JP5052674B2 - 回転振動型ジャイロ - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(micro electro mechanical system)センサにおける回転振動型の角速度センサである回転振動型ジャイロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転振動型ジャイロとして、円環形状の質量部の内側に駆動電極を配置したものが知られている(特許文献1参照)。この回転振動型ジャイロは、基板上に突設した固定部(アンカー)と、固定部に支持された平板円形形状の質量部(駆動錘および検出錘)と、固定部と質量部とを連結する放射状の質量支持部(支持ばね)と、質量部を回転振動させる駆動電極と、質量部に対面する4つの検出電極と、を備えている。駆動電極に電圧を印加して質量部を回転振動させた状態で、X軸回りの角速度が作用する(角速度運動)と、コリオリ力が励起されて質量部が、Y軸を中心にシーソー様に振動する。この振動により、質量部と検出電極との間で静電容量が変化し、この変化に基づいて角速度を検出するようになっている。
【特許文献1】
特開2000−180177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の回転振動型ジャイロでは、例えばX軸回りの角速度を受けたときに、質量部がコリオリ力でY軸を中心にシーソー様に振動するが、質量部が円環形状に一体に形成されているため、この振動時にY軸方向の検出電極と質量部との間の静電容量も変化してしまう。このため、検出軸方向の検出感度が他軸方向の検出感度の影響を受け、結局、検出感度が低下して角速度を精度良く検出することができない問題があった。
【0004】
本発明は、検出軸方向の検出感度に対する他軸方向の検出感度の影響を排除することができる回転振動型ジャイロを提供することをその課題としている。
課題を解決するための手段
【0005】
本発明の回転振動型ジャイロは、任意の1の方向に延在する軸をX軸としX軸に直交する軸をY軸としたときのXY平面内に配設された、平板環状の駆動錘と、 駆動錘を、その中心であってXY平面に直交するZ軸回りに回転振動させる駆動電極と、駆動錘の内側に配設され、駆動錘で発生したコリオリ力により駆動錘と共に振動する平板状の一対のX軸分割検出錘および駆動錘で発生したコリオリ力により駆動錘と共に各X軸分割検出錘とは独立して振動する平板状の一対のY軸分割検出錘から成る検出錘と、検出錘の内側に位置して基板上に突設され、検出錘を支持し、かつ検出錘を介して駆動錘を支持する単一のアンカーと、アンカーと各X軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する各X軸分割検出錘のヒンジとして機能する一対のX軸錘支持ばね、およびアンカーと各Y軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する各Y軸分割検出錘のヒンジとして機能する一対のY軸錘支持ばねと、回転振動の吸収機能およびコリオリ力の伝達機能を有し、駆動錘と各X軸分割検出錘とを連結する一対のX軸錘連結ばね、および回転振動の吸収機能およびコリオリ力の伝達機能を有し、駆動錘と各Y軸分割検出錘とを連結する一対のY軸錘連結ばねと、振動する一対のX軸分割検出錘の変位を検出する一対のX軸検出電極、および/または振動する一対のY軸分割検出錘の変位を検出する一対のY軸検出電極と、を備え、各X軸分割検出錘、各X軸錘連結ばねおよび各X軸検出電極は、X軸に沿って配設され、各Y軸分割検出錘、各Y軸錘連結ばねおよび各Y軸検出電極は、Y軸に沿って配設されていることを特徴とする。
[0006]
この構成によれば、回転振動の吸収機能およびコリオリ力の伝達機能を有する一対のX軸錘連結ばねおよび一対のY軸錘連結ばねにより、駆動錘と検出錘とが振動的に分離され、且つ検出錘が相互に独立した一対のX軸分割検出錘および一対のY軸分割検出錘で構成されている。このため、コリオリ力で振動する検出錘は駆動錘の回転振動の影響を受けることがなく、また一対のX軸分割検出錘および一対のY軸分割検出錘は、コリオリ力で振動する際に相互に他方の影響を受けることがない。すなわち、一方の分割検出錘の検出感度が他方の分割検出錘の検出感度に影響を与えることがなく、角速度を精度良く検出することができる。また、X軸分割検出錘およびY軸分割検出錘は、それぞれ独立の一対のもので構成され、且つそれぞれ錘支持ばねで支持されているため、検出感度を損なうことなく簡単に形成することができる。さらに、検出電極の数を増減することにより、1軸の角速度センサ(ジャイロ)と2軸の角速度センサ(ジャイロ)とを簡単に作り分けることができる。
【0007】
この場合、各X軸錘支持ばねは、Y軸に平行に延在する捻り棒ばねで構成され、各Y軸錘支持ばねは、X軸に平行に延在する捻り棒ばねで構成されていることが好ましい。
【0009】
上記の回転振動型ジャイロにおいて、各X軸錘支持ばねおよび各Y軸錘支持ばねは、検出錘より薄手に形成された板ばねでそれぞれ構成されていることが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、別個独立の各X軸錘支持ばねおよび各Y軸錘支持ばねを、それぞれ適切に振動させることができると共に、これらをコンパクトに形成することができる。
【0011】
一方、各X軸分割検出錘および各Y軸分割検出錘は、いずれも平板扇状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、全体(駆動錘)に対し、各X軸分割検出錘および各Y軸分割検出錘の面積(可動検出電極の面積)を可能な限り大きくすることができ、検出感度を高めることができる。
【0012】
また、アンカーは、一対のX軸分割検出錘および一対のY軸分割検出錘の内側に配設され、各X軸錘支持ばねは、アンカーからY軸に平行に延びる一対の捻り棒ばねで構成され、各Y軸錘支持ばねは、アンカーからX軸に平行に延びる一対の捻り棒ばねで構成されていることが好ましい。
【0013】
これらの構成によれば、各X軸錘支持ばねおよび各Y軸錘支持ばねにより、分割構造の検出錘および駆動錘を適切に支持することができると共に、分割構造の検出錘が振動する際にストレスとなることがない。
【0014】
上記の回転振動型ジャイロにおいて、駆動錘における回転振動の共振周波数と、各X軸分割検出錘および各Y軸分割検出錘おける振動(検出方向)の共振周波数とが異なることが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、検出感度は低くなるものの、製造上のばらつきに基づく検出感度のばらつきを抑制することができる。
【0016】
本発明の他の回転振動型ジャイロは、任意の1の方向に延在する軸をX軸としX軸に直交する軸をY軸としたときのXY平面内に配設された、平板状の駆動錘と、駆動錘を、その中心であってXY平面に直交するZ軸回りに回転振動させる駆動電極と、駆動錘の外側に囲むように配設され、駆動錘で発生したコリオリ力により駆動錘と共に振動する平板扇状の一対のX軸分割検出錘および駆動錘で発生したコリオリ力により駆動錘と共に各X軸分割検出錘とは独立して振動する平板扇状の一対のY軸分割検出錘から成る検出錘と、検出錘の外側に位置して基板上に突設され、各X軸分割検出錘を支持し、かつ検出錘を介して駆動錘を支持する一対のX軸アンカー、および各Y軸分割検出錘を支持し、かつ検出錘を介して駆動錘を支持する一対のY軸アンカーと、アンカーと各X軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する各X軸分割検出錘のヒンジとして機能する一対のX軸錘支持ばね、およびアンカーと各Y軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する各Y軸分割検出錘のヒンジ軸として機能する一対のY軸錘支持ばねと、回転振動の吸収機能およびコリオリ力の伝達機能を有し、駆動錘と各X軸分割検出錘とを連結する一対のX軸錘連結ばね、および回転振動の吸収機能およびコリオリ力の伝達機能を有し、駆動錘と各Y軸分割検出錘とを連結する一対のY軸錘連結ばねと、 振動する一対のX軸分割検出錘の変位を検出する一対のX軸検出電極、および/または振動する一対のY軸分割検出錘の変位を検出する一対のY軸検出電極と、を備え、各X軸分割検出錘、各X軸アンカー、各X軸錘連結ばねおよび各X軸検出電極は、X軸に沿って配設され、各Y軸分割検出錘、各Y軸アンカー、各Y軸錘連結ばねおよび各Y軸検出電極は、Y軸に沿って配設されていることを特徴とする。
[0017]
この構成によれば、回転振動の吸収機能およびコリオリ力の伝達機能を有する一対のX軸錘連結ばねおよび一対のY軸錘連結ばねにより、駆動錘と検出錘とが振動的に分離され、且つ検出錘が相互に独立した一対のX軸分割検出錘および一対のY軸分割検出錘で構成されている。このため、コリオリ力で振動する検出錘は駆動錘の回転振動の影響を受けることがなく、また一対のX軸分割検出錘および一対のY軸分割検出錘は、コリオリ力で振動する際に相互に他方の影響を受けることがない。すなわち、一方の分割検出錘の検出感度が他方の分割検出錘の検出感度に影響を与えることがなく、角速度を精度良く検出することができる。また、X軸分割検出錘およびY軸分割検出錘は、それぞれ独立の一対のもので構成され、且つそれぞれ錘支持ばねで支持されているため、検出感度を損なうことなく簡単に形成することができる。さらに、検出電極の数により、1軸の角速度センサ(ジャイロ)と2軸の角速度センサ(ジャイロ)とを簡単に作り分けることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、検出錘が相互に独立した一対のX軸分割検出錘および一対のY軸分割検出錘で構成されているため、一方の分割検出錘の検出感度が他方の分割検出錘の検出感度に影響を与えることがない。したがって、いわゆる他軸感度を抑えることができ、それぞれの軸に対する角速度を精度良く検出することができる。さらに、駆動錘と検出錘とが振動的に分離されているため、検出錘が駆動錘の影響を受けることがなく、角速度を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る回転振動型ジャイロの平面図(a)および断面図(b)である。
【図2】第1実施形態の第1変形例に係る回転振動型ジャイロの平面図(a)および部分断面図(b)である。
【図3】第1実施形態の第2変形例に係る回転振動型ジャイロの平面図(a)および部分断面図(b)である。
【図4】第2実施形態に係る回転振動型ジャイロの平面図である。
【図5】第2実施形態の変形例に係る回転振動型ジャイロの平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 回転振動型ジャイロ 2 基板
3 駆動電極 4 駆動錘
5 検出錘 5A X軸分割検出錘
5B Y軸分割検出錘 6 アンカー
7A X軸錘支持ばね 7B Y軸錘支持ばね
8A X軸錘連結ばね 8B Y軸錘連結ばね
9A X軸検出電極 9B Y軸検出電極
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る回転振動型ジャイロについて説明する。この回転振動型ジャイロは、シリコン等を材料として微細加工技術により製造されるMEMS(micro electro mechanical system)センサにおける2軸の角速度センサであり、平面内において正逆の往復回転振動により駆動する。そして、実施形態のものは、例えば1mm角程度にパッケージングされ製品化されるようになっている。なお、ここでは、図面の左右方向を「X軸方向」、前後方向を「Y軸方向」、貫通方向を「Z軸方向」として説明を進める。
【0022】
図1に示すように、回転振動型ジャイロ1は、基板2上において、最外周に位置する複数組(実施形態のものは8組)の駆動電極3と、複数組の駆動電極3の内側に配設した平板円環状の駆動錘4と、駆動錘4の内側に配設され、平板扇状の一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび平板扇状の一対のY軸分割検出錘5B,5Bから成る検出錘5と、検出錘5の内側に配設した略方形のアンカー6と、アンカー6と各X軸分割検出錘5Aとの間に掛け渡された一対のX軸錘支持ばね7A,7Aおよびアンカー6と各Y軸分割検出錘5Bとの間に掛け渡された一対のY軸錘支持ばね7B,7Bと、駆動錘4と各X軸分割検出錘5Aとを連結する一対のX軸錘連結ばね8A,8Aおよび駆動錘4と各Y軸分割検出錘5Bとを連結する一対のY軸錘連結ばね8B,8Bと、振動する一対のX軸分割検出錘5A,5Aの変位を検出する一対のX軸検出電極9A,9A、および振動する一対のY軸分割検出錘5Bの変位を検出する一対のY軸検出電極9B,9Bと、を備えて構成されている。
【0023】
この場合、駆動錘4および検出錘(各支持ばね7A,7Bおよび各連結ばね8A,8Bも同じ)は、導電性の部材で構成され、後述する可動駆動電極12は駆動錘4の一部で構成され、可動検出電極23は検出錘5の一部で構成される。また、一対のX軸錘支持ばね7A,7Aおよび一対のY軸錘支持ばね7B,7Bと、アンカー6との接続形態は、駆動錘4および検出錘5を主体とする可動部がX軸、Y軸およびZ軸について対称となるように構成されている。すなわち、Z軸に関しては、回転振動型ジャイロ1(可動部)の重心がX・Y両支持ばね7A,7Bとアンカー6との軸心と重なり、且つX・Y平面に関しては、回転振動型ジャイロ1(可動部)の中心位置が重心と重なるように配置されている。これにより、例えば重力などの加速度の影響を受け難くなり、設置の自由度も向上させることができる。
【0024】
複数の駆動電極3は、駆動錘4の外側において周方向に例えば均等間隔で配置されている。 各駆動電極3は、基板2上に一体に形成した固定駆動電極11と、駆動錘4の一部として駆動錘4の外周端から径方向外方に延在するように設けた可動駆動電極12と、で構成されている。固定駆動電極11と可動駆動電極12とは、相互にくし歯の形態で対峙しており、これに交流電圧を印加することで、両電極間11,12に生ずる静電気力により駆動錘4がZ軸回りに回転振動する。
【0025】
駆動錘4はZ軸を中心とする平板円環状に形成され、また検出錘5は、平板扇状の一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび一対のY軸分割検出錘5B,5Bから成り、それぞれ外周が駆動錘4との間に僅かな間隙を存し、全体としてX−Y軸座標原点を通るZ軸を中心として円板上に形成されている。また、駆動錘4と検出錘5とは、同一平面上に位置し同一の厚みを有している。一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび一対のY軸分割検出錘5B,5Bは、90°の角度を為す全く同一の平板扇状に形成され、90°ピッチで配設されている。回転振動する駆動錘4が、X軸回りの角速度を受けると、発生するコリオリ力により駆動錘4と共に一対のX軸分割検出錘5A,5Aが一対のX軸錘支持ばね7A,7Aを中心にそれぞれ振動する。同様に、回転振動する駆動錘4が、Y軸回りの角速度を受けると、発生するコリオリ力により駆動錘4と共に一対のY軸分割検出錘5B,5Bが一対のY軸錘支持ばね7B,7Bを中心にそれぞれ振動する。
【0026】
一対のX軸錘連結ばね8A,8Aは、X軸上に対向配置されており、各X軸錘連結ばね8Aは、各X軸分割検出錘5Aに深く切り込んだ切欠き部14に内包されるように配設されている。同様に、一対のY軸錘連結ばね8B,8Bは、Y軸上に対向配置されており、各Y軸錘連結ばね8Bは、各Y軸分割検出錘5Bに深く切り込んだ切欠き部14に内包されるように配設されている。一対のX軸錘連結ばね8A,8Aおよび一対のY軸錘連結ばね8B,8Bは、全く同一の形態を有しており、それぞれ幅狭の断面矩形に形成され、駆動錘4の回転振動を吸収すると共に駆動錘4が受けるコリオリ力を検出錘5に伝達する。すなわち、一対のX軸錘連結ばね8A,8Aおよび一対のY軸錘連結ばね8B,8Bにより、駆動錘4の回転振動は検出錘5に伝達されないが、コリオリ力による振動は検出錘5に伝達されるようになっている。これにより、一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび一対のY軸分割検出錘5B,5Bは、駆動錘4の回転振動の影響を受けることなくコリオリ力によりそれぞれ振動する。
【0027】
アンカー6は、検出錘5の中心部位置に配設され、検出錘5より僅かに高くなるように基板2上に立設されている。この場合、アンカー6は、正方形のアンカー本体16と、アンカー本体16から対角方向外方に延在する4つのアンカー突部17と、で構成されている。そして、Y軸方向に並ぶ2組(計4つ)のアンカー突部17に、それぞれ対応するX軸錘支持ばね7Aを介してX軸分割検出錘5Aが支持され、またX軸方向に並ぶ2組(計4つ)のアンカー突部17に、それぞれ対応するY軸錘支持ばね7Bを介してY軸分割検出錘5Bが支持されている。
【0028】
各X軸錘支持ばね7Aは、Y軸方向に並ぶ2つのアンカー突部17,17の両側面間に渡すように配設されY軸方向に延在する捻り支持ばね18と、捻り支持ばね18の中間位置とX軸分割検出錘5Aの先端とを連結する連結片19と、で構成されている。同様に、各Y軸錘支持ばね7Bは、X軸方向に並ぶ2つのアンカー突部17,17の両側面間に渡すように配設されX軸方向に延在する捻り支持ばね18と、捻り支持ばね18の中間位置とY軸分割検出錘5Bの先端とを連結する連結片19と、で構成されている。各捻り支持ばね18は、上記の各連結ばね8A,8Bと同様に幅狭の断面矩形に形成され、検出錘5および駆動錘4を基板2から浮き上がった状態に支持すると共に、コリオリ力により振動する検出錘5のヒンジ軸として機能する。すなわち、各捻り支持ばね18は、いわゆるトーションばねとして機能する。これにより、コリオリ力を受けた各X軸分割検出錘5Aは、これを支持している捻り支持ばね(Y軸)18を中心に振動し、またY軸分割検出錘5Bは、これを支持している捻り支持ばね(X軸)18を中心に振動する。
【0029】
一対のX軸検出電極9A,9Aは、一対のX軸分割検出錘5Aにより構成された一対の可動検出電極23,23と、一対の可動検出電極23,23に対し微小間隙(但し、検出錘5の振幅より大きい)を存して対面する扇状の一対の固定検出電極24,24と、で構成されている。同様に、一対のY軸検出電極9B,9Bは、一対のY軸分割検出錘5Bにより構成された一対の可動検出電極23,23と、一対の可動検出電極23,23に対し微小間隙を存して対面する扇状の一対の固定検出電極24,24と、で構成されている。なお、各固定検出電極24は、基板2上に設けてもよいが、図示のように封止部材26の内面に設けてもよい。コリオリ力によりX軸分割検出錘5AまたはY軸分割検出錘5Bが振動すると、それぞれの可動検出電極23と固定検出電極24との間の静電容量が変化し、この変化に基づいて所望の角速度が検出される。
【0030】
ところで、このような回転振動型ジャイロ1では、駆動錘4における回転振動の共振周波数と、検出錘5の検出方向おける振動の共振周波数とを同一にすることで、検出感度を高めることができるが、実際の製造において共振周波数を同一にすることは、極めて難しいものとなる。そこで、本実施形態のものは、あえて駆動錘4における回転振動の共振周波数と、各X軸分割検出錘5Aおよび各Y軸分割検出錘5Bおける振動の共振周波数と、が異なるものとしている。これにより、いわゆる感度は低くなるものの、製造上のばらつきに基づく検出感度のばらつきを抑制することができ、且つ製品の歩留りを向上させることができる。特に、本実施形態のような、分割形態の検出錘5には特に有用となる。
【0031】
なお、本実施形態のように、一対の固定検出電極24,24をX軸方向とY軸方向とに設ければ、X軸方向およびY軸方向の2軸の回転振動型ジャイロ1が構成されることになるが、一対の固定検出電極24,24をX軸方向またはY軸方向に設ければ、1軸の回転振動型ジャイロ1が構成されることになる。すなわち、1軸のジャイロと2軸のジャイロとを簡単に作り分けることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、検出錘5が相互に独立した一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび一対のY軸分割検出錘5B,5Bで構成されているため、これら一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび一対のY軸分割検出錘5B,5Bは、コリオリ力で振動する際に相互に他方の影響を受けることがない。すなわち、一方の分割検出錘5の検出感度が他方の分割検出錘5の検出感度に影響を与えることがなく、角速度を精度良く検出することができる。また、X軸分割検出錘5AおよびY軸分割検出錘5Bは、それぞれ独立の一対のもので構成され、且つそれぞれ支持ばね7A,7Bで支持されているため、検出感度を損なうことなく簡単に形成することができる。また、各連結ばね8A,8Bにより、駆動錘4の回転振動を吸収するようにしているため、検出錘5がこの回転振動に基づくノイズの影響を受けることがなく、X軸回りおよびY軸回りの角速度の検出を精度良く行うことができる。
【0033】
次に、図2を参照して、上記の第1実施形態の第1変形例について説明する。なお、以降の変形例や他の実施形態については、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。この変形例では、アンカー6、X軸錘支持ばね7AおよびY軸錘支持ばね7Bが、第1実施形態のものと異なる構造となっている。
【0034】
この場合も、アンカー6は、検出錘5の中心部位置に配設され、検出錘5より僅かに高くなるように基板2上に立設されている。また、アンカー6は、正方形のアンカー本体16と、アンカー本体16からX軸方向外方に延在する一対のX軸アンカー突部17A,17Aと、アンカー本体16からY軸方向外方に延在する一対のY軸アンカー突部17B,17Bと、で構成されている。そして、各X軸アンカー突部17Aに、対応するX軸錘支持ばね7Aを介してX軸分割検出錘5Aが支持され、また各Y軸アンカー突部17Bに、対応するY軸錘支持ばね7Bを介してY軸分割検出錘5Bが支持されている。
【0035】
各X軸錘支持ばね7Aは、X軸アンカー突部17Aの両側面からY軸方向にそれぞれ延在する一対の捻り支持ばね18,18で構成されており、X軸分割検出錘5Aの内周側に形成した「U」字状切欠き部21の両側面に連結されている。同様に、各Y軸錘支持ばね7Bは、Y軸アンカー突部17Bの両側面からX軸方向にそれぞれ延在する一対の捻り支持ばね18,18で構成されており、Y軸分割検出錘5Bの内周側に形成した「U」字状切欠き部21の両側面に連結されている。そして、各捻り支持ばね18は、上記の各連結ばね8A,8Bと同様に幅狭の断面矩形に形成され、検出錘5および駆動錘4を基板2から浮き上がった状態に支持すると共に、コリオリ力により振動する検出錘5のヒンジ軸として機能する。すなわち、各捻り支持ばね18は、いわゆるトーションばねとして機能する。これにより、コリオリ力を受けた各X軸分割検出錘5Aは、これを支持している一対の捻り支持ばね(Y軸)18,18を中心に振動し、またY軸分割検出錘5Bは、これを支持している一対の捻り支持ばね(X軸)18,18を中心に振動する。
【0036】
次に、図3を参照して、上記の第1実施形態の第2変形例について説明する。この変形例では、各X軸錘支持ばね7Aおよび各Y軸錘支持ばね7Bが、それぞれアンカー6から十字状に延びる板ばねで構成されている。この場合、アンカー6は、Z軸上において正方形に形成され、X軸分割検出錘7Aの内側の端辺およびY軸分割検出錘7Bの内側の端辺は、対応するアンカー6の各辺に平行に形成されている。板ばねで構成された各X軸錘支持ばね7Aは、X軸分割検出錘5Aより十分に薄手に形成され、X軸分割検出錘5Aの厚み方向の中間位置に連結されている。同様に、各Y軸錘支持ばね7Bは、Y軸分割検出錘5Bより十分に薄手に形成され、Y軸分割検出錘5Bの厚み方向の中間位置に連結されている。
【0037】
これにより、各X軸錘支持ばね7Aおよび各Y軸錘支持ばね7Bをコンパクトに形成することができ、その分、X軸分割検出錘5AおよびY軸分割検出錘5Bを大きく形成することができる。なお、各X軸錘支持ばね7Aおよび各Y軸錘支持ばね7Bは、可能な限り薄く且つ幅広に形成することが、好ましい。
【0038】
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る回転振動型ジャイロ1について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の回転振動型ジャイロ1と異なり、外側に検出錘5が配設され内側に駆動錘4が配設されている。また、これに伴って、一対のX軸錘支持ばね7A,7Aおよび一対のY軸錘支持ばね7B,7Bを、検出錘5の外側に配設している。
【0039】
すなわち、この回転振動型ジャイロ1は、基板2上において、外周に位置し全体として略平板円環状を為す、平板扇状の一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび平板扇状の一対のY軸分割検出錘5B,5Bから成る検出錘5と、検出錘5の内側に配設した略円板状の駆動錘4と、X軸方向およびY軸方向と45°の角度を為して駆動錘4の外側に配設した4つの駆動電極3と、各X軸分割検出錘5Aの外周縁に形成した幅広切欠き部31に臨む一対のX軸アンカー6A,6AおよびY軸分割検出錘5Bの外周縁に形成した幅広切欠き部31に臨む一対のY軸アンカー6B,6Bと、各X軸アンカー6Aと各X軸分割検出錘5Aとの間に掛け渡した一対のX軸錘支持ばね7A,7Aおよび各Y軸アンカー6Bと各Y軸分割検出錘5Bとの間に掛け渡した一対のY軸錘支持ばね7B,7Bと、駆動錘4と各X軸分割検出錘5Aとを連結する一対のX軸錘連結ばね8A,8Aおよび駆動錘4と各Y軸分割検出錘5Bとを連結する一対のY軸錘連結ばね8B,8Bと、振動する一対のX軸分割検出錘5A,5Aの変位を検出する一対のX軸検出電極9A,9A、および振動する一対のY軸分割検出錘5B,5Bの変位を検出する一対のY軸検出電極9B,9Bと、を備えて構成されている。
【0040】
この場合も、一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび一対のY軸分割検出錘5B,5Bは、全く同一形態のもので構成されている。また、各X軸錘支持ばね7Aは、X軸アンカー6Aの両側面からY軸方向にそれぞれ延在する一対の捻り支持ばね(トーションばね)18,18で構成されており、X軸分割検出錘5Aの幅広切欠き部31の両側面に連結されている。同様に、各Y軸錘支持ばね7Bは、Y軸アンカー6Bの両側面からX軸方向にそれぞれ延在する一対の捻り支持ばね18,18で構成されており、Y軸分割検出錘5Bの幅広切欠き部31の両側面に連結されている。
【0041】
この実施形態にあっても、検出錘5が相互に独立した一対のX軸分割検出錘5A,5Aおよび一対のY軸分割検出錘5B,5Bで構成されているため、一方の分割検出錘5Aの検出感度が他方の分割検出錘5Bの検出感度に影響を与えることがなく、X軸回りおよびY軸回りの角速度を精度良く検出することができる。
【0042】
次に、図5を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。この変形例では、各X軸錘連結ばね8Aが、「T」字状に形成され、各X軸分割検出錘5Aに形成された「T」字状切欠き部33に内包されるように配設されている。そして、各X軸錘連結ばね8AのX軸分割検出錘5A側の直線部35は、X軸錘支持ばね7Aと平行に配設され、X軸分割検出錘5Aに対しトーションばねとして機能している。同様に、各Y軸錘連結ばね8Bが、「T」字状に形成され、各Y軸分割検出錘5Bに形成された「T」字状切欠き部33に内包されるように配設されている。そして、各Y軸錘連結ばね8BのY軸分割検出錘5B側の直線部35は、Y軸錘支持ばね7Bと平行に配設され、Y軸分割検出錘5Bに対しトーションばねとして機能している。
【0043】
これにより、コリオリ力により振動する各X軸分割検出錘5AおよびY軸分割検出錘5Bは、振動方向に十分な可とう性を持って支持され、この振動がX軸錘連結ばね8AおよびY軸錘連結ばね8Bにより、抑制されてしまうことがない。したがって、検出感度が損なわれることがなく、X軸回りおよびY軸回りの角速度を精度良く検出することができる。

Claims (7)

  1. 任意の1の方向に延在する軸をX軸としX軸に直交する軸をY軸としたときのXY平面内に配設された、平板環状の駆動錘と、
    前記駆動錘を、その中心であって前記XY平面に直交するZ軸回りに回転振動させる駆動電極と、
    前記駆動錘の内側に配設され、前記駆動錘で発生したコリオリ力により前記駆動錘と共に振動する平板状の一対のX軸分割検出錘および前記駆動錘で発生したコリオリ力により前記駆動錘と共に前記各X軸分割検出錘とは独立して振動する平板状の一対のY軸分割検出錘から成る検出錘と、
    前記検出錘の内側に位置して基板上に突設され、前記検出錘を支持し、かつ前記検出錘を介して前記駆動錘を支持する単一のアンカーと、
    前記アンカーと各X軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する前記各X軸分割検出錘のヒンジとして機能する一対のX軸錘支持ばね、および前記アンカーと各Y軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する前記各Y軸分割検出錘のヒンジとして機能する一対のY軸錘支持ばねと、
    前記回転振動の吸収機能および前記コリオリ力の伝達機能を有し、前記駆動錘と前記各X軸分割検出錘とを連結する一対のX軸錘連結ばね、および前記回転振動の吸収機能および前記コリオリ力の伝達機能を有し、前記駆動錘と前記各Y軸分割検出錘とを連結する一対のY軸錘連結ばねと、
    振動する前記一対のX軸分割検出錘の変位を検出する一対のX軸検出電極、および/または振動する前記一対のY軸分割検出錘の変位を検出する一対のY軸検出電極と、を備え、
    前記各X軸分割検出錘、前記各X軸錘連結ばねおよび前記各X軸検出電極は、X軸に沿って配設され、
    前記各Y軸分割検出錘、前記各Y軸錘連結ばねおよび前記各Y軸検出電極は、Y軸に沿って配設されていることを特徴とする回転振動型ジャイロ。
  2. 前記各X軸錘支持ばねは、Y軸に平行に延在する捻り棒ばねで構成され、
    前記各Y軸錘支持ばねは、X軸に平行に延在する捻り棒ばねで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転振動型ジャイロ。
  3. 前記各X軸錘支持ばねおよび前記各Y軸錘支持ばねは、前記検出錘より薄手に形成された板ばねでそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転振動型ジャイロ。
  4. 前記各X軸分割検出錘および前記各Y軸分割検出錘は、いずれも平板扇状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の回転振動型ジャイロ。
  5. 前記アンカーは、前記一対のX軸分割検出錘および前記一対のY軸分割検出錘の内側に配設され、
    前記各X軸錘支持ばねは、前記アンカーからY軸に平行に延びる一対の捻り棒ばねで構成され、
    前記各Y軸錘支持ばねは、前記アンカーからX軸に平行に延びる一対の捻り棒ばねで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の回転振動型ジャイロ。
  6. 前記駆動錘における回転振動の共振周波数と、前記各X軸分割検出錘および前記各Y軸分割検出錘おける振動の共振周波数とが異なることを特徴とする請求項2または3に記載の回転振動型ジャイロ。
  7. 任意の1の方向に延在する軸をX軸としX軸に直交する軸をY軸としたときのXY平面内に配設された、平板状の駆動錘と、
    前記駆動錘を、その中心であって前記XY平面に直交するZ軸回りに回転振動させる駆動電極と、
    前記駆動錘の外側に囲むように配設され、前記駆動錘で発生したコリオリ力により前記駆動錘と共に振動する平板扇状の一対のX軸分割検出錘および前記駆動錘で発生したコリオリ力により前記駆動錘と共に前記各X軸分割検出錘とは独立して振動する平板扇状の一対のY軸分割検出錘から成る検出錘と、
    前記検出錘の外側に位置して基板上に突設され、前記各X軸分割検出錘を支持し、かつ前記検出錘を介して前記駆動錘を支持する一対のX軸アンカー、および前記各Y軸分割検出錘を支持し、かつ前記検出錘を介して前記駆動錘を支持する一対のY軸アンカーと、
    前記アンカーと各X軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する前記各X軸分割検出錘のヒンジとして機能する一対のX軸錘支持ばね、および前記アンカーと各Y軸分割検出錘との間に掛け渡され、振動する前記各Y軸分割検出錘のヒンジ軸として機能する一対のY軸錘支持ばねと、
    前記回転振動の吸収機能および前記コリオリ力の伝達機能を有し、前記駆動錘と前記各X軸分割検出錘とを連結する一対のX軸錘連結ばね、および前記回転振動の吸収機能および前記コリオリ力の伝達機能を有し、前記駆動錘と前記各Y軸分割検出錘とを連結する一対のY軸錘連結ばねと、
    振動する前記一対のX軸分割検出錘の変位を検出する一対のX軸検出電極、および/または振動する前記一対のY軸分割検出錘の変位を検出する一対のY軸検出電極と、を備え、
    前記各X軸分割検出錘、前記各X軸アンカー、前記各X軸錘連結ばねおよび前記各X軸検出電極は、X軸に沿って配設され、
    前記各Y軸分割検出錘、前記各Y軸アンカー、前記各Y軸錘連結ばねおよび前記各Y軸検出電極は、Y軸に沿って配設されていることを特徴とする回転振動型ジャイロ。
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