JP5055841B2 - 固体潤滑剤及び摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明は、固体潤滑剤及び摺動部材に関し、詳しくは、摺動部材基体の摺動面に形成された凹部、孔又は溝に埋め込まれる固体潤滑剤及び摺動部材に関する。
特開昭55−108427号公報
従来、この種の固体潤滑剤としては、層状構造を持つもの、中でもとくに黒鉛を主成分とするものが賞用されている。黒鉛はその組織が層状構造のため荷重方向に対しては大きい抵抗力を示すが、すべり方向に対しては抵抗力が小さく、しかも軟質であり、さらに常温からかなりの高温まで潤滑性能を保つことができるという利点を有している。軸受等の摺動部材の摺動面に埋め込まれて使用されるこのような固体潤滑剤は、摺動面に適当な薄膜として形成されてはじめて有用なものであり、被膜形成の巧拙が摩擦摩耗特性及び被膜の寿命に大きな影響を及ぼす。
しかしながら、前述の黒鉛を主成分とした固体潤滑剤は、被膜の形成能がやや不足するとともに、繰り返し摩擦に対する被膜の寿命の点で充分でない。そのため、低速度、高荷重用途には不向きである。
他方、高荷重用途に使用される固体潤滑剤としては、四ふっ化エチレン樹脂、インジウム、鉛、錫等の軟質金属、ワックスを配合した固体潤滑剤が挙げられる。特に、四ふっ化エチレン樹脂、鉛及びワックスを配合した固体潤滑剤が広く使用されている。この固体潤滑剤は、高荷重条件下において摩擦係数がきわめて低く、また被膜の形成能に優れ、該被膜の寿命も長く、さらに被膜の自己補修性にも優れているという利点を有しているものである。
しかしながら、近年の機械装置の大型化、高性能化に伴い、このような固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材には、さらなる負荷能力、摩擦摩耗特性の向上等が要求されている。また、別の観点では、近年、材料開発の動向は環境問題への配慮から環境負荷物質である鉛を含有しない方向に進んでおり、この開発動向は上記固体潤滑剤においても例外ではない。しかしながら、固体潤滑剤において、摩擦摩耗等の摺動特性を満足させる上で鉛は重要な構成成分である。とくに、軸受等の摺動部材の摺動面に形成された凹部、孔又は溝に埋め込んで高荷重条件下で使用する場合は、被膜形成能の点からも鉛は重要である。
鉛を含有しない摺動部材として、メラミンとイソシアヌル酸との付加物を含有する樹脂を成形してなる摺動部材が例示されている(特許文献1所載)。しかしながら、このメラミンとイソシアヌル酸との付加物を含有する樹脂を成形してなる摺動部材組成物を固体潤滑剤として使用した場合、高荷重条件下における摩擦係数が充分とは言えない。このため、上記した環境問題を解決することができ、かつ鉛を含有することなく高荷重条件下で充分な摩擦摩耗等の摺動特性を発揮する固体潤滑剤の提供が望まれている。
本発明は前記諸点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高荷重条件下での使用においても、従来の鉛を含有する固体潤滑剤よりも優れた摺動特性を発揮し得る鉛を含有しない固体潤滑剤及び該固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材を提供することにある。
本発明の第一の要旨は、摺動部材基体の摺動面に形成された凹部、孔又は溝に埋め込まれる固体潤滑剤であって、カーボンブラック5〜15重量%と炭化水素系ワックス10〜20重量%と芳香族ポリアミド樹脂粉末1〜5重量%と炭化水素油10〜20重量%と残部常温硬化型エポキシ樹脂とからなることを特徴とする固体潤滑剤に存する。
本発明の第二の要旨は、摺動部材基体の摺動面に形成された凹部、孔又は溝に、上記固体潤滑剤を埋め込んで成る摺動部材に存する。
本発明によれば、環境負荷物質である鉛を含有しない固体潤滑剤であって、高荷重条件下での使用においても当該鉛を含有する固体潤滑剤よりも優れた摺動特性を発揮し、しかも摺動部材基体の摺動面に形成された凹部、孔又は溝に埋め込んで使用されるのに好適な固体潤滑剤が提供される。
以下、本発明を更に詳細に説明する。先ず、固体潤滑剤について述べる。
カーボンブラックは、固体潤滑剤を補強する効果を発揮すると共に後述する炭化水素油を吸収保持する保持体としての役割を発揮する。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ガスファーネスブラック等が挙げられる。特に、一次粒子径が約20nm、DBP吸油量が約100ml/100g、比表面積が約110m/gを有しているものが好ましい。具体的には、旭カーボン社製の「SUNBLACK X15(商品名)」、三菱化学社製の「MA100(商品名)」が好ましいものとして例示される。そして、カーボンブラックの配合量は、5〜15重量%、好ましくは10〜15重量%である。配合量が5重量%未満では、固体潤滑剤の補強効果が充分発揮されず、また15重量%を超えた場合は、固体潤滑剤の流動性を損ない、摺動部材基体の凹部、孔又は溝への固体潤滑剤の充填作業性を悪化させる虞がある。
炭化水素系ワックスは、固体潤滑剤に低摩擦性を付与すると共に前記カーボンブラックと同様、後述する炭化水素油を吸収保持する保持体としての役割を発揮する。炭化水素系ワックスとしては、炭素数がおおむね24以上のパラフィン系ワックス、炭素数がおおむね26以上のオレフィン系ワックス、炭素数がおおむね28以上のアルキルベンゼン及びマイクロクリスタリンワックスのうちの少なくとも一つから選択される。具体的には、日本精蝋社製のパラフィンワックス「150(商品名)」、クラリアントジャパン社製のポリエチレンワックス「リコワックスPE520(商品名)」、日本精蝋社製のマイクロクリスタリンワックス「Hi−Mic−1080(商品名)」、日興ファインプロダクツ社製のポリエチレンワックスとパラフィンワックスとの混合物「ゴデスワックス(商品名)」等が挙げられる。そして、炭化水素系ワックスの配合量は、10〜20重量%、好ましくは15〜20重量%である。配合量が10重量%未満では、固体潤滑剤に低摩擦性を充分付与し得ず、また20重量%を超えて配合すると摺動部材基体に形成された凹部、孔又は溝への固体潤滑剤の接合力を低下させる虞がある。
芳香族ポリアミド樹脂粉末は、固体潤滑剤に耐摩耗性を付与する効果を発揮する。芳香族ポリアミド樹脂粉末としては、メタフェニレンジアミンとイソフタル酸クロライドとを縮合重合して得られるメタフェニレンイソフタルアミドの粉末で、例えば帝人社製の「コーネックス」等が挙げられる。そして、芳香族ポリアミド樹脂粉末の配合量は、1〜5重量%、好ましくは3〜5重量%である。配合量が1重量%未満では固体潤滑剤に耐摩耗性を充分付与することができず、また配合量が5重量%を超えると、固体潤滑剤の低摩擦性を損なうばかりでなく固体潤滑剤の流動性を損ない、摺動部材基体の凹部、孔又は溝への充填作業性を悪化させる虞がある。
炭化水素油は、固体潤滑剤に低摩擦性を付与するものであり、その潤滑形態としては、固体潤滑剤が埋め込まれた摺動部材と相手材(軸等)との摺動時に発生する摩擦熱により固体潤滑剤から摺動面にスムーズに供給され、摺動面に介在して低摩擦性を与えるものである。炭化水素油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等の炭化水素系鉱油、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン等の炭化水素系合成油が挙げられる。具体的には、出光興産社製のパラフィン系オイル「ダイアナプロセスオイルPW(商品名)」、出光興産社製のナフテン系オイル「ダイアナプロセスオイルNS(商品名)」、三井化学社製のポリ−α−オレフィン「ルーカント(商品名)」、日本油脂社製のポリブテン「NAソルベント(商品名)」等が挙げられる。本発明で使用する炭化水素油としては、いわゆる基油のみの使用でもよく、この基油に潤滑油の添加剤として一般に用いられる酸化防止剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、摩擦調整剤・油性剤、摩耗防止剤・極圧剤、防錆剤等を配合したものも使用し得る。そして、炭化水素油の配合量は、前記カーボンブラック及び炭化水素系ワックスに吸収保持されることから比較的多量の配合が可能であり、10〜20重量%、好ましくは15〜20重量%である。配合量が10重量%未満では、固体潤滑剤への低摩擦性の付与が充分でなく、また配合量が20重量%を超えると、成形時に流出(ブリードアウト)すると共に固体潤滑剤の保形性を低下させる虞がある。
常温硬化型エポキシ樹脂は、前記カーボンブラック、炭化水素系ワックス、芳香族ポリアミド樹脂粉末及び炭化水素油の各成分同志を接合する接合剤の役割と固体潤滑剤を凹部、孔又は溝において摺動部材基体に接合させる接合剤の役割を担うものである。具体的には、常温硬化型の二液性エポキシ樹脂であるレジナス化成社製の「レジナスボンド(商品名)」を挙げることができる。そして、常温硬化型エポキシ樹脂の配合量は、40〜55重量%、好ましくは45〜55重量%である。配合量が40重量%未満では、上記接合剤としての役割が充分発揮されず、また配合量が55重量%を超えると、固体潤滑剤を凹部、孔又は溝において摺動部材基体に接合させる接合剤としての役割は高まる反面、潤滑に寄与しないエポキシ樹脂が固体潤滑剤の表面に露出する割合が多くなりすぎ、前記炭化水素系ワックス及び炭化水素油の低摩擦性の効果を失わせることになる。
本発明の固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材は、次のようにして形成される。上記の各成分を所定量計量し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル、ダンブラー等の混合機に投入し、各成分を混合して固体潤滑剤混練物を作製する。固体潤滑剤混練物を作製した後、この混練物を凹部、孔又は溝が形成された摺動部材基体に供給する。ついで、所定の圧力を加え該混練物を摺動部材基体の凹部、孔又は溝に充填すると共に所定時間放置して混練物の成分中のエポキシ樹脂の硬化を生じさせ、この硬化でもって該凹部、孔又は溝に充填された該混練物を摺動部材基体に接合固定させることにより、固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材を形成する。
摺動部材基体としては、高力黄銅等の銅合金又は繊維織布強化熱硬化性合成樹脂の積層体が使用されて好適であり、これらを用いた摺動部材は、平板の形態あるいは円筒状ブッシュの形態で形成される。
図1及び図2において、本例の固体潤滑剤5を埋め込んだ摺動部材1は、平板の形態をなすものであり、繊維織布強化熱硬化性合成樹脂の積層体からなる摺動部材基体2と該摺動部材基体2の一方の表面3に該表面3に開口して形成された複数個の円柱状の凹部4と該凹部4に充填保持された固体潤滑剤5とからなる。
前記摺動部材基体2は、図3に示す製造装置によって作製される。図3に示す製造装置において、アンコイラ6に巻かれた繊維織布からなる補強基材7は、送りローラ8によって熱硬化性合成樹脂ワニス9を貯えた容器10に送られ、容器10内に設けられた案内ローラ11及び12によって容器10内に貯えられた熱硬化性合成樹脂ワニス9内を通過せしめられることにより、該補強基材7の表面に該熱硬化性合成樹脂ワニス9が塗工される。ついで、熱硬化性合成樹脂ワニス9が塗工された補強基材7は送りローラ13によって圧縮ローラ14及び15に送られ、該圧縮ローラ14及び15によって補強基材7の表面に塗工された熱硬化性合成樹脂ワニス9が繊維組織間隙にまで含浸せしめられる。そして、熱硬化性合成樹脂ワニス9が含浸塗布された補強基材7に対して乾燥炉16内で溶剤を逸散させると同時に樹脂の反応が進められ、これにより成形可能なプリプレグ(樹脂加工基材)17が作製される。このようにして作製されたプリプレグ17を図4に示すように所望の寸法に切断してこれを複数枚重ね合わせて積層にした後、積層方向に加熱加圧成形して繊維織布強化熱硬化性合成樹脂の積層体からなる摺動部材基体2が作製される。
図5に示す摺動部材1aは、円筒状ブッシュの形態をなすものであり、本例の固体潤滑剤5を埋め込んだ摺動部材1aは、繊維織布強化熱硬化性合成樹脂の積層体からなる円筒状の摺動部材基体2aと該摺動部材基体2aの内周面3aに長手方向に沿って配列されて形成された複数個のリング状の溝4aと該溝4aに充填保持された固体潤滑剤5とからなる。
円筒状の摺動部材基体2aは、図6に示す製造装置によって作製される。図6に示す製造装置において、二本の加熱ローラ18と一本の加圧ローラ19とを夫々三角形の頂点に位置するように配置し、その真ん中に芯型20を置いて、この芯型20にアンコイラ21に巻かれた前記と同様のプリプレグ17を巻き付け、芯型20を一定方向に駆動回転せしめ、前記二本の加熱ローラ18と一本の加圧ローラ19とによって加熱、加圧しながら円筒状の摺動部材基体2aが作製される。
摺動部材基体2及び2aに用いられる繊維織布としては、ガラス繊維布及び炭素繊維布等の無機繊維布又は綿布、アラミド繊維布、ポリエステル繊維布及び木綿とポリエステル繊維の混紡織布等の有機繊維布等が好適に使用される。また、熱硬化性合成樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が好適に使用され、これら熱硬化性合成樹脂の揮発性溶剤としては、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン等の使用する熱硬化性合成樹脂によって適宜選択される。そして、熱硬化性合成樹脂を揮発性溶剤に溶かして形成される熱硬化性合成樹脂ワニスの固形分は、おおむね30〜65重量%であり、熱硬化性合成樹脂ワニスの粘度は、おおむね800〜5000cP、就中1000〜4000cPが好ましい。
平板の形態をなす図1に示す摺動部材基体2の一方の表面3には、その積層方向(厚さ方向)に凹んだ複数個の凹部4が形成される。この凹部4は、摺動部材基体2の表面3の面積に占める凹部4の開口部の面積の総和が20〜30%の割合となるように形成される。この凹部4は、前記固体潤滑剤5を充填保持するものであり、固体潤滑剤5の低摩擦性等の摩擦特性を良好に発揮させるためには、摺動部材基体2の表面3の面積に占める凹部4の開口部の面積の総和が少なくとも20%必要とされる。しかしながら、摺動部材基体2の表面3の面積に占める凹部4の開口部の面積の総和が30%を超えると摺動部材基体2の強度低下を来すことになる。
円筒状ブッシュの形態をなす図5に示す摺動部材基体2aの内周面3aには、その長手方向に沿って配列された複数個のリング状の溝4aが形成される。この溝4aは、前記と同様、摺動部材基体2aの内周面3aの面積に占めるリング溝4aの開口部の面積の総和が20〜30%の割合となるように形成される。
これら凹部4及び溝4aは、ドリル、バイト等を用いた穴明け加工あるいは切削加工によって形成されるが、その他の手段で形成してもよい。
図7及び図8に示す摺動部材1bは、銅合金からなる円筒状ブッシュの形態をなすものであり、本例の固体潤滑剤5を埋め込んだ摺動部材1bは、銅合金からなる円筒状の摺動部材基体2bと該摺動部材基体2bにその内周面3bで開口すると共にその肉厚方向に貫通して形成された複数個の円柱状の孔4bと該孔4bに充填保持された固体潤滑剤5とからなる。この孔4bは、ドリル等を用いた穴明け加工によって形成されるが、その他の手段で形成してもよい。
前記固体潤滑剤混練物は、摺動部材基体2、2a及び2bの凹部4、溝4a及び孔4bを含む摺動面としての表面3並びに内周面3a及び3bに所定量が供給され、該混練物に所定の圧力を加え該混練物を凹部4、溝4a及び孔4bに充填するとともに、常温(25℃)で所定時間放置することにより、摺動部材基体2、2a及び2bの表面3並びに内周面3a及び3bに形成された凹部4、溝4a及び孔4bにそれぞれ充填される。
このようにして、摺動部材基体2、2a及び2bと、該摺動部材基体2、2a及び2bに形成された複数個の凹部4、溝4a及び孔4bと、該凹部4、溝4a及び孔4bに充填保持された固体潤滑剤5とからなる摺動部材1、1a及び1bが作製される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔摺動部材基体の作製〕
摺動部材基体I
高力黄銅鋳物4種(JIS−H−5120)を準備し、機械加工により直径60mm、厚さ10.5mmの円板に形成した後、一方の表面に直径8mm、深さ1mmの円柱状の凹部を12個形成(円板の表面の面積に占める凹部の開口部の面積の総和は21%)し、これを摺動部材基体Iとした。
繊維織布として平織り綿布を準備し、該綿布を送りローラにて、樹脂固形分64.5重量%のフェノール樹脂ワニスを貯えた容器内を通過させて、該綿布の表面に樹脂ワニスを塗工し、圧縮ロールによって綿布の表面に塗工された樹脂ワニスを繊維組織間隙にまで含浸せしめたのち、乾燥炉内で溶剤を飛ばすと同時に樹脂の反応を進めプリプレグ(樹脂加工綿布)を得た。このプリプレグを直径60mmの円形状に切断し、これを8枚重ね合わせたプリプレグに、厚さ方向に成形圧力70kgf/cm、成形温度160℃、成形時間10分間の条件で加熱加圧成形し、積層体(積層体の厚さ10.5mm)を得た。
この積層体の一方の表面に直径8mm、深さ1mmの円柱状の凹部を12個形成(円板の表面の面積に占める凹部の開口部の面積の総和は21%)し、これを摺動部材基体IIとした。
〔固体潤滑剤の作製〕
カーボンブラックとして旭カーボン社製の「SUNBLACK X15(商品名)」5〜15重量%と、炭化水素系ワックスとして日興ファインプロダクツ社製の「ゴデスワックス(商品名)」10〜20重量%と、芳香族ポリアミド樹脂粉末として帝人社製の「コーネックス(商品名)」5重量%と、炭化水素油として出光興産社製のパラフィン系オイル「PW−90(商品名)」及び「PW−380(商品名)」の合量10〜20重量%と、常温硬化型エポキシ樹脂(常温硬化型二液性エポキシ樹脂)としてレジナス化成社製「レジナスボンド(商品名)」40〜55重量%とをヘンシェルミキサーに投入し、混合して固体潤滑剤混練物を作製した。
実施例1〜6
表面に12個の円柱状の凹部を備えた摺動部材基体I及びIIの夫々に固体潤滑剤混練物を供給したのち、摺動部材基体と固体潤滑剤混練物とに所定の圧力をかけ、室温に放置して固体潤滑剤混練物中のエポキシ樹脂を硬化させ、該摺動部材基体I及びIIの夫々の凹部に固体潤滑剤を充填保持し、これを摺動部材I及びIIとした。表1及び表2に固体潤滑剤の成分組成(重量%)を示す。
Figure 0005055841
Figure 0005055841
比較例
四ふっ化エチレン樹脂粉末(三井・デュポンフロロケミカル社製の「テフロン(登録商標)7A−J(商品名)」)とアトマイズ鉛粉末とを混合撹拌して混合物を得、この混合物をプレス成形機により加圧成形し、直径8mm、長さ3mmの円柱状固体潤滑剤を作製し、この円柱状固体潤滑剤を潤滑油(モービル社製の「DTEエキストラヘビーオイル(商品名)」)の入った油槽に浸漬して潤滑油を含浸させ、含油固体潤滑剤を作製した(四ふっ化エチレン樹脂18.8重量%、鉛79.6重量%、潤滑油1.6重量%)。この含油固体潤滑剤を前記と同様の積層体からなる摺動部材基体の表面に形成された孔に充填し、これを摺動部材とした。
つぎに、上記実施例1〜6からなる摺動部材及び比較例からなる摺動部材について、スラスト試験にて摩擦性能を試験した。試験条件を表3に示す。
(表3)
面 圧:19.6N/mm (200kgf/cm
速 度:(1)3cm/sec、(2)10cm/sec、(3)20cm/sec
(4)50cm/sec
ストローク:±50mm
時 間:各10ストローク
相手材:SUS304
潤 滑:無潤滑
試験方法:二軸試験機の台上に相手材を固定し、該相手材に摺動部材の固体潤滑剤の充填側を摺動自在に接触させると共に、該摺動部材に面圧が19.6N/mmとなるように荷重を加え、相手材側に加振(±50mm)を行った。
試験結果(摩擦係数)を表4及び表5に示す。なお、表4及び表5において、Iは、摺動部材Iの試験結果を示し、IIは、摺動部材IIの試験結果を示す。
Figure 0005055841
Figure 0005055841
以上の試験結果から明らかなように、実施例1〜6の成分組成の固体潤滑剤を埋め込んで成る摺動部材I及びIIは、高荷重条件下において、比較例に示す鉛を含有する固体潤滑剤を埋め込んで成る摺動部材に比して低い摩擦係数を示した。摺動部材I及びIIにおいては、相手材との摺動によって生じる摩擦熱により、固体潤滑剤の成分中の炭化水素油が摺動面にスムースに供給されているのが確認され、この摺動面に供給された炭化水素油を介しての摺動に移行することにより低摩擦性を発揮したものと推察される。
以上のように、本発明によれば、高荷重条件下での使用においても、従来の鉛を含有する固体潤滑剤よりも優れた摺動特性を発揮し得る鉛を含有しない固体潤滑剤及び該固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材を提供することができる。
本発明の固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材の平面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1に示す摺動部材基体の製造工程を示す説明図である。 プリプレグの積層方法の説明斜視図である。 本発明の固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材の他の例の断面図である。 図5に示す摺動部材基体の製造工程を示す説明図である。 本発明の固体潤滑剤を埋め込んだ摺動部材の他の例の断面図である。 図7に示す摺動部材基体の断面図である。
符号の説明
1、1a、1b 摺動部材
2、2a、2b 摺動部材基体
4 凹部
4a 溝
4b 孔
5 固体潤滑剤

Claims (6)

  1. 摺動部材基体の摺動面に形成された凹部、孔又は溝に埋め込まれる固体潤滑剤であって、カーボンブラック5〜15重量%と炭化水素系ワックス10〜20重量%と芳香族ポリアミド樹脂粉末1〜5重量%と炭化水素油10〜20重量%と残部常温硬化型エポキシ樹脂とからなることを特徴とする固体潤滑剤。
  2. カーボンブラックは、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ガスファーネスブラックのうちの少なくとも一つから選択されたものである請求項1に記載の固体潤滑剤。
  3. 炭化水素系ワックスは、炭素数が24以上のパラフィン系ワックス、炭素数が26以上のオレフィン系ワックス、炭素数が28以上のアルキルベンゼン及びマイクロクリスタリンワックスのうちの少なくとも一つから選択されたものである請求項1又は2に記載の固体潤滑剤。
  4. 芳香族ポリアミド樹脂粉末は、メタフェニレンジアミンとイソフタル酸クロライドとを縮合重合して得られるメタフェニレンイソフタルアミドの粉末である請求項1から3のいずれか一項に記載の固体潤滑剤。
  5. 炭化水素油は、炭化水素系鉱油又は炭化水素系合成油である請求項1から4のいずれか一項に記載の固体潤滑剤。
  6. 摺動部材基体の摺動面に形成された凹部、孔又は溝に、請求項1から5のいずれか一項に記載の固体潤滑剤を埋め込んでなる摺動部材。
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