JP5052464B2 - 有機電界発光表示装置の製造方法 - Google Patents

有機電界発光表示装置の製造方法 Download PDF

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本発明は、有機電界発光表示装置(以後の説明で、「有機EL表示装置」と記載する場合がある)の製造方法に関する。
電流を通じることによって励起され発光する薄膜材料を用いた有機電界発光素子(以後の説明で、「有機EL素子」と記載する場合がある)が知られている。有機EL素子は、低電圧で高輝度の発光が得られるために、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明を含む広い分野で幅広い潜在用途を有し、それらの分野でデバイスの薄型化、軽量化、小型化、および省電力のなどの利点を有する。このため、将来の電子ディスプレイ市場の主役としての期待が大きい。
有機EL素子をディスプレイ素子として利用するためには、電極のパターン化が必要不可欠であり、そして繊細な表示を行うために微細パターン化された電極が正常に作動することが必要となる。そのためには、(1)充分に微細な電極パターンと絶縁化された部分の幅が狭いこと、(2)電極のエッジ部分がシャープな形状となっていること、(3)微細加工された部分が完全に絶縁化されていること、(4)微細加工された電極部分がショートしないこと、(5)微細加工された電極の性能が損なわれないこと、(6)微細加工を行う際に除去に必要な部分以外の下地の部分に影響を与えないこと、などが重要な要件となる。
一方、有機EL素子を用いたアクテイブ駆動のフルカラー表示装置が種々提案されている。
例えば、フルカラー表現のための赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3基本色を得る手段として3色塗り分け法、白色有機ELにカラーフィルターを組みあわせる方法がある。
三色塗り分け法においては、発色材料として3色適正な材料を揃えることと円偏光板のロスを小さくすることで、高効率化できる可能性がある。しかしながら、その塗り分け技術が困難であることから、高精細なディスプレイの実現は難しく、大画面化は困難とされている。
白色有機EL素子にカラーフィルタを組みあわせて3色を得る方法では、白色発光材料自体の発光効率が低いこと、さらにカラーフィルターにより約1/3に輝度が低下することが問題として挙げられる。
また、有機EL素子からの発光を色変換膜を用いて色変換して所望の色を得る方法では、様々な改良がなされているが、赤色への変換効率が低いこと等が問題として挙げられる。
そこで、上部電極に半透明の陰極を採用し、反射膜との間での多重干渉効果によって、特定の波長の光のみを有機EL素子の外部に取り出し、高い色再現性を実現することが検討されている。例えば、光反射材料からなる第1電極、有機発光層を備えた有機層、半透明反射層及び透明材料からなる第2電極が順次積層され、有機層が共振部となるように構成された有機EL素子において、取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとした場合、以下の式を満たすように構成した有機EL素子が知られている。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m
(Lは光学的距離、λは取り出したい光の波長、mは整数、Φは位相シフトであり、光学的距離Lが正の最小値となるように構成)
これらの共振器構造を用いた表示装置では、赤光(R)、緑光(G)、青光(B)を取り出すために、それぞれの共振波長となるよう光学的距離を調整するため、陽極(ITO)の厚みをそれぞれのR,G,B画素に対応してフォトリソグラフィー法によりパターニングして設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法においては、レジスト塗布,ベーキング,露光,現像,エッチング及びレジスト剥離といった数多くの工程を経て作製されるために煩雑であった。製造工程数が多く、歩留まりが悪く、コストアップする問題があった。
従来、ディスプレイ用EL素子のパターン化方法としては、例えば電極を蒸着などの方法により形成する際に、マスクを用いてパターン化するマスク蒸着法が知られている。しかしながら、この方法においては、微細なパターンを作製するには、蒸着金属の回り込みなどの問題があること、さらに、微細パターニングを行う場合、下地の蒸着層に対するマスクセッティングの位置精度が重要であり、そのため蒸着装置内に高度のマスクセッティング機構が必要となって、生産性が低下するなどの課題があった。
一方、簡便なパターニング手段として、レーザーアブレーション加工法による有機EL素子の微細パターン化方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。ガラス基板上にITO膜のパターニング等に用いられるとされている。しかしながら、レーザー照射により膜の不要な部分を吹き飛ばしてパターニングするために、吹き飛んだゴミが電極間のショート原因となったり、パターンの端部にバリが発生して上下電極間ショートの原因になったりする問題が懸念される。通常の液晶素子や電子ペーパーでは電極間が数10μm〜数100μm以上と広いため、アブレーションで発生したバリによるショートは起こりにくいが、有機EL素子の電極間は数100nmと3桁以上薄いために、わずかな端部のバリが大きな影響を及ぼすためである。従って、技術の特性上、レーザーアブレーション加工法を有機EL素子等の薄膜デバイスに採用することは困難であった。
特開2007−26849号公報 特開平8−222371号公報 特開平9−320760号公報
本発明の課題は、レーザーアブレーション加工法によってパターン化された有機EL表示装置の製造方法を提供するものである。
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決された。
<1> 少なくとも2種の共振する距離が異なる共振器構造を有する有機電界発光表示装置であり、前記有機電界発光表示装置の電極の少なくとも一方を、以下の工程を含むことにより形成することを特徴とする有機電界発光表示装置の製造方法。
基板上に、順に、
(1)第1の電極を形成する工程
(2)レーザーアブレーション加工法により所定の形状よりも大きな形状に前記第1の電極を加工する第1のパターニング工程
(3)前記第1のパターニング工程で成形されたパターン上に第2の電極を形成する工程
(4)前記第1の電極と第2の電極とを積層して有する部分を前記所定の形状に加工する第2のパターニング工
<2> 少なくとも2種の共振する距離が異なる共振器構造を有する有機電界発光表示装置であり、前記有機電界発光表示装置の絶縁層を、以下の工程を含むことにより形成することを特徴とする有機電界発光表示装置の製造方法。
基板上に、順に、
(1)第1の絶縁層を形成する工程
(2)レーザーアブレーション加工法により所定の形状よりも大きな形状に前記第1の絶縁層を加工する第1のパターニング工程
(3)前記第1のパターニング工程で成形されたパターン上に第2の絶縁層を形成する工程
(4)前記第1の絶縁層と第2の絶縁層とを積層して有する部分を前記所定の形状に加工する第2のパターニング工程
<3> 前記第2のパターニング工程がレーザーアブレーション加工法による加工工程である<1>又は<2>に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
> 前記第2のパターニング工程がフォトリソグラフィー法による加工工程である<1>又は<2>に記載の有機電界発光表示装置の製造法。
本発明によれば、ーザーアブレーション加工法によってパターン化された有機EL表示装置の製造方法が提供される。
従来のレーザーアブレーション加工法では、アブレーションによって残った薄膜の端部にバリが発生するため、薄層膜より構成される有機EL素子では、種々のトラブルの原因となる。例えば、有機EL素子の電極を作製した場合、電極端部のバリにより、上下電極間でショートし、素子が発光しなくなってしまう。また、多重光干渉効果を利用した共振器を備えた有機EL素子の場合は厚みのムラによって、色相の異なる光が射出され、色ムラの原因となる。一方、特開2007−26849号公報には、ITO電極の膜厚をフォトリソグラフィー法で行うことが、本文中に記載されているが、膜厚を画素毎に変えるために、前述のように非常に工程数が増加し、コストの増加、歩留まり低下が大きくなり現実的ではない。
本発明によれば、レーザーアブレーションを用いて工程数を減らしながら、端部に発生するバリの問題を解決した改良された有機EL表示装置の製造方法が提供される。
以下に本発明について、より詳細に説明する。
1.有機EL表示装置
本発明の有機EL表示装置は、基板上に複数の画素を備え、各画素が波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される。
図1に示されるように、本発明の表示装置は基板2の上に複数の画素4を縦横に並列にマトリクス型画面パネルを有する。各画素は、波長の異なる光を射出する少なくとも2種の副画素より構成される。好ましくは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素より構成される(図2)。これらの副画素を独立に制御してそれぞれを独立の輝度で発光することにより、フルカラーを再現することができる。
前記少なくとも2種の副画素は、好ましくは、光半透過反射層と光反射層とに矜持された少なくとも白色有機電界発光層を有し、白色発光層で発光した白色光成分の内、光半透過反射層と光反射層との間の光学的距離によって決定される共振波長に相当する成分が共振され、光半透過反射層を透過して外部に射出される。従って、R,G,Bの3色に対応した光学距離となるように各副画素部が形成される。
本発明の構成を用いた表示装置は、2色カラー、フルカラーの表示装置に好適に用いることが可能である。あるいは、2色又は3色の混合によりB/W表示装置とすることもできる。B/W表示装置の例としてはレントゲン写真表示用のディスプレイ等が挙げられ、フルカラー表示装置の例としては家庭用のテレビ等を挙げることができる。
記画素が有機EL素子である。本発明に於いては、トップエミッション型有機EL素子であってもボトムエミッション型有機EL素子であっても良い。
次に、本発明の表示装置の構成を図面により具体的に説明する。
図3は、本発明による1画素の構成を示す断面模式図である。
透明基板1上に半透過反射層4を有し、透明絶縁膜2を介して、各副画素に対応して透明電極3が厚みを変えて配置される。その上に、各副画素とも共通に有機電界発光層5及び光反射電極膜6を有する。半透過反射電極4と光反射電極膜6の間の光学的距離がR副画素部ではR光が共振する距離、G副画素部ではG光が共振する距離、B副画素部ではB光が共振する距離になるよう、透明電極3の厚みが3a,3b、3cに調整される(図4)。別の態様として、図5に示されるように、透明基板1上に、半透過反射層4を有し、その上に、透明絶縁膜12を厚みを変えて設置し、その上に透明電極13がそれぞれ各副画素に対応してパターン化されて配置される。その上に、図3に於けると同様に各副画素とも共通に有機電界発光層5及び光反射電極膜6が配置される。この態様では、半透過反射電極4と光反射電極膜6の間の光学的距離がR副画素部ではR光が共振する距離、G副画素部ではG光が共振する距離、B副画素部ではB光が共振する距離になるよう、透明絶縁膜12の厚みが画画素に対応したパターンで12a、12b、12cと設置される。
有機電界発光層5として可視域全域に発光スペクトルを有する白色発光の有機EL素子を用いると、R副画素部の半透過反射膜4と光反射電極膜6との間の光学的距離を赤色の光が共振する距離になるように、透明電極3の厚み若しくは透明絶縁膜12の厚みによって調整することにより、白色光の中の赤色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。また、G副画素部では、半透過反射膜2と光反射電極膜6との間の光学的距離を緑色の光が共振する距離になるように、透明電極3の厚み若しくは透明絶縁膜12の厚みによって調整することにより、白色光の中の緑色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。さらにまた、B副画素部では、半透過反射膜2と光反射電極膜6との間の光学的距離を青色の光が共振する距離になるように、透明電極3の厚み若しくは透明絶縁膜12の厚みによって調整することにより、白色光の中の青色成分のみが共振して高輝度で外部に射出される。
図6は、本発明による薄膜のパターニング方法を示す断面模式図である。
PL−1工程:薄膜第1層101の形成
透明基板11上に、薄膜第1層101を所定の領域(第1の領域)よりも広くパターン化して薄膜第1層101を形成する。
PL−2工程:薄膜第2層102の形成
薄膜第1層101の上に、薄膜第1層101を被覆し、さらに薄膜第2層102の所定の領域(第2の領域)よりも広くパターン化して薄膜第2層102を形成する。
PL−3工程:薄膜第3層103の形成
薄膜第2層102の上に、薄膜第1層101及び薄膜第2層102を被覆し、さらに薄膜第3層103の所定の領域(第2の領域)よりも広くパターン化して薄膜第3層103を形成する。
PL−4工程:所定の領域を形成する第2のパターニング
各領域の所定の広さより広い領域を第2のパターニングにより除去する。その結果、第1の領域、第2の領域及び第3の領域が、それぞれ、分離されて、所定の大きさで形成される。
第1の領域は、薄膜第1層101、薄膜第2層102及び薄膜第3層103の積層体より構成される。第2の領域は、薄膜第1層101及び薄膜第2層102の積層体より構成される。第3の領域は、薄膜第3層103により構成される。
図7〜図9は、従来のフォトリソグラフィー法によって全てのパターニングを行う場合の工程を示す概略図である。異なる厚みのITO電極の製造を例として説明する。
順に、基板洗浄工程→ITO第1層を成膜→フォトレジストの塗布→ベーキング→マスク露光→フォトレジストの現像処理→ITOのエッチング処理→レジスト剥離(若しくはアルカリ溶解)(以上図7)により第1の領域のパターニングを行う。
続いて、基板洗浄→ITO第2層を成膜→フォトレジストの塗布→ベーキング→マスク露光→フォトレジストの現像処理→ITOのエッチング処理→レジスト剥離(若しくはアルカリ溶解)(以上図8)によりITO第1層の上にITO第2層がパターニングされて形成される。
更に続いて、基板洗浄→ITO第3層を成膜→フォトレジストの塗布→ベーキング→マスク露光→フォトレジストの現像処理→ITOのエッチング処理→レジスト剥離(若しくはアルカリ溶解)(以上図9)によりITO第2層の上にさらにITO第3層がパターニングされて形成される。このITO第3層パターニングの際、ITO第3層とITO第2層の積層部、及びITO第3層、ITO第2層及びITO第1層の積層部の電気的分離も同時に行われ、それぞれ電気的に独立してITOの厚みの異なる3つの領域が形成される。
上記のように、全層ともフォトリソグラフィー法によって全てのパターニングを行う場合、極めて多数の工程が必要である。特にフォトレジストの調液と塗布、ベーキング処理、及びマスクを用いた光学露光、アルカリ現像によるレジストパターン形成、エッチング処理、残存レジストの除去の複雑な処理工程を、各パターニング毎に行う必要があり、生産歩留まりの低下とコスト増加をもたらす。
図10は、本発明による薄膜のパターニング方法を示すものである。ITO電極のパターニングを例に説明する。基板を洗浄後、ITO電極を成膜する(工程(2))。まず、レーザーアブレーション法により、第1段階のパターニングを行う(工程(3))。第1段階のパターニングは、ITO電極が成膜されるべき所定のパターニング領域よりも広い領域(図面上では幅を広く)で形成される。次に、第2段階のパターニングをフォトリソグラフィー法によって行う(工程(4)〜(9))。第2段階のパターニングに際しては、マスク露光時のマスクは所定の形状となるように選ばれる。レーザーアブレーション工程では、端部にバリが生じるが、フォトリソグラフィー法によるパターニング工程で、バリ部分が除去されるので、最終的に得られるパターンは、バリが無く、端部形状がスムーズで、所定の形状を有したパターンである。
図11は、図10で基本的に示される工程を繰り返して、3つの異なる厚みにパターン化されたITO電極の製造方法を説明するものである。
ITO第1層を形成する工程(1)〜(3)は図10に於けると同じであり、レーザーアブレーション法により形成される。次に、基板洗浄後、工程(5)〜(6)によってITO第2層を形成する。この段階でのITO第2層のパターニングは、ITO第2層のパターニングの所定のパターニング領域より広く形成される。ITO第2層のパターニングはレーザーアブレーション法により形成される。続いて、基板洗浄後、同様にITO第3層を形成する(工程(8))。
次に、工程(9)〜(14)で示されるフォトリソグラフィー法によるパターニング工程を施す。該パターニングに際しては、マスク露光時のマスクは、各々の領域が所定の形状となるように選ばれ、ITO第3層単独よりなる第3の領域、ITO第3層とITO第2層の積層体より形成される第2の領域、及びITO第3層、ITO第2層、及びITO第1層の積層体より成る第1の領域が、それぞれ所定の形状で形成される。各々のレーザーアブレーション工程では、端部にバリが生じるが、フォトリソグラフィー法によるパターニング工程で、バリ部分が除去されるので、最終的に得られるパターンは、バリが無く、端部形状がスムーズである。
図13は、本発明の別の態様であって、所定の大きさより広く形成される第1段階のパターニングと所定の大きさに形成する第2段階のパターニングともレーザーアブレーション法により実施する態様を示すものである。
図中に示す所定の領域を表す形状記号は、説明上のイメージであり、構造として存在するものではない。
ITO第1層を成膜後、レーザーアブレーション法により所定の領域よりも広く(図面上では広い幅に)パターニングされる(工程(3))。洗浄後、ITO第2層を成膜する(工程(5))。その後、ITO第1層と同様に、レーザーアブレーション法により所定の領域よりも広く(図面上では広い幅に)パターニングされる(工程(6))。洗浄後、ITO第3層を成膜する(工程(8))。
次に、工程(9)で示されるレーザーアブレーション法によるパターニング工程を施す。工程(9)で示されるレーザーアブレーション法によるパターニング工程は、各々の領域が所定の形状を形成するパターニングであり、所定の形状となるようにマスクのが選択される。その結果、ITO第3層単独よりなる第3の領域、ITO第3層とITO第2層の積層体より形成される第2の領域、及びITO第3層、ITO第2層、及びITO第1層の積層体より成る第1の領域が、それぞれ所定の形状で形成される。所定の形状より広い形状のレーザーアブレーション工程で、生じた端部のバリは、最終の所定の形状のパターニングにより除去されるので、最終的に得られるパターンには、最終工程のレーザーアブレーションによるバリのみであり、レーザーアブレーション工程を複数回施しても端部形状のバリは最小限に留まるので、有機EL素子に本方法を用いたとしても電気的ショートなどのトラブルの発生を抑えることができる。
一方、図14は、各パターニング工程をそれぞれの領域が所定の大きさ(広さ)でアブレーション法により形成する比較の態様を示すものである。即ち、ITO第1層のパターニング工程(3)、ITO第2層のパターニング工程(6)、及びITO第3層のパターニング工程(9)が全てレーザーアブレーション法により、所定の大きさ(広さ)で形成される。この場合、レーザーアブレーション工程で発生するバリは、積算されるため、最終的に形成されるパターニングに形成されるバリは、特に、ITO第1層、ITO第2層、及びITO第3層が積層される第1の領域では、極めて大きくなものになる。従って、有機EL素子に適用した場合、電気的ショートなどの問題を生じる懸念を孕む。
以上説明したように、本発明によれば、少ない製造工程で簡便に、厚みの異なる薄層をそれぞれパターニングして形成することができる。レーザーアブレーション法によるパターニングは、電極基板の量産等に従来用いられている技術であるが、吹き飛ばした端部にバリが発生する基本的問題を抱えていた。通常の液晶素子や電子ペーパーでは電極間が数10μm〜数100μm以上離れているため、アブレーションにより発生したバリによるショートは起こりにくく、問題とはされてこなかった。しかしながら、有機EL素子の電極間は数100nmと3桁以上薄いために、吹き飛んだゴミやバリが電極間のショート原因となるため、わずかな端部のバリでも大きな影響を及ぼす。従って、レーザーアブレーション法は、有機EL素子等の超薄膜デバイスには採用が難しいのが現状であった。
本発明に拠れば、レーザーアブレーション法を利用するが、そのバリ発生が最小限であり、少ない製造工程数であること、及び簡便である特性をフルに発揮できる。
本発明により得られる厚みの異なる薄層パターンは、共振器構造を有する有機EL表示装置に用いることができる。例えば、ITO等の透明電極の厚みを変えて共振距離を調整することができる。あるいは、透明光路長調整層として厚みの異なる絶縁層を設置して、共振距離を調整することができる。
共振器構造を導入することにより、表示装置の各副画素から射出される光はそれぞれ、高輝度かつスペクトル分布の狭い高彩度の光であり、各副画素から共振波長以外の波長成分の光の射出が抑制されるので、極めて高輝度、高彩度の光が得られる。さらに、これらの副画素からの光成分を混合して得られる1画素の光も、高輝度で高彩度である。
また、有機EL発光層として白色発光材料を用いて、R,G,B副画素とも有機EL発光層及び反射層等を共通に形成できる利点を有する。従って、表記装置の製造工程が更に簡易で、高い生産性が得られ、また、高精細化が容易である。
2.レーザーアブレーション加工方法
本発明に用いられるレーザーアブレーション加工法とは、レーザービームを固体物質表面に照射した際、このレーザーエネルギーを吸収した物質が大きなエネルギーをもつフラグメントとして飛散する現象、すなわちレーザーアブレーション現象を利用して微細加工を施す方法のことである。
本発明のレーザーアブレーション法における条件は、特開平8−222371号の段落番号(0016)から(0022)に記載の方法を適用することができる。
3.光路長調整層
本発明に於ける厚みの異なる薄層として、光路長調整層を用いることが好ましい。
光路長調整層は、透明な絶縁層材料であれば特に限定されず、無機物(SiO、SiON、SiN、ITO、IZO等)や有機物(ポリカーボネート、ポリアクリレート、シリコーン樹脂等)の何れでも良い。
本発明に於ける光路長調整層に用いられる無機絶縁材料としては、従来知られている種々の金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物などを用いることができる。
金属酸化物の具体例としては、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等が挙げられ、金属窒化物の具体例としては、SiN、SiN等が挙げられ、金属フッ化物の具体例としては、MgF、LiF、AlF、CaF等が挙げられる。また、これらの混合物であっても良い。
本発明に於ける光路長調整層の材料としては、有機化合物も用いることができ、被膜形成性ポリマーが好ましく用いられる。被膜形成性ポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
光路長調整層の厚みは、各副画素が所定の波長の光が効率良く共振し得る光学的距離となるように調整される。従って、共振する光学的距離は、反射膜と半透過反射膜との間に挟持される材料の屈折率とその組成、厚みによって決定されるので、光路長調整層によって決定される訳ではない。一般に用いられる有機EL発光層の構成を斟酌すると、光路長調整層の厚みは、物理的厚みで、1nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは、10nm〜500nm、さらに好ましくは、10nm〜200nmである。
光路長調整層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、又は転写法を適用できる。
4.有機電界発光素子
本発明における有機電界発光素子は、発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層、ブロック層、電子注入層、および正孔注入層などの従来知られている有機化合物層を有しても良い。
以下、詳細に説明する。
1)層構成
<電極>
本発明における有機電界発光素子の一対の電極は、少なくとも一方は透明電極であり、もう一方は背面電極となる。背面電極は透明であっても、非透明であっても良い。
<有機化合物層の構成>
前記有機化合物層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機化合物層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機化合物層の形状、大きさ、および厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
以下に各層について詳細に説明する。
2)正孔輸送層
本発明に用いられる正孔輸送層は正孔輸送材を含む。前記正孔輸送材としては正孔を輸送する機能、もしくは陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば特に制限されることはなく用いることが出来る。本発明に用いられる正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、および高分子正孔輸送材のいずれも用いることができる。
本発明に用いられる正孔輸送材の具体例として、例えば以下の材料を挙げることができる。
カルバゾ−ル誘導体、イミダゾ−ル誘導体、ポリアリ−ルアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリ−ルアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
正孔輸送層の厚みとしては、10nm〜400nmが好ましく、50nm〜200nmがより好ましい。
3)正孔注入層
本発明おいては、正孔輸送層と陽極の間に正孔注入層を設けることができる。
正孔注入層とは、陽極から正孔輸送層に正孔を注入しやすくする層であり、具体的には前記正孔輸送材の中でイオン化ポテンシャルの小さな材料が好適用いられる。例えばフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、及びスターバースト型トリアリールアミン化合物等を挙げることができ、好適に用いることができる。
正孔注入層の膜厚は、1nm〜300nmが好ましい。
4)発光層
本発明に用いられる発光層は、少なくとも一種の発光材料を含み、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ホスト材を含んでもよい。
本発明に用いられる発光材料としては特に限定されることはなく、蛍光発光材料または燐光発光材料のいずれも用いることができる。発光効率の点から燐光発光材料が好ましい。
蛍光発光材料としては、例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
燐光発光材料としては特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
上記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁〜232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」、71頁〜77頁、135頁〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。該オルトメタル化金属錯体を発光材料として発光層に用いることは、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
上記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、及び2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。また、上記オルトメタル化金属錯体は、上記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は、Inorg Chem.,1991年,30号,1685頁、同1988年,27号,3464頁、同1994年,33号,545頁、Inorg.Chim.Acta,1991年,181号,245頁、J.Organomet.Chem.,1987年,335号,293頁、J.Am.Chem.Soc.1985年,107号,1431頁等、種々の公知の手法で合成することができる。
上記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
また、発光材料は白色発光が得られれば1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の発光材料の発光色の組合せは、特に限定されるものではないが、青色発光材料と黄色発光材料の併用、青色発光材料と緑色発光材料と赤色発光材料の併用などを挙げることができる。
ホスト材とは、その励起状態から、蛍光発光材料または燐光発光材料へエネルギー移動を起こし、その結果、蛍光発光材料または燐光発光材料を発光させる機能を有する材料のことである。
ホスト材としては、励起子エネルギーを発光材料にエネルギー移動させることのできる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホスト材の発光層における含有量としては0質量%〜99.9質量%が好ましく、さらに好ましくは0質量%〜99.0質量%である。
5)ブロック層
本発明においては、発光層と電子輸送層との間にブロック層を設けることができる。ブロック層とは発光層で生成した励起子の拡散抑制する層であり、また正孔が陰極側に突き抜けることを抑制する層である。
ブロック層に用いられる材料は、電子輸送層より電子を受け取り、発光層にわたす事のできる材料で有れば特に限定されることはなく、一般的な電子輸送材を用いることができる。例えば以下の材料を挙げることができる。トリアゾ−ル誘導体、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、及びポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
6)電子輸送層
本発明においては電子輸送材を含む電子輸送層を設けることができる。
電子輸送材としては電子を輸送する機能、もしくは陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく、前記ブロック層の説明時に挙げた電子輸送材を好適に用いることができる。
前記電子輸送層の厚みとしては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜80nmがより好ましい。
前記厚みが、1000nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると該発光素子の発光効率が非常に低下する可能性があり好ましくない。
7)電子注入層
本発明おいては、電子輸送層と陰極の間に電子注入層を設けることができる。
電子注入層とは、陰極から電子輸送層に電子を注入しやすくする層であり、具体的にはフッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム等のリチウム塩、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属塩、酸化リチウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、又は酸化マグネシウム等の絶縁性金属酸化物等を好適に用いることができる。
電子注入層の膜厚は0.1nm〜5nmが好ましい。
8)基板
本発明に用いられる基板の材料としては、水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料が好ましく、また、前記有機化合物層から発せられる光を散乱乃至減衰等のさせることのない材料が好ましい。具体的例として、例えばYSZ(ジルコニア安定化イットリウム)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカ−ボネ−ト、ポリエ−テルスルホン、ポリアリレ−ト、アリルジグリコ−ルカ−ボネ−ト、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料、などが挙げられる。
前記有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、又は低吸湿性等に優れていることが好ましい。これらの材料は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であるのが好ましい。
基板には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けるのが好ましい。前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
基板には、さらに必要に応じて、ハ−ドコ−ト層、およびアンダ−コ−ト層などを設けてもよい。
9)電極
本発明における電極は、第1電極よび第2電極のいずれが陽極であっても陰極であっても構わないが、好ましくは第1電極が陽極であり、第2電極が陰極である。
<陽極>
本発明に用いられる陽極としては、通常、前記有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をド−プした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ルなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
陽極は例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、該陽極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレ−ティング法等に従って行うことができる。また陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
陽極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該陽極は、前記基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、前記陽極のパタ−ニングは、フォトリソグラフィ−などによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レ−ザ−などによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
陽極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
陽極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、該陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シ−エムシ−刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した陽極が好ましい。
<陰極>
本発明に用いることの出来る陰極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、又はCs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ度類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されていて、これらを本発明に適用することができる。
陰極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。
例えば、前記陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極のパタ−ニングは、フォトリソグラフィ−などによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レ−ザ−などによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
陰極の有機電界発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該陰極は、前記有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。
陰極の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、前記陰極の材料を1nm〜10nmの厚みに薄く製膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
10)保護層
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の金属窒化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、又は転写法を適用できる。
11)封止
さらに、本発明における有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、及びシリコーンオイル類が挙げられる。
12)素子の製造方法
本発明における素子を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコ−ト法、ディップコ−ト法、キャスト法、ダイコ−ト法、ロ−ルコ−ト法、バ−コ−ト法、グラビアコ−ト法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
中でも発光効率、耐久性の点から乾式法が好ましい。湿式製膜法の場合、残存する塗布溶媒が発光層を損傷させるので好ましくない。
特に好ましくは、抵抗加熱式真空蒸着法である。抵抗加熱式真空蒸着法は、真空下で加熱により蒸散させる物質のみを効率的に加熱できるので、素子が高温に曝されないのでダメージが少なく有利である。
真空蒸着とは真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱させ気化もしくは昇華して、少し離れた位置に置かれた被蒸着物の表面に付着させ、薄膜を形成するというものである。蒸着材料、被蒸着物の種類により、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。この中で最も低温で成膜を行うのが抵抗加熱式の真空蒸着法であり、昇華点の高い材料は成膜できないが、低い昇華点の材料であれば、被蒸着材料への熱ダメージがほとんど無い状態で成膜を行うことができる。
本発明における封止膜材料は、抵抗加熱式の真空蒸着で成膜し得ることを特徴とする。
従来用いられてきた酸化シリコン等の封止剤は昇華点が高く、抵抗加熱で蒸着することは不可能であった。また、公知例に一般的に記載されているイオンプレーティング式などの真空蒸着法は、蒸着元部が数千℃と超高温となるため、被蒸着材料に熱的な影響を与えて変質させるため、特に熱や紫外線の影響を受けやすい有機EL素子の封止膜の製造方法としては適していない。
13)駆動方法
本発明における有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明における有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
(用途)
本発明の有機EL素子の用途は特に限定されないが、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、あるいはTVモニター等広い表示分野に適用できる。
以下に、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
比較例1
従来のフォトリソグラフィー法によるITO膜の薄膜のパターニング方法によって、ガラス基板上に2種類の厚みのITO膜を成膜し、幅2.0mmの短冊形状にパターニングを行う例である。順に、下記16工程よりなる。
(1)基板洗浄
(2)ITO第1層スパッタ
(3)レジスト塗布
(4)レジストベーク
(5)マスク露光
(6)レジスト現像
(7)露出したITOエッチング
(8)レジスト剥離
(9)基板洗浄
(10)ITO第2層スパッタ
(11)レジスト塗布
(12)レジストベーク
(13)マスク露光
(14)レジスト現像
(15)露出したITOエッチング
(16)レジスト剥離
上記薄膜のパターニング方法は、多数の工程よりなり、複雑で、生産の歩留まりが悪く、コストアップする。
比較例2
上記比較例1におけるフォトリソグラフィー法によるパターニングの代わりにレーザーアブレーション法を用いた例である。順に、下記工程よりなる。
(1)基板洗浄
(2)ITO第1層スパッタ
(3)レーザーアブレーション
(4)基板洗浄
(5)ITO第2層スパッタ
(6)レーザーアブレーション
該パターニング法では、パターン形成した端部にバリが発生し、上記ITO膜を陽極として、この上に有機EL層を形成すると陽極と陰極間で電気的ショートを引き起こし、正常な発光が得られない。ショートの頻度は、ITO電極が複数段積層された部分の端部でアブレーションによるバリが特に顕著になる。
参考例1
比較例2において、ITO第1層の第1段階パターニングをレーザーアブレーション法により、幅2.2mmにパターニングし、第2段階のパターニングをフォトリソグラフィー法に変更して幅2.0mmの短冊形状にパターニングを行う例である。
(1)基板洗浄
(2)ITOスパッタ
(3)レジスト塗布(レーザー照射により可溶化)
(4)レジストベーク
(5)レーザーアブレーション法によりレジストごと除去し2.2mm幅にパターニング
(6)レジスト現像(アブレーション残の内、レーザー照射された端部が溶解、約0.1mm幅にバリが残存)
(7)露出したITO端部エッチング処理(バリ部が溶解除去される)
(8)レジスト剥離
上記工程では、ITO端部のバリがエッチング処理により溶解除去されるので、得られるITOを電極として有機EL層を形成すると、バリ部分が無いので正常な発光が得られる。また、上記薄膜のパターニング方法によれば、レーザーアブレーション工程によってレジストマスクが形成されるので、露光とためのメタルマスクを不要とするので、さらに簡便でコストダウンが可能である。
実施例2
図11および図12に示されるように、ガラス基板上に3種類の厚みのITO膜を成膜し、幅2.0mmの短冊形状にパターニングを行う例を示す。第1段階、第2段階のパターニングを、所定の領域より広い幅(2.2mm)でレーザーアブレーションによりパターニングし、第3段階のパターニングを所定の幅(2.0mm)にフォトリソグラフィー法により行う薄膜のパターニング方法である。順に下記工程より成る。
(1)基板洗浄
(2)ITO第1層スパッタ
(3)レーザーアブレーションによるパターニング(2.2mm幅にパターニング)
(4)基板洗浄
(5)ITO第2層スパッタ
(6)レーザーアブレーションによるパターニング(2.2mm幅にパターニング)
(7)基板洗浄
(8)ITO第3層スパッタ
(9)レジスト塗布
(10)レジストベーク
(11)マスク露光(2.0mm幅にパターニング)
(12)レジスト現像
(13)露出したITOエッチング
(14)レジスト剥離
比較例2に比べて、パターニングされた端部にバリがなく、上記ITO膜を陽極として、この上に有機EL層を形成しても、陽極と陰極間で電気的ショートを引き起こすことがなく、正常な発光が得られる。
比較例3
ITO膜付き基板に下記白色発光有機EL素子を作製した。
基板を洗浄し、酸素プラズマ処理を施した後、真空蒸着装置に投入して下記白色発光有機EL層を一様に成膜した。
4,4’,4’’−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATAと略記する)と2−TNATAに対してF4−TCNQ(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)を1.0質量%となるように共蒸着した。膜厚は50nmとした。
N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(α−NPDと略記する)を厚み10nmで成膜した。
1,3−bis(carbazol−9−yl)benzene(mCPと略称)とmCPに対して発光材Aを15質量%、発光材Bを0.13質量%、発光材Cを0.13質量%となるように4元で共蒸着を行った。膜厚は30nmとした。
bis−(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolate) aluminium(BAlqと略記する)を成膜した。厚みは40nmとした。
LiFを厚み0.5nmにして電子注入層とした。
金属電極(Al、100nm)を成膜した。
発光材料Aが青色領域に発光を示し、発光材料Bが緑色領域に発光を示し、発光材料Cが赤色領域に発光を示すことで白色発光が得られた。得られた素子は全ての発光位置で白色発光であった。また、この素子は多重干渉により発光スペクトルの先鋭化を行っていないためRGB発光スペクトルが重なり合っており、色純度良く分離するには効率低下の問題とカラーフィルターの設計が難しいという問題があることがわかった。
実施例3
0.2mm厚みのポリエチレンナフタレート基板全面に、Ag蒸着膜を20nm成膜し、さらにSiO2膜をスパッタで20nm成膜した。この基板上に実施例2の手法で、3種類の厚みのITO電極を成膜した。ITO第1層のスパッタ厚みは56nmとし、第2層を33nm、第3層を48nmの厚みで成膜した。これにより、基板上にAg薄膜による半透過半反射層を備え、膜厚が48nm、81nm、137nmの厚みを持つITO電極を備えた基板が得られた。
上記の基板に比較例3と同じ有機EL素子を作製した。
得られた素子はITO電極の厚みにより共振波長が調節されているために、カラーフィルター無しで発光色が分離されており、厚み48nmのITO電極を有する素子では青色発光、厚み81nmのITO電極を有する素子では緑色発光、厚み137nmのITO電極を有する素子では赤色発光していた。多重干渉により正面の強度が増強されているために、比較例3の素子のRGBのピーク強度よりも正面強度が高く、かつ、ピークが分離されているためにカラーフィルターの設計も容易であることがわかった。
実施例に用いた化合物の構造を下記に示す。
(共振距離)
光反射層を厚み100nmのAl膜、半透過半反射層を厚み20nmの銀薄膜とした場合、共振する光学的距離は、各色に対して下記のように見積もられる。
波長λの光を強めたいとき、以下の式のmが整数になるように光学距離を調節すればよい。ただし、nは光が通過する層の屈折率であり、φは反射層で光の位相がずれる量である。屈折率の異なる複数の層が積層されている場合には2ndの部分を2(n*d+n*d+・・・)とすればよい。
2nd/λ+φ/2π=m
実験により上記式のφを求めて、460nm,520nm,620nmを強める光学距離(半透過半反射層−反射層間距離、有機膜換算)を求めると、以下のようになる。
青(460nm)を共振させる光学距離:203nm±135nm(203nm、338nm、473nm、−−−−)
緑(520nm)を共振させる光学距離:242nm±153nm(242nm、395nm、548nm、−−−−)
赤(620nm)を共振させる光学距離:308nm±182nm(126nm、308nm、490nm、−−−−)
実施例3の素子では、ITO電極の厚みが48nm、81nm、137nmの素子の光学距離(有機膜換算)は以下の通りであり、前述のようにこの光学距離はそれぞれ青、緑、赤色を強める膜厚に相当しているために白色素子を用いて単色光を取り出すことができている。
・ITO電極48nmの素子の有機膜換算の光学距離:
SiO(20*1.45/1.7)+ITO(48*2.0/1.7)+OLED(130)で203nm
・ITO電極81nmの素子の有機膜換算光学距離:
SiO(20*1.45/1.7)+ITO(81*2.0/1.7)+OLED(130)で242nm
・ITO電極137nmの素子の有機膜換算光学距離:
SiO(20*1.45/1.7)+ITO(137*2.0/1.7)+OLED(130)で308nm
なお、光学距離はたとえば青色と赤色を同時に強め合う条件も存在するため、カラーフィルターを併用することで、不要なピークをのぞく構成がより好ましい。また、実施例では白色素子を、多重干渉を用いてRGBに分離する例を記述したが、元の白色を画素として加えたWRGB画素構成とするのがより好ましい。
アクティブマトリックス型表示装置の画素配列の概念図である。 1画素の副画素配列を示す概念図である。 1画素の副画素配列を示す概略断面図である。 1画素の副画素配列における共振器を構成する透明電極の態様を示す概略断面図である。 1画素の副画素配列における共振器を構成する透明絶縁膜の態様を示す概略断面図である。 本発明による厚みの異なる薄膜層を形成する工程を示す概略断面図である。 従来のフォトリソグラフィー法による厚みの異なる複数の薄膜層を形成する工程の一部を示す概略断面図である。 従来のフォトリソグラフィー法による厚みの異なる複数の薄膜層を形成する工程のもう一部を示す概略断面図である。 従来のフォトリソグラフィー法による厚みの異なる複数の薄膜層を形成する工程の更にもう一部を示す概略断面図である。 本発明による薄膜層を形成する工程を示す概略断面図である。 本発明による厚みの異なる複数の薄膜層を形成する工程の一部を示す概略断面図である。 本発明による厚みの異なる複数の薄膜層を形成する工程のもう一部を示す概略断面図である。 従来のアブレーション法による厚みの異なる複数の薄膜層を形成する工程の一部を示す概略断面図である。 従来のアブレーション法による厚みの異なる複数の薄膜層を形成する工程のもう一部を示す概略断面図である。

Claims (4)

  1. 少なくとも2種の共振する距離が異なる共振器構造を有する有機電界発光表示装置であり、前記有機電界発光表示装置の電極の少なくとも一方を、以下の工程を含むことにより形成することを特徴とする有機電界発光表示装置の製造方法。
    基板上に、順に、
    (1)第1の電極を形成する工程
    (2)レーザーアブレーション加工法により所定の形状よりも大きな形状に前記第1の電極を加工する第1のパターニング工程
    (3)前記第1のパターニング工程で成形されたパターン上に第2の電極を形成する工程
    (4)前記第1の電極と第2の電極とを積層して有する部分を前記所定の形状に加工する第2のパターニング工
  2. 少なくとも2種の共振する距離が異なる共振器構造を有する有機電界発光表示装置であり、前記有機電界発光表示装置の絶縁層を、以下の工程を含むことにより形成することを特徴とする有機電界発光表示装置の製造方法。
    基板上に、順に、
    (1)第1の絶縁層を形成する工程
    (2)レーザーアブレーション加工法により所定の形状よりも大きな形状に前記第1の絶縁層を加工する第1のパターニング工程
    (3)前記第1のパターニング工程で成形されたパターン上に第2の絶縁層を形成する工程
    (4)前記第1の絶縁層と第2の絶縁層とを積層して有する部分を前記所定の形状に加工する第2のパターニング工
  3. 前記第2のパターニング工程がレーザーアブレーション加工法による加工工程である請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
  4. 前記第2のパターニング工程がフォトリソグラフィー法による加工工程である請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
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