JP5053332B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記した回路構成を採用する場合には、下記の(1)〜(3)に示すデメリットがあることが指摘されていた。
(1)マスター機となるユニットの共振コンデンサ容量のみを減少させ、共振周波数を 高くするため、マスター機の共振コンデンサとスレーブ機の共振コンデンサを同 一の構成とするができないので、誘導加熱装置に用いる全てのユニットを共通化 することができない、
(2)それぞれのユニットに接続される負荷(加熱コイルとワーク)の不規則な負荷変 動により、マスター機の共振周波数よりスレーブ動作するスレーブ機の共振周波 数の方が高くなり、キャパシタンス性(C性)駆動となる恐れがあり、スレーブ 機のインバータ回路のトランジスタ損失が増大し、場合によってはトランジスタ 破壊につながる可能性がある、
(3)安全を考慮して、スレーブ機となる共振回路よりマスター機となる共振回路の共 振点をずらしすぎると、スレーブ機の出力のバラツキの要因となる、
というデメリットがあった。
なお、本願出願人の調査によれば、本発明に類似した発明として特許文献1として提示する特開2009−32498号公報に開示された発明を発見した。
(1)誘導加熱装置に用いる全てのインバータ回路と共振コンデンサとよりなるユニッ トを共通化することを可能にする、
(2)スレーブ動作するインバータ回路において、トランジスタ損失を増大させること なく、トランジスタ破壊につながる可能性を排除する、
(3)スレーブ動作するインバータ回路の出力のバラツキを抑止する、
ことができるようにした誘導加熱装置を提供しようとするものである。
即ち、上記において説明したように、それぞれのインバータ回路によって高周波電力をそれぞれ印加される加熱コイルを複数近接して配置した誘導加熱装置においては、接近して配置された複数の加熱コイルに同時に高周波電力を印加した場合には、各加熱コイル間で相互干渉の影響を受けやすい。
また、本発明は、直列共振型のインバータ回路を用いた誘導加熱装置にのみ適用されるものではなく、並列共振型のインバータ回路を用いた誘導加熱装置にも適用することができるのは勿論である。
上記したような本発明は、それぞれのインバータ回路と上記それぞれのインバータ回路にそれぞれ接続された共振コンデンサとよりなるユニットを複数備え、上記複数のユニットのそれぞれのインバータ回路によって高周波電力をそれぞれ印加される加熱コイルを複数近接して配置して構成された誘導加熱装置において、それぞれのインバータ回路からそれぞれ出力される高周波交流電流の位相を検出し、上記それぞれのインバータ回路の共振周波数よりも高い周波数から周波数スイープを開始し、上記それぞれのインバータ回路と上記それぞれのインバータ回路にそれぞれ接続された共振コンデンサとよりなるユニットのなかで最初に共振点または共振点近傍に到達するユニットを選択し、上記選択したユニットの共振周波数と同一のスイッチング周波数で上記選択したユニットを除くユニットのインバータ回路を駆動するようにしたものである。
(1)誘導加熱装置に用いる全てのインバータ回路と共振コンデンサとよりなるユニッ トを共通化することが可能になる、
(2)スレーブ動作するインバータ回路において、トランジスタ損失を増大させること なく、トランジスタ破壊につながる可能性を排除することが可能になる、
(3)スレーブ動作するインバータ回路の出力のバラツキを抑止することが可能になる
、
という優れた効果を奏する。
ここで、図1には本発明の実施の形態の一例による誘導加熱装置の回路ブロック構成説明図が示されている。
より詳細には、誘導加熱装置10は、交流電源16a、16b、16cからそれぞれ供給された交流電力を直流電力に変換して出力する整流器18a、18b、18cと、整流器18a、18b、18cからそれぞれ出力される直流電力をそれぞれ入力して高周波交流電力に逆変換して出力する直列共振型のインバータ回路12a、12b、12cと、インバータ回路12a、12b、12cからそれぞれ出力される高周波交流電力をそれぞれ印加される加熱コイル14a、14b、14cと、インバータ回路12a、12b、12cと加熱コイル14a、14b、14cとにそれぞれ接続された共振コンデンサ20a、20b、20cと、インバータ回路12a、12b、12cからそれぞれ出力される高周波交流電流の位相を示す位相信号を検出して比較する位相比較回路22と、位相比較回路22の比較結果に基づいてインバータ回路12a、12b、12cを駆動するスイッチング周波数を制御する駆動信号を出力する駆動回路24と、位相比較回路22の比較結果を表示する表示手段としての表示回路26とを有して構成されている。
なお、誘導加熱装置10においては、インバータ回路12aと共振コンデンサ20aとによりユニット1が構成され、また、インバータ回路12bと共振コンデンサ20bとによりユニット2が構成され、また、インバータ回路12cと共振コンデンサ20cとによりユニット3が構成されている。
ここで、自動追尾選択回路を構成する位相検出比較回路22は、インバータ回路12a、12b、12cからそれぞれ出力される高周波交流電流の位相を検出し、ユニット1、2、3の共振周波数よりも高い周波数から周波数スイープを開始し、ユニット1、2、3のなかで最初に共振点(共振周波数)または共振点近傍に到達するユニットをマスター機として選択する。
そして、自動追尾選択回路を構成する駆動回路24は、位相検出比較回路22から出力されたマスター機を示す情報であるマスター機信号に基づいて、当該マスター機のインバータ回路の共振周波数と同一のスイッチング周波数でインバータ回路12a、12b、12cを駆動する駆動信号を出力する。
以上の構成において、誘導加熱装置10は、交流電源16a、16b、16cから供給された交流電力を整流器18a、18b、18cで直流電力に変換し、直流電力をインバータ回路12a、12b、12cで高周波交流電力に逆変換し、高周波交流電力を加熱コイル14a、14b、14cに供給するようになされている。
ここで、誘導加熱装置10においては、加熱コイル14a、14b、14cに高周波交流電力をそれぞれ印加開始する際の加熱オンの最初に、位相検出比較回路22がインバータ回路12a、12b、12cからそれぞれ出力される高周波交流電流の位相を検出し、図2に示すように、位相検出比較回路22はユニット1、2、3の共振周波数よりも高い周波数から周波数スイープを開始し、ユニット1、2、3のなかで最初に共振点(共振周波数)または共振点近傍に到達するユニットをマスター機として自動選択する。
また、位相検出比較回路22がマスター機を自動選択すると、位相検出比較回路22は表示回路26に対してもマスター機を示す情報であるマスター機信号を出力する。
そして、上記のようにして、加熱コイル14a、14b、14cに高周波交流電力をそれぞれ印加開始する際の加熱オンの最初にマスター機を選択した後は、所定の時間間隔で位相検出比較回路22がマスター機を自動追尾自動選択する。
ところで、上記において説明した誘導加熱装置10において、加熱コイル14a、14b、14cによる加熱中の負荷変動により回路条件が変化した場合には、例えば、マスター機として選択していたユニットの共振周波数が、負荷変動によりスレーブ機の共振周波数より低下する場合がある。
なお、上記において説明した誘導加熱装置10においては、加熱オンの最初、即ち、加熱の初回のみ共振周波数より高い周波数からスイープを開始したが、所定の時間間隔毎にスイープを行い、スイープ毎にマスター機を選択するようにしてもよい。
また、上記したスイープに伴うマスター機の選択動作は、何らかの異常で誘導加熱装置10がアラーム停止(装置保護のための自動的な動作停止)したときに、実施するようにしてもよい。
また、上記において説明した誘導加熱装置10においては、複数のスレーブ機とマスター機とは同一共振回路ではないため、周波数は同じでも必ずしも同一の出力とはならない(図4を参照する。)。
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(4)に示すように変形することができるものである。
12a、12b、12c インバータ回路
14a、14b、14c 加熱コイル
16a、16b、16c 交流電源
18a、18b、18c 整流器
20a、20b、20c 共振コンデンサ
22 位相比較回路
24 駆動回路
26 表示回路
Claims (6)
- それぞれのインバータ回路と前記それぞれのインバータ回路にそれぞれ接続された共振コンデンサとよりなるユニットを複数備え、前記複数のユニットのそれぞれのインバータ回路によって高周波電力をそれぞれ印加される加熱コイルを複数近接して配置して構成された誘導加熱装置において、
それぞれのインバータ回路からそれぞれ出力される高周波交流電流の位相を検出し、
前記それぞれのインバータ回路の共振周波数よりも高い周波数から周波数スイープを開始し、
前記それぞれのインバータ回路と前記それぞれのインバータ回路にそれぞれ接続された共振コンデンサとよりなるユニットのなかで最初に共振点または共振点近傍に到達するユニットを選択し、
前記選択したユニットの共振周波数と同一のスイッチング周波数で前記選択したユニットを除くユニットのインバータ回路を駆動する
ことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1に記載の誘導加熱装置において、
所定の時間間隔毎に前記周波数スイープを行い、
前記周波数スイープ毎に、前記それぞれのインバータ回路と前記それぞれのインバータ回路にそれぞれ接続された共振コンデンサとよりなるユニットのなかで最初に共振点または共振点近傍に到達するユニットを選択し、
前記選択したユニットの共振周波数と同一のスイッチング周波数で前記選択したユニットを除くユニットのインバータ回路を駆動する
ことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1または2のいずれか1項に記載の誘導加熱装置において、
前記選択したユニットを表示する表示手段を有する
ことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1、2または3のいずれか1項に記載の誘導加熱装置において、
前記選択したユニットの共振周波数の上限と下限とを検出し、
前記検出した上限と下限との少なくともいずれか一方が規定の範囲外となったときに動作停止する
ことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の誘導加熱装置において、
前記ユニットを前記ユニットの電流使用許容量または電圧使用許容量に対して90%以下で使用する
ことを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1、2、3、4または5のいずれか1項に記載の誘導加熱装置において、
前記それぞれのインバータ回路は、直列共振型のインバータ回路または並列共振型のインバータ回路のいずれか一方である
ことを特徴とする誘導加熱装置。
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