してからの計測時間が規定時間メモリ72bに記憶されている閾値(時間)を経過したか否かを判断し(S6)、経過していないと判断される場合には(S6:No)、S4の処理に回帰する。
一方、S6の処理の結果、計時を開始してからの計測時間が規定時間メモリ72bに記憶されている閾値(時間)を経過したと判断される場合には(S6:Yes)、車両1の振動が規定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)よりも大きいと判断される状態が規定時間継続しており、走行路が悪路であると判断されるので、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角をプラス方向(ポジティブ)に調整し(S7)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両1の外側に配置される第1トレッド21の接地(接地面積)が増加するので、第1トレッド21の特性による影響を大きくして、車両1が路面Gから受ける衝撃を緩和することができる。その結果、悪路走行時における乗り心地の向上を図ることができる。
また、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角をプラス方向(ポジティブ)に調整することで、同時に、車体フレームBFが上昇するので、車体フレームBFと路面Gとの間隔H(図2参照)を広げることができる。その結果、悪路走行時に、車体フレームBFが路面Gに接触する現象、いわゆる底つき現象を防止することができる。
一方、S2及びS5の処理の結果、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)の検出結果(加速度)が規定値メモリ72bに記憶されている閾値(加速度)よりも大きくない、即ち、検出結果(加速度)が規定値メモリ72bに記憶されている閾値(加速度)以下であると判断される場合には(S2:No、S5:No)、走行路は悪路でないと判断されるので、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角を0度に調整し(S8)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、第1トレッド21の接地(接地面積)が減少するので、第1トレッド21の特性による影響を小さくして、燃費性能の向上を図ることができる。また、車輪2のキャンバ角を0度に調整することで、車輪2に横力を発生させることがなく、省燃費性能のより一層の向上を図ることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)の検出結果(加速度)に基づいて、走行路が悪路であるかを判断するので、走行路が悪路であるかを容易かつ正確に判断することができる。
また、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)の検出結果(加速度)が規定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)よりも大きいと判断される状態が規定時間継続した場合に、走行路が悪路であると判断するので、過剰に走行路が悪路であると判断することなく、走行路が悪路であるかの判断を適正に行うことができる。
その結果、リンク駆動装置43の制御(キャンバ角の調整)を効率良く行うことができ、悪路走行時における乗り心地の向上を効率的に図ることができる。更に、リンク駆動装置43の制御を効率良く行うことができれば、悪路走行時における乗り心地の向上を図りつつも、余計なリンク駆動装置43の制御を不要として、悪路でない走行路(例えば舗装路など)の走行時における乗り心地の向上を図ることができる。
なお、請求項2から4に記載した車両の振動とは、本実施の形態では、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)により検出される車体フレームBFの車両1高さ方向の加速度が該当する。
また、図8に示すフローチャート(キャンバ制御処理)において、請求項1記載のキャンバ制御手段としてはS7及びS8の処理が、悪路判断手段としては、S2、S5及びS6の処理が、請求項2記載の振動検出手段としてはS1及びS4の処理が、振動判断手段としては、S2及びS5の処理が、それぞれ該当する。
次いで、図9を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)の検出結果(加速度)に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断する場合を説明したが、第2実施の形態は、ナビゲーション装置82又は過去メモリ72cから取得した走行路の情報に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断するように構成されている。なお、第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9は、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置100の電源が投入されている間、CPU71により繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。
CPU71は、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理に関し、まず、車両1の現在位置をナビゲーション装置82(GPS受信機)により取得すると共に(S21)、ナビゲーション装置82から走行路の情報を取得し(S22)、その取得した走行路の情報に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断する(S23)。
なお、S22の処理では、情報読取装置により読み取られた地図データに基づいて、走行路が悪路であることを識別する識別情報を走行路の情報として取得する。即ち、情報読取装置により読み取られた地図データにより、車両1の現在位置における走行路が未舗装路や山道などである場合に、走行路が悪路であることを識別する識別情報を取得する。また、S23の処理では、車両1の現在位置に対して所定距離だけ前方(50m前方)の走行路が悪路であるか否かを判断する。
その結果、走行路が悪路であると判断される場合には(S23:Yes)、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角をプラス方向(ポジティブ)に調整し(S24)、このキャンバ制御処理を終了する。これにより、第1実施の形態の場合と同様に、悪路走行時における乗り心地の向上を図ることができる。
一方、走行路が悪路でないと判断される場合には(S23:No)、履歴メモリ72cから走行路の情報を取得し(S25)、その取得した走行路の情報に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断する(S26)。なお、S26の処理では、車両1の現在位置に対して所定距離だけ前方(50m前方)の走行路が悪路であるか否かを判断する。
その結果、走行路が悪路であると判断される場合には(S26:Yes)、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角をプラス方向(ポジティブ)に調整し(S24)、このキャンバ制御処理を終了する。これにより、第1実施の形態の場合と同様に、悪路走行時における乗り心地の向上を図ることができる。
一方、走行路が悪路でないと判断される場合には(S26:No)、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角を0度に調整し(S27)、このキャンバ制御処理を終了する。これにより、第1実施の形態の場合と同様に、燃費性能の向上を図ることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置82(GPS受信機)により取得された車両1の現在位置と、ナビゲーション装置82(情報読取装置により読み取られた地図データ)又は履歴メモリ72cから取得した走行路の情報とに基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断するので、走行路が悪路であるかを容易かつ正確に判断することができる。
また、ナビゲーション装置82(GPS受信機)により取得された車両1の現在位置と、ナビゲーション装置82(情報読取装置により読み取られた地図データ)又は履歴メモリ72cから取得した走行路の情報とに基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断することで、走行路が悪路であるかを早期に判断することができる。即ち、車両1の現在位置に対して所定距離だけ前方(本実施の形態では、50m前方)の走行路が悪路であるかを判断することができる。
その結果、リンク駆動装置43の制御(キャンバ角の調整)を十分な余裕を持って行うことができるので、制御遅延を生じさせることなく、悪路走行時における乗り心地の向上を適切に図ることができる。
なお、図9に示すフローチャート(キャンバ制御処理)において、請求項1記載のキャンバ制御手段としてはS23及びS26の処理が、悪路判断手段としては、S22及びS25の処理が、現在位置取得手段としてはS21の処理が、走行路情報取得手段としてはS22及びS25の処理が、それぞれ該当する。
次いで、図10を参照して、第3実施の形態について説明する。上記各実施の形態では、キャンバ制御手段(図8及び図9参照)により走行路が悪路であると判断される場合に、車輪2のキャンバ角を調整することで、同時に、車体フレームBFと路面Gとの間隔H(図2参照)を変更する場合を説明したが、第3実施の形態は、かかる間隔Hを運転者の指示により変更可能に構成されている。なお、上記各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10は、第3実施の形態における車高制御処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置100の電源が投入されている間、第1実施の形態におけるキャンバ制御処理(図8参照)又は第2実施の形態におけるキャンバ制御処理(図9参照)に並行して、CPU71により繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。
CPU71は、車高制御処理に関し、まず、原位置スイッチ64aがオンされたか否かを車高調整スイッチ装置64dの検出結果により判断し(S31)、オンされたと判断される場合には(S31:Yes)、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角を0度に調整し(S32)、この車高制御処理を終了する。
これにより、車体フレームBFと路面Gとの間隔H(図2参照)を車輪2のキャンバ角が0度の状態に対応する間隔(設計段階で予め設定される間隔であって、懸架装置4を構成する各部品の寸法などにより決まる間隔)に復帰させることができる。
一方、S31の処理の結果、原位置スイッチ64aはオンされていないと判断される場合には(S31:No)、次いで、上昇スイッチ64bがオンされたか否かを車高調整スイッチ装置64dの検出結果により判断し(S33)、オンされたと判断される場合には(S33:Yes)、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRの収縮駆動が可能であるか否か、即ち、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRを収縮させることができるか否かを判断する(S34)。その結果、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRの収縮駆動が可能であると判断される場合には(S34:Yes)、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角をプラス方向(ポジティブ)に調整する(S35)。
これにより、車体フレームBFが上昇するので、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを広げることができる。その結果、車体フレームBFが路面Gに接触する現象、いわゆる底つき現象を防止することができる。
一方、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRの収縮駆動が可能でないと判断される場合には(S34:No)、車輪2のキャンバ角を現状よりもプラス方向(ポジティブ)に調整できないということであり、この場合には、S35の処理をスキップして、この車高制御処理を終了する。
S33の処理の結果、上昇スイッチ64bはオンされていないと判断される場合には(S33:No)、次いで、下降スイッチ64bがオンされたか否かを車高調整スイッチ装置64dの検出結果により判断し(S36)、オンされたと判断される場合には(S36:Yes)、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRの伸長駆動が可能であるか否か、即ち、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRを伸長させることができるか否かを判断する(S37)。その結果、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRの院長駆動が可能であると判断される場合には(S37:Yes)、リンク駆動装置43を制御して、車輪2のキャンバ角をマイナス方向(ネガティブ)に調整する(S38)。
これにより、車体フレームBFが下降するので、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを縮めることができる。その結果、車両1の走行安定性の向上を図ることができる。
一方、FL〜RRアクチュエータ43FL〜43RRの伸長駆動が可能でないと判断される場合には(S37:No)、車輪2のキャンバ角を現状よりもマイナス方向(ネガティブ)に調整できないということであり、この場合には、S38の処理をスキップして、この車高制御処理を終了する。
以上のように、本実施の形態によれば、車高調整スイッチ装置64dの検出結果に基づいて、リンク駆動装置43を制御するので、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを運転者が任意に変更することができる。その結果、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを運転者の所望の状態に設定することができる。更に、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hを運転者の所望の状態に設定することができるので、使い勝手が良く、利便性の向上を図ることができる。
なお、図10に示すフローチャート(車高制御処理)において、請求項5記載の操作状態検出手段としてはS31、S33及びS36の処理が該当する。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、車輪2を第1トレッド21及び第2トレッド22の2種類のトレッドにより構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1トレッド21及び第2トレッド22に加え、それら第1トレッド21及び第2トレッド22の特性とは異なる特性に構成される第3トレッドを備えていても良い。この場合、第3トレッドを第1トレッド21に比して更に軟らかい特性とする構成であれば、かかる第3トレッドを第1トレッド21よりも車両1の外側に配置することで、悪路走行時における乗り心地のより一層の向上を図ることができる。
上記各実施の形態では、車両1の正面視において、キャンバ軸44を車輪2の中心線Mよりも車両1の内側に配置することで、車輪2のキャンバ角がプラス方向(ポジティブ)に調整されると、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hが広がる一方(図3(a)参照)、車輪2のキャンバ角がマイナス方向(ネガティブ)に調整されると、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hが縮まる場合を説明したが(図3(b)参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、キャンバ軸44を車輪2の中心線Mよりも車両1の外側に配置することで、車輪2のキャンバ角がプラス方向(ポジティブ)に調整されると、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hが縮まる一方、車輪2のキャンバ角がマイナス方向(ネガティブ)に調整されると、車体フレームBFと路面Gとの間隔Hが広がるように構成しても良い。
この場合には、車輪2の第1トレッド21を車両1の内側に、第2トレッド22を車両1の外側に、それぞれ配置し、走行路が悪路であると判断される場合に、車輪2のキャンバ角をマイナス方向(ネガティブ)に調整することで、上記各実施の形態の場合と同様に、悪路走行時における乗り心地の向上を図ると共に、底つき現象を防止することができる。
上記第1実施の形態では、車体フレームBFの車両1高さ方向の加速度により車両1の振動を検出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)により検出された車体フレームBFの車両1高さ方向の加速度を時間積分して振幅を算出し、その振幅に基づいて、車両1の振動を検出しても良く、或いは、照射したレーザ光の反射光におけるドップラ効果を利用した振動計などを用いて車両1の振動を検出しても良い。即ち、車両1の振動を検出できれば良く、その検出方法については限定されるものではない。
上記第1実施の形態では、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)の検出結果(加速度)が規定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)よりも大きいか否かを判断する場合を説明したが(図8のS2及びS5参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、かかる検出結果(加速度)が規定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)以上であるか否かを判断しても良い。
上記第1実施の形態では、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)の検出結果(加速度)が規定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)よりも大きいと判断される状態が規定時間継続した場合に、走行路が悪路であると判断する場合を説明したが(図8のS6:Yes参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、単に、かかる検出結果(加速度)が規定値メモリ72aに記憶されている閾値(加速度)以上または閾値(加速度)よりも大きいと判断される場合に、走行路が悪路であると判断しても良い。
上記第1実施の形態では、加速度センサ装置81(上下方向加速度センサ81c)の検出結果(加速度)が規定値メモリ72bに記憶されている閾値(加速度)以下であると判断される場合に、車輪2のキャンバ角を0度に調整する場合を説明したが(図8のS8参照)、必ずしもこれに限られるものではない。即ち、第1トレッド21の接地(接地面積)が減少するように、車輪2のキャンバ角を調整すれば良く、その角度については限定されるものではない。
上記第2実施の形態では、ナビゲーション装置82(情報読取装置により読み取られた地図データ)及び過去メモリ72cから取得した走行路の情報に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断する場合を説明したが(図9のS23及びS26参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、いずれか一方に基づいて、走行路が悪路であるか否かを判断しても良い。
上記第2実施の形態では、車両1の現在位置に対して所定距離だけ前方(50m前方)の走行路が悪路であるか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両1の現在位置における走行路が悪路であるか否かを判断しても良い。
上記第3実施の形態では、原位置スイッチ64aがオンされたと判断される場合に、車輪2のキャンバ角を0度に調整する場合を説明したが(図10のS32参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、車体フレームBFと路面Gとの間隔H(図2参照)が運転者により予め設定された間隔となるように、かかる間隔に対応する車輪2のキャンバ角を記憶するメモリをEEPROM72に設け、そのメモリの内容に基づいて、車輪2のキャンバ角を調整しても良い。